USB2.0 TDR 測定ガイド Feb.2007 アジレント テクノロジー株式会社 1 必要な機材 Infiniium -J 86100 C DCA 広帯域オシロスコープ 54754A 差動 TDRモジュール TDR 校正用アクセサリ Load (50 Ω) 2 個 Short 2 個 { またはN1024A TDR 校正キット } SMA( オス- オス ) 50Ω 同軸ケーブル2 本 { 上記 N1024A に同梱 } 導電マット 1 枚とリストストラップ 1 個 ホスト TDR 治具 1 個 デバイス TDR 治具 1 個 5V 治具用電源 1 個 USB ショートケーブル B コネクタ ( メス )-A アダプタ ( メス )1 本 USB ケーブル1 本 Infiniium リアルタイム オシロスコープ InfiniMax +E2678 1131A A 差動プローブ デジタルマルチメータ USB2.0 High テスト ベッド コンピュータ Speed テスト ベッド コンピュータは USB2.0 認証済みのホストコントローラを使用し High -Speed ハブまたは High -Speed デバイスに対するTDRテストを行ないます または USB2.0 テスト対象のホストとして使用します OSは Wind ows /XP( 2000 英語版 ) を使用します ソフトウェア (USBHSET.msi ) のインスタレーションについては ソフトウェアパッケージ添え付けのREADME 等を参照ください USBHSET.msi は 下記からダウンロード可能です http://www.usb.org/developers/tools/ 1
1.1 機器のセットアップ 1.1.1 Infiniium DCA 86100C/54754A タイムドメイン リフレクトメータ 注意 :TDR 測定を行なう際 事前に静電気に対する対策をおこたると サンプリングヘッドを破損することがあります 測定の際には 必ず導電マットとリストストラップを使用してください また 使用する SMA ケーブル 治具 被測定デバイスに帯電している恐れがあるので グランド ( アース ) に短絡するなどの放電処理を励行ください 本資料は 86100C のファームウェア リビジョンが A.06.01 の内容で記載されています リビジョンの確認は 上段のメニューバーから <Help> さらに <A bout 86100C > とタッチ / クリックします 下図の画面から確認できます 86100C 最新のファームウェアは 以下の弊社ホームページから無償でダウンロードにて入手いただけます http://www.agilent.co.jp/find/dca 1.2 OS ソフトウェア ドライバ 1.2.1 OS Microsoft Windows 2000 / XP ( 英語版のみ ) 1.2.2 ソフトウェア Hi-Speed Electrical Test Tool (USBHSET.msi ) が必要です 測定対象の PC HUB 及び Device は Test Mode を起動することができる必要があります テスト対象機器は EHCI ドライバを使用するため アプリケーション固有のドライバは 通常必要ありません 2
1.2.3 TDR 治具 ホスト用治具とデバイス用治具の 2 種類を提供しています それぞれの測定を行なうために 各治具は高速リレーの接続位置が逆向きに配置されています 66504 がデバイス用 TDR 冶具 66505 がホスト用 TDR 冶具です テスト ポイントの記述 テスト ポイント 電源ポート グランド グランド D- ライン D+ ライン Agilent のフィクスチャ TP2 J5 TP4, TP4, SMA2 SMA1 ホスト及びデバイス TDR 治具 治具の詳細な回路図は 下記の Web で入手可能です http://developer.intel.com/technology/usb/refdesign.htm 3
2 テスト手順 2.1 TDR 測定器の事前設定 ( 共通 ) 注意 :TDR 測定を行なう際 事前に静電気に対する対策をおこたると サンプリングヘッドを破損することがあります 測定の際には 必ず導電マットとリストストラップを使用してください 1. 86100C 本体の電源を投入します 30 分間 ( 可能であれば 1 時間 ) のウォームアップを行ってください 2. 本体右上の [Default Setup] ボタンを押し 既知の初期状態とします 3. モジュール校正をします 3.1. 上段のメニューバーから <Calibrate> さらに <All Calibrate> を選びます 多くの場合 54754A TDR モジュールは左がわのスロットに装着されているので Module タグにある < Calibrate Left Module> をタッチ / クリックします 4
