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Transcription:

公 調 委 平 成 23 年 (ゲ) 第 8 号 富 士 市 における 医 療 施 設 等 からの 騒 音 低 周 波 音 による 健 康 被 害 原 因 裁 定 申 請 事 件 裁 定 静 岡 県 富 士 市 申 請 人 A 同 所 申 請 人 B 静 岡 県 富 士 市 被 申 請 人 株 式 会 社 a 同 代 表 者 代 表 取 締 役 C 静 岡 県 富 士 市 被 申 請 人 医 療 法 人 b 同 代 表 者 理 事 長 被 申 請 人 ら 代 理 人 主 D E 文 申 請 人 らの 本 件 裁 定 申 請 をいずれも 棄 却 する 事 実 及 び 理 由 第 1 当 事 者 の 求 める 裁 定 1 申 請 人 ら 申 請 人 らが 被 った 自 律 神 経 失 調 症 動 悸 めまい 不 眠 症 状 等 は, 被 申 請 人 らが 開 設 した 病 院 等 の 空 調 室 外 機, 排 気 ダクト,ボンベ 等 から 発 生 する 低 周 波 音 騒 音 による,との 裁 定 を 求 める 2 被 申 請 人 ら 主 文 と 同 旨 1

第 2 事 案 の 概 要 本 件 は, 申 請 人 らが, 被 申 請 人 らが 経 営 する 医 療 施 設 の 設 備 から 発 生 する 騒 音 低 周 波 音 によって 自 律 神 経 失 調 症 等 の 健 康 被 害 を 受 けたと 主 張 して,その 因 果 関 係 に 関 する 原 因 裁 定 を 求 める 事 案 である 1 前 提 事 実 ( 当 事 者 間 に 争 いのない 事 実, 文 中 掲 記 の 各 証 拠 及 び 審 問 の 全 趣 旨 により 容 易 に 認 められる 事 実 ) (1) 当 事 者 ア 申 請 人 らは 内 縁 の 夫 婦 であり, 平 成 10 年 11 月 から, 静 岡 県 富 士 市 上 の 家 屋 ( 以 下 申 請 人 宅 という )に 居 住 している イ 被 申 請 人 株 式 会 社 aは, 病 院 等 の 経 営 等 を 目 的 とする 株 式 会 社 であり, 平 成 20 年 12 月, 同 市 に 鉄 筋 コンクリート 造 り4 階 建 ての 建 物 ( 以 下 被 申 請 人 施 設 という 床 面 積 は,1 階 1086m2,2 階 117 4m2,3 階 4 階 1476m2)を 建 築 し,これを 所 有 している 被 申 請 人 医 療 法 人 bは, 平 成 21 年 1 月, 被 申 請 人 施 設 においてcを 開 設 し,これを 経 営 する 医 療 法 人 である (2) 被 申 請 人 施 設 の 概 要 等 ( 事 実 調 査 の 結 果 ) ア 申 請 人 宅 と 被 申 請 人 施 設 の 位 置 関 係 は 別 紙 1 周 辺 地 図 のとおりであ り, 両 建 物 の 間 隔 は 約 50mで,その 間 に 遮 蔽 物 は 存 在 しない イ 被 申 請 人 施 設 では,1 階 西 側 の 部 屋 に, 各 病 室 で 痰 吸 引 器 を 作 動 させる ためのポンプが2 台 ( 以 下 痰 吸 引 ポンプ といい,この 部 屋 を ポンプ 室 という ),1 階 東 側 の 壁 面 に 検 査 室 用 のエアコン 空 調 室 外 機 が9 台 ( 以 下 東 側 室 外 機 という ),2 階 西 側 のベランダに 厨 房 用 の 換 気 設 備 ( 以 下 厨 房 換 気 扇 という )1 台 とエアコン 空 調 室 外 機 が2 台 ( 以 下 厨 房 室 外 機 という ), 屋 上 東 側 に 共 用 施 設 用 の 大 型 空 調 室 外 機 が 多 数 ( 以 下 屋 上 室 外 機 群 という ), 屋 上 西 側 に 浴 室 用 給 湯 設 備 が1 台 ( 以 下 屋 上 給 湯 器 という ) 設 置 されるなど, 多 くの 設 備 機 器 が 2

