平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

Similar documents
事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

審決取消判決の拘束力

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

☆ソフトウェア特許判例紹介☆ -第24号-

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

最高裁○○第000100号

BE874F75BE48D E002B126

主文第 1 項と同旨第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 (1) 原告は, 平成 24 年 6 月 14 日, 発明の名称を 遊技機 とする特許出願をし ( 特願 号 請求項数 3 ), 平成 26 年 5 月 12 日付けで拒絶理由通知 ( 甲 8 以下 本件

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

☆ソフトウェア特許判例紹介☆ -第31号-

1 特許庁における手続の経緯原告は, 名称を 5 角柱体状の首筋周りストレッチ枕 とする発明につき, 平成 20 年 10 月 31 日に特許出願 ( 本願 特願 号, 特開 号, 請求項の数 1) をし, 平成 25 年 6 月 19 日付けで拒絶

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

平成 30 年 3 月 29 日判決言渡 平成 29 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 3 月 13 日 判 決 原告株式会社コーエーテクモゲームス 訴訟代理人弁護士 佐 藤 安 紘 高 橋 元 弘 吉 羽 真一郎 末 吉 亙 弁理士 鶴 谷 裕 二

にした審決を取り消す 第 2 前提事実 1 特許庁における手続の経緯被告は, 発明の名称を レーザ加工方法, 被レーザ加工物の生産方法, およびレーザ加工装置, 並びに, レーザ加工または被レーザ加工物の生産方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納したコンピュータが読取可能な記録媒体 とする特

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

REPORT あいぎ特許事務所 名古屋市中村区名駅 第一はせ川ビル 6 階 TEL(052) FAX(052) 作成 : 平成 27 年 4 月 10 日作成者 : 弁理士北裕介弁理士松嶋俊紀 事件名 入金端末事件 事件種別 審決取消

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

184FFEABBFDEF9C A0023C7C

最高裁○○第000100号

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

Microsoft Word 資料1 プロダクト・バイ・プロセスクレームに関する審査基準の改訂についてv16

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

<4D F736F F D F93FC82E D835382CC82DD816A2E646F63>

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

B0B820DFD845F9DE49256B7D0002B34

0B80C636C430F43B492570DF001E5C6

を構成し, その結果, 本願意匠が同法 3 条 1 項柱書の 工業上利用することができる意匠 に当たるか否かである 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 27 年 3 月 16 日, 意匠法 14 条 1 項により3 年間秘密にすることを請求し, 物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠

下 本件特許 という ) の特許権者である 被告は, 平成 23 年 11 月 1 日, 特許庁に対し, 本件特許を無効にすることを求めて審判の請求をした 特許庁は, 上記請求を無効 号事件として審理をした結果, 平成 25 年 9 月 3 日, 特許第 号の

4CAE B10001CD83

1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

本件は, 特許無効審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である 争点は, 進歩性の有無である 1 特許庁における手続の経緯 (1) 被告は, 平成 23 年 10 月 7 日に特許出願をした特願 号 ( 以下 原出願 という ) の一部である, 発明の名称を 位置検出装置 と

第 1 原告の求めた判決 特許庁が無効 号事件について平成 23 年 12 月 28 日に した審決を取り消す 第 2 事案の概要本件は, 被告の請求に基づき原告の本件特許を無効とした審決の取消訴訟であり, 当裁判所が取り上げる争点は, 実施可能要件及びサポート要件の充足性の

本件は, 商標登録取消審判請求に対する審決の取消訴訟である 争点は,1 被告又は通常実施権者による標章使用の有無及び2 使用された標章と登録商標との同一性の有無である 1 本件商標商標登録第 号商標 ( 以下, 本件商標 という ) は, 下記の構成からなり, 第 25 類 運動靴,

4770CE8DBA29F FA002CAB7

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

31 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 1 原告の求めた裁判 主文同旨 事実及び理由 第 2 事案の概要 本件は, 商標登録を無効とした審決の取消訴訟である 争点は, 商標法 4 条 1 項 10 号該当性 ( 引用商標の周知性の有無 ) である 1 特許庁における手続の経

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

平成 23 年 11 月 29 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 22 年 ( ワ ) 第 号特許権侵害差止等請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 10 月 4 日 判 決 広島県呉市 < 以下略 > 原 告 株 式 会 社 H D T 同訴訟代理人弁護士 稲 元 富 保 同

平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

1A210C11C8EC A77000EC45

1B9F27D289E5A B000BA3D

平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

認められないから, 本願部分の画像は, 意匠法上の意匠を構成するとは認めら れない したがって, 本願意匠は, 意匠法 3 条 1 項柱書に規定する 工業上利用する ことができる意匠 に該当しないから, 意匠登録を受けることができない (2) 自由に肢体を動かせない者が行う, モニター等に表示される

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどして不特定多数に送信したものであるから, 同行為により原告の著作権 ( 複製権及び公衆送信権 ) 及び肖像権が侵害されたことは明らかであると主張して, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 ( 以下 プ ロ

2 被控訴人らは, 控訴人に対し, 連帯して,1000 万円及びこれに対する平成 27 年 9 月 12 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要 ( 以下, 略称及び略称の意味は, 特に断らない限り, 原判決に従う ) 1 本件は, 本件意匠の意匠権者である控訴人が

第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告に対し, 氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して, インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権 ( 著作権法 23 条 1 項 ) が侵害されたと主張して, 特定電気

平成  年(オ)第  号

次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

最高裁○○第000100号

ことができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している さらに 台湾専利法第 76 条は 特許主務官庁は 無効審判を審理する際 請求によりまたは職権で 期限を指定して次の各号の事項を行うよう特許権者に通知することができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している なお

 

目次 1. 訂正発明 ( クレーム 13) と控訴人製法 ( スライド 3) 2. ボールスプライン最高裁判決 (1998 年 スライド 4) 3. 大合議判決の三つの争点 ( スライド 5) 4. 均等の 5 要件の立証責任 ( スライド 6) 5. 特許発明の本質的部分 ( 第 1 要件 )(

平成 30 年 6 月 15 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 5939 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 5 月 9 日 判 決 5 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告は, 別紙対象目録の 原告 欄記載の各原告に対し,

第 2 事案の概要本件は, レコード製作会社である原告らが, 自らの製作に係るレコードについて送信可能化権を有するところ, 氏名不詳者において, 当該レコードに収録された楽曲を無断で複製してコンピュータ内の記録媒体に記録 蔵置し, イン ターネット接続プロバイダ事業を行っている被告の提供するインター

間延長をしますので 拒絶査定謄本送達日から 4 月 が審判請求期間となります ( 審判便覧 の 2.(2) ア ) 職権による延長ですので 期間延長請求書等の提出は不要です 2. 補正について 明細書等の補正 ( 特許 ) Q2-1: 特許の拒絶査定不服審判請求時における明細書等の補正は

freee・マネーフォワード特許訴訟の解説

SDATA_0A ABF8422F590_ _1

「特許にならないビジネス方法発明の事例」(対外向け)の類型案

(Microsoft Word \224\255\225\\\201yMSH\201z \224\273\214\210\201i\217\244\225W\201j.doc)

