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第4章 日系家電メーカーにおけるグローバル化の進展と分業再編成

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2007年度中間期 連結決算補足資料

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2014 中期経営計画総括 (2012 年度 ~2014 年度 )

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キヤノン株式会社 2015 年 12 月期決算説明会 2016 年 1 月 27 日 代表取締役副社長 CFO 田中稔三 本資料で記述されている業績見通し並びに将来予測は 現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断した見通しで あり 潜在的なリスクや不確実性が含まれています そのため 様々な要因の変化

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

FY00 ソニー連結業績概要

中期経営計画の前提となる環境認識 1 日本経済の予測 年初からの円高や株安の進行により 消費マインドは伸び悩み 景気動向は停滞している 今後は 消費税増税による駆け込み需要の発生とその反動減による景気縮小が予想される 中長期的には成熟社会として 多様な価値観とともに これまでとは異なる市場が生まれる

2018年3月期 決算説明会

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

本日の説明内容 総括 2019 年 3 月期第 1 四半期実績 2019 年 3 月期通期見通し 主要施策の進捗 1

おカネはどこから来てどこに行くのか―資金循環統計の読み方― 第4回 表情が変わる保険会社のお金

目次 212 年の実績 P3~5 213 年の見通し P6~9 事業別詳細 (212 年 4Q 年間実績 /213 年最新見通し ) 財務状況参考資料 P1~15 P16~18 P19~24 2

2018年3月期 第1四半期決算概要

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第2章 食品卸売業の経営指標

キヤノン株式会社 2017 年第 3 四半期決算説明会 2017 年 10 月 24 日 代表取締役副社長 CFO 田中稔三 本資料で記述されている業績見通し並びに将来予測は 現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断した見通しで あり 潜在的なリスクや不確実性が含まれています そのため 様々な要因の

Sony IR Day 2014-モバイル・コミュニケーション分野

順調な拡大続くミャンマー携帯電話市場

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生産性 イノベーション関係指標の国際比較 平成 29 年 11 月 9 日 財務総合政策研究所酒巻哲朗 1

目次 2011 年度業界需要動向 1 日経代販価格推移 2 主要原燃料価格の推移 年度連結業績概要 4 主要製品品種別売上実績 5 連結営業利益増減益内訳 (2010 年度対 2011 年度 ) 年度連結業績予想 7 連結営業利益増減益内訳 (2011 年度対 2012

2017年度 決算説明会資料

EARTH CSR JX Report

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トピックス

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どのような生活を送る人が インターネット通販を高頻度で利用しているか? 2013 年 7 月 公益財団法人流通経済研究所主任研究員鈴木雄高 はじめにもはやそれなしでの生活は考えられない このように インターネット通販を生活に不可欠な存在と位置付ける人も多いであろう 実際 リアル店舗で買えて ネットで

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2017 年度決算概要 Ⅰ 年度連結業績概要 Ⅱ 年度連結業績予想 Ⅲ. 補足資料 シャープ株式会社 2018 年 4 月 26 日 見通しに関する注意事項 本資料に記載されている内容には シャープ株式会社及び連結子会社 ( 以下 総称して シャープ という ) の計画 戦略

IR 活動の実施状況 IR 活動を実施している企業は 96.6% 全回答企業 1,029 社のうち IR 活動を 実施している と回答した企業は 994 社 ( 全体の 96.6%) であり 4 年連続で実施比率は 95% を超えた IR 活動の体制 IR 専任者がいる企業は約 76% 専任者数は平

【ロシア最新経済金融週報】

1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

目次 要旨 1 Ⅰ. 通信 放送業界 3 1. 放送業界の歩み (1) 年表 3 (2) これまでの主なケーブルテレビの制度に関する改正状況 4 2. 通信 放送業界における環境変化とケーブルテレビの位置づけ (1) コンテンツ視聴環境の多様化 5 (2) 通信 放送業界の業績動向 6 (3) 国民

第 1 四半期の売上収益は 1,677 億円となり 前年からプラス 6.5% 102 億円の増収となりました 売上収益における為替の影響は 前年 で約マイナス 9 億円でしたので ほぼ影響はありませんでした 事業セグメント利益は 175 億円となり 前年から 26 億円の減益となりました 在庫未実現

