夜 夜 中 に 突 然 目 が 覚 めた それは 尿 意 ではなく 突 然 わたしの 両 目 が 開 いた 自 分 の 携 帯 を 探 すため 適 当 にベッドの 周 りに 手 を 伸 ばす あった 携 帯 のひんやりとした 冷 たさが 指 先 から 伝 わる 携 帯 を 開 くと 真 っ 暗 な 部 屋 に 突 然 強 い 光 が 入 った わたしは 眩 しくて 目 を 瞑 り ゆっくりと 目 を 開 けて 時 間 を 確 認 する 携 帯 のディスプレイには2 時 57 分 と 表 示 されている なんだか 嫌 な 時 間 に 起 きてしまったなと 苦 笑 いしたい 思 いだった 時 間 はもう 把 握 したので 携 帯 を 閉 じようとした 瞬 間 に 携 帯 が 鳴 った 突 然 の 音 楽 に 驚 き わたしの 身 体 は 跳 ね わたしの 口 からは 高 い 悲 鳴 が 出 た 一 体 こんな 時 間 に 何 なんだと 少 し 腹 が 立 ちながらメールボックスを 開 く 誰? 知 らないアドレスからだった 本 文 には こんばんは と 一 言 だけ 書 いてあった 無 視 しようと 携 帯 を 閉 じて 毛 布 に 包 まって 再 び 寝 ようと 目 を 閉 じた 携 帯 を 閉 じてから30 分 くらいは 経 ったと 思 う わたしは 寝 たくて 仕 方 がないのに 脳 はそれを 拒 否 した 睡 魔 がわたしの 元 になかなか 訪 れようとしないのだ もう 活 動 時 間 は 終 わりですよー! 眠 ってもいいんですよー!と 直 接 脳 に 訴 えたかった 中 々 眠 れないせいで わたしはただ 時 間 を 無 駄 に 過 ごしているだけだった 一 言 で 言 えば 暇 なのだ 携 帯 を 再 び 開 き さっき 来 たメールをもう 一 度 読 む 少 し 考 えたその 後 に このメールに 返 信 することを 決 めた もし 返 信 が 返 ってくれば 十 分 な 暇 つぶしになるだろうと 思 い 軽 い 気 持 ちで こんばんは と 同 じ 文 を 返 した 送 ってから 5 分 も 経 たない 内 に 返 信 が 来 た 正 直 相 手 も 悪 戯 のつもりでわたしにメールしたのだろうと 思 っていたので 返 信 が 来 たこ
とに 対 して 驚 いた 返 信 して 下 さったのですね 嬉 しいです 丁 寧 な 言 葉 遣 いだなと 思 った 早 速 わたしも 返 信 しよう どうしてわたしのメールアドレスをご 存 知 なんですか? 眠 れなかったので 適 当 にメールアドレスを 入 力 したらあなたに 届 いたんです そうなんですか でもそれってあなたの 暇 を 潰 すための 行 為 ですよね?いきなり 来 たメ ールの 着 信 音 で 起 きたり 驚 く 方 がいるかもしれないとお 考 えにならなかったんですか? あからさまな 皮 肉 を 込 めて 返 信 する わたしってこんなに 生 意 気 だったかな すみません まさか 届 くとは 思 っていなかったので そんなことよりもこれも 何 かの 縁 です 少 し 語 らいましょう このメールを 見 た 瞬 間 相 手 の 図 々しさに 悲 鳴 を 上 げそうになった 私 の 皮 肉 を 込 めたあんな 憎 たらしいメールをなかったかのようにするメールの 相 手 が 不 思 議 で 仕 方 がなかった 逆 にそんな 性 格 が 羨 ましいとさえ 思 えてしまった あなたはきっと 空 気 が 読 めずに 浮 くタイプでしょうね そして 図 々しい まあいいです あなたの 暇 つぶしに 付 き 合 ってあげても ありがとう 私 は 由 紀 貴 女 は? お 前 は 一 体 何 様 なんだという 返 信 