Information KK19.24.8
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もん ブックカバー すみれいろ 1 最も薄い藍染と言える 色名のいわれには 藍甕 あいがめ に入れた布を のぞ すぐに覗いて取り出してしまった すなわち少ししか浸さなかったため染めが かめのぞき 薄いから と 空の色が映った甕を人が覗き見たから の2説がある http://kyoto-denim.jp/ 卯の花色 あお ねず でにぐま 初夏に芳香を放つ白い花を つける梔子は 晩秋に赤み のある黄色の実をつける 色 名はその色に由来 煎じた 実は着色剤や染料となる い 菫色 現代のデザインに活 き る こ 甕覗 くちなしいろ 梔子色 日本古来の和菫の濃 い紫系の色 京都デ ニムでは さっそうと 生きる女性をイメージ し 少し青みを加えて 芯の強さを表現 藍色がかった灰色で 青 鼠 とも言われる 鼠色は茶色とと もに江戸時代の流行色で 鼠 と称する色が100種類近 くあったとされる 赤みを帯びた灰色で 梅 は紅梅の花の赤を表す 藍 鼠 同様 四十八茶百鼠 中の一色 粋でおしゃれなこ の色は 江戸幕府の倹約 質素を推奨した法令に背かず に楽しめる色として広まった 伝統的な染めの技術をデニ ム生地に施した衣料で注目を 浴びる デニムの切れ端を 使ったぬいぐるみ でにぐま でにじか なども人気 卯の花は万葉のころから親しまれてきた花で 5月ごろ白い花を咲かせる 平安時代より白さの表現に使われた 豆腐の搾りかすのおからを 卯の花 と呼ぶのはこの花の白さに由来する うのはないろ き や 文 字 の 持 つ 意 味 合 い を 楽 し み ファッションに個性を持たせていた のかもしれません 色は漢字で表現することによって も イメージされる世界が変わって ば ら いろ きます たとえば 薔薇色 を想像 し て み て く だ さ い バ ラ 色 と カ あで タカナで表現するより華やかで艶や か な 色 が 思 い 浮 か ぶ で し ょ う ま こん ぺき た 紺 碧 の 空 と 書 く と 吸 い 込 まれそうなほど高く真っ青に澄み渡 る 雲ひとつない空をイメージでき ます 宮本さんは 次の世代にも共 感してもらえるよう 新しい伝統を 作っていきたい と話します このように現代において そして 日常において 伝統色の奥深さが見 直され始めています 和の心を伝え る色彩表現とそこに用いられている 漢字の表現力の豊かさを ぜひ感じ てみてください 梅鼠 あいねず うめねず 京都デニム すおういろ やや青みのある赤色で 熱帯や亜熱帯などに育つ蘇芳というマメ科の樹 木の芯から抽出した色素で染めたもの 蘇芳は古くから輸入に頼っており 正倉院では薬物として保存されている 蘇芳色 1 京 小 紋 藍 色 な ど に 染 め た 生 地 に 文 様 を 施 す た め に 柄 の 部 分 を 白 く 抜 き そ こ に 伝 統 色 を 染めていく技法 2 四十八茶百鼠 江戸時代 着物に使う色は茶色 灰色 藍色しか許されていませんでした そこ で 庶民はその地味な色を使ってさまざまなバ リ エ ー シ ョ ン を 編 み 出 し ま し た 茶 色 は 色 灰色は 100色使用したことからこの名がつい たという説があります 江戸庶民の美のセンス や知恵が生かされた日本の伝統色なのです 48 藍鼠 日本には長い歴史の中で生まれ 育まれてきた色彩表現があります 美しい四季の草花などと 微妙な色合いの違いを重ね合わせた バラエティに富んだ味わい深い色の名前が今日に数多く伝えられています 2 色彩表現に見る和の心 きょう 京 都にある 江 戸 中 期から続 く 着 物製造の老舗 京都デニム 今 染 色技術と伝統色をジーンズなどのデニ ム生地に活かすことで注目を集めてい ま す そ の 特 徴 は 京 小 紋 と い う 着物の伝統染色技法 を 駆 使 し た 深 みのある色合いと独 特 な 文 様 で す 京都デニムの宮本 和 友 さ ん に よ れ ば 伝 統 的 な 着 物 に 使 わ れ る 色 に は 日本人が持って い る 細 や か な 心 遣いや粋な精神が表 れ て い る と の こと たとえば 菫色 すみれいろ 藤 袴 色 ふ じ ば か ま い ろ 紺 青 色 こ ん じ ょ う い ろ は 同 じ 紫 系 の色ですが 色合い の 違 い で 呼 び 名 が異なります 日本の色辞典 紫 紅社 で 466種類もの伝統色が紹 介されているように 日 本 は 実 に 色 彩表現豊かな国なの で す そ の 豊 か さを示す良い例が 江 戸 時 代 に 発 達 し じゅう はっ ちゃ ひ ゃ く ね ず み し た 四 十 八 茶 百 鼠 で す こ こ ねずみ い ろ で 使 わ れ て い る 鼠 色 は 火 事 の多発した江戸で 灰 と い う 漢 字 を避け 代わりに 鼠 を 色 名 に 当 てたものだそうです 今 も 着 物 の 世 界では 青みを帯び た 藍 鼠 あ い ねず 赤みを帯びた 梅鼠 うめ ね ず の よ う に 広 く 使 わ れ て い ま す 当時の人々は 微 妙 な 色 の 違 い を呼び名で区別する こ と で 音 の 響 でにじか 日本 の伝統色 と漢字 の世界 コ ラ ム 和 の 色 探 索 全て京都デニムの作品です 着物ジーンズ その他の伝統色 参考文献 日本の色辞典 吉岡幸雄著 紫紅社 色の名称 由来は辞典により異なる場合があります 14 漢検ジャーナル Vol.7
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