報 道 発 表 資 料 平 成 21 年 12 月 2 日 独 立 行 政 法 人 国 民 生 活 センター 債 務 整 理 をするとうたった 電 話 勧 誘 に 注 意! 多 重 債 務 に 関 する 相 談 は 年 々 増 え 続 け 2008 年 度 には 9 万 件 を 超 える 相 談 が 全 国 の 消 費 生 活 センターに 寄 せられている そのような 中 ここ 数 年 弁 護 士 やボランティア 団 体 等 を 名 乗 って 債 務 整 理 をしないか 過 払 い 金 返 還 請 求 をしないか といって 消 費 者 に 近 づきトラブルになるという 相 談 が 多 くなっている 具 体 的 には 電 話 で 勧 誘 し 着 手 金 等 を 要 求 するといったものが 多 い こうした 債 務 整 理 に 関 する 電 話 勧 誘 1の 相 談 は PIO-NET 2 では 2004 年 度 以 降 620 件 寄 せられている 借 金 問 題 を 抱 えている 消 費 者 に 弁 護 士 等 やNPO 法 人 等 に 対 する 信 用 を 利 用 して 近 づ くという 極 めて 悪 質 な 手 口 であることから 被 害 の 未 然 防 止 拡 大 防 止 のために 情 報 提 供 する 1. 債 務 整 理 に 関 する 電 話 勧 誘 の 相 談 の 概 要 (1) 相 談 件 数 の 推 移 債 務 整 理 に 関 する 電 話 勧 誘 の 相 談 件 数 は 2004 年 度 以 降 620 件 寄 せられており 年 々 増 加 している 2009 年 度 (10 月 末 日 までの 登 録 分 )の 相 談 件 数 についても 前 年 度 の 同 時 期 に 比 べ 約 3 割 増 加 している 相 談 件 数 250 222 200 150 130 130 100 50 0 77 98 42 19 2004 2005 2006 2007 2008 2009 年 度 *データは 2009 年 10 月 末 日 までの 登 録 分 1 弁 護 士 等 やボランティア 団 体 等 と 名 乗 って 債 務 整 理 をしないか という 電 話 勧 誘 があったものを 集 計 している 2 PIO-NET(パイオネット: 全 国 消 費 生 活 情 報 ネットワーク システム)とは 国 民 生 活 センターと 全 国 の 消 費 生 活 センターをオンラインネットワークで 結 び 消 費 生 活 に 関 する 情 報 を 蓄 積 しているデータベー スのこと 1
(2) 契 約 当 事 者 の 属 性 2004 年 度 以 降 の 相 談 (620 件 )について 契 約 当 事 者 の 属 性 をみると 以 下 のとおりで ある ( 構 成 比 は 2004 年 度 以 降 の 件 数 の 合 計 値 に 対 するものである ) 1 性 別 男 性 が 多 い- 性 別 では 男 性 が 390 件 (62.9%) 女 性 が 213 件 (34.4%)である 3 2 年 代 別 -30 歳 代 40 歳 代 が 多 い- 年 代 別 に 見 ると 30 歳 代 が 196 件 で 最 も 多 く 31.6%を 占 めている 次 いで 40 歳 代 が 148 件 (23.9%) 50 歳 代 が 96 件 (15.5%)となっている 一 方 30 歳 未 満 70 歳 以 上 は 少 なかった 4 3 地 域 別 - 関 東 九 州 北 海 道 東 北 に 多 い- 地 域 別 に 見 ると 東 京 を 含 む 南 関 東 が 172 件 (27.7%)で 最 も 多 い 次 いで 九 州 北 部 100 件 (16.1%) 北 関 東 49 件 (7.9%) 北 海 道 東 北 北 部 47 件 (7.6%) 山 陽 44 件 (7.1%) などが 多 い 表. 