同法 46 条 1 項 1 号により, 無効とすることはできない, というものである 第 3 当事者の主張 1 審決の取消事由に関する原告の主張 (1) 取消事由 1( 商標法 3 条 1 項柱書該当性判断の誤り ) 審決は, 本件商標に関し, 願書に記載された指定商品又は指定役務に使用していること

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平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

年 1 月 9 日に第 40 類 布地 被服又は毛皮の加工処理 ( 乾燥処理を含む ), 裁縫, ししゅう, 木材の加工, 竹 木皮 とう つる その他の植物性基礎材料の加工 ( 食物原材料の加工を除く ), 食料品の加工, 廃棄物の再生, 印刷 を指定役務 ( 以下 本件指定役務 という ) とし

(1) 被告は, 次の商標 ( 以下 本件商標 という ) に係る商標権 ( 以下 本件商標権 という ) を有している ( 甲 25) 商標登録第 号商標の構成千鳥屋 ( 標準文字 ) 登録出願日平成 23 年 12 月 21 日設定登録日平成 25 年 2 月 8 日指定商品第

31 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 1 原告の求めた裁判 主文同旨 事実及び理由 第 2 事案の概要 本件は, 商標登録を無効とした審決の取消訴訟である 争点は, 商標法 4 条 1 項 10 号該当性 ( 引用商標の周知性の有無 ) である 1 特許庁における手続の経

令和元年 5 月 30 日判決言渡 平成 30 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 31 年 4 月 23 日 判 決 原告ジー エス エフ ケー シー ピー株式会社 被告ケーシーピーヘビーインダスト リーズカンパニーリミテッド 訴訟代理人弁護士 小 林 幸 夫

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成 28 年 10 月 11 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結の日平成 28 年 7 月 7 日 判 決 原 告 オーガスタナショナルインコーポレイテッド 同訴訟代理人弁護士 中 村 稔 同 松 尾 和 子 同 田 中 伸 一 郎 同訴訟代

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

1 原告の請求を棄却する 2 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由第 1 請求の趣旨 1 特許庁が無効 号事件について平成 25 年 5 月 9 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ( 当事者間に争い

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

本件は, 商標登録取消審判請求に対する審決の取消訴訟である 争点は,1 被告又は通常実施権者による標章使用の有無及び2 使用された標章と登録商標との同一性の有無である 1 本件商標商標登録第 号商標 ( 以下, 本件商標 という ) は, 下記の構成からなり, 第 25 類 運動靴,

原告は, 平成 26 年 12 月 9 日, 指定役務を第 35 類 市場調査又は分析, 助産師のあっせん, 助産師のための求人情報の提供, 第 41 類 セミナーの企画 運営又は開催, 電子出版物の提供, 図書及び記録の供覧, 図書の貸与, 書籍の制作, 教育 文化 娯楽 スポーツ用ビデオの制作

1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

平成 29 年 5 月 15 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 3 月 6 日 判 決 原 告 BERNARD FRANCE SERVICE 合同会社 訴訟代理人弁護士笹本摂 向多美子 訴訟代理人弁理士木村高明 被 告 ラボラ

最高裁○○第000100号

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

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平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

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一括して買い受けた なお, 本件商品である コンタクトレンズ は, 本件商標の指定商品 眼鏡 に含まれる商品である (3) 使用商標は, ハートO2EXスーパー の文字からなるところ, 本件商品の容器に表示された使用商標は, ハート の文字部分だけが赤い字で, かつデザイン化されており, これに続く

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

1DD CC A CA

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平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

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並びにそのコンサルタント業務等を営む株式会社である ⑵ 株式会社 CAは, 別紙著作物目録記載 1ないし3の映像作品 ( 以下 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の製作に発意と責任を有する映画製作者 ( 著作権法 2 条 1 項 号 ) であるところ, 本件各著作物の著

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最高裁○○第000100号

を構成し, その結果, 本願意匠が同法 3 条 1 項柱書の 工業上利用することができる意匠 に当たるか否かである 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 27 年 3 月 16 日, 意匠法 14 条 1 項により3 年間秘密にすることを請求し, 物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

平成 25 年 4 月 24 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 3 月 11 日 判 決 原 告 X 訴訟代理人弁理士 松 下 昌 弘 被 告 特 許 庁 長 官 指定代理人 井 出 英一郎 同 水 莖 弥 同 堀 内 仁 子

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

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淡路町知財研究会 (松宮ゼミ)

