ROAD TEST No 5160 VOLKSWAGEN GOLF R フォルクスワーゲン ゴルフR 最上級ホットハッチである割に いささか型にはまった印象の強いゴルフRだが エンジンとプラットフォームの全面刷新により 先代の物足りなさを払拭できただろうか photo: Stan Papior WE LIKE...アジャストしやすいハンドリングと優れたステアリング 完全に解除可能なESP 4WDホットハッチとしては割安な価格 WE DON T LIKE...状況によって悪化する乗り心地 万人好みとはいえない夜間のインテリアの雰囲気 V6ほど魅力的ではないサウンド 専用デザインのバンパーがなければR モデルと認識するのはむずかしそうだ 突き出した顎が作り出す低いプロファ イルも目を引くが このモデルでは大き なエアインテークが何より特徴的だ 104 AUTOCAR 08/2014 Rには自動ハイトコントロール付きのバイキセノンヘッドラ イトのほか 新開発のハウジング一体型LEDデイタイムラ ンプが与えられている その特徴的なU 字発光パターン は ほかのゴルフとの差別化ポイントとなっている 掲載車両は英国仕様であり 装備その他が日本仕様と異なる場合があります クローム仕上げのミラーハウジングは 標準のRス タイリングパックに含まれる 日本仕様ではボディ カラーは4色が用意されており パールホワイトの みが有料オプションとなっている Rモデルには18インチのアルミホイールと 225/40タイヤを標準装備する テスト車は 欧州でオプション設定されている19インチ を装着していた
Volkswagen Golf R ROAD TEST MODEL TESTED HISTORY テスト車両概要 モデル名 フォルクスワーゲン ゴルフR 価格/発売時期と 内は日本仕様5ドア 車両本体価格 529.8万円 日本発売時期 2014年2月20日 最高出力 300ps/5500-6200rpm 280ps/5100-6500rpm 最大トルク 38.7kgm/1800-5500rpm 38.7kgm/1800-5100rpm 0-97km/h加速 4.8秒 113-0km/h制動距離 52.6m 最大求心加速度 0.92G テスト平均燃費 10.2km/ℓ 二酸化炭素排出量 149g/km VWはRモデルでさえもあくまで慎ましくあり たいようで バッジはとくに凝ったデザインで はない フロントとリヤの見慣れた場所に 控 えめな R バッジが付く Rのリヤ3面のウィンドウには 3ドア/5 ドアともにUVカット機能を持つプライバ シーガラスを標準装備している R のルーツはラリー 2世代目となるゴルフRの直 接的な先祖といえばゴルフⅣ およびⅤに設定されたR 32で あろう トップレンジへの4WD 採用を決定付けたモデルで いずれも6 気筒を搭載してい た ゴルフⅢの重量増加を排 気量拡大で解消すべく VR 6 グレードで FFと組み合わせら れたエンジンである しかしゴ ルフⅡの 1. 8ℓ直 4 スーパー チャージャーと4WDを積んだ ラリーも Rのルーツといえる ゴルフⅡラリーは4WDと1.8ℓ機械過給エンジンを搭載 ゴルフに4本出しエグゾーストパイプが装着されるのはこれが スモーク仕上げのテールライトはホットハッチ はじめてだ 本数だけでも目立っているが 光輝くクローム の定番アイテムだ RはLED光源を備える 中 フィニッシュがさらに目を引く 央を走る明るい色の細い帯部分は ターンシ グナルとして機能する www.autocar.jp 105
ON THE INSIDE コンパクトに収められたエアバッグのおかげで ステアリ われわれとしては普通のハンドブレーキのほうが好みだが 電動式採用の結 R専用シートは横方向のサポート性と長距離での快適性をうまく両立して ングホイールには多数のスイッチ類が配置できる 果として得られたセンターコンソールの余裕については認めざるを得ない いる ルックスも上々の仕上がりだ COMMUNICATION コミュニケーション Bluetooth電話接続機能を標準装備する 接続 は簡単に確立され 通話クオリティは良好である ただし タイヤノイズが多少うるさく 必ずしも通話 環境としては良好とはいえない で地図をスクロールできるが 最新のスマートフォン ほどスムーズには動かない また このスクリーンは 指を近づけると検知して操作ボタンを表示し 離す とそのボタンが消える ENTERTAINMENT エンターテインメント Discover Proインフォテイメントシステムには オー ディオのアップグレードは含まれない だが 標準で GPSナビゲーション も8スピーカーとCD/DVDプレーヤー AM/FMラ SDカードやMP3 欧州仕様ではオプション 日本仕様では標準装備 ジオとワンセグ地上デジタルTV のDiscover Proナビゲーションシステムは 8イン プレーヤーなど多くのデバイスと接続可能な外部 DSRC ITSスポッ ト対応システム チのカラータッチスクリーンを備え 地図情報と交 入力が備わる 通標識を表示できる 画面を指先で操作すること やETCの車載器も標準装備だ NAVIGATION 106 AUTOCAR 08/2014
