審議_3_-3 損益の段階別表示0602.doc

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1. のれんを資産として認識し その後の期間にわたり償却するという要求事項を設けるべきであることに同意するか 同意する場合 次のどの理由で償却を支持するのか (a) 取得日時点で存在しているのれんは 時の経過に応じて消費され 自己創設のれんに置き換わる したがって のれんは 企業を取得するコストの一

包括利益の表示に関する会計基準第 1 回 : 包括利益の定義 目的 ( 更新 ) 新日本有限責任監査法人公認会計士七海健太郎 1. はじめに企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 ( 以下 会計基準 ) が平成 22 年 6 月 30 日に

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参考 企業会計基準第 25 号 ( 平成 22 年 6 月 ) からの改正点 平成 24 年 6 月 29 日 企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 の設例 企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 ( 平成 22 年 6 月 30 日 ) の設例を次のように改正

リリース

平成 29 年度連結計算書類 計算書類 ( 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで ) 連結計算書類 連結財政状態計算書 53 連結損益計算書 54 連結包括利益計算書 ( ご参考 ) 55 連結持分変動計算書 56 計算書類 貸借対照表 57 損益計算書 58 株主

計算書類等

IFRSへの移行に関する開示

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第 16 回ビジネス会計検定試験より抜粋 ( 平成 27 年 3 月 8 日施行 ) 次の< 資料 1>から< 資料 5>により 問 1 から 問 11 の設問に答えなさい 分析にあたって 連結貸借対照表数値 従業員数 発行済株式数および株価は期末の数値を用いることとし 純資産を自己資本とみなす は

念.pwd

085 貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準 新株予約権 少数株主持分を株主資本に計上しない理由重要度 新株予約権を株主資本に計上しない理由 非支配株主持分を株主資本に計上しない理由 Keyword 株主とは異なる新株予約権者 返済義務 新株予約権は 返済義務のある負債ではない したがって

平成30年公認会計士試験

IFRS連結財務諸表記載例2013年版-3

1. 国際財務報告基準に準拠した財務諸表 ( 抜粋 翻訳 ) 国際財務報告基準に準拠した財務諸表の作成方法について当行の国際財務報告基準に準拠した財務諸表 ( 以下 IFRS 財務諸表 という ) は 平成 27 年 3 月末時点で国際会計基準審議会 (IAS B) が公表している基準及び解釈指針に

連結貸借対照表 ( 単位 : 百万円 ) 当連結会計年度 ( 平成 29 年 3 月 31 日 ) 資産の部 流動資産 現金及び預金 7,156 受取手形及び売掛金 11,478 商品及び製品 49,208 仕掛品 590 原材料及び貯蔵品 1,329 繰延税金資産 4,270 その他 8,476

添付資料の目次 1. 連結財務諸表 2 (1) 連結貸借対照表 2 (2) 連結損益計算書及び連結包括利益計算書 4 (3) 連結財務諸表に関する注記事項 6 ( セグメント情報等 ) 6 2. 個別財務諸表 7 (1) 個別貸借対照表 7 (2) 個別損益計算書

無断複写 転用 転記を禁じます 国際財務報告基準 (IFRS) 連結財務諸表シリーズ シリーズ <5>IAS 第 31 号 ジョイント ベンチャーに対する持分 ( 平成 22 年 7 月 31 日現在 ) 1. ジョイント ベンチャーの対する持分 ( 総論 ) 本シリーズでは ジョイント ベンチャー

2. 基準差調整表 当行は 日本基準に準拠した財務諸表に加えて IFRS 財務諸表を参考情報として開示しております 日本基準と IFRS では重要な会計方針が異なることから 以下のとおり当行の資産 負債及び資本に対する調整表並びに当期利益の調整表を記載しております (1) 資産 負債及び資本に対する


(訂正・数値データ訂正)「平成25年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正について

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添付資料の目次 1. 連結財務諸表 2 (1) 連結貸借対照表 2 (2) 連結損益計算書及び連結包括利益計算書 4 (3) 連結財務諸表に関する注記事項 6 ( セグメント情報等 ) 6 2. 個別財務諸表 7 (1) 個別貸借対照表 7 (2) 個別損益計算書