3.2. Disconnect everything. と 全てをはずせ という指示がでますので 納品時に通常装着されている 50Ω ロードのアダプタも SMA ケーブルも 全て をチャネル 1 およびチャネル 2 双方から取り外します OK であれば <Continue> をタッチ / クリックします 3.3. およそ 3 分後の校正後半で以下のように チャネル 1 に 50Ω ロードを接続せよ と指示がでますので それに従ってチャネル 1 に 50 Ω ロードを接続し <Continue> をタッチ / クリックします 3.4. 次に チャネル 2 に 50Ω ロードを接続せよ と指示がでますので それに従ってチャネル 2 に 50Ω ロードを接続し <Continue> をタッチ / クリックします 3.5. 最後に 再び Disconnect everything. と 全てをはずせ という指示がでますので 50Ω ロードをチャネル 1 およびチャネル 2 双方から取り外し <Continue> をタッチ / クリックします およそ 8 時間の経過後 または 5 以上の温度変化があった場合には このモジュール校正を再度行うことを促すメッセージがでることがありますので その指示に従ってください 4. 前面パネルの TDR/TDT Mode ボタンを押し TDR 測定を選びます 5
5. Setup タグにある <TDR Setup> アイコンをタッチ / クリックし TDR Setup メニューを表示します Stimulus Mode から <Differential> を選択します 6. 差動 TDR モードにおいて 2 本のケーブル間の Skew 調整をします 6.1. TDR モジュールのチャネルのカバーとなっている放電端子に SMA ケーブルの芯線と外周導体を接触させ 充分に放電させてから チャネル 1 チャネル 2 に SMA ケーブルを接続します 6.2. TDR/TDT Setup メニューにある <De-Skew> アイコンをタッチ / クリックします (De-skew はシングルエンド測定モードでは表示されません ) 6
6.3. 下図の上段のように TDR Skew 調整ができるメニューが表示されます Horizontal のタイムスケールを大きく ( 大ノブを左に回し下図のように 2.0ps/div と ) し SMA ケーブル先端が見れるように調節します オープン開放であれば チャネル 1 の黄色が右上への段差波形に チャネル 2 の緑色が右下への段差波形として表示されます この部分 ( 枠内 ) が拡大表示されるようにスケール ( 大ノブ ) とディレイ ( 小ノブ ) で調整します 6.4. ヒント : ディレイ ( 小ノブ ) を左に回し 対象部を左端の方に移動し スケール ( 大ノブ ) を1 クリック右へ回す これをくりかえします 100ps/div または200ps/div まで拡大します 6.5. 下段の Measure タブにある ΔTime 機能にて SMA ケーブル端の時間差を読み取ります 長い方のケーブルが右側に進んだ位置に表示されます この例では チャネル 1 の黄色が チャネル 2 の緑色よりも長い場合で 時間差はマイナスとなります ( 逆に緑のチャネル 2 が長い場合は 時間差はプラスとなります ) 目標は この時間差が 1ps となることです ( 電気長が同じケーブル同士で 1ps 以下であれば以下の作業は不要です ) 7
6.6. この時間差を Horizontal Skew と TDR Skew のバランスをとって調整します ΔTime 時間差の絶対値の半分の値を Horizontal Skew の長い方のチャネル ( ここでは黄色のチャネル 1) に入力します -52ps でしたので 絶対値の半分である 25ps ないし 26ps を入力します ΔTime が減ったことが確認できます (ΔTime が増えた場合は 誤ったチャネルに入力したので <0> キーを押してリセットします ) 6.7. 残りを TDR Skew で調整します TDR ステップが進んでいるチャネルにマイナス値を入れ 遅れているチャネルにプラス値を入れてバランスをとりながら ΔTime が 1ps 以下となるように微調整します 遅れているチャネル ( ここではチャネル 2) に +10% の値を入れて増減を確めながら調整します 8
6.8. チャネル 1 に -3.9% としたところで ΔTime は 1ps 以下となり TDR Skew 調整が完了しました <Close> を押して終了します 7. 続いて TDR 校正を行います SMA ケーブルのもつ損失などの誤差要因を排除します TDR Setup メニューから <Calibration Wizard> をタッチ / クリックします 7.1. Step1 は 差動 TDR 校正を行う確認です TDR 校正に必要となる 2 個のショートと 2 個の 50Ω ロードの準備が整っていれば <Next> を押します 9
