各 県 別 海 事 産 業 の 経 済 学 - 千 葉 県 - 掲 載 誌 掲 載 年 月 : 日 本 海 事 新 聞 1408 日 本 海 事 センター 企 画 研 究 部 企 画 課 長 鶴 田 清 千 葉 県 は もともと 安 房 国 (あわのくに) 上 総 国 (かずさのくに) 下 総 国 (しもう さのくに)の 三 国 からなっていた 古 語 拾 遺 (こごしゅうい) によると 天 富 命 (あ めのとみのみこと)は 阿 波 斎 部 (あわのいんべ)を 率 いて 東 国 に 赴 き 麻 を 栽 培 させた このとき 良 質 の 麻 が 成 長 したところを 総 (ふさ: 麻 の 古 語 )の 国 といい 阿 波 斎 部 が 住 んでいたところを 安 房 と 名 づけたといわれる 総 の 国 は 都 に 近 い 方 が 上 総 遠 い 方 が 下 総 と 呼 ばれた 安 房 の 房 と 上 総 下 総 の 総 を 組 み 合 わせ 房 総 となったと いう 東 と 南 と 西 三 方 を 海 に 囲 まれる 千 葉 県 の 東 の 海 岸 線 は 銚 子 の 犬 吠 埼 刑 部 岬 からい すみ 市 太 東 岬 にいたる 全 長 66 キロメートルの 九 十 九 里 浜 が 連 なる 南 の 房 総 の 海 岸 線 は 屈 曲 が 多 く 天 然 の 景 勝 に 富 んでおり 太 平 洋 に 面 している 沖 合 を 黒 潮 親 潮 の 寒 流 暖 流 が 交 錯 して 流 れ 良 い 漁 場 となっているため 沢 山 の 漁 港 が 連 なる 東 京 湾 に 面 する 西 の 海 岸 線 には 風 光 明 媚 な 館 山 港 と 浜 金 谷 港 があり その 北 には 木 更 津 港 千 葉 港 が 並 び 日 本 有 数 の 京 葉 工 業 地 帯 を 形 成 している ( 出 所 : 千 葉 県 ホームページ) 1
1. 県 勢 面 積 は 5,156.6 平 方 キロメートルで 全 国 28 位 海 岸 総 延 長 では 534.3 キロメートルで 東 京 大 阪 間 の 距 離 に 匹 敵 する 北 部 はおおむね 平 地 だが 西 側 一 帯 には 沼 川 が 散 在 し 北 は 利 根 川 が 茨 城 県 と 北 西 は 江 戸 川 が 東 京 都 や 埼 玉 県 との 境 界 を 形 成 する 南 部 には 丘 陵 が 連 なり 多 くの 河 川 がその 合 間 を 縫 って 流 れ 大 地 を 潤 しながら 東 京 湾 と 太 平 洋 へと 流 れ 込 む 日 本 で 唯 一 の 500 メートル 以 上 の 山 がない 県 である 人 口 は 622 万 人 で 全 国 6 位 2010 年 の 県 内 総 生 産 は 19.01 兆 円 で 同 じく 全 国 6 位 そのうち 19.5%を 不 動 産 業 (3.71 兆 円 ) 18.7%をサービス 業 (3.55 兆 円 ) 18.3%を 製 造 業 (3.48 兆 円 )が 占 める また マイワシ カタクチイワシ スズキ 類 の 生 産 量 で 全 国 一 となっている 全 国 有 数 の 水 産 県 でもある 2. 