第 298 回企業会計基準委員会 資料番号 日付 審議事項 (2)-4 DT 年 10 月 23 日 プロジェクト 項目 税効果会計 今後の検討の進め方 本資料の目的 1. 本資料は 繰延税金資産の回収可能性に関わるグループ 2 の検討状況を踏まえ 今 後の検討の進め方につ

財剎諸表 (1).xlsx


10年分の主要財務データ

2018 年 8 月 10 日 各 位 上場会社名 エムスリー株式会社 ( コード番号 :2413 東証第一部 ) ( ) 本社所在地 東京都港区赤坂一丁目 11 番 44 号 赤坂インターシティ 代表者 代表取締役 谷村格 問合せ先 取締役 辻高宏

IFRS第3号「企業結合」修正案及びIAS第27号「連結及び個別財務諸表」修正案に対する

営業活動によるキャッシュ フロー の区分には 税引前当期純利益 減価償却費などの非資金損益項目 有価証券売却損益などの投資活動や財務活動の区分に含まれる損益項目 営業活動に係る資産 負債の増減 利息および配当金の受取額等が表示されます この中で 小計欄 ( 1) の上と下で性質が異なる取引が表示され


連結会計入門 ( 第 6 版 ) 練習問題解答 解説 練習問題 1 解答 解説 (129 頁 ) ( 解説 ) S 社株式の取得に係るP 社の個別上の処理は次のとおりである 第 1 回取得 ( 平成 1 年 3 月 31 日 ) ( 借 )S 社株式 48,000 ( 貸 ) 現預金 48,000

(訂正・数値データ訂正)「平成30年4月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正について


適用時期 5. 本実務対応報告は 公表日以後最初に終了する事業年度のみに適用する ただし 平成 28 年 4 月 1 日以後最初に終了する事業年度が本実務対応報告の公表日前に終了している場合には 当該事業年度に本実務対応報告を適用することができる 議決 6. 本実務対応報告は 第 338 回企業会計

計算書類等

Microsoft Word - Q&A 第22回 2892号2008年11月08日.doc

連結損益計算書(通期)

IFRS基礎講座 IAS第21号 外貨換算

前連結会計年度 ( 平成 29 年 12 月 31 日 ) 当第 2 四半期連結会計期間 ( 平成 30 年 6 月 30 日 ) 負債の部流動負債支払手形及び買掛金 8,279 8,716 電子記録債務 9,221 8,128 短期借入金 未払金 24,446 19,443 リース

Microsoft Word - IFRSコラム原稿第2回 H doc

平成31年3月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)

ならないとされている (IFRS 第 15 号第 8 項 ) 4. 顧客との契約の一部が IFRS 第 15 号の範囲に含まれ 一部が他の基準の範囲に含まれる場合については 取引価格の測定に関する要求事項を設けている (IFRS 第 15 号第 7 項 ) ( 意見募集文書に寄せられた意見 ) 5.

新旧対照表(計算書類及び連結計算書類)

リコーグループサステナビリティレポート p

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念.pwd

Microsoft Word - 訂正短信提出2303.docx

決算説明補 資料 2018 年 3 期第 3 四半期 (IFRS) 株式会社リクルートホールディングス 本資料に含まれる数値 指標は 当社グループの経営成績及び財政状態に関して 適切な理解を促進することを 的として開 しており 全ての数値 指標が監査法 による監査 はレビューの対象ではない点にご留意

<4D F736F F F696E74202D E9197BF A C98AD682B782E98DC58BDF82CC93AE8CFC82C A82CC91CE899E F8

IFRS基礎講座 IAS第12号 法人所得税

連結損益計算書(四半期)

科目 期別 損益計算書 平成 29 年 3 月期自平成 28 年 4 月 1 日至平成 29 年 3 月 31 日 平成 30 年 3 月期自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 ( 単位 : 百万円 ) 営業収益 35,918 39,599 収入保証料 35,765 3

平成29年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)

注記事項 (1) 期中における重要な子会社の異動 ( 連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動 ) 無 (2) 会計方針の変更 会計上の見積りの変更 修正再表示 1 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 無 2 1 以外の会計方針の変更 無 3 会計上の見積りの変更 無 4 修正再表示 無 (3) 発行

別添質問に対する回答質問 1 Tax Basis( 税務基準額 ) 及び Temporary Difference( 一時差異 ) の定義について本公開草案では Tax Basis( 税務基準額 ) の定義を変更することを提案しており これにより Tax Basis が資産の回収や負債の決済について