1 前提となる事実等 ( 証拠の摘示のない事実は, 争いのない事実又は弁論の全趣旨から容易に認められる事実である ) (1) 当事者原告は, X1 の名称を使用してウエブサイトの制作請負を行っている者であり, 被告は, 不動産業を主な業務としている特例有限会社である (2) 原告によるプログラムの制

15B74DCDD67EE CE

スライド 1

PowerPoint Presentation

第 2 前提となる事実 1 特許庁における手続の経緯被告は, 発明の名称を サーバ, 利用者装置, プログラム, 及び, 指標処理方法 とする特許第 号 ( 以下 本件特許 という ) の特許権者である 本件特許は, 平成 13 年 9 月 18 日に出願した特願

平成 28 年 10 月 11 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結の日平成 28 年 7 月 7 日 判 決 原 告 オーガスタナショナルインコーポレイテッド 同訴訟代理人弁護士 中 村 稔 同 松 尾 和 子 同 田 中 伸 一 郎 同訴訟代

である旨の証券取引等監視委員会の指導を受け, 過年度の会計処理の訂正をした 本件は, 本件事業年度の法人税について, 控訴人が, 上記のとおり, その前提とした会計処理を訂正したことにより, 同年度の法人税の確定申告 ( 以下 本件確定申告 という ) に係る確定申告書の提出により納付すべき税額が過

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

Microsoft Word - CAFC Update(107)

2 当事者の主張 (1) 申立人の主張の要旨 申立人は 請求を基礎づける理由として 以下のとおり主張した 1 処分の根拠等申立人は次のとおりお願い書ないし提案書を提出し 又は口頭での告発を行った ア.2018 年 3 月 23 日に被申立人資格審査担当副会長及び資格審査委員長あてに 会長の経歴詐称等


指針に関する Q&A 1 指針の内容について 2 その他 1( 特許を受ける権利の帰属について ) 3 その他 2( 相当の利益を受ける権利について ) <1 指針の内容について> ( 主体 ) Q1 公的研究機関や病院については 指針のどの項目を参照すればよいですか A1 公的研究機関や病院に限ら

Microsoft Word - CAFC Update(112)

O-27567

(イ係)

様式 2 特許庁長官殿 平成年月日 特定登録調査機関 印 特定登録調査機関代表者 印 先行技術調査業務規程届出書 工業所有権に関する手続等の特例に関する法律第 39 条の 7 に従い 先行技術調 査業務規程を届け出ます 添付書類 先行技術調査業務規程平成 年 月特定登録調査機関

SDATA_0A AC7749DC474_ _1

平成25年5月  日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

第 1 原告の求めた判決 主文同旨 事実及び理由 第 2 事案の概要本件は, 特許無効審判請求を不成立とする審決の取消訴訟である 争点は, 特許法 36 条 1 項 ( サポート要件 ) 適合性, 進歩性, である 1 特許庁における手続の経緯被告 ( 脱退 ) は, 発明の名称を 印刷物 とする特

争点は,1 引用例 2 記載事項の発明該当性の判断の遺脱の有無,2 同発明該当性の判断の誤り及び3 本願発明の進歩性判断の誤りの有無である 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 24 年 5 月 2 日, 名称を 放射能除染装置及び放射能除染方法 とする発明につき, 特許出願 ( 特願 201

同法 46 条 1 項 1 号により, 無効とすることはできない, というものである 第 3 当事者の主張 1 審決の取消事由に関する原告の主張 (1) 取消事由 1( 商標法 3 条 1 項柱書該当性判断の誤り ) 審決は, 本件商標に関し, 願書に記載された指定商品又は指定役務に使用していること

第 2 事案の概要 1 本件は, 名称を 人脈関係登録システム, 人脈関係登録方法と装置, 人脈関係登録プログラムと当該プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体 とする二つの特許権 ( 第 号及び第 号 ) を有する原告が, 被告の提供するサービスにおいて使

算税賦課決定 (5) 平成 20 年 1 月 1 日から同年 3 月 31 日までの課税期間分の消費税及び地方消費税の更正のうち還付消費税額 6736 万 8671 円を下回る部分及び還付地方消費税額 1684 万 2167 円を下回る部分並びに過少申告加算税賦課決定 (6) 平成 20 年 4 月

WX01J 取扱説明書

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

平成 30 年 3 月 28 日判決言渡 平成 29 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 3 月 14 日 判 決 原告株式会社 K A L B A S 同訴訟代理人弁護士 櫻 林 正 己 同訴訟代理人弁理士 後 呂 和 男 寺 尾 泰 一 中 山 英

事実及び理由控訴人補助参加人を 参加人 といい, 控訴人と併せて 控訴人ら と呼称し, 被控訴人キイワ産業株式会社を 被控訴人キイワ, 被控訴人株式会社サンワードを 被控訴人サンワード といい, 併せて 被控訴人ら と呼称する 用語の略称及び略称の意味は, 本判決で付するもののほか, 原判決に従う

号 以下 本願 という ) をしたが, 平成 23 年 10 月 26 日付けで拒絶査定を受けたので, 平成 24 年 1 月 31 日, これに対する不服の審判を請求するとともに, 手続補正書を提出した ( 以下 本件補正 という ) 特許庁は, この審判を, 不服 号事件とし

並びにそのコンサルタント業務等を営む株式会社である ⑵ 株式会社 CAは, 別紙著作物目録記載 1ないし3の映像作品 ( 以下 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の製作に発意と責任を有する映画製作者 ( 著作権法 2 条 1 項 号 ) であるところ, 本件各著作物の著

PowerPoint Presentation

11総法不審第120号

Transcription:

平成 27 年 3 月 19 日判決言渡 平成 26 年 ( 行ケ ) 第 10184 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 27 年 2 月 26 日 判 決 原告株式会社コムスクエア 訴訟代理人弁護士鮫島正洋 高見憲 溝田宗司 被告 I T ホールディングス株式会社 被告 T I S 株式会社 被告株式会社インテック 3 名訴訟代理人弁護士 升 永 英 俊 江 口 雄一郎 弁理士 佐 藤 睦 大 石 幸 雄 主 文 1 原告の請求を棄却する - 1 -

2 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由第 1 原告の求めた裁判特許庁が無効 2013-800087 号事件について平成 26 年 6 月 16 日にした審決を取り消す 第 2 事案の概要 本件は, 特許無効審決に対する取消訴訟である 争点は, 進歩性判断 ( 相違点の 認定 判断 ) の誤りの有無である 1 特許庁における手続の経緯 (1) 本件特許原告は, 名称を 架電接続装置, 架電接続方法, 架電接続プログラム, 及び架電受付サーバ とする発明についての本件特許 ( 特許第 4077866 号 ) の特許権者である 本件特許は, 平成 17 年 8 月 3 日に出願した特願 2005-225325 号 ( 優先権主張国 日本 ) 及び平成 17 年 12 月 28 日に出願した特願 2005-378 512 号 ( 優先権主張国 日本 ) を基礎とする優先権を主張して, 平成 18 年 8 月 2 日に出願した特願 2007-529516 号に係るものであり, 平成 20 年 2 月 8 日に設定登録 ( 請求項の数 26) がされた ( 甲 5) (2) 無効審判請求被告らは, 平成 25 年 5 月 20 日付けで本件特許の請求項 1,3,8,15 及び 20に係る発明について無効審判請求をし ( 無効 2013-800087 号 ), 原告は, 平成 26 年 1 月 29 日付けで請求項 1,2,4,5,6,9~13,15~1-2 -