【16】ゼロからわかる「世界経済の動き」_1704.indd

( 本資料は ロンドンにて 2017 年 2 月 24 日付で発表された資料の日本語参考訳 ( 抜粋 ) で すべてにおいて英語版が優先します ) 2017 年 2 月 24 日 スタンダードチャータード PLC 2016 年度業績ハイライト ハイライトスタンダードチャータード PLC ( 以下 当

2018 年度第 3 四半期運用状況 ( 速報 ) 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に判断することが必要ですが 国民の皆様に対して適時適切な情報提供を行う観点から 作成 公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか 四半期ごとに運用状況の速報として公表を行うも

日本におけるモバイルコマースの現状第 3 四半期のハイライト 2015 年第 3 四半期の購買データの当社分析によると マルチデバイス時代の購入手段として スマートフォンの利用がますます高まっています : クロスデバイス ショッピングでの購入はモバイル端末で : 今やオンライン購入の半数以上で 複数

2018 年 10 月号 中国の金融経済動向について 中国の AI 動向について 千葉銀行上海駐在員事務所

2011年12月期 第3四半期決算説明会

拡大する企業の「投資」

2018年度 第3四半期累計 1-9月 実績 2017年 19月期 2018年 19月期 増減 () 9,302 9, % +4.1% 営業利益 % 0.0% % +9.7% 親会社の所有者に 帰属する四半期利

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INDEX Corporate Data page Financial Data

決算概要

2018 年度第 3 四半期業績の概要 年 2 月 1 4 日 日本生命保険相互会社 Nippon Life Insurance Company

目次 レポート 3. 概要 4. 主要なインサイト 5. 地域ごとの SEM 業界の支出増加率 6. 検索エンジンごとの SEM 業界の支出増加率 7. SEM 支出のシェア 8. Google の検索ビジネス売上予測 9. 世界全体での業界セクターごと SEM 支出増加 10. 世界全体でのディス

連結財政状態計算書分析 資産 3,832 億円増 6 兆 2,638 億円 その他 +23 6,264 有形固定資産が減少したものの ビッグローブな どの連結子会社化に伴う資産の増加 au WALLET クレジットカード事業の拡大やau 携帯電話端末の 営業債権及びその他の債権 +16 割賦販売によ

我が国中小企業の課題と対応策

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 金 25, 2, 15, 12, 営業利益率 経常利益率 額 15, 9, 当期純利益率 6. 1, 6, 4. 5, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 8 社 214 年度 215 年度前年度差 ( 単位 : 億円 ) 前年

2017年第3四半期 スマートフォンのグローバル販売動向 - GfK Japan

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Disclaimer 本資料には 当行および当行の子会社に関連する見通し 将来に関する計画 経営目標などが記載されています これらの将来の見通しに関する記述は 将来の事象や動向に関する現時点での仮定に基づくものであり 当該仮定は不正確であることがあり得ます 様々な要因により 実際の業績が本書の記載と

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1990 年度 1991 年度 平成 2 年度 平成 3 年度 March 31, 1991 March 31, 1992 米国会計基準 (U.S.GAAP)excludesrestatements 1992 年度 1993 年度 1994 年度 1995 年度 1996 年度 1997 年度 19

平成16年度 事業報告書

第 1 四半期は好調なスタートとなり 通年でも好調を維持する見通しです 主要製品の販売量を高水準で維持しながら 他の主な指標すべてにおいても 非常に好調であった前年同期からさらに大幅に向上しました と コベストロのチーフ コマーシャル オフィサー (CCO) であり 次期最高経営責任者 (CEO)

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,112 1,630 1,992 1,879 2,674 3,912 はじめに ア

1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

目 次 目次 1 調査の目的 2 携帯電話の 学割 サービス利用動向調査 の概要 3 ユーザーアンケート調査結果 8 アンケート概要 9 家族の携帯電話 スマートフォン平均利用台数 19 家族の従来型携帯電話利用台数 11 家族のスマートフォン利用台数 12 家族が何社の携帯電話 スマートフォンを利

