第 36 問 記述式解答例 以下, 次の略称を用いています 1 答案作成に当たっての注意事項 注 2 ( 平成 28 年 月 日関係当事者から聴取した内容等 聴取内容 3 事実関係に関する補足 補足 第 1 欄 ⑴ 甲土地について1 番目に申請した登記登記の目的 1 番所有権 < 共有 > 登記名義人住所変更 2 番目に申請する甲野一郎持分全部移転の登記の前提登記として申請することが必要 ( 不登 257, 登記研究 611 号 ) 甲土地甲区 1 番付記 1 号で登記 ( 不登規 31) 上記以外の 平成 27 年 9 月 1 日 < 5 日 > 住所移転 聴取内容 1, 別紙 4 自然人がその住所を移転した場合の原因日付は, 住民票の写しに記載された住所移転の日 ( 住所移転の届出日ではなく, 現実に住所を移転した日 ) による 変更後の事項共有者甲野一郎の住所千葉県千葉市中央区富士見九丁目 8 番 7 号 注 1⑵は 申請人 についての解答を記載するに当たってのみ住所の記載を要しないとしているので, 申請人以外の 登記事項としての住所 については記載する必要がある 申請人 ( 被代位者 ) 甲野一郎 注 1⑴の指示により, 申請人の資格として 申請人 と記載する ( 不登 64Ⅰ) 代位者甲野花子代位原因平成 28 年 4 月 8 日財産分与による所有権移転 (or 甲野一郎持分全部移転 ) 登記請求権 代位による申請の場合には, 申請人が代位者である旨, 当該他人の氏名又は名称及び住所 並びに 代位原因 を記載する ( 不登 597, 不登令 34, 注 2の指示 ) なお, 注 1⑵ の指示により, 住所の記載は省略する ウ 注 4⑴の指示 登記原因証明情報 ( 不登 61) として, 甲野一郎の住民票の写し ( 別紙 4) を添付する( 不登令別表二十三 添 ) ア 代位原因証明情報 ( 不登令 7Ⅰ3) として, 東京家庭裁判所平成 27 年 ( 家イ ) 第 1234 号の調停調書 を添付する 甲野花子の委任状 Copyright(c)2016 東京法経学院 All Rights Reserved. 1
注 4⑶ で, 後記 一覧 のアからハまでに掲げられた情報以 外の情報 ( 登記の申請に関する委任状等 ) は, 記載することを要しない とされている 金 1,000 円 ⑵ 甲土地について2 番目に申請した登記登記の目的甲野一郎持分全部移転 甲土地甲区 2 番で登記 上記以外の 平成 28 年 4 月 8 日 < 5 日,6 日 > 財産分与 別紙 3の調停条項第 7 項, 聴取内容 1 権利者 ( 申請人 ) 持分 2 分の1 甲野花子 判決による甲野花子の単独申請 ( 不登 63Ⅰ) であることを示すために ( 申請人 ) と記載する 登記識別情報通知 ( 不登 21 本文 ) 義務者甲野一郎 不登令 311イ ア 登記原因証明情報 ( 不登 61) として, 条件成就執行文が付記された ( 民執 26Ⅱ) 東京家庭裁判所平成 27 年 ( 家イ ) 第 1234 号の調停調書 を添付する ( 不登令 7Ⅰ5ロ⑴) エ 住所証明情報 ( 不登令別表三十 添ロ ) として, 文京区の発行に係る甲野花子の住民票の写し を添付する なお, 注 4⑷の 後記 一覧 のツからヌまでに掲げられた印鑑に関する証明書は, 登記名義人の住所を証する情報としては使用しないものとする との指示に注意 サ ツ 判決による単独申請であるから, サ ( 甲土地甲区 1 番の登記済証 ) 及び ツ ( 甲野一郎の印鑑に関する証明書 ) は, 不要である 金 62 万 5,900 円 < 62 万 5,000 円 > 6259 万 2323 円 ( 補足 9) 1/2( 移転持分, 登録税 10Ⅱ) =31296161.5 円 3129 万 6,000 円 ( 課税価格は 1,000 円未満切捨 : 国税通則 118Ⅰ) 3129 万 6,000 円 20/1000( 別表 ( 二 ) ハ )=625,920 円 625,900 円 ( 登録免許税は 100 円未満切捨 : 国税通則 119Ⅰ) ⑶ 司法書士法務直子が助言した手続の内容及びその理由別紙 3の調停調書の正本につき, 条件成就執行文の付与の申立ての手続きをするよう Copyright(c)2016 東京法経学院 All Rights Reserved. 2