8,21~24を訂正する訂正請求 ( 本件訂正 ) をしたが, 特許庁は, 平成 26 年 6 月 16 日, 請求のとおり訂正を認める 特許第 4077866 号の請求項 1,3, 8,15,20 に記載された発明についての特許を無効とする との審決をし, その謄本は, 同月 26 日, 原告に送達された ( 甲 6,7の1~3) 2 本件発明の要旨本件訂正後 ( 本件訂正後の明細書及び図面を 本件訂正明細書 という ) の本件特許の請求項 1,3,8,15 及び20の発明に係る特許請求の範囲の記載は, 次のとおりである ( 甲 7の2) なお, 以下, 上記各発明の略称を次のとおりとする 1 請求項 1の発明 本件訂正発明 1 2 請求項 3の発明 本件訂正発明 2 3 請求項 8の発明 本件訂正発明 3 4 請求項 15の発明 本件訂正発明 4 5 請求項 20の発明 本件訂正発明 5 6 本件訂正発明 1~5 本件訂正発明 (1) 本件訂正発明 1 いずれの広告情報に基づいて架電してきたかを識別するための識別番号と連絡先番号とを関連情報として有するデータベースと, 該データベースを内部に保持する記憶装置と, 第 1の電話機から前記識別番号を含む電話番号宛に架けられた架電を受付けるとともに該電話番号の中から前記識別番号を抽出する架電受付部と, 該抽出された前記識別番号に基づいて, 前記データベースから該識別番号に関連付けられた前記連絡先番号を抽出する連絡先抽出部と, 該抽出された連絡先番号に基づいて, 前記第 1の電話機からの架電を該連絡先 - 3 -

番号に対応する第 2の電話機へと接続する接続処理部と, 前記連絡先番号に係る広告主に対し, 前記広告情報に基づく架電である旨のメッセージを提供するメッセージ提供手段と, を有する架電接続装置 (2) 本件訂正発明 2 前記データベースが, 複数の前記識別番号と1 又は複数の前記連絡先番号とを関連情報として有する請求項 1に記載の架電接続装置 (3) 本件訂正発明 3 前記架電の履歴又は前記接続処理部により接続された通話の履歴のうち少なくともいずれか一方を前記識別番号に関連付けて前記記憶装置内に記録する履歴記録部をさらに有する請求項 1に記載の架電接続装置 (4) 本件訂正発明 4 データベース内に連絡先番号と関連付けられて格納され, いずれの広告情報に基づいて架電してきたかを識別するための識別番号を含む電話番号宛に第 1の電話機から架けられた架電を受付けるステップと, 該電話番号の中から前記識別番号を抽出するステップと, 該抽出された前記識別番号に基づいて, 前記データベースから該識別番号に関連付けられた前記連絡先番号を抽出するステップと, 該抽出された連絡先番号に基づいて, 前記第 1の電話機からの架電を該連絡先番号に対応する第 2の電話機へと接続するステップと, 前記連絡先番号に係る広告主に対し, 前記広告情報に基づく架電である旨のメッセージを提供するメッセージ提供ステップと, を有する架電接続方法 (5) 本件訂正発明 5 前記架電の履歴又は前記接続処理部により接続された通話の履歴のうち少なくともいずれか一方を前記識別番号に関連付けて前記記憶装置内に記録するステッ - 4 -

プをさらに有する請求項 15 に記載の架電接続方法 3 審決の理由の要点 (1) 甲 1 発明の認定特開 2004-171105 号公報 ( 甲 1) には, 次の発明 ( 甲 1 発明 ) が記載されている ( 審決が認定した本件訂正発明 1に相当する構成要素を, 該当部分に括弧書きで加えた部分がある ) 広告種別情報とアクセス先電話番号 ( 連絡先番号 ) とを対応付けて記憶する解釈テーブル ( データベース ) と, 該解釈テーブル ( データベース ) を内部に記憶する記憶部 ( 記憶装置 ) とを有し, 電話 3( 第 1の電話機 ) から前記広告種別情報を含む問い合わせ先の電話番号 ( 電話番号 ) 宛に架けられた架電を受付け, 該問い合わせ先の電話番号 ( 電話番号 ) の中の前記広告種別情報に基づいて, 前記解釈テーブル ( データベース ) から該広告種別情報に対応する前記アクセス先電話番号 ( 連絡先番号 ) を抽出し, 該抽出されたアクセス先電話番号 ( 連絡先番号 ) に基づいて, 前記電話 3( 第 1の電話機 ) からの架電を該アクセス先電話番号 ( 連絡先番号 ) に対応するアクセス先の電話 ( 第 2の電話機 ) へと接続を仲介する, サーバ ( 架電接続装置 ) (2) 本件訂正発明 1についてア一致点の認定本件訂正発明 1と甲 1 発明とを対比すると, 次の点で一致する いずれの広告情報に基づいて架電してきたかを識別するための識別番号と連絡先番号とを関連情報として有するデータベースと, 該データベースを内部に保持する記憶装置と, 第 1の電話機から前記識別番号を含む電話番号宛に架けられた架電を受付ける架電受付部と, - 5 -

抽出された前記識別番号に基づいて, 前記データベースから該識別番号に関連付けられた前記連絡先番号を抽出する連絡先抽出部と, 該抽出された連絡先番号に基づいて, 前記第 1の電話機からの架電を該連絡先番号に対応する第 2の電話機へと接続する接続処理部と, を有する架電接続装置 イ相違点の認定本件訂正発明 1と甲 1 発明とを対比すると, 次の点が相違する ( ア ) 相違点 1 本件訂正発明 1の 架電受付部 が 該電話番号の中から前記識別番号を抽出する のに対し, 甲 1 発明では明らかでない点 ( イ ) 相違点 2 本件訂正発明 1が 前記連絡先番号に係る広告主に対し, 前記広告情報に基づく架電である旨のメッセージを提供するメッセージ提供手段 を有するのに対し, 甲 1 発明では明らかでない点 ウ相違点の判断 ( ア ) 相違点 1について甲 1 発明において, 問い合わせ先の電話番号の中から 広告種別情報 を 抽出 することをサーバ内のどの部分で行わせるかは, 適宜選択すべき事項であり, 問い合わせ先の電話番号宛に架けられた架電を受付け る手段にこれを行わせることは, 当業者が必要に応じて適宜なし得る ( イ ) 相違点 2について電話転送システムにおいて, 転送先に対して転送される呼に関するメッセージを提供することは, 周知技術である 甲 1 発明にこの周知技術を単に付加することにより, 転送先である 前記連絡先番号に係る広告主 に対して転送される呼に関するメッセージを提供するメッセージ提供手段を設けることは, 当業者が必要に応じて適宜なし得るものである そして, この周知技術を付加する際に, 転送される呼 - 6 -

