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Transcription:

ア ジ ア 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー に お け る シ ー ク エ ン ス 解 析 日 本 大 学 大 学 院 生 物 資 源 科 学 研 究 科 生 物 資 源 経 済 学 専 攻 博 士 後 期 課 程 陳 志 鑫 2013

目 次 第 1 章 本 博 士 論 文 の 研 究 背 景 と 目 的 1.1 研 究 背 景 1.2 研 究 背 景 と 目 的 1.3 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー の フ ロ ー チ ャ ー ト 1.4 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー 形 成 基 礎 因 子 第 2 章 香 港 シ ン ガ ポ ー ル 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー に お け る シ ー ク エ ン ス 解 析 2.1 新 香 港 国 際 空 港 チ ャ ン ギ 国 際 空 港 開 設 に よ る 観 光 産 業 発 展 2.2 両 国 ( 地 域 )に お け る 経 済 成 長 と 観 光 産 業 発 展 の 相 互 関 係 分 析 (グレ ン ジ ャ ー 因 果 性 テ ス ト に よ る ) 2.3 両 国 ( 地 域 ) に お け る 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー の 構 築 と シ ー ク エ ン ス 解 析 第 3 章 香 港 人 中 国 大 陸 人 の 顧 客 属 性 分 析 3.1 香 港 に 向 か う 中 国 大 陸 人 訪 問 者 顧 客 属 性 分 析 3.2 中 国 大 陸 に 向 か う 香 港 人 訪 問 者 顧 客 属 性 分 析 3.3 両 地 域 に お け る 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー の 構 築 と シ ー ク エ ン ス 解 析 第 4 章 中 国 に お け る 茶 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー の 展 開 浙 江 省 龍 井 茶 の 事 例 分 析 4.1 中 国 茶 産 業 の 歴 史 と 背 景 4.2 浙 江 省 に お け る 龍 井 茶 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー 構 築 の 背 景 4.3 龍 井 茶 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー の 構 築 4.4 龍 井 茶 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー に お け る シ ー ク エ ン ス 解 析 終 章 要 約 と 結 論 - 1 -

1.1 研 究 背 景 近 年, ク ラ ス タ ー 計 画 は 経 済 発 展 の 重 要 な 一 部 を 成 す こ と が 常 識 の よ う に な っ て き た 更 に, 地 域 の 競 争 力 の 強 化 と 経 済 発 展 を 実 現 す る た め の 一 つ 重 要 な 手 段 と し て 注 目 さ れ て い る 世 界 各 地 で 多 岐 に わ た る ク ラ ス タ ー 計 画 が 次 々 実 施 さ れ て お り, そ の 数 は 数 百 を 超 え て い る と 言 わ れ て い る な ぜ, 今 ク ラ ス タ ー 戦 略 は 地 域 に お け る 経 済 発 展 の 一 つ 重 要 な 手 法 と し て 注 目 さ れ る の か? そ の 原 因 を 究 明 す る に 当 た っ て, 企 業 地 域 経 済 国 家 政 策 の 3 つ の 視 点 か ら 探 求 す る 必 要 が あ る ま ず, 企 業 の レ ベ ル か ら 見 る と, I T 技 術 の 普 及 と 世 界 経 済 の グ ロ ー バ ル 化 が 進 み, 事 業 環 境 は 急 激 的 に 変 化 している 今 ま で 類 に な い 技 術 の 進 歩, 多 様 な 機 関 と 組 織 の 出 現 と 繁 栄, 各 国 及 び 各 地 域 間 の 激 し い 人 材 競 争, 活 発 的 な 国 際 間 資 本 の 移 動, 多 発 し て い る 環 境 問 題 な ど は 企 業 の 経 営 環 境 を 様 々 な 面 か ら 影 響 を 与 え て い る ま た, 地 域 経 済 発 展 の 視 点 か ら 見 る と, ク ラ ス タ ー 戦 略 は グ ロ ー バ ル 化 と 対 照 的 に 地 域 重 視 の 開 発 手 法 で あ る 特 に 成 熟 し た 地 域 社 会 経 済 を 発 展 さ せ る た め に, ク ラ ス タ ー 戦 略 に 含 む イ ノ ベ ー シ ョ ン を 誘 発 す る 概 念 は 有 効 で あ る 最 後 に, 国 家 の レ ベ ル か ら 見 る と, 今 ま で 経 済 発 展 に 有 効 と 信 じ て き た 政 府 主 導 で 外 資 か ら 国 内 企 業 を 保 護 し, 幼 稚 産 業 と し て 育 成 す る 産 業 政 策 に 限 界 が 見 え て きた グ ロ ー バ ル 化 の 進 展 と 多 国 間 貿 易 協 定 が 時 代 の 流 れ に な っ た こ と に よ っ て, 産 業 政 策 を 継 続 さ せ る こ と が 難 し く な っ て い る 一 方, ア メ リ カ や ヨ ー ロ ッ パ 諸 国 や 中 国 で は, 地 域 に 企 業 を 集 積 す る こ と に よ り 地 域 を 活 性 化 す る ク ラ ス タ ー 政 策 は 有 効 で あ る こ と が 証 明 さ れ た ク ラ ス タ ー の 定 義 に 関 し て は, 色 々 な 学 者 は 様 々 な 角 度 か ら 定 義 し て い る 最 初 に 定 義 し た の は ハ ー バ ー ド 大 学 の マ イ ケ ル ポ ー タ ー で あ っ た 1998 年 マ イ ケ ル ポ ー タ ー は ク ラ ス タ ー と は あ る 特 定 の 分 野 に 属 し, 相 互 に 関 連 し た 企 業 と 機 関 か ら な る 地 理 的 に 近 接 し た 集 団 で あ る 集 団 の 結 び つ き は, 共 通 点 と 補 完 性 に あ る と 定 義 し た す な わ ち,ク ラ ス タ ー は 3 つ の 重 要 条 件 か - 2 -

ら 構 成 さ れ る 1 特 定 の 分 野 に お い て, 関 連 企 業 や 機 関 は 一 定 の 範 囲 に 集 積 す る こ と 2 関 連 企 業 間 で は イ ノ ベ ー シ ョ ン が 引 起 さ れ, シ ナ ジ ー 効 果 が 発 揮 で き る こ と 3 集 積 さ れ た 企 業 間 に お い て, 競 争 関 係 で あ り な が ら 協 力 関 連 も 存 在 し て い る こ と また,1995 年 に Doeringer Terkia は 産 業 ク ラ ス タ ー の も っ と も 重 要 な 特 徴 は, 産 業 の 地 理 的 な 集 積 を 通 じ, 競 争 優 位 を 得 る こ と で あ る と 提 示 し た ク ラ ス タ ー 戦 略 の 核 心 は 生 産 性 の 向 上 と イ ノ ベ ー シ ョ ン の 促 進 と 考 え て ら れ る ク ラ ス タ ー の 考 え 方 は こ れ ま で の 国 家 主 導 の 産 業 政 策 と 違 い, 地 域 を 中 心 と す る 経 済 政 策 で あ る マ イ ケ ル E ポ ー タ ー は ク ラ ス タ ー は, 従 来 型 の 産 業 政 策 や 伝 統 的 な 地 域 開 発 に 付 け ら れ た 新 し い 名 前 で は な い ク ラ ス タ ー と は, イ ノ ベ ー シ ョ ン, 新 し い 形 の イ ン タ ー ア ク シ ョ ン, 新 し い 型 の 機 関 や 組 織 を 基 盤 と す る, 今 ま で と は 違 う 競 争 力 に 対 す る 斬 新 な 考 え 方 な の で あ る と 位 置 付 け た ク ラ ス タ ー の 構 築 に お い て 政 府 は 各 段 階 で の 関 与 が 重 要 で あ る が 主 役 に は な っ て は 行 け な い ク ラ ス タ ー 形 成 の 主 体 は 地 域 に 集 積 す る 企 業 で あ り, 関 連 機 関 協 会 大 学 な ど で あ る ク ラ ス タ ー 形 成 の 主 要 な 目 的 は 生 産 性 の 向 上 だ け で は な く, イ ノ ベ ー シ ョ ン の 発 生 を 促 進 す る こ と で あ る そ の た め に, 伝 統 的 な 産 業 集 積 論 と 違 っ て 多 様 な 機 関 と 組 織 す な わ ち 大 学, シ ン ク タ ン ク, 職 業 訓 練 施 設 な ど が ク ラ ス タ ー の 形 成 に 参 加 す る こ と が 不 可 欠 で あ る また, 産 業 社 会 か ら 知 識 社 会 に 社 会 変 更 の 中 で, 競 争 の 源 泉 と 考 え て き た 天 然 資 源, 資 本, 土 地, 人 力 資 源 な ど の 生 産 要 素 に 知 識 が 加 え ら れ, 知 識 は 最 重 要 な 生 産 要 素 と し て 重 視 さ れ る よ う に な っ た イ ノ ベ ー シ ョ ン に 関 し て は 経 済 学 者 の J.A.シ ュ ン ペ ー タ ー に よ っ て 初 め て 定 義 さ れ ま し た シ ュ ン ペ ー タ ー に よ れ ば 市 場 の 均 衡 状 態 は 沈 滞 で あ り そ の 状 態 を シ フ ト さ せ る の が イ ノ ベ ー シ ョ ン で あ る と し て い ま す シュ ン ペ ー タ ー は イ ノ ベ ー シ ョ ン を 経 済 活 動 の 中 で 生 産 手 段 や 資 源 労 働 力 な - 3 -

ど を そ れ ま で と は 異 な る 仕 方 で 新 結 合 す る こ と と 定 義 し た そ し て イ ノ ベ ー シ ョ ン の タ イ プ と し て 5 つ の 新 結 合 が あ る と 指 摘 し た 1 新 し い 生 産 物 の 創 出 2 新 し い 生 産 方 法 の 導 入 3 新 し い 組 織 の 実 現 4 新 し い 販 売 先 の 開 拓 5 新 し い 仕 入 先 の 獲 得 なお こ れ ら イ ノ ベ ー シ ョ ン を 実 行 す る 者 を 企 業 者 ( ア ン ト レ プ レ ナ ー : entrepreneur) と 呼 び ま す また イ ノ ベ ー シ ョ ン に は 色 々 な 類 型 が 挙 げ ら れ て い ま す 例 え ば 製 品 に 関 す る 基 本 的 な 類 型 は 以 下 の 2 つ 1 プ ロ ダ ク ト イ ノ ベ ー シ ョ ン 2 プ ロ セ ス イ ノ ベ ー シ ョ ン プ ロ ダ ク ト イ ノ ベ ー シ ョ ン と は 革 新 的 な 新 製 品 を 開 発 す る と い っ た 製 品 そ の も の に 関 す る 技 術 革 新 の こ と で す プ ロ セ ス イ ノ ベ ー シ ョ ン と は 研 究 開 発 や 製 造 の 過 程 物 流 プ ロ セ ス を 革 新 す る こ と で す 更 に イ ノ ベ ー シ ョ ン の 程 度 に よ っ て は 1 イ ン ク リ メ ン タ ル イ ノ ベ ー シ ョ ン 2 ラ デ ィ カ ル イ ノ ベ ー シ ョ ン に 分 け ら れ ま す インクリメ ン タ ル イ ノ ベ ー シ ョ ン と は 既 存 製 品 の 部 分 的 な 改 良 を 積 み 重 ね る こ と で い わ ゆ る マ イ ナ ー チ ェ ン ジ っ て や つ で す イ ノ ベ ー シ ョ ン の 中 で も 程 度 の 小 さ い も の を 指 し て 言 い ま す - 4 -

ラ デ ィ カ ル イ ノ ベ ー シ ョ ン と は 従 来 と は 全 く 違 う 価 値 基 準 を も た ら す ほ ど の 革 新 の こ と で す イ ノ ベ ー シ ョ ン の 中 で は 最 も 程 度 の 大 き い も の を 指 し て 言 い ま す 他 方, 観 光 産 業 は 発 展 途 上 地 域 に と っ て 雇 用 創 出 と 貴 重 な 外 貨 を 取 得 す る 重 要 な 手 段 と し て 注 目 さ れ て い る 国 際 観 光 協 会 に 統 計 に よ る と,2005 年 で は 国 際 観 光 人 数 が 6.6 億 人 超, 観 光 収 入 が 8,800 億 ドル に 達 し, 世 界 GDP 総 額 の 10% ま で 成 長 し た 更 に, 観 光 産 業 は 世 界 総 雇 用 数 の 約 10%の 雇 用 を 創 出 していた - 5 -

1.2 研 究 背 景 と 目 的 本 論 文 の 主 要 な 目 的 は, 観 光 産 業 を 発 展 さ せ る た め に は ク ラ ス タ ー 戦 略 を 推 進 す る 方 法 を 策 定 す る た め で あ る 本 論 文 の 仮 説 は 観 光 産 業 クラスターの 構 築 には イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ ー の 整 備 規 制 緩 和 観 光 に 関 わ る 大 型 施 設 以 上 の 3 点 の 有 効 性 の 検 証 - 6 -

1.3 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー の フ ロ チ ャ ー ト 図 1.3.1 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー の フ ロ ー チ ャ ー ト ア プ ロ ー チ 出 所 : 朽 木 ( 2010) を 著 者 改 定 図 1.3.1 が 示 し て い る よ う に, 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー 構 築 に お い て は, 2 つ の 段 階 か ら 構 成 さ れ る 第 1 段 階 企 業 集 積 段 で あ り, 第 2 段 階 は イ ノ ベ ー シ ョ ン 段 階 で あ る 第 1 段 階 の 企 業 集 積 段 階 で は, 政 府 や 第 三 者 機 関 が 先 頭 に 立 つ 必 要 が あ る 政 府 は キ ャ パ シ テ ィ ビ ル デ ィ ン グ の 構 築 に は 主 導 的 に 実 行 す る 必 要 が あ る キ ャ パ シ テ ィ ビ ル デ ィ ン グ は 1 イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ ー 整 備 2 制 度 整 備 3 人 材 育 成 4 生 活 環 境 整 備 5 社 会 環 境 の 整 備 か ら 構 成 さ れ る そ し て, キ ャ パ シ テ ィ ビ ル デ ィ ン グ の 構 築 が 完 成 さ れ た 段 階 で, 総 合 リ ゾ ー ト 施 設 ( IR) の よ う な ア ン カ ー 企 業 を 誘 致 す る ア ン カ ー 企 業 が 地 域 に 進 入 す る こ と に よ っ て 関 連 企 業 が ア ン カ ー 企 業 を 中 心 に 投 資 し, 産 業 集 約 が 実 現 で き る - 7 -