に助言した その理由は, 本問のように債務者の登記申請の意思表示が反対給付との引き換えにかかる場合には, 執行文の付与を受けなければ甲野一郎の登記申請の意思表示は擬制されないからである 民執 174Ⅰ ただし書 Ⅱ,27Ⅰ,26 第 2 欄 ⑴ 甲土地について1 番目に申請した登記登記の目的 1 番 2 番所有権登記名義人住所変更 3 番目に申請する3 番抵当権抹消登記及び4 番根抵当権抹消登記の前提登記として申請することが必要 ( 登記研究 512 号 157 頁 ) 2 番目に申請することも可能ではあるが, 登記を申請する順序を問わない場合において, 登記記録中甲区に関する登記及び乙区に関する登記の双方を申請するときは, 先に甲区に関する登記を申請したものとする との補足 6の指示により,1 番目に申請する 申請件数及び登録免許税の額が最も少なくなるように登記を申請したものとするとの補足 5の指示により,1 番と 2 番の所有権登記名義人住所変更の登記を一括申請する ( 不登規 358) 甲土地甲区 1 番付記 1 号及び甲区 2 番付記 1 号で登記 ( 不登規 31) 上記以外の 平成 28 年 5 月 3 日住所移転 聴取内容 2 < 平成 28 年 4 月 6 日氏名変更 > 聴取内容 1, 申請不要 変更後の事項 < 共有者甲野一郎の住所 > 甲野花子はこの時点では単独所有者住所東京都豊島区池袋五丁目 5 番 5 号申請人甲野花子 オ 登記原因証明情報 ( 不登 61) として, 豊島区の発行に係る甲野花子の住民票の写し を添付する ( 不登令別表二十三 添 ) イ 金 1,000 円 < 2,000 円 > 金 1,000 円 不動産 1 個 < 別表 ( 十四 ) 変更登記 > Copyright(c)2016 東京法経学院 All Rights Reserved. 3
⑵ 甲土地について2 番目に申請した登記登記の目的 3 番抵当権移転 甲土地乙区 3 番付記 1 号で登記 ( 不登規 35) 3 番目に申請する3 番抵当権抹消登記の前提登記として申請することが必要 < 3 番抵当権登記名義人名称変更 > 前提等移記として申請する必要ナシ 登記原因証明情報の一部として カ を提供 上記以外の 平成 18 年 7 月 1 日 < 吸収 > 合併 原因日付は, 吸収合併の場合は当事者間で定めた効力発生日である ( 会 749Ⅰ6,750Ⅰ) 本問では, 聴取内容 5から 平成 18 年 7 月 1 日 と判明する 抵当権者 < 承継会社 >( 被合併会社株式会社 E 銀行 ) 申請人の記載 ( 注 1⑴) は, 所有権移転登記とは異なり, 承継会社 ではなく, 抵当権者 と記載する( 不登 63Ⅱ) 被合併会社の記載 ( 注 1⑴では ( 被承継会社 ) との例示があるが, 通常の記載である 被合併会社 として解答した ) としては, 合併時の商号である 株式会社 F 銀行 と記載すべきとも解されるが, 相続による移転登記の場合の被相続人の記載につき 登記簿上の表示と符合していることを要する との書式精義 ( 新訂不動産登記書式精義 中 ( 一 )1009 頁 ) の見解により, 一応, 登記記録上の商号である 株式会社 E 銀行 で解答例は作成してある 株式会社 