に関するメッセージとして 広告情報に基づく架電である旨のメッセージ を選択することは自然なことである したがって, 甲 1 発明に 前記連絡先番号に係る広告主に対し, 前記広告情報に基づく架電である旨のメッセージを提供するメッセージ提供手段 を設けることは, 上記周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得た エ小括本件訂正発明 1は, 甲 1 発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができた (3) 本件訂正発明 2についてア相違点の認定本件訂正発明 2と甲 1 発明とを対比すると, 相違点 1 2に加え, 次の点で相違する 相違点 3 データベース が 関連情報 として有する 識別番号と連絡先番号と が, 本件訂正発明 2では, 複数の前記識別番号と1 又は複数の前記連絡先番号と であるのに対し, 甲 1 発明では, 単に, 広告種別情報( 識別番号 ) とアクセス先電話番号 ( 連絡先番号 ) と である点 イ相違点 3の判断甲 1の 図 2 に記載された 解釈テーブル8c には,5つの広告種別情報と 5つのアクセス先電話番号とを有することが記載されているから, 相違点 3は, 実質的な相違とはいえない ウ小括本件訂正発明 2は, 甲 1 発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができた (4) 本件訂正発明 3についてア相違点の認定 - 7 -

本件訂正発明 3と甲 1 発明とを対比すると, 相違点 1 2に加え, 次の点で相違する 相違点 4 本件訂正発明 3は, 前記架電の履歴又は前記接続処理部により接続された通話の履歴のうち少なくともいずれか一方を前記識別番号に関連付けて前記記憶装置内に記録する履歴記録部をさらに有する のに対し, 甲 1 発明では明らかでない点 イ相違点 4の判断甲 1の 0025 には, サーバが, 電話 3から架電を受け付けた際の処理として, 電話番号に付加された広告種別情報 01-11-31-41-77-33 から 広告の掲載内容 として 01: 新型 TV, 広告の依頼者 として 1 1: 電器, 広告請負業者 として 31: 新聞広告社, 広告の提供状態 として 41: 媒体 (B 新聞 ),77: 掲載場所 (7 面 ),33: 掲載期日 (7 月 3 日 ~9 日 ) と解釈され, これら広告種別情報の符号が表す各種別の受付け回数がカウントされてサーバ7に記録される とあり, ここで, 上記 受付け回数 は 架電の履歴 にほかならず, これが 広告種別情報 である符号 01 に関連付けてサーバに記録される そして, そのような記録を, サーバが有する 記憶部 にて行い, 履歴記録部 とすることは, 甲 1に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものである ウ小括本件訂正発明 3は, 甲 1 発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができた (5) 本件訂正発明 4について本件訂正発明 4は, 本件訂正発明 1の装置を方法として特許請求するものであるから, 本件訂正発明 1と同様に, 甲 1 発明及び周知技術から当業者が容易に想到し得た - 8 -

(6) 本件訂正発明 5について本件訂正発明 5は, 本件訂正発明 3の装置を方法として特許請求するものであるから, 本件訂正発明 3と同様に, 甲 1 発明及び周知技術から当業者が容易に想到し得た (7) 審決判断まとめ本件訂正発明についての特許は, 特許法 29 条 2 項の規定に違反してなされたものであるから, 同法 123 条 1 項 2 号に該当し, 無効とすべきものである 第 3 原告主張の審決取消事由 1 取消事由 1( 相違点の認定の誤り ) (1) 電話番号 について審決は, 甲 1 発明の 問い合わせ先の電話番号 は, 呼の発信時に用いられる番号であるから, 本件訂正発明 1の 電話番号 に相当し, 両者は 電話番号 の点で一致する と認定する (22 頁 7~9 行目 ) しかしながら, 本件訂正発明 1の 電話番号 は, 広告情報 に記載される番号であり ( 本件明細書 0055 ), 本件訂正発明 1の 連絡先番号 は, 広告主 の 第 2の電話機 に対応する番号であるところ, 上記 電話番号 は, 上記 連絡先番号 を含まない すなわち,1 電話番号 に 連絡先番号 を含むとすると, 連絡先番号 には識別機能がない以上, 新たに識別機能を有する番号を 連絡先番号 に付加して 電話番号 としなければならなくなるが, これによって, 架電の際, ユーザが識別機能を有する番号を余計にプッシュする必要が生じ, 本件訂正発明 1の課題 ( 本件明細書 0010 ) を解決できなくなる また,2 電話番号 に 連絡先番号 を含むとすると, 電話番号 の中に 連絡先番号 があるのだから, わざわざ, 該抽出された前記識別番号に基づいて, 前記データベースから該識別番号に関連付けられた前記連絡先番号を抽出する とする構成をとった技術的な意義がなくなる - 9 -

他方, 甲 1 発明は, アクセス先電話番号 に 広告種別情報 を付加して 問い合わせ先の電話番号 としているから, 問い合わせ先の電話番号 には, 必ず アクセス先電話番号 が含まれている そうすると, 仮に, 審決が22 頁 4~6 行目で認定しているとおり, 甲 1 発明の アクセス先電話番号 が, 本件訂正発明 1の 連絡先番号 に相当するとしても, 上記のとおり, 本件訂正発明 1の 電話番号 は, 連絡先番号 ( アクセス先電話番号 ) を含まないのであるから, 甲 1には, 本件訂正発明 1の 電話番号 に相当する構成が開示されておらず, 相違点を構成する したがって, 審決は上記相違点を看過しており, その相違点の認定には, 誤りがある (2) 識別番号 について審決は, 甲 1 発明の 広告種別情報 が, 本件訂正発明 1の いずれの広告情報に基づいて架電したかを識別するための識別番号 に相当すると認定する (22 頁 9~19 行目 ) しかしながら,1[1] 本件訂正発明 1は, 入力番号の全部又は一部 ( 識別番号 ) と連絡先番号とを関連付けたデータベースを作成し, 識別番号をキーとしてデータベースを検索し, 連絡先番号を抽出する方法であるのに対し,[2] 甲 1 発明は, データベースによる検索 抽出を経ず, 問い合わせ先の電話番号の一部をアクセス先電話番号として特定するだけで, 識別番号に関連付けられた連絡先番号を抽出する機能がない また,2[1] 本件訂正発明 1において抽出されるのは, 広告主の連絡先番号であるのに対し, 甲 1 発明において抽出されるのは, アクセス先電話番号であって広告依頼者 11の電話番号ではない さらに,1 及び2の点で相違するため,3 本件訂正発明 1においては, ユーザから広告主の連絡先番号に対する架電の中には, 広告情報を見ていないユーザからの架電も可能であって, 広告情報を見たユーザとそうでないユーザの区別ができ, それによって, 広告効果を測定できる作用効果があるのに対し ( 本件明細書 0080 ), 甲 1 発明においては, アクセス番号は, - 10 -