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

して, 損害賠償金 330 万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成 28 年 月 21 日 ( 原告が被告に本件請求の通知を送付した日の翌日 ) から支払済みまで民法所定の年 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実及び弁論の全趣旨により容

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原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどして不特定多数に送信したものであるから, 同行為により原告の著作権 ( 複製権及び公衆送信権 ) 及び肖像権が侵害されたことは明らかであると主張して, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 ( 以下 プ ロ

( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

審決取消判決の拘束力

日から支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団であ る原告が, 被告株式会社シーエム ( 以下 被告シーエム という ) が企画, 編集

(Microsoft Word \224\255\225\\\201yMSH\201z \224\273\214\210\201i\217\244\225W\201j.doc)

認められないから, 本願部分の画像は, 意匠法上の意匠を構成するとは認めら れない したがって, 本願意匠は, 意匠法 3 条 1 項柱書に規定する 工業上利用する ことができる意匠 に該当しないから, 意匠登録を受けることができない (2) 自由に肢体を動かせない者が行う, モニター等に表示される

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最高裁○○第000100号

平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

第 2 事案の概要本件は, レコード製作会社である原告らが, 自らの製作に係るレコードについて送信可能化権を有するところ, 氏名不詳者において, 当該レコードに収録された楽曲を無断で複製してコンピュータ内の記録媒体に記録 蔵置し, イン ターネット接続プロバイダ事業を行っている被告の提供するインター

基本的な考え方の解説 (1) 立体的形状が 商品等の機能又は美感に資する目的のために採用されたものと認められる場合は 特段の事情のない限り 商品等の形状そのものの範囲を出ないものと判断する 解説 商品等の形状は 多くの場合 機能をより効果的に発揮させたり 美感をより優れたものとしたりするなどの目的で

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7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

第 1 控訴の趣旨 控訴人は, 原判決取消しとともに, 被控訴人らの請求をいずれも棄却する判決を 求めた 第 2 事案の概要 被控訴人らは日本舞踊の普及等の事業活動をしている 控訴人はその事業活動に 一般社団法人花柳流花柳会 の名称 ( 控訴人名称 ) を使用している 被控訴人ら は, 花柳流 及び

平成 25 年 12 月 17 日判決言渡 平成 25 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 10 月 17 日 判 決 原告エイトマイハートイン コーポレイテッド 訴訟代理人弁護士 五十嵐 敦 出 田 真樹子 弁理士 稲 葉 良 幸 石 田 昌 彦 右

第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告に対し, 氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して, インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権 ( 著作権法 23 条 1 項 ) が侵害されたと主張して, 特定電気

異議の決定 異議 東京都荒川区東日暮里 3 丁目 27 番 6 号商標権者株式会社エドウイン 東京都渋谷区広尾 商標異議申立人 EVISU JAPAN 株式会社 東京都港区西新橋 1 丁目 18 番 9 号西新橋ノアビル4 階朝比 増田特許事務所代理人弁理士朝比

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第 2 事案の概要本件は, 原告が有する下記商標登録 ( 本件商標 ) について, 被告が行った商標法 51 条 1 項に基づく商標登録取消審判請求に対し, 特許庁がこれを認容する審決をしたことから, 原告がその審決の取消しを求めた事案である 争点は,1 原告による下記の本件使用商標 1 及び2(

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ものであった また, 本件規則には, 貸付けの要件として, 当該資金の借入れにつき漁業協同組合の理事会において議決されていることが定められていた (3) 東洋町公告式条例 ( 昭和 34 年東洋町条例第 1 号 )3 条,2 条 2 項には, 規則の公布は, 同条例の定める7か所の掲示場に掲示して行

求める事案である 1 本件商標被告は, 平成 17 年 3 月 7 日, rhythm の文字を横書きしてなる商標 ( 以下 本件商標 という ) について, 第 25 類 履物, 乗馬靴 を指定商品として, 商標登録出願し, 同年 9 月 16 日に設定登録を受けた ( 登録第 号

1 前提となる事実等 ( 証拠の摘示のない事実は, 争いのない事実又は弁論の全趣旨から容易に認められる事実である ) (1) 当事者原告は, X1 の名称を使用してウエブサイトの制作請負を行っている者であり, 被告は, 不動産業を主な業務としている特例有限会社である (2) 原告によるプログラムの制

を構成し, その結果, 本願意匠が同法 3 条 1 項柱書の 工業上利用することができる意匠 に当たるか否かである 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 27 年 3 月 16 日, 意匠法 14 条 1 項により3 年間秘密にすることを請求し, 物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠

被告は,A 大学 C 学部英語専攻の学生である (2) 本件投稿等被告は, 大学 2 年生として受講していた平成 26 年 4 月 14 日の 言語学の基礎 の初回講義 ( 以下 本件講義 という ) において, 原告が 阪神タイガースがリーグ優勝した場合は, 恩赦を発令する また日本シリーズを制覇

平成 30 年 6 月 15 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 5939 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 5 月 9 日 判 決 5 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告は, 別紙対象目録の 原告 欄記載の各原告に対し,

平成 30 年 3 月 29 日判決言渡 平成 29 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 3 月 13 日 判 決 原告株式会社コーエーテクモゲームス 訴訟代理人弁護士 佐 藤 安 紘 高 橋 元 弘 吉 羽 真一郎 末 吉 亙 弁理士 鶴 谷 裕 二

1 特許庁における手続の経緯 (1) 原告は, 平成 25 年 11 月 19 日, 山岸一雄 の文字を標準文字で表して成る商標 ( 以下 本願商標 という ) について, 商標登録出願をした ( 商願 号 以下 本願 という 甲 7) (2) 原告は, 上記商標登録出願に対

にした審決を取り消す 第 2 前提事実 1 特許庁における手続の経緯被告は, 発明の名称を レーザ加工方法, 被レーザ加工物の生産方法, およびレーザ加工装置, 並びに, レーザ加工または被レーザ加工物の生産方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納したコンピュータが読取可能な記録媒体 とする特

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平成 25 年 7 月 18 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 25 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 7 月 4 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史 麻 子 呰 真 希 被 告 特 許 庁 長 官 指 定

1 特許庁における手続の経緯等 ( 後掲証拠及び弁論の全趣旨から認められる事実 ) (1) 被告は, 次の商標 ( 以下 本件商標 という ) の商標権者である ( 甲 1, 2) 登録番号第 号登録出願日平成 26 年 3 月 27 日設定登録日平成 28 年 4 月 22 日登録

同 長 沢 幸 男 同 岩 渕 正 樹 同 弁理士 正 林 真 之 同 八 木 澤 史 彦 主 文 1 原告らの請求を棄却する 2 訴訟費用は原告らの負担とする 事実及び理由 第 1 請求特許庁が無効 号事件について平成 23 年 9 月 26 日にした審決を取り消す 第 2

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事実及び理由 第 1 原告の求めた裁判特許庁が無効 号事件について平成 27 年 1 月 6 日にした審決のうち, 登録第 号の指定役務中 第 42 類ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供, オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラ

1 特許庁における手続の経緯原告は, 名称を 5 角柱体状の首筋周りストレッチ枕 とする発明につき, 平成 20 年 10 月 31 日に特許出願 ( 本願 特願 号, 特開 号, 請求項の数 1) をし, 平成 25 年 6 月 19 日付けで拒絶

の商標権者である ( 甲 1,45) 登録商標 : 別紙 1 本件商標目録記載のとおり登録出願 : 平成 26 年 3 月 14 日登録査定日 : 平成 26 年 8 月 22 日設定登録 : 平成 26 年 9 月 26 日指定役務 : 第 35 類 広告業, 経営の診断又は経営に関する助言, 市

平成 30 年 3 月 29 日判決言渡同日原本受領裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 3 月 9 日 判 決 5 原告株式会社フィールドアロー 同訴訟代理人弁護士 青 山 友 和 被 告 ソ メ ヤ 株 式 会 社 同訴訟代理

旨の申告 ( 以下 本件申告 という ) をしたところ, 処分行政庁から, 本件不動産取得税を還付しない旨の処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 処分行政庁が所属する東京都を被告として, 本件処分の取消しを求める事案である 原判決は, 控訴人の請求を棄却したので, これを不服とする控

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ある 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 23 年 6 月 8 日, 下記本願商標につき商標登録出願 ( 商願 号 ) をし, 平成 23 年 11 月 25 日, 指定商品の補正をしたが, 平成 24 年 1 月 30 日, 拒絶査定を受けたので, 平成 24 年 4

(1) 被告は, 以下の商標 ( 商標登録第 号 以下 本件商標 と いう ) の商標権者である ( 甲 1, 乙 66) 商標別紙記載のとおり 登録出願日 登録査定日 設定登録日 平成 23 年 9 月 22 日 平成 24 年 1 月 23 日 平成 24 年 3 月 16 日