H 銀行 < 株式会社 G 銀行 > ( 会社等法人番号 0104-01-654321) 注 3の指示により会社法人等番号を提供する方法により申請する ( 不登令 7Ⅰ1イ ) 注 1⑵の指示により, 本店又は代表機関の資格及び氏名は記載することを要しない 登記識別情報通知 ( 不登 21 本文, 不登規 62Ⅰ2) カ 登記原因証明情報 ( 不登 61) の一部として 株式会社 F 銀行の閉鎖事項一部証明書 を添付する ス 単独申請 金 2 万 5,000 円 2,500 万円 ( 債権額 ) 1/1000< 別表 ( 六 ) イ > ⑶ 甲土地について 3 番目に申請した登記 Copyright(c)2016 東京法経学院 All Rights Reserved. 4
登記の目的 3 番抵当権,4 番根抵当権抹消 申請件数及び登録免許税の額が最も少なくなるように登記を申請したものとするとの補足 5の指示により,3 番抵当権及び4 番根抵当権の抹消登記を一括申請する ( 不登規 359) 甲土地乙区 5 番で登記 < 3 番抵当権変更平成 27 年 9 月 1 日住所移転 > 聴取内容 1, 別紙 4, < 3 番抵当権変更平成 28 年 5 月 3 日一部弁済 > 聴取内容 2の弁済が全額の弁済でないとしても, 抹消登記の前提として申請不要 ( 補足 5) 上記以外の 平成 28 年 5 月 25 日解除 < 弁済 > 抵当権につき, 聴取内容 2 4, 別紙 5, 根抵当権につき, 聴取内容 2 4, 別紙 6, 権利者甲野花子 1 番目の申請の必要性義務者株式会社 H 銀行 2 番目の申請の必要性 ( 会社等法人番号 0104-01-654321) キ, ク 登記原因証明情報 ( 不登 61) として, 抵当権解除証書( 別紙 5) と 根抵当権解除証書 ( 別紙 6) を添付する( 不登令別表二十六 添ホ ) チ セ 登記識別情報 ( 不登 22 本文 ) として, 株式会社 H 銀行の 平成 28 年 5 月 25 日付け申請により通知される甲土地乙区 3 番付記 1 号の登記識別情報 ( 注 4⑵, 不登規 67) と 甲土地乙区 4 番の登記識別情報 ( 補足 8) を添付する. 金 1,000 円 < 2,000 円 > 金 1,000 円 不動産 1 個 < 別表 ( 十五 )> ⑷ 甲土地について4 番目に申請した登記登記の目的登記不要 注 6の指示 上記以外の Copyright(c)2016 東京法経学院 All Rights Reserved. 5
第 3 欄 ⑴ 甲土地について1 番目に申請した登記登記の目的 2 番根抵当権一部移転 甲土地乙区 2 番付記 2 号で登記 ( 不登規 35) 上記以外の 平成 28 年 6 月 24 日一部譲渡 民 398 の 13, 聴取内容 6, 別紙 7, 補足 4 権利者 < 持分 >Q 食品有限会社 不登令 39 かっこ書 ( 会社等法人番号 0110-02-876543) 義務者株式会社 P 商事 ( 会社等法人番号 0140-01-345678) ケ 登記原因証明情報 ( 不登 61) として 根抵当権一部譲渡契約証書 ( 別紙 7) を添付する ネ ( 甲野花子のもの T 商事株式会社のもの ) 登記原因につき第三者の承諾を証する情報として, 設定者甲野花子の承諾書 ( 不登令 7Ⅰ5ハ ) 及び当該情報の作成者甲野花子の印鑑に関する証明書 ( 不登令 19Ⅱ) を添付する 転抵当権者の承諾は不要 シ 株式会社 P 商事の 甲土地乙区 2 番の登記済証 を添付する ( 不登 22 本文 ) ニ 義務者は根抵当権者 ( 不登規 473ハ ) 金 10 万円 1 億円 ( 極度額 ) 2( 一部譲渡 後 の共有者の数 ) 2/1000< 別表 ( 七 )> 解答は求められていないが, 甲土地について 2 番目に 平成 28 年 6 月 24 日変更 を登記原因とする 2 番根抵当権変更 の登記を申請した後, 乙建物についての登記を申請する ⑵ 乙建物について申請すべき登記があるときは, その登記登記の目的共同根抵当権設定 ( 追加 ) Copyright(c)2016 東京法経学院 All Rights Reserved. 6