第 2 段 階 の イ ノ ベ ー シ ョ ン 段 階 で は, 主 役 は 大 学 や 研 究 機 関 に 変 わ る 大 学 や 研 究 機 関 は 集 約 さ れ た 企 業 と 密 接 的 に 連 携 し, 企 業 と 共 同 に イ ノ ベ ー シ ョ ン を 引 き 起 こ す 大 学 や 研 究 機 関 は 知 識 の 集 合 体 と し て 機 能 す る 同 時 に, 政 府 は 大 学 や 研 究 機 関 や 関 連 商 会 協 会 の 要 請 を 受 け て, キ ャ パ シ テ ィ ビ ル デ ィ ン グ の 再 構 築 を す る 必 要 が あ る キ ャ パ シ テ ィ ビ ル デ ィ ン グ は 集 積 段 階 と 同 じ く, 1 イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ ー 整 備 2 制 度 整 備 3 人 材 育 成 4 生 活 環 境 整 備 5 社 会 環 境 の 整 備 か ら 構 成 さ れ る し か し, 含 む 内 容 は 大 学 や 研 究 機 関 や 関 連 商 会 協 会 の 要 請 に よ っ て 変 わ る イ ノ ベ ー シ ョ ン を 促 進 す る 環 境 が 整 備 さ れ る こ と に よ っ て, ア ン カ ー 企 業 や 関 連 企 業 が 更 に 集 積 し, 企 業 間 に お い て 競 争 し な が ら 協 力 関 係 が 築 い て く る と 考 え ら れ る - 8 -

1.4 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー 形 成 基 礎 因 子 図 1.4.1 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー 形 成 集 積 段 階 に お け る 基 礎 因 子 資 料 : 著 者 より 作 成 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー の 構 築 に お い て, 様 々 な 基 礎 因 子 が 含 ま れ て い る 図 1.4.1 が 示 し て い る よ う に, キ ャ パ シ テ ィ ビ ル デ ィ ン グ は ハ ー ド 面 の 整 備 と ソ フ ト 面 の 整 備 か ら 構 成 さ れ る ハ ー ド 面 の 整 備 は 1 交 通 イ ン フ ラ 2 高 級 ホ テ ル 3 農 食 レ ス ト ラ ン 4 交 通 手 段 5 大 型 観 光 施 設 の 整 備 な ど 5 つ の 項 目 に 分 け ら れ る 更 に, 交 通 イ ン フ ラ は 1 空 港 の 整 備 2 鉄 道 の 整 備 3 一 般 道 路 の 整 備 4 湾 岸 施 設 の 整 備 に 分 か ら れ る 最 後 に, 大 型 観 光 施 設 の 整 備 は 文 化 歴 史 施 設 の 整 備 と 自 然 風 景 施 設 の 整 備 に 分 け ら れ る - 9 -

ソ フ ト 面 の 整 備 は 1 規 制 緩 和 2 専 門 人 材 の 育 成 3 生 活 環 境 整 備 4 社 会 環 境 整 備 な ど 4 つ の 分 野 を 含 ん で い る 更 に 細 分 化 す る と, 規 制 緩 和 に は 1 入 出 国 規 制 緩 和 2 海 外 人 材 活 用 戦 略 3 海 外 投 資 税 優 遇 戦 略 が 含 ま れ て い る 専 門 人 材 育 成 に 当 た って 海 外 留 学 の 推 進 と 専 門 教 育 の 創 設 が あ る ま た, 生 活 環 境 の 整 備 は 1 外 来 人 材 の 教 育 環 境 の 整 備 2 外 来 人 材 医 療 環 境 整 備 3 外 来 人 材 住 宅 環 境 な ど が 含 ま れ る 最 後 に, 社 会 環 境 の 整 備 は 治 安 水 準 の 強 化 と 市 民 文 化 水 準 の 強 化 が 含 ま れ る 最 後 に, ア ン カ ー 企 業 の 誘 致 に 当 た って, 国 内 ア ン カ ー 企 業 の 誘 致 と 地 方 政 府 投 資 に よ る ア ン カ ー 企 業 の 創 設 が 含 ま れ る 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー 構 築 に お け る 環 境 に よ り, 観 光 資 源 構 築 型 と 既 存 資 源 利 用 型 と 2 つ に 分 類 す る こ と が 可 能 で あ る 観 光 資 源 構 築 型 新 し い 娯 楽 施 設 を 建 設 或 い は 自 然 環 境 や 文 化 施 設 風 習 を 創 造 的 に 構 築 既 存 資 源 利 用 型 既 存 す る 自 然 風 景 民 俗 風 習 文 化 施 設 歴 史 遺 跡 農 林 水 産 物 な ど を 利 用 観 光 資 源 構 築 型 は 本 論 文 の 第 2 と 第 3 章 で 論 述 す る シ ン ガ ポ ー ル と 香 港 に よ う な 自 然 観 光 資 源 或 い は 歴 史 観 光 資 源 乏 し い 知 識 で あ り 資 源 構 築 型 は 本 論 文 の 第 5 章 で 論 述 す る 中 国 浙 江 省 の よ う な 豊 富 な 自 然 資 源 を 持 つ よ う な 型 で あ る - 10 -

第 2 章 香 港 シ ン ガ ポ ー ル 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー に お け る シ ー ク エ ンス 分 析 2.1 新 香 港 国 際 空 港 チ ャ ン ギ 国 際 空 港 開 設 に よ る 観 光 産 業 発 展 2.1.1 香 港 シ ン ガ ポ ー ル の 歴 史 と 経 済 発 展 歴 史 か ら 見 る と, 香 港 と シ ン ガ ポ ー ル は イ ギ リ ス 殖 民 時 代 か ら 対 中 国 と 対 マ ラ イ ア 地 域 の 重 要 な 貿 易 港 と し て 繁 栄 を もたらし, 両 者 は そ の 周 辺 国 国 民 に と っ て 海 外 旅 行 の 最 優 先 地 域 に な っ て い る 低 関 税 と 比 較 的 に 自 由 な 入 出 国 制 度 が 古 く か ら 実 行 さ れ, 評 価 さ れ て き た 香 港 では 1980 年 代 か ら 中 国 改 革 開 放 政 策 を き っ か け に, 中 国 人 の 海 外 進 出 の 拠 点 と 海 外 中 国 投 資 の 窓 口 に な り, さ ら に 多 国 籍 企 業 の 中 国 投 資 が 火 を 付 け た そ の 中 で は 1984 年 と 1987 年 で は 年 間 約 24% の 増 加 率 を 記 録 し た こ の 高 い 成 長 は 香 港 が 中 国 に 返 還 さ れ る 1997 年 ま で 維 持 し た シ ン ガ ポ ー ル で も 同 じ 傾 向 が 見 ら れ る そ の 成 長 要 因 は 1970 年 代 か ら の 世 界 的 貿 易 自 由 化, 中 国 の 改 革 開 放 政 策 の 影 響 と マ レ ー シ ア 新 経 済 政 策 の 成 功 に よ る こ と と 考 え ら れ る 特 に 1988 年 と 1993 年 で は 17.7%と 18.3%との2 つ 成 長 の 高 波 を 作 った 1990 年 代 後 半 で は ア ジ ア 通 貨 危 機 で 両 者 同 分 野 の 成 長 率 が 止 ま っ た が, GDP に 占 め る 割 合 が 23%と 15% 前 後 に 維 持 す る こ と が で き た 両 者 が 同 分 野 では 2003 年 か ら 再 び 成 長 の 軌 道 に 乗 り, 2008 年 リーマンシ ョ ッ ク で 挫 折 し たが,2011 年 ま で 高 成 長 を 実 現 し た 背 景 に は, 香 港 で は 中 国 政 府 に よ る 中 国 国 民 の 入 出 国 法 的 規 制 緩 和 と 考 え ら れ る シ ン ガ ポ ー ル で は 1986 年 から 実 行 さ れ る サ ー ビ ス 産 業 立 国 戦 略 と 1998 年 か ら の ア ジ ア 事 業 拠 点 ク ラ ス タ ー 戦 略 が 功 を 奏 したと 考 え ら れ る そ の 結 果 で は 2011 年 の 卸 売 業 小 売 業 レ ス ト ラ ン ホ テ ル の 売 上 高 を 見 ると, シ ン ガ ポ ー ル は 482 億 ドル, 香 港 は 663 億 ド ル に 達 し て い る 歴 史 と 伝 統 か ら 両 者 は 輸 送 保 管 通 信 分 野 で は 比 較 的 に 優 位 性 を 持 っ て - 11 -

い る 香 港 で は 1980 年 か ら 中 国 改 革 開 放 政 策 で 製 造 業 が いち 早 く 中 国 進 出 し, 香 港 を 貿 易 港 と し て 利 用 し た 多 国 籍 企 業 の み な ら ず, 中 国 企 業 も 香 港 を 貿 易 拠 点 と 資 金 調 達 決 算 拠 点 と し て 利 用 し た そ こ で 1980 年 代 後 半 か ら 1997 年 ごろまで, 1989 年 の - 1.1% 成 長 を 取 り 除 い て, 1987 年 20.6%, 1988 年 16% 成 長 の よ う な 高 い 成 長 率 を 残 し た 1997 年 ア ジ ア 通 貨 危 機,2003 年 SARS, 2008 年 リ ー マ ン シ ョ ッ ク で 成 長 が 下 落 し た が 強 い 回 復 力 も 見 ら れ る シ ン ガ ポ ー ル で は 前 述 し た よ う な 原 因 で 輸 送 保 管 通 信 分 野 が 1970 年 代 から 1997 年 ま で 高 成 長 を 実 現 し た そ の 背 景 に は シ ン ガ ポ ー ル 政 府 は 建 国 後 実 行 し て い た 輸 入 代 替 工 業 化 政 策 ( 1950 年 代 ~ 1965 年 ) を 輸 出 指 向 工 業 化 ( 1966 年 ~ 1970 年 代 前 半 ) への 産 業 政 策 方 向 転 換 と, 資 本 技 術 集 約 産 業 化 ( 1970 年 代 後 半 ~1980 年 前 半 ), サ ー ビ ス 産 業 立 国 ( 1986 年 ~1997 年 ) など 相 次 い で 打 ち 出 さ れ た 産 業 構 造 調 整 政 策 が 成 功 す る こ と に よ っ て, 同 分 野 の 成 功 を 導 いた シ ン ガ ポ ー ル で は 1980 年 か ら 更 な る 高 付 加 価 値 を 追 求 し て,ハ イ グ レ ー ド 電 子 産 業 の 誘 致 や 発 展 に 力 を 入 れ て き た チ ャ ン ギ 空 港 の 開 設 と 増 設 に よ っ て 航 空 輸 送 能 力 が 向 上 し, ハ イ グ レ ー ド 電 子 産 業 の 輸 送 が 可 能 と な り, 空 港 が 産 業 の 発 展 に 貢 献 し た 両 国 は 地 域 の 金 融 市 場 と し て も 発 展 し た 交 通 網 と り わ け 航 空 手 段 が 充 実 す る こ と に よ っ て 地 域 各 国 か ら の 訪 問 が 可 能 と な り, 金 融 市 場 と し て 地 位 が 向 上 し, よ り 国 際 性 が 増 し た 両 国 の 証 券 取 引 市 場 に 上 場 す る 海 外 企 業 数 ( 2012 年 ) は シ ン ガ ポ ー ル が 88 社 と 香 港 が 304 社 と な り, ア ジ ア 地 域 で は 3 位 と1 位 に な っ て い る ア ジ ア 地 域 に お い て 両 国 は 最 も 開 放 的 な 市 場 に な り, 取 引 高 に 関 し て も 空 港 開 設 後, 規 制 緩 和 等 を 契 機 に 年 々 増 加 し て き た 2.1.2 香 港 シ ン ガ ポ ー ル 観 光 産 業 の 歴 史 と 発 展 香 港 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー の 構 築 に 関 し て は 香 港 旅 行 発 展 局 が 先 頭 に 立 っ て - 12 -