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平成 25 年 5 月 30 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 4 月 25 日 判 決 原告 X 訴訟代理人弁理士田中聡 被告東洋エンタープライズ株式会社 訴訟代理人弁理士野原利雄 主 文 原告の請求を棄却する 訴訟費用は原

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平成 24 年 5 月 31 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 10019 号審決取消請求事件 平成 24 年 3 月 22 日口頭弁論終結 判 決 原 告 株式会社ダイナック 訴訟代理人弁護士 鈴 木 修 同 藤 原 拓 訴訟代理人弁理士 柳 生 征 男 被 告 Y 主 文 1 特許庁が無効 2011-890034 号事件について平成 23 年 12 月 13 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 事実及び理由第 1 請求主文同旨第 2 当事者間において争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯被告は, 別紙 1 商標目録記載 1の商標 ( 以下 本件商標 という ) の商標権者である 原告は, 平成 23 年 5 月 17 日付けで, 特許庁に対し, 本件商標登録の無効審判 ( 無効 2011-890034 号事件 ) を請求した 特許庁は, 平成 23 年 1 2 月 13 日, 本件審判の請求は, 成り立たない との審決をし, その謄本は同月 22 日に原告に送達された 2 審決の理由審決の理由は, 別紙審決書写しのとおりである 要するに, 本件商標は, 商標法 3 条 1 項柱書,4 条 1 項 7 号,10 号,19 号に違反して登録されたものではなく, 1

同法 46 条 1 項 1 号により, 無効とすることはできない, というものである 第 3 当事者の主張 1 審決の取消事由に関する原告の主張 (1) 取消事由 1( 商標法 3 条 1 項柱書該当性判断の誤り ) 審決は, 本件商標に関し, 願書に記載された指定商品又は指定役務に使用していること又は使用していないが使用の意思があることについて合理的な疑義があるとは認められないとして, 本件商標は商標法 3 条 1 項柱書に違反するものではないと認定, 判断する しかし, 審決の上記認定, 判断には, 以下のとおり, 誤りがある すなわち, 商標登録は, 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標 について行う必要がある ( 商標法 3 条 1 項柱書 ) ところ, 使用をする とは, 出願に係る商標が現在使用しているものであること, 又は出願に係る商標を使用する意思があり, 近い将来において信用の蓄積があることが推認されるものであることをいう この点, 本件商標は, 原告が自ら経営する飲食店 RC TAVERN/ アールシータバーン ( 以下 本件店舗 という ) において使用する別紙 1 商標目録 2(1), (2) 記載の商標 ( 以下, 番号順に 原告使用商標 (1) などといい, これらを併せて 原告使用商標 という ) と極めて類似しているところ, 原告使用商標は, 原告が経営する飲食店 ローズ & クラウン (Rose & Crown) の頭文字である RC ( アールシー ) と, 英語で居酒屋や酒場を意味する Tavern ( タバーン ) を組み合わせた造語であり, 独自性を有する ( なお, 居酒屋や酒場を意味する英単語として, Pub や Bar と比較して, Tavern がそれほど日本で浸透しているとはいえないと考えられる ) 上, 原告が原告使用商標を用いた本件店舗を開店した時期と, 本件商標の出願時期は極めて近接している また, 被告は, 個人でありながら, 平成 20 年 6 月 27 日から平成 21 年 12 月 10 日までの短期間に, 本件商標を含む45 件の商標登録出願をしているが, それらの商標登録出願に係る指定役務は, 飲食物の提供, 広告経営診断, 建物の賃 2

貸の代理又は媒介 暖冷房装置の貸与,, 人材派遣によるイベントの企画 運営, 美容など, 人材派遣による介護 等と多岐にわたる上, それぞれ関連性がなく, これらの商標登録出願に係る商標のうち,30 件は第三者が使用しているものである 以上によれば, 被告は, 原告が本件商標と類似の原告使用商標を飲食物の提供に使用していることを知りながら, 本件商標登録出願をすることにより原告使用商標を剽窃したものであり, 被告には 自己の業務に係る商品又は役務 が存在せず, 将来において飲食物の提供に係る業務を行う意思もないから, 本件商標は, 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標 に当たらず, 商標法 3 条 1 項柱書に違反する (2) 取消事由 2( 商標法 4 条 1 項 7 号該当性判断の誤り ) 審決は, 本件商標の登録出願が, 著しく不正な目的をもって行われた行為と認めることはできない上, 本件商標の構成自体が非道徳的, 卑わい, 差別的, 矯激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものではないとして, 本件商標は, 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものとはいえず, 商標法 4 条 1 項 7 号に該当しないと認定, 判断する しかし, 審決の上記認定, 判断には, 以下のとおり, 誤りがある すなわち,1 本件商標は, 造語である原告使用商標と著しく類似していること,2 原告使用商標は, 様々な媒体を通じて宣伝, 広告されていたところ, 原告が原告使用商標を用いた本件店舗を開店した直後に, 被告は本件商標の登録出願を行ったこと,3 被告は, 原告使用商標以外にも第三者の使用する商標を30 件も登録出願していること,4 被告には自己の業務は存在しないことからすれば, 被告は, 原告使用商標を剽窃するという不正な目的をもって, 本件商標の登録出願をしたものである したがって, 本件商標は, 公序良俗に反するおそれのある商標であり, 商標法 4 条 1 項 7 号に該当する (3) 取消事由 3( 商標法 4 条 1 項 10 号該当性判断の誤り ) 3