港 湾 千 葉 県 には 国 際 拠 点 港 湾 である 千 葉 港 重 要 港 湾 の 木 更 津 港 地 方 港 湾 の 上 総 湊 港 興 津 港 浜 金 谷 港 名 洗 港 及 び 館 山 港 がある その 他 に 69 の 漁 港 がある (1) 千 葉 港 - 日 本 最 大 の 巨 大 工 業 港 東 京 湾 の 湾 奥 部 に 位 置 する 千 葉 港 は 北 から 市 川 市 船 橋 市 習 志 野 市 千 葉 市 市 原 市 袖 ヶ 浦 市 の 順 に 6 市 にまたがる 海 岸 線 延 長 約 133 キロメートル 港 湾 区 域 面 積 24,800 ヘクタールにもおよぶ 日 本 一 広 い 港 である 臨 海 部 の 埋 め 立 てと 企 業 誘 致 により 発 展 してきた 港 であり 国 内 第 2 位 の 港 湾 貨 物 量 を 誇 っている 千 葉 港 の 起 源 は 鎌 倉 時 代 にさかのぼるが 江 戸 時 代 末 期 頃 から 舟 運 業 が 盛 んになり 大 消 費 地 である 江 戸 への 薪 炭 米 穀 塩 などの 生 活 物 資 を 運 ぶ 拠 点 となった 1873 年 に 千 葉 県 が 誕 生 し 舟 運 の 中 心 地 であった 千 葉 に 県 庁 がおかれ 政 治 交 通 の 要 所 とし て 栄 えた 戦 後 政 府 は 復 興 という 観 点 から 東 京 湾 岸 に 近 代 的 な 工 業 地 帯 を 造 成 する 方 針 を 打 ち 出 し 京 葉 臨 海 工 業 地 帯 の 港 湾 整 備 計 画 が 推 進 されていった 1950 年 には 今 井 町 地 先 に 川 崎 製 鉄 が 誘 致 された 53 年 に 千 葉 県 が 港 湾 管 理 者 となり 57 年 に 重 要 港 湾 に 指 定 された さらに 65 年 には 特 定 重 要 港 湾 に 指 定 され 68 年 に 地 方 港 湾 であった 船 橋 港 が 編 入 されて 6 市 の 地 先 水 面 を 港 湾 区 域 とする 大 港 湾 となった 2011 年 に 特 定 重 要 港 湾 は 国 際 拠 点 港 湾 に 改 められた 千 葉 港 は 千 葉 港 区 ( 千 葉 市 原 袖 ヶ 浦 )と 葛 南 港 区 ( 市 川 船 橋 習 志 野 )に 大 きく 2 分 され それぞれの 港 区 に 港 湾 管 理 者 の 事 務 所 があり さらに 細 かく 11 地 区 に 分 けられている 2012 年 の 入 港 船 舶 数 は 52,803 隻 ( 外 航 4,213 隻 内 航 48,590 隻 ) 1 億 3699 万 総 トン( 外 航 8770 万 総 トン 内 航 4929 万 総 トン) 外 航 船 舶 が 全 体 的 に 増 加 傾 向 にある 一 方 内 航 船 舶 は 急 激 に 減 少 している 2012 年 の 貨 物 取 扱 量 は 1 億 5204 万 トンで 前 年 比 1.4% 増 加 した 60%が 外 貿 40%が 内 貿 で 外 貿 のうち 91%を 輸 入 が 占 め 2
る 主 な 輸 入 品 は LNG( 液 化 天 然 ガス)(31%) 原 油 (29%) 石 油 製 品 (11%) 輸 出 品 は 石 油 製 品 (25%) 鋼 材 (21%) 化 学 薬 品 (17%) 内 貿 は 移 入 と 移 出 がほ ぼ 同 量 で 主 な 移 入 品 は 石 油 製 品 (25%) 鋼 材 (19%) 完 成 自 動 車 (12%) 移 出 品 は 石 油 製 品 (33%) 重 油 (23%) 化 学 薬 品 (10%)である 工 業 港 としての 発 展 の 経 緯 から 企 業 の 専 用 バースが 多 いのが 特 徴 で 専 用 バースでの 取 り 扱 いが 92%と 大 半 を 占 める 24 時 間 稼 働 し 夜 間 入 港 や 深 夜 荷 役 も 自 由 にできる のが 強 みである 85,000 総 トン 級 の 大 型 タンカー 対 応 の 大 型 危 険 物 桟 橋 などを 有 し 県 随 一 の 規 模 を 誇 