平 成 23 年 度 早 稲 田 大 学 商 学 部 寄 附 講 座 ツーリズム 産 業 論 食 文 化 ツーリズム 論 京 懐 石 柿 傳 ( 社 ) 国 際 観 光 日 本 レストラン 協 会 副 会 長 / 関 東 支 部 長 安 田 眞 一 平 成 23 年 5 月 19 日 1 社 団 法 人 国 際 観 光 日 本 レストラン 協 会 とは 所 管 庁 国 土 交 通 省 正 会 員 241 賛 助 会 員 49 計 290( 平 成 22 年 12 月 31 日 現 在 ) 主 な 事 業 ビジット ジャパン キャンペーンへの 協 力 社 団 法 人 日 本 能 率 協 会 との 共 催 事 業 HOTERES JAPAN/ 国 際 ホテル レストランシヨー の 開 催 Foodex Japan/ 国 際 食 品 飲 料 展 の 開 催 親 子 体 験 食 味 学 習 会 の 開 催 34 店 開 催 583 名 参 加 調 理 師 マネージャーセミナーの 開 催 経 営 者 と 女 将 のトップセミナーの 開 催 食 味 研 修 会 情 報 交 換 会 2 1
弊 店 のこと 父 安 田 善 一 ( 平 成 14 年 8 月 8 日 88 才 逝 去 ) 川 端 康 成 との 出 会 い 軽 井 沢 藤 屋 旅 館 にて 美 の 店 のこと 昭 和 43 年 10 月 17 日 ノーベル 文 学 賞 受 賞 京 懐 石 柿 傳 ( 昭 和 44 年 6 月 27 日 開 業 ) 谷 口 吉 郎 設 計 安 与 ビル( 昭 和 43 年 10 月 13 日 竣 工 )6 階 から9 階 京 都 柿 傳 は 柿 屋 傳 右 衛 門 享 保 5 年 (1720 年 : 吉 宗 の 時 代 ) 三 井 家 出 入 りの 料 理 人 千 家 への 出 入 り4 代 目 は 与 謝 蕪 村 の 娘 と 結 婚 明 治 になって 表 千 家 と 武 者 小 路 千 家 の 専 属 となる 新 宿 柿 傳 は 京 都 柿 傳 とビルオーナー 安 田 家 とのコラボによる 店 舗 柿 傳 ギャラリー ( 平 成 20 年 4 月 リニューアルオープン) 柿 落 としは 細 川 護 煕 展 茶 の 湯 同 好 会 ( 昭 和 48 年 ~ 発 会 前 身 は 柿 傳 懐 石 の 会 3 年 間 当 時 会 長 は 細 川 護 貞 理 事 谷 川 徹 三 大 河 内 風 船 子 数 江 教 一 安 田 善 一 ) 会 長 細 川 護 煕 専 務 理 事 庭 山 慶 一 郎 理 事 西 山 松 之 助 中 村 昌 生 林 屋 晴 三 熊 倉 功 夫 竹 内 順 一 安 田 眞 一 郷 土 料 理 くらわんか ( 昭 和 51 年 10 月 18 日 開 業 ) 手 打 そば 大 庵 ( 平 成 13 年 9 月 4 日 開 業 ) 3 4 2
食 文 化 とは 食 にまつわる 文 化 を 総 称 する 概 念 であり そこには 食 材 調 理 法 といった 食 品 に 関 わるものから 食 器 マナー 外 食 産 業 それぞれの 家 庭 個 人 個 人 に 至 るまで 多 くの 物 事 のあり 方 が 含 まれ 千 差 万 別 に 存 在 現 代 社 会 は グローバリズムの 中 で それぞれの 食 文 化 は 均 一 化 の 方 向 へ 向 かっている 欧 米 企 業 を 主 体 としたファストフード 店 が 世 界 各 国 の 地 方 都 市 にまで 展 開 し インスタント 食 品 やスナック 菓 子 などが 流 通 してい る しかし 一 方 