審決は, 原告使用商標は本件商標の登録出願時及び登録査定時において, 他人の業務に係る役務 ( 飲食物の提供 ) を表示するものとして, 周知であったとは認められないとして, 本件商標は, 商標法 4 条 1 項 10 号に該当しないと認定, 判断する しかし, 審決の上記認定, 判断には, 以下のとおり, 誤りがある すなわち, 上記のとおり, 原告使用商標は, 原告が経営する飲食店 ローズ & クラウン (Ros e & Crown) の頭文字である RC ( アールシー ) と, 英語で居酒屋や酒場を意味する Tavern ( タバーン ) を組み合わせた造語であり, 独自性を有する また, 原告は, 本件店舗の開店前である平成 21 年 9 月 17 日ころから, 本件店舗について, 原告使用商標を使用して, ウェブサイトに情報を掲載したり, パンフレットを配布したり, プレスリリースをするなどし,242 万 6840 円もの多額の費用を掛けて, 宣伝, 広告を行っていた 以上のとおり, 原告使用商標は, その独自性及び使用の結果, 本件商標の登録出願時及び登録査定時において, 原告の業務に係る役務 ( 飲食物の提供 ) を表示するものとして周知であり, かかる原告使用商標と類似する本件商標は, 商標法 4 条 1 項 10 号に該当する 2 被告の反論 (1) 取消事由 1( 商標法 3 条 1 項柱書該当性判断の誤り ) に対して被告は, 以下のとおり, 自ら使用するために本件商標の登録出願を行ったものである すなわち, 被告は, 約 10 年前ころから, ベンチャー企業や起業家に関心を持ち, リタイヤ後の平成 20 年から, いわゆるシニア起業を協力者 1 名とともに計画し, 予定業務について前広に商標の出願 登録を行った また, 被告は, 飲食店の開業を目指し, 神奈川県西部を中心に, いわゆる居抜きの店舗を探していたが, 円高不況, 大震災等により開業リスクが高まったため, 一時開業を見合わせており, 経済情勢の好転を待って小規模でも開業する予定である これに対し, 原告は, 被告が多数の登録商標を有し, その指定商品ないし指定役務に一貫性がないと主張するが, 協力者の経験業務等を考慮すれば, 不自然とはいえない また, 原告は, 原告使用商標が独自性を持つ旨主張するが, 原告使用商標 4

の要部である Tavern は, 居酒屋や宿屋を意味する一般的な単語であり, 独自性はない さらに, 原告は, 被告が他人の商標を剽窃していると主張するが, その根拠は, ウェブサイト情報であり, 信用性に乏しい 以上のとおり, 本件商標は, 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標 に当たり, 商標法 3 条 1 項柱書に違反しない (2) 取消事由 2( 商標法 4 条 1 項 7 号該当性判断の誤り ) に対して上記のとおり, 被告は, 自己の業務に使用するため本件商標の登録出願をしたのであり, 不正な目的はない 原告は, 被告が他人の商標を剽窃していると主張するが, その裏付けとなる証拠はない 以上のとおり, 本件商標は, 公序良俗に反するおそれのある商標ではなく, 商標法 4 条 1 項 7 号に該当しない (3) 取消事由 3( 商標法 4 条 1 項 10 号該当性判断の誤り ) に対して原告は, 原告使用商標が独自性を持つ旨主張するが, 上記のとおり, 原告使用商標の要部である Tavern は, 居酒屋や宿屋を意味する一般的な単語であり, 独自性はない また, 原告使用商標は,1 店舗で使用されているにすぎず, その宣伝, 広告の方法, 期間, 量, 地域も小規模であり, 原告使用商標が周知であるとはいえない 以上のとおり, 原告使用商標は, 本件商標の登録出願時及び登録査定時において, 原告の業務に係る役務 ( 飲食物の提供 ) を表示するものとして周知であるとはいえず, 本件商標は, 商標法 4 条 1 項 10 号に該当しない 第 4 当裁判所の判断審決は, 本件商標は, 商標法 3 条 1 項柱書,4 条 1 項 7 号,10 号,19 号に違反して登録されたものではなく, 同法 46 条 1 項 1 号により, 無効とすることはできないと判断する しかし, 当裁判所は, 本件商標が商標法 3 条 1 項柱書に違反しないとした審決の判断には誤りがあり, 審決は取り消すべきものと判断する その理由は, 以下のとおりである 5