設 置 され 稼 働 している (3) 本 件 に 至 る 経 緯 の 概 要 申 請 人 らは,cが 開 設 されて 間 もなく, 被 申 請 人 施 設 から 発 生 する 設 備 稼 働 音 について 苦 情 を 述 べるようになった これに 対 し, 被 申 請 人 らにおいても, 厨 房 換 気 扇 に 覆 いを 設 置 したり, 厨 房 換 気 扇 と 厨 房 室 外 機 が 稼 働 する 時 間 を 午 前 6 時 から 午 後 6 時 までの 間 に 限 定 するなどの 措 置 を 採 り,また, 設 備 業 者 に 依 頼 して, 騒 音 や 低 周 波 音 を 測 定 するなどしたが, 申 請 人 らが 主 張 する 騒 音 源 の 究 明 には 至 らず, 申 請 人 ら の 苦 情 も 一 向 に 収 まらなかった( 平 成 23 年 7 月 から 同 年 10 月 までの 間 に, 夜 間 早 朝 の 電 話 による 苦 情 が32 回 なされたとの 報 告 がある 乙 5 ) 2 当 事 者 の 主 張 (1) 申 請 人 らの 主 張 ア 騒 音 発 生 の 態 様 及 び 騒 音 の 程 度 被 申 請 人 らは, 被 申 請 人 施 設 に 設 置 した 空 調 室 外 機, 排 気 ダクト, 入 院 患 者 の 痰 吸 引 器 等 のバキューム 音,その 他 振 動 を 昼 夜 の 別 を 問 わず24 時 間 発 生 させている これらの 騒 音 は, 夜 間 ( 午 後 9 時 ころから 翌 午 前 7 時 ころまで)がひどく, 雨 の 降 る 日 の 夜 間 は, 風 雨 の 音 にまぎれて 聞 こえな いと 思 っているのか, 特 にひどい これらの 音 の 大 部 分 は 低 周 波 音 騒 音 であり, 音 として 認 識 できなくて も 心 身 に 悪 影 響 を 与 える 可 能 性 のある 不 快 波 であるが,さらに, 音 として の 測 定 値 においても, 平 成 21 年 1 月, 申 請 人 宅 敷 地 内 に80dBを 超 える 騒 音 を 到 達 させた その 後, 静 岡 県 生 活 環 境 課 からの 問 合 せ 等 もあったた めか, 被 申 請 人 らは, 平 成 23 年 7 月 下 旬, 排 気 ダクトの 方 向 を 変 える 等 の 措 置 を 採 ったが, 現 在 においても50dBを 超 える 騒 音 を 申 請 人 宅 敷 地 内 に 到 達 させている なお, 騒 音 の 大 本 は, 屋 上 室 外 機 群 から 発 生 する 騒 音 低 周 波 音 である さらに, 被 申 請 人 施 設 において 痰 吸 引 が 始 まると, 3

ブッシュブッシュ という 音 が 響 き,ポンプ 室 からも ザーザー とい う 音 が 聞 こえる また, 本 件 裁 定 申 請 書 提 出 後, 申 請 人 らは, 騒 音 低 周 波 音 だけでなく, 振 動 にも 悩 まされるようになった 以 前 にも, 被 申 請 人 施 設 からの 騒 音 に より, 申 請 人 宅 の 窓 ガラスがピリピリと 音 を 出 すほどの 振 動 が 到 達 してい たが,それがさらにひどくなった イ 被 申 請 人 らの 対 応 申 請 人 らは, 当 初 は 被 申 請 人 施 設 の 騒 音 発 生 源 の 調 査 に 協 力 してくれて いたが,その 結 果, 原 因 が 屋 上 室 外 機 群 であると 判 明 した 途 端, 態 度 を 豹 変 させて どこから 音 が 出 ているのか 分 からない 自 分 たちは 音 を 出 していない と 主 張 し 始 めた また, 申 請 人 らが, 音 がうるさくて 我 慢 できないときは 申 請 人 宅 ベランダの 電 灯 をつけて 合 図 をする 旨 伝 えていた ところ, 被 申 請 人 らはこれについても 当 初 は 協 力 してくれ, 合 図 をすると 音 量 を 下 げてくれていたが, 次 第 に 申 請 人 らがベランダの 電 灯 を 消 すと 元 の 騒 音 を 発 生 させるようになり,その 後 は 合 図 をしても 音 量 を 下 げること