AIGジャパン ホールディングス株式会社連結貸借対照表 2013 年度連結会計期間末 (2014 年 3 月末時点 ) 2014 年度連結会計期間末 (2015 年 3 月末時点 ) 科目 金額 金額 ( 資産の部 ) 現金及び預貯金 37,750 51,477 有価証券 1,162,121 1,3

旭情報サービス (9799) 平成 28 年 3 月期第 1 四半期決算短信 ( 非連結 ) 添付資料の目次 1. 当四半期決算に関する定性的情報 2 (1) 経営成績に関する説明 2 (2) 財政状態に関する説明 2 (3) 業績予想などの将来予測情報に関する説明 2 2. サマリー情報 ( 注記


受取利息及び受取配当金等に課される源泉所得税 35 外国法人税 36 適用時期等 38-2-

銀行法施行規則 ( 昭和五十七年大蔵省令第十号 ) 別紙様式第 1 号の 2 改正案 現行 別紙様式第 1 号の2( 第 条第 1 項関係 ) ( 日本工業規格 A4) ( 略 ) 第 2 第 期中 ( 年 月 日現在 ) 中間貸借対照表 科 目 金 額 科 目 金 額 別紙様式第 1 号の2( 第


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日本基準でいう 法人税等 に相当するものです 繰延税金負債 将来加算一時差異に関連して将来の期に課される税額をいいます 繰延税金資産 将来減算一時差異 税務上の欠損金の繰越し 税額控除の繰越し に関連して将来の期に 回収されることとなる税額をいいます 一時差異 ある資産または負債の財政状態計算書上の

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平成 29 年 3 月期決算短信 IFRS ( 連結 ) 平成 29 年 4 月 26 日 上場会社名 日信工業株式会社 上場取引所 東 コード番号 7230 URLhttp:// 代表者 ( 役職名 ) 代表取締役社長 ( 氏名 ) 大河原栄次 問合せ先責

従って IFRSにおいては これらの減価償却計算の構成要素について どこまで どのように厳密に見積りを行うかについて下記の 減価償却とIFRS についての説明で述べるような論点が生じます なお 無形固定資産の償却については 日本基準では一般に税法に準拠して定額法によることが多いですが IFRSにおい

第 1 章はじめに ( 本ペーパーの位置付け等について記載であるため 省略 ) 第 2 章キャッシュ フロー情報の有用性 1. 業績についての情報は 主として発生主義による財務諸表によって提供される キャッシュ フローの開示の目的は 業績に関する代替的な測定値を表示することではないが 発生主義ベース

株式会社ゴールドクレスト (8871) 平成 26 年 3 月期第 1 四半期決算短信 添付資料の目次 1. 当四半期決算に関する定性的情報 2 (1) 経営成績に関する説明 2 (2) 財政状態に関する説明 2 (3) 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明 2 2. 四半期連結財務諸表 3

1990 年度 1991 年度 平成 2 年度 平成 3 年度 March 31, 1991 March 31, 1992 米国会計基準 (U.S.GAAP)excludesrestatements 1992 年度 1993 年度 1994 年度 1995 年度 1996 年度 1997 年度 19


平成21年3月期 決算補足説明資料

2018 年 12 月期 決算補足資料 株式会社ユニバーサルエンターテインメント 2019 年 2 月 14 日 JASDAQ コード : 6425 JASDAQ コード :6425


IFRS基礎講座 IFRS第1号 初度適用

3. その他 (1) 期中における重要な子会社の異動 ( 連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動 ) 無 (2) 会計方針の変更 会計上の見積りの変更 修正再表示 1 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 無 2 1 以外の会計方針の変更 無 3 会計上の見積りの変更 無 4 修正再表示 無 (3)

2019年年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)

6. データ集 2) 国内金融事業 1 日本保証 主要残高 貸借対照表 日本基準に基づく単体数値 ( 連結調整前 ) で作成しています ( 単位 : 百万円 ) 2015/ / / / / / /03 (a) 現金及び預金 1,

7. 我が国の場合 第 4 項に示される政府が企業に課す賦課金の例としては 固定資産税 特別土地保有税 自動車取得税などが挙げられる 8. 日本基準において諸税金に関する会計処理については 監査 保証委員会実務指針第 63 号 諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取り扱い があるが ここでは

