第 8 回 Paint Shop 入門 (1) 杉本英晴 第 8 回と第 9 回では,Paint Shop Pro を使って, 写真の加工 編集を行うための技術を学ぶ 第 8 回では, 写真の読み込み, 簡単な編集, 出力といった基本的な操作を扱う 1. はじめに 1.1 基本的な編集画面 すべてのプログラム Corel PaintShop Pro フォルダ Corel PaintShop Pro を選択すると以下の画面が現れる 2 1 3 5 6 7 4 図 8.1 基本的な編集画面 1 メニューバー : コマンドを選択するメニューが表示される 2 ツールバー : さまざまな機能をワンクリックで利用できる 3 オプションパレット : 選択しているコマンドのオプション機能が選択できる 4 ラーニングセンター : ガイドを確認しながら, 操作を実行できる 5 ツールパレット : 各種ツールを格納しており, 必要に応じてワンクリックで利用できる 6 画像ウィンドウ : 編集対象となる写真を表示する 複数の写真を表示できる 7 オーガナイザ : ファイルを管理する 71
1.2 写真を読み込む PaintShop Pro を用いて写真を処理する際,PaintShop Pro のソフト自体に写真を読み込むことで利用できる 図 8.2 写真の読み込み時に表示されるダイアログボックス フォルダを選択すると, フォルダ内の写真が読み込まれる ( 図 8.3) 図 8.3 ピクチャフォルダに作成された写真フォルダ 72
1.3 編集したい写真を表示する サムネイル の写真を選択し, プレビューモードを選択すると, ズーム を操作することで写真を拡大 / 縮小できる 図 8.4 サムネイルの写真 図 8.5 プレビューモードにおける拡大 / 縮小 73
2. 写真を整える PaintShop Pro には様々な機能が搭載されており, 取り込んだ写真に加工を施すことができる 第 8 回では, 主として, 写真を整えてきれいにする ことに関わる操作を学ぶ ( 第 9 回でより高度な編集を扱う ) まずは, 加工したい写真をサムネイルで選択肢, 編集 画面に移動 図 8.6 編集画面への移動 2.1 向きを変える : 回転 ツールバー 左に回転 ( もしくは右に回転 ) ( 図 8.7) をクリックすると, 写真が左に ( もしくは右に )90 回転する なお, オーガナイザ で回転させることもできるが, その場合, 保存されている写真自体が回転するので注意すること 図 8.7 ツールバーにある 左に回転 と 右に回転 74
2.2 傾きを補正する : 傾き補正 ツールパレット 傾き補正 を選択すると, ハンドル が表示される このハンドルを傾きに合わせ, 適用 アイコンをクリックすると傾きが補正される ( 図 8.8) 図 8.8 傾きの補正 練習問題 8.1: 傾き補正 8-1 にある写真の傾きを補正してみよう 2.3 ひずみを補正する : 遠近補正下から見上げるように撮った建物の写真は建物が歪んで写る このような歪みを補正するには, ツールパレット 遠近補正 を選択する すると, 矩形が表示されるので, ハンドルをドラッグし, 建物の傾斜に合わせる 適用 ボタンを押すと補正が完了する 練習問題 8.2: 遠近補正 8-2 にある写真のひずみを補正してみよう 75
2.4 手軽な調整本格的な調整について紹介する前に, 手軽な調整方法として,1 自動修整と 2 スマート修正について紹介する 2.4.1 自動修整 ラーニングセンター クイック調整 自動修整 を選択すると自動的に全体的な修正が施される なお 自動修整 はクリックするたびに処理が実行される 2.4.2 スマート修正 少しは自分で調整したい という場合には, ラーニングセンター クイック調整 スマート修正 を選択する スマート修正 画面 ( 図 8.9) が現れるので ( 写真を表示するには左上のプレビューを選択 ), 明るさ 彩度 フォーカス などを設定し, OK ボタンを押す 図 8.9 スマート修正ダイアログボックス 練習問題 8.3: スマート修正 スマート修正を使って 8-3 にある写真を修正してみよう 76