るエネルギー 総 合 物 流 基 地 となっている 丸 紅 エネックスの 千 葉 ター ミナル や 食 用 油 生 産 の 工 程 で 搾 油 精 製 を 行 っている J-オイルミルズ 千 葉 工 場 の CO バース などがある このような 工 業 港 的 機 能 に 加 えて 商 業 港 的 機 能 をさらに 強 化 するため 千 葉 県 は 1994 年 に 千 葉 中 央 埠 頭 に 公 共 のコンテナターミナルを 開 設 し た バースの 長 さは 240 メートルで ガントリークレーン 2 基 が 設 置 されており 3 万 載 貨 重 量 トン 級 (1,800~2,000TEU 積 )のコンテナ 船 の 荷 役 が 可 能 である 中 央 埠 頭 には これ を 含 む 水 深 12 メートル 岸 壁 が 3 バース 水 深 10 メートル 岸 壁 5 バースが 整 備 されており コンテ ナ 貨 物 完 成 自 動 車 鋼 材 等 を 取 り 扱 っている このほかに 水 深 が 最 大 7.5 メートルの 出 洲 埠 頭 があるが 大 型 船 が 入 港 できないため 内 航 船 に 利 用 されている (2) 木 更 津 港 東 京 湾 の 東 岸 南 部 に 位 置 する 木 更 津 港 は 江 戸 時 代 の 初 めから 穀 類 や 薪 炭 などの 物 資 の 集 散 地 として 栄 えた 1614 年 に 木 更 津 船 とよばれる 五 大 力 船 (ごだいりきせん: 関 東 近 辺 の 輸 送 に 用 いられた 海 川 両 用 の 廻 船 )が 徳 川 家 康 から 大 坂 の 陣 での 木 更 津 の 水 夫 への 報 償 として 江 戸 木 更 津 間 での 渡 船 営 業 権 などの 特 権 を 与 えられたことから 江 戸 との 往 来 が 頻 繁 になり 上 総 安 房 の 海 上 輸 送 の 玄 関 口 としての 木 更 津 の 繁 栄 がは じまった 戦 前 から 港 湾 整 備 は 進 んでいたが 戦 後 1953 年 に 地 方 港 湾 に 指 定 され 千 葉 県 が 港 湾 管 理 者 となった 高 度 成 長 の 中 で 60 年 に 八 幡 製 鉄 ( 現 新 日 鉄 住 金 )が 進 出 65 年 には 東 京 湾 フェリー 日 本 カーフェリーのそれぞれ 横 浜 川 崎 と 結 ぶ 便 が 就 航 した 68 年 には 重 要 港 湾 に 指 定 された さらに 工 業 港 としての 機 能 を 高 めるため に 工 業 用 地 の 造 成 外 内 貿 埠 頭 の 整 備 が 逐 次 進 められ 85 年 には 東 京 電 力 富 津 火 力 発 電 所 が 操 業 を 開 始 し 京 葉 工 業 地 帯 の 一 翼 を 担 う 経 済 社 会 基 盤 として 重 要 な 役 割 を 果 たしてきた 現 在 では 木 更 津 南 部 地 区 君 津 地 区 には 新 日 鉄 住 金 君 津 製 鉄 所 とその 関 連 会 社 や 県 内 木 材 業 者 による 木 材 団 地 が 進 出 し 巨 大 な 工 業 地 帯 が 形 成 されており 富 津 地 区 には 東 京 電 力 富 津 火 力 発 電 所 のほか 流 通 加 工 型 工 業 が 立 地 している これらは 企 業 の 専 用 埠 頭 をもっており 運 営 管 理 は 企 業 に 任 されている 2013 年 に 君 津 製 鉄 所 は ブラジルのヴァーレ 社 が 運 航 する ばら 積 み 貨 物 船 では 世 界 最 大 の 通 称 ヴァーレマック スと 呼 ばれる 載 貨 重 量 40 万 2 千 トンの 超 大 型 鉄 鉱 石 運 搬 専 用 船 を 試 験 的 に 受 け 入 れてい る 日 本 でも 現 在 はここと 新 日 鉄 住 金 大 分 製 鉄 所 の 2 ヵ 所 しか 受 け 入 れることができ 3
