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卵及び卵製品の高度化基準

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食肉製品の高度化基準 一般社団法人日本食肉加工協会 平成 10 年 10 月 7 日作成 平成 26 年 6 月 19 日最終変更 1 製造過程の管理の高度化の目標事業者は 食肉製品の製造過程にコーデックスガイドラインに示された7 原則 12 手順に沿ったHACCPを適用して製造過程の管理の高度化を

精米 HACCP 規格 ~ 精米工場向け HACCP 手法に基づく 精米の食品安全 品質管理 衛生管理 食品防御の取組み ~ 第 1 版 2016 年 3 月 16 日 第 1 目的一般社団法人日本精米工業会の精米 HACCP 規格は 精米工場で製造する精米が消費者及び実需者より信頼される製品精米と

食品衛生の窓

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生活衛生営業 HACCP ガイダンス ( 食肉販売業用 ) 導入手引書 本ガイダンスでは まず メニュー調査表 と 調理工程表 によりそれぞれの施設の 危害要因分析 を行い 次にこの手引書の 衛生管理点検表 を HACCP の考え方を取り入れた 衛生管理計画 とし それを用いて モニタリング 記録の

第 4 章 管理体制の整備 HACCP の 7 つの原則 1 危害分析 : 危害の原因の明確化 2 重要管理点の決定 : CCP の判定と決定 3 管理基準の設定 : CCP を管理するための管理基準の設定 4 モニタリング方法の設定 : 適切に管理されているかの確認方法 5 修正処置の設定 : 問

生活衛生営業 HACCP ガイダンス ( 旅館業用 ) 導入手引書 旅館業用衛生管理点検表 1 個人衛生管理点検記録個人衛生管理は 従事者の感染症対策を中心に基準条例 8 の従事者に係る衛生管理の項目を始業時点検として次の項目を確認する (1) 従事者は 下痢 嘔吐等の体調不良がないことを確認し 症

品質向上セミナー

1.9.1 管理基準の遵守状況を連続的又は相当の頻度で確認をするためのモニタリングの方法を設定し その文書を作成すること 十分なモニタリング頻度を設定することまた 設定した理由を整理しておくこと モニタリングに関する全ての文書と記録は モニタリングを行う担当者及び責任者による

1 施設設備の衛生管理 1-1 食品取扱室の清掃及び保守点検 < 認証基準 > 床 内壁 天井 窓 照明器具 換気扇 手洗い設備及び排水溝の清掃手順 保守点検方法が定められていること 床及び排水溝の清掃は1 日に1 回以上 その他の清掃はそれぞれ清掃の頻度の記載があること 保守点検頻度の記載があるこ

図 12 HACCP の導入状況 ( 販売金額規模別 ) < 食品販売金額規模別 > 5,000 万円未満 ,000 万円 ~1 億円未満 億円 ~3 億円未満

Ver.05 評価チェック表 (Ⅰ 製造環境の管理 ) 点 点 0 点 評価点数 A 施設設備機械器具の衛生管理 作業場内は 必要に応じて空調設備により温度管理を行っていますか温度管理している一部で温度管理されていない 温度管理していない ノロウイルス等の感染の原因とならないように トイレについて適

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前文 この文書の最初の項では コーデックス規格委員会により採択された危害分析 重要管理点 (HACCP) システムの原則について説明している 第 2 項では適用の詳細は食品の取扱い状況によって異なる可能性があることを認識して このシステムの適用のための一般的なガイドラインを示している 1) HACC

( 認定の審査 ) 第 8 条知事は 第 6 条又は第 11 条の規定による申請があった施設の実地調査等を行い 当該申請内容が第 3 条に定める認定基準に適合していると認めるときは 認定しなければならない ( 認定書の交付等 ) 第 9 条知事は 前条の規定により認定した場合には 当該申請者に対して

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厚生労働省 食品衛生管理の国際標準化に関する検討会最終とりまとめ 平成28 年12 月 HACCPの導入により 食品の安全性の向上を図る必要があるとの観点から 平成28年3月から12月まで 厚生労働省においてHACCPの制度化について検討 10月14日に中間とりまとめが公表され 11月15日まで意見