Volkswagen Golf R ROAD TEST HOW BIG IS IT? サイズはどれくらい? 0.28 810mm min 1090mm max 820mm min 1000mm max 600mm min 960mm max 950mm 380-1270 litres 1436mm 869mm 2631mm 64% 4268mm 39% 36% 768mm VISIBILITY TEST 視認性テスト FRONT 前後にパーキングセンサーを標準装備する 視認性は全方向ともまずまずだ HEADLIGHTS ヘッドライトはとくにハイビームが秀逸の出来だが ロービームも良好である 8.8º obscured Turning circle: 10.9m 1541mm 1515mm 1799mm たいていのドライバーが容易に良好なポジションを得られる シートも素晴らしい ただし ステアリングホイールのリムはフラットボトムではないほうが われわれとしては好みだ 9.2º obscured WHEEL AND PEDAL ALIGNMENT ステアリングホイールとペダルの配置 真っ直ぐに配置されており適正である 2 ペダルだが 望めばブレーキペダルを左足で操作することも可能だ 190mm 50mm Centre 標準的なシート位置での足元スペース :820mm このクラスのスタンダードに照らし合わせるなら後席の居住性は良好な部類に入るのだが 3 ドアモデルでは乗降時に窮屈さを強いられる タンダードなホットハッチ の枠を超えるような定義の 不明確なカテゴリーは 近頃ますます 曖昧になってきている その一端を占 めているのがフォルクスワーゲン ゴ ルフ GTI よりもほんの少し高い価格で 280ps を得た新型セアト レオン クプ ラであり もう一端にはメルセデス ベ ンツ より正確には AMG が 途方もな く高額でハイスペックな A45 を投入し た そして それらによって支配され たあとのごく狭いエリアこそが今回の テーマである 新型ゴルフ R は そこに 属する資格が十分あるだろう ホットハッチというニッチ市場にお いて常に脚光を浴び続けてきた GTI を擁する VW には長い歴史があり 定 評も築いている そんな彼らが GTI よ り上位のモデルを送り出してきた 充 実した装備と控えめなスタイルを持つ 4 輪駆動車で 価格設定の巧妙な 大 人のユーザーを想定した一台だ 決し てラフな暴れ馬ではない 果たしてそ の新型は 成熟しすぎて走りまで控え めになってはいないだろうか? 意匠と技術 DESIGN&ENGINEERING これまでの R モデルは ベーシック なゴルフの延長線上にある非常に魅 力的なバリエーションだった デザイ ンの意図は今回もまったく同じで VW のデザインチーフは 上品さとスポー ティさ それに自制と差別化のバラン ス と表現している その手段もこれまでどおりだ 専用 のフロントバンパーと大型化されたイ ンテーク 手直しされたグリル たくま しさを増したシル もっと見栄えのい いホイール そして本数の多いテール パイプが与えられている R32 ほどに は印象的ではないが GTI よりも力強 く それでいていたずらに攻撃的では ない なかなか上出来だ メカニズムにおける最大の変更点 はこれまでのものより大きくて軽い MQB プラットフォームの採用だが も うひとつ エンジンも挙げられよう チューニングが行き着くところまで行 き着いた旧世代 4 気筒の EA113 に 代わり 最新の R ではゴルフ Ⅴ 以降の 高さ :400-780mm 幅 :980-1260mm 奥行き :740-1630mm トランクルームはクラス最大というわけではないが 後席を起こした状態で 380l シートを倒すと 1270l の容積があり ライバルに引けをとらない スクエアな形状も使いやすい GTI に採用されている EA888 を搭 載しているのだ 当然ながら GTI 用 からの変更箇所は多い シリンダー ヘッドを新設計したほか