Article ID: NVSI-060132JP Created: 2006/11/28 Revised: - DataDomain を使用した NetVault Backup VTL レプリケーション環境における複製先からのリストア 1. 概要 NetVault Backup 7.1.2 と DataDomain OS 3.3.2.3-27034 以前の組み合わせで NetVault の仮想テープ ライブラリ (VTL) を DataDomain の機能を使用して複製するソリューションにおいて レプリケーションの設定を解除せずに 複製先の VTL からリストアを行うことは出来ませんでした これは 以下の制約があったためです DataDomain のレプリケーションの設定を行った場合 レプリケーション対象となる領域は ReadOnly となります DataDomain OS 3.3.2.3-27034 以前では 筐体単位のレプリケーションの構成のみが可能でした よって DataDomain 上に VTL を構築した場合 VTL を構成するファイル全てがレプリケーション対象となり かつ ReadOnly となりました NetVault Backup ver.7.1.2 では VTL からリストア処理を行う際に VTL のメディアに相当するファイルを移動する処理が必要でした しかし レプリケーション先の VTL が ReadOnly ファイルシステム上にあるために ファイルの移動処理ができずに結果としてリストア処理が出来ませんでした 最新バージョンの NetVault Backup および DataDomain OS を使用する事により 上記の制約を回避することができるようになり レプリケーション先でもリストアが可能となりました DataDomain のレプリケーションの設定中は ReadOnly となることは変わりませんが 複製対象としてディレクトリを指定することが可能となりました NetVault Backup ver.7.4.2 では VTL の内部構造が変わり VTL のメディアに相当するファイルは移動をしなくなりました 注意 : 本文書で検証している手法は NetVault 7.4.2 の新規インストール時にのみ有効です NetVault7.1.x などから NetVault 7.4.2 にアップグレードされた環境では有効ではありません 本検証では DataDomain のレプリケーション機能で複製された VTL から NetVault7.4.2 を用いてリストアが行える事を確認しました 動作概要は以下の通りとなります ( ローカルサイトは複製元の VTL が存在するサイトです ディザスタリカバリ (DR) サイトは複製先の VTL が存在するサイトです ) 1 ローカルサイトで DataDomain 上の VTL にバックアップを取得 2 DataDomain の機能により ローカルサイトの DataDomain からディザスタリカバリ (DR) サイトの DataDomain へバックアップデータを複製 Page(s): 1/14
3 DR サイトで 別の NetVault Server で DataDomain 上にある VTL およびメディアの認識 4 DR サイトでリストアの実施 注意 : DR サイトで VTL を再認識させるためには DataDomain 側で正常に複製処理が行われていることが前提となります 2. 検証環境 表 2-1 DataDomain 1 の構成 メーカー DataDomain 機種 Model 410 DataDomain OS 3.3.2.3-27034 内蔵ディスク容量ホスト名 160GB Disk x 8 dd45 表 2-2 DataDomain 2 の構成 メーカー DataDomain 機種 Model 410 DataDomain OS 3.3.2.3-27034 内蔵ディスク容量ホスト名 160GB Disk x 8 dd46 表 2-3 NetVault Backup Server 1 の構成 メーカー HP 機種 DL380G2 CPU Pentium III 1.4GHz x 1 Page(s): 2/14
メモリ 1GB 内蔵ディスク容量 Ultra160 SCSI 36GB Disk x 1 NIC Intel 8255x-based PCI Ethernet Adapter (10/100) x 2 OS Red Hat Enterprise Linux AS v.4 Update3 NetVault Backup NetVault 7.4.2 R2006MAY30-EXCALIBUR ホスト名 nvssrc 表 2-4 NetVault Backup Server 2 の構成 メーカー HP 機種 DL380G2 CPU Pentium III 1.4GHz x 1 メモリ 1GB 内蔵ディスク容量 Ultra160 SCSI 36GB Disk x 1 NIC Intel 8255x-based PCI Ethernet Adapter (10/100) x 2 OS Red Hat Enterprise Linux AS v.4 Update3 NetVault Backup NetVault 7.4.2 R2006MAY30-EXCALIBUR ホスト名 nvsdst 3. 