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事業概要 事業概要 確認日 1. 事業概要の把握 従業員数 操業日数 操業時間 約 名 約 日 午前 時 ~ 午後 時 製造銘柄数 製造数量( 単位をそれぞれ選択 ) 約 銘柄 月産 kg 日産 約 トン 組織図 工場全体図 設備リスト 帳簿書類リスト 製品リスト 別添 1 組織 体制図のとおり別添

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平成 30 年更新時 目次 1. 作業区分 1-1) 作業の切替え ( 共通基準 1-4-1) 1-2) 調理従事者 2 2. 食品などの衛生的な取扱い 2-1) 食品添加物の使用 ( 共通基準 3-2) 2-2) 油脂の衛生管理 2 2-3) 加熱調理食品の冷却 3 2-4) 弁当の調整 4 2-


バリデーション基準 1. 医薬品 医薬部外品 GMP 省令に規定するバリデーションについては 品質リスクを考慮し 以下の バリデーション基準 に基づいて実施すること 2. バリデーション基準 (1) バリデーションの目的バリデーションは 製造所の構造設備並びに手順 工程その他の製造管理及び品質管理の

HACCP を導入しようとした理由過去に HACCP 導入に取り組んだ経験 : 無 海外輸出を目指すため ( 過去に HACCP 未導入を理由に海外輸出の案件断られたことあり ) 当該食品等事業者を選定した理由 海外への輸出事業を今後視野に入れており HACCP 導入への意欲があるため 当該事業者と

(1) 作成上の留意点 清潔で衛生的な食品の製造あるいは加工環境を確保するための要件を わが国では 一般的衛生管理プログラム と称しています このプログラムの内容は コーデックス委員会による 食品衛生の一般的原則 に示されたものと同じであり 安全で良い品質の食品を製造あるいは加工するための設備や器具

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背景 消費者の食品の安全性に対する関心 要求は 平成 7 年の腸管出血性大腸菌 O157による食中毒事件を機に一気に高まり 消費者は 安心して食べられる安全な食品 を強く求めています このような消費者の要望に応えるため 食品業界では食品の安全性の確保のため世界的に有効な衛生管理手法として認められてい

1 項目 内容事項 有 無配点得点有 無配点得点有 無配点得点有 無配点得点 1) 挨拶励行 気持良い挨拶励行の 1 実施 ) 疾病管理 健康診断 : 年 1 回 2 検便 : 年 2 回以上実施しているか ) 4) 5) 6) 製造室入室手洗い 消毒 製造室入室ローラー

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~食の安全規格~ HACCP・ISO22000・FSSC22000 について

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4-3-1節類製造作業_実施計画モデル例_

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目次 4. 組織 4.1 組織及びその状況の理解 利害関係者のニーズ 適用範囲 環境活動の仕組み 3 5. リーダーシップ 5.1 経営者の責務 環境方針 役割 責任及び権限 5 6. 計画 6.1 リスクへの取り組み 環境目標

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1. 適用範囲 総合衛生管理 HACCP 認証協会の HACCP システムは 食品業界のあらゆる分野の業者が 自分たちが供給する製品は納得できる品質を保つ安全なものとして 品質や法律上の要求事項を満たしているとの客観的証拠を提供するときに利用できるよう HACCP システム要求事項を明記している 規

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一太郎 12/11/10/9/8 文書

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帳簿一覧 フローチャート 品質の確保に関するフローチャート 苦情処理フローチャート 不具合及び回収に関するフローチャート 設置管理医療機器の取扱に関するフローチャート 記録書式 管理者の継続的研修受講状況記録票 品質等点検表 苦情処理記録票 不具合等に関する報告書 回収処理記録票 教育訓練実施記録票

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4. 加熱食肉製品 ( 乾燥食肉製品 非加熱食肉製品及び特定加熱食肉製品以外の食肉製品をいう 以下同じ ) のうち 容器包装に入れた後加熱殺菌したものは 次の規格に適合するものでなければならない a 大腸菌群陰性でなければならない b クロストリジウム属菌が 検体 1gにつき 1,000 以下でなけ

消費者安全専門調査会の今後の進め方(案)について

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< 目次 > 全体解説 3 I 食品安全マネジメントシステム (FSM) FSM1 食品安全マネジメントシステム一般要求事項 C 4 FSM2 食品安全の方針 A/B/C 5 FSM3 食品安全マニュアル C 6 FSM4 経営者の責任 A/B / トップマネジメントの責任 C 6 FSM5 経営者

