稲 作 生 産 情 報 第 1 号 平 成 28 年 3 月 7 日 青 森 県 攻 めの 農 林 水 産 業 推 進 本 部 高 品 質 で 良 食 味 な 米 づくりに 向 け 健 康 な 土 づくりと 健 苗 育 成 に 努 めよう! 適 期 田 植 えに 向 け 苗 づくりの 準 備 を 計 画 的 に 行 おう! 1 育 苗 計 画 適 正 な 育 苗 日 数 ( 中 苗 :30 日 ~35 日 )を 確 保 し 適 期 (5 月 10 日 ~25 日 頃 ) に 田 植 えができるよう は 種 日 ( 中 苗 :4 月 5 日 ~20 日 頃 )を 設 定 する また は 種 日 に 合 わせて 種 子 の 塩 水 選 消 毒 浸 種 作 業 を 計 画 的 に 行 う 2 苗 代 予 定 地 の 準 備 (1) 苗 代 予 定 地 は 早 めの 除 雪 くん 炭 や 乾 燥 した 黒 土 の 散 布 (m2 当 たり0.5~1リット ル)などで 消 雪 促 進 を 図 る (2) 融 雪 水 が 停 滞 しないよう 排 水 溝 をつくり 早 めに 置 床 を 乾 燥 させる (3) 消 雪 後 のハウスでは 早 めにビニールを 張 って 地 温 上 昇 に 努 める 3 塩 水 選 (1) 種 子 は 精 選 したものを10a 当 たり4kg 程 度 準 備 する (2) 塩 水 選 の 比 重 は 次 のとおりとし ときどき 比 重 計 で 塩 水 の 比 重 を 確 認 しながら 行 う うるち: 比 重 1.13( 水 10リットルに 対 し 食 塩 2.0~2.1kg 程 度 ) も ち: 比 重 1.08( 水 10リットルに 対 し 食 塩 1.2kg 程 度 ) (3) 塩 水 選 後 は 直 ちに 種 籾 を 水 洗 いする 4 種 子 消 毒 (1) 消 毒 剤 とその 対 象 病 害 は 表 1のとおりである 表 1 種 子 消 毒 剤 対 象 病 害 名 農 薬 名 対 象 病 害 ばか 苗 病 いもち 病 ごま 葉 枯 病 もみ 枯 細 菌 病 苗 立 枯 細 菌 病 < 化 学 合 成 農 薬 > ヘルシード 乳 剤 トリフミン 水 和 剤 トリフミン 乳 剤 スポルタック 乳 剤 スターナ 水 和 剤 テクリードCフロアブル ヘルシードTフロアブル モミガードC 水 和 剤 モミガードC DF < 生 物 農 薬 > エコホープ エコホープDJ タフブロック - 1 -
(2) 種 子 消 毒 剤 の 使 用 方 法 と 留 意 点 ア 化 学 合 成 農 薬 (ア) 使 用 方 法 1 粉 衣 法 : 生 乾 き 状 態 の 種 籾 に 乾 燥 籾 重 の0.5% 量 の 薬 剤 を 粉 衣 する 2 塗 沫 法 : 所 定 濃 度 の 薬 液 を 乾 燥 籾 1kg 当 たり30ミリリットル 塗 沫 する 3 高 濃 度 短 時 間 浸 漬 法 : 種 籾 の 水 切 りを 十 分 行 ってから 所 定 濃 度 の 薬 液 に10 分 間 浸 漬 する 4 低 濃 度 長 時 間 浸 漬 法 : 所 定 濃 度 の 薬 液 に 種 籾 を24 時 間 浸 漬 する (イ) 消 毒 に 当 たっての 留 意 点 1 高 濃 度 短 時 間 浸 漬 法 及 び 低 濃 度 長 時 間 浸 漬 法 は 種 籾 量 と 薬 液 量 の 容 積 比 を 1:1 以 上 にして 種 籾 が 十 分 浸 漬 できる 液 量 で 実 施 する 2 トリフミン 水 和 剤 又 はスタ-ナ 水 和 剤 は 消 毒 後 2 日 間 風 乾 する 3 低 濃 度 長 時 間 浸 漬 法 は 浸 漬 中 に 薬 液 を2~3 回 攪 拌 する また 消 毒 の 効 果 を 安 定 させるため 液 温 が10 以 下 にならないようにする 4 例 年 