ないタイプの 船 である 一 方 公 共 埠 頭 としては 木 更 津 南 部 地 区 の 木 更 津 埠 頭 が 背 後 地 区 で 産 出 される 山 砂 の 積 み 出 しに 利 用 されている また 外 貿 機 能 を 強 化 するため 2008 年 に 水 深 12 メートル 岸 壁 長 260 メートルの 2 番 目 のバースが 供 用 を 開 始 した さらに 2011 年 に 国 際 バルク 戦 略 港 湾 に 選 定 された 2012 年 の 入 港 船 舶 数 は 19,138 隻 ( 外 航 1,220 隻 内 航 17,918 隻 ) 5421 万 総 トン ( 外 航 4412 万 総 トン 内 航 1009 万 総 トン) 千 葉 港 同 様 外 航 船 舶 は 増 加 傾 向 にある 一 方 内 航 船 舶 は 減 少 し 続 けている 2012 年 の 貨 物 取 扱 量 は 6827 万 トンで 前 年 比 1.0% 減 少 した 74%が 外 貿 26%が 内 貿 で 外 貿 のうち 91%を 輸 入 が 占 める 主 な 輸 入 品 は LNG(58%) 鉄 鉱 石 (29%) 石 炭 (13%) 輸 出 品 は 鋼 材 (70%) 非 金 属 鉱 物 (13%) セメント(12%) 移 入 品 は その 他 輸 送 機 器 (29%) 石 灰 石 (27%) 砂 利 砂 (10%) 移 出 品 は 砂 利 砂 (46%) 鋼 材 (25%) 鉄 鋼 (13%)である 千 葉 港 同 様 専 用 バ ースでの 取 り 扱 いが 95%と 大 半 を 占 めているのが 特 徴 である (3) 浜 金 谷 港 浜 金 谷 港 は 房 総 半 島 の 西 岸 中 南 部 に 位 置 し 1955 年 に 港 湾 区 域 の 認 可 を 受 けた その 後 対 岸 の 神 奈 川 県 横 須 賀 市 久 里 浜 港 との 間 にカーフェリーが 就 航 するに 至 り 地 域 の 発 展 に 大 きく 寄 与 した 87 年 に 富 津 市 に 代 わって 千 葉 県 が 港 湾 管 理 者 となり 現 在 は フェリーと 砂 利 砂 積 出 港 として 利 用 されている (4) 館 山 港 館 山 港 は 東 京 湾 口 館 山 湾 の 奥 に 位 置 し 古 くより 生 鮮 魚 を 魚 河 岸 まで 運 ぶ 天 然 の 良 港 だった 1953 年 に 港 湾 区 域 の 認 可 を 受 け 千 葉 県 が 港 湾 管 理 者 となった 現 在 は 主 に 砂 利 砂 が 取 り 扱 われている 2000 年 に 特 定 地 域 振 興 重 要 港 湾 に 選 定 され 10 年 に 旅 客 船 等 が 着 岸 できる 多 目 的 観 光 桟 橋 が 供 用 を 開 始 した このほかの 地 方 港 湾 としては 小 型 船 の 船 だまりとして 利 用 されている 上 総 湊 港 興 津 港 1999 年 から 銚 子 マリーナが 供 用 され 地 域 振 興 を 図 るためのレクリエーション 拠 点 となっている 名 洗 港 がある 3. 海 運 など (1) 外 航 海 運 外 航 定 期 コンテナ 航 路 千 葉 港 からの 定 期 コンテナ 航 路 は 東 南 アジア 航 路 にオリエント オーヴァーシー ズ コンテナ ラインが 週 4 便 タイ 航 路 にワンハイラインズが 週 1 便 台 湾 南 中 国 マニラ 航 路 に 陽 明 海 運 が 週 1 便 韓 国 東 南 アジア 航 路 に 高 麗 海 運 が 週 1 便 韓 国 航 路 に 天 敬 海 運 と 太 榮 商 船 が 週 1 便 のサービスを 提 供 している 外 貿 コンテナ 貨 物 取 扱 量 ( 実 入 りと 空 の 合 計 数 )は 2001 年 には 52,412TEU であっ 4