をしなくなった なお, 静 岡 県 が, 被 申 請 人 らに 対 し, 申 請 人 らの 合 図 で 音 量 を 下 げているかどうか 尋 ねたところ, 被 申 請 人 らは,そのようなこと はしていないと 否 定 した また, 被 申 請 人 らは, 富 士 市 や 静 岡 県 から 申 請 人 らの 苦 情 の 連 絡 を 受 けると,その 日 は 音 量 を 下 げるものの, 翌 日 からは 元 の 音 量 に 戻 すなど, 誠 意 ある 対 応 協 力 をしているとはいえない ウ 申 請 人 らの 被 害 これらの 騒 音 低 周 波 音 が 昼 夜 の 別 を 問 わず 申 請 人 宅 に 到 達 した 結 果, 申 請 人 らの 体 調 は 著 しく 悪 化 するに 至 り, 申 請 人 らには, 自 律 神 経 失 調 症, 動 悸,めまい, 不 眠 症 等 の 症 状 が 発 生 している また, 平 成 23 年 12 月 3 日 以 降 は, 屋 上 室 外 機 群 から 発 する 音 が,そ れまでの 音 とは 違 う 音 になった このため, 申 請 人 宅 に 更 にひどい 振 動 を 4

及 ぼすようになり, 申 請 人 らは 寝 ることができず,めまいや 吐 き 気 がして 体 調 が 一 層 悪 化 した (2) 被 申 請 人 らの 主 張 ア イ 申 請 人 らの 主 張 する 事 実 をいずれも 否 認 する 申 請 人 らは, 当 初, 厨 房 換 気 扇 のダクトから 発 生 する 音 を 気 にしていた ので, 被 申 請 人 らは, 平 成 21 年 2 月,それを 隠 す 工 事 を 行 った また, 被 申 請 人 は, 厨 房 の 委 託 業 者 に 対 し, 厨 房 の 換 気 扇 と 空 調 機 の 使 用 を 午 前 6 時 から 午 後 6 時 までに 限 定 するよう 依 頼 し,それ 以 来,このルールは 遵 守 されている さらに, 平 成 23 年 8 月, 申 請 人 宅 の 方 に 向 いていたポン プ 室 の 排 気 口 を 別 の 方 向 に 変 える 工 事 を 行 った 被 申 請 人 らは, 申 請 人 らの 主 張 する 騒 音 の 発 生 源 が 分 からない 上, 痰 吸 引 の 音 が50m 離 れた 申 請 人 宅 に 到 達 するのか 理 解 しがたい 部 分 もある 申 請 人 らは, 夜 間 早 朝 でもかまわず 被 申 請 人 施 設 に 電 話 をかけてきて, 激 高 した 口 調 で 話 して,いきなり 電 話 を 切 ることを 繰 り 返 しており, 被 申 請 人 らにとっても 苦 痛 となっている 第 3 当 裁 定 委 員 会 の 判 断 1 申 請 人 らの 健 康 被 害 について 申 請 人 らは, 本 件 裁 定 申 請 において, 申 請 人 らの 自 律 神 経 失 調 症 動 悸 め まい 不 眠 症 状 等 と 被 申 請 人 施 設 から 発 生 する 騒 音 低 周 波 音 との 間 に 因 果 関 係 があることを 主 張 するが, 証 拠 ( 甲 4)によれば, 自 律 神 経 失 調 症 に 罹 患 し, 動 悸 と 不 眠 を 訴 えているのは 申 請 人 Aのみであり, 申 請 人 Bについては, 本 件 全 証 拠 に 照 らしても, 上 記 のような 疾 患 や 症 状 を 認 めることができない したがって, 申 請 人 Bについては,そもそも 健 康 被 害 の 存 在 を 認 めることが できないから, 被 申 請 人 施 設 における 騒 音 低 周 波 音 発 生 の 有 無 やその 程 度 等 を 検 討 するまでもなく,その 申 請 には 理 由 がない 2 申 請 人 Aの 疾 患 等 と 設 備 稼 働 音 との 間 の 因 果 関 係 について 5