平成26年度 第138回 日商簿記検定 1級 会計学 解説

第1四半期決算短信

平成 30 年 3 月期第 1 四半期決算短信 日本基準 ( 連結 ) 平成 29 年 8 月 7 日 上場会社名 タイガースポリマー株式会社 上場取引所 東 コード番号 4231 URLhttp://tigers.jp 代表者 ( 役職名 ) 代表取締役社長 ( 氏名 ) 渡辺 健太郎 問合せ先責

コニカミノルタ ( 株 ) (4902) 2019 年 3 月期決算短 4. 連結財務諸表及び主な注記 (1) 連結財政状態計算書 資産 流動資産 前連結会計年度 (2018 年 3 月 31 日 ) ( 単位 : 百万円 ) 当連結会計年度 (2019 年 3 月 31 日 ) 現金及び現金同等物

2019 年 3 月期 第 2 四半期決算短信 日本基準 ( 連結 ) 2018 年 10 月 30 日 上場会社名 日本冶金工業株式会社 上場取引所 東 コード番号 5480 URL 代 表 者 ( 役職名 ) 代表取締役社長 ( 氏名 ) 木村 始 問合

(2) サマリー情報 1 ページ 1. 平成 29 年 3 月期の連結業績 ( 平成 28 年 4 月 1 日 ~ 平成 29 年 3 月 31 日 ) (2) 連結財政状態 訂正前 総資産 純資産 自己資本比率 1 株当たり純資産 百万円 百万円 % 円銭 29 年 3 月期 2,699 1,23

独立行政法人会計基準改定(案)

添付資料の目次 株式会社錢高組 (1811) 平成 31 年 3 月期第 2 四半期決算短信 1. 当四半期決算に関する定性的情報 2 (1) 経営成績に関する説明 2 (2) 財政状態に関する説明 2 (3) 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明 2 2. 四半期連結財務諸表及び主な注記 3


審議事項 (2) 年 7 月 ASBJ/EFRAG のスタッフがのれんと減損に関する定量的調査の付属資料として作成した付録付録 1: 定量的調査の概要付録 2: 主要なデータ セット 参考訳 財務会計基準機構の Web サイトに掲載した情報は 著作権法及び国際著作権条約をはじめ

Microsoft Word - 決箊喬å‚−表紎_18年度(第26æœ�ï¼›

2017年度(平成29年度)連結決算概要

「中小企業の会計に関する指針《新旧対照表

IASB Update 2019 年 4 月 IASB Update は 国際会計基準審議会 ( 審議会 ) の予備的決定を示している IFRS 基準 修正及び IFRIC 解釈指針に関する審議会の最終的な決定は IFRS 財団及び IFRS 解釈指針委員会 デュー プロセス ハンドブック に示され

大都魚類 (8044) 平成 29 年 3 月期第 1 四半期決算 添付資料の目次 1. 当四半期決算に関する定性的情報 2 (1) 経営成績に関する説明 2 (2) 財政状態に関する説明 2 (3) 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明 2 2. サマリー情報 ( 注記事項 ) に関する事項

平成 30 年 12 月期第 1 四半期決算短信 日本基準 ( 連結 ) 平成 30 年 4 月 27 日 上場会社名セーラー万年筆株式会社上場取引所東 コード番号 7992 URL 代表者 ( 役職名 ) 代表取締役社長 ( 氏名 ) 比佐泰 問合

あいホールディングス ( 株 )(3076) 平成 30 年 6 月期第 2 四半期決算短 添付資料の目次 1. 当四半期決算に関する定性的情報 2 (1) 経営成績に関する説明 2 (2) 財政状態に関する説明 2 (3) 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明 3 2. 四半期連結財務諸表及


