標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

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-3- Ⅰ 市町村国保の状況 1 特定健康診査受診者の状況 平成 23 年度は 市町村国保 (41 保険者 )98,439 人の特定健康診査データの集計を行った 市町村国保の診者数は男性 女性ともに 歳の割合が多く 次いで 歳 歳の順となっている 男性 女性 総数

肥満者の多くが複数の危険因子を持っている 肥満のみ約 20% いずれか 1 疾患有病約 47% 肥満のみ 糖尿病 いずれか 2 疾患有病約 28% 3 疾患すべて有病約 5% 高脂血症 高血圧症 厚生労働省保健指導における学習教材集 (H14 糖尿病実態調査の再集計 ) より

山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

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ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

事象 :2 健診項目の中で特定健診必須項目に未受診の項目が存在する 返戻事由健診結果データ異常備考検査項目エラー返戻コード 03 特定健診で必須となっている健診項目に実施されていない項目が存在します 別表: 特定健診項目存在チェックシート を参考に健診結果を入力してください 事象 :3 生活機能評価

平成22年度インフルエンザ予防接種費用補助実施要綱

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大阪府医師国民健康保険組合 特定健康診査等実施第 2 期計画 ( 平成 25 年 7 月 1 日 ) 1. 計画策定の背景昭和 36 年の国民皆保険の成立により わが国の平均寿命は飛躍的に伸び 今や世界一の長寿国となった しかし 世界に冠たるこの国民皆保険制度は 平均寿命の伸びによる高齢化の急激な進

宗像市国保医療課 御中

厚生労働省のメタボ政策について

死亡率 我が国における疾病構造 生活習慣病は死亡割合の約 6 割を占めている 我が国の疾病構造は感染症から生活習慣病へと変化 死因別死亡割合 ( 平成 24 年 ) 生活習

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(6/5 19:00修正)資料3 標準的な健診・保健指導プログラム改定のポイント (2) (2)


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データを正しく 活用していただくために 今回は 平成 23 年度に市町村国保で実施した特定健診結果のみ集計しています 今後 協会けんぽ沖縄支部の結果とあわせて 改めてデータ集を発行する予定です 1. 集計対象者 今回の集計対象者は 平成 23 年度に特定健康診査を受診した者 ( 市町村国保分のみ )

特定健康診査及び特定保健指導に係る自己負担額の医療費控除の取扱いの一部変更について(厚生労働省健康局長、保険局長:H )

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資料 6 広島市健康福祉局保健部保健医療課 元気じゃ健診 ( 特定健診 ) の受診に関する地域包括支援センターから地域住民への呼びかけについて 1. 趣旨 広島市は 全国平均に比べて 平均寿命は長いが 健康寿命は短くなっている また 広島市国民健康保険の 1 人当たり医療費は 政令市の中で最も高くな

結果の概要

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平成 27 年 10 月 6 日第 2 回健康増進 予防サービス プラットフォーム資料 協会けんぽ広島支部の取り組み ~ ヘルスケア通信簿について ~ 平成 27 年 10 月全国健康保険協会広島支部 協会けんぽ 支部長向井一誠

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Ⅰ 目標達成

背景及び趣旨 我が国は国民皆保険のもと世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた しかし 急速な少子高齢化や国民の意識変化などにより大きな環境変化に直面しており 医療制度を持続可能なものにするために その構造改革が急務となっている このような状況に対応するため 高齢者の医療の確保に関する法律

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特定健康診査等実施計画

まず 内部精度管理については 健診機関で 検体の採取 輸送 保存 測定 検査結果の管理 安全 管理者の配置などについて常に管理して 検査値の精度を保証することが必要とされます 外部精度管理については 日本医師会 日本臨床検査技士会 全国労働衛生団体連合会などの外部精度管理事業を少なくとも一つは定期的

はじめに

背景及び趣旨我が国は国民皆保険のもと世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた しかし 急速な少子高齢化や国民の意識変化などにより大きな環境変化に直面しており 医療制度を持続可能なものにするために その構造改革が急務となっている このような状況に対応するため 高齢者の医療の確保に関する法律に

