資産運用として考える アパート・マンション経営

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第42回 重要事項説明書とは?(賃貸編)

〔問 1〕 Aは自己所有の建物をBに賃貸した

借地権及び法定地上権の評価 ( 競売編 ) 出典 : 株式会社判例タイムズ出版 別冊判例タイムズ第 30 号 借地権の評価 第 1 意義 借地権とは 建物所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう ( 借地法 1 条 借地 借家法 2 条 1 号 ) 第 2 評価方法 借地権の評価は 建付地価格に

賃貸住宅の退去時に伴う原状回復に関するトラブル

民法 ( 債権関係 ) の改正における経過措置に関して 現段階で検討中の基本的な方針 及び経過措置案の骨子は 概ね以下のとおりである ( 定型約款に関するものを除く ) 第 1 民法総則 ( 時効を除く ) の規定の改正に関する経過措置 民法総則 ( 時効を除く ) における改正後の規定 ( 部会資

5 仙台市債権管理条例 ( 中間案 ) の内容 (1) 目的 市の債権管理に関する事務処理について必要な事項を定めることにより その管理の適正化を図ることを目的とします 債権が発生してから消滅するまでの一連の事務処理について整理し 債権管理に必要 な事項を定めることにより その適正化を図ることを目的

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賃貸住宅紛争防止条例&賃貸住宅トラブル防止ガイドライン 改訂版(リーフレット)

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第 5 無効及び取消し 1 法律行為が無効である場合又は取り消された場合の効果法律行為が無効である場合又は取り消された場合の効果について 次のような規律を設けるものとする (1) 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は 相手方を原状に復させる義務を負う (2) (1) の規定にかかわらず

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〔問 1〕 抵当権に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか

〔問 1〕 A所有の土地が,AからB,BからCへと売り渡され,移転登記も完了している

1 納税義務者ご本人が窓口に来られる場合 3 申請者欄に ご本人の住所 ( 運転免許証等の本人確認書類で確認できる住所 ) 氏名 連絡先電話番号をご記入ください ( 使者欄はご記入不要です ) 4 証明 閲覧の対象となる固定資産の納税義務者が ご本人である場合は 申請者に同じ のチェックボックス (

マンション管理の現状と課題

2 リース会計に関する論点の整理注釈 38によると 借地権 ( 借地借家法の適用のないものを含む ) は 我が国では非償却の無形資産として扱う場合が多く 無形資産 ( 又は土地に準ずる資産 ) に該当するのか リースに該当するのかについてはその内容を踏まえて検討が必要であるとしている しかし 借地権

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法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

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など一定の条件が整えば 細則の附合するものには として考えることができる のではないか との方向性を検討してまいりました 1 我妻 有泉 コンメンタール民法総則 物権 債権 ( 第 2 版追補版 2010 年 7 月 31 日発行 ) では 当事者は民法の規定と異なる特約をすることができる とされて

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不動産経営クラス 不動産業界の常識 賃貸不動産経営コンサルタント松尾充泰

はじめに 不動産業界の常識を形成しているものは 業界独自の商慣習や法律だったりします そして その常識を知らないが為にオーナーが賃貸経営で失敗したり 問題を抱えたりすることがあります そうした失敗をしない為に不動産業界の常識をご紹介します

退去後のリフォーム費用は誰が負担?(1/7) 従来は入居者がほぼ負担する形 礼金 敷金の場合 実費精算 保証金 解約引きの場合 解約引きで精算 平成 10 年建設省発表 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン これによって オーナー負担が増加に転じる

原状回復の定義 ( ガイドライン抜粋 ) 退去後のリフォーム費用は誰が負担? (2/7) 建物の価値は 住居の有無にかかわらず 時間の経過により減少するものであること また 物件が契約により定められた使用方法に従い かつ 社会通念上通常の使用方法により使用していればそうなったであろう状態であれば 使用開始当時の状態よりも悪くなっていたとしてもそのまま賃貸人に返還すれば良いとすることが学説 判例等の考え方であることから 原状回復は 賃借人が借りた当時の状態に戻すものではないことを明確にし 原状回復を 賃借人の住居 使用により発生し建物価値の減少のうち 賃借人の故意 過失 善管注意義務違反 その他通常の使用を超えるような使用による損耗 毀損 ( 以下 損耗等 という ) を復旧すること と定義して その考え方に沿って基準を策定した