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論点 4 損益の段階別表示 検討事項 1. 損益計算書における損益の段階別表示に関して見直しを行うかどうかを検討する 我が国の会計基準の取扱い 2. 我が国では 損益計算書において 営業損益計算 経常損益計算及び純損益計算の区分を設けなければならないとされている ( 企業会計原則第二 2 及び企業会計基準第 22 号 連結財務諸表に関する会計基準 第 39 項 ) 3. 営業損益計算の区分は 当該企業の営業活動から生ずる費用及び収益 具体的には売上高から売上原価を記載して売上総利益を表示し さらに販売費及び一般管理費を記載して営業利益を表示することとされている 1 4. 経常損益計算の区分は 営業損益計算の結果を受け 利息及び割引料 有価証券売却損益その他営業活動以外の原因から生ずる損益であって特別損益に属しないもの つまり営業外収益及び営業外費用を記載して経常利益を表示することとされている 5. 純損益計算の区分は 経常損益計算の結果を受け 特別損益を記載して税引前当期純利益を表示し 税引前当期純利益から法人税額等を控除して当期純利益を表示する 6. 連結損益計算書においては 純損益計算の区分は 次のとおり表示することとされている ( 企業会計基準第 22 号 連結財務諸表に関する会計基準 第 39 項 ) (1) 経常損益計算の結果を受け 特別利益及び特別損失を記載して税金等調整前当期純利益を表示する (2) 税金等調整前当期純利益に法人税額等を加減して 少数株主損益調整前当期純利益 2 を表示する (3) 少数株主損益調整前当期純利益に少数株主損益を加減して 当期純利益 3 を表示する 7. 企業会計原則注解 注 12 では 純損益計算に区分される特別損益に属する項目として臨時損益及び前期損益修正が挙げられており 臨時損益の例示として 固定資産売却損益 転売以外の目的で取得した有価証券の売却損益 及び災害による損失が示されている 国際的な会計基準の取扱い ( 国際財務報告基準 ) 8. これに対して 国際財務報告基準 (IFRS) では IAS 第 1 号 財務諸表の表示 ( 以下 IAS 1 2 3 なお 役務の給付を営業とする場合には 営業収益から役務の費用を控除して総利益を表示することとされている ( 企業会計原則第二 3D) IFRS では profit or loss 米国会計基準では net income とされている IFRS では profit or loss attributable to owners of the parent 米国会計基準では net income attributable to the parent とされている - 1 -

第 1 号 という ) において 以下の項目を 損益計算書 4 に最低限記載すべき表示項目 (line item) として規定している (IAS 第 1 号第 82 項及び第 84 項 ) (1) 収益 (revenue) (2) 金融費用 (finance costs) (3) 持分法で会計処理されている関連会社及びジョイント ベンチャーの損益に対する持分相当額 (4) 税金費用 (5) 以下の単純合算額 5 1 廃止事業の税引後損益 2 廃止事業を構成する資産又は処分グループを売却費用控除後の公正価値で測定したことまたはこれらを処分したことによって認識した税引後損益 (6) 純損益 (profit or loss) 9. また 企業の財務業績を理解するのに役立つ場合には, 企業は追加的な表示項目 見出し及び小計を損益計算書に表示しなければならないとされている (IAS 第 1 号第 85 項 ) 10. さらに 信頼性があり かつ より役立つ情報を提供することになるように 性質別又は機能別の分類を用いて 費用の内訳を表示することとされている (IAS 第 1 号第 99 項 ) 機能別分類においては 少なくとも売上原価をその他の費用項目とは別個に表示することとされ 分類の例において収益と売上原価の差額である売上総利益 (gross profit) が記載されている (IAS 第 1 号第 102 項 ) また 性質別と機能別のいずれの分類の例においても税引前当期純利益 (profit before tax) が記載されている (IAS 第 1 号第 102 及び第 103 項 ) 6 11. しかしながら IAS 第 1 号では 損益のいかなる項目をも 異常項目 (extraordinary items) として損益計算書の本体 又は注記のいずれにも表示してはならないとされている (IAS 第 1 号第 87 項 ) この異常項目は 平成 5 年 (1993 年 ) に公表された IAS 第 8 号 期間純損益, 重大な誤謬及び会計方針の変更 において 企業の通常の活動とは明確に区別され したがって 頻繁又は定期的に発生することが期待されることない事象又は取引から生じる収益又は費用 と定義され 経常的活動からの損益とは別個に損益計算書に開示することが要求されていたが IASB は平成 4 5 6 IAS 第 1 号は平成 19 年 (2007 年 ) に改訂され 1 計算書方式では純損益 (profit or loss) の構成要素も包括利益計算書に含まれ 2 計算書方式では純損益の構成要素を表示する計算書である分離損益計算書 (separate income statement) と純損益から開始してその他包括利益を示す包括利益計算書を表示する ここでは 純損益の構成要素を表示する計算書として 従来の 損益計算書 を用いることとする IFRS 第 5 号 売却目的で保有する非流動資産及び廃止事業 ( 以下 IFRS 第 5 号 という ) において 廃止事業は損益計算書において継続事業とは区分して表示すべきであることが示されている (IFRS 第 5 号第 33 項 ) IAS 第 1 号に付随する適用ガイダンスでは 機能別分類による例示において 売上総利益 (gross profit) 税引前利益(profit before tax) 継続事業からの当期利益(profit for the year from continuing operations) の段階別表示が示されている - 2 -