では 郷 土 料 理 の 見 直 し 地 産 地 消 スローフード 運 動 などが 起 きている 食 文 化 は 天 候 の 変 化 宗 教 生 活 環 境 の 違 い 民 俗 支 配 の 変 化 経 済 状 況 などの 要 因 により 時 代 と 共 に 変 化 していく そこで 日 本 固 有 の 茶 の 文 化 から 話 を 進 めて 参 ります 5 茶 の 湯 は 日 本 文 化 の 究 極 茶 室 や 茶 道 具 における 絵 画 や 書 などの 美 術 焼 き 物 や 漆 などの 工 芸 点 前 に 見 られる パフォーマンスアート 懐 石 や 茶 菓 子 と 日 本 料 理 花 を 生 けることをはじめとする 自 然 との 共 生 感 覚 そして 茶 道 具 や 菓 子 につけられた 銘 を 通 して 学 ぶ 日 本 の 古 典 こうした 茶 の 湯 に 接 することに よって 日 本 文 化 の 多 くの 側 面 に 触 れられる 6 3
茶 の 製 法 不 発 酵 茶 抹 茶 煎 茶 半 発 酵 茶 ウーロン 茶 発 酵 茶 紅 茶 後 発 酵 茶 プーアール 茶 茶 の 木 4 月 頃 新 芽 新 茶 7 月 頃 二 番 茶 その 後 晩 く 摘 む 晩 茶 新 芽 が 出 たときに 覆 いをして 太 陽 光 線 を 遮 る 葉 緑 素 が 増 加 やわらかい 甘 みのある 茶 葉 玉 露 抹 茶 茶 壺 に 詰 め 冷 暗 所 で 保 管 初 冬 に 口 切 の 茶 7 茶 の 湯 の 歴 史 平 安 時 代 鎌 倉 時 代 南 北 朝 時 代 室 町 時 代 桃 山 時 代 江 戸 時 代 明 治 時 代 最 澄 比 叡 山 延 暦 寺 唐 より 茶 の 伝 来 12 世 紀 臨 済 禅 を 学 んだ 栄 西 (ようさい)が 源 実 朝 に 薬 用 として 茶 を 献 上 明 恵 (みょうえ) 上 人 ( 高 山 寺 ) 喫 茶 文 化 スタート 足 利 尊 氏 闘 茶 武 士 階 級 で 流 行 足 利 義 満 外 来 の 道 具 唐 物 高 麗 物 道 具 書 院 茶 会 足 利 義 政 一 休 宗 純 村 田 珠 光 侘 び 茶 の 芽 生 え 武 野 紹 鴎 ( 堺 の 豪 商 ) 織 田 信 長 豊 臣 秀 吉 侘 び 茶 の 発 展 千 利 休 楽 茶 碗 茶 の 湯 の 大 成 千 利 休 秀 吉 の 命 により 切 腹 利 休 七 哲 古 田 織 部 小 堀 遠 州 大 名 茶 人 の 活 躍 千 宗 旦 宗 左 宗 室 宗 守 川 上 不 白 家 元 制 度 の 確 立 松 平 不 昧 出 雲 松 江 藩 主 道 具 蒐 集 の 成 果 古 今 名 物 類 聚 (るいじゅう) 井 伊 直 弼 茶 の 湯 一 会 集 益 田 純 翁 ( 三 井 物 産 創 始 者 ) 近 代 数 寄 者 の 隆 盛 跡 見 花 蹊 明 治 8 年 跡 見 学 園 開 校 学 校 教 育 へのカリキュラム 化 8 4
家 元 の 歴 史 千 利 休 少 庵 千 宗 旦 ( 三 男 ) 江 岑 宗 左 表 千 家 不 審 庵 ( 千 宗 淳 ) 現 家 元 : 而 妙 斎 宗 左 ( 四 男 ) 仙 叟 宗 室 裏 千 家 今 日 庵 現 家 元 : 千 宗 室 鵬 雲 斎 玄 室 ( 次 男 ) 一 翁 宗 守 武 者 小 路 千 家 官 休 庵 現 家 元 : 不 徹 斎 宗 守 山 上 宗 二 織 田 有 楽 古 田 織 部 小 堀 遠 州 9 わび 茶 新 古 今 集 定 家 朝 臣 の 歌 見 わたせば 花 も 