泌尿器科卒後臨床研修プログラム

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第 7 章 腎 泌尿器領域 (a) : すべての専門医が到達すべき知識 技術 (b) : すべての専門医が, さらに高度の専門性を獲得するために到達すべき知識 技術 (c) : 該当する領域において, 専門医が到達すべき知識 技術 (d) : 該当する領域において, 専門医がさらに高度の専門性を獲得

206 年実施卒後教育プログラム ( 日泌総会 ) 領域等タイトル日時単位 日泌総会卒後 日泌総会卒後 2 日泌総会卒後 3 日泌総会卒後 4 日泌総会卒後 8 日泌総会卒後 9 日泌総会卒後 0 日泌総会卒後 日泌総会卒後 2 日泌総会卒後 3 日泌総会卒後 4 日泌総会卒後 5 日泌総会卒後 6

背部痛などがあげられる 詳細な問診が大切で 臨床症状を確認し 高い確率で病気を診断できる 一方 全く症状を伴わない無症候性血尿では 無症候性顕微鏡的血尿は 放置しても問題のないことが多いが 無症候性肉眼的血尿では 重大な病気である可能性がある 特に 50 歳以上の方の場合は 膀胱がんの可能性があり

診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

泌尿器科領域講習 2015 年実施卒後教育プログラム 日泌総会卒後 1 日泌総会卒後 2 日泌総会卒後 3 日泌総会卒後 4 日泌総会卒後 5 日泌総会卒後 6 日泌総会卒後 7 日泌総会卒後 8 日泌総会卒後 9 日泌総会卒後 10 日泌総会卒後 11 日泌総会卒後 12 日泌総会卒後 13 日泌

国際医療福祉大学 診療情報管理学科

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

腹腔鏡下前立腺全摘除術について

主な手術実績根治的前立腺全摘除術 85 ( ロボット支援手術 85) 膀胱全摘除術 12 ( 腹腔鏡下手術 12) 腎摘除術 23 ( 腹腔鏡下手術 21) 腎部分切除術 18 ( ロボット支援手術 18) 腎尿管全摘除術 26 ( 腹腔鏡下手術 26) ドナー腎摘出術 17 ( 腹腔鏡下手術 17

平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

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5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

領域等タイトル日時単位 卒後 卒後 2 卒後 3 卒後 4 卒後 8 卒後 9 卒後 0 卒後 卒後 2 卒後 3 卒後 4 卒後 5 卒後 6 卒後 7 卒後 8 卒後 9 尿路感染症 性感染症ガイドライン 4 月 23 日 ( 土 )8:20-9:50.5 VUR の診断と治療 4 月 23 日

外科学

総合診療

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

腹腔鏡下前立腺全摘除術について

腹腔鏡補助下膀胱全摘除術の説明と同意 (2) 回腸導管小腸 ( 回腸 ) の一部を 導管として使う方法です 腸の蠕動運動を利用して尿を体外へ出します 尿はストーマから流れているため パウチという尿を溜める装具を皮膚に張りつけておく必要があります 手術手技が比較的簡単であることと合併症が少

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

小児外科学 (-Pediatric Surgery-) Ⅰ 教育の基本方針小児外科は 子供 (16 歳未満 ) の一般外科と消化器外科を扱う科です 消化器 一般外科学並びに小児外科学に対する基礎医学から臨床にわたる幅広い知識をあらゆる診断 治療技術を習得し 高い技術力と探究心及び倫理観を兼ね備えた小


1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

一般内科

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3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

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ふくじゅおもて面1

がん登録実務について

脂質異常症を診断できる 高尿酸血症を診断できる C. 症状 病態の経験 1. 頻度の高い症状 a 全身倦怠感 b 体重減少 体重増加 c 尿量異常 2. 緊急を要する病態 a 低血糖 b 糖尿性ケトアシドーシス 高浸透圧高血糖症候群 c 甲状腺クリーゼ d 副腎クリーゼ 副腎不全 e 粘液水腫性昏睡

京都大学および関連施設における泌尿器科専門医教育カリキュラム

京都大学および関連施設における泌尿器科専門医教育プログラム              

心臓血管外科カリキュラム Ⅰ. 目的と特徴心臓血管外科は心臓 大血管及び末梢血管など循環器系疾患の外科的治療を行う診療科です 循環器は全身の酸素 栄養供給に欠くべからざるシステムであり 生体の恒常性維持において 非常に重要な役割をはたしています その異常は生命にとって致命的な状態となり 様々な疾患

質問ページ 泌尿器領域の超音波検査について知りたいこと 疑問に思っていることがございましたら枠内 に記入し 当日の受付時にご提出ください 講義の後半で 回答させて頂きます

