20160520 宮城地域さわやかサービス推進協議会 聴覚障害者とのコミュニケションにおける配慮 平成 28 年 5 月 20 日 ( 金 ) 宮城県聴覚障害者情報センター ( 愛称 : みみサポみやぎ ) 施設長松本隆一 1
聴覚障害とは 全難聴 全要研発行 要約筆記者養成テキスト ( 上巻 ) より引用 2
聴覚障害とは 1. 伝音 ( 性 ) 難聴 伝音系の障害によって起きる難聴 神経に障害がないため 補聴器の装用効果が期待できる 主な原因は 外耳道閉鎖 中耳炎 耳硬化症 2. 感音 ( 性 ) 難聴 感音系の障害によって起きる難聴 要約筆記を必要とする人の多くが該当 小さい音が聞こえなくなる ( 閾値の上昇 ) 大きい音に対する抵抗力が低下する ( 補充現象 ) 音を明瞭に区別できない ( 語音弁別力の低下 ) 等の特徴がある 神経系が損傷を受けているため補聴器の装用効果は大きくない 主な原因は ウィルス 感染 薬物 騒音や加齢によるものなど 3. 混合 ( 性 ) 難聴 伝音性 感音性の両方の難聴を併せ持つ 聞こえ方は一人ひとり異なる ( 個別の配慮を ) 3
聴覚障害者 聴覚障害とは 現行の障害者制度では法的認定を受けている聴覚障害者が限定されている 約 33 万 8,000 人 一方 聴力レベル 70dB 未満も含む軽度 中等度の難聴者や高齢者も含むと 約 600 万人 ~800 万人 ( 総人口の約 5%) はいると言われている 4
聴覚障害とは 1. ろう者 音声言語獲得期前に失聴し 最重度 補聴器での聴覚活用が困難 獲得期以降に失聴した場合でもろう学校で手話を母語とするようになる 手話を第一言語として使用している者が多い 2. 中途失聴者 音声言語を獲得した後 おおむね思春期以降 もしくは成人期以降に失聴 聴覚障害の進行度は突発の場合や 徐々に進む場合がある 障害をもっていることに抵抗があるなど 障害受容が課題となる 手話を必要としている者が多い 筆談などを必要としている者が多い 3. 難聴者 補聴器等によって音声言語の識別がある程度可能 音声言語を通常のコミュニケーション手段としている者が多い 5
聴覚障害とは 聴覚障害になった後の影響 ( 二次的障害 ) 1 言語の獲得が困難になる 2 周囲の音声情報の獲得が困難になる 見慣れない漢字や英語の読み方がわからない 会話やテレビから必要な情報を得にくい 災害や事故等の緊急情報が得られない 3 コミュニケーション経験が不足してしまう 人と係わる力が低下したり高まりにくくなる 人と人との関係の障害 4 見た目ではわからない障害 声をかけても反応がなく無愛想だと思われるなど 誤解されたり 不利益をこうむったりする 聴覚に障害があると言っても忘れてしまう 聴覚障害を理解すること 手話や文字 ( 筆談 字幕等 ) 等による支援は 二次的障害を軽減するために有効な手段 6
聴覚障害とは 聴覚障害になった後の影響 ( 二次的障害 ) 聴覚障害者 = 補聴器 誤解 補聴器 = わかる 聴覚障害者 = 発音不明瞭 7
視覚情報を活用するもの 残存聴力を活用するもの 8
視覚情報を活用するもの 手話 指文字 手話 自分の意思を他人に伝えるために 手の動きや顔の表情によって表現する言語 主にろう者が用いるコミュニケーション手段 指文字 指文字は 50 音の一つ一つを指の形で表現 手話単語のないものや 一字一句正確に伝えたいときなどに使う 9
視覚情報を活用するもの 読話 1. 特徴 口 ( 唇 歯 舌 あご ) の形や動きのパターンを読みとる 前後の文脈やその場にある情報 ( 顔の表情など ) もとりこんで 相手の話の内容を推測する手段 ただし 知らない言葉や新しい言葉は読み取れない 2. 読話しやすい話し方 口の開け方ははっきりと 文節で区切りながら自然に 少し ゆっくりと話す 普通の声の大きさで話す 10
視覚情報を活用するもの 筆談手書きだけでなく 携帯電話等を使って文章を入力する方法も 1. 短い言葉を使う 話し言葉ではなく短く簡潔な文章で 状況によっては短時間で済ませたいこともある 2. 難しい言い回しは避ける 日本語の文章を読むのが苦手な方がいるので できるだけ簡潔な文章で 止むを得ない 必要ないということはない のような二重否定文は用いないこと 3. 読みやすい文字で 字の上手下手ではなく読みやすいように書く 11
視覚情報を活用するもの アプリケーション 聴覚障害者と健聴者のコミュニケーションをサポートする UD トーク 日本語音声認識エンジンを使って 声を文字化 2~5 人で本体同士を接続して会話のやり取りを行うことができる キーボードでの入力も可能 こえとら 音声認識で声を文字化 定型文の登録と利用もできる 絵文字で感情や季節を表現でき 複数台の端末を接続してチャットも可 12
視覚情報を活用するもの 耳からの情報を得られない 得にくい 聴覚障害者が一般社会の中で円滑にコミュニケーションをし 社会参加するために必要な手段 手話通訳 音声言語 手話に変換 普段から手話を使ってコミュニケーションをしている人は手話通訳が必要 要約筆記 音声言語を文字にして表記する方法 手書きとパソコンによる入力があり 表記したものをスクリーンに映す方法と紙やパソコンの画面等を用いて対象者だけに見せる方法がある 手話を習得していない聴覚障害者は要約筆記が必要 13
