一般研究発表 EV06 自閉症スペクトラムが アレキシサイミア傾向に 与える影響 後藤和史 ( 愛知みずほ大学人間科学部 ) キーワード アレキシサイミア自閉症スペクトラム構造方程式モデリング
問題 近年, アスペルガー障害を含む自閉症スペク トラムとアレキシサイミアとの間には概念的な オーバーラップがあることが議論されている Fitzgerld & Bellgrove (2006) 福島 高須 (20) 2
問題 2 身体疾患からみた類似性. アレキシサイミアと 心身症 Mrty et l. (963) pensée e opértoire rtoire 機械的思考 アレキシサイミアの先駆概念 心身症患者に特有の思考形式 Nemih & Sifneos(970),Sifneos(973) Sifneos(973) など 心身症 患者にアレキシサイミア的特徴がある 2. 自閉症スペクトラム障害と消化器系症状 障害 Horvth et l.(999), Chndler et l.(203) など 自閉症スペクトラム障害をもつ子どもに胃腸症状が多い 心身症 と分類される / されてきた障害 ( 逆流性食道炎など ) もある もしかすると,Nemih や Sifneos が臨床報告したようなアレキシサイミアアレキシサイミア的印象的印象は, 今で 3 いう自閉症自閉症スペクトラムスペクトラムだったのでは?
本研究の目的 自閉症スペクトラムがアレキシサイミア傾向 に与える影響を検討する 4
方法. 参加者 大学生 60 名 ( 男性 52 名, 女性 08 名 ) 2. 質問紙構成. アレキシサイミア傾向 Gotow Alexithymi Questionnire (GALEX; 後藤ら, 999) 2. 自閉症スペクトラム 3. 調査手続き AQ 日本語版 ( 若林, 2003; 若林ら, 2004) 講義中に質問紙を配布, 簡単な質問紙の説明をし, 同意を得た上で回答を指示, 講義終了時に回収した 5
結果 指標の処理 それぞれの質問紙をオリジナルにしたがって合計点を算出した 相関分析 アレキシサイミア傾向と AQ の下位概念間の関連を検討するために相関係数を算出した 6
アレキシサイミア傾向と AQ との相関 自閉症スペクトラム 社会的スキル ( の問題 ) 注意の切り替え ( の問題 ) コミュニケーション ( の問題 ) 想像力 ( の問題 ) 感情認識言語化困難.480.285.466.200.480.086 p.000.00.000.06.000.305 空想内省困難.063.2 -.087 -.247.052.395 p.455.78.299.003.538.000 7
アレキシサイミア傾向と AQ との相関 自閉症スペクトラム 社会的スキル ( の問題 ) 注意の切り替え ( の問題 ) コミュニケーション ( の問題 ) 想像力 ( の問題 ) 感情認識言語化困難.480.285.466.200.480.086 p.000.00.000.06.000.305 空想内省困難.063.2 -.087 -.247.052.395 p.455.78.299.003.538.000 弱 ~ 中程度の正の相関 中程度の正の相関 8
結果 2 構造方程式モデリング AQ がアレキシサイミア傾向に与える影響を検討するために, 構造方程式モデリングを用いて分析を行った 検討検討モデルモデル モデル AQ 因子を推定 モデル 2 AQ 因子の等値制約 モデル 3 AQ 因子の独自因子間相関の探索的検討 モデル 4 独自因子間相関の因子化 ( 最終モデル ) 9
モデルAQ因子e 社会的スキルの問題.72 感情言語.75.00 自閉スペ コミュニケーションの問題.83.53. -.27.36 子空想内省 モ0
モデルモデルAQ因子AQ因子空想内省感情言語自閉スペ社会的スキルの問題 e.72.75.00 コミュニケーションの問題.83.36.53. -.27 パスパスパスパス係数係数係数係数がほぼがほぼがほぼがほぼ 0 当該因子当該因子当該因子当該因子の概念的妥当性概念的妥当性概念的妥当性概念的妥当性が不十分不十分不十分不十分 RMSEA=.5
2 2 空想内省感情言語自閉スペ社会的スキルの問題 e.53.62.48 コミュニケーションの問題.64.58.57.2 -.30 モデル2モデル2等値制約等値制約RMSEA=.22 空想内省感情言語 自閉スペ社会的スキルの問題 e コミュニケーションの問題 ここのパスを等値制約
3 3 空想内省感情言語自閉スペ社会的スキルの問題 e.53.62.48 コミュニケーションの問題.64.58.57.2 -.30 モデル2モデル2等値制約等値制約概念的妥当性概念的妥当性概念的妥当性概念的妥当性に添う形でパスパスパスパス係数係数係数係数は改善改善改善改善したがしたがしたがしたが, 適合度指標適合度指標適合度指標適合度指標が低すぎるすぎるすぎるすぎる RMSEA=.22 空想内省感情言語 自閉スペ社会的スキルの問題 e コミュニケーションの問題 ここのここのここのここのパスパスパスパスを等値制約等値制約等値制約等値制約