U 開腹手術 があります で行う腎部分切除術の際には 側腹部を約 腎部分切除術 でも切除する方法はほぼ同様ですが 腹部に があります これら 開腹手術 ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術を受けられる方へ 腎腫瘍の治療法 腎腫瘍に対する手術療法には 腎臓全体を摘出するU 腎摘除術 Uと腫瘍とその周囲の腎

 診療対象

7. 脊髄腫瘍 : 専門とするがん : グループ指定により対応しているがん : 診療を実施していないがん 別紙 に入力したが反映されています 治療の実施 ( : 実施可 / : 実施不可 ) / 昨年の ( / ) 集学的治療 標準的治療の提供体制 : : グループ指定により対応 ( 地域がん診療病

 診療対象

2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や


5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

前立腺の変化を知る

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平成18年度九州歯科大学附属病院 歯科医師臨床研修プログラム

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賀茂精神医療センターにおける精神科臨床研修プログラム 1. 研修の理念当院の理念である 共に生きる 社会の実現を目指す に則り 本来あるべき精神医療とは何かを 共に考えて実践していくことを最大の目標とする 将来いずれの診療科に進むことになっても リエゾン精神医学が普及した今日においては 精神疾患 症

1)表紙14年v0

8 整形外科 骨肉腫 9 脳神経外科 8 0 皮膚科 皮膚腫瘍 初発中枢神経系原発悪性リンパ腫 神経膠腫 脳腫瘍 膠芽腫 頭蓋内原発胚細胞腫 膠芽腫 小児神経膠腫 /4 別紙 5( 臨床試験 治験 )

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はじめに 前立腺癌に対する永久留置法による小線源療法は一口で言うと 弱い放射線を出す小さな線源を前立腺内に埋め込み 前立腺内部から癌の治療を行うものです ただし すべての前立腺癌に適応できるものではありません この説明書は小線源療法についての概説です よくお読みになった上で ご不明の点があれば担当医

杉 杉 杉 杉

前立腺癌

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採択演題一覧

限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する ( 手術と同

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TOHOKU UNIVERSITY HOSPITAL 今回はすこし長文です このミニコラムを読んでいただいているみなさんにとって 救命救急センターは 文字どおり 命 を救うところ という印象が強いことと思います もちろん われわれ救急医と看護師は 患者さんの救命を第一に考え どんな絶望の状況でも 他

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虎ノ門医学セミナー

診断群分類 医療資源を最も投入した傷病名 年齢 出生時体重 手術 手術 処置等 1 MDC コード 分類名 ICD 名称 ラ手術分岐ラ点数表名称ラコード時体重コー等コードグググト ト 処置等名称 その他の男性生殖器の良性新生物 D 外尿道腫瘍切除術 K816 男性生殖器の良性新生物,

福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

MDC 分類名 名称 x 尿道 性器の良性腫瘍 尿道腫瘍手術なし 手術なし 尿道の良性新生物 D304 手術あり 皮膚 皮下腫瘍摘出術 ( 露出部以外 ) K006$ 尿道粘膜脱 N 皮膚 皮下 粘膜下血管腫摘出術 ( 露出部以 K

3 上部尿路閉塞 腎後性腎不全景知識2. 上部尿路閉塞の原因上部尿路閉塞の原因としては結石, 悪性腫瘍, 放射線治療による炎症性狭窄などがあるが, 神経因性膀胱や前立腺肥大症などの下部尿路通過障害による尿閉状態か らでも腎後性腎不全は起こりうる 上部尿路の尿流を直接閉塞する可能性のある悪性腫瘍として

外来在宅化学療法の実際

原発不明がん はじめに がんが最初に発生した場所を 原発部位 その病巣を 原発巣 と呼びます また 原発巣のがん細胞が リンパの流れや血液の流れを介して別の場所に生着した結果つくられる病巣を 転移巣 と呼びます 通常は がんがどこから発生しているのかがはっきりしている場合が多いので その原発部位によ

乳がん術後連携パス

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内科学 ( 腎臓 リウマチ膠原病内科学 -Nephrology & Rheumatology-) Ⅰ 教育の基本方針腎臓は他臓器の影響を受けやすい臓器で 全身疾患においても症状を現すことが多いが 一方 リウマチ膠原病は全身疾患であり 腎を始め多彩な臓器病変を呈する その意味では腎臓病とリウマチ膠原病

はじめに 近年 がんに対する治療の進歩によって 多くの患者さんが がん を克服することができるようになっています しかし がん治療の内容によっては 造精機能 ( 精子をつくる機能のことです ) が低下し 妊娠しにくくなったり 妊娠できなくなることがあります また 手術の内容によっては術後に性交障害を

1. プログラムの概要と特徴責任基幹施設である神戸大学医学部附属病院は 基幹研修病院群 関連研修病院群と連携し 専攻医が整備指針に定められた麻酔科カリキュラムの到達目標を達成できる教育を提供し 十分な知識と技術を備えた麻酔科専攻医を育成する 2. プログラムの運営方針 研修の4 年間のうち最低 1