退去後のリフォーム費用は誰が負担? (3/7) 退去後のリフォームは二つに分けて考える 1. 経年劣化 通常使用の損耗 例 ) クロス 畳の日焼け 耐久年数を超えたエアコンの故障 ガイドライン オーナー負担 2. 原状回復の為のリフォーム 例 ) クロスの落書き 換気をしなくて発生したカビ 掃除を怠り故障したエアコン ガイドライン 入居者負担

退去後のリフォーム費用は誰が負担? (4/7) ガイドラインに強制力があるのか? 単なるガイドラインなので法的な強制力はありません ( ガイドライン抜粋 ) 民間賃貸住宅の賃貸契約については 契約自由の原則により 民法 借地借家法の法令の強行法規 ( 1) に抵触しない限り有効であって ( 2) その内容について行政が規制する事は適当ではない 1. 強行法規とは当事者の意思とは関係なく適用される法規の事 2. 平成 16 年改定で追記

退去後のリフォーム費用は誰が負担? (5/7) 判例 1 特約が無効とされたケース 賃借人に特別の負担を課す特約の3 要件 1 特約の必要性があり かつ 暴利的でないなどの客観的 合理的理由が存在すること 2 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕費の義務を負うことについて認識していること 3 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること

退去後のリフォーム費用は誰が負担? (6/7) 判例 2( 消費者契約法第十条抵触のケース ) ( 消費者契約法抜粋 ) 第十条民法 商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し 消費者の権利を制限し 又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって 民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは 無効とする 消費者契約法平成 13 年 4 月 1 日施行

退去後のリフォーム費用は誰が負担? (7/7) 原状回復問題の対応策 1. 裁判で特約が無効と言われない契約書の作成 特約の成立要件 消費者契約法に注意 2. 耐久性の高い内装材の使用 クロス フローリング材など損耗しにくい材質を選ぶ 3. 入居者に対する住まい方の注意 結露させない方法や清掃範囲の説明などで正しい住まい方を促す

空室でも賃料を下げないファンド (1/3) 空室が長期化しても 普通のオーナーのようにすぐに賃料を下げたりしません 物件の価値が下がるからです

空室でも賃料を下げないファンド (2/3) 収益還元法 (DCF=Discount Cash Flow) で物件の価値を計算すると 賃料が下がると物件価値が下がります 計算例 ) 年間賃料収入 キャップレート ( 利回 )= 物件価値 1,000 万円 10%=1 億円 900 万円 10%=9 千万円 年間賃料収入 100 万円の差は利回 10% の場合物件価値では1 千万円の差

空室でも賃料を下げないファンド (3 /3) ファンドはどうするのか? 1. フリーレント 2. 仲介業者に支払う仲介手数料 ( 広告料 ) を増やす 3. 設備などの強化

預かり敷金の取り扱い オーナーの気づかない問題 (1/6) 第 3 回 : 不動産業界の常識 管理を任せている不動産会社に敷金などを預けている場合がありますが この預かったお金を運用したり 運転資金にしたりしていることが一般的にあります 預けるなら経営が安定している会社に任せましょう

オーナーの気づかない問題 (2/6) 物件名が悪いとお客様から選ばれません ( ダメな物件名の例 ) オーナー名前を使った物件名 松尾マンション pinetail ( パインテール ) 有名ブランド名を使った物件名 古めかしい物件名 パートナーに相談し 若者に受ける良い名前を付けてください

オーナーの気づかない問題 (3/6) デザイナーズ物件には 他にはないリスクが存在する 1. デザインの陳腐化するリスク 2. 市場に合わないリスク 特に若者にしか受けないようなデザインは陳腐化が早い 大都市と地方都市では 市場規模が違います