(1) 作成上の留意点 HACCPプランに記載しなければならない事項 ( 項目 ) は CCPと決定した工程のNo. CCPのNo. 危害要因 危害要因の発生根拠( 発生要因 ) 管理手段 管理基準 (CL) モニタリング方法 改善措置 検証方法 記録内容( 記録文書名 ) です なお 本章では管理

い 9以上に達した事業者は 確認申請書 ( 様式第 3 号 ) を保健所長に提出することができる 2 保健所長は 前項の申請に基づき 自己採点の妥当性を確認するものとする 3 保健所長は 前項の結果 自己採点が妥当であると認めた施設に対して 衛生管理向上プログラム終了証 ( 様式第 4 号 ) を交

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従事者等の衛生管理点検表 氏名 下痢 嘔吐 発熱等 化膿創 服装 帽子 毛髪 履物 爪 指輪等 手洗い 点検項目 1 健康診断 検便検査の結果に異常はありませんか 2 下痢 嘔吐 発熱などの症状はありませんか 3 手指や顔面に化膿創がありませんか 4 着用する外衣 帽子は毎日専用で清潔のものに交換さ

別記第 2 号様式 ( 第 3 関係 ) その 2 HACCP に基づく衛生管理導入の 評価調書 ( バックヤード編 ) ( 評価事業用 ) 評価施設名 評価の対象となった部門 実施年月日 平成年月日 評価実施者 申請にあたっては 評価の対象となった部門のチェックシートと HACCP 自主点検票を提

トレーサビリティ 原料ロット管理 CyberChefood は 食品製造工場の安心 安全 効率化を 支援するための 食品工場向け製造管理システム です 品質管理の徹底 HACCP対応 小分け作業 ミス防止 CyberChefood 原料の受入から在庫管理 小分け作業 賞味期限管理 投入 製造 作業ミ

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の差については確認できないが 一般的に定温で流通している弁当の管理方法等についてアンケートにより調査した その結果 大部分の事業者が管理温度の設定理由として JAS 規格と同様に食味等の品質の低下及び微生物の繁殖を抑えることを挙げ 許容差は JAS 規格と同様に ±2 としていた また 温度の測定方

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健康食品 GMP 教育ツールの構成と利用方法 本ツールは 健康食品 GMP および GMP マークの説明 と Q&A の 2 部構成になっています それぞれ 2 枚で 1 組となっており 1 枚目にはポイントを示し 2 枚目 ( 右下に 解説 とあるスライド ) に詳しい説明が記載されています

1. 飼料安全をめぐる最近の情勢 (1) 安全確保の枠組みの変化 食の安全確保に関する国際的な考え方 フードチェーンアプローチ生産から消費までの全段階において 安全管理を徹底 リスク分析リスク評価 リスク管理 リスクコミュニケーションの3つのプロセスにより 事故を未然に防ぎ リスクを最小にする 上記

基本事項 本制度における用語の定義 適用除外を以下のようにする 1 水産物淡水産又は海産の魚類 甲殻類 その他の水棲動物 ( かえる くらげ なまこ うに及びこれらの動物の卵などであって鳥類とほ乳類を除く ) 二枚貝類 海藻類 海獣類であって 人の食用に供するもののことをいう 2 水産食品水産物がそ

商品特性と取引条件 商品名 (1) 展示会 商談会シート 記入日 : 最もおいしい時期 (2) 賞味期限 消費期限 (3) 主原料産地 ( 漁獲場所等 )(4) JAN コード (5) 内容量 (6) 希望小売価格 ( 税込 )(7) 1ケースあたり入数 (8) 保存温度帯 (9) 発注リードタイム

化粧品製造販売業 GQP GVP とは? 今まで 化粧品輸入販売業などの許可をお持ちの方は 製造販売業に許可が変わったことにより やらなくてはならない業務 が増えました それが GQP や GVP です ところが GQP や GVP を定めた省令などを読んでも 意味が分かりにくい という声を聞きまし

FSMS ISO FSMS FSMS 18

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参考 < これまでの合同会合における検討経緯 > 1 第 1 回合同会合 ( 平成 15 年 1 月 21 日 ) 了承事項 1 平成 14 年末に都道府県及びインターネットを通じて行った調査で情報提供のあった資材のうち 食酢 重曹 及び 天敵 ( 使用される場所の周辺で採取されたもの ) の 3