平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2

4 月 20 日 2 胃癌の内視鏡診断と治療 GIO: 胃癌の内視鏡診断と内視鏡治療について理解する SBO: 1. 胃癌の肉眼的分類を列記できる 2. 胃癌の内視鏡的診断を説明できる 3. 内視鏡治療の適応基準とその根拠を理解する 4. 内視鏡治療の方法 合併症を理解する 4 月 27 日 1 胃

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岸和田徳洲会病院 当院では以下の研究に協力し情報を提供しております この研究は 国が定めた指針に基づき 対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得るかわりに 研究の目的を含む研究の実施についての情報を公開しています 研究結果は学会等で発表されることがありますが その際も個人を特定する情報は公表し

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生活保護医療券 財務経理部医事室 受給者の確認 登録 1 住所 2 氏名 3 生年月日 4 公費番号 国立長寿医療研究センターで生活保護医療を受けた患者様 行政機関からの通知 ( 所在地 ) 愛知県大府市森岡町源吾 35 訂正及び利用停止について 他の法律又はこれに基づく命令の規定に

e 治癒困難な腸瘻 ( 注 3) があり かつ 腸瘻における腸内容の排泄処理が著しく困難な状 態 ( 注 4) 又は高度の排尿機能障害 ( 注 2) があるもの f 高度の排尿機能障害 ( 注 2) があり かつ 高度の排便機能障害 ( 注 5) があるもの 3 等級表 4 級に該当する障害は 次の

はじめに 連携パス とは 地域のと大阪市立総合医療センターの医師が あなたの治療経過を共有できる 治療計画表 のことです 連携パス を活用し と総合医療センターの医師が協力して あなたの治療を行います 病状が落ち着いているときの投薬や日常の診療はが行い 専門的な治療や定期的な検査は総合医療センターが

た 各コアコンピテンシーにおける一般目標 知識 診療技能 態度に関する到達 目標が設定されています ( 詳細は専攻医研修マニュアルの 個別目標 1~4 ( 15~19 頁 ) を参照 ) 3. 名古屋市立大学泌尿器科専門研修プログラムの特色 名古屋市立大学泌尿器科専門研修プログラムにおける専門研修施

販売名 : アドバンテージ ( 承認番号 : 22300BZX ) 別紙 改訂箇所を _ 下線で示しております < 新記載第 5 版 > 適切な項目へ記載した < 旧記載第 4 版 > 警告 1. 適応対象 ( 患者 ) 以下の患者には TVT 術を実施する際のリスクと利点を慎重に検討

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平成 29 年度九段坂病院病院指標 年齢階級別退院患者数 年代 10 代未満 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 80 代 90 代以上 総計 平成 29 年度 ,034 平成 28 年度 -

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Vol 夏号 最先端の腹腔鏡下手術を本格導入 東海中央病院では 平成25年1月から 胃癌 大腸癌に対する腹腔鏡下手術を本格導入しており 術後の合併症もなく 早期の退院が可能となっています 4月からは 内視鏡外科技術認定資格を有する 日比健志消化器外科部長が赴任し 通常の腹腔 鏡下手術に

2009年8月17日

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不妊治療は女性のもの 一昔前まで そう思われていましたが最近では男性に原因があることも多いという事が知られるようになってきました 不妊は 実に4-5 割の確率で男性にも原因があるという事が分かってきています 夫婦がお互いをいたわりながら よりよい不妊治療ができるように 男性も男性不妊症についての基礎

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訪問審査当日の進行表 審査体制区分 1: 主機能のみ < 訪問 2 日目 > 時間 内容 8:50~9:00 10 分程度休憩を入れる可能性があります 9:00~10:30 薬剤部門 臨床検査部門 画像診断部門 地域医療連携室 相談室 リハビリテーション部門 医療機器管理部門 中央滅菌材料部門 =

