技術分類 1-2 食品の保護性を追求した包装容器 / 酸化 変色防止包装容器 技術名称 1-2-1 金属系包装容器 技術内容 食品の変質には 微生物的変敗と物理 化学的変質がある 物理 化学的変質は 酸素 水分 光線 熱 ( 温度 ) などの環境条件によって促進されるが 食品をこれらの環境条件からの影響を遮断し 食品の保存性を高めることは 包装容器の大きな役割の一つである 特に酸素と水分は内容食品の品質低下に大きな影響を及ぼす 乾燥食品は 保存中に酸素によって油脂の酸化 色素の酸化 変色 ビタミン等の酸化分解 非酵素的褐変 ( アミノ カルボニル反応 メイラード反応 ) などの化学変化を起こし 吸湿によって化学変化が促進され 歯触りなどの物理性が低下する場合が多い また 光線によっても化学変化が促進されることが多い また 風味が変化しやすい多水分 ( 水分活性が 0.92 以上 ) の調理食品や中間水分食品 ( 水分活性が 0.92 以下 0.65 以上 ) の濃縮スープや調味味噌 佃煮などで 殺菌などにより微生物による変敗の心配がなくなった食品では 化学変化により品質の低下するものが多く この場合には遮光性 ( 光線遮断性 ) と高度な酸素遮断性が要求される 食品包装用資材としては その他に共通に要求される特性として 充分な安定性 ( 耐熱性 耐候性 耐薬品性など ) 物理的強度( 引張り 引裂き強度 ピンホール強度など ) をもち 優れた機械適性 ( ヒートシール性 柔軟性 寸法安定性など ) をもった商品性 ( 光沢 印刷適性など ) の高い包装容器が選択される 現在 食品包装に使用されているガス遮断性に優れた軟包装資材は (1) アルミ箔 アルミ蒸着フィルム等の金属系 (2) シリカ (SiOx) 蒸着フィルムやアルミナ ( 酸化アルミ ) 蒸着フィルム等の無機酸化物系 (3)PVDC EVOH PVA 等の有機系および (4) ゾルゲルコート ナノコンポジットコートの無機 - 有機ハイブリット系の 4 つに大別される 表 1に 優れた遮断性をもった包装容器の特性を一覧表として示した 図 表 1 金属系その他のハイバリアー軟包装資材のバリアー性の比較 包装資材透明性酸素透過性水蒸気透過性電子レンジ適性 アルミ箔 0 0 スチール箔 0 0 アルミ蒸着 0.8~1 (PET ベース ) 0.8~1.4 (PET ベース ) アルミナ蒸着 1.5(PET ベース ) 1.5(PET ベース ) シリカ蒸着 0.6~1.2 (PET ベース ) 0.8~1.0(PET ベース ) EVOH 0~8(20 0~85%RH) - PVDC 1.2(25 ) 2.1(40 ) ガラス瓶 0 0 金属缶 0 0 酸素透過性 : ml/m 2 day atm 出典 : 本標準技術集のために作成 水蒸気透過性 : g/m 2 day 40 90%RH 参考資料 プラスチックフィルム レジン材料総覧 2004 2003 年 12 月 12 日 株式会社加工技術研究会発行 機能性 食品包装技術ハンドブック 1989 年 9 月 20 日 株式会社サイエンスフォーラム 341-350 頁 33
技術分類 1-2-1 食品の保護性を追求した包装容器 / 酸化 変色防止包装容器 / 金属系包装容器 技術名称 1-2-1-1 金属箔包装容器 技術内容 食品に対して高い保護性をもった軟包装材料として 金属箔は最も優れた酸素 水蒸気遮断性 香気遮断性と遮光性をもっている このような金属箔としては アルミ箔とスチール箔がある 最も一般的な高遮断性積層パウチは フィルムに酸素 水蒸気と光線に対して高度な遮断性をもたせるためのアルミ箔 (7 9 12μm) と フィルムに強度を持たせるとともに美しい印刷をするベースフィルム ( 基材 ) として PET(12μm) ONY(15~25μm) OPP(18~30μm) などと ヒートシール材 ( シーラント ) として CPP MDPE LLDPE などを用いたものである このようなアルミ積層パウチのほかに 金属箔を利用した成形容器がある アルミ箔成形容器には 