い る 香 港 旅 行 発 展 局 は す べ て 民 間 か ら 選 ば れ た 20 名 人 で 形 成 さ れ,, 香 港 政 府 の 委 任 を 得 て い る 業 界 分 野 は 輸 送 業,ホテル 経 営, 旅 行 代 理, 小 売 業, レ ス ト ラ ン な ど が 旅 行 に 関 す る さ ま ざ ま な 分 野 が 含 ま れ て い る 世 界 各 地 の 約 16 都 市 に 事 務 所 を 設 置 し, 所 在 都 市 を 中 心 に 宣 伝 活 動 を 展 開 し て い る 香 港 旅 行 発 展 局 は 世 界 の 旅 行 者 に 対 して, 香 港 旅 行 指 南, シ ョ ッ ピ ン グ 及 び レ ス ト ラ ン ガ イ ド ブ ッ ク, 香 港 ス ト ー リ な ど 資 料 を 製 作 し, 香 港 旅 行 業 界 には 香 港 旅 行 業 務 手 帳, 香 港 ガイド な ど 旅 行 サ ー ビ ス 水 準 を 向 上 さ せ る 資 料 を 製 作 し た こ れ ら の 以 外 に は, 2002 年 と 2003 年 ごろ, 香 港 旅 行 発 展 局 は 積 極 的 に 中 央 政 府 と 交 渉 し, 大 陸 部 か ら の 旅 行 者 人 数 制 限 の 廃 止, 中 国 大 陸 部 観 光 者 香 港 旅 行 に 関 す る 地 域 制 限 の 解 除 な ど 規 制 緩 和 を 行 った こ の よ う な 政 策 的 な 役 割 以 外 に は, 観 光 客 の 年 々 増 加 に よ る サ ー ビ ス 質 低 下, 小 売 業 界 の 接 客 問 題 な ど に 積 極 的 に 関 与 し, 法 制 レ ベ ル だ け で は なく, 協 会 や 組 合 な ど と 協 力 し, 改 善 し て い る ま た, ア ジ ア で 2 番 目 に な る デ ィ ズ ニ ー リ ゾ ー ト( 香 港 )の 誘 致 に も 貢 献 し た 2005 年 9 月 に 開 園 し た デ ィ ズ ニ ー リ ゾ ー ト は 香 港 デ ィ ズ ニ ー と デ ィ ズ ニ ー ホ テ ル, イ ン ス ピ レ ー シ ョンレークを 核 に 構 成 さ れ る 香 港 に デ ィ ズ ニ ー リ ゾ ー ト の よ う な ア ン カ ー 企 業 が 進 出 す る こ と により, 香 港 観 光 の 魅 力 の 増 加, ア ジ ア 地 域 観 光 客 の 増 加 に 寄 与 し て い る シ ン ン ガ ポ ー ル で は, 観 光 産 業 は 雇 用 の 創 出 や 外 貨 の 獲 得 な ど 経 済 発 展 に 有 利 な 面 を 持 つ こ と か ら 独 立 を 果 た し た 直 後 の 1964 年 ご ろ シ ン ガ ポ ー ル 観 光 促 進 局 を 設 立 し た 観 光 促 進 局 は 時 代 の 変 化 に 応 じ て 観 光 テ ー マ や 仕 事 の 重 心 を 常 に 変 化 さ せ て い る 1960 年 代 か ら 1970 年 代 に か け て イ ン ス タ ン ト ア ジ ア が テ ー マ と し て あ げ ら れ, ガ ー デ ン シ テ ィ と し て シ ン ガ ポ ー ル を 売 り 出 し た 同 時 に, 民 間 の ア イ デ ィ ア を 吸 収 し, 政 府 の 関 連 部 署 と 協 力 して,シ ン ガ ポ ー ル の 標 識 に な る マ ー ラ イ オ ン を 建 設 し た 1980 年 代 は 旅 行 者 の ニ ー ズ 変 換 に 応 じ て, 文 化 遺 産 の 保 護 に 焦 点 を あ て て, 民 俗 色 の - 13 -

濃 い 地 域 と 歴 史 的 名 所 を 世 界 の 観 光 者 に 発 信 し た そ れ に 加 え て チ ャ イ ナ タ ウン, リ ト ル イ ン デ ィ ア, カ ン プ ン グ ラ ム な ど の 再 開 発 を 政 府 関 連 部 署 に 提 案 し, 積 極 的 に 関 与 し た こ の 計 画 は 観 光 の ア ト ラ ク シ ョ ン を 作 り 出 す だ けでなく, シ ン ガ ポ ー ル 人 の 自 国 文 化 の 認 識 を 引 き 出 す こ と に も 貢 献 し た ( Brenda S.A.Yeoh など, 2001) ま た, 1996 年 に, シ ン ガ ポ ー ル を 世 界 水 準 の 観 光 目 的 地, 観 光 ビ ジ ネ ス の 中 心 地, 及 び 観 光 拠 点 へ と 変 革 さ せ る 機 関 として,シ ン ガ ポ ー ル 観 光 促 進 局 は シ ン ガ ポ ー ル 観 光 局 に 改 名 し た 同 時 に, 観 光 局 は 21 世 紀 に 直 面 す る 挑 戦 に 向 け, 新 し い マ ス タ ー プ ラ ン す な わ ち Tourism21: 観 光 都 市 の ビ ジ ョ ン を 発 表 し, 自 身 の 役 割 を 再 定 義 し た( Brenda S.A.Yeoh など,2001) シ ン ガ ポ ー ル 観 光 局 は Tourism21 計 画 を 立 ち 上 げ て から, 長 年 に 渡 っ て 多 く の プ ロ ジ ェ ク ト を 実 施 し た 例 え ば, 観 光 局 は 国 家 遺 産 管 理 局 と 協 力 し, チ ャ イ ナ タ ウ ン に お け る 事 業 者, 過 去 及 び 現 在 の 居 住 者, チ ャ イ ナ タ ウ ン 小 売 業 専 門 委 員 会 な ど と 広 範 囲 に 及 ぶ 議 論 を 展 開 し, フ ィードバック, 寄 付 募 集 な ど を 進 め た ま た,2003 年 チ ャ イ ナ タ ウ ン の 関 係 団 体 より, 提 案 が 提 出 後, シ ン ガ ポ ー ル 観 光 局 の テ ー マ 開 発 グ ル ー プ は チ ャ イ ナ タ ウ ン に あ る 3 本 の 通 り を 歩 行 者 用 に 改 修 し, 100 店 舗 以 上 が 並 ぶスト リ ー ト マ ー ケ ッ ト に 生 ま れ 変 わ る こ と を 決 定 し, 関 係 団 体 と 関 係 部 署 と 連 携 して 遂 行 する 主 導 的 な 役 割 を 果 た し て い る 更 な る イ ノ ベ ー シ ョ ン を 引 き 起 こすために, シ ン ガ ポ ー ル 観 光 局 は 国 際 連 携 を 重 視 し て き た 特 に イ ン ド ネ シ ア 諸 島 と の 共 同 事 業 開 発 は, シ ン ガ ポ ー ル と 近 隣 諸 国 が 補 完 的 な 関 係 で 多 く の チ ャ ン ス を 引 き 出 す た め に, い か に 協 力 し て 取 り 組 む の が 重 要 で あ る か を 示 す 例 で あ る ま た, 大 学 や 研 究 所 と 連 携 し, 最 新 の 情 報 や 研 究 成 果 や 情 報 通 信 技 術 な ど を 開 発 し, 観 光 客 の 誘 致 に 利 用 し て い る 例 と し て 挙 げ ら れるのは, 大 学 と 統 計 局 と 連 携 し, 観 光 業 サ テ ラ イ ト ア カ ウ ン ト を 開 発 し, 観 光 業 が 実 体 経 済 に 与 える 貢 献 度 を 評 価 し た 観 光 に 関 す る 今 後 の 戦 略 の 策 定 と 計 画 の 立 案 に は 有 意 義 に 参 考 と な る - 14 -

2.1.3 香 港 国 際 空 港 チ ャ ン ギ 国 際 空 港 開 設 及 び 経 済 貢 献 1) 香 港 国 際 空 港 の 利 用 状 況 香 港 国 際 空 港 で は, 1 経 済 の 発 展 と と も に 啓 徳 空 港 の 発 着 能 力 が 需 要 に 対 応 し き れ な い こ と, 2 空 港 周 辺 飛 行 条 件 が 著 し く 変 化 し, 安 全 運 行 に 満 足 で き な く な っ た な ど を 背 景 に, 1998 年 に 開 設 さ れ た 単 位 : 万 人 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 図 2.1.1 香 港 国 際 空 港 利 用 者 年 間 別 推 移 (1998~2012 年 ) 資 料 : 香 港 民 航 処 により 作 成 図 2.1.1 が 示 し て い る よ う に, 開 港 の 1998 年 に は 年 間 利 用 者 が 2,760 万 人 にのぼり, 2000 年 に は 3,264 万 人 に 達 し た し か し, 2001 年 で は IT バブル 崩 壊 の 影 響 を 受 け て, 空 港 利 用 者 が 3,203 万 人 に 減 少 し, 更 に 2003 年 に SARS の 影 響 を 受 け て 2,675 万 人 に 減 少 し た SARS の 影 響 が な く な っ た 2004 年 で は 35.6% 増 と い う 究 極 な 回 復 力 を 見 せ た そ の 後 の 2005~ 2007 年 では 7.0 ~ 9.7% と い う 高 い 成 長 率 を 維 持 し て き た し か し, 2008 年 リ ー マ ン シ ョ ッ クの 影 響 で 2009 年 で は - 4.5% と そ の 成 長 率 は マ イ ナ ス に 転 じ た 2010 年 に は 再 び 10.6% に 成 長 し, 2012 年 の 同 利 用 者 は 5,566 万 人 に 達 し た - 15 -

単 位 : 万 トン 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 図 2.1.2 香 港 国 際 空 港 年 間 処 理 貨 物 量 年 間 推 移 1998~2012 ( 年 ) 資 料 : 香 港 民 航 処 により 作 成 図 2.1.2 が 示 し て い る よ う に, 貨 物 輸 送 に 関 し て は 増 加 傾 向 が 見 ら れ る 1999 年 に は 貨 物 輸 送 量 が 25.3% 増 加 し, 206 万 ト ン に 達 し た 2001 年 の IT バ ブ ル 崩 壊 の 影 響 で 貨 物 輸 送 量 が 7.4% 減 の 207 万 ト ン に 減 少 し た し か し, 2002 年 では 19.5% 増 加 の 248 万 ト ン に 急 速 的 に 回 復 し た 2003 年 には SARS の 影 響 を 受 け て 空 港 利 用 者 は 急 減 し た が, 貨 物 の 輸 送 は 6.6% の 成 長 を 維 持 で き た た だ し,リ ー マ ン シ ョ ッ ク の 影 響 は 空 港 利 用 者 の 変 化 よ り 早 く,2008 年 と 2009 年 で は - 3.1%と-7.7%,さ ら に,2011 年 で は - 4.6%と 成 長 はマ イ ナ ス に 転 じ た 2010 年 には2 年 連 続 の 下 落 に よ る 反 動 で 23.3% 増 の 歴 史 的 な 記 録 を 作 っ た 2012 年 の 貨 物 輸 送 量 は 403 万 ト ン に 達 し て い る 香 港 国 際 空 港 で は,2002 年 の 週 間 定 期 便 数 が 1,795 便 に 達 成 し,その 後 緩 や か に 増 加 が 続 い て い た 2002 年 に 中 国 政 府 が 大 陸 部 中 国 人 の 香 港 ツ ア ー の 人 数 制 限 を 撤 去 し た こ と に よ り,2003 年 以 降 香 港 自 由 行 が 拡 大 す る こ の 措 置 に よ っ て 大 陸 部 観 光 者 が 急 増 し, 2004 年 と 2005 年 は 定 期 便 の 年 間 増 便 率 が 7.6%と 13.2%に 達 し, 週 間 1,982 便 と 2,245 便 に な っ た 2008 年 に は 2,421 便 に 達 し た し か し, リ ー マ ン シ ョ ッ ク の 影 響 で 航 空 各 社 が 2009-16 -

年 は 乗 客 の 減 少 と 伴 い, 2,228 便 に 減 便 し た 2010 年 に は 各 国 政 府 の 経 済 救 済 策 が 功 を 奏 し, 香 港 の 来 訪 者 数 が 回 復 し, 定 期 便 は 2,526 便 に 増 加 し た 更 に, 2011 年 で は 最 高 記 録 を 更 新 し, 2,719 便 に 達 し た 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 図 2.1.3 香 港 週 間 定 期 便 数 年 度 別 推 移 (2002~2011 年 ) 資 料 : 香 港 民 航 処 より 作 成 2) チ ャ ン ギ 国 際 空 港 の 利 用 状 況 チ ャ ン ギ 国 際 空 港 は,1970 年 代 の 急 速 的 に 増 加 す る 航 空 需 要 に 答 え る た め, 1975 年 ご ろ か ら 建 設 開 始 さ れ,1981 年 完 成 し た そ の 後, 第 2,バジェット, 第 3 タ ー ミ ナ ル が 相 次 い で 開 設 し た 空 港 利 用 者 は 第 2 タ ー ミ ナ ル 開 港 後 の 540 万 人 から, 94 年 に は 690 万 人 に ま で 急 増 し た バ ジ ェ ッ ト タ ー ミ ナ ル の 開 設 は 観 光 客 の 増 加 に 直 結 し, 8 ヶ 月 で 100 万 人 の 空 港 利 用 者 増 を も た ら し た 第 3 タ ー ミ ナ ル の 開 港 は リ ー マ ン シ ョ ッ ク の 影 響 で 観 光 客 の 増 加 に 繋 が ら な か っ た が,2009 年 か ら の 観 光 客 回 復 に は 一 役 を 買 った 同 空 港 の 年 報 に よ る と, 1981 年 の 利 用 者 は 810 万 人 に 達 した 開 港 後, 利 用 者 の 増 加 率 が 変 わ ら ず,1990 年 に 約 2 倍 弱 の 1,560 万 人,2000 年 は 開 港 当 時 4 倍 の 3,240 万 人, 更 に 2010 年 では 4,200 万 人 に 達 し た 貨 物 の 輸 送 量 で は, 1981 年 開 業 当 時 の 19.3 万 トンから, 1990 年 の 62.3-17 -

万 トンと 2000 年 の 168.2 万 ト ン に 急 増 し,2010 年 では 約 10 倍 弱 の 181.3 万 ト ン に 達 し た 就 航 国 数 は 1981 年 の 43 ヶ 国 から 2010 年 の 60 ヶ 国 に 増 加 し た 就 航 都 市 数 は 1981 年 当 時 の 67 都 市 か ら 2010 年 では 約 200 都 市 に 約 3 倍 に 路 線 が 拡 大 し て い る 航 空 会 社 で は 1980 年 の 34 社 か ら 2010 年 の 100 社 に 30 年 間 で 約 3 倍 に 増 加 し た 同 空 港 は 乗 り 継 ぎ 乗 客 を 重 視 し て き た 国 際 線 の 乗 り 継 ぎ 客 を 引 き 付 け る た め に, 免 税 シ ョ ッ プ を は じ め, 様 々 な ニ ー ズ に 対 応 で き る 飲 食 施 設 や 娯 楽 休 憩 施 設 を 設 け て い る こ れ ら の 施 設 が 運 営 さ れ る こ と に よ り,2009 年 で は 店 舗 賃 貸 や 営 業 許 可 収 入 な ど 非 航 空 関 係 収 益 が 空 港 全 体 収 益 に 占 め る 割 合 が 1981 年 の 4 割 から 5 割 に 増 大 し た 非 航 空 関 係 収 益 増 大 に よ っ て, 着 陸 料 や 駐 機 料 な ど 費 用 が 安 く 設 定 で き る よ う に な り, チ ャ ン ギ 国 際 空 港 の ハ ブ 化 に 貢 献 し た 単 位 : 便 / 週 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 図 2.1.4 シンガポール 週 間 定 期 便 数 年 度 別 推 移 (2000~2011 年 ) 資 料 : シンガポール 観 光 統 計 年 鑑 により 作 成 図 2.1.4 が 示 し て よ う に,チ ャ ン ギ 国 際 空 港 で は,2002 年 週 間 定 期 便 数 が 1,500 便 に 達 し た( シ ン ガ ポ ー ル 民 航 局 統 計 参 照 ) 2003 年 は 前 年 よ り 4.6% - 18 -

