(2) 訴訟費用は 被告らの負担とする 2 被告国 (1) 本案前の答弁ア原告の被告国に対する訴えを却下する イ上記訴えに係る訴訟費用は 原告の負担とする (2) 被告国は 本案について 原告の被告国に対する請求を棄却する旨の裁判を求めるものと解する 3 被告 Y1 市 (1) 本案前の答弁ア原告の

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借地権及び法定地上権の評価 ( 競売編 ) 出典 : 株式会社判例タイムズ出版 別冊判例タイムズ第 30 号 借地権の評価 第 1 意義 借地権とは 建物所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう ( 借地法 1 条 借地 借家法 2 条 1 号 ) 第 2 評価方法 借地権の評価は 建付地価格に

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滞納処分によって財産の差押えを受け 被告がその売却代金等の配当を受けたことについて 本件各申告の一部は錯誤に基づく無効なものであり これを前提としてされた滞納処分も無効であるから 被告は法律上の原因なく配当を受けているとして 不当利得返還請求権に基づき 前記第 1の請求記載の各金員の支払を求めている

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<4D F736F F D20819D96D491968E738BF382AB89C CC934B90B38AC7979D82C98AD682B782E98FF097E18E7B8D738B4B91A52E646F63>

た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

求めるなどしている事案である 2 原審の確定した事実関係の概要等は, 次のとおりである (1) 上告人は, 不動産賃貸業等を目的とする株式会社であり, 被上告会社は, 総合コンサルティング業等を目的とする会社である 被上告人 Y 3 は, 平成 19 年当時, パソコンの解体業務の受託等を目的とする

差押債権目録索引

これに対して ISP 社は 同年 6 月 29 日 当社子会社による根抵当権設定登記抹消に関する訴訟の提起に関するお知らせ にて適時開示いたしましたとおり 静岡地方裁判所沼津支部において 根抵当権については消滅時効が成立している等として根抵当権設定登記の抹消登記に関する訴訟を提起いたしました しかし

式会社 (A) の債務に係る保証債務及び清算人を務める株式会社 (B) の債務の履行にそれぞれ充てた控訴人が 上記各債務の履行に伴って生じた求償権を一部行使することができなくなったとして これに相当する金額につき 譲渡所得の金額の計算上なかったものとみなす所得税法 ( 法 )64 条 2 項の規定を

12

Transcription:

平成 25 年 7 月 3 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 年 ( ) 第 号配当異議請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 22 日 判 決 原告被告被告被告被告 有限会社 X 国 Y1 市 Y2 株式会社 Y3 主 文 1 原告の請求をいずれも棄却する 2 訴訟費用は 原告の負担とする 事 実 第 1 当事者の求めた裁判 1 原告 (1) さいたま地方裁判所が同庁平成 年 ( ) 第 号担保不動産競売事件につき作成した平成 25 年 1 月 11 日付配当表のうち ア被告国 ( 東村山税務署扱い )( 債権の種類 A4) に対する配当額を0 円にイ被告 Y1 市 ( 債権の種類 A5) に対する配当額を0 円にウ被告株式会社 Y3( 債権の種類 A6) 及び同 Y2( 債権の種類 A7) に対する配当額を0 円にそれぞれ変更する 1

(2) 訴訟費用は 被告らの負担とする 2 被告国 (1) 本案前の答弁ア原告の被告国に対する訴えを却下する イ上記訴えに係る訴訟費用は 原告の負担とする (2) 被告国は 本案について 原告の被告国に対する請求を棄却する旨の裁判を求めるものと解する 3 被告 Y1 市 (1) 本案前の答弁ア原告の被告 Y1 市に対する訴えを却下する イ上記訴えに係る訴訟費用は 原告の負担とする (2) 本案の答弁ア原告の被告 Y1 市に対する請求を棄却する イ上記請求に係る訴訟費用は 原告の負担とする 4 被告株式会社 Y3( 以下 被告 Y3 という ) 及び同 Y2 (1) 原告の被告 Y3 及び同 Y2に対する請求をいずれも棄却する (2) 上記請求に係る訴訟費用は 原告の負担とする 第 2 当事者の主張する事実 1 原告 (1) 被告国及び同 Y1 市の本案前の答弁について被告国及び同 Y1 市は 形式的な手続論 ( 民事執行法 ) にて配当異議の却下を求めている 配当についての民事執行法は事務的な方法を定めた規定に過ぎず 憲法が保障した財産権 ( 憲法 29 条 ) に優先しないことは明らかである 後記のとおり 有限会社 A( 以下 A という ) への所有権移転の登記は詐欺によるものであるため 被告国及び同 Y1 市の配当要求は盗徒から配 2