30~150μmの厚さのものが用いられる 容器の形態では 皺付きアルミ箔容器と皺なしアルミ箔容器に分けられるが 耐熱容器の場合は密封できる蓋が用いられることから 後者が用いられる アルミ箔容器は 材料構成と用途により 表 1 に示す 3 種類に大きく分けることが出来る スチール箔の成形容器には スチール箔の剛性が高いためにアルミ箔容器より変形しにくいという特徴がある 内面に白色 PP をラミネートしたスチール箔成形容器はレトルト用に用いられる アルミ箔複合成形容器の構成例を表 1に スチール箔成形容器の構成例を図 1に示す 表 1 アルミ箔複合成形容器の材料構成と用途 出典 : 最新機能包装実用事典 1994 年 8 月 1 日 石谷孝佑編集代表 株式会社フジ テクノシステム発行 511 頁表 1 アルミ箔複合成形容器の材料構成と用途 34
図 1 スチール箔成形容器の層構成例 出典 : 最新機能包装実用事典 1994 年 8 月 1 日 石谷孝佑編集代表 株式会社フジ テクノシステム発行 512 頁図 3 スチール箔成形容器の層構成例 出典 最新機能包装実用事典 1994 年 8 月 1 日 石谷孝佑編集代表 株式会社フジ テクノシステム発行 511-513 頁 35
技術分類 1-2-1 食品の保護性を追求した包装容器 / 酸化 変色防止包装容器 / 金属系包装容器 技術名称 1-2-1-2 金属蒸着 (1) アルミ蒸着フィルム 技術内容 金属蒸着には 金 銀 酸化チタンさらには ITO(Indium Tin Oxide) 等があるが 食品包装に用いられる金属はアルミニウム ( アルミ Al) だけである アルミ蒸着フィルムは 古くは金銀糸やコンデンサーの用途であったが 石油ショック以降 省エネルギー材料としてアルミ箔に代わって広く用いられるようになった 蒸着膜の厚さは 200~500A である アルミ蒸着フィルムは 水蒸気透過性 酸素透過性が低いという特徴のほか 光線の遮断性が大きいという特徴がある また 独特の金属光沢があるため 装飾効果も併せ持っている 装飾効果をさらに上げるために部分蒸着法を用いることもある 蒸着のベース ( 基材 ) となるフィルムは PET BOPP ONY などの二軸延伸フィルムのほか CPP LDPE のような無延伸の蒸着フィルムも用いられている 無延伸の蒸着フィルムのほうが 光沢が若干劣る コストや装飾効果を考慮して 両者の使い分けが行われている 更に ビールのラベルのような紙への蒸着も行われている アルミ蒸着フィルムを用いた各種ラミネートの構成例を示すと スナック食品では OPP(20)- 印 /VM-PET(12)/CPP(20) など 精米では ONY(15)- 印 /PE(15)/VM-PET(12)/PE(18)/ LLDPE(70) アイスクリームでは PET(12)- 印 /VM-ONY(15)/LLDPE(70) OPP(20)- 印 / VM-CPP(20) PET(25)- 印 /VM-PET(12)/PE(30)/ 発泡 PE(330) などである 図 写真 1 アイスクリームのアルミ蒸着包装例 出典 ( 左 ): 協同乳業株式会社ホームページ 商品紹介アイスクリーム 濃厚ミルクモナカ 検索日 :2006 年 12 月 25 日 http://www.meito.co.jp/syousai_96.htm 出典 ( 右 ): 協同乳業株式会社ホームページ 商品紹介アイスクリーム ヨーロッパクランチ 検索日 :2006 年 12 月 25 日 http://www.meito.co.jp/syousai_100.htm 出典 共同乳業株式会社ホームページ 商品紹介アイスクリーム 検索日 :2006 年 12 月 25 日 http://www.meito.co.jp/search_6.htm 参考資料 食品包装便覧 1988 年 3 月 1 日 社団法人日本包装技術協会発行 517-525 頁 最新機能包装実用事典 1994 年 8 月 1 日 石谷孝佑編集代表 株式会社フジ テクノシステム発行 515-524 頁 2006PPS データベース用途別包材構成例 2006 年 3 月 31 日 株式会社東洋紡パッケージング プラン サービス発行 192-193 頁 36