14 年 (2002 年 ) に 異常項目の概念を IAS 第 8 号から削除し 損益計算書においてこれを表示することを禁止する決定を行った (IAS 第 1 号 BC60 項及び BC61 項 ) 12. その理由として IASB では 異常項目は企業が直面する通常の事業リスクにより生じるものであり 損益計算書において個別の構成要素に表示しなければならないものではないと判断し その頻度ではなく 取引又は事象の性質又は機能が損益計算書における表示を決定するとした また 異常項目のカテゴリーを削除することで 企業の期間損益に対する関連する外部事象 ( 繰り返し発生するものとそうでないもの ) の影響を裁量的に区分する必要がなくなるとも述べている (IAS 第 1 号 BC62 項及び BC63 項 ) 13. なお 1997 年版 IAS 第 1 号には損益計算書に営業活動業績 (results of operating activities) を表示項目として開示する規定があったが 営業活動 は IAS 第 1 号では定義されていないため IASB は 2002 年にこの開示を求めない決定をした しかし IASB は 企業が営業活動業績又は類似の表示項目の開示を選択する場合があることを認識しており その場合には 企業は開示される金額が通常 営業活動 とみなされる活動を代表するものとなるようにすべきであり 営業活動の性質を備えた項目が営業活動業績から除外されれば誤解を与え 財務諸表の比較可能性が損なわれるという見解を示している (IAS 第 1 号 BC55 項及び BC56 項 ) ( 米国会計基準及び米国での実務 ) 14. 米国会計基準では 米国財務会計基準書第 144 号 長期性資産の減損又は処分の会計処理 ( 以下 SFAS 第 144 号 という ) の廃止事業 ( 第 17 項参照 ) 及び APB 意見書第 30 号 経営成績の報告 - 事業のセグメントの処分並びに異常 非正常及び非反復的な事象及び取引の影響の報告 - ( 以下 APB 第 30 号 という ) の異常項目 ( 第 18 項参照 ) の表示以外には 損益計算書の様式に関する全般的な定めはない その代わり 米国証券取引委員会 (SEC) 登録企業は 規則 (Regulation) S-X の規定する様式に従って損益計算書を作成することとなる 15. 一般事業会社 (commercial and industrial companies) に適用される規則 S-X 5-03 で規定されている記載すべき表示項目 (line item) のうち段階別表示の項目は 税金等控除前損益 継続事業からの損益 異常損益控除前損益である なお 記載すべき表示項目には 売上高 売上原価 営業外損益 (Non-operating income/expense) といった項目が含まれるが 売上総利益 (gross margin) や営業利益 (operating income) といった段階別表示は含まれていない 16. 米国公認会計士協会 (AICPA) による調査によれば 米国企業においては 税金等控除前損益まで段階別表示を行わない単一区分式 (single-step) と 売上総利益や営業利益といった - 3 -