地 域 別 割 合 5 地 域 区 分 都 道 府 県 名 件 数 構 成 比 (%) 北 海 道 東 北 北 部 北 海 道 青 森 岩 手 秋 田 47 7.6 東 北 南 部 宮 城 山 形 福 島 41 6.6 北 関 東 茨 城 栃 木 群 馬 49 7.9 南 関 東 埼 玉 千 葉 東 京 神 奈 川 172 27.7 甲 信 越 新 潟 山 梨 長 野 26 4.2 北 陸 富 山 石 川 福 井 13 2.1 東 海 岐 阜 静 岡 愛 知 三 重 19 3.1 近 畿 滋 賀 京 都 大 阪 兵 庫 奈 良 和 歌 山 27 4.4 山 陰 鳥 取 島 根 32 5.2 山 陽 岡 山 広 島 山 口 44 7.1 四 国 徳 島 香 川 愛 媛 高 知 6 1.0 九 州 北 部 福 岡 佐 賀 長 崎 熊 本 大 分 100 16.1 九 州 南 部 宮 崎 鹿 児 島 沖 縄 36 5.8 3 不 明 無 回 答 等 が 17 件 (2.7%)である 4 30 歳 以 下 は 63 件 (10.2%) 70 歳 以 上 は 10 件 (1.6%) 無 回 答 は 46 件 (7.4%)である 5 無 回 答 は 8 件 (1.3%)である 2
2. 最 近 の 事 例 (1) 弁 護 士 等 を 名 乗 るケース 事 例 1: 過 去 の 債 務 情 報 をもとに 勧 誘 するケース 夫 の 携 帯 電 話 に 他 県 の 弁 護 士 を 名 乗 る 男 から 電 話 があり 過 払 い 金 が 戻 るような 話 を した 以 前 に 任 意 整 理 をしたことがあり 夫 は 丁 寧 な 口 調 の 弁 護 士 だったと 信 用 しきっ ているが 債 務 整 理 の 過 去 を 知 っている 点 が 非 常 に 不 審 だと 思 う ( 受 付 年 月 :2009 年 5 月 契 約 当 事 者 :40 歳 代 男 性 熊 本 県 ) 事 例 2: 電 話 勧 誘 後 訪 問 するケース サラ 金 の 過 払 い 金 返 還 手 続 きをしないか 詳 しくは 自 宅 に 訪 問 して 説 明 する と 電 話 があり 母 が 行 政 書 士 事 務 所 を 名 乗 る 男 の 訪 問 を 受 け 過 払 い 金 返 還 手 続 きを 勧 めら れ 依 頼 男 の 言 うままに 書 面 を 記 入 し 振 り 込 みカード 数 社 分 を 渡 したという ( 受 付 年 月 :2009 年 6 月 契 約 当 事 者 : 女 性 北 海 道 ) (2)NPO 法 人 ボランティア 団 体 等 を 名 乗 るケース 事 例 3:NPO 法 人 自 らが 債 務 整 理 を 行 うといったケース あなたは 借 金 を 払 いすぎているので 手 続 きをすれば 借 金 がなくなるか 返 ってくる 可 能 性 がある 当 方 はNPO 法 人 なので 安 い 手 数 料 で 手 続 きができる との 電 話 がかかって きた 確 かに 自 分 には 借 金 があるが 自 分 の 借 金 のことを 何 故 知 っているのか 疑 問 である ( 受 付 年 月 :2009 年 1 月 契 約 当 事 者 :40 歳 代 男 性 鳥 取 県 ) 事 例 4:ボランティア 団 体 が 弁 護 士 を 紹 介 するケース ボランティアで 債 務 整 理 をしているという 団 体 から 携 帯 に 電 話 があった 過 払 い 金 の 返 還 請 求 ができると 法 律 事 務 所 を 紹 介 され 依 頼 手 続 き 書 面 や 消 費 者 金 融 のカードを 送 った 手 続 きには 2~3 週 間 かかると 言 われていたが まだ 過 払 い 金 の 正 確 な 金 額 等 を 教 えてもらえず だまされているのかもしれないと 不 安 になった ( 受 付 年 月 :2009 年 6 月 契 約 当 事 者 :30 歳 代 男 性 鳥 取 県 ) 事 例 5: 遠 方 の 弁 護 士 を 紹 介 するケース 夫 に 消 費 者 団 体 を 名 乗 るところから 突 然 過 払 い 金 返 還 ができるという 電 話 があった 夫 には 借 金 があるが 何 故 それを 知 っているのかを 尋 ねたところ 信 用 情 報 機 関 で 調 べ られると 言 う その 会 から 首 都 圏 の 法 律 事 務 所 を 紹 介 され 契 約 書 が 送 られてきた 中 を 見 ると 免 許 証 のコピーやカードなどを 送 るようにとあるが 不 審 だ ( 受 付 年 月 :2009 年 4 月 契 約 当 事 者 :20 歳 代 男 性 宮 城 県 ) 事 例 6: 着 手 金 を 支 払 ったケース 携 帯 電 話 にNPO 法 人 というところから サラ 金 の 過 払 い 金 の 相 談 を 受 ける と 電 話 がきた 数 年 間 で 完 済 したことを 話 したところ 弁 護 士 を 必 要 としている 人 には 紹 介 し ているので 2 万 円 を 振 り 込 むよう 言 われた しかし 手 持 ちのお 金 を 持 っていないと 伝 えたところ 持 っているだけでよいと 言 われ 5,000 円 を 振 り 込 んだ この 団 体 は 信 用 で 3