紅 葉 もなかりけり 浦 のとまやの 秋 の 夕 ぐれ 村 田 珠 光 の 教 え 御 尋 の 事 茶 の 心 一 所 作 は 自 然 に すべて 目 立 たぬようにするがよい 一 花 の 事 座 敷 のよきほどに 軽 々とあれ 一 香 をたく 事 きわだった 様 子 に 焚 かぬようにせよ 一 道 具 も 年 寄 りの 人 若 き 人 それぞれにふさわしいものがよい 一 席 入 りをしてからは 亭 主 も 客 も 共 に 心 をこめてのむかい 合 いで あるべきで ゆめゆめ 他 のことに 心 をうばわれるようにことが あってはならない これこそ 茶 の 湯 で 一 ばん 大 切 な 心 得 である 10 5
利 休 と 茶 花 利 休 七 則 1. 花 は 野 にあるように 2. 炭 は 湯 の 沸 くように 3. 刻 限 は 早 めに 4. 降 らずとも 雨 具 の 用 意 を 5. 相 客 に 心 せよ 6. 茶 は 服 のよきように 7. 冬 暖 かく 夏 は 涼 しく 朝 顔 のはなし 川 端 康 成 のノーベル 賞 受 賞 記 念 講 演 のこと 雪 月 花 道 元 禅 師 春 は 花 夏 ほととぎす 秋 は 月 冬 雪 冴 えて 涼 しかりけり 11 一 輪 の 花 は 百 輪 の 花 よりも 花 やかさを 思 はせるので す 開 き 切 った 花 を 生 けてはならぬと 利 休 も 教 へて ゐますが 今 日 の 日 本 の 茶 でも 茶 室 の 床 にはただ 一 輪 の 花 しかもつぼみを 生 けることが 多 いのであります 冬 ですと 冬 の 季 節 の 花 たとへぱ 白 玉 とか 侘 助 とか 名 づけられた 椿 椿 の 種 類 のうちでも 花 の 小 さい 椿 その 白 をえらび ただ 一 つのつぼみを 生 けま す 色 のない 白 は 最 も 清 らかであるとともに 最 も 多 くの 色 を 持 つてゐます そして そのつぼみには 必 ず 露 をふくませます 幾 滴 かの 水 で 花 を 濡 らしておくの です 一 輪 の 花 は 百 輪 の 花 よりも 花 やかさを 思 はせるという こと 色 のない 白 は 最 も 清 らかであるとともに 最 も 多 くの 色 をもつということ この 言 葉 はわびの 美 の 秘 密 を 実 に 鋭 く 指 摘 しています 12 6
茶 事 のこと 季 節 に 応 じ 又 一 日 の 時 刻 に 応 じて 茶 と 懐 石 の 組 み 合 わせで 客 をもてなす 法 が 茶 事 11 月 口 切 の 茶 事 新 茶 を 使 い 始 める 初 冬 の 時 期 12 月 夜 咄 (よばなし) 1 月 初 釜 暁 の 茶 事 5 月 初 風 炉 8 月 朝 茶 10 月 名 残 の 茶 事 前 年 の 茶 の 残 りを 心 おしみつつ 晩 秋 の 時 期 正 午 の 茶 事 不 時 の 茶 事 不 意 に 来 訪 したお 客 を 茶 事 でもてなす 13 茶 事 の 当 日 寄 付 (よりつき) 客 は 衣 服 をとととのえ 亭 主 の 補 佐 役 の 半 東 (はんとう)の 運 ぶ さ 湯 を 頂 く 外 露 地 へ 亭 主 の 案 内 で 露 地 草 履 に 履 き 替 え 外 露 地 の 腰 掛 けで 円 座 を 敷 き 亭 主 の 迎 え 付 け を 待 つ 迎 え 付 け 客 は 一 同 腰 掛 けを 立 って 中 門 へ 進 み 客 と 亭 主 が,お 互 いにつくばって 黙 礼 つくばい 順 に 手 を 洗 い 口 をすすぎ 茶 席 へ 入 る 拝 見 床 の 間 の 掛 