増 加 したが,SARS や シ ン ガ ポ ー ル 国 内 経 済 構 造 調 整 な ど 原 因 で 1,490 便 ( 2004 年 )に 減 少 し た が,2005 年 には 1,728 便 に 増 便 し た そ の 後,インドと 中 国 は じ め イ ン ド ネ シ ア な ど ASEAN 諸 国 の 経 済 成 長 を 機 宜 に 年 々 増 加 し 続 け て き た 2008 年 と 2009 年 で は 2.57%と 9.67% と 高 い 成 長 率 を 保 持 し,2011 年 に は 2,530 便 を 記 録 し た - 19 -

2.2 両 国 ( 地 域 ) に お け る 経 済 成 長 と 観 光 産 業 の 相 互 関 係 ( グレンジャー 因 果 性 テ ス ト に よ る ) シ ン ガ ポ ー ル 及 び 香 港 に お け る, 経 済 成 長 ( GDP 成 長 率 ) と 観 光 収 入 増 加 率 の 間 に ど の よ う な 因 果 関 係 が 存 在 し て い る の か を 統 計 的 に 検 証 す る 本 節 で は, 経 済 変 数 間 の 因 果 関 係 を 実 証 的 に 分 析 す る 際 に よ く 用 い ら れ る Granger の 因 果 性 テ ス ト と 呼 ば れ る 手 法 を 採 用 す る 分 析 に は ベ ク ト ル 自 己 回 帰 モ デ ル ( VAR モデル) を 用 い る が, 時 系 列 デ ー タ を 扱 う た め, 推 定 を 行 う 前 に 分 析 対 象 の デ ー タ の 定 常 性 を 確 か め る 必 要 が あ る そ の 結 果 に 基 づ い て 適 切 な モ デ ル を 推 定 し, 因 果 性 の 検 定 を 行 う 本 節 では,1986 年 か ら 2011 年 ま で の 年 度 デ ー タ を 使 用 す る GDP データに ついては, ア ジ ア 開 発 銀 行 統 計 年 鑑 か ら, 観 光 収 入 デ ー タ は 香 港 旅 行 業 統 計 年 鑑, シ ン ガ ポ ー ル 観 光 統 計 年 鑑 か ら 得 ら れ た なお, 実 証 分 析 に は 統 計 ソ フ ト R を 用 いた 1.モ デ ル と 検 定 変 数 間 の 因 果 性 テ ス ト を 行 う た め に, 以 下 の k 次 の 2 変 量 VAR( k) モデル を 仮 定 する g t k j 1 a j g t j k j 1 b r j t j t ( 1) r t k j 1 c j g t j k j 1 d r j t j t ( 2) ここで, g t は 時 点 tに お け る 対 前 年 比 GDP 成 長 率, r t は 観 光 収 入 増 加 率 を 表 し, a j, b j, c j, d j は 推 定 す べ き パ ラ メ ー タ で あ る - 20 - と はホワイト ノイズ t t

時 系 列 で あ り, 無 相 関 で あ る す な わ ち, E[ ] 0, E[ ] 0, t s,であ り,すべての t, sに 対 し て E[ ] 0 t s もし, b 0( j 1,2,, k )な ら ば, 観 光 収 入 増 加 率 は GDP 成 長 率 の Granger j の 意 味 で の 原 因 で は な い, す な わ ち, 観 光 収 入 増 加 率 か ら GDP 成 長 率 への Granger の 因 果 性 は 存 在 し な い 同 様 に, c 0 ( j 1,2,, k ) ならば, GDP 成 長 率 か ら 観 光 収 入 増 加 率 へ の Granger の 因 果 性 は 存 在 し な い ( 1) に お け る 変 数 間 の 因 果 性 は, 帰 無 仮 説 H 0: b1 b2 bk 0 対 立 仮 説 H 1: b j 0 ( い ず れ か の j について) とする F 検 定 に よ っ て テ ス ト す る こ と が で き る F 値 が 10% の 有 意 水 準 で 有 意 で あ れ ば, 帰 無 仮 説 を 棄 却 し, 観 光 収 入 増 加 率 か ら GDP 成 長 率 へ の Granger の 因 果 性 が あ る と 判 断 す る ( 2)に つ い て も 同 様 の 方 法 で 検 定 を 行 う なお, モ デ ル の ラ グ 次 数 は 赤 池 情 報 量 規 準 ( AIC) と ベ イ ズ 情 報 量 規 準 ( BIC) を 参 考 に 決 定 す る こ の よ う に 変 数 間 の 因 果 関 係 を 分 析 す る こ と が で き る が, こ の 検 定 は 時 系 列 が 定 常 で あ る こ と が 前 提 で あ り, も し 定 常 性 が 満 た さ れ な い のであれば,F 統 計 量 は 漸 近 的 に F 分 布 に 従 わ ず, 検 定 は 有 効 で な く な っ て しまう 変 数 に 単 位 根 が あ る 場 合, 変 数 間 に 共 和 分 関 係 が な け れ ば, 第 1 階 差 変 数 を 用 い て 因 果 性 の テ ス ト に VAR モ デ ル を 用 い る こ と が で き る し か し, 変 数 が 共 和 分 関 係 に あ る 場 合, 変 数 の 階 差 を 取 っ て も VAR モ デ ル を 用 い て 因 果 性 の テ ス ト を 行 う こ と が で き な い そ の 場 合 は 変 数 に 階 差 を 取 り,VECM ( Vector Error Correction) モ デ ル を 用 い る 尚 本 節 で は, 時 系 列 デ ー タ の 定 常 性 を 確 認 す る た め に, 誤 差 項 に 系 列 相 関 が あ る 場 合 に も 有 効 で あ る Phillips-Perron の 単 位 根 検 定 ( PP 検 定 ) を 用 い る も し 系 列 が 非 定 常 で あ る 場 合 ( ど ち ら の 系 列 も I(1) の 非 定 常 仮 定 に 従 っ て い る 場 合 ) は, Phillips-Ouliaris 検 定 に よ っ て 共 和 分 関 係 の 有 無 を 検 証 す る - 21 - t s j t s

2. 分 析 結 果 シ ン ガ ポ ー ル と 香 港 の GDP 成 長 率 ( g t )と 観 光 収 入 増 加 率 ( r t ) の PP 検 定 に よ る 単 位 根 検 定 の 結 果 が 表 2.2.1 に 示 さ れ て い る シ ン ガ ポ ー ル に 関 し て は, 両 変 数 共 に 単 位 根 を 持 つ と い う 帰 無 仮 説 を 10% の 有 意 水 準 で 棄 却 で き る よ っ て, 系 列 は 定 常 で あ る と 考 え て, 通 常 の VAR モ デ ル に よ っ て 変 数 間 の 因 果 性 テスト を 行 う こ と が で き る 一 方, 香 港 に 関 し て は, 両 変 数 共 に 系 列 に 単 位 根 が 存 在 す る と い う 帰 無 仮 説 を 棄 却 で き な い し か し な が ら, 両 変 数 に ついて 1 階 の 階 差 を と り PP 検 定 を 行 う と, 1% の 有 意 水 準 で 帰 無 仮 説 を 棄 却 できるため,1 階 の 階 差 系 列 に つ い て は 定 常 で あ る と 判 断 で き る 表 2.2.1 単 位 根 検 定 の 結 果 表 1 単 位 根 検 定 の 結 果 シンガポール 香 港 水 準 水 準 1 階 の 階 差 変 数 検 定 統 計 量 p 値 検 定 統 計 量 p 値 検 定 統 計 量 p 値 g -3.316 0.089-2.277 0.467-6.577 0.01 r -4.016 0.023-2.856 0.246-7.473 0.01 上 述 の 通 り, 両 変 数 が I(1) に 従 っ て い る 場 合 は, そ れ ら の 変 数 が 共 和 分 関 係 に あ る か ど う か を 検 証 す る 必 要 が あ る よ っ て, 香 港 の GDP 成 長 率 と 観 光 収 入 増 加 率 が 共 和 分 し て い る か ど う か を Phillips-Ouliaris 検 定 に よ っ て 検 証 す る そ の 結 果, 検 定 統 計 量 が -10.219 となり,p 値 が 0.15 より 大 きいと い う 結 果 が 得 ら れ た た め, 変 数 間 に 共 和 分 関 係 が な い と い う 帰 無 仮 説 を 10% の 有 意 水 準 で 棄 却 す る こ と は で き な い よ っ て 変 数 間 に 共 和 分 関 係 は 存 在 し な い と 判 断 で き る こ の こ と か ら, 香 港 に つ い て は 変 数 の 階 差 を と っ て ( 誤 - 22 -

差 修 正 項 を 含 め な い ) VAR モ デ ル を 推 定 し, 因 果 性 の 分 析 を 行 う VAR モ デ ル に よ る Granger 因 果 性 テ ス ト を 行 っ た 結 果 は 表 2.2.2 に 示 して ある まずシンガポールについては,GDP 成 長 率 か ら 観 光 収 入 増 加 率 へ Granger 因 果 性 が な い と い う 仮 説 は 棄 却 さ れ ( 有 意 水 準 10% ), 観 光 収 入 増 加 率 から GDP 成 長 率 へ Granger 因 果 性 が な い と い う 仮 説 は 棄 却 で き な い よ っ て, GDP 成 長 率 か ら 観 光 収 入 増 加 率 へ Granger の 意 味 で の 因 果 性 が あ る と 判 断 で き る な お, シ ン ガ ポ ー ル の VAR モ デ ル の 最 適 ラ グ 次 数 は, AIC と BIC 共 に 1 が 選 択 さ れ た 次 に 香 港 に つ い て は, GDP 成 長 率 の 変 化 分 か ら 観 光 収 入 増 加 率 の 変 化 分 へ Granger 因 果 性 が な い と い う 仮 説 は 棄 却 で き ず, 逆 に 観 光 収 入 増 加 率 の 変 化 分 から GDP 成 長 率 の 変 化 分 へ Granger 因 果 性 が な い と い う 仮 説 は 有 意 水 準 5% で 棄 却 さ れ る よ っ て, 観 光 収 入 増 加 率 の 変 化 か ら GDP 成 長 率 の 変 化 へ Granger の 意 味 で の 因 果 性 が あ る と い う こ と が わ か る 香 港 の 階 差 変 数 を 用 いた VAR モ デ ル の 最 適 ラ グ 次 数 も,AIC と BIC を 参 考 に 1 を 選 択 した 表 2.2.2 グレンジ ャ ー 因 果 性 テ ス ト の 結 果 表 2 グレンジャー 因 果 性 テストの 結 果 帰 無 仮 説 F 値 p 値 g r 3.4343 0.0703 シンガポール r g 0.0352 0.8520 香 港 g r r g 1.7985 0.1868 4.3358 0.0432 注 : 帰 無 仮 説 における x y は, 変 数 x から 変 数 y への Grangerの 因 果 性 は 存 在 しない ことを 示 す.Δは1 階 の 階 差 演 算 子 である. - 23 -

以 上 の 分 析 結 果 か ら, 香 港 に お い て は, 観 光 産 業 が 経 済 発 展 に 影 響 を 与 え て き た こ と が わ か る よ っ て, 香 港 の よ う な 産 業 構 造 を 持 っ て い る 国 に お い て は, 観 光 に 対 す る 需 要 を 増 加 さ せ, 経 済 発 展 を 促 す 政 策 の 必 要 性 が 正 当 化 さ れ る 一 方, シ ン ガ ポ ー ル に お い て は, 経 済 発 展 が イ ン フ ラ や 観 光 リ ゾ ー ト の 発 展 を 通 じ て 観 光 産 業 を 牽 引 し て き た こ と が わ か る 経 済 全 体 を 繁 栄 さ せ, 観 光 客 を 惹 き つ け る こ と に よ っ て 観 光 産 業 の 更 な る 発 展 が 見 込 め る 観 光 産 業 と 経 済 成 長 の 関 係 は, そ れ ぞ れ の 国 の 産 業 構 造 に 依 存 す る と い う こ と がわかる - 24 -