目次 序文 3 I 食品安全マネジメントシステム (FSM) 6 FSM2 食品安全の方針 6 FSM4 経営者の責任 6 FSM5 経営者の積極的な関与 7 FSM7 資源の管理 7 FSM8 文書 記録の管理 7 FSM10 手順 9 FSM12 不適合への対応 9 FSM13 是正処置 10

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目次 序文 3 I 食品安全マネジメントシステム (FSM) 6 FSM2 食品安全の方針 6 FSM4 経営者の責任 6 FSM5 経営者の積極的関与 7 FSM7 資源の管理 7 FSM8 文書 記録の管理 7 FSM10 手順 9 FSM12 不適合への対応 9 FSM13 是正処置 10 F

目について以下の結果を得た 各社の加熱製品の自主基準は 衛生規範 と同じ一般生菌数 /g 以下 大腸菌 黄色ブドウ球菌はともに陰性 未加熱製品等の一般生菌数は /g 以下であった また 大腸菌群は大手スーパーの加熱製品については陰性 刺身などの未加熱製品については

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資料編 に委託して製造をする場合を含み 他から委託を受けて製 造する場合を含まない ) をし 又は輸入した化粧品を製造 販売のために出荷することをいう 製造販売業者 とは 会社の経営陣 ( 取締役等 ) を指します 薬事法施行規則第 92 条 (4) ロット とは 一の製造期間内に一連の製造工程によ

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3. HACCP 導入のポイント 3.1 HACCP 手法を理解する 3.1.1 HACCP の基本 3.1 HACCP 手法を理解する 3.1.1 HACCP 手法の基本 3.1.2 HACCP 導入の効果 3.1.3 HACCP 手法の導入手順 3.2 HACCP 手法を効果的に活用する HACCP 前提条件フ ロク ラム (PP) 一般的衛生管理フ ロク ラム適正製造規範 (GMP) 衛生標準作業手順 (SSOP) マネシ メントシステム ISO22000 ISO9001 1 2 2( 従来 ) 最終検査管理 (HACCP) 工程管理 品管検査 GMP: 製品そのものの品質 ( 成分ほか ) 作業標準 品管検査 ( 製品 ) 出荷可否判断 1 HACCP の基本を表す言葉 原材料入荷各工程製品出荷 HACCP: From Farm to Table チェック 工程中の危害分析を行い 危害防止のために重要管理点はどの工程で どう管理する 原材料の生産 加工をチェックし 安全 適正原材料が入荷出来る様にする HACCP 総括表 改善対策 製品の輸送 販売 消費の流れをチェックし問題が生じない製品包装 運搬保存方法を規程する 3 4 3.1.2 HACCP 導入の効果 1HACCP は食品業界の現状を改善出来るか 食中毒発生や食品回収の防止となるか 食中毒の発生原因について 1. 汚染された食材の使用 2. 調理 製造過程で汚染される 3. 調理品の保管 加熱温度などの管理が不適で食品が汚染される 4. 汚染された調理や作業する人から食品が汚染される 食品回収の原因について 1. 回収原因の殆どが人の作業に起因する 2. 危害について 回収原因の予測 対策が取られていない 3. 作業標準が無かったり 機能していない 5 6 1