問い合わせ先の番号の一部であるから, ユーザからアクセス先電話番号に対する架電は, すべて広告情報を見たユーザであり, このため, 甲 1 発明では, 架電したユーザの広告情報の視聴の有無を区別できない そうすると, 甲 1には, 本件訂正発明 1の 識別番号 に相当する構成が開示されておらず, 相違点を構成する したがって, 審決は上記相違点を看過しており, その相違点の認定には, 誤りがある 2 取消事由 2( 相違点 2の判断の誤り ) (1) 周知技術との相違について相違点 2に係る本件訂正発明 1の構成であるメッセージ提供手段が提供するメッセージの内容は, 前記 広告情報に基づく架電である であるところ, この 前記 が指す いずれの 広告情報 に基づいて架電してきたかを識別するための識別番号 からみて, その内容は, 識別番号により, いずれの広告情報に基づいて架電してきたかを識別された広告情報 といえ, 複数の広告情報のうちのいずれの広告情報に基づく架電であるかという, 具体的な広告媒体を含むメッセージである ( 本件明細書 0035 0039 0147 ~ 0149 0151 015 2 0156 図 6 参照) 他方, 周知技術は, ( 電話番号 ) から転送されました フリーダイヤルです とのメッセージを転送先に通知するというものであり, 複数の広告情報のうちのいずれの広告情報に基づき架電してきたかをメッセージとして伝えるためのものではない また, 甲 3は, 広告とは全く関係のないサービスに係るものである上に, 受信者の利便に資することを目的としており, 発信者の利便性に資することを目的とする本件訂正発明 1とは, その目的とするところが正反対である そうすると, 甲 1 発明に上記周知技術を組み合わせたとしても, 転送元の電話番号を通知するメッセージシステム, あるいは, フリーダイヤルであることを通知す - 11 -

るメッセージシステムしか構成できず, 相違点 2に係る本件訂正発明 1の構成にはならない (2) 容易想到性甲 1 発明は, 架電がすべて広告情報を視聴した者からされるから, アクセス先に対し, 架電が広告情報に基づくものである旨のメッセージの提供をする実益はない そうすると, 甲 1 発明に相違点 2に係る本件訂正発明 1の構成を組み合わせる動機付けがない また, 相違点 2に係る本件訂正発明 1の構成により, 着信応答時に, 直ちに広告効果があったか否かを広告主に伝えることが可能となるから, 本件訂正発明 1は, 甲 1 発明が想定していない顕著な効果を奏する (3) 小括以上のとおり, 審決の相違点 2の判断には, 誤りがある 3 取消事由 3( 相違点 3の判断の誤り ) 審決は, 甲 1の 図 2 に記載された 解釈テーブル8c をデータベースと認定し, 相違点 3を実質的な相違点ではないとする (24 頁 33 行 ~25 頁 17 行目 ) しかしながら, 解釈テーブル8c は,1 つの広告種別情報と1つのアクセス先電話番号とが1:1 で対応する形で複数格納されているものである (1 対 1が複数 ) そうすると, 解釈テーブル8c は, 本件訂正発明 2の 前記データベースが, 複数の前記識別番号と1 の前記連絡先番号とを関連情報として有する ( 複数対 1) 又は 前記データベースが, 複数の前記識別番号と 複数の前記連絡先番号とを関連情報として有する ( 複数対複数 ) に相当する構成を有していない したがって, 審決の相違点 3に係る認定 判断には, 誤りがある 第 4 被告らの反論 1 取消事由 1( 相違点の認定の誤り ) に対して - 12 -

(1) 電話番号 について本件明細書には, 電話番号 を, 前記識別番号を含む電話番号 とする記載はあるものの, 連絡先番号 を含まない番号であるとする記載はない 本件訂正発明 1の 電話番号 が 連絡先番号 を含まない番号であるとの原告の主張は, 特許請求の範囲の記載に基づかないものである 甲 1 発明の 問い合わせ先の電話番号 は, 任意の数値が当てはまる記号として開示されており, 本件訂正発明 1の 電話番号 に相当する そうすると, 甲 1 発明の 問い合わせ先の電話番号 は, 本件訂正発明 1の 電話番号 に相当し, この点は一致点である したがって, 審決の相違点の認定には, 誤りはない (2) 識別番号 について甲 1 発明の 広告種別情報 は, 本件訂正発明 1の 識別番号 に相当する したがって, 審決の相違点の認定には, 誤りはない 2 取消事由 2( 相違点 2の判断の誤り ) に対して (1) 周知技術との相違について 1 本件訂正発明 1は, メッセージ提供手段が提供するメッセージを, 単に, 広告情報に基づく架電である旨のメッセージ としている そうすると, 本件訂正発明 1のメッセージ提供手段が提供するメッセージを, 複数の広告情報のうちのいずれの広告情報に基づき架電してきたかを伝えるためのメッセージとする原告の主張は, 特許請求の範囲の記載に基づくものではない 2 仮に, 本件明細書の記載を参酌するとしても, 次の記載のとおり, 本件訂正発明 1のメッセージ提供手段が提供するメッセージは, 単に, 広告情報に基づく架電である 旨のメッセージにすぎない 広告主に対して からの入電です 等の案内メッセージを提供することもできる - 13 -

それにより, 広告主が広告情報に接したユーザからの電話であることを容易に把握することができる ( 0039 ) 応答検知部 623Cが,CTI 記録部 621に内の音声応答データ, 例えば 広告情報を閲覧した利用者からの入電です との音声データを, 店舗電話機ヘ向けて出力する ( ステップS105) ( 0156 ) - 14 -

(2) 容易想到性本件訂正発明 1のメッセージ提供手段が提供するメッセージの内容が, 複数の広告情報のうちのいずれの広告情報に基づく架電であるか, であると仮定しても, 特開 2001-274910 号公報 ( 甲 4) 又は フリーダイヤル インテリジェントサービスの新機能提供についてエヌ ティ ティ コミュニケーションズ株式会社,2002 年 1 月 24 日 ( 乙 2) には, 発信者の識別情報等様々な情報を音声で通知することが開示されており, 相違点 2に係る本件訂正発明 1の構成は, 容易に想到できる 3 取消事由 3( 相違点 3 の認定判断の誤り ) に対して 原告の主張は, 争う 第 5 当裁判所の判断 1 認定事実 (1) 本件訂正発明について本件訂正明細書 ( 甲 7の3) の記載によれば, 本件訂正発明は, 次のとおりのものと認められる 本件訂正発明は, 所定の電話番号宛の架電をその電話番号に対応する別の連絡先に接続する架電接続装置及び架電接続方法に関するものである ( 0001 ) 従来, 雑誌等に掲載されていた広告情報に基づいて, 利用者が広告主に電話を架けることにより, その電話の頻度に応じた料金を雑誌の発行者が店舗主に請求するペイ パー コールシステムという方式があったが ( 0002 ), 利用者と広告主との電話が繋がるまでに, 利用者がプッシュボタン操作により広告主を特定する必要があり, 操作が煩わしいという問題や ( 0007 ), 広告主が複数の広告を行った場合に, いずれの広告に効果があったかを識別することができないという問題があった ( 0008 ) - 15 -