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目次 1. 経営成績営業利益分析 / 海外売上高 / 貸借対照表 2. 業績予想 ( 修正 : 有 ) 3. 研究開発費 / 減価償却費 / 設備投資 4. 株価の状況 5. トピックス P.2 P.10 P.14 P.16 P

2017年度第1四半期決算説明会

連結財政状態計算書分析 資産 1,85 億円増 5 兆 8,72 億円 ジュピターショップチャンネルの新規連結化な 営業債権及び現金及びその他の債権現金同等物 その他の流動資産 +22 5,87 どに伴う資産の増加に加え au WALLET クレジッ トカード事業の拡大 au 携帯電

2017 年 12 月期第 2 四半期決算 ( 平成 29 年 12 月期第 2 四半期決算 ) 補足説明資料 FACT SHEETS 2017 年 8 月 7 日 目次 2017 年 12 月期 ( 平成 29 年 12 月期 ) 第 2 四半期決算

モバイル端末市場動向調査レポート

10年分の主要財務データ

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インベスコ オフィス ジェイリート投資法人 (3298) 平成 30 年 1 月 29 日付 投資口分割 規約の一部変更及び平成 30 年 4 月期 ( 第 8 期 ) の 1 口当たり分配金の予想の修正に関するお知らせ 補足資料 インベスコ グローバル リアルエステート アジアパシフィック インク

3.HWIS におけるサービスの拡充 HWISにおいては 平成 15 年度のサービス開始以降 主にハローワーク求人情報の提供を行っている 全国のハローワークで受理した求人情報のうち 求人者からインターネット公開希望があったものを HWIS に公開しているが 公開求人割合は年々増加しており 平成 27

PowerPoint プレゼンテーション

2019年度第1四半期決算説明資料

プレゼン

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調査結果の概要 1. 自社チャンネルの加入者動向については消極的な見通しが大勢を占めた自社チャンネルの全体的な加入者動向としては 現状 では 減少 (50.6%) が最も多く 続いて 横ばい (33.7%) 増加 (13.5%) の順となっている 1 年後 についても 減少 (53.9%) 横ばい

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中国:対応が必要とされる所得格差問題

目 次 Ⅰ. 総括編 1. 世界各地域の人口, 面積, 人口密度の推移と予測およびGDP( 名目 ) の状況 ( 1) 2. 世界の自動車保有状況と予測 ( 5) 3. 世界の自動車販売状況と予測 ( 9) 4. 世界の自動車生産状況と予測 ( 12) 5. 自動車産業にとって将来魅力のある国々 (

経営ビジョン 私たちが目指すヤーマン 1 業績ハイライト 5 セグメント別売上 6 セグメント別営業利益 7 売上構成 8 財務ハイライト 9 第 3 四半期以降の取り組み 10 業績予想について 11 配当について 12

様式第十二 ( 第 10 条関係 ) 認定経営資源再活用計画の内容の公表 1. 認定した年月日平成 24 年 1 月 31 日 2. 認定事業者名富士フイルムイメージテック株式会社 3. 認定経営資源再活用計画の目標 (1) 経営資源再活用に係る事業の目標認定事業者は 富士フイルム株式会社コンシュー

2009年3月期 第2四半期決算説明会

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平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

フ ァ ン ド の 特 色 ハイグレード ハイグレード オセアニア オセアニ ニア ボンド マザーファンド マザーファンド を通じて オーストラリア ドル建ておよびニュージーラ ドル建ておよびニュージーランド ドル 建ての 債券等 に投資します 債券等 には コマーシャル ペーパー等の短期金融商品を

ソフォス ケイマン トラスト Ⅱ 米ドル建モルガン スタンレーグローバル プレミアム株式オープンケイマン諸島籍契約型外国投資信託 / 追加型 米ドル建米ドルヘッジクラス受益証券 / 米ドル建為替ヘッジなしクラス受益証券 販売用資料 お申込みの際には 必ず契約締結前交付書面 ( 投資信託