ピストンやイ ンジェクションバルブ ターボチャー ジャーのモディファイを受けた結果 出力は先代 30ps 増の 300ps/5500-6200rpm にも達している 効率性 の向上も歓迎したい CO₂ 排出量が 34g/km も改善されているのだ これまで同様 トランスミッションは 6 段の M/T もしくは DSG のどちらかか ら選択する ( 日本仕様は DSG のみ ) 4WD システムの 4 モーション は最 新バージョンの第 5 世代のハルデック ス製多板湿式クラッチであり アップ デートされた電子補助デバイスも備 えている GTI と同様 サスペンション はフロントがマクファーソン ストラッ ト リヤがマルチリンク式だが どちら も構造的なところから手直しされ 剛 性アップが図られている また 車高 は GTI よりもさらに 5mm 低い 電動ア シストが付いたステアリングはギヤ比 www.autocar.jp 107
ON THE ROAD TRACK NOTES サーキットテスト T3 可変式で ロック トゥ ロックはわずか 2.1 回転である ドライサーキットフォルクスワーゲン ゴルフ R ラップタイム :1 分 17 秒 4 BMW M135i 参考タイム :1 分 15 秒 9 今回のテストでは ドライサーキットといいながらも路面を雨が流れるような状況だった しかし ゴルフ R の安定性と走行性能によって 速く 自信を持って走らせることができた ウェットサーキットフォルクスワーゲン ゴルフ R ラップタイム :1 分 14 秒 0 BMW M135i 参考タイム :1 分 19 秒 8 素晴らしく楽しい VW のエンジニアたちはこのゴルフを磨き上げ パワーをリヤにも送ることでトラクションを確保している グリップのバランスも秀逸だ 発進加速テストトラック条件 : 湿潤路面 / 気温 10 0-402m 発進加速 :13.4 秒 ( 到達速度 :169.3km/h) 0-1000m 発進加速 :24.6 秒 ( 到達速度 :212.6km/h) フォルクスワーゲン ゴルフ R 48km/h 64 80 97 113 129 145 161km/h 1.9s 2.7 3.7s 4.8 6.2s 7.8s 9.7s 12.0s BMW M135i 48km/h 64 80 97 113 129 145 161km/h 2.7s 3.54.4 5.5 6.7s 8.3s 10.0s 12.2s 177km/h 177km/h 14.5s 193km/h 17.5s 193km/h 209km/h 21.6s 209km/h 225km/h 0 5s 10s 15s 20s 25s 15.0s 0 5s 10s 15s 20s 25s 30s 制動距離 97-0km/h 制動時間 :2.94 秒 DRY 48-0km/h 9.8m ブレーキは酷使されてもよく耐え 煙が上がるほど攻めるまで フェードも感じられなかった 冠水したストレートでもトラクションは素晴らしく また最初のコーナーの立ち上がりでもトルクステアはなかった T2 80-0km/h 26.9m 18.6s Start/finish 23.5s 25.9s 113-0km/h 0 10m 20m 30m 40m 50m WET 10.0m 27.5m 55.0m 48-0km/h 80-0km/h 113-0km/h T3 T4 T1 T4 T5 T2 T5 T6 T1 T6 52.6m T8 225km/h 31.8s Start/finish 4 駆システムが必要なときにパワーをリヤへ配分してくれるので トラクションはどんな状況下においても素晴らしい ストレートエンドでブレーキを残してターンインすると フロントのタックインが出てかなり楽しめる T7 T7 室内 INTERIOR スタンダード仕様のゴルフ Ⅶ のとて もシンプルで上品な室内に R モデル では速さと洗練を目指したハッチバッ クによく見られる変更が加えられてい る デザインの多少異なる計器類 形 状が工夫されたステアリングホイー ル アルミ仕上げのペダル 光沢のあ る樹脂製トリムなどだ また シートも アルカンターラとレザーで仕上げられ た新たなもので グリップとサポート性 に優れ かつ長時間乗車でも 不快さ は感じさせない 本誌テスターのほぼ 全員が 快適なドライビングポジション を得られた シートバックが直立しす ぎないようにステアリングホイールを もっと手前に引き寄せたかったとの不 満も聞かれはしたが そんな感想を漏 らしたのはひとりだけである スイッチ類は合理的に配置され 中 央には操作に対して比較的レスポン