研 究 ニ ュ ー ス 地震波で覗いた マントル最下部まで沈んだ 表面地殻の岩石質 ロバート ゲラー 地球惑星科学専攻 教授 私たちの立っている地殻のもとには D" 層はマントル対流における熱境界層 行った 図 1 その結果 他の地域で 地球の全体積の 8 割を超える 岩石で であり そこでは温度の不均質や組成の の D 領域構造と異なる S 波速度の 構成されているマントル そしてさらに 分化の可能性が示唆されており その詳 S 字型 深さ依存性のモデルが得られた そのもとには金属で構成されるコアがある 細な内部構造の推定は地球科学的知見に 図 2 深さ 2700 km 付近の顕著な低 マントルは長い年月をかけて対流しており 強い制約を与えることができる 速度域は 鉱物物理学の見地から玄武岩 組成 SiO2 の CaCl2 型からα - PbO2 型へ それによってプレートの生成や沈み込み 地球内部を伝播する地震波は 地震波 が起き 生成時にマントル組成から作ら 速度の地域的分布について詳細な情報を ペロブスカイト相からポストペロブスカ れる玄武岩質地殻は地球深部へと沈み込む 含んでおり これまでもトモグラフィー イト相へ の相転移によるものであると マントルは構成鉱物相の違いから上部と などの手法によって西太平洋下の D" 層 解釈できる いっぽう 深さ 2800 km 付 下部にわかれており その境界が対流の には巨大な低速度異常の存在が示唆さ 近の顕著な速度増はマントルの平均組成 様式にどの程度影響を与えるかは常に議 れていた しかしながら その成因につ 玄武岩組成以外の部分のマントル組成 論の的となっている そのため 沈み込 いては 温度によるのか 組成によるのか のペロブスカイト相からポストペロブ んだ玄武岩質地殻の行方はマントルの対 それとも両者によるのか 従来の地震波 スカイト相への相転移によるものであ 流様式および地球の進化を知る上での重 解析では空間分解能 とくに垂直方向に ると解釈できる 要な手がかりとなる これらの議論に対 対して が不十分で 未解決であった このことは 玄武岩質地殻が D 領域 して重要な情報を与えるのが マントル 今回 私たちのグループによって独自に まで沈み込んでいることを示すとともに の 最 下 部 に 位 置 す る D" デ ィ ー 開発を行った 波形インバージョン と それを運ぶマントル全体の対流の存在を ダ ブ ル プ ラ イ ム 領 域 と よ ば れ る よばれる最新のデータ解析手法を用いて 示唆する 本 研 究 は K. Konishi, K. Kawai, R. J. 数百 km 厚さのコアとの境界層である 西太平洋下の低速度領域の構造推定を Geller, and N. Fuji, Earth and Planetary Science Letters, 278, 219-225, 2009 に 掲載された 60 2009 年 1 月 12 日プレスリリース 30 2200 PREM 深さ (km) PREM' 0 30 2400 Sሼ 䊝䊂䊦 2600 2800 120 150 180 1. SiO2 䈱 ォ⒖ 2. ਇ (Al, Fe)䉕ᄙ䈒 䉃 Mg-pv䈱 ォ⒖ 䊙䊮䊃䊦䈱ᐔဋ ᚑ䈮䈍䈔䉎 Mg-pv䈱 ォ⒖ 7.0 7.5 速度 (km/s) 図 1 本研究で用いたデータ 赤く塗られた領域の D" 領域 内の構造を推定した 16 図 2 今回得られた西太平洋下の D" 領域の S 波速度分布
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