設定方法 検証項目 結果 初期設定 ローカルサイトで VTL を作成し VTL を構成するファイルなどを DR サイトに複製する設定を行います 1. NetVault Backup Server 1(nvssrc) を NetVault Backup Server として構成します 2. DataDomain 1(dd45) の backup と ddvar という NFS 領域を nvssrc にそれぞれ /dd/ddvar, /dd/backup としてマウントします ( マウントポイントは事前に作成しておく必要があります ) # mount t nfs o hard,intr,nfsvers=3,tcp,rsize=32768 dd45:/ddvar /dd/ddvar # mount t nfs o hard,intr,nfsvers=3,tcp,rsize=32768 dd45:/backup /dd/backup 3. nvssrc で /dd/backup に 名前を NewLibrary として VTL(1 ドライブ 4 スロット 1000MB メディア ) を作成します 4. nvssrc で バックアップを実行します Page(s): 3/14
5. VTL のドライブにロードされているメディアを全てアンロードします 6. nvssrc で NetVault Backup のサービスを停止します # /usr/netvault/etc/startup.sh stop 7. DataDomain1(dd45) と DataDomain 2(dd46) でレプリケーションの設定を行います レプリケーションの対象は dd45 上の VTL の media ディレクトリを dd46 に同じディレクトリ構造でレプリケートします VTL を構成するディレクトリとその下にあるファイルの複製方法を以下にまとめます ディレクトリ 概要 複製方法 media VTL 作成時に指定したメディア容量を持つファイルがスロット数分 格納されます これらが VTL のメディアに相当します VTL にバックアップすると そのデータがこのファイルに保持されます これらのファイルが移動することはありません DataDomain のディレクトリ単位のレプリケーション機能 ( 手順 7 参照 ) slots VTL 作成時に指定したスロット数分のディレクトリを保持します これらが VTL のスロットに相当します それぞれのディレクトリにはそのスロットに存在し 設定時に一度だけ NetVault サービスを停止した状態で OS のコマンドを使用してディレクトリ全体をコピー ( 手順 11 参照 ) Page(s): 4/14
drives ている media に関連付けを持つ小さなファイルが格納されます media がドライブにロードされると その小さなファイルが drives ディレクトリの下のドライブに相当するディレクトリに移動します このディレクトリの下ではファイルの移動は発生しますが ファイルの内容に変更は生じません VTL 作成時に指定したドライブ数分ディレクトリが作成されます これらが VTL のドライブに相当します VTL としてドライブにメディアがロードされると それぞれのドライブに相当するディレクトリには media に関連付けられた小さなファイルが slots 以下のディレクトリから移動してきます このディレクトリの下ではファイルの移動は発生しますが ファイルの内容に変更は生じません 設定時に一度だけ NetVault サービスを停止した状態で OS のコマンドを使用してディレクトリ全体をコピー ( 手順 11 参照 ) (dd45: レプリケーション元で ) # replication add source dir://dd45/backup/newlibrary/media destination dir://dd46/backup/newlibrary/media (dd46: レプリケーション先で ) # replication add source dir://dd45/backup/newlibrary/media destination dir://dd46/backup/newlibrary/media (dd45: レプリケーション元で ) # replication initialize dir://dd46/backup/newlibrary/media (00:01) Waiting for replication initialization to start (00:03) Replication initialization started (00:03) : (00:17) 100%: initializing 3/3 (00:17) Replication initialization completed. 