2.3 両 国 ( 地 域 ) に 関 する 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー の 構 築 に お け る シークエン ス 解 析 本 章 では, 香 港 国 際 空 港 お よ び チ ャ ン ギ 国 際 空 港 の 開 設 が 両 国 の 経 済 に ど の よ う な 影 響 を 及 ぼ し た の か を 検 討 し た 結 論 は 以 下 の 通 り で あ る 両 国 において, 国 際 空 港 の 開 設 は 重 要 な 第 三 次 産 業 で あ る 観 光 産 業 の ク ラ ス タ ー 構 築 の み な ら ず 経 済 全 体 の 発 展 に 貢 献 し た 新 国 際 空 港 の 開 設 は 即 時 的 な 観 光 客 の 増 加 に 結 び つ か な か っ た が, 定 期 便 の 増 加 を も た ら し, 最 終 的 に 観 光 客 数 の 増 加 を も た ら し た 両 国 に と っ て 観 光 客 数 を 増 加 さ せ る 要 因 は 規 制 緩 和 と 新 し い 観 光 施 設 の 開 設 で あ っ た 経 済 成 長 の 重 要 な 一 環 と し て の イ ン フ ラ 整 備 と り わ け 国 際 空 港 の 開 設 は 両 国 に と っ て 欠 か せ な い 存 在 で あ る し か し な が ら, 香 港 と シ ン ガ ポ ー ル に お け る 観 光 産 業 と 経 済 成 長 の 関 係 は 多 少 異 な っ て い た Granger 因 果 性 テ ス ト の 結 果, 香 港 で は 観 光 収 入 増 加 率 の 変 分 が GDP 成 長 率 の 変 分 に 影 響 を 与 え, 逆 の 因 果 関 係 は な い こ と が わ か っ た 香 港 は 積 極 的 不 介 入 に 経 済 政 策 を 修 正 し た こ と に よ っ て, 経 済 の 自 由 化 を 果 た し た さ ら に, 中 国 の 改 革 開 放 政 策 に よ っ て 深 刻 な 影 響 を 受 け た 第 二 次 産 業 が 衰 退 し た 結 果, 金 融 産 業 は じ め 観 光 産 業 な ど が 急 速 に 発 展 し, そ れ が 経 済 成 長 に 寄 与 し て き た よ っ て, 観 光 に 対 す る 需 要 を 増 加 さ せ, 経 済 発 展 を 促 す 政 策 の 必 要 性 が 正 当 化 さ れ た 一 方, シ ン ガ ポ ー ル で は 香 港 と は 逆 に GDP 成 長 率 が 観 光 収 入 増 加 率 に 影 響 を 与 え, 逆 の 因 果 関 係 は な い こ と が わ か っ た つ ま り, 経 済 全 体 の 発 展 が イ ン フ ラ や 観 光 リ ゾ ー ト の 発 展 を 通 じ て 観 光 産 業 を 牽 引 し て き た 実 際 シ ン ガ ポ ールでは, 国 有 企 業 や 国 が 投 資 す る 企 業 の 発 展 に よ っ て, 第 二 次 産 業 の GDP に 占 め る 割 合 が 2 割 弱 を 維 持 し, 時 代 に 応 じ た 産 業 構 造 調 整 が 経 済 成 長 に 貢 献 し て き た そ し て, 経 済 が 成 長 す る と と も に 観 光 産 業 も 発 展 し て き た 経 済 全 体 を 繁 栄 さ せ る こ と に よ っ て, イ ン フ ラ や 観 光 リ ゾ ー ト が さ ら に は 充 実 し, 観 光 産 業 の さ ら な る 発 展 が 見 込 め る 観 光 産 業 と 経 済 成 長 の 関 係 は, そ - 25 -

れ ぞ れ の 国 の 産 業 構 造 に 依 存 す る こ と が わ か っ た - 26 -

補 論 香 港 の 歴 史 と 経 済 発 展 香 港 は 中 国 大 陸 の 広 東 省 に 隣 接 し, 古 く か ら 中 国 大 陸 と 世 界 と 結 ぶ 交 通 要 衝 で あ る 香 港 は 香 港 島, 九 龍, 新 界 の 3 つ の 地 域 か ら 構 成 さ れ て い る 開 港 以 来, 埋 め 立 て 工 事 が 繰 り 返 さ れ, 香 港 の 総 面 積 は 1,100 平 方 キ ロ 弱 ま で 拡 大 し た そ の 中 で は 新 界 の 面 積 が 最 も 広 く, 新 界 に 属 す る 島 な ど の 面 積 を 含 むと 約 975 平 方 キ ロ メ ー ト ル に 達 し て い る ま た, 香 港 の 総 人 口 は 近 年 緩 や か に 増 加 し て い る 図 2.1.1.1 香 港 人 口 年 度 別 推 移 が 示 し て い る よ う に, 香 港 の 総 人 口 は 511 万 人 ( 1981 年 )か ら 緩 や か に 増 加 し,567 万 人 に 達 し た そ し て, 中 国 大 陸 部 と の 経 済 交 流 が 盛 ん に な り, 中 国 大 陸 部 か ら の 移 民 が 増 加 し て き た そ の 結 果, 香 港 の 総 人 口 は 671 万 人 ( 2001 年 ) に 増 加 し た 更 に,2011 年 の 第 11 回 香 港 人 口 調 査 に よ る と, 香 港 総 人 口 は 770 万 人 に 達 し た 単 位 : 百 万 人 8.00 7.70 7.00 6.41 6.71 6.86 6.00 5.11 5.50 5.67 5.00 4.00 3.00 2.00 1.00 0.00 1981 1986 1991 1996 2001 2006 2011 図 2.1.1.1 香 港 人 口 年 度 別 推 移 (1981~2011 年 ) 資 料 : 香 港 統 計 処 により 作 成 - 27 -

他 方, 香 港 人 の 教 育 水 準 も 年 々 高 く な っ て い る 香 港 統 計 処 の 調 査 に よ る と,15 歳 以 上 香 港 人 に 占 め る 最 高 学 歴 が 小 学 及 び 以 下 の 香 港 人 の 割 合 が 29% ( 2001 年 ) から 23% ( 2011 年 ) に 減 少 し た 更 に, 最 高 学 歴 が 高 校 の 香 港 人 の 割 合 も 55% か ら 50% に 減 少 し た 一 方, 最 高 学 歴 が 大 学 の 割 合 は 16% から 27% ま で 増 加 し た 公 用 語 は 英 語 と 中 国 語 で あ る が, 市 民 生 活 の 中 で よ く 使 用 し て い る の は 広 東 語 で あ る 英 語 は 1974 年 ま で は 唯 一 の 公 用 語 で あ っ た が, 香 港 人 の 社 会 と 経 済 地 位 が 上 昇 と 共 に, 中 国 語 も 公 用 語 に な っ た し か し, 国 際 貿 易 の 中 心 で あ り, 世 界 金 融 重 要 な 拠 点 で あ る 上 に, 英 語 は 社 会 地 位 の 重 要 な 手 段 と し て 欠 か せ な い 存 在 で あ る 香 港 の 歴 史 が 秦 代 ま で 遡 る こ と が で き る 紀 元 前 214 年 に, 香 港 に 南 海 郡 番 禹 県 が 設 置 さ れ た そ の 後, 香 港 は 中 国 の 一 部 と し て 中 国 歴 史 に 残 っ て い た 更 に,19 世 紀 ご ろ, 鎖 国 政 策 を と っ て い た 中 国 と 世 界 中 に 勢 力 を 拡 大 し て い た ヨ ー ロ ッ パ 諸 国 の 接 点 と し て 世 界 史 に 登 場 し た ア ヘ ン 戦 争 が も た ら し た 結 果 と し て, 南 京 条 約 ( 1842 年 )に よ り 香 港 島 は イ ギ リ ス に 譲 渡 さ れ,イ ギ リ ス の 植 民 地 に な っ た 更 に, 北 京 条 約 ( 1860 年 ) に よ り 九 龍 半 島 の 先 端, す な わ ち 現 在 の 九 龍 地 域 が イ ギ リ ス に 譲 渡 し た 最 後 に, 新 界 租 借 条 約 で 九 龍 半 島 と 235 ヶ 島 が イ ギ リ ス に 99 年 間 租 借 す る こ と になった - 28 -

シ ン ガ ポ ー ル の 歴 史 と 経 済 発 展 ターンブル( C.M.Turnball) の 研 究 に よ れ る と, シ ン ガ ポ ー ル に 最 初 に 人 が 住 み 着 い た の は 十 四 世 紀 ご ろ だ と い う 当 時 の シ ン ガ ポ ー ル は ス リ ヴ ィ ジ ャ ヤ 帝 国 の 一 角 で あ り, 居 住 民 は ほ と ん ど 漁 民 で あ っ た 1398 年 に タ イ 人 の 攻 撃 を 受 け て ほ ぼ 全 滅 し た 十 五 世 紀 に は タ イ の 属 領 と な り, や が て マ ラ ッ カ 帝 国 に 支 配 下 に 入 っ た シ ン ガ ポ ー ル は 1819 年 イ ギ リ ス に 発 見 さ れ た そ の 背 景 に イ ギ リ ス は ヨ ー ロ ッ パ か ら イ ン ド, 中 国, 日 本 な ど ア ジ ア の 国 々 と の 貿 易 利 権 を 確 保 す る た め に, そ し て 潜 在 的 な 脅 威 に な っ て い た マ ラ ッ カ の オ ラ ン ダ 人 か ら マ ラ ッ カ, ス ン ダ 海 峡 の 航 行 安 全 を 維 持 す る た め で あ っ た と い わ れ て い る 十 八 世 紀 20 年 代 に, 東 南 ア ジ ア に お け る イ ギ リ ス の 貿 易 軍 事 の 要 求 が 高 ま っ た や が て 1824 年 に,イ ギ リ ス は シ ン ガ ポ ー ル の 占 有 を 正 式 に オ ラ ン ダ に 認 め さ せ た そ し て, シ ン ガ ポ ー ル を 自 由 貿 易 港 に 位 置 付 け た 自 由 貿 易 港 に な る 前 か ら イ ギ リ ス の 民 間 貿 易 業 者 は イ ン ド や ボ ン ベ イ か ら 運 ん で き た 製 品 を シ ン ガ ポ ー ル で 貿 易 を 行 っ て い た シ ン ガ ポ ー ル は 自 由 貿 易 港 に な る こ と に よ っ て, ヨ ー ロ ッ パ, イ ン ド, 中 国, 更 に 日 本 か ら 様 々 な 商 品 を 輸 入 し, マ レ ー 諸 島, シ ャ ム, コ ー チ シ ナ, カ ン ボ ジ ア の 製 品 や 資 源 を 交 換 し て いた - 29 -

第 3 章 香 港 人 中 国 大 陸 人 の 顧 客 属 性 分 析 3.1 香 港 に 向 か う 中 国 人 訪 問 者 顧 客 属 性 分 析 香 港 は, ア ヘ ン 戦 争 後 中 国 大 陸 に お け る イ ギ リ ス の 中 国 南 部 地 域 貿 易 の 重 要 拠 点 と し て 利 用 さ れ て き た 香 港 で は 1970 年 代 から 1990 年 代 に か け て, 第 2 次 産 業 が GDP に 占 め る 割 合 は 1970 年 の 18.9%から 1990 年 の 14.5%に 減 少 し,2011 年 に は 1.65% ま で に 急 下 落 し た そ の 一 方 で, 香 港 は, 観 光 産 業 金 融 サ ー ビ ス 産 業 貿 易 及 び 観 光 産 業 事 業 支 援 及 び 専 門 サ ー ビ ス な ど 4 つ の 分 野 の 第 3 次 産 業 が 急 速 的 に 発 展 を 果 し て き た 2011 年 で は 1 人 あ た り 名 目 GDP は 34,161 ド ル に 達 し, 先 進 国 並 み に な っ て い る 他 方, 香 港 の 観 光 産 業 は,1990 年 代 に 入 る と, 改 革 開 放 の 中 国 と 接 触 す る 事 業 拠 点 と し て 機 能 し 始 め, 中 国 観 光 の 前 進 基 地 と し て も 利 用 し 始 め た 香 港 に お い て 観 光 客 数 が 増 加 し た 背 景 に は, 中 国 大 陸 か ら の 観 光 客 の 急 増 が 影 響 し て い る 香 港 の 入 出 国 管 理 制 度 緩 和 に よ っ て, 中 国 大 陸 か ら の 香 港 観 光 客 は,2002 年 の 682.5 万 人 から 2003 年 の 846.7 万 人 へと 1.24 倍 に 急 増 し, 中 国 人 観 光 客 が 香 港 の 海 外 観 光 客 に 占 める 割 合 は,41.2% ( 2002 年 ) から 54.5%( 2003 年 )へ と 成 長 し た 2011 年 で は, 中 国 大 陸 か ら の 香 港 観 光 客 数 が 2810 万 人 に 達 し, 全 海 外 観 光 客 に 占 め る 割 合 は 67% ま で に 伸 び た 陳 等 ( 2013)は, 香 港 と シ ン ガ ポ ー ル を 事 例 と し て, 経 済 成 長 ( GDP 成 長 率 ) と 観 光 収 入 に ど の よ う な 因 果 関 係 が あ る の か を グ レ ン ジ ャ ー 因 果 性 検 定 に よ っ て 統 計 的 に 分 析 し た シ ン ガ ポ ー ル で は, GDP 成 長 率 が 観 光 収 入 に 影 響 を 与 え, 逆 の 因 果 関 係 は な か っ た つ ま り, シ ン ガ ポ ー ル の 経 済 全 体 の 発 展 が 観 光 産 業 を 牽 引 し て き た また, 香 港 で は 観 光 収 入 が GDP 成 長 率 に 影 響 を 与 え て, 逆 の 因 果 関 係 が な か っ た そ し て, 香 港 で は 観 光 産 業 に 対 す る 需 要 を 増 加 さ せ, 経 済 発 展 を 促 す 政 策 が 必 要 で あ る こ と を 明 ら か に し た し か し, 陳 等 の 研 究 は, 観 光 収 入 が 増 加 す れ ば, GDP の 成 長 に 寄 与 す る こ と を 証 明 し - 30 -