スの速いタッチスクリーンが備わって いる 比較的 という前置きは 車載 デバイスとしては という意味だ いず れはスマートフォン並みに反応するも のが出てくるだろう テスト車に装備された 6 段 DSG は レバーでマニュアル変速する際にド ライバーを悩ませる シフトアップとシ フトダウンは前後を逆にするべきだ だが 通常の D ポジションとスポーツ ポジションとの切り替えは 単純なレ バー操作のみで済むので使いやす い また ステアリングホイールにはシ フトパドルが標準装備されている ON THE LIMIT 限界時の挙動 ゴルフRの素直な反応とフィードバックには 1990 年代中頃のラリーレプリカの面影が感じられる それほどまでに鋭く 照準が絞り込まれたクルマだ そのため 路面の悪い道ではハーシュネスやキックバックが気がかりになることもあったが 非常に研ぎ澄まされていると好意的に感じられ る場面のほうが多かった ハードなブレーキングでもほとんどノーズダイブせず ターンインはシャープで正確だ ステアリングは クイックなギヤレシオにもかかわらず直感的である 操舵初期にはアンダーステア傾向を見せるが 限界自体はとても高く 公道でそ の領域に達することはほとんどないだろう 大鎌で刈るようにコーナーをクリアし 迅速なレスポンスとフィードバックを与えてくれる サーキットでもなければ限界を突破してやろうなどとは思わないはずだ そして トラック上でその限界を超えると ゴルフ Rはハッチバックとしては驚異 的なニュートラル特性を示す スロットルをオフにしつつターンインすると 4 輪駆動システムがパワーを前後に振り分け そこから再びパワーを加えれば 4 輪ドリフトに持ち込める とくにウェットではそうだ 現代のホットハッチで ほかにこれほどの鋭さと熱さを持つクルマは多くない 108 AUTOCAR 08/2014
Volkswagen Golf R ROAD TEST 乗り心地は硬く ときとして扱いにくさをのぞかせる たいていの大人には十分な広さの ぐ ゴルフ R は DSG によって魅力的な 路上に水の流れができるようなコン ングは直進位置から外れるととてもク リヤシートや 実用的なトランクスペー ギヤシフトが提供された 素晴らしい ディションの ドライ テスト用コースに イックだが 反応は直感的で 電動ア スは通常のゴルフと変わらず 競合車 ホットハッチである て コーナリングフォースが 0.9G 以上 シストにもかかわらず純粋なフィール に引けをとらない ライバル車 あるいは過去のゴルフ に達する走りを繰り返した結果 最終 を伝えてくれる アダプティブシャシー VR6 や R32 と比べたときに欠けてい 的に煙を上げてしまったブレーキは コントロールはモードを切り替えるご 動力性能 PERFORMANCE るのは 多気筒エンジンならではのサウンドである これを補うべく用いられ 通常のサーキット走行会では配慮する 必要があるだろう だが 公道での制 とにダンパーを引き締め スロットルレスポンスを鋭くし ステアリングのアシ サーキットテストは路面を雨水が流 たのがサウンドアクターだ ホッケー 動能力は素晴らしい スト力を減らす それに伴い乗り心地 れるコンディション下で行われたが パック大の共鳴装置がフロントウィン は硬くなり もっともハードなセッティ 加速タイムの計測では 4 輪駆動のア ドバンテージが明確だった VW の公 ドウ基部のウェザーパネル下にあり それが振動して共鳴し より排気量の 乗り心地と操縦安定性 RIDE&HANDLING ングでは路面状況によってはひどいことになる だが より角が取れたゴル 称値は 0-100km/h が 4.9 秒である 大きいエンジンに似た音を発生する VW の GTI ブランドがフォードの ST フ GTI には欠けている鋭さと俊敏性は われわれは 2 名乗車で燃料満タン し 疑似的な装置としては 決して悪い に通じるポジションだとすれば R モデ 大いに歓迎すべきだ かもウェット路面という悪条件ながら ものではないし 本誌テスターの大半 ルは RS に相当する より極限的で よ 身内だけでなく おおかたの前輪駆 0-97km/h で 4.8 秒を記録した はこれを気に入った しかし メーカー り活発なクルマだ そして VW はゴル 動車と比べても魅力的だ ヴォグゾー ほかの数値についても それに劣ら 公認の手法ではないが ゴルフ Ⅵ の一 フ R の運動性能を 彼らの制約の範囲 ル アストラ VXR やセアト レオン クプ ず見事なものだ 0-402m の 13.4 秒 部オーナーがそうしているように 