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特定健康診査等実施計画

もくじ特定健診 保健指導とは 1 生活習慣病を 本気 で防ぐ! 生活習慣病を 根こそぎ 防ぐ! 2 生活習慣をチェック 改善する絶好のチャンス! 4 特定健診について Q 特定健診を受けるのはどんな人? Q どんな検査を受けるの? Q その検査でなにがわかるの? 8 Q 結果はどのように判断されるの

第 2 達成目標 1. 特定健康診査の実施に係る目標国が示す指針においては 平成 24 年度における特定健康診査の実施率目標を 70.0% とされており 平成 20 年度から平成 24 年度まで 実施率目標を達成できるよう段階的に実施率を引き上げていくこととする 2. 特定保健指導の実施に係る目標国

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

今年も 特定健康診査が始まります!! 未来のあなたの健康の為に 今こそ特定健診を受診してください! 特定健康診査のポイント 1 40 歳 ~ 74 歳までの すべての人が対象です 2 メタボリックシンドロームに着目し 生活習慣病を予防します 3 健診結果による必要度に応じて 本人に適した特定保健指導

特定健康診査等実施計画書 ( 第 3 期 ) JXTG グループ健康保険組合 平成 20 年 4 月 1 日制定平成 22 年 4 月 1 日改訂平成 25 年 4 月 1 日改正平成 30 年 4 月 1 日改正 - 1 -

特定健康診査等実施計画


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第三期 特定健康診査等実施計画 伊藤忠連合健康保険組合 平成 30 年 3 月

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3 対象者への案内の方法 当該年度の特定保健指導対象者全員 ( 基準では非該当だが 医療保険者の判断で特定保健指導対象となる方 も含む ) に対して 参加案内を郵送して 結果説明会を実施するとともに 特定保健指導における初回時面接を行います また 初回時面接未参加者に対しても 再度 特定保健指導の参

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①特定健診等マニュアル案(200205現在)

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このシートは 下記のから9のカテゴリーをチェック () することで 御社の健康づくりの現状と その先の取り組みを設定するための参考とすることができます 各カテゴリーの設問については できている 5 点 もう一歩 2 点 できていない 0 点で採点することで それぞれの項目における現状を点数で把握する

特定健康診査等実施計画 ( 第二期 ) 三重交通健康保険組合 平成 25 年 7 月

- 目次 - 第 1 章計画の概要 1 計画の目的 1 2 計画の期間 1 3 計画の位置づけ 1 4 特定健康診査 特定保健指導について 1 第 2 章伊達市の現状 1 人口と国保被保険者数 3 2 国保被保険者数の推移 4 3 医療費の状況 5 第 3 章第 2 期計画の実施状況 1 特定健康診

長医発第20号

特定健康診査等実施計画 第二期 ( 平成 25 年度 ~ 平成 29 年度 ) 第一版 三菱鉛筆健康保険組合 平成 25 年 5 月

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カテゴリー別人数 ( リスク : 体格 肥満 に該当 血圧 血糖において特定保健指導及びハイリスク追跡非該当 ) 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 8190 リスク重なりなし BMI5 以上 ( 肥満 ) 腹囲判定値以上者( 血圧 (130 ) HbA1

人間ドック結果報告書 1/5 ページ 所属 : 株式会社 ケンコウタロウ健康太郎 様 性別 / 年齢 男性 / 49 歳 生年月日 昭和 40 年 3 月 17 日 受診日 平成 26 年 5 月 2 日 受診コース 人間ドック ( 胃カメラ ) 問診項目 今回前回前々回平成 26 年 5 月 2

背景及び趣旨 我が国は国民皆保険のもと 社会保障制度を構築してきた結果 世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた しかし 近代において 急速な少子高齢化や国民の大きな生活環境の変化は 飽食や便利さと引き換えに慢性的な運動不足に陥り いわゆる生活習慣病への大きな要因となっている さらには 医

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第 2 期特定健康診査等実施計画 計画期間 : 平成 25 年度 ~ 平成 29 年度 平成 25 年 3 月 秋田県北秋田市

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2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

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Transcription:

