近世① 16世紀 想像図 を使ってこんなことができる 別 P.15で紹介する使い方の他に 図の各部分から通史の授業でこのように活用できます また イラストの① ⑩は 別 P.15の中で位置を示しています ①天守閣の築城 教科書P.94 95 信長 秀吉による全国統一 導入として イラストの天守閣築城に注目させ その 元祖として織田信長の安土城を紹介する 天守閣をもつはじめての城は 織田信長の安土城であ る 単なる戦闘のための城ではなく 公儀権力 支配の 象徴として 信長以後秀吉の大阪城 家康の江戸城へと 引きつがれた また 各地の大名もその地の公儀権力の 象徴として天守閣をつくった 1615年の武家諸法度で一国一城令が確認され 大名領 国内の城は一つに限定され 他の城は破却された 例外 ②放棄された山城 脱け道はあったが 寛永期までは天守閣がつくられて いるが それ以後は天守閣が焼失しても再建されていな い 幕府が安定し 公儀権力の象徴がなくても 公儀権 力が機能するようになったためであろう 教科書P.96 97 秀吉の政策による近世の幕あけ 導入として 年貢枡を指し 何をやっているのか考え させる できれば実物の1升枡 1升びんを見せるとよい これは 京枡 を使うようにと農民に指示を出してい るところである それまで全国各地で独自の枡が使われ ③年貢枡を受け 取る農民 男 ていたが 豊臣秀吉は京枡を全国で使うよう命令した 統一権力の成立に伴い 当時国内最大の市場である京都 で使われ 一番普及していた商業枡を採用したのである しょう ます 1升は枡が4寸9分 約14.867 平方 深さ2寸7分 約 8.181 である 容積約1,808 になる 江戸幕府も枡 座をつくって1669年に当時の京枡のみを公定枡に指定 し 明治政府もこれを引き継いだ 現在の1升もこの大 ④統一された ものさし きさである 尺貫法 貨幣とあわせ この時期にこうし た度量衡の統一が行われている 1升は1,803.91 で 現在も使われている1升瓶と同じである 教科書P.102 103 身分制度のもとでのくらし 導入として 城下町の町割り 皮革を扱う人々をイラ ⑤町屋 ストで探させ 人々の身分がどう表れているかに注目さ せる 近世初期の城下町の建設では どの大名も領国経営を 意欲的にきちんとした都市計画から着手した 多くの城 下町が直交した道路を持ち 武家屋敷と町人屋敷が整然 と分けられた 広い屋敷地と築地塀をもったのが武家屋 5
⑥ 皮をなめす人々 敷であり 城の周囲に配置される 町屋敷は敷地は狭い が職能別に居住区が分けられ 合理的に配置された イ ラストでは死んだ牛馬を扱う皮革業の人々が 河畔に集 住している このことは やがて けがれ 意識に基づ く差別意識を 民衆の内部で固定化させていくことにな っていく このように イラストからはカースト制度同 様 身分が分業と結びつき 前近代の秩序を形成し 身 分差別として固定されていったことが理解できる 教科書P.102 103 身分制度のもとでのくらし ⑦ 飼っている牛馬 展開として 農民のくらしをイラストから調べ チャボ 農民の身分制度と生活の様子を説明し理解させる 裏に引き込む女 家に築地があること 牛馬を飼っていることなどから 幼い子ども イラストの農民はこの村を代表する村役人クラスの本百 姓と考えられる これが中世ならば この農民が土豪として武士的な生 活をしていた場合 地侍 国人などと呼ばれる 仕官 し農民身分を捨て城下町に住むという選択肢もあった 枡を受け取っているということは そうせずに農民身分 ⑧検地の様子を 聞く一家 を選んだということである おそらく 彼は村役人クラスの有力な農民として 地 域の信望を集めながら日々の農業と村役人としての役割 をこなしていったことだろう 秩序だち 全国的なつながりをもつ封建制 江戸幕藩 体制は 年貢の徴収や村の中の様々な事件の処理 人心 の掌握などをこのような村役人クラスに任せることで成 立していた 検地帳に基づく年貢の皆済は 村役人の高 ⑨作業をする農民 度な簿記 計算能力 年貢割付の際の本百姓同士の連帯 と村役人への信頼があってはじめて可能である また この村役人を含む一般の本百姓は 検地で本百 姓に登録された以上 子孫に至るまでずっとこの土地を 耕し 年貢を皆済し 家を存続させていくことが勤めと なる 孫兵衛 という家は 孫兵衛が年を取れば彼は 隠居し息子が孫兵衛の名をつぐ 個人ではなく家と土地 の存続こそが最大の目的になるのである 家の存続とい う至上価値の前で 男性は世間に対して家を代表し相続 のにない手となる一方 女性は子を産む性として男に従 う役割を押しつけられ 固定されていったのである このしくみと価値観は いまを生きる私たちにも 意 識の深層で大きな影響を与えているのではないだろうか 6 ⑩農民の子ども