がくるかと 思 いきや 感 謝 された 相 手 の 気 まぐれのせいでわたしが 迷 惑 したというのに 相 手 の 寛 大 な 心 に 対 してわたしが 申 し 訳 ない 気 持 ちになった そこからわたし 達 はお 互 いに 好 きな 音 楽 や 映 画 の 話 をして 盛 り 上 がった 驚 いたことに 好 きな 音 楽 や 映 画 がほとんど 一 緒 なのだ 何 でも 好 きな 話 が 出 来 て 嬉 しいと 由 紀 さんに 言 うと わたしもと 言 ってくれて 嬉 しかった
由 紀 さんは 何 の 仕 事 をしているんですか? 彼 女 が 何 の 仕 事 をしているのか 興 味 があったし 話 題 が 尽 きそうなので 話 を 変 えた 薬 剤 師 の 仕 事 をしているの え!わたし 薬 剤 師 になるのが 夢 なんです まさか 由 紀 さんが 薬 剤 師 だなんて!これはもう 運 命 としか 思 えなかった やっぱり?なんだか 趣 味 とかが 合 うからあなたの 将 来 の 夢 が 今 のわたしの 職 業 かなあと 思 ったら 当 たってた まるで わたし とメールしているような 錯 覚 だった わたしがもう 一 人 いて 会 話 をしたらこんな 感 じなんだろうなと 思 った 両 親 は 反 対 していないの? 何 故 由 紀 さんがそんなことを 聞 いたのか 分 らなかった 返 信 しようとすると 文 字 を 打 つ 手 が 震 える 母 は 賛 成 してくれているんですが 父 が 反 対 しているんです お 前 には 無 理 だって わ たし 悔 しくて 仕 方 がないんです 友 達 にさえ 将 来 の 夢 を 明 かしたことは 無 いのに 由 紀 さんには 何 故 か 全 てを 話 してしまう それはわたしと 似 ているからだろう わたしも 反 対 されていたのよ 初 めは 最 悪 な 印 象 しかなかったのに 話 しているうちに 由 紀 さんがしっかり 者 である 誌 的 な 女 性 だと 気 付 いたから 彼 女 の 両 親 も 賛 成 しただろうと 思 っていたのに 意 外 だった 由 紀 さんが 反 対 されていただなんて 意 外 です そう?わたしもあなたと 一 緒 のことを 言 われたわ お 前 には 無 理 だから 別 の 仕 事 をしろ
って 何 度 も 言 われて 悔 しくて 毎 日 泣 いていた わたしは 今 未 来 の 自 分 とメールしているような 気 分 です もし わたしが 未 来 のあなただったら 安 心 して あなたは 確 実 に 薬 剤 師 になれる 試 し に 朝 起 きたらお 父 さんになりたい 理 由 を 言 ってみたら? 由 紀 さんはわたしに 安 心 と 未 来 をくれたような 気 がして 携 帯 の 画 面 に 涙 が 落 ちた 袖 を 使 って 画 面 を 拭 くが 次 から 次 へと 涙 で 濡 れる ありがとうございます 由 紀 さんに 話 して 良 かった 言 ってみようと 思 います わたし 嘘 は 言 わないからね それじゃあ わたしは 絶 対 に 薬 剤 師 になれますね 必 ずね だから 諦 めないで わたし あなたと 一 緒 に 仕 事 がしたいから 由 紀 さんと 一 緒 に 仕 事 ができたらどれ 程 楽 しいだろうと 想 像 したら 笑 みがこぼれた もしも 薬 剤 師 になれたら あなたのおかげで 夢 を 叶 えましたよ 憧 れの 薬 剤 師 になれまし たよ と 直 接 言 おうと 心 に 決 めた わたしもしたいです 絶 対 になりますから だから わたしのこと 待 っていてください ね 一 緒 に 仕 事 をするだなんて 無 理 に 近 いことなのに 何 故 か 一 緒 に 出 