(1) 被 申 請 人 施 設 から 発 生 する 騒 音 低 周 波 音 のレベル ア 富 士 市 役 所 による 測 定 結 果 ( 乙 4) 富 士 市 役 所 は, 申 請 人 らからの 苦 情 を 受 け, 平 成 23 年 11 月 1 日 午 後 8 時 52 分 から 同 日 午 後 9 時 58 分 にかけて, 被 申 請 人 施 設 の 敷 地 境 界 ( 北 西 角 )で 騒 音 の 測 定 を 実 施 するとともに,ポンプ 室 ドア 西 側 の 柱 付 近 及 び 同 ドア 直 近 において, 低 周 波 音 の 測 定 を 実 施 した なお,この 測 定 は, 被 申 請 人 らに 事 前 通 知 せずに 実 施 されたものである その 結 果, 敷 地 境 界 ( 北 西 角 )において 等 価 騒 音 レベル( 以 下, 単 に 騒 音 レベル という )が45.8dB,ポンプが 作 動 していない 状 態 の 騒 音 レベルが42.7dB,ポンプ 作 動 時 の 騒 音 レベルが44.3dBであっ た また, 低 周 波 音 の 測 定 結 果 は, 別 紙 2 低 周 波 音 ( 各 周 波 数 ごとの 音 圧 レベル) のとおりである イ 公 調 委 事 務 局 による 測 定 結 果 ( 職 1) 公 調 委 事 務 局 は, 倉 片 憲 治 専 門 委 員 ( 以 下 倉 片 専 門 委 員 という ) の 指 導 の 下, 平 成 24 年 5 月 8 日 午 前 0 時 ころから 同 日 午 前 2 時 ころまで, 申 請 人 宅 内 (1 階 及 び2 階 の 被 申 請 人 施 設 側 の 窓 付 近 )において, 被 申 請 人 施 設 に 設 置 された 屋 上 室 外 機 群, 屋 上 給 湯 器, 厨 房 換 気 扇, 厨 房 室 外 機, 痰 吸 引 ポンプ 及 び 東 側 室 外 機 ( 以 下,まとめて 測 定 対 象 機 器 とい う )を 対 象 とした 騒 音 低 周 波 音 の 測 定 調 査 を 実 施 した( 以 下 事 務 局 測 定 調 査 という ) 具 体 的 には,あらかじめ 定 めた 計 画 に 従 って, 前 半 後 半 の2 回 にわた り 測 定 対 象 機 器 を 順 次 稼 働 停 止 させ, 測 定 対 象 機 器 のいずれか 一 つ, 複 数 又 は 全 部 が 同 時 に 稼 働 する 状 況 で, 申 請 人 宅 内 の 窓 を 閉 めた1 階 居 間 及 び 窓 を 開 けた2 階 寝 室 において,それぞれ 騒 音 低 周 波 音 を 測 定 記 録 し た また, 事 前 に, 倉 片 専 門 委 員 が 各 測 定 対 象 機 器 の 直 近 にて 個 別 の 稼 働 音 を 測 定 記 録 しており,これと 申 請 人 宅 で 測 定 記 録 した 騒 音 低 周 波 6

音 の 周 波 数 成 分 を 比 較 することによって,どの 機 器 の 発 生 する 音 が 申 請 人 宅 内 に 伝 搬 しているかを 検 証 した なお, 屋 上 室 外 機 群 については, 室 温 の 関 係 上, 通 常 の 温 度 設 定 のまま では 計 画 どおりに 稼 働 しない 可 能 性 があったため, 最 大 の 稼 働 状 況 が 確 保 できるよう, 前 半 は 最 高 温 度 (28 度 )の 暖 房, 後 半 は 最 低 温 度 (18 度 )の 冷 房 に 設 定 した( 結 果 的 にも,その 稼 働 状 況 は 概 ね 計 画 どおりとな った ) こうした 事 務 局 測 定 調 査 の 結 果 は, 倉 片 専 門 委 員 が 富 士 市 における 医 療 施 設 等 からの 騒 音 低 周 波 音 による 健 康 被 害 原 因 裁 定 申 請 事 件 現 地 測 定 調 査 結 果 報 告 書 ( 職 1 以 下 専 門 委 員 報 告 書 という )としてま とめているが,そのうち, 騒 音 低 周 波 音 の 測 定 結 果 の 概 要 は 次 のとおり である (ア) 申 請 人 宅 1 階 ( 窓 閉 め 状 態 )における 騒 音 低 周 波 音 のレベル 騒 音 レベルは, 調 査 時 間 全 体 を 通 して20dB 前 後 であり, 最 大 でも 23dBであった また, 測 定 