1 事実認定前記当事者間において争いのない事実, 証拠 ( 甲 1~12,14~17,18の 1~18の7,19の1~19の24,20,21,22の1~2,23~34, 39) 及び弁論の全趣旨によれば, 以下の事実が認められる (1) 原告による本件店舗の開店等原告は, サントリーホールディングス株式会社の子会社であり, 飲食店経営を業としている 原告は, 複数の飲食店を経営しているところ, 平成 21 年ころ, 新たな形態の飲食店として本件店舗を開店することとし, その名称を, 自ら経営する飲食店 ローズ & クラウン (Rose & Crown) の頭文字である RC ( アールシー ) と, 英語で居酒屋や酒場を意味する Tavern ( タバーン ) を組み合わせた RC TAVERN/ アールシータバーン とした 原告は, 平成 21 年 10 月 1 日, 東京都千代田区丸の内 1-8-1 丸の内トラストタワー N 館 1Fに, 原告使用商標を使用し, 飲食物の提供を業とする本件店舗を開店した (2) 原告使用商標等原告使用商標 (1) の構成は, 別紙 1 商標目録記載 2(1) のとおりであり, 上段に R C TAVERN の欧文字( やや茶系の金色 ) と下段に アールシータバーン の片仮名 ( 黒色 ) を配してなるものである 上段の RC TAVERN の文字のうち, RC の文字は, TAVERN の文字に比べて大きく表した構成からなっているものの, 全体としてはまとまった印象を与えており, アールシータバーン の称呼が生ずる また, Tavern は, 日本では馴染みが浅いものの, 英語で居酒屋や酒場を意味するところ, 飲食物の提供に使用される場合, RC TA VERN からは, RC という名の居酒屋ないし酒場を観念する余地がある さらに, 下段の アールシータバーン は, 各文字が, ほぼ同一の書体, 大きさ, 間隔で表記されており, アールシータバーン の称呼が生じるが, これらの文字列に対応した語は, 一般には存在しない造語であり, 特定の観念は生じない さらに, 原告使用商標 (2) の構成は, 別紙 1 商標目録記載 2(2) のとおり, 原告使 6

用商標 (1) の構成から アールシータバーン との片仮名部分を除いたものであり, 原告使用商標 (1) と同様に, アールシータバーン の称呼が生じる 原告使用商標 (2) も, 飲食物の提供に使用される場合, RC という名の居酒屋ないし酒場を観念する余地がある (3) 原告使用商標の使用状況等原告は, 以下のとおり, 平成 21 年 9 月 17 日ころから, 原告使用商標を使用して本件店舗の宣伝, 広告をした すなわち, アウェブサイトにおける情報掲載等原告は, 平成 21 年 9 月 17 日, 飲食店に関するポータルサイトとして著名な ぐるなび に, 本件店舗のウェブサイトを立ち上げ, 同日から本件店舗開店後の同年 10 月 9 日までの間に, パソコン及び携帯電話から合計 1 万 1489 回のアクセスがされ ( なお, 同一日の同一回線からの複数回のアクセスを1 回と計算する ユニーク 数は,4154 回である ), 同月 10 日から本件商標の登録出願日の前日である同月 23 日までの間に, パソコン及び携帯電話から合計 1 万 0698 回のアクセスがされた また, 原告は, 独自に原告経営に係る飲食店の情報を掲載するウェブサイトを開設しているところ, 同ウェブサイトに本件店舗の開店に係る情報を掲載した平成 21 年 10 月 1 日から同月 23 日までの間に,6 万 3586 人のユーザから7 万 8133 回のアクセスがされた イパンフレットの配布等原告は, 本件店舗の開店前に, その開店を宣伝するためのパンフレットを3 万 5 000 部作成し,1 平成 21 年 9 月 19 日から原告が経営する他の飲食店 14 店舗で, 同月 20 日から東京都内の丸の内, 有楽町, 新橋等の街頭で, 合計 8000 部を配布し,2 同年 10 月 5 日から, 原告が経営する飲食店のメンバーズカードの会員である 倶楽部ダイナック会員 宛のダイレクトメールにより, 関東地方各県在住の会員に2 万 4577 部 ( うち東京都内在住の会員に1 万 5219 部 ) を配布し, 3 原告が経営する他の飲食店とともに本件店舗を宣伝するパンフレットを, 倶楽部 7