物 炉 と 釜 棚 飾 を 拝 見 し 床 の 間 を 上 座 に 正 客 より 順 次 席 につく 席 入 りの 完 了 末 客 は 少 し 音 を 立 てて 戸 口 を 閉 め 全 員 の 席 入 りが 終 わったことを 亭 主 に 知 ら せる 初 炭 席 入 りが 済 み 亭 主 が 客 と 挨 拶 を 交 わし 炭 手 前 ( 濃 茶 の 時 にちょうど 良 い 湯 相 湯 加 減 となるように) 炭 をつぎ 香 を 焚 いて 香 合 の 拝 見 をする 14 7
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21 懐 石 料 理 次 に 亭 主 は 懐 石 料 理 をもてなす もっとも 正 式 な 茶 の 料 理 が 懐 石 と 呼 ばれます 懐 石 とは 禅 僧 が 修 行 中 のひもじさを 我 慢 するために 温 めた 石 を 懐 に 抱 いたという 伝 承 にもとづき 質 素 な 料 理 を 意 味 する 言 葉 です 後 で 出 されるお 茶 を 味 わうため あくまでも 薄 味 が 基 本 です 通 常 一 汁 三 菜 ( 汁 一 種 向 付 煮 物 椀 焼 物 )を 基 本 としています 汁 一 種 には 赤 白 の 合 わせ 味 噌 の 味 噌 汁 に 野 菜 とか 麩 を 入 れ 向 付 には 白 身 の 刺 身 が 使 われますが 正 油 は 使 わず 煎 り 酢 にわ さびを 合 わせます 煮 物 椀 は 懐 石 のメインディッシュとも 言 われるもので 季 節 によ り 旬 の 野 菜 や 魚 のお 吸 い 物 になります 焼 物 も 茶 事 の 時 期 に 合 ったもっとも 味 の 良 いものが 使 われます 最 近 では 内 容 を 増 やし 野 菜 などの 炊 き 合 わせや 八 寸 ( 酒 の 肴 2 種 海 のものとして なまぐさ と 山 のもの 精 進 )が 出 されます 22 11
懐 石 料 理 の 順 番 は 折 敷 (おしき) という 低 い 膳 に 飯 と 汁 向 付 (むこうづけ) をのせて 亭 主 が 客 へ 渡 します 飯 は 炊 きたての まだ 蒸 れていないご 飯 を 一 口 盛 り(お 客 様 のお 越 しを 待 ちかねていた 心 を 表 現 する 為 ) そして 煮 物 椀 焼 物 と 続 きます 一 つの 料 理 を 食 べ 終 わると すぐに 出 来 たての 次 の 料 理 が 運 ばれるという 心 のこもった 配 膳 が 行 われ ます 強 肴 (しいざかな) 八 寸 は さらにお 酒 をすすめる 為 の 料 理 で 主 客 と 客 どうしが 打 ち 解 けて 話 がはずみます 最 後 に 湯 桶 に 湯 (おこげに 湯 を 入 れたもの)と 香 の 物 が 出 され 客 は 器 を 懐 紙 で 清 め ご 馳 走 様 の 気 持 ちで 一 斉 に 箸 を 膳 に 落 として 水 屋 にいる 亭 主 に 食 事 の 終 わったことを 知 らせます 23 24 12
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27 初 座 の 終 わり 懐 石 が 終 わると 亭 主 は 主 菓 子 を 客 にすすめ ます 茶 事 では 主 菓 子 は 縁 高 と 言 われる 重 箱 に 盛 られ 黒 文 字 の 楊 枝 が1 本 ずつ 用 意 されます 客 は 主 菓 子 を 懐 紙 にとり いただきます 中 立 ち 客 は 茶 室 を 出 て 通 常 内 露 地 の 内 腰 掛 けに 戻 り しばらく 休 息 します 亭 主 は 茶 室 の 掛 物 を 替 え 床 の 間 正 面 の 壁 に 掛 け 花 を 生 けます 炉 の 炭 の 火 の 様 子 ( 火 相 )や 釜 の 湯 のたぎることを 確 かめ 水 指 や 茶 入 を 飾 り 濃 茶 の 用 意 を 整 えます 亭 主 は 銅 鑼 (どら)や 換 鐘 (かんしょう)で 客 に 入 室 を うながします 28 14