対 象 機 器 の 稼 働 状 況 との 対 応 関 係 を 見 て も, 各 機 器 の 稼 働 停 止 に 応 じた 騒 音 レベルの 変 化 は 認 められず, 特 に, 全 ての 測 定 対 象 機 器 が 稼 働 した 時 間 帯 においても, 騒 音 レベルが 増 加 したということは 認 められなかった さらに, 個 別 の 機 器 固 有 の 周 波 数 成 分 に 着 目 してみても, 申 請 人 宅 1 階 では,それぞれの 機 器 に 対 応 する 特 徴 的 な 周 波 数 成 分 は 観 測 され なかった (イ) 申 請 人 宅 2 階 ( 窓 開 け 状 態 )における 騒 音 低 周 波 音 のレベル 騒 音 レベルは, 調 査 時 間 全 体 を 通 して35dB 前 後 であり, 最 大 で40 dbであった 窓 を 開 けて 測 定 したため, 室 外 の 騒 音 によるレベル 変 動 が 大 きく,また, 全 体 として1 階 居 間 よりも 高 いレベルとなった も っとも, 測 定 対 象 機 器 の 稼 働 状 況 との 対 応 関 係 を 見 ると,1 階 と 同 様, 7

各 機 器 の 稼 働 停 止 に 応 じた 騒 音 レベルの 変 化 は 認 められず, 全 ての 測 定 対 象 機 器 が 稼 働 した 時 間 帯 においても,その 前 後 の 時 間 帯 と 大 き く 異 なるものではなかった また, 個 別 の 機 器 固 有 の 周 波 数 成 分 に 着 目 してみても, 痰 吸 引 ポン プの 稼 働 音 に 特 徴 的 な 周 波 数 成 分 (578Hz,1159Hz)が 聴 覚 閾 値 を 上 回 って 確 認 できた(578Hzにつき 約 20dB,1159Hzにつ き 約 15dB)ほかは,それぞれの 機 器 に 対 応 した 周 波 数 成 分 は 明 確 に 確 認 できなかった (2) 測 定 対 象 機 器 の 稼 働 と 申 請 人 らの 体 感 報 告 との 対 応 関 係 ( 職 1) 事 務 局 測 定 調 査 においては, 申 請 人 宅 内 での 騒 音 低 周 波 音 の 測 定 と 並 行 して, 測 定 対 象 機 器 の 稼 働 停 止 の 状 況 と 申 請 人 らの 体 感 ( 音 の 聞 こえ, 振 動 の 感 覚 等 )が 対 応 しているか 否 かを 確 認 するために, 調 査 時 間 中, 申 請 人 らに 対 して 個 別 に 聴 き 取 り 調 査 を 実 施 した その 結 果 については, 専 門 委 員 報 告 書 にまとめられているが, 概 要 は 次 のとおりである ア 屋 上 室 外 機 群 との 対 応 関 係 について 申 請 人 ら 両 名 につき, 屋 上 室 外 機 群 の 稼 働 停 止 に 対 応 した 体 感 報 告 の 変 化 は 認 められなかった イ 屋 上 給 湯 器 との 対 応 関 係 について 申 請 人 ら 両 名 につき, 屋 上 給 湯 器 の 稼 働 停 止 に 対 応 した 体 感 報 告 の 変 化 は 認 められなかった ウ 厨 房 換 気 扇 との 対 応 関 係 について 申 請 人 Bについては, 申 請 人 宅 2 階 における 聴 き 取 り 調 査 中, 厨 房 換 気 扇 が 稼 働 していた 時 間 帯 に, 何 らかの 音 に 反 応 していた 可 能 性 が 認 められ た しかし, 事 務 局 測 定 調 査 では,その 音 が 厨 房 換 気 扇 から 発 生 したもの であるかどうか 特 定 するに 至 らなかった 他 方, 申 請 人 Aについては, 厨 房 換 気 扇 の 稼 働 停 止 に 対 応 した 体 感 報 8