食品事故の具体例 乳業メーカー ; 製品に菌産出の毒素が混入し 飲用した消費者が食中毒を起した 食中毒菌と毒素の関係が周知されていなかった 作業者は殺菌すれば菌は死ぬと思っていた 実際は殺菌する前に毒素を産出していた ハムメーカー ; 飲料水の殺菌用次亜塩素酸ナトリウムが不十分 分析検査時に水中の有機物等と試薬が反応し塩化シアン生成 これらから使用水が汚染したと判断し 出荷した製品を回収した 井戸水や使用水の水質管理が不十分なため 原水から問題が生じたと先入観があった 遊離残留塩素を連続的に測定する改善を行った 7 パンメーカー ; 製造工程でパンにノロウイルスが付着し 学校給食で食中毒が発生した パン焼きオーフ ン工程後の包装工程で 保菌者の作業者が素手のまま作業した 食材受け入れ 下処理 発酵 焼成 冷却 箱詰包装 出荷 8 2 これらの原因を HACCP の導入で除去する 危害を予測していない HACCPを導入すると 危害要因を予測し除去する 殆どが人の作業に起因する HACCP を導入すると 一般的衛生管理が充実する 9 HACCP を導入した場合 3 要素が強化されるので 商品等の事故に繋がりにくい 搬入 工程 1 工程 2 工程 3 出荷 通常の生産 HACCP 管理 一般的衛生管理 3 要素が人強化され設備る環境 安全な商品 従来管理に上乗せ管理 異常時の生産 HACCP 管理 一般的衛生管理 非安全な商品事故 回収 異常時の生産の場合事故に繋がり易い 10 3.1.3 HACCP 手法の導入手順 HACCP 手法を導入するには CODEX ガイドラインに沿うことが合理的である HACCP7 原則 12 手順を理解する 1 HACCPの7 原則原則 1. 危害分析原則 2. 重要管理点 (CCP) を設定原則 3. 管理基準の設定原則 4. モニタリンク 方式を設定原則 5. 改善措置を設定原則 6. 検証手順を設定 原則 7. 記録の文書化と保持規定を設定 11 12 2

2 HACCP を導入する際の 12 手順 1. HACCP 専門家チームの編成 2. 製品についての記載 3. 意図する用途 対象消費者の確認 4. 製造工程一覧図 ( フロータ イアク ラム ) 標準作業手順書及び施設の図面作成 5. 製造工程一覧図等の現場確認 6. 危害分析 ( 原則 1) 7. 重要管理点 ( 原則 2) 8. 管理基準の設定 ( 原則 3) 9. モニタリンク 方式を設定 ( 原則 4) 10. 改善措置を設定 ( 原則 5) 11. 検証手順を設定 ( 原則 6) 12. 記録の文書化と保持規定を設定 ( 原則 7) 13 手順 1. HACCP チームを編成する ( 製造 施設等の各責任者 技術者 HACCP 実務者等で編成 ) 手順 2. 対象食品 ( 含む原材料 ) を明確にする ( 製品の種類 名称 ) ( 原材料の名称および種類 ) ( 添加物の名称およびその量 ) ( 容器の形態 材質 ) ( 性状および特性 ) ( 製品の規格 ) ( 賞味期限 ( 消費期限 品質保持期限 )) 保存の方法 ) ( 喫食または利用の方法 ) ( 販売の対象とする消費者 ) 14 手順 3. 意図する用途と対象消費者の確認 ( 喫食または利用の方法 ) ( 販売の対象とする消費者 ) ( アレルキ ー反応を起こしやすい消費者ヘの対応 ) 手順 4. 製造工程一覧図 ( フロータ イアク ラム ) 標準作業手順書及び施設の図面作成 ( 原材料受入れ ~ 製品出荷の工程や作業 ) ( 作業手順書 (SOP) 作成 ) 手順 5. 製造工程一覧図等の現場確認 ( フローや作業手順書を実際作業について確認する ) 手順 6( 原則 1) 危害分析 (1). その製品を製造する過程でどのような危害が発生するか分析する (2). 危害は三危害に分類すると分析し易い 1. 生物学的危害 ; 食中毒菌など 2. 化学的危害 ; 農薬 洗剤など 3. 物理的危害 ; 異物混入 15 16 危害分析表の例 製造工程 危害 危害の原因 ( 発生要因 ) 原材料 1. 野菜 微生物の汚染 生産者の取扱不良 異物混入 流通保管時の温度 管理不良 下処理 6. 混合微生物の汚染 増殖 冷蔵温度管理不良従業者の取扱不良使用器具の衛生管理不良 防止措置 仕入れ時のチェック受入検査の徹底流通保管時の温度管理 冷蔵温度管理手指の衛生管理使用器具の衛生管理 洗浄剤の混入洗浄不良作業標準徹底 異物混入混合機整備不良混合機の永期整備 17 手順 7( 原則 2) 重要管理点 (CCP) 設定 (1). 危害分析した中で 人体に影響を与える重要な管理点 ( 場所 工程 作業段階 手順 ) を決定する (2). 決定する条件 1. 原因物質の混入防止 2. 中毒菌の死滅 完全な除去 3. 安全な範囲内に収める 4. 後工程では除去などが出来ない工程 18 3