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SPARX OneAsia 通信第 7 号 中国の家電業界 216/4/2 スパークスはアジアを 1 つの経済圏 OneAsia ( ワンアジア ) として考えています OneAsia のコンセプトは まさに現在アジアで起こっていること そのものです 国を越えた経済活動が 多くのアジア諸国の成長にとって重要なドライバーになっています アジアは巨大で活力に満ち溢れています 急激な成長の転換過程にいるアジアの魅力を SPARX OneAsia 通信 を通じてお届け致します 要旨 中国は エアコン 冷蔵庫 洗濯機などの白物家電 炊飯器 電子レンジといった小型家電 テレビなどの黒物家電を含む家電産業において 新興成長市場の一つです 過去 1 年において 中国の家電卸売販売総額は 19% の平均成長率でした 市場規模は 28 年に日本を上回り 現在では日本の約 4 倍となっています 市場規模が大きいにもかかわらず 主要家電製品の世帯あたりの保有は日本よりも低く 特に農村部ではそれがより顕著です Qingdao Haier ( 青島ハイアール 669 CH) Midea ( 美的集団 333 CH) Gree ( 格力電器 651 CH) が中国家電市場での 3 大プレーヤーです エアコン部門は普及率が最も低いのですが 最も企業が集約され競争が激しくなっており Gree ( 格力電器 ) がこの部門で最大の市場シェアを持っています Qingdao Haier ( 青島ハイアール ) は冷蔵庫と洗濯機部門で首位ですが エアコン市場においては 3 番手で上位とかなり差が開いており Midea( 美的集団 ) はそれぞれの部門で 2 番手となっています 我々は 中国における家電業界における最新動向を以下のように 3 つに捉えています 1) 販売チャネルのオンラインへの移行中国におけるショッピングの傾向と同様に インターネットなどによりオンラインを通して家電を購入する消費者が増えています 215 年には約 16% の家電売上 ( 除く携帯電話 タブレット ) がオンライン経由のものでした 中国第 2 位の e コマース企業 ( 電子商取引企業 ) の JD.com は オンライン家電販売の約 6 を占めました 2) 海外での買収中国の家電メーカーは既に世界的に大きなシェアを獲得していますが その売上のほとんどは中国国内からのものです 中国のブランドは現在 世界的な有力ブランドや販売網を買収しています このような拡大により 今後 中国家電メーカーによるこれまで以上の世界市場シェア獲得が見られるかもしれません 1

3) 製品イノベーション中国家電メーカーにとって スマートホーム ( 家電製品をつなぎ 自動的に制御することでエネルギーを最適化し 快適な生活を実現する住まい ) などの製品イノベーション戦略が最優先事項です 出荷成長が徐々に減速し より洗練された需要が増加する中で 革新的な製品を提供し続けることは 将来の収益を牽引する最も重要な要素となると思われます 2

1. 中国の家電市場概要 中国 インド ブラジルといった新興市場は 低成長で買い替え需要に牽引される先進国に比べて 消費者の生活水準の急上昇による需要 普及拡大による大きな成長余地があります 中華人民共和国国家統計局 (National Bureau of Statistics, NBS) によると 214 年の中国メーカーの家電卸売販売額は 214 年に 9,85 億中国元 ( 約 1,6 億米ドル ) に達しました ( 図 1 参照 ) 中国の家電市場は過去 1 年 特に 28 年から 211 年の間 農村部への家電普及 家電下取り払い戻し 省エネ払い戻し を含む幾つかの政府資金による刺激策プロジェクトが実行されたために著しい成長を記録しました 中国の家電卸売販売額は 28 年に日本の総額を追い越し 214 年には日本の約 4 倍となりました 現地通貨ベースでは 日本の家電卸売市場は 24 年 ~214 年の間で年平均 2% 下落し 成熟した市場成長パターンでした 一方で同時期 中国では年平均 19% の成長をしました 家電普及率の上昇 市場規模の拡大 不動産市場の変動などの状況から 近年は成長率が低下傾向にありますが 農村部における家電保有率はまだ低いため 中国の家電販売成長率は成長余地があると見ています 1 億米ドル 図 1. 中国と日本の家電卸売販売総額の推移 18 6 16 161 16 5 1 4 129 12 3 12 1 95 2 1 8 68 64 68 58 6 44 45 48 49 53 43 1 38 38 29 23 2 2 3 4 25 26 27 28 29 21 211 212 213 214 日本 ( 左軸 ) 中国 ( 左軸 ) 日本成長率 ( 右軸 ) 中国成長率 ( 右軸 ) 注意 : 成長率 ( 前年比 ) は現地通貨ベース出所 : 中華人民共和国国家統計局 (NBS of China) 経済産業省 スパークス アジア 普及率に関して日本の歴史を見てみますと 年前から洗濯機や冷蔵庫の所有率が 1 世帯 (2 人以上 ) あたり 1 台を軽く超え エアコンについては 198 年代の急激な成長の後 29 年には 1 世帯あたり 25 台を超える状況となっています 3