告 の 変 化 は 認 められなかった エ 厨 房 室 外 機 との 対 応 関 係 について 申 請 人 ら 両 名 につき, 厨 房 室 外 機 の 稼 働 停 止 に 対 応 した 体 感 報 告 の 変 化 は 認 められなかった オ 痰 吸 引 ポンプとの 対 応 関 係 について 申 請 人 Bについては, 申 請 人 宅 2 階 における 聴 き 取 り 調 査 時 に, 痰 吸 引 ポンプの 稼 働 音 に 反 応 していた 可 能 性 が 認 められた 他 方, 申 請 人 Aについては, 痰 吸 引 ポンプの 稼 働 停 止 に 対 応 した 体 感 報 告 の 変 化 は 認 められなかった カ 東 側 室 外 機 との 対 応 関 係 について 申 請 人 ら 両 名 につき, 東 側 室 外 機 の 稼 働 停 止 に 対 応 した 体 感 報 告 の 変 化 は 認 められなかった (3) 判 断 騒 音 については, 前 記 (1)アの 富 士 市 役 所 による 測 定 結 果 によれば, 被 申 請 人 施 設 敷 地 境 界 における 暗 騒 音 のレベルは 高 くても46dBであり, 痰 吸 引 ポンプが 稼 働 している 状 況 においても, 敷 地 境 界 ではほとんどそのレベルに 変 化 が 見 られない(なお, 測 定 状 況 が 明 らかでない 設 備 業 者 による 測 定 結 果 乙 1,2 を 参 照 しても,ポンプ 室 直 近 での 騒 音 レベルは50ないし60 db 程 度 である ) しかも, 申 請 人 宅 と 被 申 請 人 施 設 との 間 には 約 50mの 距 離 があり,この 程 度 の 距 離 があれば, 理 論 上 の 減 衰 効 果 が 高 く, 申 請 人 宅 に 伝 搬 する 騒 音 のレベルは 相 当 低 減 される 実 際 に, 事 務 局 測 定 調 査 におい ては, 全 測 定 対 象 機 器 の 同 時 稼 働 時 を 含 めて 申 請 人 宅 での 騒 音 レベルに 大 き な 変 動 は 認 められていない なお, 事 務 局 測 定 調 査 では, 窓 を 開 けた2 階 寝 室 において 最 大 騒 音 レベル40dBを 記 録 しているが,かかる 数 値 も 測 定 対 象 機 器 の 稼 働 音 を 捉 えたものか 不 明 である 全 測 定 対 象 機 器 稼 働 時 にも40d Bには 達 していないこと( 専 門 委 員 報 告 書 11 頁 参 照 )から, 測 定 対 象 機 器 9

以 外 の 音 が 影 響 したと 考 えられる 以 上 のことから, 被 申 請 人 施 設 の 設 備 稼 働 音 が 騒 音 として 申 請 人 宅 に 伝 搬 するレベルは, 全 体 として 極 めて 低 いもの と 考 えられる また, 低 周 波 音 については, 事 務 局 測 定 調 査 の 結 果 によれば,いずれの 測 定 対 象 機 器 が 稼 働 しているときにも,その 機 器 から 発 生 する 低 周 波 音 が, 申 請 人 宅 に 聴 覚 閾 値 を 超 えて 伝 搬 していることはほとんど 認 められない さらに, 申 請 人 Aは, 事 務 局 測 定 調 査 における 体 感 の 聴 き 取 り 調 査 中, 様 々な 表 現 で 自 らの 体 感 状 況 を 報 告 しているが,こうした 体 感 報 告 は,いずれ の 測 定 対 象 機 器 の 稼 働 とも 対 応 関 係 が 認 められておらず,このことは 専 門 委 員 報 告 書 においても 指 摘 されている この 点, 申 請 人 Aは, 事 務 局 測 定 調 査 における 体 感 の 聴 取 方 法 に 問 題 がある 旨 の 意 見 を 述 べるが, 調 査 時 にはその ようなことは 述 べておらず, 体 感 報 告 の 内 容 を 見 ても, 淡 々と 自 己 の 体 感 状 況 を 報 告 していることからすれば, 聴 取 方 法 自 体 に 問 題 があったとは 思 われ ない また, 申 請 人 Aは,1 回 の 調 査 のみでは 騒 音 レベルや 体 感 との 対 応 関 係 は 判 明 しないとの 意 見 も 述 べるが, 事 務 局 測 定 調 査 では, 効 率 的 かつ 適 確 にこれらを 把 握 できるように,あらかじめ 測 定 対 象 機 器 を 特 定 し,その 稼 働 停 止 の 