3 海外ビジネス進展支援 実績 友好都市である中国廈門市との経済交流を目指し 1999 年度に 市内中小企業の経営者からなる 厦門経済技術交流研究会 の発足支援や 技術研修生受入事業を開始した 研修生受入事業は 厦門市の企業から本市へ若手技術者や観光事業者の若手職員を招聘し 先端技術の習得や本市の観光事業の研修を行い 帰国後の自国の技術発展や本市を対象とした観光商品の開発を行うことで本市企業との取引をはじめとした経済交流を深化させることを目的とするもので 2012 年度までに延べ 14 名が研修を修了した 新たな進出先としての可能性を調査するため 2011 年にはベトナム タイへの視察 ( 佐世保機械金属工業協同組合に同行 ) を行うと共に ASEAN 市場についてのセミナー等を開催 (2013 年 ) した 参考: 市内企業の状況 現在 海外ビジネスを展開している市内企業は 17 社 具体的に計画している企業は 6 社 具体的な計画はないが関心を持っている企業は 64 社となっている 海外ビジネス展開について求める支援については 現地専門機関の紹介 や 実務の専門家への相談窓口 などの個別的な指導 支援のニーズが高い (2012 年 8 月 佐世保商工会議所調査 ( 対象 1,679 社 ) より ) 成果 課題 これまでの成果としては 厦門市との経済分野での人的ネットワークの礎が構築できたことである 今後の課題は 中国技術研修生を活用した企業間の交流や業務提携等への発展 新たな国 都市 特に近年 経済成長が続いている東南アジア諸国等への進出を視野に JETRO などの支援機関と連携した海外ビジネスをサポートできる体制づくり等である 今後の方針 中国厦門市との交流深化に資する技術研修生受入制度を推進する 中小企業等市内事業者に対し 海外ビジネスセミナーや海外ミッションツアーを実施し 海外ビジネスに関する知識の向上と気運の醸成を図るとともに海外進出する際の支援制度のあり方について検討を進める 事業者の相談 依頼事項に対し 外部支援機関との連携強化を図りながら 的確にサポートできる体制を確立する そのうち 中国厦門市については 技術研修生 OB を活用し 現地企業に関する情報提供やアドバイスができる人的ネットワークの強化を図る 13
参考 : 中長期的な海外ビジネスサポート体制のイメージ 海外ビジネスサポート体制イメージ 佐世保市 ( 支援 ) 事業者 ( 経営判断 ) 海外ビジネス情報の提供 パイプ役 海外からモノを仕入れたい! 市場調査 展示会リアルタイムでの情報市場調査 ( 需要 法制度等進出計画策定 ) 進輸入相手先発掘 調査出機会の把握 提案 助言展示会 商談会現地調査 意思決定など 輸入交渉 契約 輸入 海外ビジネスセミナー ミッションツアー 海外向けにモノを売りたい! バイヤーとの契約 輸出 外部支援機関の紹介 連携 海外でモノをつくりたい 売りたい! 拠点設立手続き 広告 営業開始 外部支援機関 (JETRO 中小企業基盤整備機構 ) 4 国際人材の育成 活用 実績 ⅰ 行政 ( 市 ) 2010 年度から 本市職員が国際的な視点での見識を高め 本市各施策の国際化を進めるとともに 本市市政の発展に寄与することを目的とした都市調査団の派遣を行っている 2012 年度までに 韓国坡州市等へ 26 名の職員を派遣した 中国 韓国の社会情勢等や慣習を習得するとともに 人的ネットワークを構築し 観光客誘致や市内事業者の海外ビジネス展開に必要な情報収集 提供 助言ができる人材育成の一環として 2011 年度から 2012 年度にかけて中国厦門市へ職員 1 名を 2012 年度から中国瀋陽市と韓国坡州市へ各 1 名を派遣 ( 研修 ) している ⅱ 市民 姉妹都市等( 米国アルバカーキ市 中国厦門市 瀋陽市 豪州コフスハーバー市 韓国坡州市 釜山広域市西区等 ) との市民訪問団の相互派遣や青尐年相互ホームステイ等の交流事業を展開している 本市の教育方針として 国際社会に貢献する市民の育成 が掲げられおり 各校においても国際交流に積極的に取り組んでいる 2011 年度に 上海航路開設等を見据え 観光 商業 交通 大学 行政の各代表者からなる 外国人観光客ウェルカム協議会 を設置し 外国人観光客受入推進計画 を作成した これに基づき 留学生による観光施設等のモニターツアーや外国人観光客ウェルカムサポーター養成講座を実施した 市内の大学等高等教育機関には 2013 年 5 月現在で約 370 名の留学生 ( 特別聴講生含む ) が修学している 14