きるところか ( 受 付 年 月 :2009 年 4 月 契 約 当 事 者 :60 歳 代 男 性 山 形 県 ) 3. 問 題 点 (1) 個 人 名 や 住 所 債 務 状 況 等 の 個 人 情 報 が 相 手 に 漏 れている 個 人 の 名 前 や 携 帯 番 号 自 宅 の 電 話 番 号 が 先 方 に 伝 わっており 名 指 しで 電 話 が 掛 かっ てくるため 折 り 返 して 電 話 をしてしまうケースが 多 い また 相 談 の 中 では 過 去 に 借 金 をしたことがある 人 や 現 在 債 務 を 負 っている 人 が 借 金 の 情 報 に 基 づいて 勧 誘 をされるケースが 多 い 債 務 状 況 等 まで 先 方 に 漏 れていることがうか がえる (2) 信 頼 できるような 名 称 をかたるケースが 多 い 電 話 勧 誘 の 際 に 弁 護 士 等 や ボランティア 団 体 非 営 利 団 体 NPO 法 人 NGO 団 体 と 称 して 電 話 を 掛 けてくる 事 例 の 中 には NPO 法 人 を 名 乗 っていてもNPO 法 人 として 認 証 されていないものがあったり 相 談 者 が 先 方 に 聞 いた 事 業 者 名 を 電 話 局 に 問 い 合 わせても 登 録 がされていない 等 実 態 を 確 認 できないものがあった (3) 弁 護 士 等 の 名 称 を 出 され 信 用 をしてしまうので 冷 静 に 判 断 できない 弁 護 士 等 や 非 営 利 団 体 等 の 名 称 を 出 されることで 信 頼 してしまい 消 費 者 が 言 われるが ままに 金 銭 を 渡 してしまったり 身 分 証 明 書 等 を 差 し 出 してしまったりするケースがある (4) 実 態 が 不 明 な 遠 方 の 弁 護 士 等 に 依 頼 してしまう 九 州 や 中 国 北 海 道 東 北 北 部 の 地 方 の 相 談 者 の 中 には 遠 方 の 弁 護 士 等 を 紹 介 された というものが 目 立 つ 多 くの 相 談 者 は HP 等 を 確 認 するだけで 一 度 も 弁 護 士 等 に 会 わず 実 在 が 定 かでない 者 に 対 し 債 務 整 理 を 依 頼 しており こうしたことがトラブルの 要 因 とな っている 4. 消 費 者 へのアドバイス (1) 債 務 整 理 に 関 する 電 話 勧 誘 はきっぱりと 断 ること 弁 護 士 等 やこれと 提 携 した 団 体 等 が 個 人 を 特 定 して 債 務 整 理 を 呼 びかけるための 電 話 勧 誘 を 行 うことは 禁 止 されている 6 従 って 弁 護 士 等 やボランティア 団 体 等 を 名 乗 って いても きっぱりと 断 ること また 万 一 来 訪 されてしまった 場 合 にそれらの 者 から 身 分 証 明 書 やクレジットカード 等 の 提 出 を 要 求 されても 絶 対 に 渡 さないこと 6 日 本 弁 護 士 連 合 会 の 弁 護 士 の 業 務 広 告 に 関 する 規 程 ( 平 成 12 年 3 月 24 日 制 定 )による 第 5 条 弁 護 士 は 面 識 のない 者 に 対 し 訪 問 又 は 電 話 による 広 告 をしてはならない 第 6 条 弁 護 士 は 特 定 の 事 件 の 当 事 者 及 び 利 害 関 係 者 で 面 識 のない 者 に 対 して 郵 便 又 はその 他 これら の 者 を 名 宛 人 として 直 接 到 達 する 方 法 で 当 該 事 件 の 依 頼 を 勧 誘 する 広 告 をしてはならない ただし 公 益 上 の 必 要 があるとして 所 属 