たが 09 年 のリーマンショックで 25,022TEU まで 落 ち 込 んだあと 少 しずつ 回 復 し 12 年 は 38,409TEU となった 千 葉 県 は コンテナ 貨 物 取 扱 量 増 加 策 として コンテナ ターミナルを 利 用 して 輸 出 入 を 行 った 荷 主 を 対 象 に 千 葉 港 コンテナターミナル 利 用 助 成 制 度 を 設 けている (2) 内 航 海 運 内 航 海 運 事 業 者 は 85 社 で 運 航 船 舶 は 125 隻 33,055 総 トン 木 更 津 港 には 県 内 唯 一 の 千 葉 県 内 航 海 運 組 合 があり 三 栄 海 運 共 栄 運 輸 大 川 海 運 などの 船 社 65 社 が 加 盟 している 多 くは 500 総 トン 未 満 のガット 付 石 材 砂 砂 利 専 用 船 で 東 京 湾 内 の 輸 送 に 従 事 している 貸 し 渡 業 者 の 8 割 は 広 島 県 の 一 杯 船 主 で 木 更 津 地 区 に 運 搬 の 拠 点 を 移 したものがほ とんどである 高 度 成 長 期 からの 首 都 圏 開 発 や とくに 近 年 では 東 京 湾 横 断 道 路 や 羽 田 空 港 D 滑 走 路 工 事 などに 貢 献 したが この 50 年 間 では 会 員 数 で 約 40% 総 トン 数 で 約 25% 減 少 している (3) 旅 客 船 一 般 旅 客 航 路 事 業 者 は 2 社 で 運 航 船 舶 は 6 隻 旅 客 不 定 期 航 路 事 業 者 は 22 社 で 45 隻 主 な 事 業 者 としては 一 般 旅 客 航 路 事 業 者 では 矢 切 渡 船 一 宮 川 観 光 汽 船 組 合 旅 客 不 定 期 航 路 事 業 者 では 遊 覧 船 業 者 の 千 葉 ポートサービス 京 葉 港 サービス マリ ンサービスや 屋 形 船 業 者 の 吉 野 家 サマヨ 相 馬 屋 がある 館 山 港 では 東 海 汽 船 が 同 港 を 経 由 して 東 京 竹 芝 桟 橋 と 伊 豆 大 島 を 結 ぶ 高 速 ジェッ ト 船 を 運 航 しており 館 山 から 大 島 まで 55 分 で 行 けるので 人 気 が 高 い また 日 東 商 船 が 沖 ノ 島 の 海 中 観 光 も 含 む 海 中 観 光 船 を 運 航 しており 日 本 百 景 に 選 定 された 鏡 ヶ 浦 の 自 然 を 堪 能 できる (4) 港 湾 運 送 業 千 葉 港 の 港 湾 運 送 事 業 者 は 56 社 しかし 東 京 港 や 横 浜 港 で 既 に 活 躍 していた 大 手 企 業 が 進 出 したことにより その 支 店 出 張 所 などが 殆 どで 地 元 発 祥 の 企 業 がない 一 方 木 更 津 港 の 港 湾 運 送 事 業 者 は 16 社 内 航 海 運 業 と 密 接 に 関 連 することから 両 者 を 兼 ねる 地 元 の 企 業 もある 千 葉 港 及 び 木 更 津 港 では 各 港 湾 運 送 事 業 協 同 組 合 がそれぞれ 港 湾 管 理 