計 画 を 立 て,その 計 画 どおりに 前 半 後 半 の2 回 にわたり 機 器 を 稼 働 させて 申 請 人 らの 体 感 との 対 応 関 係 を 検 証 したのであるから, 上 記 意 見 は 的 を 射 ておらず, 使 用 した 騒 音 計 の 機 能 や 操 作 状 況 についても 特 段 疑 義 を 生 じさせる 事 情 は 見 当 たらない こうした 申 請 人 宅 に 伝 搬 する 測 定 対 象 機 器 の 騒 音 低 周 波 音 のレベルや 申 請 人 Aの 体 感 報 告 との 対 応 関 係 を 総 合 すると, 申 請 人 Aが 聞 こえるという 騒 音 低 周 波 音 の 発 生 源 は, 少 なくとも 測 定 対 象 機 器 ではないと 判 断 するのが 相 当 であり,また, 測 定 対 象 機 器 の 選 定 は, 申 請 人 らも 立 ち 会 った 公 調 委 事 務 局 による 事 実 調 査 ( 平 成 24 年 1 月 26 日 実 施 )を 踏 まえて 行 ったもので, 被 申 請 人 施 設 において 騒 音 源 となり 得 る 設 備 をほぼ 網 羅 していることからす 10

れば, 申 請 人 Aが 言 う 騒 音 低 周 波 音 の 発 生 源 が 被 申 請 人 施 設 にはないこと も 推 認 することができる したがって, 申 請 人 Aの 疾 患 等 と, 被 申 請 人 施 設 の 設 備 から 発 生 する 騒 音 低 周 波 音 との 間 に, 因 果 関 係 があると 認 めることはできない なお, 前 記 のとおり, 申 請 人 Bについては, 申 請 人 宅 内 で 窓 を 開 けた 状 態 であれば, 痰 吸 引 ポンプの 稼 働 音 を 聴 き 取 っている 可 能 性 が 認 められるが, その 騒 音 レベルは 極 めて 低 いものであり, 専 門 委 員 報 告 書 においても,その レベルの 騒 音 が 直 ちに 健 康 影 響 をもたらすものとは 言 い 難 いと 報 告 されてい ることに 加 え, 申 請 人 Bの 体 感 報 告 も, 痰 吸 引 ポンプ 以 外 の 機 器 の 稼 働 とは 対 応 しているとは 言 えず,かえって, 測 定 対 象 機 器 のすべてを 停 止 させた 状 態 であっても, 一 定 の 音 の 聞 こえを 報 告 していることからすると, 申 請 人 B が 聞 こえるという 騒 音 低 周 波 音 についても,その 主 たる 発 生 源 が 被 申 請 人 施 設 にあると 考 えることは 困 難 である 3 申 請 人 らの 主 張 立 証 について ところで, 申 請 人 らは, 被 申 請 人 らが 被 申 請 人 施 設 の 設 備 を 操 作 して 意 図 的 に 申 請 人 宅 に 騒 音 低 周 波 音 を 伝 搬 させているかのような 主 張 をするが, 被 申 請 人 施 設 に 設 置 された 設 備 の 多 くは, 医 療 介 護 行 為 や 病 棟 の 管 理 等 に 用 いら れるものであるから, 動 機 も 合 理 性 もない 嫌 がらせ 目 的 でこれらを 操 作 するこ となど 考 えられず, 前 記 のとおり, 測 定 対 象 機 器 の 稼 働 に 伴 う 申 請 人 宅 の 等 価 騒 音 レベルに 変 化 は 見 られないこと, 申 請 人 Aの 体 感 報 告 と 測 定 対 象 機 器 の 稼 働 には 対 応 関 係 が 認 められないことから 見 ても, 申 請 人 らの 主 張 は 被 申 請 人 施 設 に 対 する 不 快 感 から 生 じた 憶 測 にすぎないというべきである また, 申 請 人 らは, 騒 音 低 周 波 音 の 発 生 源 として, 屋 上 室 外 機 群 及 び 痰 吸 引 ポンプを 強 く 主 張 するが,これらの 機 器 についても, 前 記 のとおり, 申 請 人 宅 内 ではその 稼 働 に 伴 う 騒 音 レベルの 変 化 が 認 められないし, 屋 上 室 外 機 群 に ついては,その 稼 働 停 止 と 申 請 人 らの 体 感 報 告 も 対 応 していない そして, 11