もみ 枯 細 菌 病 や 苗 立 枯 細 菌 病 の 発 生 がみられる 場 合 は テクリ-ドC フロアブル 又 はモミガードC 水 和 剤 等 を 使 用 する イ 生 物 農 薬 (ア) 使 用 方 法 農 薬 名 使 用 時 期 処 理 方 法 エコホープ 剤 浸 種 前 ~ 催 芽 前 200 倍 液 に24~48 時 間 浸 漬 エコホープ 催 芽 時 200 倍 液 に24 時 間 浸 漬 エコホープDJ タフブロック 浸 種 前 生 乾 き 状 態 の 種 籾 に 乾 燥 籾 重 の 4% 量 粉 衣 ( 風 乾 する 場 合 は 直 射 日 光 や 極 端 な 高 温 を 避 ける) 浸 種 前 ~ 催 芽 前 20 倍 液 に1 時 間 浸 漬 催 芽 前 200 倍 液 に24~48 時 間 浸 漬 催 芽 時 200 倍 液 に24 時 間 浸 漬 (イ) 消 毒 に 当 たっての 留 意 点 1 生 物 農 薬 は 化 学 合 成 農 薬 に 比 べ 効 果 が 劣 る 場 合 もあるので 病 害 に 侵 されて いない 健 全 な 種 籾 を 用 いる また 割 れたり 傷 ついた 種 籾 が 多 い 場 合 は 使 用 しない 2 生 物 農 薬 はラベルをよく 読 み 使 用 方 法 注 意 事 項 保 管 方 法 最 終 有 効 年 月 に 留 意 する 3 消 毒 時 から 育 苗 期 間 中 の 温 度 管 理 は 適 温 を 遵 守 する 特 に 浸 種 中 の 水 温 は10 以 下 にならないようにする 4 エコホープ 剤 又 はタフブロックは は 種 前 は 種 時 処 理 を 行 うオリサストロ ビンを 含 む 剤 ( 嵐 剤 など)と 併 用 しない 5 タフブロックは TPN 剤 (ダコニール 剤 など)と 併 用 しない - 2 -
ウ 種 子 消 毒 剤 共 通 の 留 意 点 消 毒 液 の 残 りや 使 用 器 具 の 洗 浄 液 は 河 川 や 湖 沼 等 に 流 さず 適 正 に 処 分 する (3) 温 湯 種 子 消 毒 の 作 業 方 法 及 び 注 意 点 ア 塩 水 選 を 行 ってから 温 湯 浸 漬 までの 時 間 が1~2 時 間 を 越 えると 発 芽 率 が 急 激 に 低 下 するので 塩 水 選 後 直 ちに 温 湯 浸 漬 を 行 うか 比 重 選 別 機 などの 塩 水 選 以 外 の 方 法 で 選 別 した 種 籾 を 用 いる イ 浸 漬 は 一 定 の 湯 温 を 保 つことができる 機 器 を 用 い 種 籾 を58 で20 分 間 又 は60 で10~15 分 間 処 理 する ウ 浸 漬 後 は 直 ちに 水 道 水 などの 清 浄 な 水 で 冷 却 し その 後 は 通 常 の 浸 種 管 理 を 行 う エ 化 学 合 成 農 薬 を 使 用 した 場 合 に 比 べて 発 芽 しやすくなる 傾 向 があるので 芽 が 伸 びすぎないよう 催 芽 時 間 に 注 意 する オ つがるロマン まっしぐら 以 外 の 品 種 は 温 湯 消 毒 により 発 芽 率 が 劣 るこ とがあるので あらかじめ 試 験 的 に 消 毒 を 行 い 発 芽 率 が90% 以 上 確 保 できるこ とを 確 認 する カ 初 めて 取 り 組 む 場 合 には 農 業 普 及 振 興 室 や 病 害 虫 防 除 所 に 問 い 合 わせて 効 果 や 注 意 事 項 を 十 分 確 認 してから 実 施 する 5 浸 種 (1) 浸 種 は 催 芽 を 均 一 にし 出 芽 ムラの 発 生 を 防 止 するため 10~14 日 間 程 度 ( 積 算 水 温 で100 が 目 安 ) 行 う (2) 浸 種 期 間 が 短 いと 出 芽 不 良 や 出 芽 遅 れの 原 因 