弁 護 士 会 の 承 認 を 得 た 場 合 についてはこの 限 りでない 日 本 弁 護 士 連 合 会 多 重 債 務 処 理 事 件 にかかる 非 弁 提 携 行 為 の 防 止 に 関 する 規 程 ( 平 成 14 年 2 月 28 日 会 規 第 50 号 )の 第 2 条 3 項 第 3 条 によると 弁 護 士 又 は 弁 護 士 法 人 が 弁 護 士 法 に 違 反 して 法 律 事 務 を 取 り 扱 い 又 は 事 件 を 周 旋 することを 業 とする 者 から 事 件 の 紹 介 を 受 ける 行 為 は 禁 止 されている 4
(2)これまでに 借 金 をしたことがある 人 や 現 在 債 務 のある 人 は 特 に 注 意 をすること 債 務 情 報 をもとに 消 費 者 をねらって 勧 誘 したり 過 払 い 金 返 還 をうたって 消 費 者 をだますケースがある 債 務 情 報 をもとに 勧 誘 する 者 の 話 は 信 じないこと 内 容 を 不 審 に 感 じたり 断 りきれず 契 約 をしてしまったら すぐに 家 族 や 最 寄 りの 消 費 生 活 センターに 相 談 すること (3) 顔 の 見 える 信 頼 できる 弁 護 士 等 に 相 談 すること 多 重 債 務 問 題 を 解 決 するには 信 用 できる 機 関 に 相 談 することが 非 常 に 大 切 である 消 費 生 活 センターでは 多 重 債 務 相 談 窓 口 を 開 設 している また 弁 護 士 会 等 で 無 料 の 法 律 相 談 を 行 っているところもある まずはそれらの 窓 口 に 相 談 すること 弁 護 士 に 依 頼 をする 際 には 弁 護 士 に 直 接 会 って 相 談 すること 7 なお 債 務 整 理 を する 契 約 を 結 んだ 後 に 疑 問 を 抱 いたら 相 手 の 弁 護 士 等 に 現 状 の 説 明 を 求 めること その 説 明 に 納 得 のいかないときには 弁 護 士 会 等 に 確 認 すること 5. 情 報 提 供 先 消 費 者 庁 消 費 者 情 報 課 地 方 協 力 室 金 融 庁 総 務 企 画 局 企 画 課 信 用 制 度 参 事 官 室 警 察 庁 刑 事 局 捜 査 第 二 課 日 本 弁 護 士 連 合 会 日 本 司 法 書 士 会 連 合 会 日 本 行 政 書 士 会 連 合 会 日 本 司 法 支 援 センター 全 国 クレジット サラ 金 被 害 者 連 絡 協 議 会 < 参 考 : 国 民 生 活 センターホームページの 関 連 情 報 > 多 重 債 務 の 相 談 窓 口 http://www.kokusen.go.jp/map_tajuusaimu/index.html 実 在 する 弁 護 士 名 をかたって 民 事 提 訴 通 知 書 を 送 りつける 架 空 請 求 の 手 口 http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/sn-20070810.html 多 重 債 務 問 題 の 現 状 と 対 応 に 関 する 調 査 研 究 (2006 年 3 月 22 日 ) http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20060322_2.html 7 日 本 弁 護 士 連 合 会 の 債 務 整 理 事 件 処 理 に 関 する 指 針 ( 平 成 21 年 7 月 17 日 理 事 会 議 決 )によると 第 3 条 (1) 直 接 面 談 の 原 則 では 債 務 整 理 事 件 を 受 任 するに 際 しては 次 に 掲 げる 場 合 等 の 特 段 の 事 情 のある 場 合 を 除 き 弁 護 士 が 委 任 者 である 債 務 者 と 直 接 面 談 を 行 い 債 務 の 内 容 生 活 状 況 等 を 聴 き 取 り 債 務 者 の 現 状 を 十 分 に 把 握 した 上 で 事 件 処 理 についての 見 通 し 等 を 説 明 するものとすること とある 5
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