図 2. 日本の主要家電製品保有状況推移 1 世帯 (2 人以上 ) あたりの所有台数 3 25 2 15 1 5 234.7 247.8 25.6 166.3 113.1 6.43 8.2 1959 1969 1979 1989 1999 29 洗濯機 冷蔵庫 ルームエアコン 出所 : 総務省統計局 スパークス アジア 中国では都市部と農村部で状況が大きく異なります 都市部世帯における洗濯機と冷蔵庫の所有は 1 世帯あたり ほぼ 1 に近づいており 市場としては成熟しています エアコンの保有については 日本と比較するとさらに浸透する大きな余地があるとみられますが 1 世帯あたり 1 台を超える状況となっています 一方で 農村部を見てみますと 1 世帯あたり 冷蔵庫と洗濯機で 8 台未満 エアコンでは 台未満と主要家電の保有は未だ低い状態です 214 年末の公式数字によると 中国の農村部人口は総人口の約半分にあたる 6 億 19 百万人とされ 家電産業にとっては更なる成長が期待できる大きな市場があると言えるでしょう 図 3. 中国都市部世帯での主要家電製品保有台数推移 図 4. 中国農村部世帯での主要家電製品保有台数推移 1 世帯 (2 人以上 ) あたりの所有台数 1 12 1 8 6 2 198 199 2 21 214 洗濯機冷蔵庫エアコン 1 世帯 (2 人以上 ) あたりの所有台数 1 12 1 8 6 2 198 199 2 21 214 洗濯機冷蔵庫エアコン 注 ) 上記数値について 中華人民共和国国家統計局が 213 年より調査方法を変更 出所 : 中華人民共和国国家統計局 (NBS of China) スパークス アジア 4

2. 競合状況 前述の家電保有状況で見ていただいた通り 中国ではエアコンの普及は主要家電の中で最も遅れています その結果 家電メーカーはエアコン市場が市場シェア獲得の主戦場と考えているようです 急速に成長している分野にも関らず エアコン市場は最も集約され 競争が激しくなっています 最大のブランドは Gree ( 格力電器 ) であり 215 年には出荷ベースで 34% の市場シェアを占めています Midea ( 美的集団 ) が 25% のシェアで第 2 位 Qingdao Haier ( 青島ハイアール ) が 7% のシェアで 3 位となっています ごく最近のエアコン業界は需要減退と供給過剰により 在庫循環はあまり芳しくなく 出荷台数は 215 年には 8% 減少し 1 億 7 百万台となりました ( 同年 日本は 9 百万台 ) 図 5. 中国と日本の年間エアコン出荷台数推移 図 6. 中国のエアコン市場のメーカー別シェア推移 百万台 1 5 12 117 19 111 14 17 4 1 95 3 8 2 6 1 2 8.9 9.1 9.3 9.8 9.3 8.9 1 2 21 211 212 213 214 215 中国 ( 左軸 ) 日本 ( 左軸 ) 中国前年比 ( 右軸 ) 日本前年比 ( 右軸 ) 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 7% 8% 8% 7% 23% 24% 25% 25% 36% 35% 34% 34% 212 213 214 215 Others Changhong Hisense TCL Kelon Chigo Haier Midea Gree 出所 : 中華人民共和国国家統計局 (NBS of China) 経済産業省 China IOL スパークス アジア 中国の冷蔵庫 洗濯機市場の出荷台数の推移はエアコンに比べて落ち着いていますが 成長は鈍化しています 冷蔵庫と洗濯機の出荷台数は 215 年でそれぞれ 7 千 3 百万台と 5 千 6 百万台 ( 日本はどちらとも 4 百万台前後 ) となっています 市場シェアについては Qingdao Haier ( 青島ハイアール ) が両市場で最大でそれぞれ 22% と 26% のシェアを持っています Midea ( 美的集団 ) が同じく両市場で 2 位となり それぞれ 1 と 22% のシェアとなっています 図 7. 中国と日本の年間冷蔵庫出荷台数推移 図 8. 中国の冷蔵庫市場のメーカー別シェア推移 9 25% 8 78 76 77 76 69 7 73 2 6 15% 5 1 5% 3 2 1 4. 3.8 3.9 4. 3.8 5% 1 21 211 212 213 214 215 中国 ( 左軸 ) 日本 ( 左軸 ) 中国前年比 ( 右軸 ) 日本前年比 ( 右軸 ) 百万台 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 11% 11% 12% 13% 7% 9% 9% 1 22% 22% 22% 22% 212 213 214 215 Others Omar TCL Konka Meiling Hisense Kelon Midea Haier 5