た に す ぎ な い そ の 研 究 で 課 題 と さ れ て い た の は, イ ン フ ラ の 整 備 と 観 光 産 業 ク ラ ス タ ー 構 築 の 相 互 関 係 に つ い て で あ っ た そこで 本 章 で は, 中 国 大 陸 に お い て 対 面 調 査 を 実 施 し, 香 港 に 関 す る 中 国 大 陸 部 の 市 民 意 識 を 明 ら か に す る 具 体 的 に は, ま ず, 中 国 大 陸 部 か ら 香 港 ま で の 経 路, 訪 問 目 的, 主 要 訪 問 地 を 把 握 す る 次 に, 香 港 観 光 に 対 す る 意 識 に つ い て, 中 国 大 陸 部 と 香 港 の 経 済 発 展 の 関 連 性 に 着 目 し な が ら 分 析 する 本 研 究 で 得 ら れ た 成 果 は, 香 港 の 第 3 次 産 業, と り わ け 観 光 関 連 産 業 の 発 展 促 進 に 関 す る 経 済 政 策 を 立 案 す る 際 の, ま た は, 年 々 増 加 す る 中 国 人 訪 問 者 を 誘 致 す る 際 の 基 礎 研 究 と し て の 活 用 が 期 待 で き る 3.1.1 香 港 経 済 と 観 光 産 業 の 発 展 ( 1) 香 港 の 経 済 発 展 の 概 要 ま ず, 本 節 で は 香 港 の 経 済 発 展 の 経 緯 か ら 考 察 する 香 港 は 中 華 人 民 共 和 国 建 国 以 後 の 1950 年 代 か ら レ ッ セ フ ェ ー ル( 自 由 放 任 主 義 ) 制 度 が 実 行 さ れ, 繊 維 産 業 や プ ラ ス チ ェ ッ ク 加 工 な ど 輸 出 型 産 業 が 発 展 していた 1960~ 1970 年 代 に か け て, 積 極 的 不 介 入 に 経 済 政 策 方 向 を 転 換 し, 大 規 模 市 街 地 の 再 開 発 や 住 宅 地 の 開 発 な ど が 推 進 さ れ, 交 通 網 や 空 港 な ど イ ン フ ラ の 整 備 に 力 を 入 れ た 図 3.1.1 は, 香 港 の GDP の 推 移 ( 1976~ 2001 年 ) を 示 し た も の で あ る 香 港 の GDP は 38 億 ドル( 1970 年 ) からに 約 8 倍 の 288 億 ド ル( 1980 年 )に 達 し て い る こ と が わ か る また,1979 年 か ら 改 革 開 放 政 策 が 中 国 大 陸 部 で 執 行 さ れ, 香 港 の 製 造 業 は 安 い 人 件 費 土 地 豊 富 な 労 働 力 資 源 を 求 め て 国 境 を 越 え て 中 国 大 陸 に 進 出 し て き た 特 に, 深 圳 や 東 莞 な ど 珠 江 デ ル タ に 集 中 し て い る 更 に, 香 港 は 中 国 大 陸 に と っ て 国 際 貿 易 の 行 う 上 で 欠 か せ な い 窓 口 の 役 割 を 果 た し て い る つ ま り, 香 港 は 海 外 資 本 が 中 国 投 資 を 行 う た め の 地 域 統 括 拠 点 と し て の 機 能 を 果 た し て い る その 様 々な 機 能 を 果 たしている 香 港 は 経 済 が 急 速 的 に 成 長 し, 年 間 GDP は - 31 -

単 位 : 億 ドル 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 図 3.1.1 香 港 年 間 GDP 推 移 (1970~2011 年 ) 1992 年 の 1000 億 ド ル を 突 破 し, 1992 年 の 1040 億 に 達 し た 1992 年 をピー ク に 第 二 次 産 業 の 生 産 額 が 年 々 減 少 し, GDP に 占 め る 割 合 も 減 少 し て き た 一 方, 観 光 産 業 金 融 サ ー ビ ス 産 業 貿 易 及 び 観 光 産 業 事 業 支 援 及 び 専 門 サービスの 4 つ 分 野 が 経 済 成 長 の 重 任 を 担 う こ と に な っ た 香 港 の GDP は 1997 年 の 1763 億 ド ル に 達 し た そ の 後, 1997 年 の 香 港 返 還 ア ジ ア 経 済 危 機 と IT バ ブ ル の 崩 壊 や 2003 年 のサ ー ズ の 影 響 な ど 様 々 な 危 機 を 乗 り 越 え て 2003 年 か ら 再 び 成 長 の 軌 道 に 乗 り, 国 連 統 計 部 の デ ー タ に よ る と 香 港 の GDP は 2011 年 の 2433 億 ド ル に 達 し た ( 2) 香 港 の 観 光 産 業 の 発 展 経 緯 次 に, 香 港 に お け る 観 光 産 業 の 発 展 経 緯 を 考 察 する 図 3.1.2 は 香 港 観 光 客 数 年 間 推 移 ( 1976~ 2011 年 )を 示 し て い る 香 港 の 観 光 産 業 では,1960 年 代 か ら 自 由 貿 易 港 と 米 軍 の 休 暇 地 と し て 利 用 さ れ, 訪 問 者 数 が 増 加 し て い た 1970~ 1980 年 代 で は 輸 出 型 経 済 が 発 展 し, 免 税 商 品 と 異 国 文 化 を 求 め て 海 外 訪 問 者 が 1976 年 の 160 万 人 か ら 1990 年 の 660 万 人 に 約 4 倍 強 に 増 加 し た さ ら に,1990 年 代 に 入 る と, 改 革 開 放 の 中 国 と 接 触 - 32 -

単 位 : 百 万 人 45.0 40.0 35.0 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 1976 1981 1986 1991 1996 2001 2006 2011 図 3.1.2 香 港 観 光 客 数 年 間 推 移 (1976~2011 年 ) 資 料 : 香 港 旅 行 業 統 計 年 鑑 より 作 成 す る 事 業 拠 点 と し て 機 能 し 始 め, 中 国 観 光 の 前 進 基 地 と し て も 利 用 し 始 め た 香 港 訪 問 者 は 2000 年 13.1 百 万 に 達 し,10 年 間 で 倍 増 し た 2003 年 に 中 国 大 陸 か ら の 訪 問 者 に 関 す る 法 的 規 制 が 緩 和 さ れ,2003 年 ~2008 年 の 間 に 中 国 大 陸 の 観 光 客 が 急 増 し た 2008 年 に は 中 国 大 陸 を 含 む 海 外 観 光 客 数 が 2,950 万 に 達 し た リ ー マ ン シ ョ ッ ク の 影 響 で 約 1 年 間, 観 光 客 数 と 観 光 収 入 の 成 長 が 停 滞 し た が,2011 年 に は 海 外 観 光 客 数 が 4,190 万 ま で 増 加 し た 香 港 に お い て 観 光 客 数 が 増 加 し た 背 景 に は, 中 国 大 陸 か ら の 観 光 客 の 急 増 が 影 響 し て い る 香 港 の 入 出 国 管 理 制 度 緩 和 に よ っ て, 中 国 大 陸 か ら の 香 港 観 光 客 は, 2002 年 の 682.5 万 人 か ら 2003 年 の 846.7 万 人 へと 1.24 倍 に 急 増 し, 中 国 人 観 光 客 が 香 港 の 海 外 観 光 客 に 占 め る 割 合 は, 2002 年 の 41.2% か ら 2003 年 の 54.5% へ と 成 長 し た 2011 年 で は, 中 国 大 陸 か ら の 香 港 観 光 客 数 が 2810 万 人 に 達 し, 全 海 外 観 光 客 に 占 め る 割 合 は 67% ま で に 伸 び た 3.1.2 香 港 へ 向 か う 中 国 大 陸 訪 問 者 の 消 費 意 識 ( 1) 調 査 設 計 と サ ン プ ル 属 性 前 節 で は, 香 港 が 経 済 発 展 し て い く 過 程 で, 香 港 の 観 光 産 業 も 発 展 し, 観 - 33 -

光 客 数 も 急 増 し た こ と が 明 ら か に さ れ た 香 港 の 観 光 産 業 が 発 展 し て い く 中 で, 中 国 大 陸 か ら 香 港 へ 移 動 す る 観 光 客 や ビ ジ ネ ス 客 は ど の よ う な 目 的 を 持 ち, 香 港 を 訪 問 す る の だ ろ う か 本 節 で は, 香 港 へ 移 動 す る 観 光 客 や ビ ジ ネ ス 客 の 特 性 を 考 察 する そ こ で, 中 国 大 陸 客 に 対 し て 対 面 調 査 を 実 施 す る こ とにした 調 査 は, 深 圳 ア モ イ 北 京 瀋 陽 に お い て, 現 地 調 査 員 を 雇 用 し, 対 面 形 式 で 実 施 し た 調 査 期 間 は, 7 月 21 日 ( 日 ) ~8 月 10 日 ( 土 ) であり, 有 効 回 答 数 は 220 通 を 回 収 し た 表 3.1.1 サンプル 属 性 (n=220) 個 人 属 性 度 数 割 合 個 人 属 性 度 数 割 合 中 国 220 100.0% 性 男 性 84 38.2% 華 南 103 50.5% 別 女 性 136 61.8% 華 北 26 11.8% 会 社 員 85 38.6% 地 華 中 5 2.3% 公 務 員 28 12.7% 域 華 東 9 4.1% 専 門 職 10 4.5% 西 南 2 0.9% 職 自 営 業 7 3.2% 西 北 1 0.5% 業 学 生 47 21.4% 東 北 67 30.5% 主 婦 27 12.3% 19 歳 以 下 7 3.2% 無 職 定 年 退 職 5 2.3% 20~29 歳 181 82.3% その 他 11 5.0% 30~39 歳 29 13.2% 3 万 元 以 下 38 17.3% 年 40~49 歳 2 0.9% 3 万 ~6 万 元 32 14.5% 齢 50~59 歳 0 0.0% 所 6 万 ~12 万 元 51 23.2% 60~69 歳 0 0.0% 得 12 万 ~24 万 元 7 3.2% 70 歳 以 上 0 0.0% 24 万 以 上 2 0.9% 平 均 SD 26.2 4.3 平 均 SD 74,178 60,963 出 所 :アンケートより 作 成 表 3.1.1 は, 調 査 サ ン プ ル の 基 本 属 性 を 示 し た 男 性 が 38.2%, 女 性 が や や 多 い 61.8% を 占 め て い る 年 齢 構 成 は 20~ 29 歳 82.3% の 階 層 が 多 く, 30~ 39 歳 13.2%と 19 歳 以 下 3.2% を 占 め る 居 住 地 は, 華 南 地 区 が 50.5%, 東 北 地 域 が 30.5%, 華 北 地 区 が 11.8%となっ て い る 職 業 構 成 は 会 社 員 38.6%, 学 生 21.4%, 公 務 員 12.7%, - 34 -

専 業 主 婦 12.3% と な っ て い る 1 人 当 た り 年 間 収 入 所 得 は, 6 万 ~12 万 人 民 元 23.2%, 3 万 人 民 元 以 下 17.5%, 3 万 ~6 万 人 民 元 14.5%, 12 万 ~24 万 人 民 元 3.2%, 24 万 人 民 元 以 上 0.9% の 順 と な っ た ( 2 ) 中 国 大 陸 部 に お け る 香 港 に 関 す る 市 民 意 識 1 ) 香 港 訪 問 の 頻 度 交 通 手 段 移 動 時 間 滞 在 時 間 表 3.1.2 は, 香 港 観 光 客 は 深 圳 訪 問 の 頻 度 交 通 手 段 移 動 時 間 滞 在 時 間 人 数 主 要 目 的 同 行 者 関 係 を 示 し て い る 表 3.1.2 香 港 訪 問 の 訪 問 頻 度 交 通 手 段 移 動 時 間 人 数 滞 在 時 間 同 行 関 係 (n=220) 訪 問 頻 度 人 数 滞 在 時 間 項 目 度 数 割 合 項 目 度 数 割 合 毎 日 1 0.5% 飛 行 機 138 62.7% 週 に2~3 回 1 0.5% 交 電 車 30 13.6% 週 1 回 2 0.9% 通 バス 36 16.4% 2 週 間 に1 回 4 1.8% 手 船 舶 6 2.7% 1か 月 に1 回 6 2.7% 段 自 家 用 車 6 2.7% 年 に5 回 以 上 15 6.8% その 他 10 4.5% 年 に3~4 回 程 度 14 6.4% 30 分 ~1 時 間 6 2.7% 年 に1~2 回 程 度 56 25.5% 1~2 時 間 44 20.0% 移 2 年 に1 回 程 度 34 15.5% 2~3 時 間 31 14.1% 動 3 年 に1 回 程 度 29 13.2% 時 3~4 時 間 26 11.8% 滅 多 に 来 ない/ 58 26.4% 間 4~5 時 間 29 13.2% 来 るつもりはな 1 人 12 5.5% 5 時 間 以 上 84 38.2% 2 人 61 27.7% ショッピング 94 42.7% 3 人 58 26.4% 市 内 観 光 78 35.5% 4 人 38 17.3% 主 食 事 7 3.2% 5 人 10 4.5% 要 展 示 会 の 参 加 15 6.8% 6 人 22 10.0% 目 商 談 7 3.2% 7 人 以 上 19 8.6% 的 友 人 訪 問 7 3.2% 日 帰 り 50 22.7% 香 港 国 際 空 港 の 利 用 0 0.0% 一 泊 24 10.9% その 他 12 5.5% 二 泊 38 17.3% 同 家 族 親 戚 69 31.4% 三 泊 35 15.9% 行 友 人 知 人 118 53.6% 者 四 泊 63 28.6% 関 同 僚 27 12.3% 五 泊 以 上 10 4.5% 係 団 体 旅 行 6 2.7% 出 所 :アンケートにより 作 成 - 35 -

まず, 中 国 大 陸 部 訪 問 者 が 香 港 へ 訪 問 す る 頻 度 に つ い て で あ る が, 年 に 1~2 回 程 度 ( 25.5% ), 2 年 に 1 回 程 度 ( 15.5% ), 3 年 に 1 回 程 度 ( 15.5% ) 三 者 を 合 計 す る と, 全 体 の 5 割 強 を 占 め て い る 次 に, 香 港 の 滞 在 は, 四 泊 ( 28.6% ) 者 が 最 も 多 く, 五 泊 以 上 ( 4.5%) 両 者 を 合 計 す る と 3 割 を 占 め て い る し か し, 日 帰 り ( 22.7%) も 多 い また, 中 国 大 陸 部 から 香 港 ま で の 交 通 手 段 は 最 も 多 く 利 用 さ れ て い る の は 飛 行 機 62.7% で あ っ た 深 圳 香 港 間 の 運 賃 は, 電 車 ( 片 道 20~ 40HKD) より バス( 45~ 50HKD)が 高 い た だ し, 深 圳 香 港 の バ ス 利 用 は 利 便 性 が 高 く,バ ス 16.4% を 利 用 す る 者 も 多 か っ た 次 に, 中 国 大 陸 部 の 自 宅 か ら 香 港 までの 移 動 時 間 に つ い て は, 5 時 間 以 上 38.2%, 4~ 5 時 間 13.2%を 合 計 す ると5 割 を 占 め て い た 一 方, 1~ 2 時 間 20.0% と 2~ 3 時 間 14.1% 両 者 を 合 計 す る と 3 割 に 達 し, 両 極 化 傾 向 が 見 ら れ る 香 港 訪 問 の 主 な 目 的 に つ い て は, シ ョ ッ ピ ン グ 42.7% が 最 も 多 く, 市 内 観 光 35.5% も 多 い ま た 展 示 会 の 参 加 6.8%, 商 談 3.2%のよう に, 仕 事 関 連 で 深 圳 に 来 て い る 人 も 多 か っ た 更 に, その 他 5.5% や 友 人 訪 問 3.2% な ど, 中 国 大 陸 部 と 香 港 に は 密 接 な 交 流 が あ る こ と が 分 かった 次 に, 訪 問 す る 人 数 は, 2 人 27.7%が 最 も 多 く, 3 人 26.4%, 4 人 17.3% と い う よ う に, 小 さ な 集 団 で 香 港 を 訪 問 し て い る 2 人 以 上 で 訪 問 し て い る 者 は 友 人 知 人 53.6%, 家 族 親 戚 31.4% と い た 家 族 友 人 単 位 で 訪 問 す る 者 が 多 く 見 ら れ た ( 3) 香 港 訪 問 感 想, 再 訪 問 の 可 能 性 表 3.1.3 は, 中 国 大 陸 部 訪 問 者 の 感 想, 再 訪 問 の 可 能 性 に つ い て 示 し て い る - 36 -

