簿記 3 級 ~ 第 6 回 テーマ 8 精算表
精算表 精算表とは 決算日に 総勘定元帳から各勘定の残高を集計した上で それらに修正すべき処理 ( 決算整理仕訳 ) の内 容を記入し 確定した各勘定の金額を貸借対照表と損益計算書の欄に移していく一覧表です 期末商品棚卸高 20 円 現金 220 220 繰越商品 10 20 10 20 資本金 220 220 売上 500 500 仕入 490 10 20 480 720 720 当期純利益 20 20 30 30 500 500 240 240 総勘定元帳から集計 決算整理仕訳に基づ 収益と費用を集計し 資産 負債 純資産 されてます ( 前 T/B) いて記入する て 利益を記入する を集計して記入 すでに記入済み皆さんが記入する皆さんが記入する皆さんが記入する 記入の流れ~ 1 資本金と売上の間が分岐点 上記が貸借対照表の項目で 下記が損益計算書の項目と理解する 2 残高試算表をながめて 繰越商品 があれば 三分法なので 仕入 / 繰越商品 繰越商品 / 仕入のイメージで 整理記入を埋めていく つまり決算整理仕訳の内容を写し込んでいくわけです 3 現金 ~ 資本金までを集計したうえで 貸借対照表の欄に記入し 売上 ~ 仕入までは利益を計算したうえで損益計算書の欄に記入する 4 損益計算書の欄で貸借差額で計算された利益は 純資産の増加でもあるので 貸借対照表の貸方に移動させる 1
ポイント ~ 1 何が貸借対照表の勘定で 何が損益計算書の勘定かを理解する 2 決算整理仕訳 つまり整理記入が重要です 一度 仕訳をメモしてその通りに記入していきましょう 3 整理記入が正確にできたか 借方合計と貸方合計の金額の一致を確認してください.... 4 あとは 機械的に 現金 ( 資産 ) なら 残高試算表の借方 + 整理記入の借方 - 貸方を貸借対照表の借方に記入.... 5 負債なら 残高試算表の貸方 + 整理記入の貸方 - 借方 と計算して貸借対照表の貸方に記入します 6 収益は貸方から集計して損益計算書へ記入し 費用は借方から集計して損益計算書へ記入します 7 損益計算書の欄で貸借差額を計算して 貸方合計が借方合計を上回っていれば 利益 が生じていますので それを..... 都合上 損益計算書の欄の借方に記入したうえで 貸借対照表の貸方 ( 右下 ) に移動させましょう! 逆に 費用の合 計である借方合計が収益を上回っていれば 損失 が生じてしまっているので P/L の右に損失の金額を書き 当 期純損失 としたうえで B/S の借方に金額を移動させます 8 すべての記入が終われば それぞれの欄で貸借の金額が必ず一致します 上記のような記入の流れを読んでみても なかなかうまくいきません 実際 私も苦労したのを覚えています でも 何回も繰り返し練習することにより より簿記のレベルが上がっていったような気がします 精算表が上達すれば 簿記 2 級 1 級にも役立ちますし その他の資格である公認会計士 税理士等にも良い結果をもたらします ここが踏ん張りどころということです!! 売上原価の算定の記入手順 例 ) 期末商品棚卸高 20 円 決算整理仕訳仕入 10 / 繰越商品 10 繰越商品 20 / 仕入 20 名前は仕入だが 売上 原価に変化している 繰越商品 10 420 110 20 売上 500 500 仕入 490 210 320 480 2
減価償却費の記入 例 ) 取得原価 1,000 の建物を 残存価額 10% 耐用年数 3 年の定額法で減価償却することにした 直接法 減価償却費 300 / 建物 300 建物 700 300 400 減価償却費 300 300 建物 700 は 過去の決算の減価償却手続きで削られた残りである つまり取得原価でない可能性がある 定額法を計算するにあたって 建物の 700 に0.9 を掛けるとまずいのである! 間接法帳簿価額 700 で同じ帳簿価額 400 で同じ 減価償却費 300 / 減価償却累計額 300 建物 1,000 1,000 減価償却累計額 300 300 600 減価償却費 300 300 建物 1,000 は 当初購入したときの取得原価のままで 一切触ってはいけない 減価償却累計額は 資産のマイナス勘定でけっして負債ではありません 減価償却累計額があるということは 建物の金額は取得原価なのである! 3