2.5 本格的な調整 2.4 では手軽な調整について紹介したが, 以下では, より本格的な調整を行うための方法について解説する 2.5.1 ピンボケをハッキリさせる : シャープネスピンボケ写真をハッキリさせるためには, 画面上にある メニューバー 調整 シャープネス シャープネス ( 強 ) を選択する 練習問題 8.4: ピンボケ修正 8-4 にある写真の修正をしてみよう 2.5.2 暗い写真を明るく, ねむい 写真をハッキリさせる : 明るさとコントラスト写真の明るさを調整するには, メニューバー 調整 明るさとコントラスト 明るさ / コントラスト を選択する 明るさ と コントラスト のそれぞれを設定して, OK ボタンを押す また, なんとなくねむたそうな写真をハッキリさせたい時は, コントラスト を調整することでメリハリのついた写真にすることができる 図 8.10 明るさ / コントラストダイアログボックス 練習問題 8.5: 明るさ / コントラスト補正 8-5 にある写真の修正をしてみよう 77
2.5.2 白いものは白く表示する : カラーバランス全体的に青っぽかったり, 黄色がかってしまった写真を, ホワイトバランス 機能を使って調整することができる メニューバー 調整 ホワイトバランス を選択する 詳細オプション をチェックすると, 全体が表示される 変更前 の画面において, 本来白であるべき箇所をクリックする 修正が済んだら OK ボタンを押す 図 8.11 カラーバランスダイアログボックス 練習問題 8.6: ホワイトバランス 8-6 にある写真の修正をしてみよう 78
2.5.3 色相 / 彩度 / 明度を変える : 色相 / 彩度 / 明度 メニューバー 調整 色相と彩度 色相 / 彩度 / 明度 を選択すると, 色相 / 彩度 / 明度 画面が現れる ( 図 8.12) まず, 色相 とは, 赤や青といった 色合い のことを指す PaintShop Pro では, 赤 を [0] として反時計回りに色の値が割り当てられている (0-360 の範囲 ) ダイアログボックスにある外側の色の輪がこの 色相環 にあたる 次に, 彩度 とは, 色の 鮮やかさ の度合のことをいう これが高ければ鮮やかになり, 低いとグレーになる ( 値の範囲は 0-100) 最後に, 明度 とは, 色の 明るさ のことを指す 明度が最大 (100) の時は白になり, 最小 (-100) の時は黒になる 図 8.12 色相 / 彩度 / 明度ダイアログボックス 練習問題 8.7: 色相 / 彩度 / 明度 8-7 にある写真の色相 / 彩度 / 明度を変えてみよう 79
3. 写真を出力する 編集後の写真の保存と印刷の仕方について解説する 3.1 写真の保存 メニューバー ファイル 名前を付けて保存 保存する場所 を選び, ファイル名 を入力する この時 保存 を選ぶと元のデータに上書きされてしまうので注意 3.2 写真を印刷する 1 枚の写真を印刷することだけでなく, 複数の写真をまとめて印刷することもできる 3.2.1 1 枚の写真を印刷する : 単一写真の印刷 ラーニングセンター 印刷 / 共有する 単一写真の印刷 を選ぶ 印刷 ダイアログボックスが現れるので, 必要であれば プロパティ ボタンをクリックし, 用紙サイズ, 印刷の向き, ページレイアウトなどの設定し, 印刷 ボタンをクリックして印刷する 3.2.2 複数の写真をまとめて印刷する : 印刷レイアウト印刷する写真を 画像ウィンドウ に表示し, ラーニングセンター 印刷 / 共有する 複数の写真の印刷 を選択する すると, レイアウト印刷 画面が現れるので, メニューバー ファイル テンプレートを開く を選択する その結果, テンプレート ダイアログボックスが表示されるので, カテゴリー から コンビネーション などを選択するとレイアウトのテンプレートが右側に表示される その中から選択されたレイアウトが表示されるので, 左にある 画像一覧 から写真を選び, 枠の中にドラッグ & ドロップして配置する 図 8.13 レイアウト印刷ダイアログボックス メニューバー ファイル 印刷 を選択し, 印刷する ウィンドウを閉じる際に, テンプレートを保存するかどうかについて確認メッセージが表示されるので, はい か いいえ を選択する 80