ダイナック会員 宛のダイレクトメールにより約 3 万 6500 部, 関係各社宛に2 000 部, それぞれ配布した ウプレスリリース等原告は, 平成 21 年 9 月 30 日, 新聞社及び雑誌社等合計 86 社に対し, 本件店舗の開店を知らせるプレスリリースを送付し, 同年 10 月 14 日, 当時約 25 万部ないし30 万部の発行部数があった日経 MJに本件店舗に関する記事が掲載された (4) 本件商標等被告は, 平成 21 年 10 月 24 日に本件商標の登録出願をし, 平成 22 年 3 月 2 6 日にその登録を受けた 本件商標の構成は, 別紙 1 商標目録記載 1のとおり, アールシータバーン の文字を横書きしてなるものであり, 各文字が, ほぼ同一の書体 ( 手書きの文字と推認される ), 大きさ, 間隔で表記されており, 全体がまとまった印象を与えており, 本件商標からは, アールシータバーン との称呼が生じる 本件商標の文字列に対応した語は, 一般には存在せず, 本件商標からは特定の観念は生じない 被告は, 本件商標の登録前から現在に至るまで本件商標を指定役務である 飲食物の提供 やその他の業務に使用したことはない (5) 本件商標と原告使用商標 (1) の類否について上記のとおり, 本件商標の構成は, 原告使用商標 (1) 下段の アールシータバーン と書体以外は同一であること, 原告使用商標 (1) は, 上下二段にそれぞれ RC T AVERN, アールシータバーン と書してなるものであり, 全体としても アールシータバーン との称呼が生じ, 称呼において本件商標と一致することからすれば, 本件商標と原告使用商標 (1) は, 外観に相違する部分があり, 原告使用商標 (1) について RC という名の居酒屋ないし酒場を観念することができる場合に, 観念において相違する余地があるとしても, 全体として互いに類似する商標と認められる これに対し, 被告は, 原告使用商標の要部は, TAVERN の部分であると主張する しかし, 原告使用商標 (1) は, RC の文字が TAVERN の文字に 8

比べ, 大きく表した構成からなっていること, TAVERN の文字部分は, 日本では馴染みが浅いものの, 飲食物の提供に使用される場合, 居酒屋や酒場を意味する普通名称であることからすれば, 原告使用商標 (1) において, 格別 TAVERN の文字を要部として取り上げて類否判断を行うべき理由はなく, 被告の上記主張は失当である (6) 被告によるその他の商標登録等被告は, 別紙 2 被告による登録商標リスト 記載のとおり, 平成 20 年 6 月 2 7 日から平成 21 年 12 月 10 日までの間に, 本件商標以外にも44 件の商標登録出願をし, その登録を受けている このうち, 飲食物の提供を指定役務とする番号 4,7ないし15,17,18,20,21の商標については, 被告とは無関係にこれと類似の商標を使用して飲食物の提供を行っている店舗が存在する また, 飲食物の提供以外を指定役務とする番号 22,24ないし29,31ないし36,3 9,44,45の商標についても, 被告とは無関係にこれと類似の商標ないし商号を使用して業務を行っている会社等が存在し, このうち, 番号 22,24,25, 31ないし35,44,45の商標と類似の商標ないし商号を使用する会社については, 被告が商標登録の出願をした日よりも前に, 類似の商標ないし商号を使用している 被告は, 上記各商標についても, 現在に至るまで, 指定役務やその他の業務に使用したとはうかがわれない 2 判断 (1) 商標法 3 条 1 項柱書は, 商標登録要件として, 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標 であることを規定するところ, 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標 とは, 少なくとも登録査定時において, 現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標, あるいは将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される これを本件についてみるに, 上記認定事実によれば,1 原告は, 平成 21 年 9 月 17 日ころから, ウェブサイトにおける情報掲載, パンフレットの配布, プレスリ 9