8. NetVault Backup Server 2(nvsdst) を NetVault Backup Server として構成します 注意 : DR サイトの NetVault Backup Server は ローカルサイトと同じ OS 同じ NetVault Backup のバージョンである必要があります 9. nvsdst で NetVault Backup サービスを停止します # /usr/netvault/etc/startup.sh stop 10. dd46 の ddvar と backup という NFS 領域を nvsdst にそれぞれ /dd/ddvar, /dd/backup としてマウントします また dd45 の backup という NFS 領域を nvsdst に /ddsrc/backup としてマウントします # df dd46:/ddvar 20642432 57984 19535872 1% /dd/ddvar dd46:/backup 706798080 36864 706761216 1% /dd/backup dd45:/backup 706798080 64512 706733568 1% /ddsrc/backup... 11. nvsdst 上で OS のコマンドによって /ddsrc/backup/newlibrary/drives/ と /ddsrc/backup/newlibrary/slots/ をそれぞれ /dd/backup/newlibrary/drives と /dd/backup/newlibrary/slots/ にコピーします # cp r /ddsrc/backup/newlibrary/drives /dd/backup/newlibrary/ Page(s): 5/14
# cp r /ddsrc/backup/newlibrary/slots /dd/backup/newlibrary/ 12. nvssrc で NetVault Backup のサービスを起動します # /usr/netvault/etc/startup.sh start 13. nvsdst の /ddsrc/ をアンマウントします # umount dd45:/backup DR サイトでの環境の復旧の設定 DR サイトで複製された VTL データを別の NetVault Backup サーバから認識をさせ実際にリストアを試します 1. nvsdst で diskdevices.cfg を編集し VTL を復旧します ( 青字部分を追加します ) [Configurator] Page Name=Plugin Options Page Name Id= 102100040 [DiskDevices:AllowEntryExitPorts] Tab Name=Disk Devices Plugin Tab Name Id= 102100041 Type=Checkbox Label=Allow disk libraries to have entry/exit ports Label Id= 102100042 Value=false [libraries] location=/dd/backup/newlibrary [drives] location=/dd/backup/newlibrary/drives/1 location=/dd/backup/newlibrary/drives/2 2. nvsdst で NetVault Backup のサービスを起動します # /usr/netvault/etc/startup.sh start 3. nvssrc で NetVault Backup のサービスを停止します 注意 : DR サイトでの VTL データの整合性を保持するためにローカルサイトの NetVault Backup のサービスを停止する必要があります 4. DataDomain 側でバックアップデータがレプリケートされた事を確認後 nvsdst 側で VTL を追加します Page(s): 6/14
5. nvsdst でデバイス管理画面を表示します nvssrc でバックアップしたデータを持つメディアは 他 NetVault というステータスで認識されます このメディアに対して スキャン を行い メディア内のカタログ情報を nvsdst 側の NetVault Database にインポートします 注意 : DR サイトでのブランクメディアとして認識されているメディアに スキャン を行っても処理が行われません その場合は そのブランクメディアを強制的に ロード することによって その後に スキャン を行うことが可能になります 初期の VTL の複製を行う前に すべての VTL メディアにラベルを付ける運用をお勧めします 注意 : 複製中に複製元のシステムに問題が発生した場合には 複製処理中であった VTL メディアは問題が生じ使用できない可能性があります ご注意ください Page(s): 7/14
6. nvsdst でリストア処理を確認します バックアップを取得したサーバとリストア先のサーバが異なるためターゲットクライアントを変更する必要があります 注意 : バックアップを取得したサーバとリストア先のサーバが異なるため 別の NetVault マシンへのリストア処理となります よって 別の NetVault マシンへのリストアがサポートできない APM はご利用になれません # ll /data 合計 4 -rw-r-r-- 1 root root 15 9 月 7 15:28 data.nvssrc 複製元で同じメディアへ追記したときの動作確認 同じメディアに再度バックアップを行い そのバックアップデータからのリストアを試します 1. ローカルサイトで NetVault Backup Server のサービスが停止している場合は サービスを起動します Page(s): 8/14