第 3 章保健指導対象者の選定と階層化 (1) 保健指導対象者の選定と階層化の基準 1) 基本的考え方生活習慣病の予防を期待できる内臓脂肪症候群 ( メタボリックシンドローム ) の選定及び階層化や 生活習慣病の有病者 予備群を適切に減少させることができたかを的確に評価するために 保健指導対象者の選定及び階層化の標準的な数値基準が必要となる 2) 具体的な選定 階層化の基準 1 内臓脂肪型肥満を伴う場合の選定内臓脂肪蓄積の程度を判定するため その基準として腹囲を用いるとともに 内臓脂肪症候群 ( メタボリックシンドローム ) の判定基準となる高血糖 高血圧等のリスクを評価する健診項目 ( 血糖や血圧等の測定 ) を用いる 2 内臓脂肪型肥満を伴わない場合の選定腹囲計測によって内臓脂肪型肥満と判定されない場合にも 高血糖 高血圧等のリスクを評価する健診項目 ( 血糖や血圧等の測定 ) を基本的な健診として実施することにより 内臓脂肪型肥満を伴わない糖尿病 高血圧症等の個別の生活習慣病を判定することができるようにする 3 健診項目の判定基準 健診項目の基準値等の標準化 については別紙 5 参照 24

(2) 保健指導対象者の選定と階層化の方法 1) 基本的考え方 内臓脂肪の蓄積により 心疾患等のリスク要因 ( 高血圧 高血糖 脂質異常等 ) が増え リスク要因が増加するほど心疾患等が発症しやすくなる このため 保健指導対象者の選定は 内臓脂肪蓄積の程度とリスク要因の数に着目することが重要となる 内臓脂肪の蓄積を基本とし リスク要因の数によって保健指導レベルを設定していくとともに 比較的若い時期 (65 歳未満 ) に生活習慣の改善を行った方が予防効果が期待できると考えられるため 年齢に応じた保健指導レベルの設定をしていく その際 効果的 効率的に保健指導を実施していくためには 予防効果が大きく期待できる者を明確にし 保健指導対象者を選定する 特定健診に相当する健診結果を提出した者に対しても 特定健診を受診した者と同様に 特定保健指導を実施する 2) 具体的な選定 階層化の方法 ステップ1 腹囲と BMI で内臓脂肪蓄積のリスクを判定する 腹囲 M 85cm F 90cm (1) 腹囲 M<85cm F<90cm かつ BMI 25 (2) (1) (2) 以外の者への対応については 3) 留意事項参照 ステップ 2 検査結果 質問票より追加リスクをカウントする 1~3 は内臓脂肪症候群 ( メタボリックシンドローム ) の判定項目 4 はその他の関連リスクとし 4 喫煙歴については 1 から 3 のリスクが 1 つ以上場合にのみをカウントする 1 血糖 a 空腹時血糖 100mg/dl 以上又は b HbA1cの場合 5.2% 以上又は 2 脂質 a 中性脂肪 150mg/dl 以上又は b HDLコレステロール 40mg/dl 未満又は 3 血圧 a 収縮期 130mmHg 以上又は b 拡張期 85mmHg 以上又は 4 質問票 喫煙歴あり 25

血糖検査については HbA1c 検査は 過去 1~3 か月の血糖値を反映した血糖値のコントロールの指標であるため 保健指導を行う上で有効であるとともに 絶食による健診受診を受診者に対して 事前に通知していたとしても 食事を摂取した上で健診を受診することにより 必ずしも空腹時における採血が行えないことから 空腹時血糖と HbA1c 検査の両者を実施することが望ましいが 空腹時血糖と HbA1c の両方を測定している場合には メタボリックシンドロームの診断基準として用いられている空腹時血糖を使用する ステップ3 ステップ1 2から保健指導レベルをグループ分け (1) の場合 1~4のリスクのうち 追加リスクが 2 以上の対象者は 積極的支援レベル 1の対象者は 動機づけ支援レベル 0の対象者は 情報提供レベル とする (2) の場合 1~4のリスクのうち 追加リスクが 3 以上の対象者は 積極的支援レベル 1 又は2の対象者は 動機づけ支援レベル 0の対象者は 情報提供レベル とする ステップ 4 前期高齢者 (65 歳以上 75 歳未満 ) については 1 予防効果が多く期待できる 65 歳までに 特定保健指導が既に行われてきていると考えられること 2 日常生活動作能力 運動機能等を踏まえ QOL(Quality of Life) の低下に配慮した生活習慣の改善が重要であること等の理由から 積極的支援の対象となった場合でも動機づけ支援とする 血圧降下剤等を服薬中の者 ( 質問票等において把握 ) については 継続的に医療機関を受診しており 栄養 運動等を含めた必要な保健指導については 医療機関において継続的な医学的管理の一環として行われることが適当であるため 医療保険者による特定保健指導の対象としない 市町村の一般衛生部門においては 主治医の依頼又は 了解の下に 医療保険者と連携し 健診データ レセプトデータ等に基づき 必要に応じて 服薬中の者に対する保健指導等を行うべきである 医療機関においては 生活習慣病指導管理料 管理栄養士による外来栄養食事指導料 集団栄養食事指導料等を活用することが望ましい なお 特定保健指導とは別に 医療保険者が 生活習慣病の有病者 予備群を減少させるために 必要と判断した場合には 主治医の依頼又は了解の下に 保健指導等を行うことができる 26