となる また 出 芽 を 揃 えるため 浸 種 時 の 水 温 はできるだけ10 以 下 にならないようにする (3) 浸 種 中 は 水 温 ムラが 生 じないよう 種 籾 を 入 れた 網 袋 の 上 下 を 適 宜 入 れ 替 える (4) 水 の 交 換 は 種 子 消 毒 剤 の 効 果 を 高 めるため 最 初 の2 日 間 は 行 わず その 後 は 3 日 に1 回 程 度 の 間 隔 で 行 う 6 催 芽 (1) 種 籾 をハト 胸 程 度 ( 芽 の 長 さ0.5~1ミリ 程 度 )に 催 芽 するため 十 分 に 吸 水 した 種 籾 を30~32 で16~20 時 間 加 温 する (2) 発 芽 の 速 度 は 種 子 予 措 品 種 休 眠 性 の 差 で 異 なるため 芽 の 伸 び 具 合 を 必 ず 確 認 して 加 温 時 間 を 調 整 するなど 確 実 な 催 芽 に 努 める (3) 催 芽 の 温 度 が40 以 上 になると 発 芽 能 力 が 低 下 するので 温 度 には 十 分 注 意 する また 育 苗 器 を 利 用 する 場 合 は 種 籾 が 乾 燥 しないよう 管 理 する 7 床 土 の 準 備 (1) 床 土 は ph4.5~5.5の 土 を 使 用 する(pHが 高 い 場 合 は ph 調 整 剤 で 調 整 する) (2)は 種 までに 必 要 量 を 準 備 しておく なお 肥 料 を 床 土 に 混 和 する 場 合 の1 箱 当 たり 施 肥 量 と10a 当 たり 使 用 箱 数 の 目 安 は 表 2のとおりである - 3 -
表 2 育 苗 法 の 違 いによる 施 肥 量 使 用 箱 数 育 苗 法 1 箱 当 たり 施 肥 量 使 用 箱 数 (は 種 量 : 催 芽 籾 ) ( 肥 料 成 分 ) (/10a) 基 肥 方 式 窒 素 りん 酸 加 里 : 各 2.5g 中 苗 散 播 (125g/ 箱 ) 追 肥 方 式 [ 基 肥 ] 窒 素 :1.0g りん 酸 加 里 : 各 2.5g [ 追 肥 ] 1.5 葉 期 と3.0 葉 期 頃 に 窒 素 :1.0g 約 35 箱 成 苗 成 型 ポット 窒 素 りん 酸 加 里 : 各 0.5g 約 55 箱 (55g/ 箱 ) (みのる) ( 葉 色 が 淡 くなったら 窒 素 0.5gを 追 肥 する) (3) 苗 立 枯 病 の 予 防 ア フザリウム ピシウム 属 菌 による 苗 立 枯 病 の 防 除 は タチガレエースM 剤 を 利 用 し 次 のいずれかの 方 法 で 行 う (ア) 育 苗 箱 ( 約 5リットル)1 箱 当 たり 粉 剤 8gの 割 合 で 育 苗 土 と 均 一 に 混 和 する な お 効 果 が 不 十 分 な 場 合 は さらに(ウ)の 方 法 を 併 用 する (イ)は 種 時 に 液 剤 の500~1,000 倍 液 を 育 苗 箱 1 箱 当 たり500ミリリットルかん 注 するか 1,000 倍 液 を 育 苗 箱 1 箱 当 たり1リットルかん 注 する (ウ) 発 芽 後 ( 発 病 のごく 初 期 )に 液 剤 の500~1,000 倍 液 を 育 苗 箱 1 箱 当 た り500ミリリットルかん 注 する なお 粉 剤 と 液 剤 はそれぞれ1 回 しか 使 用 できない イ リゾープス 属 菌 による 苗 立 枯 病 の 防 除 は 次 のいずれかで 行 う (ア)は 種 5 日 前 ~は 種 前 にダコニール 粉 剤 を 育 苗 箱 1 箱 当 たり15~20gの 割 合 で 育 苗 土 と 均 一 に 混 和 する (イ)は 種 時 ~ 緑 化 期 (は 種 14 日 後 まで)にダコニール1000の500 倍 液 を 育 苗 箱 1 箱 当 たり500ミリリットルかん 