者 である 千 葉 県 から 委 託 を 受 け 公 共 ターミナルの 管 理 を 行 っている 千 葉 港 港 湾 運 送 事 業 協 同 組 合 を 例 にとると 受 託 している 管 理 業 務 で 中 心 となるのは 中 央 埠 頭 の 在 来 船 ターミナルと コンテナターミナルで 在 来 船 ターミナルでは 主 に 入 出 港 する 自 動 車 船 の 荷 役 が 行 わ れ 相 模 運 輸 倉 庫 と 日 新 が 作 業 にあたっており 忙 しく 稼 働 している 一 方 のコンテナター ミナルは 山 九 日 本 通 運 ワンハイチーム( 相 模 運 輸 倉 庫 澁 澤 倉 庫 アサガミの 3 5
社 より 編 成 )の 3 社 が 実 際 の 運 営 管 理 にあたっている 4. 造 船 業 舶 用 工 業 千 葉 県 の 造 船 事 業 場 は 13 社 あり 総 トン 数 1 万 トン 以 上 の 事 業 場 は 三 井 造 船 千 葉 事 業 所 の 1 社 のみだが 千 葉 県 以 北 では 最 大 である 大 型 船 舶 の 建 造 に 対 応 するため わが 国 で 最 初 に 計 画 された 事 業 所 で 1962 年 に 操 業 を 開 始 造 船 と 化 学 プラント 機 器 の 製 作 からスタートし 橋 梁 鉄 骨 などの 鉄 鋼 構 造 物 さらには 海 底 油 田 掘 削 装 置 環 境 装 置 など 順 次 製 品 分 野 を 拡 大 した 現 在 は 造 船 工 場 と 技 術 開 発 センターを 中 心 に 事 業 所 運 営 を 行 い 地 域 の 雇 用 や 文 化 活 動 にも 貢 献 している 68 年 に 超 大 型 ドック(50 万 載 貨 重 量 トン)が 完 成 し 2007 年 に 世 界 最 大 級 の 32 万 載 貨 重 量 トン 型 鉱 石 運 搬 船 ぶらじる 丸 が 竣 工 1974 年 に 単 一 造 船 所 として 年 間 進 水 量 世 界 一 (223 万 載 貨 重 量 トン)を 記 録 しており 現 在 も 三 井 造 船 グループ 最 大 の 造 船 所 として 位 置 づけられている 舶 用 工 業 事 業 者 は 11 社 あり 久 保 田 工 業 千 葉 工 場 ( 送 風 機 ) 国 際 化 工 千 葉 工 場 ( 自 己 点 火 灯 ) 日 立 産 機 システム 習 志 野 事 業 所 ( 電 動 機 ) 日 本 ドライケミカル 千 葉 工 場 ( 圧 力 容 器 ) 日 本 船 具 君 津 工 場 ( 救 命 胴 衣 ) 東 生 産 業 館 山 ( 救 命 いかだ)や つかみ(グ ラブ) といったいわばニッチな 分 野 の 専 業 メーカーで 2010 年 に 千 葉 元 気 印 企 業 大 賞 を 受 賞 した 東 部 重 工 業 ( 荷 役 運 搬 機 械 )などがある 5. 曳 船 水 先 人 千 葉 港 の 曳 船 事 業 は ダイトーコーポレーション ウィングマリタイムサービス 東 京 汽 船 の 3 社 の 14 隻 により 行 われている また 京 葉 シーバースに 対 応 し 防 災 安 全 対 策 として 高 い 消 防 能 力 を 備 えた 曳 船 を 配 備 するため 3 社 の 共 同 出 資 による 防 災 特 殊 曳 船 が 設 立 されている 2007 年 には 東 京 東 京 湾 横 須 賀 の 3 水 先 区 が 東 京 湾 水 先 区 水 先 人 会 に 統 合 されたことを 契 機 に 水 先 人 会 が 行 っていた 曳 船 配 船 等 の 仕 組 みを 見 直 し 曳 