評 価 項 目 香 港 訪 問 の 感 想 評 価 質 問 香 港 へ 訪 問 してみて ど のような 感 想 をお 持 ち 表 3.1.3 香 港 訪 問 感 想 及 び 再 訪 問 意 識 (n=220) 訪 問 感 想 1 大 変 良 かった 2 良 かった 3どちらともい えない 4あまり 良 くな かった 5 良 くなかった 58 128 27 7 0 26.4% 58.2% 12.3% 3.2% 0.0% 評 価 項 目 香 港 再 訪 問 の 意 向 評 価 質 問 出 所 :アンケートより 作 成 再 訪 問 意 向 今 後 また 香 港 を 訪 れた いと 思 います 1 是 非 訪 れたい 2 機 会 がったら 訪 れたい どちらともいえ ない あまり 訪 れよう とは 思 わない ま ず, 香 港 へ 訪 問 し て み て, ど の よ う な 感 想 を お 持 ち かを 尋 ねた とこ ろ, 良 か っ た 58.2% 者 が 最 も 多 く, 大 変 良 か っ た 26.4) 者 も 多 か っ た 中 国 の 経 済 は, 改 革 開 放 政 策 が 実 行 さ れ て 30 年 間 で 飛 躍 的 に 発 展 し て き た 特 に, 1997 年 香 港 返 還 以 来, 経 済 面 や 文 化 面 の 融 和 が さ ら に 加 速 し て き た こ とから, 中 国 大 陸 か ら の 訪 問 者 は 香 港 に 好 意 を 持 っ て い る た め に, こ の よ う な 回 答 を 答 え た 者 が 多 か っ た も の と 推 測 さ れ る ま た, 香 港 に お い て 経 済 の 発 展 水 準 が 非 常 に 高 く, 教 育 や 文 化 水 準 も 中 国 大 陸 部 よ り 高 い 水 準 を 維 持 し て い る こ と か ら, こ の よ う な 評 価 に 繋 が っ て い る と 考 え ら れ る 訪 れるつもりは ない 57 129 27 6 1 25.9% 58.6% 12.3% 2.7% 0.5% 一 方, ど ち ら と も い え な い 12.3%, あ ま り よ く な か っ た 3.2% と 感 じ ている 者 も 少 な か ら ず い た そ の 背 景 に は 香 港 返 還 以 来, 香 港 と 中 国 大 陸 と の 交 流 が 盛 だ が, 政 治 制 度 や 教 育 水 準, 経 済 水 準 の 差 な ど マ イ ナ ス 面 が 徐 々 に 出 てきており, 交 流 に は 少 な か ら ず 影 響 し た と 考 えられる さ ら に, 年 々 急 速 的 に 拡 大 し て き た 中 国 大 陸 観 光 客 に, 香 港 社 会 に お い て 準 備 が 追 い つ か な い 疲 労 感 が 反 映 さ れ て い る また, 今 後 また, 香 港 を 訪 ね た い と 思 い ま す か に つ い て は, 機 会 があ っ た ら 訪 ね た い 58.6% 者 や 是 非 訪 ね た い 25.9% 者 が 8 割 以 上 を 占 めて いるが, ど ち ら と も い え な い 12.3%, あ ま り 訪 れ よ う と は 思 わ な い 2.7%, 訪 ね る つ も り は な い 0.5% 者 も 少 な か ら ず い た 香 港 は 改 革 開 放 政 策 が 執 - 37 -

第 2 軸 行 さ れ て 新 し く 建 設 さ れ, 活 気 が 溢 れ て い る も の の, 文 化 面 や 国 民 の 教 育 水 準 の 向 上 や モ ラ ル の 維 持 な ど 様 々 の 面 で, 香 港 の 観 光 客 が 求 め る 水 準 に 達 し て いないことも 伺 え る ( 4) 香 港 への 訪 問 に 対 す る 印 象 旅 行 決 定 要 因 購 入 商 品 と 個 人 年 収 との 関 連 性 本 節 では, 香 港 への 訪 問 に 対 す る 印 象 旅 行 決 定 要 因 購 入 商 品 と 個 人 年 収 と の 関 連 性 を 考 察 す る 図 3.1.3 は, 香 港 への 訪 問 に 対 す る 印 象 旅 行 決 定 要 因 購 入 商 品 と 個 人 年 収 と の 関 連 性 を 数 量 化 理 論 第 Ⅲ 類 分 析 で 推 計 し た 結 果 を 示 し た まず, 年 収 3 万 以 下 の 者 は, 香 港 に 対 し て サ ー ビ ス が い い という 印 象 を 持 っ て い る カ バ ン 財 布 ベ ル ト, 皮 靴 そ の 他 の 靴, 日 本 の 食 料 品 を 購 入 し て い た 3 3~6 万 2 3 万 以 下 治 安 が 良 い 街 が 綺 麗 である 記 念 品 1 サービスがいい 玩 具 ゲーム 機 ゲームソフト 旅 行 代 金 が 安 い カバン 財 布 ベルト テレビの 番 組 を 見 たから 交 通 が 便 利 新 聞 や 雑 誌 を 見 た 友 人 の 誘 いがあった 日 本 の 食 料 品 食 べ 物 が 美 味 しい 0 品 物 が 豊 富 皮 靴 その 他 の 靴 -3-2 -1 0 品 物 が 安 い 1 2 3 商 品 の 信 頼 度 が 高 い ブランド 品 の 品 揃 えが 多 い ビジネス 環 境 が 良 い 金 融 業 が 発 達 している-1 服 装 ファッション 薬 剤 漢 方 薬 電 化 製 品 個 人 年 収 旅 行 決 定 要 因 香 港 に 対 する 印 象 購 入 商 品 金 融 関 連 商 品 ( 保 険 株 ) -2 図 3.1.3 6~12 万 金 や 宝 石 -3 第 1 軸 香 港 の 訪 問 に 対 する 印 象 旅 行 決 定 要 因 購 入 商 品 と 個 人 年 収 の 関 連 性 - 数 量 化 理 論 第 Ⅲ 類 分 析 による 推 計 結 果 ー - 38 -

次 に, 年 収 3 ~ 6 万 の 者 は, 街 が 綺 麗 で あ る, 治 安 が 良 い, 交 通 が 便 利, 食 べ 物 が 美 味 し い と い う 印 象 を 持 っ て い る ま た, 香 港 訪 問 の 決 定 要 因 と し て 旅 行 代 金 が 安 い, テ レ ビ の 番 組 で 見 た か ら, 新 聞 や 雑 誌 を 見 た も 上 げ ら れ た 玩 具 ゲ ー ム 機 ゲ ー ム ソ フ ト, 記 念 品 を 購 入 し て い る そして, 年 収 6 ~ 1 2 万 の 者 は, ブ ラ ン ド 品 の 品 揃 え が 多 い, 品 物 が 豊 富, 物 価 が 安 い, 商 品 の 信 頼 度 が 高 い, ビ ジ ネ ス 環 境 が 良 い, 金 融 業 が 発 達 し て い る と い う 印 象 を 持 っ て い る こ の 階 層 の 者 は 中 国 中 で は 比 較 的 に 高 い 収 入 が 得 ら れ て い る た め, 香 港 で 金 や 宝 石 な ど 資 産 を 購 入 し て い る 以 外 に, 金 融 関 連 商 品 ( 保 険 株 ) の よ う に 資 産 投 資 も 行 っ て い る ま た, 健 康 志 向 で 中 国 に 販 売 し て い な い, 或 い は 高 価 で 販 売 し て い る 薬 剤 漢 方 薬 を 購 入 し て い る さ ら に, 世 界 の 流 行 を 追 求 す る た め に ス マ ト フ ォ ン の よ う な 電 化 製 品 と 服 装 フ ァ ッ シ ョ ン を 買 い 求 め て い る 以 上, 数 量 化 理 論 第 Ⅲ 類 分 析 を 推 計 し た 結 果, 訪 問 の 目 的 と そ の 印 象 は, 大 きく3 つ に 分 類 さ れ て い る こ と が 明 ら か に なった 3.1.3 香 港 観 光 発 展 を 巡 る 意 識 評 価 に 関 す る 要 因 分 析 ( 1) 香 港 に 対 す る 印 象 と 個 人 属 性 の 関 連 性 本 節 で は 香 港 の 都 市 印 象, 香 港 観 光 の 行 先, 旅 行 決 定 要 因, 購 入 行 動 を 規 定 要 因 に つ い て, 二 項 ロ ジ ス テ ィ ッ ク 回 帰 分 析 を 用 い て 分 析 を 行 う 目 的 変 数 は 1 品 物 が 豊 富, 2 品 物 が 安 い, 3 ブ ラ ン ド 品 の 品 揃 え が 多 い, 4 商 品 の 信 頼 度 が 高 い,5 交 通 が 便 利,6 食 べ 物 が 美 味 し い,7 ビ ジ ネ ス 環 境 が 良 い, 8 金 融 業 が 発 達 し て い る, 9 街 が 綺 麗 で あ る, 10 治 安 が 良 い, 11 サ ー ビ ス が い い で あ る 説 明 変 数 は, 交 通 手 段 ( 飛 行 機 = 1, 電 車 = 1, バ ス = 1 ), 性 別 ( 男 性 = 1 ), 職 業 ( 学 生 = 1, 主 婦 = 1 ), 居 住 地 域 ( 華 南 = 1, 華 - 39 -

北 = 1, 東 北 = 1 )の 9 つ を ダ ミ ー 変 数 と し て, 訪 問 回 数, 片 道 時 間, 年 齢, 所 得 の 4 つ の 連 続 変 数 と し て 導 入 し た 表 3.1.4.1 は, 年 収 3 万 元 以 下 の 中 国 大 陸 訪 問 者 の 二 項 ロ ジ ス テ ィ ッ ク 回 帰 分 析 の 推 計 結 果 を 示 し た 表 3.1.4.1 香 港 の 印 象 と 顧 客 属 性 の 関 連 性 ( 二 項 ロジスティック 回 帰 分 析 推 計 結 果 ) 変 数 サービスがいい 係 数 標 準 誤 差 訪 問 回 数 -0.015 0.03 飛 行 機 -0.230 0.67 電 車 -1.958 0.91 ** バス -0.806 0.71 片 道 時 間 -0.036 0.16 男 性 -0.390 0.42 年 齢 0.667 0.46 学 生 2.174 0.64 *** 主 婦 0.814 0.54 華 南 0.834 0.86 華 北 -0.451 1.10 東 北 0.945 0.95 所 得 -0.002 0.23 定 数 項 -3.147 1.67 * サンプル 数 219 尤 度 比 -123.4253 *** 注 :1)***,**,*は1%,5%,10%の 水 準 で 統 計 的 に 有 意 であることを 示 す 推 計 結 果 か ら, 年 収 3 万 元 以 下 の 中 国 大 陸 訪 問 者 は サ ー ビ ス が い い と い う 印 象 に つ い て は, 学 生 の 係 数 が 2.174 と 正 の 値 を 示 し, 学 生 が 強 く 感 じ て い る こ と が わ か っ た 電 車 の 係 数 が - 1.958 と 負 の 値 を 示 し, 電 車 利 用 者 以 外 の 者 は サ ー ビ ス が い い と 考 え て い る こ と が 分 か っ た 表 3.1.4.2 は, 年 収 3~ 6 万 元 中 国 大 陸 訪 問 者 の 二 項 ロ ジ ス テ ィ ッ ク 回 帰 分 析 の 推 計 結 果 を 示 し た - 40 -