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泌尿器科専門医養成プログラム I. プログラムの名称 神戸大学泌尿器科専門医養成プログラム II. プログラムの目的と特徴泌尿器科学は主として男 女性尿路 後腹膜腔臓器 男性生殖器を対象とする外科学である 患者生命に直接関与する疾患はもとより, 尿排泄機能や生殖機能に関与する種々の疾患を対象としている これらの疾患に対して診療を行っていく際 個々の疾患に対する治療のみならず治療後の患者の QOL を考慮した全人的アプローチが不可欠である 近年 泌尿器科学は診断学, 治療学において著しい進歩, 変革をとげており, 常に最新かつ最善の方法が模索されねばならない したがって 泌尿器科医として求められるものは, 専門的な能力 ( 知識, 判断力, 技術 ), 科学者としての探究心, そしてすべての臨床医が共に有すべき基本的な知識, 技術, ならびに人間性を身につけることである 本プログラムは,2 年間の卒後臨床研修を終了した後に泌尿器科専門医をめざす医師のための4 年間の臨床研修プログラムである この間 大学病院および関係研修病院におけるローテーションによって泌尿器科学の全般にわたって知識と技術を修得する III. プログラム指導者と参加施設の概要 統括施設 神戸大学医学部附属病院泌尿器科 基幹施設 神戸市立医療センター西市民病院 神鋼病院 兵庫県立尼崎病院 兵庫県立加古川医療センター 兵庫県立がんセンター 姫路赤十字病院 労働福祉事業団関西労災病院 兵庫県立こども病院 上記以外でプログラムに参加する関係研修病院 あいち小児医療センター 明石市立市民病院 赤穂市民病院 市立加西病院 医療法人愛仁会高槻病院 加古川市民病院 神戸掖済会病院 神戸赤十字病院 神戸百年記念病院 神戸労災病院 公立宍粟総合病院 三田市民病院 社会保険神戸中央病院 新須磨病院 新日鐵広畑病院 高砂市民病院 独立行政法人神戸医療センター 西脇市立西脇病院 原泌尿器科病院 兵庫県立淡路病院 兵庫県立柏原病院 兵庫県立総合リハビリテーションセンターリハビリテーション中央病院 三木市民病院 淀川キリスト教病院 1

研修病院は すべて日本泌尿器科学学会認定泌尿器科専門医制度教育指定病院である これら 関係研修病院と神戸大学病院はリンクした形で研修の場を提供する 基幹施設は 一定の期間ご とに評価し見直す プログラム管理運営委員 委員長 : 神戸大学大学院腎泌尿器科学分野教授藤澤正人 委員 : 神戸大学大学院腎泌尿器科学分野准教授三宅秀明 兵庫県立尼崎病院部長関西労災病院部長兵庫県立がんセンター部長姫路赤十字病院部長神戸市立医療センター西市民病院部長兵庫県立加古川医療センター部長神鋼病院部長県立こども病院医長 濱見学川端岳井上隆朗小川隆義中村一郎田中宏和結縁敬治杉多良文 上記以外でも臨床研修医の受け入れのある場合はその施設の長にも適宜参加してもらう 管理運 営委員は 原則として基幹病院の長により構成されるが 臨床研修医の受け入れなど一定の評価 項目により委員長が最終的に選定する IV. プログラムの管理と運用プログラム管理運営委員により研修評価委員会が構成され, 各年度の終わりに定例委員会を開催して, その年度の研修医の評価を行なうとともに, 研修プログラムの再検討をする 評価は 自己ならびに複数の指導医による評価表に基づく また, 必要に応じて随時研修評価委員会を開催する V. 定員 大学を含めた研修病院の状況に応じて毎年定員を決定する 定員を越える希望者がある時 2

は, プログラム管理運営委員長が面接して最終的に採用者を決定する VI. 研修課程 研修 I: 神戸大学医学部附属病院での研修 (1-2 年間 ) 神戸大学医学部附属病院泌尿器科において, 泌尿器科診療一般における基本的な知識と技術 医師として必要な態度を修得する 腫瘍 生殖内分泌 尿路感染症 腎不全 排尿障害 勃起障害 (ED) など泌尿器科全般にわたって症例を経験することができる さらに 泌尿器科腹腔鏡手術 遺伝子治療など高度先進医療や腎移植における血管外科 精路再建における顕微鏡下のマイクロサージェリーなどさまざまな知識 技術を修得することができる また 大学は臨床研修をしながら研究的な思考を養う絶好の機会でもある この研修 I は 4 年間の研修のうちどこかの期間で受ける 研修 II: 関係病院での研修 (2-3 年間 ) 関係研修病院 ( 原則として基幹病院 ) において, 泌尿器科診療一般における知識や技術を習得する 最低 1 年間は同じ医療機関で診療に従事する この期間において希望により子供病院やリハビリテーションセンター等での専門的な研修を受けることができる 注 : 原則 4 年間で尐なくとも 3 つの施設で研修を受けるように異動を行う VII. 研修内容と到達目標 i) 研修内容 診療上の責任分担 指導システム 入院患者の診察に当たっては, 原則として各臨床研修医に1 人の指導医が付く したがって指導医との共同責任において患者の治療にあたり, 研修の初期には過大な責任が臨床研修医にかからないように配慮する 指導医は, 各臨床研修医ができるだけ多くの代表的泌尿器科疾患を体験できるように配慮しながら 診断 治療方針などにつき大局的な指導を行う 回診 カンファレンス 抄読会 臨床研修医は 回診の際の担当患者の病状説明を的確に行えるように準備する カンファレンスにおいては 主治医ごとにすべての入院患者の病状経過を報告する また 術前入院患者及び入院外来の問題症例についてのカンファレンスを行なう 週一回 全員参加の抄読会を行う 外来での業務 初診, 再診及び特殊外来の陪診, 尿検査, 膀胱鏡検査,X 線検査, 超音波検査, 膀胱機能検査などの業務を均等にローテーションする 3