当を求めているようなもので正義に反する行為である (2) 請求原因アさいたま地方裁判所は 申立債権者を分離前相被告株式会社 B( 以下 B という ) 債務者を原告 所有者をAとする別紙物件目録記載の不動産 ( 以下 本件不動産 という ) に対する平成 年 ( ) 第 号担保不動産競売事件 ( 以下 本件競売事件 という ) において 本件不動産の売却を実施し 売却代金について Bへの配当実施額を1428 万 7 787 円 被告国 ( 東村山税務署扱い ) への配当実施額を172 万 718 8 円 被告 Y1 市への配当実施額を6 万 5700 円 被告 Y3( 被告 Y2 に根抵当権移転の仮登記あり ) 及び被告 Y2への配当実施額を752 万 5 113 円 とする平成 25 年 1 月 11 日付配当表を作成した イ原告は 平成 25 年 1 月 11 日の配当期日において 被告ら及びBへの配当実施額の全額に異議を述べた ウ被告らへの配当実施額の全額に異議を述べる理由は 次のとおりである ( ア ) 本件不動産は いずれも原告の所有するものであったが 平成 23 年 8 月 26 日売買を原因とするAへの所有権移転登記がなされている しかし この移転登記の原因となっている売買契約は締結されておらず それ故 所有権移転登記も原告の意思に基づかないでなされた不実 無効のものである したがって この所有権移転登記の有効性を前提としてなされた根抵当権設定仮登記及びその移転の仮登記 またAに対する滞納処分についてもいずれも無効のものと評価できる ( 以上 訴状の主張 ) ( イ ) そもそもAへの名義変更は詐欺行為によってなされたものである A への売買登記がなされたのは平成 23 年 8 月 26 日であるが それ以前の平成 20 年 12 月 25 日にBの1100 万円の根抵当権が付与され 平成 22 年 7 月 21 日に200 万円の仮登記が付され その上平成 22 3

年 11 月 22 日に埼玉県の差押えまで登記されている そのような物件を先順位の権利問題を処理しないまま購入するなど常識的にあり得ない 事実 本件不動産は競売に付され たまたま近隣の不動産業者が本件不動産に特別の思い入れがあって高額で落札しているが 元の所有者で原告の社員のCの権利が残り 未だ引渡しが終了せず係争中である 他の入札者はみな低額であり 特別な落札者がいなければ 本来 Aに係る配当は存在しないはずであった そのような物件をまともに買おうとする者などいるはずがない この事件には地面師と呼ばれる有名な詐欺師が関わっていたことがわかっている Aは不動産業者と聞いているが 正常な業者であればこのような取引に関わるはずがない 事実 Aは登記した翌日 暴力団風の男達を派遣し現場に住んでいる原告の社員をむりやり立ち退かせようとし 建物の一部も壊した このとき 原告の社員が110 番通報し D 警察署警察官が出動する騒ぎとなった ( 以上 平成 25 年 5 月 21 日付原告第 1 準備書面の主張 ) 2 被告国 (1) 本案前の主張配当異議の訴えにおいて 目的不動産の所有権の帰属についての実体的適否の判断を求めることは 民事執行法が許容しないものであり 原告の被告国に対する訴えは不適法であるから 却下されるべきである (2) 請求原因に対する認否ア請求原因アの事実は 認める イ請求原因イの事実は 認める ウ被告国は 請求原因ウの主張を争うものと解する 3 被告 Y1 市 (1) 本案前の主張配当異議の訴えにおいて 目的不動産の所有権の帰属についての実体的適 4