7.2. Step2 は 時間軸スケールの調整です 6 章の Skew 調整直後は非常に拡大されたスケール (100ps/div) であるので スケールを変更します SMA ケーブル端面を示すオープン端が画面左から 1 目盛り目となるように調整します 準備が整っていれば <Next> を押します [ ヒント ]TDR 校正後に時間位置を動かしたり 拡大することが可能です (Rev.A.06.00 以降で ) 広めのタイムスケール たとえば 1ns/div を用いて TDR 校正することを推奨します このとき 実際に測定に使用する治具や被測定デバイスを接続して スケールからはみ出ていないことを確認することもひとつの方法です SMA ケーブル USB ケーブル TDR 冶具 左 1 マスは SMA ケーブルのインピーダンスが見えるように設定 10
7.3. 後は Wizard の指示に従います Step3 では SMA ケーブルの両方にショートを接続し <Next> Step4 では 両方に 50Ω ロードを接続し <Next> と手順に進めます Step5 で TDR 校正は完了です <Finish> を押して終了します 8. 縦軸設定を行います Channel 1 と Channel 2 のスケールを抵抗 / インピーダンス値 (Ω) に設定します チャネルスケールのアイコンを押し <Advanced<< > を押します Transducer Conversion Factor の Unit から <Ohm> を選択します オフセットが 45Ω 10Ω/div 程度に設定します 次に <Response> キーを押し Response 1 ( 差動インピーダンス ) のスケールをオフセット 90Ω 10Ω/div 程度に設定します 410Ω/div,45ohm 2Advanced を選択 3ohm を選択 10Ω/div,90ohm 1Channel を選択 11
9. TDR Setup メニューから パルスの立ち上がり時間を 400ps に設定します ( コンプライアンス設定 ) この設定によって 400ps の立ち上がりパルスに対する インピーダンス測定が可能です 12
2.2 ホスト TDR テスト (TEST01 TEST02) 1. 試験ホストを SEO_NAK モードに移行します 1.1 被試験ホスト上で HS Electrical tool を立ち上げます 1.2 テスト対象デバイスを TEST_SE0_NAK テストモードにします 被試験ホストに TDR 冶具を接続します テスト治具の TEST スイッチ (S1) を TEST の位置に設定し TEST LED(D2 黄色 ) がオンになることを確認します 1.3 SE0_NAK モードに正常に移行されたかを確認します < オシロによる確認 > InfiniiMax プローブ ( 例 :1131A) を使って D+, D- をモニタします 冶具の TP2 をプロービングしてください コネクタに近い側が D+ です D+, D- に信号が来ていないことを確認します < マルチメータによる確認 > 次に マルチメータで D+, D- をシングルエンドでモニタします D+ と GND D- と GND を接続し 0V± 10mV 以内であることを確認します GND ピンは TP4 です これらの 2 つの作業は TDR モジュールを破損しないために必要です 2. TEST スイッチ (S1) を TEST の位置に設定されていることを再度確認してください 黄色の LED がオンになっている状態であれば正しい設定です 3. 一度 SMA ケーブルを TDR モジュールからはずします TDR 治具と SMA1 と SMA2 の同軸ケーブルを接続します SMA ケーブルを TDR モジュールの GND に落として Discharge します その後 SMA ケーブルを TDR モジュールに 再び接続します 4. 計測を行います ZHSTHRU と ZHSTERM の値が仕様の範囲内であることを確認します 13
USB Differential TDR Through impedance Termination impedance TDR Through and Termination Impedance 5. すべてのダウンストリームポートに対して 1~5 までのステップを繰り返します 14