オーナーの気づかない問題 (4/6) 最上階がドロボーに入られやすいことをご存知でしょうか? 以外と最上階が狙われやすいのは 業界では常識です ( 理由 ) 1. 下から見えにくく 侵入しやすい 2. 例え 入居者が帰ってきても最上階がもっとも部屋につくまで時間がかかる 最上階でも防犯対策は必要

オーナーの気づかない問題 (5/6) 第 3 回 : 不動産業界の常識 震災による倒壊で入居者が死亡した阪神淡路大震災でオーナーが訴えられた例 裁判官が 死傷者が出たのは 建物自体の不備と想定外の揺れの地震が競合したのが原因だ と指摘 オーナーに 1 億 2,900 万円の支払命令 入居者を守ることは もちろんのこと 自分の資産を守る為にも 震災に強い建物を作る

オーナーの気づかない問題 (6/6) 消防法改正により平成 18 年 6 月 1 日から火災警報器の設置が義務化 設置までの猶予期間があります ( 自治体による ) 賃貸の場合 設置義務者は明記されていないが 火災事故が発生した場合に 設置していないことでオーナーが訴えられる可能性があります オーナーの対応 1. 設置猶予期間までに設置を完了させる

利回りは 2 種類ある 表面利回り = グロス利回り = 年収 物件価格 実質利回り = ネット利回り =( 年収 - 経費 ) 物件価格 注目すべきは 実質利回りです

無断駐車に対する罰金の請求 オーナーによる 無断駐車 10 万円の罰金 の立て看板は有効か? 罰金は国家が罪を犯したものに科す制裁金なので オーナーは罰金を請求することができません しかし 心理的プレッシャーとしては有効です 尚 実際に発生した損害であれば 請求できます

賃料相場は絶えず変化する どんな時に賃料相場が変化するのか? 1.ONシーズンとOFFシーズンでは違う 2. 競合物件の供給によっても変化する 絶えず 市場の変化に注目すること ON シーズンから OFF シーズンに変わると 賃料を見直す必要があります

賃貸仲介業者の頑張りますは単なる挨拶 賃貸仲介業者に空室への入居者の斡旋を依頼すると 頑張りますと言いますが これは 単なる挨拶です 本当に頑張ってもらう為には 1. 営業し物件を見ていただく 2. 良好な人間関係の構築

当て物 当て物とは? 賃貸仲介業者がお客様を案内する時に 特定の物件を良く見せるための 引き立て役をする物件のことです 当て物に使われている場合は 賃貸仲介業者の営業担当者にしっかりと聞くことが大事 1. 競合物件を知る 2. 問題点の発見と改善

滞納者は悪人とは違います 滞納者は 無銭飲食者と違い逮捕されません 滞納者は 滞納しながらも住むことができる 滞納者は 賃借人の権利を有する 滞納者は早期対応が最も重要! 1. 滞納の理由を早期確認 2. 早期に滞納金の支払い約束と回収 3. 回収が困難な場合は 早期に回収か退去を見極める

連帯保証人と保証人は違う 連帯保証人とは 保証人とはまったく違う 催告の抗弁権 ( 先に契約者に請求せよという権利 ) 検索の抗弁権 ( 先に契約者の財産を差し押さえよという権利 ) 保証人 有り 有り 連帯保証人 無し 無し 滞納賃料などを契約者に請求して払えない場合は すぐに連帯保証人に請求しても問題ありません

ライバルは分譲 ファミリー物件のライバルは 賃貸だけではありません 分譲マンションや戸建もライバルになります 分譲マンションや戸建の供給にも注目する

高齢者はとても良いお客様 高齢者を嫌うオーナーが多いのですが 高齢者は家賃滞納もトラブルも少なく 良いお客様であるというのが業界の常識です 高齢者を積極的に入居者として 向かい入れましょう!

まとめ 様々な情報を入手する為にも パートナーが必要です