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31 濃 茶 客 は 内 腰 掛 けから 二 度 目 の 席 入 りをします 席 入 りが 終 わると 亭 主 は 障 子 の 外 に 掛 けられていた 簾 を 取 り 外 し 茶 室 は 一 転 して 明 るくなります ここで 亭 主 によって 濃 茶 の 点 前 が 行 われます 茶 事 の 眼 目 は この 濃 茶 の 一 服 にあります 一 碗 の 濃 茶 を 客 一 同 で 飲 みまわします 正 客 は 亭 主 の 心 入 れに 礼 を 述 べます 後 炭 (ごずみ) 濃 茶 点 前 が 終 わり 茶 入 茶 杓 (ちゃしゃく) 仕 覆 (しふく/ 茶 入 れをおさめる 袋 )など 三 器 の 拝 見 を します 薄 茶 再 び 炉 の 炭 を 直 し 後 炭 (ごずみ) 薄 茶 を 点 てて 客 に 勧 め 道 具 の 箱 書 付 なども 拝 見 に 出 しつつ 茶 事 が 終 わります 32 16
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一 期 一 会 のこと 山 上 宗 二 記 特 に 改 まったというわけでもない ふつうの 茶 の 湯 であっても 露 地 に 入 るより 出 るまでの 二 刻 (4 時 間 ) を 一 期 に 一 度 の 会 のように 思 いなして 亭 主 を 敬 い 心 を 込 めてつきあわなければならない 世 間 の 雑 用 は 無 用 のこと 37 彦 根 藩 主 江 戸 幕 府 大 老 井 伊 直 弼 茶 の 湯 一 会 集 今 日 の 会 は 今 日 かぎりで 二 度 とかえらぬのである から 今 日 のこの 会 こそ わが 一 世 一 度 の 尊 い 会 だと 思 わなければならない それゆえに 主 人 は 万 事 に 心 をくばり もてなしにいさ さかの 粗 末 も 無 きよう 深 切 実 意 をつくし 客 のほうは この 会 が 終 われば もう 二 度 とこの 亭 主 には 逢 いがた きことをわきまえ 亭 主 の 趣 向 と 心 入 れに 感 じ 入 って 実 意 をもって 交 わらなければならないのだ つまり 一 期 一 会 の 覚 悟 である 必 ず 主 客 ともに いい 加 減 な 気 持 ちで 一 服 の 会 を 催 してはならぬこと すなわちこれが 一 会 集 の 極 意 であ る 38 19
亭 主 は なお 客 の 姿 が 見 えなくなるまで 見 送 るのだ 客 が 退 出 し たからといって 中 潜 り 猿 戸 その 他 の 戸 障 子 などを 早 々に 閉 め 立 てするのは まことに 不 興 千 万 のことで せっかくの 饗 応 も 無 になることであるから 客 の 姿 が 見 えなくても 決 して 取 り 片 つけを 急 いではならない そこで 亭 主 はいかにも 心 静 かに 茶 席 に 立 ちもどり このとき 躙 口 より 席 に 入 り 炉 の 前 に 独 坐 して いましばらくお 