来 る 気 がした 勿 論 楽 しみにしてる メールを 読 んだ 後 に 時 間 を 確 認 すると 四 時 半 を 過 ぎていた 今 日 が 休 みなら 良 かったのにと 強 く 思 ったのは 初 めてだ すみません 今 日 学 校 があるのでそろそろ 寝 ます 本 当 にありがとうございました 最 初 の 方 に 送 った 生 意 気 なメールに 関 しては 反 省 しています ごめんなさい そんなの 気 にしてないから 大 丈 夫 学 校 頑 張 ってね こんなに 遅 くまでわたしに 付 き
合 ってくれてありがとう あなたと 色 んな 話 ができて 嬉 しかった それじゃ おやすみな さい メールを 読 んだ 後 に 由 紀 さんに 言 うつもりでおやすみなさいと 声 に 出 して 言 った 目 を 瞑 ると 直 ぐに 睡 魔 がやってきた 朝 の 七 時 にセットしてある 目 覚 まし 時 計 が 煩 く 鳴 る それはわたしを 怒 鳴 りつけているような 音 なので もう 少 し 優 しく 起 こしてよと 目 覚 まし に 言 いたい 重 たい 目 蓋 を 出 来 るだけ 開 けて 携 帯 を 開 ける 夜 中 に 行 った 由 紀 さんとのメールのやりとりを 確 認 するためメールボックスを 開 く 由 紀 さんからのメールを 読 んでいると 元 気 が 出 た これから 先 辛 いことがあっても 彼 女 のメールがあれば 何 でも 乗 り 切 れる 気 がした 制 服 に 着 替 えてリビングに 行 く わたしが 席 に 着 く 前 に 父 はいつも 先 にいる 案 の 定 今 日 もそうだった 父 は 難 しそうな 顔 をして 新 聞 を 読 んでいた 新 聞 で 世 の 中 の 動 きを 見 るよりも わたしはテレビで 見 るほうが 好 きなので 新 聞 は 読 まな い おはよう あぁ 一 日 のわたしと 父 との 会 話 はこの 挨 拶 だけで 終 わる 父 は 基 本 的 にわたしに 関 しては 無 関 心 なのだ それなのにわたしの 夢 を 邪 魔 する 父 を 心 の 底 から 憎 んだこともあった それ 程 わたしは 薬 剤 師 に 対 して 真 剣 なんだ あ おはよう 食 パンはもう 焼 いているから うん ありがとう 母 は 朝 から 忙 しい わたし 達 のお 弁 当 と 朝 食 を 作 らなければならないからだ わたしを 支 えてくれる 母 にはいつも 感 謝 している
食 パンにバターを 塗 って 齧 る サクッといい 音 がした 食 パンを 食 べ 終 わった 後 に 牛 乳 が 入 ってあるわたし 専 用 のカップに 手 を 伸 ばす カップに 口 をつけながらわたしの 前 に 座 っている 父 を 見 る いつ わたしがなりたい 理 由 を 打 ち 明 けようか 迷 った なぁ じっと 見 続 けていると 父 がわたしに 語 りかけてきた 滅 多 に 彼 からわたしに 話 しかけることはないので 何 か 怒 られるのではないかと 不 安 が 過 ぎった お 前 は どうして 薬 剤 師 になりたいんだ? わたしが 言 おうと 思 っていたことを 父 が 聞 いてきた 普 段 わたしと 目 を 合 わせない 父 が 真 っ 直 ぐにわたしの 目 を 見 て 聞 いてきた いきなりだね 父 はわたしが 何 故 薬 剤 師 になりたいのかだけを 聞 きたいようだった 母 にはなりたい 理 由 を 言 っていたのだが 父 には 言 っていなかった 話 す 時 間 と 勇 気 がなかったからだ ぐっと 拳 に 力 を 込 める 由 紀 さんから 貰 った 言 葉 を 思 い 出 す 頑 張 れと 自 分 に 言 い 聞 かせた 口 を 開 いて 思 っていることを 父 に 伝 えるんだ 行 け わたし ち 小 さい 頃 からずっと 憧 れていたから 物 心 ついた 頃 から わたしの 夢 は 薬 剤 師 しかなかった ずっと 見 続 けていた お 父 さんの 仕 事 をしている 姿 がとてもかっこよくて 患 者 さんに 薬 を 渡 すときの 表 情 が 凄 く 優 しそうだから