痰 吸 引 ポンプの 稼 働 に 関 する 証 拠 ( 乙 6,8)によれば,ポンプ 室 内 には 痰 吸 引 ポンプが2 台 設 置 されており, 被 申 請 人 施 設 においては,これらによる 真 空 圧 を 利 用 して, 各 病 室 等 の 痰 吸 引 器 を 稼 働 させる 仕 組 みとなっていること, 痰 吸 引 ポンプは, 各 痰 吸 引 器 の 使 用 により 真 空 圧 が 一 定 程 度 以 下 になると 自 動 的 に1 台 目 が 作 動 し,さらに 圧 力 の 補 充 が 必 要 な 場 合 に2 台 目 も 作 動 して, 一 定 の 真 空 圧 を 確 保 すると 停 止 するように 設 定 されており,このように2 台 作 動 し て 必 要 な 真 空 圧 を 確 保 するまでの 所 要 時 間 は 約 2 分 であること, 被 申 請 人 施 設 においては, 夜 間, 痰 吸 引 が 必 要 な 入 院 患 者 に 対 して, 通 常 各 1 回, 痰 吸 引 措 置 が 行 われるにすぎないことなどが 認 められ,これらの 事 情 からすると, 痰 吸 引 ポンプの 稼 働 音 が, 通 常 ( 特 に 夜 間 ), 頻 繁 あるいは 長 時 間 にわたり 発 生 し ているとは 考 えられない そうすると, 屋 上 室 外 機 群 及 び 痰 吸 引 ポンプが, 申 請 人 らが 主 張 するような 性 状 の 騒 音 低 周 波 音 の 発 生 源 であるとは 認 められな い さらに, 申 請 人 らは, 被 申 請 人 施 設 の 設 備 稼 働 に 伴 い 振 動 も 発 生 している 旨 主 張 するが, 専 門 委 員 報 告 書 においては, 申 請 人 宅 から 被 申 請 人 施 設 まで 約 5 0mの 距 離 があること, 被 申 請 人 施 設 自 体 に 振 動 が 発 生 しているとの 報 告 はな いこと, 事 務 局 測 定 調 査 の 結 果 によれば, 申 請 人 宅 において 振 動 に 起 因 する 固 体 音 が 発 生 していたとは 窺 われないこと, 申 請 人 Aは 測 定 対 象 機 器 の 全 停 止 時 にも 振 動 感 を 訴 えていることなどから, 被 申 請 人 施 設 の 設 備 に 起 因 する 振 動 と 申 請 人 らが 主 張 する 振 動 との 因 果 関 係 が 否 定 されており,かかる 考 察 を 覆 すに 足 りる 事 情 は 見 当 たらない したがって,これらの 申 請 人 らの 主 張 は,いずれも 合 理 的 根 拠 を 欠 くものと いわざるを 得 ない なお, 申 請 人 らは, 自 ら 騒 音 計 を 用 いて 騒 音 測 定 を 実 施 したとして,その 結 果 を 証 拠 ( 甲 1,2)として 提 出 するが,いずれも 測 定 に 用 いた 機 器 や 暗 騒 音 の 状 況 が 明 らかでない 上, 富 士 市 役 所 や 公 調 委 事 務 局 による 測 定 調 査 の 結 果 に 12

照 らせば, 被 申 請 人 施 設 の 設 備 稼 働 音 が 申 請 人 宅 付 近 に80dBを 超 えるレベル で 伝 搬 することは 到 底 考 えられないし,それ 以 外 の 測 定 値 も, 設 備 稼 働 音 より も 暗 騒 音 が 影 響 している 可 能 性 が 高 いと 考 えられ,いずれにしてもこれを 根 拠 として, 被 申 請 人 施 設 から 申 請 人 宅 へ 伝 搬 する 騒 音 低 周 波 音 のレベルを 判 断 することはできない 4 結 論 以 上 のとおり, 申 請 人 らの 本 件 申 請 には 理 由 がないからいずれも 棄 却 するこ ととし, 主 文 のとおり 裁 定 する 平 成 25 年 3 月 11 日 公 害 等 調 整 委 員 会 裁 定 委 員 会 裁 定 委 員 長 杉 野 翔 子 裁 定 委 員 柴 山 秀 雄 裁 定 委 員 吉 村 英 子 13