重要管理点 (CCP) の設定のポイント フローダイアグラムが基本 CCP などを設定する 1 フローダイグラムの作成について研修を受けて 正しい活用方法を修得する 2 フローダイアグラムから全ての作業が分かる製造棟などの清潔ゾーン区分 どこが危険か 何に注意する必要があるか CCP はどこかなど 3 フローダイアグラムは効率化のツールであるどの工程 作業が非効率か どのような人 物の動線が合理的かなど判断に使用出来る 4 作成したフローダイアグラムが現場と合致している机上で作成したフローダイアグラムは現場の作業と合致していないと 何の役にも立たない 19 デシジョンツリーのモデル この工程 又は後工程で当該危害を防止することが出来るか 危害の発生除去か許容水準まで低減させられるか CCP となる このままでは当該危害が許容水準を超えて発生又は増加するか 後工程で当該危害を防止することが出来るか CCP ではない 製造条件 製品仕様変更し 再危害分析する この工程の制御が危害管理のため必要か 20 手順 8( 原則 3) 管理基準の (CL) 設定 (1). 管理点ごとに管理基準を決める (2). 管理基準は危害の発生を防止できる限界の基準値 1. 製造工程中の運転管理基準とは異なる 2. 重要管理点の管理基準は迅速に測定が出来るパラメータ数値でなければならない 3. 科学的な根拠による基準値 21 (3). 管理基準の設定 CCP 管理基準 (critical limit) と製造管理基準 (control limit) とは異なる 1CCP 管理基準 ; その工程で危害を防止するための限界条件 2 製造管理基準 ; その工程で CCP 管理基準を満たすための機器設備等の運転条件 例 ; 殺菌機の温度管理 CCP 管理基準は 75 で 3 分の場合製造管理基準は 77 で 10 分としなければ CCP 管理基準を満たせない事前の 検証 (validetion) で条件を確認しておかなければならない 22 手順 9( 原則 4) モニタリング方法設定 ( 例 ) 原材料生産 製造 生産時の各種記録 原材料受入 受入検査 記録 調合 調理 秤量 調合確認 記録 手順原則 10( 5. 改善措置設定原則 5) 改善措置設定 手順 11( 原則 6) 検証手順を設定 充填 温度 充填量の確認 記録 手順 12( 原則 7) 記録の文書化と保存規定を設定 密封熱処理 殺菌冷却 密封の確認 記録 重要管理点 CCP 殺菌温度 時間 記録 水質 温度確認 記録 トレーサヒ リティ これら原則 1~7 を一括表にまとめたもの HACCP 総括表 包装 密封性 衝撃の確認 記録 製品出荷消費者 製品検査 記録保管 配送時各種記録 23 24 4