2~ 内で そのポジションにふさわしい領 ラには勝っており フィールと熱中度 は 2 代目フォード フォーカス RS より 3 分の作業でそれを無効にしてみたと 域にまで拡げることを許容した にかけてはルノー メガーヌ RS に肉薄 も 1 秒近く速い 48-113km/h 加速も ころ ターボの作動音がよりはっきりと ゴルフ R の振る舞いは GTI のそれに している ゴルフ R のアプローチはや 4.3 秒と フォーカス RS の 4.9 秒をしの 聞こえるようになった 比べてはるかに強烈である ステアリ や古風だが 路面に食いつき 安定し UNDER THE SKIN ハイテク 4 輪制御 4 輪駆動システムの ハルデックス 5 は 油圧をカップリングに プリロード することで より素早いトルク伝達を行える VW の XDS+ システムは 擬似的な LSD として機能する ゴルフRの4 輪駆動システムである ハルデックス 5 の心臓部に埋め込まれた湿式多板クラッチは 今やお馴染みのデバイスといえるだろう 電動油圧ポンプを使って作動し コントロールユニットが必要な状況であると判断すると トルクのほぼ100% をリヤアクスルに送ることも可能だ VWがいうところの 特定の運転状況 言葉を換えればアグレッシブなコーナリングの際には 反応速度とリヤに送られるトルクの最適化が行われ いっそうニュートラルなハンドリングバランスが達成されるという また スタビリティコントロールと一体化された電子制御ディファレンシャルシステム (EDS) によって 前後車軸間のディファレンシャルとともに 左右輪間のディファレンシャルでも擬似的な差動制限が働くという 空転する内輪にブレーキをかけ 路面をグリップしている外輪に駆動力を伝えるのがその内容だ 4 輪 EDSとして知られているこのシステムには ゴルフ GTIと同じく XDS+が統合されている これはアンダーステアを減らし 機敏さをより高めるメカニズムである また ゴルフ Rでは ESCボタンを 3 秒間押し続けると電子制御スタビリティコントロールを完全に解除することができる 特筆すべきは これが GTIをはじめとするほかのどのゴルフでもできないことだ www.autocar.jp 109
DATA LOG SPECIFICATIONS 計測テストデータ 今月の数字 メカニカルレイアウト鋼板製モノコックに前マクファーソン ストラット / 後マルチリンクのサスペンションを組み合わせるアーキテクチャーは標準モデルと同様だ ターボユニットと最新の 4WD システムが R らしい高性能の源である 日本仕様のトランスミッションは 6 段 DSG のみとなる 55 litres 143kg 2006 年にV6を搭載して登場したゴルフR32は 最新のゴルフ Rより 140kg 以上も重かった 1.8sec ウェットコンディションで計測した 0-402m のタイムは ドライでのメガーヌ RS のそれをしのぐ エンジン駆動方式 : フロント横置き 4 輪駆動形式 : 直列 4 気筒ターボ, 1984cc ブロック / ヘッド : アルミ軽合金ボア ストローク :φ82.5 92.8mm 圧縮比 :9.3:1 バルブ配置 :4 バルブ DOHC 最高出力 :300ps/5500-6200rpm 最大トルク :38.7kgm/1800-5500rpm 許容回転数 :6600rpm 馬力荷重比 :201ps/t トルク荷重比 :25.9kgm/t 比出力 :151ps/l 燃料消費率 オートカー実測値消費率 総平均 10.2km/l ツーリング 11.9km/l 動力性能計測時 4.5km/l メーカー公表値 消費率 市街地 11.4km/l 郊外 17.0km/l 混合 14.5km/l 燃料タンク容量 55l 現実的な航続距離 558km CO₂ 排出量 149g/km 発進加速 実測車速 mph(km/h) 秒 30 (48) 1.9 40 (64) 2.7 50 (80) 3.7 60 (97) 4.8 70 (113) 6.2 80 (129) 7.8 90 (145) 9.7 100 (161) 12.0 110 (177) 15.0 120 (193) 18.6 130 (209) 23.5 140 (225) 31.8 150 (241) - 160 (257) - エンジン性能曲線 Power output (ps) 406 355 300ps 48 38.7kgm /5500-6200rpm 304 /1800-5500rpm 41 253 35 203 28 152 101 51 0 0 55 14 Engine (rpm) 0 2000 4000 6000 8000 サスペンション前 : マクファーソン ストラット / コイル + スタビライザー後 :4 リンク / コイル + スタビライザー ステアリング形式 : ラック & ピニオン ( 電動アシスト ) ロック トゥ ロック :2.10 回転最小回転半径 :5.45m ブレーキ前 :φ340mm 通気冷却式ディスク後 :φ310mm 通気冷却式ディスク ROAD TEST 一部バックナンバーは www.autocar.jp に掲載されています 21 7 Torque (kgm) 中間加速 秒 mph (km/h) 2nd 3rd 4th 5th 6th 20-40 (32-64) 2.1 3.0 - - - 30-50 (48-80) 2.0 2.6 3.6 5.4-40-60 (64-97) - 2.6 3.5 4.7 7.0 50-70 (80-113) - 2.7 3.7 4.9 6.5 60-80 (97-129) - 3.0 3.7 5.2 6.9 70-90 (113-145) - - 3.8 5.4 7.5 80-100 (129-161) - - 4.3 5.6 8.4 90-110 (145-177) - - - 6.0 9.4 100-120 (161-193) - - - 6.8 10.0 110-130 (177-209) - - - 8.4-120-140 (193-225) - - - - - 130-150 (209-241) - - - - - 140-160 (193-257) - - - - - シャシー / ボディ構造 : スティールモノコック車両重量 :1495/1410kg( 実測 ) 抗力係数 :0.28 ホイール :8.0J 19 タイヤ :235/35R19 ブリヂストン ポテンザ RE050 スペアタイヤ : テンパー 変速機形式 :6 段 DCT ギヤ比 /1000rpm 時車速 km/h 12.92/8.721.83/14.031.31/20.0 40.97/26.451.04/34.160.81/43.6 最終減速比 :4.77(1-4), 3.44(5-6) 静粛性アイドリング :46dB 3 速最高回転時 :73dB 3 速 48km/h 走行時 :62dB 3 速 80km/h 走行時 :64dB 3 速 113km/h 走行時 :67dB 安全装備 ABS, 切り替え式 ESC, 8 エアバッグ Euro N CAP/5 つ星乗員保護性能 : 成人 94%, 子供 89% 歩行者保護性能 :65% 安全補助装置性能 :71% 最高速 1 2 3 4 5 58km/h 6600rpm 92km/h 6600rpm 129km/h 6600rpm 174km/h 6600rpm 225km/h 6600rpm 6 250km/h* 5720rpm * claimed 注意事項 : 馬力荷重比とトルク荷重比の計算にはメーカー公称車両重量を使用しています Autocar 2014. テスト結果は権利者の書面による承諾なしに転用することはできません ていながら敏捷でシャープだ 腰が据わっているが反応がいい もちろんそれは 前輪のみに限られない駆動方式も関係している 同程度の高出力を持つFWDのライバルは パワーをかけると前輪が流れはじめるため 破綻を防ぐべくオーバーアシストなステアリングを備える 対するゴルフRは 通常時はほぼ FF 状態だが 前輪のトラクションが不足すると後輪へと駆動力が分配される その油圧システムは電子制御で 必要とあれば全パワーをリヤタイヤに振ることもできる これによってチューニング幅は大きく広がり スロットルで調整できる コントロールが楽しいクルマになっている 購入と維持 BUYING&OWNING ゴルフGTI(383.3 万円 ) を比較的高価なホットハッチにしようというフォルクスワーゲンの戦略によって Rもやや高めに値付けされている感は否めない 日本仕様 5ドアの 529.8 万円というプライスは 同じランニングギアに広く高級なインテリアとブランドバリューが加味されたアウディ S3のスポーツバック (560.0 万円 ) より30 万円ほど よりパワフルだが後輪駆動の BMW M135i(549.0 万円 ) より 20 万円弱だけ抑えられているに過ぎないのだ ゴルフ Rはその価格以上の美点を多く備えるが プレミアムブランドの競合車に対する金銭的アドバンテージは 思ったよりもよりも小さい 5ドア +DSGの日本仕様の燃費は メーカー公称値で 14.4km/lだ われわれは巡航で11.9km/l 平均で 10.2km/l を記録した 110 AUTOCAR 08/2014