成果 課題 ⅰ 行政 ( 市 ) 海外都市調査は 参加職員の国際感覚の涵養につながっている 各施策の企画 立案につなげるために 今後も継続して実施する必要がある 職員派遣研修は 現地の情報 状況が的確 迅速に把握でき 各都市との交流事業の円滑化に貢献している 今後は 現地での人的ネットワークをさらに広げるとともに 観光やビジネス進展につながるよう 現地での本市観光情報の発信や現地商習慣の習得等が求められる ⅱ 市民 これまでに姉妹都市等との交流等により 市民の国際感覚の醸成につながっている ( 国際色豊かなまち と感じる市民の割合は 75.1%(2013 年度市民意識アンケート調査 )) となった 2011 年度から 2012 年度の観光施設等モニターツアーへの参加者は 市内留学生を始め約 60 名となり 観光施設等の改善点が抽出できた また 外国人観光客ウェルカムサポーター養成講座の修了者のうち 登録者は 10 名 (2013.9.1 現在 ) となった 今後の方針 ⅰ 行政 ( 市 ) 調査団派遣 市職員が国際的な見識を高め 本市各施策の国際化を進めるため 海外都市へ職員を派遣し まちづくりや行政経営の方針や取り組み等について調査を行う 研修派遣 現地の社会情勢等や慣習を習得するとともに 人的ネットワークを構築し 適宜 本市への情報提供をできる人材を育成するため 職員派遣研修を継続して実施し 研修後は適切な配置 活用を図る ⅱ 市民 市内各小 中学校 高等学校において国際交流に積極的に取り組む 姉妹都市等との青尐年ホームステイ事業を継続して実施する 本市への訪日教育旅行にあたり 積極的に学校交流を組み入れることで 青尐年の国際理解 国際感覚の醸成につなげる 外国人観光客ウェルカムサポーターの活用を図り 本市を訪れる外国人観光客の受入態勢整備を図る 留学生による 観光施設や商業施設のモニターツアーを実施し 意見等を反映させることで 施設の魅力増を図っていく 市内関係機関と連携し 留学生への支援体制を構築することで 優秀な海外人材の受入と活用を図る 15
5 港湾施設の整備 利用促進 実績 国外との人と物の交流を促進するため かねて 国際航路の開設について検討を進めており 2009 年度から 三浦地区多目的国際ターミナルの整備や埠頭整備 臨港道路の整備を進めている 2011 年度に 佐世保港が長崎港とともに 日本海側拠点港 ( 国際定期旅客機能 ) に選定された 成果 課題 三浦地区多目的国際ターミナルの整備については 計画どおり進捗が図られており 2014 年度中に完成予定である また 釜山港新国際ターミナルは 2015 年初頭に完成する予定であり これに合わせ 釜山との定期航路の開設準備及び航路利用促進のための取組みを行う必要がある 国際クルーズ船の大型化とクルーズ船誘致における都市間競争の激化に対する対応等について検討する必要がある 方向性 佐世保港の多目的国際ターミナル および 釜山港新国際ターミナルの供用開始にあわせ 九州サブゲートウェイ構想の第一歩である佐世保 ~ 釜山航路の開設準備を進めるとともに 佐世保港の優位性を活かし さらには国際情勢を見極めながら国際クルーズ船の誘致活動を強化していく 新たな国際航路の開設など 九州サブゲートウェイ構想の実現に向けた調査研究 関係機関との協議を行う 参考: 高速道路網の整備状況 九州西北部の福岡県 佐賀県 長崎県を結ぶ西九州自動車( 全長約 150 km計画 ) は 2011 年までに 佐賀県境 ~ 佐世保みなとインターチェンジ (IC)~ 相浦中里 IC~ 佐々 IC 間が整備され 佐世保市内の交通渋滞が緩和されるとともに 今後 佐々 ~ 松浦 ~ 伊万里 ~ 唐津間がそれぞれ整備されると 福岡からの所要時間が現状の約 2~3 時間から 約 1 時間半に短縮される見込みである 6 都市間交流促進 調査研究 実績 主に観光を切り口とした交流可能性を探るため 現地の政府 行政や旅行社 JETRO 海外事務所 領事館等の関係機関を訪問し 現地の社会経済情勢や国際観光の状況等を把握するとともに 今後の交流のあり方等について意見交換を行った (2012 年度までに 16 都市実施 ) 現地における本市の知名度や訪問意向 旅行ニーズ等を把握するため 各都市 16