HACCP 総括表 ( 例 ) 工程 危害 危害の原 因 1. 食材受け入れ 微生物の汚染異物混入 2. 保管微生物の増殖 3. 下処微生物の理汚染 取扱い不良 防止措置 受入時のチェック 保管施設保管庫のの不良衛生管理従業者の使用器具取扱い不の衛生管良理 重要管理点 増殖 4. 加熱 微生物の 殺菌不良 加熱温度 CCP 調理 残存 時間管理 5. 盛付 微生物の 従業者の 手指の衛 汚染 取扱い不 生管理 異物混入 良 6. 保管 微生物の 保管施設 保管庫の 増殖 の不良 衛生管理 7. 食品 微生物の 作業マニュアル 提供 汚染 遵守 従業者の取扱い不良 管理基準監視 記録改善措置検証 外観, 臭い鮮度異物検出品温野菜 以下製品検査での検出 仕入れごと 温度計 1 日 3 回作業記録 加熱温度温度計 以上作業ごと製品検査での検出 保管温度 以下マニュアルの遵守 不良品の返却 記録の確認 不良品の廃棄 記録の確認 不良品の 記録の確 廃棄 認 再加熱 1 日 1 回衛生管理の徹底 温度測定定期検査細菌検査 温度計 1 日 3 回 再加熱廃棄 記録の確認 1 日 1 回 衛生管理 記録の管 の徹底 理 25 手順 11( 原則 ) 検証 (Verification) 手順を設定 CCP の管理 システム全体は決められた通り行われているか検証する 1 運転 作業 記録などが決められた通りに行われているか検証する 手順を決めて検証は行う 前項記録表の例イ測定し記述する担当者の他に 上司等の責任者が捺印確認する ロ捺印責任者がいない場合の代行者を決めておく 2 検証 (Validation) も重要な事項作業の内容 作業標準等は適正な管理基準に裏付けされているか検証する 26 手順 12( 原則 7) 記録の文書化と保存規定を設定 記録原本の保管場所 責任者などを決めておく 1 製造運転記録表の例 製造記録をパソコンで入力し 保管活用する場合 入力ミスなど 結果的には記録の改竄 ( かいざん ) となる 記録数値を書き直せる様な用具では記述しない 2 保管するだけでなく 系統だってトレーサビリティが出来る様に整理基準を作り 保管する 3 記録類の保管期限も法律により多々あり 注意を要する主な記録類の保管期限 食品衛生法 弁当 そうざい規範 ;1 年以上 東京都自主衛生管理 GMP ;3 年以上 PL 法 ; 10 年以上 (ISO 等は期限記載なし ) 3.2 HACCP 手法を効果的に活用する (1).HACCP12 手順に沿って自社に合った HACCP 導入を行う (2). 正しく導入出来ると作業が合理的になる (3). 必要のない書類は作らない 27 28 (1) 自社に合ったHACCP 導入の流れ HACCP 導入への始まり 経営者のポリシーほかポイント1 導入の事前準備ポイント2 既存状態の改善 ( ソフト ハード面 ) ポイント3 導入結果の把握導入に対しての第三者認証 29 ホ イント 1 HACCP 導入の事前準備 1. 前提条件プログラムを確実にクリアする そのためには 5S 活動等は有効である ハード ソフトは 絶対に人が 誤らない方法 で行う 2. 7 原則を先ず理解する HACCP システムを全員が理解する 危害を及ぼす恐れのある箇所を分析し 解決方法を決める 実行した結果を記録しておく 30 5

前提条件フ ロク ラム (Prerequisite Program) とは HACCP システム (CODEX 委員会カ イト ライン ) では PP と略し ISO22000 等では PRP OPRP などど記載している 総合衛生管理製造過程 では具体的項目は下記となっている ⅰ. 施設設備の衛生管理 ⅱ. 従事者の衛生教育 ⅲ. 施設設備及び機械器具の保守点検 ⅳ. そ族昆虫の防除 ⅴ. 使用水の衛生管理 ⅵ. 排水及び廃棄物の衛生管理 ⅶ. 従事者の衛生管理 ⅷ. 食品等の衛生的取扱い ⅸ. 製品の回収方法 ⅹ. 製品等の試験検査に用いる機械器具の保守点検 * 前提条件プログラムをクリアするには 5S 活動が最適である 31 ホ イント 2 既存状態の改善 低コスト HACCP が主流となっている高度化に対する基準が実態に合って来て 全てハードで行わなくても良いという方針に変わって来た 樹脂カーテンで間仕切りした例 ステンレスハ ーテーションで間仕切りした例 32 ホ イント 3. 導入結果の把握 正しく導入出来ると作業が合理的になる 33 重要管理点 (CCP) を検討した結果の例 1 急速冷凍工程はCCP 1となる ; デシジョンツリーで判定した結果 危害を低減する工程所定温度と時間を管理することで 菌の繁殖を防止する 2 金属検出工程はCCP 2となる ; デシジョンツリーで判定した結果 CCP 管理する 3 下記の事故例の原因はフローダイアグラムからは予測検出は難しい 菓子メーカー ; 製造工程で製品にガラス片が混入した 製造機器付属の照明器具のカ ラスが破損して混入したが 作業者が割れた状況 混入した状況に気がつかなかった 食材受け入れ保管下処理加工急速冷凍盛付 包装金属検出冷凍保管食品提供 CCP1 CCP2 34 モニタリンク 方式を設定 CCP 管理でのモニタリングの条件とは? 1 連続測定が原則 2 二種類以上の方法で測定 3 測定個所等と CCP 管理基準の検証 4 モニタリング機器の検証は定期的な校正で行う 改善措置の設定例企業にとって最重要な項目 金属検出機の例金属検出機で検出された製造品はどうする? 35 36 6