図 9. 中国と日本の年間洗濯機出荷台数推移 図 1. 中国洗濯機市場のメーカー別シェア推移 6 56 56 56 56 56 35% 51 3 5 25% 2 15% 3 1 5% 2 1 4.7 4.9 4.3 4.5 4.4 5% 1 15% 21 211 212 213 214 215 中国 ( 左軸 ) 日本 ( 右軸 ) 中国前年比 ( 右軸 ) 日本前年比 ( 右軸 ) 百万台 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 3% 2% 2% 3% 14% 16% 18% 22% 24% 25% 25% 26% 212 213 214 215 Others Meiling TCL Midea Haier 出所 : 中華人民共和国国家統計局 (NBS of China) 経済産業省 China IOL スパークス アジア 出所 : 各社情報 スパークス アジア 図 11. 中国の主要家電メーカーの財務状況表 215 年 12 月末現在 Midea Gree Qingdao Haier 会社名 美的集団 格力電器 青島ハイアール 時価総額 ( 百万米ドル ) 2,55 17,671 8,34 収入 ( 百万ドル ) 22,33 18,121 12,898 純利益 ( 百万ドル ) 2,22 2,149 661 粗利益率 (%) 25.4 33.2 27.7 営業利益率 (%) 9.3 13.3 7. 売上純利益率 (%) 9.2 11.9 5.1 営業キャッシュフロー ( 百万ドル ) 4,566 3,55 1,137 フリーキャッシュフロー ( 百万ドル ) 4,68 2,766 881 有利子負債比率 (%) 16-157 -35 ROA: 総資産利益率 (%) 1.2 9.1 6.4 ROE: 株主資本利益率 (%) 28.7 29. 17.5 PER: 株価収益率 ( 来期予想 ) 9.1 倍 7.6 倍 1.1 倍 6