市民へのインターネットによる調査を実施した (2012 年度までに延 9 都市 ) 中国 韓国の姉妹都市等へシティセールスを実施し 本市の魅力を発信するとともに今後の交流計画について協議を行った そのうち 中国瀋陽市と 2011 年に友好交流都市の 韓国釜山広域市西区と 2013 年に国際親善都市の提携を行った 2012 年度から 中国厦門市との関係深化を図るため 厦門市関係職員を協力交流研修員として本市に受け入れている 成果 課題 現地調査の結果 いずれの都市も友好交流の可能性はあるが 観光交流( 観光客の誘致 特産品の販路開拓 ) には 本市の吸引力 ( 魅力 ) と知名度 アクセス利便性が非常に重要であることが認識できた また 佐世保の知名度は 現地調査と Web 調査から 中国 韓国ともに低く 中でも中国の東北部や内陸部は低い状況であった 今後 まずは本市の知名度向上が不可欠であり 費用対効果や資源の有効活用の視点から 拠点都市 重点連携都市を中心とした情報発信戦略を展開していく必要がある 方向性 調査研究 中国 韓国の姉妹都市等については これまでの友好交流を維持しながらも これらの都市を足がかりとした各国や地域で観光 ビジネス面での交流への発展を目指す そのために 適宜 各都市への情報発信を行うとともに 拠点都市や重点連携都市については 現地政府 行政機関や関係機関との情報 意見交換を行い ビジネスチャンスの把握とプロジェクト化に努める また 新興国については 交流または進出の足がかり構築に向けて 社会 経済情勢に関する調査研究をさらに進めることとする 戦略コーディネート 調査研究結果が成果の獲得につながるよう 庁内関係部局との連携 協力 戦 略全体のコーディネートを行う 庁内関係部局において 各戦略事業の効果測定 評価を行い その結果をもと に 適宜 本活動指針に掲げるターゲットや戦略事業の見直しを図る 外国人観光客ウェルカム協議会 を活用し 外国人観光客受入推進計画に基づ く受入態勢の整備や観光客誘致を進めるとともに 新たな国際航路 空路の誘 致等を含めた九州サブゲートウェイ構想について庁内プロジェクト会議にて調 査研究及び協議を行う 17
7 指針の推進各戦略事業の着実な推進による目標達成を目指し 適宜 庁内関係部局との情報共有 連携を図る なお 観光インバウンド促進は 国や県 他都市 また 民間事業者との連携 協力が不可欠であることから 既存の連携軸を基調としながら柔軟に進めるものとする (1) 目標 成果指標 目指す都市像 10 年後 (2021 年 ) 多文化との交流により魅力 活力が高まる都市 ~ 国際観光と経済交流の促進 成果指標 : 市民総生産 ;10 年後に現在値の維持 基本方針 5 年間 (2011~2016 年 ) 第 1 段階 (2011~2015 年 ) 国際観光の促進と国際人材の育成 活用 成果指標 : 訪日外国人数 ;5 年後に 30 万人 / 年 第 2 段階 (2016~2020 年 ) 国際観光の活性化と海外ビジネスの進展 戦略重点事業 (2013~2015 年 ) 1 釜山航路開設準備 利用促進 2 都市間交流促進 調査研究 成果指標 : 認知度 ;3 年後に現状値より向上 3 観光インバウンドの促進 成果指標 : 訪日外国人数 ;3 年後に現状値より向上 4 国際人材の育成 活用 成果指標 : 職員派遣制度の推進 (2) 体制 1 企画部 ( 国際政策課 ) は 観光 ビジネス等の取組みの可能性が見込まれる都市の調査を行う 都市調査では 現地の文化 観光 ビジネスの情報を収集し 併せてシティセールスを行う 行政または関係機関と協議し 観光を主眼とした交流の可能性について調査する 2 企画部 ( 国際政策課 ) は 交流実現に向けて庁内関係部局 ( 観光物産振興局 農水商工部 港湾部 総務部 教育委員会等 ) 及び都市 ( 行政 ) 等間で協議を重ね 具体的な交流意向の確認など一定の道筋がついた都市について 関係部局へ引き継ぐ ( 紹介する ) 3 企画部 ( 国際政策課 ) は 観光交流から技術交流 ビジネスなどへの発展の可能性について 随時 情報収集 調査を行い 関係部局へ引き継ぐ ( 紹介する ) 4 横断的な案件への対応など 企画部 ( 国際政策課 ) にて目的 所管を整理し 関係部局で情報共有や対応検討等を行う 18