2. nvssrc 側で初めにバックアップしたのと同じメディアにバックアップを行います 3. 次のレプリケートに備え nvsdst 側でメディアの情報を削除します nvsdst でデバイス管理画面を開き メディアを全てアンロードします 注意 : この処理を行わないと nvsdst 側の NetVault Backup Server としてメディアの情報の整合性に問題が生じる可能性があります Page(s): 9/14
4. デバイス管理画面で VTL のドアを開きます 5. nvsdst でメディア管理画面を開き 全てのメディア情報を削除します 注意 : バックアップを取得したサーバとリストア先のサーバが異なるため 別の NetVault マシンへのリストア処理となります よって 別の NetVault マシンへのリストアがサポートできない APM はご利用になれません Page(s): 10/14
6. nvsdst でデバイス管理画面を開き VTL のドアを閉めます 7. DR サイトでの VTL の整合性を保つために ローカルサイトの NetVault Backup Server のサービスを停止します 8. DataDomain 側でデータのレプリケートが実行された事を確認後 再度 メディアのスキャンを行い リストア処理の確認をします ターゲットクライアントの指定も行います 注意 : DR サイトでのブランクメディアとして認識されているメディアに スキャン を行っても処理が行われません その場合は そのブランクメディアを強制的に ロード することによって その後に スキャン を行うことが可能になります 初期の VTL の行う前に すべての VTL メディアにラベルを付ける運用をお勧めします Page(s): 11/14
注意 : 複製中に複製元のシステムに問題が発生した場合には 複製処理中であった VTL メディアは問題が生じ使用できない可能性があります ご注意ください # ls dl /tmp/etc drwxr-xr-x 83 root root 12288 9 月 7 17:51 /tmp/etc DR サイトでの DataCopy プラグインの動作確認 ここでは DR サイトに複製され再認識されたバックアップデータを DR サイトのみに存在するバックアップデバイスにコピーが行えることを試します 注意 : APM によっては DataCopy プラグインによるバックアップデータの複製がサポートされません 詳細に関しては各 APM のリリースノート等をご参照下さい 1. DR サイトの VTL を操作するために ローカルサイトの NetVault Backup Server のサービスを停止し DataDomain 側の複製処理が確実に行われたことを確認します Page(s): 12/14
2. nvsdst のローカルディスク領域 (/home/newdrive) に仮想テープ ドライブを作成し DataDomain 上の VTL から仮想テープ ドライブに DataCopy プラグインを用いてバックアップデータの複製を行うことも確認します DataCopy プラグインを用いて backup on nvssrc という保存セットをコピー対象として選択します 3. ターゲット タブで書き込み先ドライブとして ローカルディスク上に作成した仮想テープ ドライブを指定します Page(s): 13/14
4. 仮想テープ ドライブからデータのリストアが行える事を確認します nvsdst のファイルシステム上でリストア対象のファイルを削除し DataCopy された保存セットからリストア処理を行います 指定クライアントで nvsdst を選択します 注意 : バックアップを取得したサーバとリストア先のサーバが異なるため 別の NetVault マシンへのリストア処理となります よって 別の NetVault マシンへのリストアがサポートできない APM はご利用になれません 5. ファイルが正常にリストアされた事を確認します 4. まとめ # ls al /data/data.nvssrc -rw-r--r-- 1 root root 15 9 月 7 15:28 /data/data.nvssrc DataDomain のレプリケーションを構成したまま レプリケート先の VTL を用いて NetVault Backup7.4.2 でリストア処理が可能である事を確認しました ただし リストア処理中は複製元の VTL を管理する NetVault Backup Server のサービスを停止する DataDomain 側の複製処理が確実に行われたことを確認する リストア処理を行う前には必ずメディアにあるバックアップデータの情報と NVDB の情報の整合性を確保するために全てのメディアのスキャンが必要になる などの注意が必要です また レプリケート先の VTL から レプリケート先の VTL を管理する NetVault Backup サーバが独自に管理する仮想ドライブにバックアップデータをコピーする事も可能であることを確認しました 以上 Page(s): 14/14