SPARX OneAsia 通信第 7 号 中国の家電電業界 3. 市場勢力図図と主要なプレーヤー 1) オンライン販売売チャネルへの移行家電製品 ( 携帯帯電話 タブレット類を除く ) のオンラインでの販売による売上は 急成長を見せています 215 年には前年比 47% で伸び 1,33 億中国国元 ( 約 2.2 兆円 ) となりました 家電製製品売上の約 16% がオンラインによるもので 中国国の全商品品オンライン売売上が総売上上高の 12.8% と比較しても 家電のオンライン販売が普及していることがわかります 図 12. 中国の家電 * 製品のオンライン売上上推移 図 13. オンライン売上の普及及率 ( 家電 * 全全製品 ) 1 億中国元 1 12 1 8 6 2 132.7 8 7 7 6 9.4 5 52. 3 2 23.3 123% 1 2.91 74% 47% 211 212 213 214 215 B2Cオンライン売上 ( 左軸 ) 前年比 ( 右軸 ) 18. 16. 14. 12. 1. 8. 6. 4. 2.. 家電製品オンライン売上高 / 家電総売上高 オンライン売上 / 総売上高 11.9% 8.1% 1.6% 5.7% 7.5% 4.2% 3.9%.5% 211 212 213 214 16. 12.8% 215 注 )* 家電製製品は除く携帯電電話 タブレットト 出所 : 中華人民共和和国国家統計局 (NBS of China) iresearchh スパークス アジア 大手販売網のの中で 中国第 2 位の e コマース企企業である JD.com (JD US) が家電オンライン販売売では最大です Alibaba( アリババ BABA US) の B2C プラットフォーム ( 個人向けの販販売チャネル ) である Tmall.com がそれに続き 近年年では昔ながらの家電小小売販売会社社である Gome ( 国美电器 493.HK) と Suning ( 蘇寧電器 224 CH) の 2 社もオンラインでの販売を積極的的に成長させています 図 14. 215 年オンライン家電電売上市場シェア 出所 :215 年中国国家電オンライン売上レポート スパークス アジア 当資料料は スパークス アセット マネジメント株式会社がアジアの経済等の情報を提供するために SPARX Asia Investment Advisors Limited の協力により作成したものであり 金融商品品取引法に基づく開示資料ではありません この資資料は特定のファンドもしくは個別銘銘柄への投資勧誘誘を目的としたものではありません 当社および SPARX Asia Investment Advisors Limited とその関連会社は 本本資料に含まれた数数値 情報 意見見 その他の記述述の正確性 完全性 妥当性等を保保証するものでなく 当該数値値 情報 意見 その他の記述を使使用した またはこれら依拠したことに基づく損害 損損失または結果についてもなんら補償するものではありません ここに記載された内容は 資料作作成時点のものであり 今後予告することなしに変更更されることもあります また 過去去の実績に関する数値等は 将来の結果をお約約束するものではありません この資資料の著作権は SPARX Asia Investment Advisors Limited に属し その目的を問わず書面による承承諾を得ることなく引引用または複複製することを禁じます 7

2) 海外企業の買収中国国外での買収と世界的な統合は 新たな動向です 図 15 は世界の家電市場シェアを示しています 中国の家電メーカーである Qingdao Haier ( 青島ハイアール ) Midea ( 美的集団 ) Gree ( 格力電器 ) がトップ 1 企業に入っています しかしながら 中国メーカーの市場シェアのほとんどは国内市場の寄与によるものです Qingdao Haier ( 青島ハイアール ) によると 中国の家電輸出は中国国外の市場規模のたったの 2.5% しかなく その 89% は Qingdao Haier ( 青島ハイアール ) が占めています 図 15. 215 年オンライン家電売上市場シェア Gree, 8% Whirlpool, 7% Other, 35% Bosch, 7% シャープ, 1% Hisense, 2% GE, 2% Arcelik, 2% 出所 : クレディスイスリサーチ スパークス アジア パナソニック, 3% Electrolux, 6% Samsung, 7% Midea, 7% LG, 7% QD Haier, 6% 8

最近 中国メーカーは世界市場への早期参入のために幾つかの大型の買収を行っています 2 つの注目を浴びた案件がありましたが 一つは Qingdao Haier ( 青島ハイアール ) による 54 億ドル ( 当時 6,37 億円 ) での米国 GE の家電部門の買収で もう一つは Midea ( 美的集団 ) による 473 百万ドル ( 当時 537 億円 ) での東芝ライフスタイルの株式の 8.1% の取得でした それらの買収により Qingdao Haier ( 青島ハイアール ) と Midea ( 美的集団 ) は買収先の既存ブランドと販売チャネルを利用して すばやく巨大市場へ参入することができます もし 中国メーカーがこのような拡張による相乗効果をうまく活用できれば 彼らの市場シェアの拡大が見られることになるかもしれません 図 16. QD Haier と GE の地域別収入比率 図 17. Midea と東芝ライフスタイルの地域別収入比率 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 12% 1 88% 9 QD Haier GE Appliance 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 38% 62% Midea 3 7 東芝ライフ 中国米国その他 中国日本その他 出所 : 各社情報 スパークス アジア 3) 収益を牽引する製品イノベーション中国では 消費の質や水準 もまた上昇傾向にあり 家電産業も例外ではありません Qingdao Haier ( 青島ハイアール ) や Midea ( 美的集団 ) などの中国主要家電メーカーは スマートホーム ( 家電製品をつなぎ 自動的に制御することでエネルギーを最適化し 快適な生活を実現する住まい ) などといった製品イノベーション戦略を最重要課題としています 革新的な製品を提供し続けることは 将来の収益を牽引する最も重要な要素となるでしょう 9