リース等を行い, 東京都を中心に, 原告使用商標を使用して本件店舗の宣伝, 広告を行っていたこと,2 原告は, 同年 10 月 1 日, 東京都千代田区丸の内に, 原告使用商標を使用し, 飲食物の提供を業とする本件店舗を開店したこと,3 被告は, 同月 24 日, 本件商標の登録出願をし, 平成 22 年 3 月 26 日にその登録を受けたが, 現在に至るまで本件商標を指定役務である 飲食物の提供 やその他の業務に使用したことはないこと,4 本件商標と原告使用商標 (1) は, 類似すること,5 原告使用商標は, 原告が経営する飲食店 ローズ & クラウン (Rose & Crown) の頭文字である RC ( アールシー ) と, 英語で居酒屋や酒場を意味する Tav ern ( タバーン ) を組み合わせた造語で, 特徴的なものである上, 本件店舗の宣伝, 広告及び開店と本件商標の登録出願日が近接していることからすれば, 被告は, 原告使用商標を認識した上で, 原告使用商標 (1) と類似する本件商標を出願したものと考え得ること,6 被告は, 平成 20 年 6 月 27 日から平成 21 年 12 月 10 日までの短期間に, 本件商標以外にも44 件もの商標登録出願をし, その登録を受けているところ, 現在に至るまでこれらの商標についても指定役務やその他の業務に使用したとはうかがわれない上, その指定役務は広い範囲に及び, 一貫性もなく, このうち30 件の商標については, 被告とは無関係に類似の商標や商号を使用している店舗ないし会社が存在し, 確認できているだけでも, そのうち10 件については, 被告の商標登録出願が類似する他者の商標ないし商号の使用に後れるものであることが認められる 上記事情を総合すると, 被告は, 他者の使用する商標ないし商号について, 別紙 2のとおり多岐にわたる指定役務について商標登録出願をし, 登録された商標を収集しているにすぎないというべきであって, 本件商標は, 登録査定時において, 被告が現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標に当たらない上, 被告に将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思があったとも認め難い これに対し, 被告は, 平成 20 年から, いわゆるシニア起業を協力者 1 名とともに計画し, 予定業務について前広に商標の出願登録を行うとともに, 飲食店の開業 10

を目指し, 神奈川県西部を中心に, いわゆる居抜きの店舗を探していたが, 円高不況, 大震災等により開業リスクが高まったため, 一時開業を見合わせており, 経済情勢の好転を待って小規模でも開業する予定であるなどとあいまいな主張をするのみで, これを裏付ける証拠を一切提出しておらず, その主張は, にわかに措信し難い したがって, 本件商標は, その登録査定時において, 被告が現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標にも, 将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標にも当たらず, 本件商標登録は, 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標 に関して行われたものとは認められず, 商標法 3 条 1 項柱書に違反するというべきである (2) この点について, 審決は, 上記事情をもってしても, 被告の本件商標に係る使用の意思について合理的な疑義があるとはいえないと認定, 判断する しかし, 登録商標が, その登録査定時において 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標 に当たることについては, 権利者側において立証すべきところ, 本件商標についてこれを認めるに足りる証拠はなく, むしろ, 上記認定事実によれば, 本件商標登録は, 被告が現に自己の業務に係る商品又は役務に使用していない商標について, 将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思もなく行われたものというべきであって, 上記審決の認定, 判断は失当である 以上のとおり, 本件商標は 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標 に該当しないというべきであり, 本件商標登録が商標法 3 条 1 項柱書に違反しないとした審決の判断には誤りがある 付言するに, 上記認定の事実関係に照らすと, 本件商標は, 原告使用商標を剽窃するという不正な目的をもって登録出願されたものとして, 商標法 4 条 1 項 7 号 ( 公序良俗に反するおそれのある商標 ) に該当する余地もあるが, 本件においては, 同法 3 条 1 項柱書該当性の判断で足りるものと解する 3 結論 11

以上によれば, 原告の請求は理由がある 被告はその他縷々主張するが, いずれ も理由がない よって, 主文のとおり判決する 知的財産高等裁判所第 3 部 裁判長裁判官 芝田俊文 裁判官 八木貴美子 裁判官 知野明 12

( 別紙 1) 商標目録 1 本件商標 商標登録番号 : 第 5311184 号 商標の構成 : 出願日 : 平成 21 年 10 月 24 日 設定登録日 : 平成 22 年 3 月 26 日 指定役務 : 第 43 類 飲食物の提供 2 原告使用商標 (1) (2) 13