5 重点施策については 重点プロジェクト推進本部会議にて審議 意思決定をはか る 広域連携による取り組み現時点におけるターゲット ( 各国主要都市 ) は 本市と比較し人口規模が格段に大きいことから 本市単独で戦略事業を進めていくことが効果的でないものがある とくに 観光分野においては 旅行商品の企画やPRにおいて 国 県や近隣都市 九州圏各都市との連携は不可欠である そこで 既存のネットワーク ( 新観光圏や九州北部の観光都市間の連携等 ) における連携強化はもとより 九州圏広域地方計画における長崎 佐世保 環大村湾都市圏 ( 下図参照 ) や 九州各都市との新たな関係構築により 本市への誘客増進につなげることとする また 産業分野においては 広域的な産学官連携組織 ( 西九州テクノコンソーシアム ) での連携や 異業種間の交流を図り 技術力向上や新製品開発につなげていく 佐世保港を基点とする物流については 既にアジアのゲートウェイとして機能している博多港や国際航路を有する伊万里港 長崎港など近隣港との競合はあるものの 国際航路開設を契機とし地理的優位性等を活かした独自の貨物の発掘や現存する貨物においても佐世保港の利用促進につながるような検討を進めることとする また 本市へのインバウンド客増加を図るため 長崎県等と連携し 国際線 ( 航路 空路 ) の利便性向上 チャーター便の誘致 国際クルーズ船の誘致等の取り組みを行う 国 県 広域連携 ( 観光インバウンド促進 ) 訪日外国人観光客数 : 九州全体で 100 万人 国土交通省 九州圏広域地方計画 長崎県 アジア 国際戦略 佐世保市 国際戦略活動指針 ハウステンボス 観光ビジネス都市 九州観光推進機構 北九州 福岡大分 別府 地図は基幹都市連携軸 ( 九州圏広域地方計画 国土交通省 ) より 19
ハウステンボスとの連携ハウステンボスは 本年 4 月から新たに 観光ビジネス都市 としての街づくりやアジアからの誘客 100 万人を目指した事業展開を図っている 本市は ヨーロッパの街並みや規模の大きさといった本来の魅力や 開業 ( 平成 4 年 ) 来のインバウンド戦略で蓄積されたノウハウや現地ネットワーク さらには経営主体が海外拠点および現地ネットワークを多くもつ旅行社である といったハウステンボスの強みを最大限に生かし ハウステンボス との協力体制のもと 観光戦略を推進することとする 20
参考 1: 国の選定方法 2009 年度の本市分析調査結果 国の政策 *1 本市の観光 ビジネスの実績*2 本市都市調等を踏まえ絞込みを行った *1: 訪日外国人 3,000 万人プログラム の最重点市場 韓国 中国 台湾 米国 香港 日本再生戦略( アジア太平洋経済戦略 ) 中国 韓国 台湾 ASEAN ほか ビジット ジャパン事業 14 市場のうちの東南アジア地域 タイ シンガポール マレーシア インドネシア 2013 年 7 月ビザ免除及び緩和国 タイ マレーシア べトナム フィリピン インドネシア *2: 外国人観光客が比較的多い国 韓国 台湾 香港 中国 海外ビジネス実績が比較的多い国 中国 韓国 拠点都市分野エリア 重点連携都市ビジネス交流全般観光 ( 県連携等 ) 中国 東北 華北 遼寧省瀋陽市 山東省青島市 北京市 遼寧省大連市 華中 * 寧波を削除 江蘇省蘇州市 上海市 浙江省杭州市 湖北省武漢市 華南 福建省厦門市 韓 北部 京畿道坡州市 国 ソウル特別市 南部 釜山広域市西区 釜山広域市 香港 香港 台湾 台北市 シンガポール シンガポール タイ バンコク マレーシア クアラルンプール ベトナム ハノイ ホーチミン インドネシア ジャカルタ フィリピン マニラ 特に該当 該当 21
佐世保市国際戦略活動指針第 2 版 2013~2015 年度 第 1 刷 (Ver1.0) 2012 年 11 月第 2 刷 (Ver1.1) 2013 年 5 月改訂版 (Ver2.0) 2013 年 10 月佐世保市企画部国際政策課 0