3) 留意事項 医療保険者の判断により 動機づけ支援 積極的支援の対象者以外の者に対しても 保健指導等を実施することができる 市町村の一般衛生部門においては 医療保険者と連携し 血糖値が受診勧奨判定値を超えているなど 健診結果等から 医療機関を受診する必要があるにもかかわらず 医療機関を受診していない者に対する対策 特定保健指導対象者以外の者に対する保健指導等を行うべきである 特定保健指導の対象者のうち 積極的支援 が非常に多い場合は 健診結果 質問票等によって 生活習慣の改善により予防効果が大きく期待できる者を明確にし 優先順位をつけ保健指導を実施すべきである ( 第 3 編参照 ) 保健指導を実施する際に 健診機関の医師が直ちに医療機関を受診する必要があると判断しているにもかかわらず 保健指導対象者が 医療機関を受診していない場合は 心血管病の進行予防 ( 心疾患 脳卒中等の重症化予防 ) のために治療が必要であることを指導することが重要である また 健診データ レセプトデータ等に基づき 治療中断者を把握し 心血管病の進行予防 ( 心疾患 脳卒中等の重症化予防 ) のために治療の継続が必要であることを指導することが重要である 市町村の一般衛生部門が 市町村国保等の医療保険者が保有する健診データに基づき当該市町村内の住民に対する保健指導や健康相談 ( 以下別紙 6 において 保健指導等 という ) を行おうとする場合には これらの情報が特に適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある医療分野に関する情報であることから 市町村の一般衛生部門は 医療保険者と連携し 別紙 6 に定める取扱いを行う必要がある 4) その他健診結果の通知医療保険者は 健診結果について 異常値を示している項目 異常値の程度 異常値が持つ意義等について わかりやすく受診者に通知する必要がある その際 健診機関は 別紙 5に示す判定基準に 機械的に受診者の健診結果を判定値に当てはめるのではなく 検査結果の持つ意義 ( 例 : 血圧については 白衣高血圧等の問題があり 再測定が重要であること 中性脂肪については 直前の食事摂取に影響を受けること 血糖値については 受診勧奨判定値を超えていれば 直ちに医療機関を受診する必要があること ) 異常値の程度 年齢等を考慮した上で 医療機関を受診する必要性を個別に医師が判断し 受診者に通知することが重要である また 受診勧奨判定値を超えた場合でも 軽度の高血圧 ( 収縮期血圧 140~159 mmhg 拡張期血圧 90~99mmHg) 等であれば 服薬治療よりも 生活習慣の改善を優先して行うことが一般的である 特定保健指導の対象となった者については 各学会のガイドラインを踏まえ 健診機関の医師の判断により 保健指導を優先して行い 効果が認められなかった場合に 必要に応じて 受診勧奨を行うことが望ましい 27

詳細な健診判断基準を踏まえた一定の基準の下 重症化の進展を早期にチェックするため 医師が必要と判断した場合は 詳細な健診として 眼底検査 心電図等のうちから選択的に行うこととする なお 健診機関は 基準を機械的に適用するのではなく 詳細な健診を行う必要性を個別に医師が判断することとし その判断理由等を医療保険者に通知するとともに 受診者に説明することとする 肝機能検査等の取扱い LDL コレステロール AST ALT γ-gt 等の階層化に用いられない検査結果についても 保健指導判定値を超えている場合には 特定保健指導の際に 検査結果に応じて その病態 生活習慣の改善する上での留意点等をわかりやすく説明する必要がある 28