段階別表示を設ける多区分式 (multi-step) と双方の損益計算書が存在している 7 17. なお SFAS 第 144 号では 廃止事業の経営成績を ( 該当のある場合には ) 異常項目前利益の区分項目として報告しなければならないとされ 損益計算書の開示例において 税引前継続事業からの利益及び継続事業からの利益という段階別表示が示されている (SFAS 第 144 号第 43 項 ) 18. また APB 第 30 号では 異常項目が存在する場合 損益計算書において異常項目前利益という段階別表示が求められる 8 異常項目とは 非経常的(unusual nature) であり かつ低頻度 (infrequency of occurrence) な事象又は取引であるとされている (APB 第 30 号第 20 項 ) 9 19. 逆に APB 第 30 号は 性質が正常であり 又は通常の継続的事業活動によって反復し得る取引であるため異常項目ではない例として 次を挙げている (APB 第 30 号第 23 項 ) (1) 売掛金 棚卸資産 賃貸資産又は無形資産の評価減 (2) 換算差損益 (3) 企業の構成部分 (component of entity) の処分損益 (4) 事業に使用された有形固定資産の売却又は廃棄損益等 今後の方向性 20. 我が国では 損益計算書において 売上総利益 営業利益 経常利益及び当期純利益を示すこととされている 当期純利益から経常的に生じない損益項目である特別損益項目を除外した経常利益や営業利益は 将来キャッシュ フローの予測に結びつく反復性のある利益を示し 当期純利益と並んで有用であると考えられている 21. しかしながら 特別損益項目に関しては 当該項目への区分の具体的な判断基準が異なることで 同じ項目でも会社により営業外損益と特別損益に区分が分かれることがある点の指摘や 損益を区分する基準が曖昧で企業がその分類を操作しかねないという指摘もある なお 当委員会で検討中の会計方針を変更した場合等における過年度財務諸表の遡及再表示の取扱い 10 が導入された場合 現在 7 American Institute of Certified Public Accountants, Accounting Trends & Techniques-2008 によれば 平成 19 年 (2007 年 ) のアニュアル レポートを調査した 600 社中 単一区分式が 94 社 多区分式が 506 社であった 8 しかしながら AICPA による調査 Accounting Trends & Techniques-2008 によれば アニュアル レポートを調査した 600 社中 異常項目を表示したのは平成 19 年 (2007 年 )4 社 ( うち負ののれん 1 社 ) 平成 18 年 (2006 年 )4 社 ( うち負ののれん 3 社 ) 平成 17 年 (2005 年 )5 社 平成 16 年 (2004 年 )4 社 ( うち負ののれん 2 社 ) と 損益計算書に異常項目を表示した米国企業は非常に稀であった なお 改訂前の SFAS 第 141 号 企業結合 には 負ののれんは異常項目として開示する定めが存在したが ( 第 44 項 - 第 46 項 ) 平成 19 年 (2007 年 ) の改訂において当該規定が削除された 9 非経常的な性質の対象となる事象又は取引とは 高い程度の異常性を有しており 企業が営業活動を行う環境を考慮した場合 企業の通常の活動に明らかに関係しないか 又は付随的に関係する事象又は取引とされ 低頻度な事象又は取引は 企業が営業活動を行う環境を考慮した場合 予見可能な将来 経常的に繰り返されることが合理的に期待されない種類の事象又は取引とされている 10 当委員会は 企業会計基準公開草案第 33 号 会計上の変更及び過去の誤謬に関する会計基準 ( 案 ) 等を平 - 4 -

特別損益に計上されている項目の一部が計上されないこととなる また 廃止事業に関連する損益の区分表示を我が国においても導入する場合 ( 論点 2 廃止事業に関連する損益の損益計算書による区分表示 参照 ) 現在特別損益に計上されている項目の一部は 廃止事業に関連する損益に計上されることとなると考えられる 22. IASB と FASB との財務諸表表示プロジェクトでは 営業 投資 財務資産及び財務負債のカテゴリー別や各カテゴリー内での機能別及び性質別の分解という 現行とは異なる包括利益計算書における区分表示を検討している 11 23. 以上のような点を考慮して 特別損益項目や経常利益を含む損益の段階別表示の見直しの検討は IASB と FASB との財務諸表表示プロジェクトの動向により大きな影響を受けるため 財務諸表の表示 ( フェーズ B 関連 ) プロジェクトの中で行うことが適当であると考えられる 以上 成 21 年 4 月 10 日に公表している 11 平成 20 年 (2008 年 )10 月に IASB と FASB から公表されたディスカッション ペーパー 財務諸表の表示に関する予備的見解 では 将来キャッシュ フローの予測に当たって情報の有用性を高める範囲において 包括利益計算書における営業 投資 財務資産及び財務負債の各カテゴリーの収益及び費用項目を機能別に分解しなければならないとされ (2008DP 第 3.42 項 ) 付録 A の例示 1 では 営業カテゴリーの中に 収益 売上原価 販売費 一般管理費の機能別サブ カテゴリ を設けており 収益から売上原価を控除した売上総利益を記載している ただし 将来キャッシュ フローの予測に当たって情報の有用性を高めることにならないため 機能別に収益及び損益項目を分解しない企業は 有用性を高める範囲で 性質別に分解しなければならないとされ (2008DP 3.48 項 ) 付録 A の例示 2( 銀行業の例 ) では 営業カテゴリーを利息と利息以外に区分している - 5 -