否の判断を求めることは 民事執行法が許容しないものであり 原告の被告 Y1 市に対する訴えは不適法であるから 却下されるべきである (2) 請求原因に対する認否ア請求原因アの事実は 認める イ請求原因イの事実は 認める ウ請求原因ウの事実は 否認する 4 被告 Y3 及び同 Y2の請求原因に対する認否 (1) 請求原因アの事実は 認める (2) 請求原因イの事実は 認める (3) 請求原因ウの事実は 否認する 原告とAとの間で 本件不動産を代金 2216 万円で売却する旨の売買契約が成立し 代金完済前の所有権移転登記先履行の特約に基づき 本件不動産の所有権移転登記手続がされたものであり 本件不動産の所有権移転登記は原告の意思に基づくものである 理 由 1 被告国及び同 Y1 市の本案前の主張ついて (1) 原告が配当異議の理由として主張するところは 原告が本件競売事件の目的物である本件不動産について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有することの主張であるから 本来 第三者異議の訴え ( 民事執行法 194 条 38 条 1 項 ) を提起して主張すべき主張であることは明らかである しかし 原告は 本件競売事件の申立担保権の被担保債権の債務者であるから 第三者異議の訴えを提起する資格を有しないものである ( 最高裁平成 年 ( ) 第 号同 17 年 7 月 15 日第二小法廷判決 民集 59 巻 6 号 1742 頁参照 ) (2) 被告国及び同 Y1 市は 配当異議の訴えにおいて 目的不動産の所有権の 5

帰属についての実体的適否の判断を求めることは 民事執行法が許容しないものである旨主張するところ 上記のとおりの解釈も十分成り立ち得るものと考える ( 被告国及び同 Y1 市が引用する千葉地裁平成 19 年 9 月 6 日判決及びその控訴審である東京高裁平成 20 年 1 月 31 日判決は 同旨の判断をする ) (3) しかし 不動産執行における配当手続は 社会経済的には 流動性の低い不動産に対する権利関係を流動性の高い金銭に対する権利関係に置き換えて整理するものであるから それに対する不服申立て手続である配当異議の訴えにおいて 不動産に対する権利関係の主張をどこまで許容するかは慎重な検討を要することであって 特に (1) のとおり原告は第三者異議の訴えを提起する資格を有しないことを考慮すると 当裁判所としては被告国及び同 Y1 市の上記主張を採用することに躊躇があり 直ちに原告の訴えを不適法として却下するとの判断には至らないものである (4) そのため 本案に対する判断に進むこととする 2 本案に対する判断 (1) 請求原因ア及び同イの事実は 当事者間に争いがない (2) 請求原因ウの事実について検討する ア原告は 本件不動産における平成 23 年 8 月 26 日売買を原因とするA への所有権移転登記は不実 無効である旨主張するが これを認めるに足りる証拠はない イかえって 証拠によれば次のとおり判断できる ( ア ) 上記 第 2 当事者の主張する事実 1 原告 ⑵ 請求原因 のウ ( イ ) に摘示した原告の主張によれば 原告とAとの間で本件不動産の所有権移転登記手続に関する合意が成立した事実を推認することができる ( 原告の上記主張は 上記合意が詐欺に基づき成立したとの事実認識を前提としているものと解される ) 同事実及び弁論の全趣旨に 6

より成立を認める戊第 1 号証 土地付建物売買契約書 によれば 原告とAとの間で本件不動産を代金 2216 万円で売却する旨の平成 23 年 8 月 26 日付売買契約 ( 以下 本件売買契約 という ) が成立した事実を認めることができる ( イ ) 上記 第 2 当事者の主張する事実 1 原告 ⑵ 請求原因 のウ ( イ ) に摘示した原告の主張 ( 詐欺 ) は 民法 96 条 1 項 121 条に照らし 本件売買契約が無効であることを基礎づける事実の主張とはいえない なお 付言すると 上記摘示した原告の主張のうち 本件不動産に設定された担保権の処理に関する部分は 本件売買契約の< 特約条項 > 第 4 項に照らすと 詐欺の主張を根拠づける事実とは言い難い ( ウ ) そうすると 本件売買契約は有効に成立したものというべく 有効に成立した本件売買契約に基づき Aは本件不動産の所有権を取得したものである ( 民法 176 条 ) ( エ ) したがって 本件不動産における平成 23 年 8 月 26 日売買を原因とするAへの所有権移転登記は 本件不動産の所有権の帰属に一致するものであり 有効である ウ以上により 原告の主張する配当異議の理由は 認めることができないことに帰する 3 結論よって 原告の請求は理由がないから これをいずれも棄却することとして 主文のとおり判決する さいたま地方裁判所第 1 民事部 裁判官 山口信恭 7