そこで, 本件訂正発明は,1 提供された広告情報に接した利用者が, 自動応答により面倒な操作に煩わされることなく広告主と通話でき,2 広告主が複数の広告情報の提供を行った場合に, それらが発揮する広告効果を広告情報ごとに管理 把握することができる架電接続装置及び架電接続方法を提供しようとするものである ( 0010 ) 1 本件訂正発明 1 又は本件訂正発明 4の構成により, 広告主への着信応答時に, 広告主が広告情報に接したユーザからの電話であることを容易に把握することを可能とし ( 0039 ),2 また, 本件訂正発明 2の構成により, 広告主の, 複数の広告情報に対する情報管理を広告情報ごとに行いつつ, 電話の応答を一の電話機で行いたいという要求を満足させ ( 0037 ),3 さらに, 本件訂正発明 3 又は本件訂正発明 5の構成により, ユーザ電話機 ( 第 1の電話機 ) と広告主の電話機 ( 第 2の電話機 ) との接続によって生成された通話履歴情報が, 識別番号に関連付けられて履歴記録部によって記録され, この通話履歴情報に記録された情報によって, 広告主において, 自身が提供した複数の広告のうちのいずれの広告に基づいてユーザから架電されたかを確認することができ ( 0046 0047 ), もって, 本件訂正発明の構成は, 上記課題を解決できるとする ( 0035 ) (2) 甲 1 発明について甲 1の記載によれば, 甲 1 発明は, 次のとおりのものと認められる 甲 1 発明は, コンピュータシステムに係り, 特に, 広告効果解析方法に関するものである ( 0001 ) TVや雑誌, 新聞, 電車の中吊り広告などの広告の費用は, 視聴率や購読者数, 乗客数などの広告の視聴者数を限定する数値 以外の情報を用いて, 広告を掲載する場所や時間などに応じてああかじめ決められているが, 広告の視聴者数を特定できる場合と比べて, どの程度の宣伝効果があるのかを数値的に把握することが難しいという問題点を有していた また, 広告依頼者は, 実際にどの程度の広告視聴者に広告の効果があったのかを把握することができないので, 費用対効果の点で効率 - 16 -

的な宣伝活動を行うことが難しいという問題点を有していた ( 以上 0004 ) そこで, 甲 1 発明は, 広告視聴者から直接的に広告を視聴したことを表す情報を受け付けて, 広告の効果を数値的に把握する機能を備えた広告効果解析方法及び広告システムを提供することを目的とした ( 0004 ) そのために, 甲 1 発明は,1 広告種別情報 ( 広告の掲載内容, 広告依頼者, 広告請負業者, 広告提供状態等 ) とアクセス先電話番号 ( 広告種別情報が表わす広告の詳細情報にアクセスできる電話番号 ) とを対応付けて記憶する解釈テーブル ( サーバ7の記憶部に記憶された解釈テーブル8a~8d) と,2 解釈テーブルを内部に記憶する記憶部とを有し,3 広告視聴者の電話 ( 電話 3) から広告種別情報を含む問い合わせ先の電話番号 ( 広告種別情報とアクセス先電話番号で構成される ) 宛に架けられた架電を受け付け,4 解釈テーブルから広告種別情報に対応するアクセス先電話番号を抽出し,5 抽出されたアクセス先電話番号に基づいて, 電話 3からの架電をアクセス先電話番号に対応するアクセス先の電話へと接続を仲介する,6サーバを用いる構成をとった ( 0020 ~ 0022 0025 ) これにより, 甲 1 発明は, 広告の効果を数値的に算出することができるなどの効果を奏する ( 0047 ) 2 取消事由 1( 相違点の認定の誤り ) について (1) 電話番号 について原告は, 本件訂正発明 1の 電話番号 は 連絡先番号 を含まないのに対し, 甲 1 発明の 問い合わせ先の電話番号 は アクセス先電話番号 が含まれるから, 甲 1 発明の 問い合わせ先の電話番号 は, 本件訂正発明 1の 電話番号 に相当しない旨の主張をする しかしながら, 本件訂正発明 1の特許請求の範囲の記載においては, 電話番号 が 連絡先番号 を含まないとの限定はされていないから, 原告の上記主張は, 特許請求の範囲に基づかない主張である 本件訂正発明 1は, 自動応答を採用して転 - 17 -

送された電話の着信時におけるユーザの操作軽減によって, ユーザの操作の煩わしさを解決しようとするものであり ( 0007 0035 ), 電話番号 の桁数や構成方法を限定するものではない 本件訂正発明 1においては, 識別番号に基づいて, 識別番号に関連付けられた 連絡先番号 をデータベースから抽出できればよいのであって, 電話番号 の構成は任意なものとして, 連絡先番号 を含むものでもよいと認められる ( 0103 及び 図 7 には, 電話番号 が21 桁である実施形態が例示されており, 甲 1の 0025 に記載された23 桁の実施形態と比較して, 格別短いものではない ) そうであれば, 本件訂正発明 1の広告情報に掲載された電話番号が連絡先番号を含むこともあるのであり, 原告の主張は, その前提を欠くものである したがって, 原告の上記主張は, 採用することができない (2) 識別番号 について原告は,1 甲 1 発明は, アクセス先電話番号につき, データベースにおける関連付け 検索を要しない, また,2 特定されたアクセス先電話番号も広告主の連絡先番号に相当する番号ではなく, さらに,3 架電したユーザの広告情報の視聴の有無も区別できず, 広告効果を測定できる作用効果もないから, 甲 1 発明の 広告種別情報 は, 本件訂正発明 1の 識別番号 に相当しない旨を主張する しかしながら, 甲 1の 0021 及び 0025 の記載によれば, 甲 1には, ある広告視聴者が,B 新聞に掲載された新型 TV の広告を見て, 問い合わせ先の電話番号 (0120-xxx-xxxx-01-11-31-41-77-33) を入手した後, 電話 3を用いて, この問い合わせ先の電話番号に電話をかけることにより, サーバ7 と接続され, サーバ7では, 広告種別情報 ( 01-11-31-41-77-33 等; 例えば, 01: 新型 TV, 41: 媒体 (B 新聞 ) 等 ) とアクセス先電話番号 ( 0120- xxx-xxxx-01 等) とを対応付けて記憶している解釈テーブル8cを用いて, 問い合わせ先の電話番号に含まれる広告種別情報である 01-11-31-41-77-3 3 の 01 から, アクセス先電話番号である 新型 TV の電話番号(01-18 -

20-xxx-xxxx-01) を抽出し, サーバ7を介して, オペレータ9に接続することが記載されている 上記記載によれば, 甲 1 発明は, データベースである解釈テーブル8cを用いて, 問い合わせ先の電話番号の中から 広告種別情報 を抽出するとともに, この 広告種別情報 と結び付けられ構成されていることにより, 広告種別情報 と関連付けられているアクセス先電話番号を抽出しているといえるから, 本件訂正発明 1と同様に, データベースから 識別番号 に関連付けられた 連絡先番号 を抽出する機能を有していると認められる そして, 一般的に, 広告主が, 自身で製品紹介を行うことも普通に行われることであり, オペレータ9と広告依頼主 11とは同視できる場合があることは明らかであるから, アクセス先電話番号は, 広告主の連絡先番号を含むものと解される また, 広告情報を見なくても広告主の連絡先番号を知っている者が, 広告主の連絡先番号に架電できるのは当然のことであるところ, 上記 (1) のとおり, 本件訂正発明 1の 電話番号 には 連絡先番号 を含んでもよいのであるから, 広告情報を見たユーザとそうでないユーザを区別し, 広告効果を測定できることは, 識別番号 と 連絡先番号 とを関連付けたことによる作用効果ではない 以上のとおりであって, 原告の上記主張は, 採用することができない (3) 小括以上から, 取消事由 1は, 理由がない 2 取消事由 2( 相違点 2の判断の誤り ) について (1) 周知技術との相違について審決は, 相違点 2を 本件訂正発明 1が 前記連絡先番号に係る広告主に対し, 前記広告情報に基づく架電である旨のメッセージを提供するメッセージ提供手段 を有するのに対し, 甲 1 発明では明らかでない点 と認定する (23 頁 29~31 行目 ) - 19 -

