はじめに諸外国の大学教授職の資格制度に関する実態調査について 羽田貴史 ( 東北大学 ) 1. 調査の趣旨拡大した大学教育において, 質の保証は喫緊の課題であり, 大学教員の資格が改めて問い直されている 従前より大学教授資格制度を持つドイツやフランスの他, 近年は英国や北欧諸国においても大学教員の教育能力の資格化が進められている 我が国においても, 平成 20 年 学生課程教育の構築に向けて 答申が, 英国の高等教育資格課程 (PGCHE) を視野に入れた教員研修 養成プログラムの検討をすることを提言しているが, 各国の制度の比較や, 制度設立に関する社会的要請, 背景等に関し, 体系的な調査研究はこれまでなされていない 高等教育の質保証に関する取組を進めるに当たり, 大学教育を担う教員の質の向上については既に FD の義務化等を踏まえ, 各大学で一定の取組が行われている所であるが, これらの取組に資するため, 上記の諸外国における高等教育教授資格に関する実態調査を実施することとする その際 現行の制度的枠組に留まらず, 大学教育に関する政府 国民の意識等の社会的背景や制度設立の理念等についても併せて調査し, 我が国における大学教員養成や,FD プログラム, 教材開発等に資する資料を作成する 2. 事業期間 平成 23 年 2 月 28 日 ~ 平成 23 年 3 月 31 日 3. 調査研究の具体的方法 (1) 具体的な課題高等教育の比較研究の専門家によるグループを組織し, 訪問調査, 文献 資料調査を組み合わせて, 各国の法制度および個別大学での実態を把握し, 教授職の資格の現状を明らかにするとともに, 課題を抽出する 教授資格がもっとも制度化されてきたのはドイツの Habilitation であり, 近年急速な変化を遂げている また, イギリスの PGCHE も教授職資格制度化の典型例である これらヨーロッパ高等教育圏における大学教授資格は ボローニア プロセスによって高等教育交流が進み, 大きな 1
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