第 9 回 Paint Shop 入門 (2) 第 8 回では, 写真の読み込み, 簡単な編集, 出力といった基本的な操作を扱った 第 9 回ではより複雑な編集について解説する 1. より複雑な編集 第 8 回では, 主として写真をきれいにするための操作について扱った 第 9 回ではただきれいにするだけではなく, より積極的な編集について紹介する 複雑な編集を行うにあたっては, レイヤーが重要な役割を果たすが, 初めにレイヤーを用いない編集について紹介した後, レイヤーを用いた編集について紹介する 1.1 レイヤーを用いない編集はじめに, レイヤーを用いずに行える編集について紹介する 1.1.1 必要な部分だけを取り出す : トリミング写真の中から必要な部分だけを取り出すには, ラーニングセンター クイック調整 トリミング を選択する すると, 四角い枠 ( トリミング枠 ) が表示されるので, ドラッグして必要な範囲を指定する 範囲を確定するには, 適用 ボタンをクリックする 図 9.1 トリミング 練習問題 9.1: トリミング 9-1 の写真から必要な部分を取り出してみよう 81
1.1.2 不要な部分を消す : クローン写真の中の不要な部分は, クローン ツールによって消すことができる ただし, 消す といっても, 消去するわけではなく, 実際には, 指定した箇所の画像を別の場所にコピーして修正するということを意味している ツールパレット クローンブラシ クローン を選択する コピーしたい位置で右クリックすると マークが表示される ( この部分がコピーされる ) ブラシの大きさやコピーする位置を変えながら修正を行う 図 9.2 クローン 練習問題 9.2: クローン 9-2 にある写真の不要な部分を消してみよう 1.2 レイヤーを用いた編集 レイヤー とは 層 という意味であり, 写真の合成を行う際には, いくつかのレイヤーを重ねて 1 枚の写真を作ると考えればよい レイヤーには以下のような種類がある 1 背景レイヤー : 画像の一番下にあるレイヤーで, 画像データ ( ラスタデータ ) を持っている 透過表示ができない 2 ラスタレイヤー : 画像データを ラスタデータ というがラスタデータを持つレイヤーのことをいう 画像データ以外は透明 3 ベクタレイヤー : テキストや図形などのベクタデータを持っているレイヤーのこと ベクタデータ以外は透明 4 アートメディアレイヤー : アートメディア ツールを利用すると作成されるレイヤー ラスタレイヤーには変換できるが, ベクタレイヤーには変換できない 5 マスクレイヤー : 下位のレイヤーの一部を隠したり, 表示したりといったマスク機能を持つレイヤー 6 調整レイヤー : 下位のレイヤーの色調を調整するためのレイヤー レイヤーを用いることで, 写真の合成ができるだけでなく, 写真の一部だけを移動させたり, 色を変えたりといった特定の部分に対しての調整や効果の設定が可能になる 82
1.2.1 写真を合成する ツールパレット 背景消しゴム ツールを選択する 最初に消したい背景の一部でクリックする ( 消去する色情報のサンプリング ) 切り抜きたい対象の輪郭をマウスの左ボタンを押しながらなぞる 図 9.3 背景消しゴムツールの使用 ツールパレット 自由選択ツール を選び, 切り抜きたい対象を囲うようにドラッグして範囲指定する その後, メニューバー 編集 コピー をする 図 9.4 切り抜きたい対象のコピー 83
貼り付け先の写真を表示し, メニューバー 編集 新しいレイヤーとして貼り付け を選択する ツールパレット ピック ツールを選択し, サイズと位置を調整する 図 9.5 新しいレイヤーとして貼り付け この後に, メニューバー レイヤー 新しいラスタレイヤー を選択して, 新たなラスタレイヤーを追加することで, 効果を追加することができる 練習問題 9.3: 写真の合成 9-1 の写真と 9-3 の写真を合成しよう 1.2.2 部分的に色を変える写真の一部だけ色を変えるには, ラーニングセンター レタッチ / 復元する カラーチェンジャー を選択する マテリアル で置き換え後の色を選択し, 置き換えたい箇所でクリックをすると色が置き換えられる 意図しない部分の色まで変わってしまわないようにするには, ツールパレット 自由選択ツール 選択 を選択し, 範囲選択を行うやり方がある また, 同じ写真をコピーして別のレイヤーに貼り込んでカラーチェンジを実行し, 他に影響した部分を 消しゴム ツールで消すという方法もある 図 9.6 カラーチェンジャー機能で部分的に色を変える 練習問題 9.4: カラーチェンジャー レイヤーを使って, 9-4 の写真の一部の色を変えよう 84