原告は, 上記認定それ自体は積極的に争わないものの, その解釈として, 本件訂正発明 1のメッセージ提供手段が提供するメッセージは, 複数の広告情報のうちのいずれの広告情報に基づく架電であるか, という, 具体的な広告媒体を含むメッセージである旨を主張するので, 以下, 検討する ア特許請求の範囲の記載本件訂正発明 1のメッセージ提供手段は, 特許請求の範囲 ( 甲 7の2) の記載によれば, 前記連絡先番号に係る広告主に対し, 前記広告情報に基づく架電である旨のメッセージを提供するメッセージ提供手段 というものである ここに, 前記広告情報 とあるのは, いずれの広告情報に基づいて架電してきたかを識別するための識別番号と連絡先番号とを関連情報として有するデータベース との発明特定事項中の 広告情報 を指すものであるから, この広告情報は, 識別番号を有する いずれの広告情報 を意味することとなる すると, 前記広告情報に基づく架電である旨 は いずれの広告情報に基づく架電である旨 と解することができる このことは,1 本件訂正発明 1が, 識別番号に基づいて接続処理をするにもかかわらず, 一転して, メッセージ提供手段が提供するメッセージのみがその識別番号を利用しないことが不自然なこと,2メッセージ提供手段が提供するメッセージが, 広告情報に基づく架電である それ自体を通知するものであるとした場合, いずれの広告情報に基づいて架電してきたかを識別するための識別番号 と, 広告情報と識別番号との関連付けを明示した意味がなくなってしまうことからみても, 肯定することができる したがって, 特許請求の範囲の記載からは, メッセージ提供手段が提供するメッセージは, いずれの広告情報に基づく架電である旨 すなわち 複数の広告情報のうちのいずれの広告情報に基づく架電である旨 と解することができる イ本件訂正明細書の記載本件訂正明細書 ( 甲 7の3) には, 次の記載がある - 20 -

広告主の着信応答を検知してからユーザと広告主との電話を接続すれば, 両者の通話を確実に接続することができる 広告主が着信応答できない状態にもかかわらずユーザと広告主との電話を接続してしまうこともない また, 広告主が着信応答したときに, 広告主に対して からの入電です 等の案内メッセージを提供することもできる それにより, 広告主が広告情報に接したユーザからの電話であることを容易に把握することができる ( 00 39 ) 広告電話番号 710 宛ての架電は, まず電気通信事業者が特定され, サーバシステム6 00 及びCTIサーバ装置 620が特定されてCTIサーバ装置 620の架電受付部 623 Aによって受付けられる そして, 識別番号の情報 611A1に基づいて, データベース6 10から識別番号に関連付けられた連絡先番号の情報 611A2Bが特定されるのである ( 0106 ) 連絡先抽出部 623Bは, 架電受付部 623Aで取得した広告電話番号 710の中に含まれる識別番号に基づいて, データベース610の広告関連情報記録領域 611から接続要求先の広告主 400に対応する広告特定情報 611Aを検索し, この広告特定情報 611A の連絡先番号情報 611A2Bを取得する この連絡先番号情報 611A2Bは, 応答検知部 623Cへ出力される ( 0110 ) 店舗電話機が着信応答し通話可能な状態となったとき, 応答検知部 623Cは,CTI 記録部 621に予め記録された所定の応答音声データ, 例えば 広告情報を閲覧した利用者からの入電です 等の音声データを出力させ, ユーザからの架電である旨を広告主 400に対して報知する ( 0113 ) CTI 演算部 623は, 架電受付部 623Aで取得した広告電話番号 710に含まれる識別番号を認識し, データべース610 内の広告関連情報記録領域 611から識別番号に関連付けられた広告主 400の広告特定情報 611Aを検索し, 広告特定情報 611Aの連絡先番号情報 611A2Bを取得し, 応答検知部 623Cヘ出力する ( 0152 ) このステップS103におけるダイヤルアップによりCTIサーバ装置 620から出力される呼出信号に基づいて広告主電話機が着信応答すると ( ステップS104), 応答検知部 6-21 -

23C が,CTI 記録部 621 に内の音声応答データ, 例えば 広告情報を閲覧した利用者 からの入電です との音声データを, 店舗電話機ヘ向けて出力する ( ステップ S105) ( 0156 ) これらの記載によれば,CTI 演算部は, あらかじめ記録された所定の応答音声データを応答検知部 623Cから出力できるところ, その音声データを, 識別番号に従った音声データとすることを妨げる記載はないから, 本件訂正明細書の記載を参酌しても, 上記特許請求の範囲の記載の検討結果を左右するものとまではいえない ウ被告らの主張について被告は, 本件訂正発明 1のメッセージ提供手段が提供するメッセージは, 本件訂正明細書の 0039 0156 図 10 の記載からみて, 広告情報に基づく架電である 旨であると主張する しかしながら, 当該メッセージの内容についての特許請求の範囲の記載は, 前記のとおり解釈され, 明細書における上記各記載のメッセージの内容は, 例示にすぎないほか, その記載における からの入電です の も, 広告情報を閲覧した利用者からの入電です の 広告情報 も, いずれの広告情報 と解釈する余地があるから, 被告ら主張の記載が, メッセージ提供手段が提供するメッセージが, 単に, 広告情報に基づく架電である 旨の通知であることを積極的に根拠付けるものとまではいい難い 被告らの上記主張は, 採用することができない エ小括以上のとおり, 本件訂正発明 1のメッセージ提供手段が提供するメッセージは, 広告主に対して, 複数の広告情報のうちのいずれの広告情報に基づき架電したきたか を通知するものであり, その広告情報の具体的な内容を広告主に通知することと特定するものと認められる - 22 -

(2) 周知技術の認定ア甲 2 フリーダイヤル と題する,NTT コミュニケーションズ社のウェブページ ( アーカイブ ),2005 年 2 月 4 日, インターネットアーカイブ社 ( 甲 2) には, 次の記載がある 電話をかけていただいたお客さまの発信地域を着信側へガイダンスでお知らせするサービスです ( 通話の冒頭にガイダンスを送出 ) 案内内容は以下の5つから契約時に選択します 発信者へのガイダンス フリーダイヤルです フリーダイヤル通話と一般通話の識別ができます イ甲 3 転送サービス ボイスワープ のサービス開始について と題する記事,19 96 年 5 月 14 日, 日本電信電話株式会社 ( 甲 3) には, 次の記載がある 転送サービス ボイスワープ のサービス開始について 転送先での転送通話の識別 1. アナウンス送出転送先へは, 着信の都度, 転送された通話である旨のアナウンスを送出します この電話は - から転送されました ウ甲 4-23 -