注 するか 1,000 倍 液 を 育 苗 箱 1 箱 当 たり 1リットルかん 注 する ただし 菌 増 殖 後 の 緑 化 期 処 理 では 効 果 が 落 ちる 8 置 床 の 準 備 (1) 置 床 への 施 肥 は m2 当 たり 成 分 で 窒 素 加 里 を 各 15g りん 酸 を23gとする なお 置 床 被 覆 方 式 の 場 合 は 無 肥 料 とする (2) 置 床 は 育 苗 箱 の 底 と 密 着 するよう 均 平 にする 砕 土 が 不 十 分 な 場 所 や 足 跡 等 のく ぼみがあると 生 育 ムラができるので 十 分 注 意 する (3) 置 床 のpHが6を 超 える 場 合 は 苗 立 枯 病 が 発 生 しやすくなるので 置 床 被 覆 方 式 に 切 り 換 える 9 畦 畔 のかさ 上 げと 補 強 (1) 低 温 時 の 深 水 管 理 による 保 温 効 果 や 除 草 剤 等 の 効 果 が 十 分 発 揮 されるよう 畦 畔 の かさ 上 げや 補 強 水 尻 の 整 備 を 行 い 漏 水 防 止 に 努 める (2) 漏 水 の 大 きなほ 場 では 畦 畔 補 強 時 にベントナイトを 用 いて 造 成 すると 適 正 な 水 管 理 に 有 効 である 手 順 は 以 下 のとおり - 4 -
ア 元 畦 畔 の 施 工 側 法 面 を 畦 塗 機 のロータリー 刃 で 崩 す イ 崩 した 畦 畔 の 崩 壊 面 にベントナイトを 均 一 に 散 布 する( 畦 畔 1m 当 たり8kg 程 度 ) ウ 畦 塗 機 で 畦 畔 を 形 成 する エ 次 年 以 降 は 畦 塗 機 による 畦 畔 形 成 のみを 行 う( 効 果 は5 年 以 上 持 続 ) * 畦 塗 機 はロータ 回 転 式 でも 叩 き 式 でも 使 用 可 能 10 土 づくり (1) 高 品 質 で 良 食 味 な 米 の 生 産 ができるよう 土 壌 の 特 徴 を 把 握 して 有 機 物 や 土 壌 改 良 資 材 を 適 正 に 施 用 し 健 康 な 土 づくりを 進 める (2) 秋 に 処 理 できなかった 稲 わらは 集 めて 堆 肥 にする 止 むを 得 ず 春 鋤 込 みを 行 う 場 合 は 分 解 促 進 のため 早 めに 行 う ~~~~~~~~~~ 農 薬 の 使 用 に 当 たって~~~~~~~~~~ 農 薬 を 使 用 する 場 合 は 必 ず 最 新 の 農 薬 登 録 内 容 を 確 認 してください 農 林 水 産 省 農 薬 情 報 (http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_info/) 飼 料 用 米 等 の 作 付 ほ 場 は 農 薬 飛 散 に 配 慮 して 選 定 しましょう 農 林 水 産 省 多 収 性 専 用 品 種 に 取 り 組 むに 当 たって - 多 収 品 種 の 栽 培 マニュアル- (http://www.maff.go.jp/j/seisan/kokumotu/pdf/siryom_m.pdf) ~~~~~~~~ 稲 わらの 有 効 利 用 に 努 めましょう~~~~~~~~ 稲 わらは 焼 かずに 鋤 込 みを 行 ったり 堆 肥 や 家 畜 の 餌 にするなど 必 ず 有 効 利 用 して ください -------------------------------------- 連 絡 先 農 産 園 芸 課 稲 作 振 興 グループ 県 庁 内 線 5074 5075 直 通 017-734-9480 -------------------------------------- 次 回 の 稲 作 生 産 情 報 の 発 行 予 定 は4 月 4 日 ( 月 )です - 5 -