視覚情報を活用するもの 手話通訳要約筆記 手話通訳 要約筆記通訳 (OHC) 対象者が不特定多数の場面では できる限り手話通訳 要約筆記の両方をつける 14
残存聴力を活用するもの 補聴器 人工内耳ポケット型補聴器 ( 箱型補聴器とも言う ) 耳かけ型補聴器 耳あな型補聴器 聴覚障害により低下したきこえを 補聴器や人工内耳等で増幅してきこえを補う しかし 補聴器による効果が得られにくい環境がある 聴取弁別力の低下を補えない 補聴器 人工内耳装用者は 話し手の話す方向や距離 周囲の雑音環境で音声が聞き取れない 磁気誘導ループ FM 補聴器システム 赤外線補聴援助システム話し手の音声情報を磁気 電波 赤外線に変換して送受信する 15
その他 ( 非対面 遠隔コミュニケーション ) FAX パソコン スマホ等でメール パソコン スマホ等でテレビ電話 電話リレーサービス 16
聴覚障害者が求めるコミュニケーションへの配慮 コミュニケーション手段 総数 約 338,000 人 100.00% 補聴器や人工内耳等の補聴機器 約 234,000 人 69.20% 筆談 要約筆記 約 102,000 人 30.20% 手話 手話通訳 約 64,000 人 18.90% 読話 約 32,000 人 9.50% その他 約 23,000 人 6.80% ( 厚生労働省 平成 18 年身体障害児 者実態調査結果より ) 17
聴覚障害者が求めるコミュニケーションへの配慮 基本的に配慮して欲しいこと 音声だけでなく 視覚的な情報も併用 早口にならないようにする 文節で区切りながら はっきり ゆっくりと普通に話す ( ゆっくりすぎると 逆に分かりにくい 大声で話さない ) 同時に複数の人で話さない 向かい合った状態で 相手が自分の顔を見てるか確認してから話し ( 書き ) 始める 資料やマスクなどで顔や口が隠れないようにする また 下を向いて話さない 呼ぶときは 手招きするか その人のところへ行って肩をたたくか 振動呼出機等を使う 18
聴覚障害者が求めるコミュニケーションへの配慮 放送やアナウンスがあった時の配慮 文字や視覚情報で聴覚障害者に伝える 聴覚障害者の多くは アナウンスや連絡事項が音声情報だけで流されると 情報の存在自体に気づかない また 放送があることがわかっても 何を言っているかはほとんど把握できない 結果的に大きな不利益をこうむる 例えば 構内放送などは 必ず聴覚障害者に筆記等で伝えるか 紙を貼りだすなどして 文字や視覚情報で伝える 19
その他 ( 耳マーク ) 呼ばれても聞こえません 呼び出すときは手で合図してください 耳が遠いので ゆっくり はっきりと話してください 耳が不自由です 耳が不自由です はっきり口元を見せて話してください 耳マーク お手数ですが 筆記してください 病院 銀行などの受付で掲示されるもの 聴覚障害者によって 利用方法は様々名刺大で相手に見せるか ネックスストラップによる常時掲示の利用方法もある 裏表に配慮して欲しいことがそれぞれ書かれてるのもある 20
聴覚障害者が求めるコミュニケーションへの配慮 コミュニケーションしやすい雰囲気作り 自分から申し出る事を負担に感じている聴覚障害者が多い 筆談用具をご用意してます とメッセージも用意 受付カウンターや見えるところに置く 聴覚障害者が自分で筆談ボードを取る 用件を筆談で伝える 受けた者が筆談などで返事しやすい ( コミュニケーションがしやすい ) 21
聴覚障害者が求めるコミュニケーションへの配慮 聴覚障害者の存在に気づいて欲しい 他の者と同じサービスを受けたいと思った時 自ら 聴覚に障害がある ことを伝えたいが 場面ことに聴覚障害のことを伝えし続けるというが苦手 自ら伝える前に 相手に聴覚障害を気づいてもらうと嬉しい 話しかける 反応がない? 聴覚障害者かな? 筆談 身振りなどで話しかける 補聴器が見えた 手話で会話をしている場合など 普段から 聞こえない人がいることを意識 してみる 慌てずに 笑顔で対応できる気持ちの余裕と お互いに歩み寄りを 22
手話ワンポイントレッスン よろしくお願いします お疲れ様です ありがとうございました 23
聴覚障害者情報提供施設 設置主体宮城県 運営主体一社 ) 宮城県聴覚障害者福祉会 事業委託平成 26 年 12 月 1 日 開所平成 27 年 1 月 30 日 24
みみサポみやぎ 1) 啓発や交流 社会参加の中核的拠点として 聴覚障害者と地域とのつながり作りを行う 2) 聴覚障害に関して 総合的 専門的に対応できる情報提供と相談窓口をもつ 3) 手話通訳者や要約筆記者の養成 研修を行う 4) 災害時における支援活動の拠点作りを行う 聴覚障害関連の機器を試すことができます 聴覚障害関係の相談に応じます 手話通訳 要約筆記付のイベント等を発信します 出前講座を行います みやぎ通訳派遣センターのご利用を 25
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