経過勘定項目の記入 例 ) 当期の 11 月 1 日に 1 年分の家賃を支払った 決算日は 3 月 31 日である 240 12 ヶ月 7ヶ月 = 140 次期へ繰越し前払家賃 140/ 支払家賃 140 支払家賃 240 140 100 ( 前払 ) 家賃 140 140 前払家賃は解答欄の下の方にあるので 費用と間違えやすい とにかく経過勘定項目は資産か負債であるとにかく経過勘定項目は資産か負債である!!! 貸借対照表 ( 経過勘定項目 ) の 4 パターン 資産負債 費用の繰延べ費用の見越し 収益の見越し収益の繰延べ 前払 未収 未払 前受 貸倒引当金の記入... 例 ) 売掛金の期末残高に対し 貸倒引当金を2% 設定する なお 処理方法は差額補充法による 300 0.02 = 6 次期へ繰越し貸倒引当金繰入 2/ 貸倒引当金 2 売掛金 300 300 貸倒引当金 4 2 6 貸倒引当金繰入 2 2 貸倒引当金は資産 ( この場合 債権 ) のマイナス勘定であり 負債ではない 4
練習問題 なお 仕訳不要のときは借方側に 仕訳不要 と記入すること 決算整理仕訳と精算表を完成させなさい なお 会計期間は *4 年 1 月 1 日から *4 年 12 月 31 日である 1 期末商品棚卸高は2,000 円 なお 売上原価は仕入勘定で計算すること 2 貸倒引当金は 売掛金の期末残高に対して2% を設定する ( 差額補充法 ) 3 備品につき定額法により減価償却する 備品の耐用年数は10 年 残存価額は取得原価の10% である 4 支払利息 300 円は当期の4 月 1 日に借り入れた借入金に対するものであり 1 年分の利息を同日に支払ったものである 5 保険料の未払分が200 円ある 6 消耗品の未使用分が300 円ある 7 売買目的有価証券の期末時価は1,250 円である 8 引出金を資本金と相殺消去する ( 単位 : 円 ) 借方貸方 1 2 3 4 5 6 7 8 5
精算表 ( 単位 : 円 ) 現金 1,200 売掛金 8,400 有価証券 1,500 繰越商品 2,500 消耗品 400 備品 5,000 借入金 3,100 貸倒引当金 100 備品減価償却累計額 900 資本金 5,000 引出金 1,000 売上 23,000 仕入 10,000 保険料 700 消耗品費 1,100 支払利息 300 32,100 32,100 貸倒引当金 ( ) 減価償却費 ( ) ( ) 利息 ( ) 保険料 当期純 ( ) 6
解答 ( 単位 : 円 ) 借方貸方 1 仕入 2,500 繰越商品 2,000 繰越商品 2,500 仕入 2,000 2 貸倒引当金繰入 68 貸倒引当金 68 3 減価償却費 450 備品減価償却累計額 450 4 前払利息 75 支払利息 75 5 保険料 200 未払保険料 200 6 消耗品費 400 消耗品 300 消耗品 400 消耗品費 300 7 有価証券評価損 250 有価証券 250 8 資本金 1,000 引出金 1,000 2 3 4 5 7 8 今回は差額補充法なので 前 T/Bの残高に対して足らない分を補充する 今回は間接法なので 備品自体は触らず 減価償却累計額にプラスする 前払利息 a/cは 経過勘定項目であり 資産である 未払保険料 a/cは 経過勘定項目であり 負債である 有価証券の時価が上昇していれば 有価証券評価益 が貸方に計上される 指示がなくても 前 T/Bに引出金 a/cをみつけたら 必ず資本金と相殺すること 7
精算表 ( 単位 : 円 ) 現金 1,200 1,200 売掛金 8,400 8,400 有価証券 1,500 250 1,250 繰越商品 2,500 2,000 2,500 2,000 消耗品 400 300 400 300 備品 5,000 5,000 借入金 3,100 3,100 貸倒引当金 100 68 168 備品減価償却累計額 900 450 1,350 資本金 5,000 1,000 4,000 引出金 1,000 1,000 売上 23,000 23,000 仕入 10,000 2,500 2,000 10,500 保険料 700 200 900 消耗品費 1,100 400 300 1,200 支払利息 300 75 225 32,100 32,100 貸倒引当金 ( 繰入 ) 68 68 ( 減価償却費 ) 450 450 ( 有価証券評価損 ) 250 250 ( 前払 ) 利息 75 75 ( 未払 ) 保険料 200 200 当期純 ( 利益 ) 9,407 9,407 7,243 7,243 23,000 23,000 18,225 18,225 8
memo 9