変 数 交 通 の 便 利 さ 食 べ 物 が 美 味 しい 街 が 綺 麗 である 治 安 が 良 い 係 数 標 準 誤 差 係 数 標 準 誤 差 係 数 標 準 誤 差 係 数 標 準 誤 差 訪 問 回 数 -0.015 0.03-0.055 0.05-0.038 0.05-0.038 0.04 飛 行 機 0.337 0.69 0.742 0.66-0.725 0.79-0.580 0.63 電 車 -0.309 0.74 0.303 0.68-0.352 0.77-0.760 0.67 バス 0.592 0.69 0.520 0.69 0.565 0.73 0.081 0.61 片 道 時 間 -0.131 0.15 0.242 0.14 * 0.138 0.17 0.077 0.15 男 性 -0.757 0.40 * -0.729 0.37 * 0.259 0.40 0.107 0.36 年 齢 0.297 0.41 0.550 0.41-0.862 0.48 * -0.064 0.41 学 生 -0.951 0.65-0.548 0.58 0.337 0.68-0.073 0.57 主 婦 -0.608 0.56-0.357 0.53 0.003 0.59 0.640 0.52 華 南 -0.469 0.62 0.383 0.63 0.757 1.11 0.881 0.83 華 北 -0.698 0.73-1.911 0.86 ** 1.314 1.22 0.305 1.02 東 北 2.155 0.73 *** 0.834 0.72 3.541 1.17 *** 2.463 0.91 *** 所 得 0.060 0.19 0.113 0.19 0.064 0.23-0.340 0.20 * 定 数 項 -0.856 1.45-3.116 1.49 ** -1.184 1.79-0.842 1.49 サンプル 数 219 218 219 219 尤 度 比 -146.2708 *** -147.0348 *** -137.2240 *** -143.7527 *** 推 計 結 果 か ら, 交 通 の 便 利 さ に 関 し て は, 東 北 の 係 数 が 2.155 と 正 の 値 を 示 し, 遠 い 中 国 東 北 地 方 の 者 が 強 く 感 じ て い る こ と が 分 か っ た ま た, 男 性 の 係 数 が - 0.757 と 負 の 値 を 示 し, 女 性 が 香 港 の 交 通 の 便 利 さ を 認 識 し て い る よ う で あ る 次 に, 食 べ 物 が 美 味 し い と い う 印 象 に つ い て は, 男 性 と 華 北 の 係 数 は-0.729 と-1.911 と 負 の 値 を 示 し, 食 べ 物 の 味 付 け や 調 理 方 法 が 近 似 し て い る 華 北 以 外 の 者 が, 特 に 女 性 達 は 香 港 料 理 を 美 味 し い と 感 じ て い る ようである 表 3.1.4.2 香 港 の 印 象 と 顧 客 属 性 の 関 連 性 ( 二 項 ロジスティック 回 帰 分 析 推 計 結 果 ) 注 :1)***,**,*は1%,5%,10%の 水 準 で 統 計 的 に 有 意 であることを 示 す 更 に, 街 が 綺 麗 で あ る と い う 印 象 に つ い て は, 東 北 の 係 数 が 3.541 と 正 の 値 を 示 し, 経 済 発 展 が 中 国 の 中 で 遅 れ て い る 東 北 地 域 の 者 は 街 が 綺 麗 と 感 じ て い る よ う で あ る さ ら に, 年 齢 の 係 数 が - 0.862 と 負 の 値 を 示 し, 若 い 世 代 も 綺 麗 と 感 じ て い る こ と が 分 か っ た 最 後 に, 治 安 が 良 い と い う 印 象 を 持 つ の は, 係 数 2.4633 の 東 北 の - 41 -

者 は 強 く 感 じ て い る しかし, 所 得 の 係 数 が - 0.340 と 負 の 値 を 示 し, 所 得 水 準 が 低 い 者 は 治 安 が 良 い と 感 じ て い る こ と が 分 か っ た 表 3.1.4.3 は, 年 収 6~ 12 万 中 国 大 陸 訪 問 者 の 二 項 ロ ジ ス テ ィ ッ ク 回 帰 分 析 の 推 計 結 果 を 示 し た 推 計 結 果 か ら 以 下 の よ う に 指 摘 で き る 変 数 表 3.1.4.3 香 港 の 印 象 と 顧 客 属 性 の 関 連 性 ( 二 項 ロジスティック 回 帰 分 析 推 計 結 果 ) 品 物 が 安 い 商 品 の 信 頼 度 が 高 い 係 数 標 準 誤 差 係 数 標 準 誤 差 係 数 標 準 誤 差 係 数 訪 問 回 数 -0.015 0.03-0.016 0.01-0.016 0.02-0.004 0.01 飛 行 機 1.200 0.68 * 0.826 0.58-0.075 0.69 0.335 1.17 電 車 0.964 0.69 1.825 0.68 *** 0.311 0.69-0.215 1.28 バス 1.672 0.68 ** 1.287 0.62 ** -0.528 0.73-0.701 1.47 片 道 時 間 0.137 0.14-0.330 0.14 ** -0.193 0.17-0.220 0.26 男 性 -1.140 0.34 *** -0.536 0.38 0.826 0.36 ** 0.503 0.47 年 齢 0.046 0.37-0.245 0.43-0.045 0.41 0.056 0.46 学 生 0.845 0.54-0.554 0.58 1.857 0.69 *** 0.604 1.34 主 婦 -0.265 0.50 0.303 0.64 0.958 0.57 * -0.104 0.68 華 南 0.848 0.68-0.039 0.65 1.584 1.11-0.613 1.01 華 北 0.601 0.75-2.386 0.78 *** 1.232 1.19-0.229 1.02 東 北 1.604 0.75 ** 1.836 0.74 ** 3.918 1.20 *** 2.400 1.10 ** 所 得 0.171 0.18 0.204 0.21 0.731 0.22 *** 0.802 0.29 *** 定 数 項 -3.088 1.42 * 1.159 1.44-4.733 1.71 *** -4.241 2.05 ** サンプル 数 219 219 219 219 尤 度 比 -150.7908 *** -142.0062 *** -137.2240 *** -101.0505 *** 注 :1)***,**,*は1%,5%,10%の 水 準 で 統 計 的 に 有 意 であることを 示 す ビジネス 環 境 が 良 い 金 融 業 が 発 達 している 標 準 誤 差 推 計 結 果 から, 品 物 が 安 い と い う 印 象 に つ い て は, 東 北 1.604, 飛 行 機 1.200 と バ ス 1.672 に な っ て お り, 正 に な っ て い る た め, 中 国 大 陸 から 遠 い 東 北 部 より 飛 行 機 を 利 用 す る 者 と, 香 港 か ら 近 い バ ス を 利 用 す る 居 住 者 は 品 物 が 安 い を 感 じ, 香 港 に 買 い 物 し に 来 て い る こ と が 分 か っ た 男 性 の 係 数 が - 1.140 と 負 の 値 を 示 し, 女 性 は 品 物 が 安 い と 感 じ て い る た め, 主 に 女 性 が 香 港 に シ ョ ッ ピ ン グ を し に 来 て い る な お, 商 品 の 信 頼 度 が 高 い と い う 印 象 を 持 つ の は, 片 道 時 間 と 華 - 42 -

北 の 係 数 が - 0.330 と-2.386 と 負 の 値 に な っ て い る た め, 華 北 地 域 以 外 の 香 港 か ら 近 い 居 住 者 は 商 品 の 信 頼 度 が 高 い と 感 じ て 香 港 に 買 い 物 し に 来 て い る こ と が 分 か っ た ま た, 電 車 ( 1.825), バ ス ( 1.287) を 利 用 す る 者 も 同 じ 印 象 を 持 っ て い る 一 方, 東 北 の 係 数 が 1.836 にな っ て い る た め に, 香 港 か ら 遠 い 東 北 部 の 者 で あ っ て も, 商 品 の 信 頼 度 が 高 い と 感 じ て い る よ う で あ る また, ビ ジ ネ ス 環 境 が 良 い と い う 印 象 を 持 つ の は, 所 得 と 男 性 の 係 数 は 0.731 と 0.826 と 正 の 値 を 示 し, 所 得 高 い 男 性 は ビ ジ ネ ス の た め に 香 港 を 訪 問 し て い る こ と が 分 か っ た さ ら に, 学 生 ( 1.857) と 主 婦 ( 0.958) で あ っ て も, ビ ジ ネ ス 環 境 が 良 い と 感 じ て い る よ う で あ る 最 後 に, 金 融 業 が 発 達 し て い る と い う 印 象 を 持 つ の は, 所 得 ( 0.802) が 高 い 者 で あ り, 東 北 居 住 者 で あ る ( 2) 香 港 訪 問 行 先 と 顧 客 属 性 の 関 連 性 表 3.1.5 は, 香 港 訪 問 行 先 と 顧 客 属 性 に 関 す る 二 項 ロ ジ ス テ ィ ッ ク 回 帰 分 析 の 推 計 結 果 を 示 し て い る 推 計 結 果 か ら 以 下 の よ う に 指 摘 で き る 先 ず, 香 港 国 際 貿 易 セ ン タ ー を 訪 問 し た 者 に つ い て は, 飛 行 機 と バ ス の 係 数 が - 2.447 と-0.703, 更 に, 片 道 時 間 の 係 数 も - 0.281 と 負 の 値 を 示 し, 飛 行 機 と バ ス の 利 用 者 以 外 の 香 港 か ら 近 い 居 住 者 は 訪 問 し て い る ま た, 東 北 ( 2.151)か ら の 訪 問 者 は 来 て い る こ と,と 女 性 よ り 男 性 ( 0.707) の 方 は よ く 訪 問 し て い る こ と が 分 か っ た な お, 女 人 街 に 行 っ た の は, 訪 問 回 数 ( 0.172)が 多 い も の で あ り, 学 生 ( 1.987) や 主 婦 ( 1.401) で あ る 一 方, バ ス ( - 2.770), 男 性 ( - 0.959)の 係 数 が 負 の 値 を 示 す た め に,バ ス を 乗 る 人 以 外 の 人, 女 性 が よ く 行 く こ と が 分 か っ た 次 に, 香 港 デ ィ ス に ー ラ ン ド に 行 っ た の は, 所 得 ( 0.376)が 高 い - 43 -

表 3.1.5 香 港 訪 問 行 先 と 顧 客 属 性 の 関 連 性 ( 二 項 ロジスティック 回 帰 分 析 推 計 結 果 ) 変 数 香 港 国 際 貿 易 センター 女 人 街 香 港 ディスニーランド 星 光 大 道 海 洋 公 園 係 数 標 準 誤 差 係 数 標 準 誤 差 係 数 標 準 誤 差 係 数 標 準 誤 差 係 数 標 準 誤 差 訪 問 回 数 -0.004 0.01 0.172 0.06 *** -0.080 0.05 * -0.078 0.06-0.018 0.03 飛 行 機 -2.447 0.69 *** -1.006 0.72 0.609 0.59-1.298 0.65 ** 0.897 0.65 電 車 -0.703 0.62-0.836 0.79-0.444 0.61-0.984 0.70-0.335 0.72 バス -1.913 0.67 *** -2.770 0.85 *** 0.340 0.62-0.305 0.66 0.856 0.67 片 道 時 間 -0.281 0.17 * 0.254 0.17-0.068 0.13-0.050 0.15 0.139 0.13 男 性 0.707 0.40 * -0.959 0.45 ** -0.519 0.33-0.542 0.38-0.002 0.33 年 齢 0.336 0.41 0.250 0.50 0.204 0.37 0.071 0.43 0.196 0.38 学 生 0.236 0.66 1.987 0.68 *** 1.247 0.55 ** 1.259 0.61 ** 0.460 0.57 主 婦 -0.107 0.67 1.401 0.53 *** -0.684 0.50 0.541 0.52 0.438 0.51 華 南 0.752 0.89-0.239 0.84 0.671 0.63-0.874 0.68 0.843 0.69 華 北 1.473 1.05 0.717 0.97 0.614 0.71-1.244 0.97 0.448 0.74 東 北 2.151 1.07 ** 0.265 0.93 1.377 0.71 * 1.123 0.79 1.020 0.72 所 得 -0.094 0.21-0.369 0.24 0.376 0.18 ** -0.042 0.21 0.429 0.19 ** 定 数 項 -0.547 1.52-1.552 1.63-1.867 1.32 0.332 1.47-4.029 1.43 *** サンプル 数 219 219 219 219 218 尤 度 比 -112.570 *** -123.425 *** -150.589 *** -131.412 *** -145.778 ** 変 数 尖 砂 咀 海 浜 公 園 蘭 貴 坊 太 平 山 頂 ショッピングモール 尖 砂 咀 鐘 楼 係 数 標 準 誤 差 係 数 標 準 誤 差 係 数 標 準 誤 差 係 数 標 準 誤 差 係 数 標 準 誤 差 訪 問 回 数 -0.046 0.05-0.001 0.01-0.008 0.01-0.008 0.01-0.049 0.06 飛 行 機 -1.866 0.85 ** -0.216 0.67 1.049 0.69 1.016 0.59 * -0.432 0.78 電 車 -0.831 0.76-0.783 0.80 1.517 0.70 ** -0.325 0.61-1.119 0.98 バス -0.629 0.72-0.374 0.71 0.776 0.71 0.555 0.59-0.142 0.85 片 道 時 間 -0.294 0.22 0.151 0.16 0.221 0.14 0.020 0.13 0.472 0.18 ** 男 性 0.400 0.41-0.108 0.39-0.086 0.34-0.877 0.36 ** -0.030 0.41 年 齢 0.293 0.46-0.443 0.47-0.136 0.40-0.077 0.43 0.724 0.47 学 生 -0.190 0.78 0.056 0.64 0.883 0.57-0.330 0.56-0.520 0.73 主 婦 0.615 0.58 0.450 0.56 0.350 0.56 0.096 0.52-0.782 0.64 華 南 0.058 0.91 0.615 0.86 1.102 0.73 1.620 0.68 ** 0.177 0.83 華 北 -0.508 1.37-1.255 1.29-0.226 0.84-0.855 0.82-1.895 1.27 東 北 3.457 1.14 *** 1.929 0.90 ** 2.080 0.79 *** -0.423 0.75 0.836 0.84 所 得 -0.032 0.22-0.007 0.22 0.362 0.20 * 0.042 0.19-0.133 0.24 定 数 項 -0.826 1.69-1.262 1.62-4.133 1.51 *** -1.530 1.46-3.942 1.81 ** サンプル 数 218 217 218 218 218 尤 度 比 -117.393 *** -130.730 *** -148.444 *** -142.742 *** -120.913 *** 注 :1)***,**,*は1%,5%,10%の 水 準 で 統 計 的 に 有 意 であることを 示 す 者 であり, 訪 問 回 数 ( - 0.080) が 少 な い 者 や 学 生 ( 1.247) である ま た, 東 北 ( 1.377) か ら の 訪 問 者 が 利 用 し て い る こ と が わ か っ た 星 光 大 道 に 行 っ た の は 名 人 や 映 画 ス タ ー な ど に 興 味 を も つ 学 生 で あ り, 飛 行 機 ( - 1.298) を 利 用 し な い 者 で も あ る 海 洋 公 園 の チ ケ ッ ト 代 金 が 高 額 の た め に, 来 て い る の は ほ と ん ど 所 得 ( 0.4288) が 高 い 者 で あ る 尖 砂 咀 海 浜 公 園 は ビ ク ト リ ア 湾 に 面 し て お り, 香 港 島 の 風 景 や 夜 景 を 眺 め る 絶 好 な ポ ジ シ ョ ン で も あ る そ の た め に, 遠 い 東 北 ( 3.457)から 観 光 重 視 の 者 は 良 く 行 っ た ま た, 飛 行 機 ( - 1.866)の 係 数 が 負 の 値 を - 44 -