Volkswagen Golf R ROAD TEST AUTOCAR VERDICT オートカーの結論 ROAD TEST Volkswagen Golf R スーパーハッチに求めるものすべてがこのゴルフ R には備わっている No 5160 TESTERS NOTES テスターのひと言コメント 日本では標準装備の Discover Pro ナビゲーションシステムは欧州ではオプションだ 1 グレード下で 15 万円以上安価な Discover だとタッチスクリーンが 2 インチほど小さく しかも音声認識が使えない ニック キャケット 夜間はアンビエントライトの一部として ドアにブルーの細い帯が点灯する テスターからは まるで 1980 年代のナイトクラブのようだ との声も上がった マット プライアー SPEC ADVICE 購入にあたっての助言 ルフGTIに乗って もしも期待したほどの刺激が得 られなかったと失望を感じたことが過去にあったと しても 新型ゴルフ R に対してそのような気持ちを抱くこ とはないだろう この最強のゴルフは フォルクスワーゲ ンのクルマに期待される洗練性に ベストなホットハッチら しい荒々しさとドライバーへのアピールを最高のバランス でブレンドした一台である 300ps 近いパワーを持つ前輪駆動車でゴルフ R より優 れた選択となり得るクルマがあるとすれば 唯一 ルノー メガーヌ RSくらいのものだろう しかし デイリーユースも加味するなら より幸せになれるのはゴルフ Rのほうだ しかるべき道路や走行会においてはあらゆる類の楽しさをもたらしてくれるクルマでありながら 日常の走りでは自分と大切な人を快適に運んでくれる 洗練度と荒々しさの絶妙なブレンドという点で このゴルフ Rはまぎれもなく讃えられてしかるべき名車だ 日本仕様は 5 ドアの 6 段 DSG のみの設定となっているが 3 ドアはまだしも M/ T は導入してほしいところだ アダプティブシャシーコントロールの標準装備は歓迎するが 19 インチホイールが用意されないのは残念である JOBS FOR THE FACELIFT マイナーチェンジ時に望むこと DSG のセレクターレバーはシフトアップとシフトダウンの方向を入れ替えてほしい 全般的な乗り心地をもっとしなやかにしてほしい エンジンサウンドをもっと魅力的にしてほしい TOP FIVE 1st 2nd 3rd 4th 5th 車両価格最高出力最大トルク 0-97km/h 加速最高速度燃料消費率 ( 混合 ) 車両重量 ( 公称値 ) CO₂ 排出量 われわれはこう考える RENAULT Mégane R. S. ルノーメガーヌ R.S. 396.0 万円 529.8 万円 (5ドア ) 邦貨換算約 380 万円 566.0 万円 邦貨換算約 420 万円 265ps/5500rpm 300ps/5500-6200rpm 250ps/5500rpm 320ps/5800rpm 280ps/5350-6600rpm 36.7kgm/3000rpm 38.7kgm/1800-5500rpm 36.6kgm/1750-4400rpm 45.9kgm/1300-4500rpm 35.7kgm/1750-5300rpm 6.9 秒 4.8 秒 6.3 秒 5.5 秒 5.9 秒 255km/h 250km/h( リミッター ) 248km/h 250km/h( リミッター ) 250km/h( リミッター ) 12.2km/l 14.5km/l 13.9km/l 13.3km/l 15.2km/l 1430kg 1495kg 1437kg 1540kg 1441kg 190g/km 149g/km 169g/km 175g/km 149g/km ゴルフ R よりもパワーは低いが ドライビングの楽しさという点では依然として王者だ VOLKSWAGEN Golf R 3dr フォルクスワーゲンゴルフ R 3 ドア 上品で楽しい しかし 偉大なるメガーヌによって クラストップの座に就くことは阻まれた FORD Focus ST-3 フォードフォーカス ST-3 ここでは多少場違いな印象ながら オールラウンドという点ではゴルフ R を脅かす BMW M135i BMW M135i 後輪駆動のメリットはある しかし シャシーがゴルフ R ほどには研ぎ澄まされていない SEAT Leon Cupra SC セアトレオン クプラ SC ゴルフ GTI が比較対象であれば われわれならこちらを選ぶ だが 相手がゴルフ R となれば話は別だ 結論 www.autocar.jp 111