2.3 デバイス TDR テスト (TEST01 TEST02) 1. 試験デバイスを SEO_NAK モードに移行します 1-1 被試験デバイスを TDR 冶具に接続し さらにテストベッドホスト PCを接続します 1-2 テスト対象デバイスを TEST_SE0_NAK テストモードにします 治具の TEST スイッチ (S1) を Normal の位置に設定し TEST LED(D2 黄色 ) がオフになることを確認します テストベッド PC 上で HS Electrical test tool を起動し デバイスを SE0_NAK モードにします 1-3 SE0_NAK モードに正常に移行されたかを確認します テストスイッチを Test の位置に切り替え 黄色の LED がオンになるようにしてください < オシロによる確認 > InfiniiMax プローブ ( 例 :1131A) を使って D+, D- をモニタします 冶具の TP2 をプロービングしてください コネクタに近い側が D+ です D+, D- に信号が来ていないことを確認します < マルチメータによる確認 > 次に マルチメータで D+, D- をシングルエンドでモニタします D+ と GND D- と GND を接続し 0V± 10mV 以内であることを確認します GND ピンは TP4 です これらの 2 つの作業は TDR モジュールを破損しないために必要です 2. TEST スイッチ (S1) を TEST の位置に設定されていることを再度確認してください 黄色の LED がオンになっている状態であれば正しい設定です 3. 一度 SMA ケーブルを TDR モジュールからはずします TDR 治具と SMA1 と SMA2 の同軸ケーブルを接続します SMA ケーブルを TDR モジュールの GND に落として Discharge します その後 SMA ケーブルを TDR モジュールに 再び接続します 4. 計測を行います ZHSTHRU と ZHSTERM の値が仕様の範囲内であることを確認します 15
USB Differential TDR Through impedance Termination impedance TDR Through and Termination Impedance 5. すべてのアップストリームポートに対して 1~5 までのステップを繰り返します 16
3 テスト結果 3.1 ホスト TDR テスト結果 (TEST01 TEST02) TEST01 内にある High-Speed ドライバの差動終端インピーダンス ZHSTERM は 80Ω~100Ω の範囲 関連文書 : USB 2.0 Specification, Section 7.1.6.2. Port P1 P2 P3 P4 P5 PASS FAIL NA Overall: Pass Fail N/A Comments: TEST02 内にある High-Speed ドライバのスルー インピーダンス ZHSTHRU は 70Ω~110Ω の範囲 関連文書 : USB 2.0 Specification, Section 7.1.6.2. Port P1 P2 P3 P4 P5 PASS FAIL NA Overall: Pass Fail N/A Comments: 17
3.2 デバイス TDR テスト結果 (TEST03 TEST04) TEST03 High-Speed ドライバの差動終端インピーダンス ZHSTERMは 80Ω~100 Ωの範囲にある Pass Fail N/A Comments: 関連文書 : USB 2.0 Specification, Section 7.1.6.2. TEST04 High-Speed ドライバのスルー インピーダンス ZHSTHRUは 70Ω~110 Ωの範囲にある Pass Fail N/A Comments: 関連文書 : USB 2.0 Specification, Section 7.1.6.2. 18
<DISCLAIMER OF > WARRANTIES この文書は USB2.0 コンプライアンステストにおける TDR テスト ( 現在は FYI Option 扱い ) のテスト手順を示すものです アジレント テクノロジーは この文書及びテスト手順書に関する問い合わせ 及びテスト結果に対して責任をおいません USB 規格の配布団体である USB -IF は この文書及びテスト手順に関しての問い合わせ テスト結果に対して責任をおいません この文書の記載事項は USB コンプライアンステストに関連するすべての事柄 団体 契約との実質的な関連はありません 文書は 予告なく変更されることがあります < 更新履歴 > Rev 0.5 2003/1/31 Internal Release Rev 0.8 2003/2/4 Preview Release Rev 0.9 2006/8/30 86100C 用 Release Rev0.92 2007/02/01 86100C Revision6.1 用の Release 19