話 もあるべ きに もはやどの 辺 りまでお 帰 りになられたことか と 二 刻 を 共 にした 客 のことを 偲 び 今 日 の 一 期 一 会 がすんで もはや 永 久 にかえらぬことを 観 念 して あるいは 独 り 茶 を 点 てて 喫 むこと これぞ 一 会 極 意 の 習 いである この 時 あたりは 寂 寞 として 釜 の 湯 の 煮 える 音 がわずかに 聴 こえ るのみだ これは 教 えられればすぐできるというものではなく 自 得 しなくては 至 りがたい 境 界 である 39 お 茶 事 の 懐 石 料 理 と 数 寄 屋 橋 次 郎 の 鮨 40 20
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スローフード 運 動 1985 年 ~1986 年 ローマの 中 心 スペイン 広 場 の 階 段 のすぐそば に マクドナルドが 開 店 このことから イタリアの 食 文 化 がやられると いう 危 機 感 を 生 み スローフード 運 動 が 産 まれた 1986 年 イタリア 北 部 ピエモンテ 州 BRA(ブラ)の 町 からスローフード 運 動 は 始 まった 当 時 ゴーラ という 食 文 化 雑 誌 の 編 集 者 であったカルロ ペトリーニ さんが アルチ ゴーラ という 美 食 の 会 を 作 ったことから 始 まり スローフード 協 会 はイタリア 各 地 に2 万 人 世 界 に8 万 人 の 会 員 をもつ NPOとなった 43 イタリア トリノ ブラ アルバ パルマ スローフード 世 界 大 会 テッラ マードレ 世 界 の 食 のコミュニティー 会 議 サローネ デル グスト 世 界 中 の 食 の 見 本 市 スローフード 協 会 本 部 イタリアワイン バローロ の 里 世 界 3 大 珍 味 の 一 つ トリュフ チーズ パルミジャーノ レッジャーノ 生 ハム 44 22
食 育 基 本 法 2005 年 7 月 に 施 行 食 育 を 生 きる 上 での 基 本 であって 知 育 徳 育 及 び 体 育 の 基 礎 となるべきものと 位 置 づけると 共 に 様 々な 経 験 を 通 じて 食 に 関 する 知 識 と 食 を 選 択 する 力 を 習 得 し 健 全 な 食 生 活 を 実 践 することができる 人 間 を 育 てる 食 育 を 推 進 することが 求 められている 45 家 庭 における 食 育 の 推 進 学 校 保 育 所 における 食 育 の 推 進 地 域 における 食 生 活 改 善 のための 取 組 の 推 進 食 育 推 進 運 動 の 展 開 生 産 者 と 消 費 者 との 交 流 の 促 進 環 境 と 調 和 のとれた 農 林 漁 業 の 活 性 化 等 食 文 化 の 継 承 のための 活 動 への 支 援 等 46 23
食 文 化 は 魅 力 ある 人 が 育 てる 日 本 の 食 文 化 の 例 その1 山 形 県 庄 内 地 方 料 理 人 奥 田 政 行 氏 アルケッチァーノ 1994 年 11 月 末 山 形 へ 帰 郷 当 時 24 才 7 年 間 の 東 京 での 修 行 を 終 了 山 形 大 学 農 学 部 江 頭 宏 昌 氏 との 出 合 い 在 来 作 物 の 研 究 種 を 採 る 文 化 庄 内 特 有 の 文 化 サカタの 種 やタキイ 種 苗 ( 長 岡 交 配 耐 病 総 太 り 大 根 = 青 首 大 根 タキイ 交 配 桃 太 郎 トマト を 発 売 ) F1( 一 代 交 配 種 ) 種 苗 メーカーの 生 産 する 種 のこと 農 家 から 自 家 採 種 の 知 恵 と 文 化 を 奪 い ひいては 全 国 にあった 作 物 の 多 様 性 をなくした 47 庄 内 地 方 環 境 羽 黒 山 月 山 湯 殿 山 の 出 羽 三 山 鳥 海 山 を 背 後 に 控 える 最 上 川 赤 川 山 々からの 豊 かな 水 海 へ 大 地 は 肥 沃 水 も 旨 い 有 数 の 農 業 地 帯 庄 内 米 かつて 江 戸 の 鮨 米 として 珍 重 された 夏 は 湿 気 を 伴 って 暑 い 冬 は 極 めて 寒 冷 温 度 差 40 度 地 場 野 菜 在 来 作 物 野 菜 の 宝 庫 であり 春 夏 秋 冬 130 種 の 魚 類 酒 田 市 人 口 11 万 最 上 川 鳥 海 山 西 の 堺 東 の 酒 田 日 本 永 代 蔵 廻 船 問 屋 鐙 屋 (あぶみや) 1894 年 ( 明 治 27 年 ) 庄 内 地 震 8 割 が 消 失 1976 年 ( 昭 和 51 年 ) 酒 田 大 火 被 災 者 3300 人 しかし 死 亡 は 消 防 士 一 人 が 殉 死 初 孫 上 喜 之 麓 井 鶴 岡 市 人 口 13 万 人 月 山 鶴 乃 湯 は 廃 業 庄 内 映 画 村 へ 移 築 庄 内 町 人 口 2 万 4 千 人 亀 ノ 尾 の 発 祥 地 遊 佐 町 最 北 人 口 1 万 6 千 人 鳥 海 山 三 川 町 人 口 8 千 人 48 24
庄 内 映 画 村 鶴 岡 市 羽 黒 町 セディックインターナショナルの 映 画 製 作 会 社 月 山 山 麓 88ha セディックが 購 入 黒 土 三 男 監 督 蝉 しぐれ 制 作 時 IT 企 業 社 長 の 宇 生 雅 明 が 参 加 地 元 企 業 の 協 力 でセディックが 購 入 時 代 劇 のオープンセットを 設 備 山 桜 おくりびと 山 形 スクリーム 座 頭 市 THE LAST 十 三 人 の 刺 客 49 日 本 の 食 文 化 の 例 その2 滋 賀 県 堅 田 佐 川 美 術 館 樂 吉 左 衞 門 館 のこと 滋 賀 県 比 良 山 荘 のこと 滋 賀 県 大 津 市 葛 川 坊 村 町 94 ご 主 人 伊 藤 剛 治 さん 比 良 山 荘 の 四 季 初 夏 の 鮎 秋 の 松 茸 冬 の 月 の 輪 熊 のしゃぶしゃぶ 春 山 菜 50 25
日 本 の 食 文 化 の 例 その3 広 島 県 大 黒 神 島 のかき かなわ 三 保 達 郎 さん 沖 永 さんの 蕎 麦 会 達 磨 の 高 橋 蕎 麦 打 ち 名 人 広 島 吉 和 村 のわさび 植 本 さん 三 國 屋 の 海 苔 51 日 本 の 食 文 化 の 例 その4 唐 津 陶 芸 家 隆 太 窯 中 里 隆 中 里 太 亀 中 里 花 子 さんのこと 川 島 豆 腐 店 やすけ 寿 司 つく 田 寿 司 銀 すし 銀 座 きよ 田 の 新 津 武 昭 氏 が 中 里 家 のパーティーに 喚 ばれ 唐 津 のす し 職 人 を 育 てた 魚 貝 類 の 豊 富 な 呼 子 の 朝 市 など 唐 津 は 全 国 的 に 知 られた グルメスポットなっている 52 26
東 日 本 大 震 災 で 考 えたこと 53 54 27
映 画 おくりびと のこと 滝 田 洋 二 郎 監 督 小 山 薫 堂 脚 本 久 石 譲 音 楽 主 演 納 棺 師 本 木 雅 弘 その 妻 広 末 涼 子 社 長 山 﨑 勉 55 28