病棟での業務 入院患者の検査, 治療は指導医とともに計画をたてて実行する カルテ記載, 検査指示, 薬剤処方を行う 内視鏡検査, 各種 X 線検査などの泌尿器科学的医療的技術については, 指導医のもとで技術を習得し, 指導医の責任下で実施する 学会発表 論文作成 指導医の助言を得ながら 学会発表 ( 症例報告を含む ) を行い 必要な知識や情報を収集す る また 学会発表した症例や研究は 論文として報告する ii) 外来診療における一般到達目標プライマリーケアーを含む外来患者診療を, 以下の点に留意して適切に実施する能力を養う (l) 適切な問診がとれる能力を有すると共に, 患者心理を理解して問診する態度を身につける (2) 外来で的確な検査を実施し得る能力を持つ (3) 問診, 症状, 所見による診断ならびに鑑別診断を行う能力を持つ (4) 基本的な疾患の内容, 程度を把握し, 適切な専門外来治療を行う能力を持つ (5) 他の医療従事者と協力して, 社会復帰のための問題を解決する能力の基礎を養う (6) 救急疾患, 外来診療に伴う偶発症に対する診断能力, 処理能力を身につける 具体的な行動目標 1. 外来の受入れ, 文書の作成など ( すでに修得していることが望ましい ) (1) 患者の病態から判断して外来診療, 入院診療および手術の適応を定めることができる (2) 他診療料, 他病院との対応ができる (3) 外来診療機器の取り扱いに精通する (4) 薬剤の適正な使用および取り扱い, 処方箋を書くことができる (5) 診断書を作成できる (6) 紹介医に対する返答ができる 2. 問診 (1) 主訴, 現病歴に応じて適切な問診ができる (2) それらに関連した家族歴, 既往症, 生活歴, 生活環境を系統的に聞き, 記録できる (3) 患者がわだかまりなく話せる雰囲気をつくることができる (4) 問診の結果から疾患群の想定ができる (5) 鑑別に要する検査法の体系化ができる 4

3. 泌尿器科的検査次の検査を指示し, 自ら実施したり, あるいはその所見を判定することができる A. 泌尿生殖器の理学的検査 ( 腎触診, 膀胱双手診. 前立腺触診, 陰嚢内容触診, 神経学的検査など ) B. 検尿 ( 生化学的, 顕微鏡的及び細菌学的 ) C. 血液一般, 血液生化学 ( 各種疾患に応じた ) D. 内分泌検査 ( 下垂体, 副腎, 精巣, 上皮小体 ( 副甲状腺 ) 検査 ) E. 尿道分泌物, 前立腺液, 精液の検査 F. 生検 ( 腎, 膀胱, 前立腺, 精巣 ) G. ウロダイナミックス ( シストメトリー, 外括約筋筋電図, 尿道内圧測定, ウロフロメトリー ) H. 内視鏡検査 ( 硬性尿道膀胱鏡, 軟性尿道膀胱鏡 尿管カテーテル尿採取 ) I. X 線検査 (KUB, IVP, DIP, RP, 各種膀胱造影, 尿道膀胱造影, 大動脈造影法, 選択的腎動脈造影法, 下大静脈造影法, リンパ管造影法,CT など ) J. 超音波検査 ( 腎, 膀胱, 前立腺, 精巣 ) K. 核医学画像診断法 ( 腎シンチグラフィー, レノグラム, Ga シンチ, 骨シンチ, 副腎シンチ, 上皮小体 ( 副甲状腺 ) シンチなど ) L. 腎機能検査 ( クレアチニン クリアランス, 分腎機能検査など ) M. MRI 診断 4. 泌尿器科における鑑別診断次の各症状に対して適切な鑑別診断ができる A. 排尿痛 B. 疝痛発作 C. 頻尿 D. 排尿困難 E. 尿閉 F. 尿失禁 G. 二段排尿 H. 尿線の異常 I. 遺尿 J. 膿尿 K. 混濁尿 L. 血尿 5

M. 多尿 N. 乏尿 O. 無尿 P. 尿道分泌物排出 Q. 腹部腫瘤 R. 陰嚢内腫瘤 S. 性器発育不全 T. 早発性器発育不全 U. 勃起および射精障害 5. 治療 (1) 以下にあげる 1 42 の各疾患について十分な知識を持ち, 適切な治療方針をたて, その病態に応じて外来治療可能な範囲であるならば外来にて適切な治療を行う (2) 患者に対し, 治療の目的, 方法, 結果, 予後, 合併症について説明し助言ができる (3) 患者の生活指導ができる (4) 患者, 家族に対し医療上の教育ができる I. 先天異常 1. 腎および腎盂 A. 先天性単腎症 B. 発育不全 C. 単純性腎嚢胞 D. 嚢胞腎 E. 海綿腎 F. 馬蹄鉄腎 G. 骨盤腎 H. 回転異常 I. 重複腎 J. 先天性水腎症 K. 腎杯憩室 2. 尿管 A. 重複尿管 B. 膀胱外開口 C. 尿管瘤 D. 大動脈後尿管 E. 巨大尿管 F. 尿管狭窄症 3. 膀胱および尿膜管 A. 膀胱外反症 B. 膀胱憩室 C. 尿膜管開存症 4. 尿道 A. 尿道憩室 B. 尿道上裂 C. 尿道下裂 D. 尿道直腸瘻 E. 尿道狭窄症 ( 弁形成 ) 6