船 の 効 率 的 斡 旋 を 目 的 として 千 葉 港 湾 タグセンター が 設 立 された 年 間 約 5,800 隻 の 入 出 港 作 業 を 取 り 扱 う 一 方 木 更 津 港 では 新 日 鉄 住 金 の 子 会 社 の 日 鉄 住 金 物 流 君 津 が 木 更 津 航 路 と 富 津 航 路 の 2 大 航 路 を 一 元 的 に 管 理 しており 水 先 人 や 曳 船 の 手 配 を 行 っている 曳 船 は 海 洋 興 業 が 所 有 する 8 隻 が 従 事 している 千 葉 港 と 木 更 津 港 を 含 む 東 京 湾 内 全 域 の 水 先 業 務 は 横 浜 にある 東 京 湾 水 先 区 水 先 人 会 本 部 が 一 元 的 に 管 理 しており 同 水 先 人 会 に 所 属 する 水 先 人 が 千 葉 事 務 所 に 4~5 名 木 更 津 出 張 所 に 2 名 それぞれ 常 時 当 直 している 13 年 の 千 葉 港 の 水 先 実 績 は 4,266 隻 だった 6. 船 員 教 育 育 成 機 関 千 葉 県 における 船 員 志 望 者 の 確 保 船 員 の 育 成 に 係 る 教 育 機 関 として 国 立 館 山 海 上 技 術 学 校 千 葉 県 立 館 山 総 合 高 等 学 校 水 産 校 舎 海 洋 科 千 葉 県 立 銚 子 商 業 高 等 学 校 海 洋 6
校 舎 海 洋 科 がある 国 立 館 山 海 上 技 術 学 校 は 1963 年 に 設 立 された 国 立 館 山 海 員 学 校 がその 前 身 で 国 土 交 通 省 下 の 独 立 行 政 法 人 海 技 教 育 機 構 が 所 管 する 学 校 2013 年 4 月 現 在 の 生 徒 数 は 乗 船 実 習 生 21 名 を 含 め 122 名 主 な 就 職 先 は 内 航 船 会 社 である 千 葉 県 立 館 山 総 合 高 等 学 校 は 2008 年 に 千 葉 県 立 館 山 高 等 学 校 と 千 葉 県 立 安 房 水 産 高 等 学 校 を 統 合 して 開 校 した 海 洋 科 は 3 級 海 技 士 ( 航 海 機 関 )の 資 格 取 得 および 船 舶 職 員 としての 人 格 育 成 を 目 標 としており 定 員 は 240 名 千 葉 県 立 銚 子 商 業 高 等 学 校 は 1909 年 に 設 立 された 千 葉 県 立 銚 子 商 業 高 等 学 校 がそ の 前 身 で 2008 年 に 千 葉 県 立 銚 子 水 産 高 等 学 校 と 統 合 して 開 校 した 海 洋 科 は 統 合 時 に 誕 生 した 新 しい 科 で 定 員 は 80 名 海 洋 系 の 大 学 専 攻 科 への 進 学 や 海 洋 系 企 業 への 就 職 を 目 指 している おわりに 現 在 国 の 国 際 コンテナ 戦 略 港 湾 政 策 により 横 浜 港 川 崎 港 東 京 港 が 京 浜 港 の 名 の 下 一 体 となって 国 際 戦 略 港 湾 として 動 き 出 しており 国 際 拠 点 港 湾 として 隣 接 し コンテナターミナルを 有 する 千 葉 港 が 今 後 どのような 動 きをしていくかが 注 目 される 千 葉 県 港 湾 課 は 今 後 も 使 い 勝 手 のよい 地 元 のコンテナターミナルとしてポートセール スを 引 き 続 き 行 っていくとのことであり 今 後 の 展 開 に 期 待 したい なお 本 稿 は 当 センター 前 次 長 の 福 山 秀 夫 氏 の 調 査 に 基 づき 作 成 した 7