技術分類 1-2-1 食品の保護性を追求した包装容器 / 酸化 変色防止包装容器 / 金属系包装容器 技術名称 1-2-1-3 金属蒸着 (2) アルミナ蒸着フィルム 技術内容 アルミナ蒸着を始めとする透明蒸着フィルムは 酸素 水蒸気に対するバリアー性に優れ かつ蒸着膜中に熱の影響を受けやすい分子鎖や水分の影響を受けるような水酸基などの官能基が存在しないため 温度 湿度の影響を受けにくいという特徴を持っている また 耐熱性が高いためレトルト処理が可能であることや 電磁波を透過するので電子レンジによる加熱調理や金属探知機による異物検査が可能であるといった特徴も併せ持つ包装資材である アルミナ蒸着は 酸化アルミ蒸着とも言われる PET フィルムおよびナイロンフィルムに蒸着される アルミ蒸着フィルムは 内容物が見えない 電子レンジに使用できない等の欠点があり この問題を解決するために開発されたのがアルミナ蒸着フィルムである 真空チャンバー内で アルミニウム蒸発量 A( モル / 分 ) と酸素導入量 B( モル / 分 ) の比が 0.3~0.75 になるように酸素を導入することにより 完全酸化のアルミナ膜が得られる 電子レンジ特性については アルミ箔の場合 電子レンジで照射されるマイクロ波が表面近くで吸収され 場合によっては反射され マイクロ波の発信器に障害を与えことがあること またアルミ蒸着フィルムでは 電磁波を受けて発生する渦電流に対する抵抗値のアンバランスから スパークが発生してしまうことなどに比べ アルミナ蒸着フィルムは 完全酸化のアルミナが非導電膜であるため マイクロ波のロスファクターがないため 良好な電子レンジ特性がある ガスバリアー性の値は PET 基材の場合 酸素透過量が 20 0%RH で 1.5cc/m 2 day atm 水蒸気透過量は 40 90%RH でおよそ 1.5g/ m 2 day である アルミナ蒸着フィルムのバリアー性を向上させるために 耐擦過性 印刷適性等の向上も含めて バリアー性のあるコーティング剤を塗布するのが一般的である 開発当初は ボイル殺菌 レトルト殺菌用の用途が主体であったが その後 深絞りのトップシール材 菓子 電子レンジ食品用途 金属探知機の利用の拡大に伴ったアルミ箔代替の用途などが拡大している また γ 線殺菌での変色がないことから 無菌包装などへの利用が進んでいるようである アルミナ蒸着のレトルトパウチ ( レトルトカレーなど ) の材料構成例としては PET(12) 蒸着 - 保護コート- 印 /ONY(15)/ レトルト CPP(60) PET(12) 蒸着 - 保護コート- 印 /MXD6 系 ONY(15)/ レトルト CPP(60) などである 図 表 1 蒸着フィルムの性能 特性の比較包装資材透明性酸素透過性水蒸気透過性電子レンジ対応 アルミナ蒸着 1.5 (PET ベース ) 1.5 (PET ベース ) アルミ蒸着 0.8~1 (PET ベース ) 0.8~1.4 (PET ベース ) SiOx 蒸着 0.6~1.2 (PET ベース ) 0.8~1.0 (PET ベース ) 酸素透過性 : ml/m 2 day atm 出典 : 本標準技術集のために作成 水蒸気透過性 : g/m 2 day 40 90%RH 参考資料 プラスチックフィルム レジン材料総覧 2004 2003 年 12 月 12 日 株式会社加工技術研究会発行 最新食品用機能性包材の開発と応用 2006 年 5 月 31 日 日本食品包装研究協会編 株式会社シーエムシー出版発行 173-180 頁 コンバーティングプロダクツ総覧 2002 年 12 月 10 日 株式会社加工技術研究会発行 432-440 頁 37
2006PPS データベース用途別包材構成例 2006 年 3 月 31 日 株式会社東洋紡パッケージング プラン サービス発行 280-293 頁 38