5. 精巣 A. 停留精巣 B. 精巣転位 C. 単精巣症 6. 陰茎および陰嚢 A. 包茎 B. 埋没陰茎, 矮小陰茎 II. 外傷 損傷 1. 腎 A. 皮下損傷 B. 開放性損傷 2. 尿管 A. 尿管損傷 B. 尿管膣瘻 3. 下部尿路 A. 膀胱損傷 B. 膀胱膣瘻 C. 尿道損傷 4. 陰茎 A. 陰茎折症 5. 精巣 A. 精巣損傷 III. 腫瘍 1. 副腎 A. 原発性アルドステロン症 B.Cushing 症候群 C. 副腎性器症候群 D. 褐色細胞腫 E. 内分泌非活性腫瘍 2. 腎 A. 腎細胞癌 ( 腎癌 )B. 腎芽細胞腫 (Wilms 腫瘍 )C. 腺癌 3. 腎盂および尿管 A. 腎盂損傷 B. 尿管損傷 7

4. 膀胱 A. 膀胱移行上皮腫瘍 B. 扁平上皮癌 C. 肉腫 5. 尿道 A. 尿道良性腫瘍 B. 尿道悪性腫瘍 6. 前立腺 A. 前立腺肥大症 B. 前立腺癌 C. 前立腺肉腫 7. 精巣 A. 悪性腫瘍 B. 良性腫瘍 8. 陰茎 A. 陰茎癌 9. その他 A. 神経芽細胞腫 B. 後腹膜腫瘍 C. 尿膜管腫瘍 D. エンドメトリオーシス IV 結石 1. 上部尿路 A. 腎結石 B. 尿管結石 2. 下部尿路 A. 膀胱結石 B. 尿道結石 3. その他の結石関連疾患 A. 腎石灰症 B. 尿細管性アシドーシス C. 高カルシウム尿症 D. 高蓚酸尿症 E. 高尿酸尿 症 F. シスチン尿症 V. 内分泌 生殖 1. 上皮小体 ( 副甲状腺 ) 機能亢進症 A. 原発性上皮小体 ( 副甲状腺 ) 機能亢進症 B. 二次性上皮小体 ( 副甲状腺 ) 機能亢進症 8

2. 性分化異常 A. 真性半陰陽 B.Klinefelter 症候群 C. 精巣性女性化症候群 D. その他男性 ( 仮性 ) 半陰陽 E. 先天性副腎皮質過形成 F. 女性 ( 仮性 ) 半陰陽 3. 性成熟異常 A. 思春期早発症 B. 思春期遅延症 C. 低ゴナドトロピン性類宦官症 D. 高ゴナドトロピン性類 宦官症 4. 男性不妊症 A. 特発性男性不妊症 B. 続発性男性不妊症 VI 尿路感染症 1. 非特異性感染症 A. 急性腎盂腎炎 B. 慢性腎盂腎炎 C. 膿腎症 D. 腎周囲炎 E. 急性膀胱炎 F. 慢性膀胱炎 G. 間質性膀胱炎 H. 急性尿道炎 I. 慢性尿道炎 J. 急性前立腺炎 K. 慢性前立腺炎 L. 急性精巣上体炎 M. 慢性精巣上体炎 N. 精巣炎 Q. 亀頭包皮炎 P. 細菌性ショック 2. 尿路 性器結核 A. 尿路結核 B. 精巣上体結核 C. 前立腺結核 3. 性感染症 A. 淋菌感染症 B. クラミジア感染症 C. 性器ヘルペス感染症 D. 尖圭コンジローマ E.( 早期 ) 梅毒 4. 寄生虫疾患 A. フィラリア性乳縻尿症 B. トリコモナス感染症 C. カンジダ感染症 VII. 排尿障害 1. 尿路機能障害 A. 神経因性膀胱 B. 膀胱尿管逆流症 C. 夜尿症 ( 夜間遺尿症 ) D. 神経性頻尿 E. 腹圧性尿失禁 9