2. 文字や図形を使った編集 写真に文字や図形を入力し, その編集を行うこともできる 2.1 文字の入力と編集はじめに, 文字の入力と編集について解説する 2.1.1 文字の入力 ツールパレット テキスト ツールを選択する マテリアル ダイアログボックスを表示して文字の色 ( 輪郭線の色と文字の色 ) を決める 図 9.7 文字の色を決めるマテリアルダイアログボックス また, オプションパレット がテキスト対応に変わっているので, フォントやサイズ, スタイル, 配置などを設定する なお, アンチエイリアス とは文字のギザギザを少なくするための処理である また, 形式 は ベクタ にする 図 9.8 テキスト対応のオプションパレット 文字を入力したい位置でマウスをクリックすると, テキストの挿入 ダイアログボックスが表示されるので, 文字を入力する 図 9.9 テキストの挿入ダイアログボックス 85
2.1.2 文字の編集入力した文字の中心にマウスカーソルを合わせると十字の矢印に変わり, そのままマウスをドラッグすると移動させることができる また, マウスカーソルが [T] と表示されている時に文字の上でクリックすると, テキストの挿入 ダイアログボックスが表示され, 再編集モードとなる 文字を編集した後に 適用 ボタンをクリックすると変更が施される 文字に影をつけたい場合は, メニューバー 効果 3D 効果 ドロップシャドウ を選択する オートアクション ダイアログボックスが表示される ( 図 9.10) ので, OK ボタンをクリックする 図 9.10 ラスタレイヤーへの変換の確認ラスタレイヤーに変更すると, 文字の再編集はできなくなる また, 文字の位置は ツールパレット ピック ツールで移動できるようになる 2.2 図形の入力と編集次に, 図形の入力と編集について解説する 2.2.1 図形の入力 ツールパレット 図形 ツールの中から好きな形を選択する マテリアルパレット で前景と背景の色を選択する ( 後で変更することもできる ) マウスをドラッグして描画する 2.2.2 図形の編集描画後, 図形を選択すると, 図形の色や位置に関して編集を行うことができる なお, 文字同様, 影をつける際には, ラスタレイヤーに変換される 図 9.11 図形の編集 練習問題 9.5: 文字と図形の入力 写真に文字や図形をかき入れて, ポストカードを作ろう 86
3. レイヤーを用いた編集後の保存 レイヤーを利用して編集した後に写真を保存する形式には 2 通りある 1 レイヤーを活かした保存と,2 複数のレイヤーを結合した形での保存の 2 通りである 目的に応じて保存形式を選択する必要があるが, 保存後もレイヤーを使って編集を行う場合には 1 を, 保存後は編集した結果をまとまりとみなし,WEB サイトや他のソフトで利用する場合には 2 を行う 以下では, それぞれの方法について解説する 3.1 レイヤーを生かして保存する メニューバー ファイル 名前を付けて保存 保存する場所 を選び, ファイル名 を入力する ファイルの種類 は PSPIMAGE を選ぶ 3.2 複数のレイヤーを統合して保存する メニューバー ファイル 名前を付けて保存 で, 保存する場所 を選び, 元のファイルとは別の名前で保存する なお, ファイルの種類 は JPEG か BMP を選ぶ なお, 編集した写真を Word や PowerPoint などの Office ツールで利用するためのファイル形式で保存するには, ファイル Office 用に保存 を選択する ダイアログボックスの 詳細設定 のチェックボックスをクリックしてオンにすると, 詳細設定 パネルが表示される ここでは, サイズ, 画質, ファイルの種類が設定できる 保存 ボタンをクリックすると指定したフォルダにファイルが出力される 87