登記の目的は, 共同根抵当権設定( 追加 ) である 共同担保としての根抵当権の追加設定であるから, 登記の目的に 共同 という文字を入れること ( 不登令別表五十六 申ハ ), 追加設定登記であるから, 末尾に ( 追加 ) と入れることに注意する 乙建物乙区 4 番で登記,3 番には2 番根抵当権抹消の登記がなされている 上記以外の 平成 28 年 6 月 24 日設定 聴取内容 6 7, 別紙 8, 補足 4 極度額金 1 億円債権の範囲 変更登記後のものを記載する根抵当権者株式会社 P 商事につき売買取引買付委託取引販売委託取引根抵当権者 Q 食品有限会社につき売買取引平成 28 年 1 月 8 日特約販売契約債務者 変更登記後のものを記載する根抵当権者株式会社 P 商事につき横浜市港北区日吉八丁目 1 番 1 号株式会社 Aレストラン根抵当権者 Q 食品有限会社につき東京都豊島区池袋五丁目 5 番 5 号甲野花子 申請人ではない 登記事項としての債務者の住所 については, 注 1 は住所の記載を要しないとはしていないので, 出題者の意図ではないと思われるが ( 出題者は登記名義人住所変更の登記事項を記載させる意図だけ有していたと推測されるが ), 解答例としては記載した 根抵当権者 < 持分 >Q 食品有限会社 不登令 39かっこ書 ( 会社等法人番号 0110-02-876543) 株式会社 P 商事 ( 会社等法人番号 0140-01-345678) 設定者株式会社 Aレストラン ( 会社等法人番号 0200-01-987654) コ 登記原因証明情報 ( 不登 61) として 根抵当権追加設定契約証書 ( 別紙 8) を添付する ネ ( 株式会社 Aレストランのもの ) 会社所有の不動産で取締役の債務を担保することになるので, 登記原因につき第三者の承諾を証する情報 ( 不登令 7Ⅰ5ハ ) として, 株式会社 Aレストランの株主総会又は取締役会議事録 ( 会 356Ⅰ3,365Ⅰ) を添付する Copyright(c)2016 東京法経学院 All Rights Reserved. 7
ソ 株式会社 Aレストランの 乙建物甲区 1 番の登記済証 を添付する ( 不登 22 本文 ) ト 株式会社 Aレストランの印鑑に関する証明書 を添付する ( 不登 18 Ⅱ Ⅲ, 不登規 473イ⑴) ハ 共同根抵当権の追加設定登記の場合, 前登記物件が追加物件と 同一登記所の管轄内にない場合 ( 補足 8) には, 前登記証明書を添付しなければならない ( 不登令別表五十六 添ロ ) ので, 甲土地の登記事項証明書 を添付する これは, 既登記物件と申請物件の根抵当権の極度額, 債権の範囲, 債務者が同一であることを証明し, 有効に共同担保関係が成立することを確認するため及び登録免許税法 13 条 2 項の適用をうけるためである 金 1,500 円 ( 登録免許税法第 13 条第 2 項 ) 登録免許税の額が最も少なくなるように登記を申請したものとするとの補足 5の指示, 注 9によりの算出について登録免許税法による税の減免の規定の適用は除外されていない 注 9により, 登録免許税が軽減される場合には, その根拠となる法令の条項を欄にとともに記載する ( 不登規 189Ⅲ) とされている Copyright(c)2016 東京法経学院 All Rights Reserved. 8