2. 尿路閉塞性疾患 A. 上部尿路閉塞性疾患 B. 下部尿路閉塞性疾患 VIII. 腎機能障害 1. 腎不全 A. 急性腎不全 B. 慢性腎不全 2. 腎性高血圧 A. 腎血管性高血圧 B. 腎実質性高血圧 3. 腎血管性高血圧 A. 腎梗塞 B. 腎動脈瘤 C. 腎動静脈瘻 D. 腎乳頭壊死 IX. その他 1. 腎 A. 腎下垂 B. 本態性腎出血 2. 尿管および後腹膜 A. 後腹膜線維症 3. 膀胱 A. 膀胱異物 B. 膀胱瘻 C. 膀胱憩室 D. 出血性膀胱炎 E. 膀胱脱 4. 尿道 A. 尿道狭窄症 B. 尿道異物 C. 尿道憩室 D. 尿道脱 5. 陰嚢 A. 精巣水瘤 B. 精索水瘤 C. 精液瘤 D. 精索静脈瘤 E. 精巣捻転症 6. 男性器 A. 勃起障害 B. 形成性陰茎軟化症 (Peyronie 病 )C. 持続性勃起症 D. 血精液症 [ リハビリテーション ] 尿路変更術後の患者, 神経因性膀胱の患者, 人工透折の患者に適切な助言ができる 10

[ 救急 偶発症 ] 外来で可能な救急処置ができ, 診療に伴う偶発症に対処できる ( 尿閉, 血尿タンポナーデ, ショックなど ) iii) 入院患者の管理における一般到達目標 主治医として泌尿器科領域の基本的知識および技術を持ち, 入院患者に対して, 全身, 局所 管理が適切に行える 具体的な行動目標 1. 入院主治医としての基本的能力 ( すでに修得していることが望ましい ) 入院患者について次のことが適切に行える (1) 正確かつ詳細な問診を行い, 記載する (2) 全身, 局所の診療を行い, その所見を記戴する (3) 必要な一般検査を選択し, また結果を判定できる (4) 患者の病態の考察と分析を行い, 適切な治療計画を立てる (5) 病因についての考察と分析が行なえる (6 ) 同科, あるいは他科の医師と立ち合いで診察 ( 対診 ) する必要性を判断し, 実行する (7) 必要な与薬, 処置などの治療を行ない, 経過を観察し記載する (8) 退院の時期の判定を適切に下し, 退院後の指導をする ( 9 ) 指導医への報告, 連絡, 当直医への申し送り, 退院時の外来あるいは関係医療機関への申し送りを確実に行なう (10) 正確な入院病歴を完成し, 問題点があれば考察を加える (11) 看護婦その他の医療従事者との円滑な連携を保つ (12) 患者, 家族に対し, 納得のできる説明を行なう (13) 医療関係法規にのっとった適切な対応をする ( 診断書, 死亡診断書, 各種説明書, 麻薬の取り扱い, 伝染病についての対処, 廃棄物の取り扱いなど ) (14) 院内感染の防止について配慮し, 具体的に対応できる (15) 必要に応じて症例の呈示, 報告をする 2. 全身管理個々の疾患に応じて入院患者に対する基本的な全身管理が適切に行える (1) 術前術後の全身管理と対応 (i) 術前 : 年齢, 性別に関連する特異的事項, 既往歴, 生活歴, 合併症, 疾患固有の特 11

殊な形態および術前検査の所見を総合して手術時期や術式などを判断し, またリスクおよび合併症を予測してそれらに適切に対応する (ii) 術後 : 術後の一般的対応ができる たとえば種々の病態に対応して, 輸血, 栄養補給, 補液, 薬剤 ( 抗生剤, ステロイドなど ) の投与を適切に行い, 安静度などを指示する (2) 非手術例の全身管理と対応 (i) 悪性腫瘍の放射線治療および化学療法による合併症の管理 (ii) その他の疾患 ( 重症感染症 ) の管理 (3) 偶発症 ( 発熱, 出血, 循環不全, 呼吸障害, 意識障害, ショックなど ) に対して迅速かつ的確な処置がとれる たとえば血管確保, 気道確保, 心電計によるモニタリングなど (4) 他科の疾患を併有する場合, その対応と関連科医師との適切な連携をとる たとえぱ糖尿病, 肝障害, 胃十二指腸潰瘍, 高血圧, アレルギー性疾患, 緑内障, 精神医学的疾患など (5) ターミナルケアの経験を持ち, 下記のような項目について適切な対応ができる (i) 患者の不安と疼痛への配慮 (ii) 患者の家族への配慮 (iii) 転帰の見通し, 予後の判断 (iv) 死亡の確認 (v) 病理解剖について (6) 入院中の全身的なリハビリテーションに対し理解を持ち, 関連各科との連係をとる (7) 臨床経過と剖検所見との関係を検討し考察できる 3. 専門領域の技術 (1) 入院患者の治療の項目に設定してある手術について, 指導医の監督のもとに手術が行なえ, 患者の術前 術後の管理が適切に行なえる (2) 非手術患者については, 例えば次のような専門的治療を指導医の監督のもとに施行しその効果につき正しく評価できる (i) 悪性腫瘍に対する放射線治療 化学療法および免疫療法 重症感染症に対する的確な抗生剤の使用 自己免疫疾患に対するステロイドなどの正しい使用など (ii) 入院症例その他の保存的治療 (iii) 疼痛に対する適切な処置 (3) 検査については必要に応じて適宜選択し 検査の項目に従って実施し 診断ならびに治療計画立案に役立てることができる 12