4 4 モデル3モデル3独自因子間相関独自因子間相関空想内省感情言語自閉スペ社会的スキルの問題 e.26.3 コミュニケーションの問題.32.29.33.86.22 -.72.49.52.52 空想内省感情言語 自閉スペ社会的スキルの問題 e コミュニケーションの問題 BIC, RMSEA が最低値のモデル検討モデル探索的探索的探索的探索的モデルモデルモデルモデル特定化特定化特定化特定化
5 5 モデル3モデル3独自因子間相関独自因子間相関空想内省感情言語自閉スペ社会的スキルの問題 e.26.3 コミュニケーションの問題.32.29.33.86.22 -.72.49.52.52 空想内省感情言語 自閉スペ社会的スキルの問題 e コミュニケーションの問題 BIC, RMSEA が最低値のモデル検討モデル探索的探索的探索的探索的モデルモデルモデルモデル特定化特定化特定化特定化 コミュニケーションコミュニケーションコミュニケーションコミュニケーション不安不安不安不安 としてとしてとしてとして因子化因子化因子化因子化できるできるできるできる可能性可能性可能性可能性 RMSEA=0.74
6 6 モデル4(最終モデル)モデル4(最終モデル)自閉症スペクトラムコミュニケーションの問題.39.38.46 e.33 社会的スキルの問題.33 感情認識言語化困難.33 空想内省困難コミュニケーション不安.74.74.56 -.50 -.43.60.50 考察には影響しませんが, 抄録と一部モデルが異なります
7 7 モデル4(最終モデル)モデル4(最終モデル)自閉症スペクトラムコミュニケーションの問題.39.38.46 e.33 社会的スキルの問題.33 感情認識言語化困難.33 空想内省困難コミュニケーション不安.74.74.56 -.50 -.43.60.50 考察には影響しませんが, 抄録と一部モデルが異なります自閉症自閉症自閉症自閉症スペクトラムスペクトラムスペクトラムスペクトラムがアレキシサイミアアレキシサイミアアレキシサイミアアレキシサイミア傾向傾向傾向傾向の 2 側面側面側面側面に対してしてしてして正の影響影響影響影響を与えているえているえているえている RMSEA=0.84
アレキ置アレキシサイミアシサイミア空間布置 0.5-0.5 - 空想内省困難 自閉症スペクトラム 言感語情化認困識難 0 - -0.5 0 0.5 マインドフルネス? コミュニケーション不安 ( ヒステリー ) 神経症体験化症状 8
e.33.46.38 自閉症スペクトラム 考察 コミュニケーションの問題.39.33.74.33.60 社会的スキルの問題.74.56 感情認識言語化困難 空想内省困難 コミュニケーション不安.50 -.50 自閉症スペクトラムはアレキシサイミア傾向の 2 側面に対して正の影響を与えていることが見出された -.43 これは相関分析から示唆される単純な下位概念間のオーバーラップのみならず, 自閉症スペクトラムがアレキシサイミアの背景にあることを示唆している 身体疾患の臨床報告 研究から示唆される アレキシサイミア 自閉症スペクトラム 仮説を支持する結果 9
空想内省困難 考察 2 アレキシサイミア空間上では, 自閉症スペクトラムは, 第 象限 ( 右上 ) コミュニケーション不安 は, 第 4 象限 ( 右下 ) 自閉症スペクトラム 0.5 言感語情化認困識難 0 - -0.5 0 0.5-0.5 - に布置される コミュニケーション不安 これは,AQ 質問紙が自閉症スペクトラムを測定するとともに, コミュニケーション不安に代表される対人恐怖 社交不安障害的な側面を捉えている可能性を示唆している 若林 (2004) では, 健常 / 障害間の弁別的妥当性は検討されているが, 障害 / 障害間の弁別的妥当性は検討されていない 本研究の最終モデルのような AQ 質問紙のモデル化が解決の糸口になるかもしれない 20
e 考察 3 社会的スキルの問題.72.75.00 コミュニケーションの問題.83.36 AQ の因子構造について 自閉スペ Hoekstr et l.(2008) AQ の因子分析的検討 Hoekstr et l.(20 ) AQ 短縮版の作成 が他の 4 側面とは独立していることが示唆示唆され, 単独で因子を構成するようにモデル化 本研究のモデル と類似した結果 本研究では AQ の 次元性を維持しつつ, 各側面が均等に影響するように, 等値制約を用いてモデル化を行い, 妥当な結果が得られたが, 他の場合でも同様の処理が必要かはわからない さらなる研究の必要性 2
参考 図 Hoekstr (2008) の AQ 因子構造 図 Hoekstr (20) の AQ 因子構造 22
以上です ご清聴ありがとうございました 23
等値制約をしないと モデル AQ 因子の概念的妥当性が疑わしいのは変わらない 24
等値制約をしないと モデル 4 4 RMSEA 値はより適合的であることを示唆するが, AQ 因子の概念的妥当性が疑わしい 25