父 は 目 を 見 開 いて 驚 いた 様 子 だった まさか わたしが 薬 剤 師 になりたい 理 由 が 自 分 のことだと 思 ってもみなかったのだろう 最 初 はただ かっこいいという 理 由 だけだった でも 人 の 役 に 立 ちたいと 思 い 始 めた から それなら 別 に 薬 剤 師 じゃなくても 優 しい 顔 をしたお 父 さんと 仕 事 がしたいから いつか 言 わなければいけないことは 分 かっていたが 恥 ずかしくて 言 えなかったことがや っと 言 えた そして その 言 葉 を 聞 いた 数 秒 後 に 父 の 目 はゆっくり 潤 んでいき 涙 がカップに 入 って 牛 乳 を 揺 らす な なんで 泣 いてるの 父 が 泣 いているところを 見 たことが 無 かったわたしは 動 揺 した 今 日 は 珍 しいことがよく 起 こる 母 の 方 をみると 母 は 微 笑 んでいた お 前 が 俺 をそうやって 見 ていたなんて 全 く 知 らなかった そうだと 思 う 薬 剤 師 になるために 俺 は 大 変 苦 労 した だから お 前 にはさせたくなかった うん 父 がわたしのためにそう 思 っていてくれたのだと 分 って 嬉 しかった でも 俺 の 勝 手 でお 前 の 夢 を 潰 そうとしていたんだな ごめんな 父 の 口 から 謝 罪 の 言 葉 が 出 たのも 珍 しくて 何 だか 幻 を 見 ているような 気 分 になった 俺 もお 前 と 一 緒 に 仕 事 がしたい
父 から 由 紀 さんと 同 じ 言 葉 を 聞 いたとき わたしの 目 は 涙 を 沢 山 落 とした 父 が 薬 剤 師 になることを 認 めてくれたおかげで 爽 やかな 気 持 ちで 家 を 出 た ゆっくりと 学 校 に 向 かっている 最 中 に 由 紀 さんからメールが 来 た おはよう お 父 さんは 賛 成 してくれた? と 書 いてあるのを 見 て 由 紀 さんは 超 能 力 者 だなと 確 信 した おはようございます お 父 さん 認 めてくれました やっぱり?なんだかそんな 気 がしたからメールしてみたの 由 紀 さんは 絶 対 に 超 能 力 者 ですね 超 能 力 者 かもしれないし 将 来 のあなたかもしれない あ それなら 未 来 のわたしの 方 がしっくりきますね もしも 由 紀 さんが 未 来 のわたし ならお 父 さんがいつ 賛 成 してくれるか 分 ったかもしれませんしね あなたが 思 うように 想 像 していて あなたが 薬 剤 師 になるのを 楽 しみにしておくから じゃあね 由 紀 ちゃん そのメールを 最 後 に 由 紀 さんからのメールはもう 来 なくなった 由 紀 さんは 初 めてわたしの 名 前 を 呼 んでくれた このときになって 初 めてわたしの 名 前 が 由 紀 さんと 一 緒 だということに 気 付 いた どうして 気 付 かなかったのかは 分 らない ただ 由 紀 さんは 本 当 に 未 来 のわたしで 父 に 認 めてもらえなかった 辛 い 時 期 のわたしを 救 うためにメールを 送 ってきたかもしれないと わたしの 中 でそう 整 理 した 未 来 ではタイムマシンでも 出 来 ているのかと 思 ったら 口 元 が 緩 んだ 宣 真 高 等 学 校 二 年