(4) 救急医療を要する疾患の初期診療が独立して あるいは必要な他科の医師と協力してできる 腎外傷 膀胱外傷 精索捻転症など (5) 次のような疾患あるいは障害について理解し 必要に応じてリハビリテーションの指導あるいは助言ができる 神経因性膀胱患者に対して自己導尿の指導人工透析患者に対する水分摂取制限 食事指導 CAPD など iv) 入院患者の治療における一般到達目標先に掲げた1.-42. の泌尿器科疾患のうち入院を要する疾患に対する基本的治療に関する意義, 原理を理解する また 個々の症例に応じた治療方針を決め, 的確な治療ができる 手術を要した場合は その手技を習得するとともに, 術後の全身管理および合併症に対する対処ができる 具体的な行動目標 1. 手術に関する一般的知識 技能を習得する (1) 疾患の種類と程度および患者の状態に応じて 手術の適応と術式を判断しうる (8) 手術後に起りうる合併症, 続発症, 機能障害について, あらかじめ説明しておく能力がある (6) 術中起りうる変化に対応できる ( 救急処置, 術式の変更など ) (2) 麻酔 ( 局所, 硬膜外, 脊髄, 気管内挿管のうちのいくつか ) ができる (5) 手術器械や材料を正しく使用できる (3) 手術に必要な準備を指示できる ( 術前 術後処置を含む ) (7) 術後の局所および全身の管理ができ, 変化に対応しうる (4) 消毒, 術中感染とその予防についての知識がある (9) 手術に関連した事項について, 他科あるいは他医と協調して作業ができる 2. 泌尿器科領域の基本的な手技および手術の原理と術式を理解し, 指導医の下で簡単な手術を 自ら実施できる 4 年間で修得すべき代表的な手技を列挙しておく 手技 : 13

膀胱鏡膀胱粘膜生検膀胱瘻造設膀胱異物除去術逆行性腎盂造影 DJカテーテル留置尿管鏡尿管鏡下生検直接腎盂造影腎瘻造設経皮的腎生検前立腺生検精管精嚢造影尿道ブジー 手術 : 高位精巣摘除術低位精巣摘除術精巣固定術停留精巣根治術精巣生検精巣内精子採取術精管結紮術精巣上体摘除術陰嚢水腫根治術内精静脈結紮術包皮環状切除術陰茎全摘除術陰茎部分切除術内視鏡下尿道切開術膀胱部分切除術根治的膀胱全摘除術経尿道的膀胱腫瘍切除術 14

膀胱砕石術尿管皮膚瘻造設術回腸導管造設術骨盤リンパ節郭清術根治的前立腺全摘除術経尿道的前立腺切除術根治的腎摘除術単純腎摘除術根治的腎尿管全摘除術経皮的腎結石砕石術経尿道的尿管結石砕石術体外衝撃波尿路結石破砕術腹腔鏡手術 : 経腹膜的腎摘除術後腹膜的腎摘除術後腹膜的腎尿管全摘除術 3. 泌尿器科領域の基本的 非観血的治療ができる 以下の治療法の原理と方法を理解し 指導医の監督のもとで実施できる 体外衝撃波結石破砕術 (ESWL) 悪性腫瘍に対する全身的化学療法血液浄化法 ( 血液透析 腹膜透析を含む ) 全身的感染症の薬物治療 VI. 評価方法研修開始に当たり, 臨床研修到達目標と自己評価表を配付し, これを記載させることにより, 自己評価を行わせる 指導医は自己評価表を随時点検し, 研修医の到達目標達成を援助するとともに評価を行う 毎年度末とプログラム終了時には研修評価委員会により到達目標達成度を確認するとともに 各個人の研修評価を行う なお 研修終了時 臨床研修医によるプログラムの評価も行ってもらう 15

VII. プログラム 終了後の研修について本プログラム終了時 日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医制度の専門医試験の受験資格を取得することができる また この4 年間の研修後は 1) 神戸大学医学部附属病院あるいは神戸大学泌尿器科関係病院においてさらに専門的臨床研修を積む 2) 大学院に進学する 3) 日中は大学あるいは研修病院で臨床研修を行いながら 社会人大学院に入学し研究を行うのいずれかを選択することができる IX. 資料請求先 650-0017 神戸市中央区楠町 7-5-1 神戸大学大学院医学研究科腎泌尿器科診療科長補佐宛に請求すること 16