特開 2001-274910 号公報 ( 甲 4) には, 次の記載がある 従来のシステムにおいて, 外線電話や内線電話がかかってきた場合, 該当者が外出や会議で不在のときはその電話を受けた人が手動で転送先に転送していた そして, 転送が2 度 3 度と行われる場合はその間発信者は, 同じ内容をその都度電話を受けた人に説明を行っていた ( 0002 ) また, 商品発注のために, 発注用のフリーダイヤル ( 登録商標 ) にかけた場合, まず相手先から発注に関する質問内容が音声メッセージで流され, 発信者がそのメッセージに従って必要な情報を入力し, その後その製品の担当者と通話が行われる ( 0003 ) 以上説明したように, 従来のシステムでは, かかってきた外線電話等を転送する場合に予め発信者の情報を音声で通知することができないめ, 転送先でその外線電話を受ける場合は, どこから発信されたのかわからなかった また, その外線電話の該当者が受ける時点までの発信者との通話内容等の情報を予め受け取ることは, 従来のシステムでは実現されていなかった このように, 転送を行う前に行った通話内容等の発信者に関する情報は, 転送先では把握することができないため, 発信者は, 通話が転送された後に同じ内容の通話をもう一度繰り返さなければならないという問題があった ( 0004 ) 本発明は, これらの課題を解決するためになされたもので, 本発明の目的は, 転送先に対して発信者の識別情報等様々な情報を通知することができ, また, そのときに入力を行ったデータ等の情報を音声で通知することができるようなマルチメディア情報通信システムを提供することにある ( 0005 ) 図 5は, 発信者の識別情報やそれに関連する情報を音声で転送先に通知する場合のシステム構成を示す図である ( 0039 ) まず, 図 5に基づいて, 本発明に係る第 1の実施形態である発信者の識別情報を音声で通知する場合について説明する ( 0040 ) - 24 -

公衆網 INWに接続されている電話機 TEL4から, 着信先として音声自動応答装置 IV R( 図 5のIVRに03-1234-5000と記している ) に対して発信すると, 音声自動応答置 IVRでは着信動作が行われる このとき音声自動応答装置 IVRは, 発信者の識別情報を取得した後, 音声ガイダンスをTEL4に対して送信する 電話機 TEL4では, このガイダンスに従い転送の要求を入力し,PB 信号を用いて音声自動応答装置 IVRに送信する 音声自動応答装置 IVRは, 転送前に発信者の識別情報を音声データ合成部 24で音声データに変換する その後, 音声自動応答装置 IVRはハブ装置 H1に接続されている転送先の電話機 TEL1に対して発信動作を起こし, 電話機 TEL1が応答し変換された識別情報の音声データが送信された後に,TEL4への転送処理が行われる ( 0041 ) このようにすることにより, 電話機 TEL1,TEL5では, 発信者の識別情報を音声で聞いた後に転送処理が行われるので, 通話状態となった電話機 TEL1,TEL5では誰からの通話かが即座に判別でき, その後の通話をスムーズに行うことができる ( 0042 ) エ小括 - 25 -

上記ア~ウの記載によれば, 発信者からの呼を受けた転送元が, その呼を転送先に転送する際に, 呼に関するメッセージを提供しているといえ, このような架電接続方式は周知技術であったと認められる 原告は, 甲 3は, 広告に関するものではなく, 受信者の利便を目的とするので, 甲 1 発明とは分野, 目的を異にする旨を主張する しかしながら, 相違点 2は通話の転送の際のメッセージ提供に係るものであり, 原告主張の上記の相違点が, 転送の際のメッセージの提供に係る甲 3に記載の事項を, 相違点 2に係る周知技術の認定資料とすることを妨げることはない したがって, 原告の上記主張は, 採用することができない (3) 容易想到性甲 1 発明は, 電話 3からの呼を受けたサーバが, その呼をアクセス先の電話に接続 ( 転送 ) する架電接続方式であるといえる また, 上記 (2) のとおり, 発信者からの呼を受けた転送元が, その呼を転送先に転送する際に, 呼に関するメッセージを提供する架電接続方式は周知技術である そうすると, 甲 1 発明と周知技術は, ともに呼の転送を行う架電接続方式であるから, 甲 1 発明において, 周知技術を採用し, 呼をアクセス先の電話に転送する際に, 呼に関するメッセージを提供するように設計変更することに格別の困難性は認められない そして, 甲 1 発明のサーバは, 受けた呼が, どのような種類の広告を見た発信者からの呼であるかを認識できるのであるから ( 甲 1の 0025 ), 呼をアクセス先の電話に転送する際に, 呼に関するメッセージとして, どのような種類の広告を見た発信者からの呼である旨, すなわち, いずれの広告情報に基づく架電である旨のメッセージを提供するように構成することは, 当業者であれば容易に想到し得るものであり, その構成をとったことによる効果も, 甲 1 発明及び周知技術から, 当業者が予測し得る範囲内のものである (4) 原告の主張について 1 原告は, 甲 1 発明は, 架電がすべて広告情報を視聴した者からされるため, - 26 -

アクセス先に対して広告情報に基づく架電である旨のメッセージの提供をする実益はなく, 甲 1 発明に相違点 2に係る構成を組み合わせる動機付けがない旨を主張する しかしながら, 甲 1 発明の構成は, 広告を視聴せず アクセス先電話番号 に架電するユーザの存在を排除するものではなく, このことは, 本件訂正発明 1と全く同様である 原告の上記主張は, その前提に誤りがあり, 採用することができない 2 原告は, 相違点 2に係る本件訂正発明 1の構成により, 着信応答時に, 直ちに広告効果があったか否かを広告主に伝えることを可能とする顕著な効果を奏する旨を主張する しかしながら, 相違点に係る本件訂正発明 1の構成, すなわち, 広告主に対しいずれの広告情報に基づく架電である旨のメッセージを提供する構成が, 当業者にとって容易に組み合わせられることは, 前記のとおりであり, そのような構成を採用した場合, 着信応答時に広告効果があったか否かが分かるのは当然の帰結であるから, 原告主張の上記効果は, 甲 1 発明及び周知技術から, 当業者が予測し得る範囲内のものである 原告の上記主張は, 採用することができない (5) 小括以上のとおり, 審決の相違点 2の判断には, 誤りはない したがって, 取消事由 2は, 理由がない 3 取消事由 3( 相違点 3の判断の誤り ) について原告は, 甲 1 発明の 解釈テーブル ( 解釈テーブル8c) は, 広告種別情報とアクセス先電話番号とが1 対 1 対応となっているから, 相違点 3に係る本件訂正発明 2の構成は, 実質的な相違点である旨を主張する しかしながら, 広告識別情報とアクセス先電話番号とをどのように関連付けるか - 27 -

は, 広告主の数, 電話回線の数, 広告の数など広告の目的に従い, 当業者が適宜に決定することのできる設計的事項である そうすると, 複数の広告種別情報 ( 識別番号 に相当する ) と1 又は複数のアクセス先電話番号 ( 連絡先番号 に相当する ) を関連付けることは, 実質的な相違点を構成するものとはいえない したがって, 原告の上記主張は, 採用することができない 4 まとめ以上のとおり, 取消事由 1~3は, いずれも理由がない また, 原告は, 審決の相違点 1に係る認定 判断並びに本件訂正発明 3~4に係る認定判断について, 具体的な取消事由を主張しないところ, 審決の説示に照らして, 審決に誤りがあるとは認められない そのほか, 原告がるる主張するところも, いずれも採用することはできない 第 6 結論 よって, 原告の請求は理由がないから, これを棄却することとして, 主文のとお り判決する 知的財産高等裁判所第 2 部 裁判長裁判官 清水節 裁判官 中村恭 - 28 -

裁判官 中武由紀 - 29 -