338 西博行 生中雅也 西村良夫 H Br F 図 ₁ ラニレスタットの構造式 のエナンチオマー評価法の開発研究を行っている 本論文では, ラニレスタットの光学活性中間体につき, キラル HPLC を用いた評価法の検討を行った結果について報告する なお, ラニレスタットは, 糖尿病合併症薬として臨

Similar documents
A4_PDF用.indd

目 次

扉.indd

02研23_岩井.indd

重回帰分析による高校生のエネルギーおよび栄養素摂取量と食品群別摂取量との関係

別子銅山の産業遺産 東平 ( 新居浜市 ) 2017/ 9 Guarantee Information Column 地域の魅力発信 お知らせ平成 29 年 6 月 7 日から 7 月 27 日までの間の豪雨及び暴風雨による災害についての激甚災害並びにこれに対し適用すべき措置の指定について経営安定関


233 第四回日露協約と英米協調路線の再考 石井菊次郎を中心に

2014年 希望小売価格表 クボタ

★885796_消費税ハンドブックH30年度版_本体.indb

石鎚山 ( 西条市 ) 2019/ 1 Guarantee Information Column いろいろ日本百選 お知らせ 超長期借換保証 スーパーランディング 20 を創設しました 愛媛銀行女性行員との第 2 回合同研修会を開催しました伊予銀行法人融資アカデミーで講義を行いました愛媛大学ビジネス

する指導の手引き でも高校生への食育については具体的にふれられていない. 高校進学率 ₉₈.₄%( 平成 ₂₅ 年度学校基本調査 ) である高校生は, 社会に巣立つ前に, 学校教育で一斉に健康に対する自己管理能力を養うことができる最後の機会である. 健康日本 ₂₁( 第二次 ) がめざす次世代の健康

2016/ 4 Contents Guarantee Information 平 成 28 年 度 組 織 体 制 のご 案 内 050ダイヤルイン 番 号 表 変 更 のご 案 内 お 知 らせ 条 件 変 更 改 善 型 借 換 保 証 の 創 設 について 愛 媛 県 中 小 企 業 振 興

問 題 1 ₁ ₃ ₅ ₂ ₄ ₆ 問 題 2 ₁ ₂ ₃ 問 題 3 ₁ ₂ ₃ ₄ ₅ 2 2

山西央朗 山田裕也 清水斉 層 ₈ ₇ ₆ ₅ ₄ ₃ ₂ ₁ 表 ₁ 部材リスト 柱 梁 C₁, C₂ C₃ G₁ G₂ H-₄₀₀ ₂₀₀ ₉ ₁₆ H-₄₀₀ ₂₀₀ ₉ ₁₂ -₄₀₀ ₄₀₀ ₁₉ -₄₀₀ ₄₀₀ ₁₆ H-₄₅₀ ₂₅₀ ₉ ₁₆ H-₄₀₀ ₂₀₀ ₁₂ ₂₂ -₄₀

仲下 中村 木山 北村 影響を及ぼす要因について検討することを目的とした. 減量成功に影響を及ぼす促進および阻害要因を明らかにすることは, 特定保健指導を効果的に実施するうえで有用と考えた. Ⅱ 方法 1. 研究デザインと対象本研究は縦断的研究デザインを用いた.₂₀₀₈ 年 ₄ 月から₂₀₀₉ 年

放射線防護用設備・機器ガイド_2014/15年版(設備・機器資料_放射線管理用品)

₁₀) 表 1. 穀類 100 あたりの栄養成分 エネルギー kcal タンパク質 脂質 炭水化物 カリウム m 水溶性食物繊維 不溶性食物繊維 大麦押麦 ₃₄₀ ₆.₂ ₁.₃ ₇₇.₈ ₁₇₀ ₆.₀ ₃.₆ 大麦米粒麦 ₃₄₀ ₇.₀ ₂.₁ ₇₆.₂ ₁₇₀ ₆.₀ ₂.₇ 小麦 ₃₃₇ ₁

図 ₁ 試験体 図 ₂ 試験体の接合金物 図 ₃ 鋼製金物詳細 表 ₁ 試験体名と形態 斜材 ( 段組数 ( 段 ) 設置形態 B₄₀-₃D ₄₀ ₁₀₅ ₃ 対角止め B₄₀-₃C₁ ₄₀ ₁₀₅ ₃ 中央止め B₄₀-₃C₂ ₄₀ ₁₀₅ ₃ 中央止め B₄₀-₁D ₄₀ ₁₀₅ ₁ 対角止め

上 野 山 崎 石 川 の 理 解 ₆,₁₃) や 医 療 従 事 者 との 良 好 な 関 係 ₁₄,₁₅), 治 療 への 参 加 意 識 ₃), 治 療 への 同 意 ₃) や 納 得 ₁₆), 疾 患 に 対 するリスクや 薬 の 必 要 性 についての 知 識 を 得 て いること ₃,₁

₁₈ ₂ RI フード ( オークリッジ型 ) ₁₃₀ 万円 ( 本体 )~ ₁.₅ ヵ月 千代田テクノル ₁₈ ₂ 核医学施設向けセフティキャビネット SCシリーズ 別途打合 ₁.₅ヵ月 千代田テクノル ₁₈ ₂ フード ( オークリッジ型 ) NSO ₁₂₀₀ ₁₅₀₀ ₁₈₀₀ ₁₁₈ ₁₃₂

₂.₁ アンケート調査の目的広島県耐震改修促進計画の策定にあたり, 県内の住宅や特定建築物の所有者等の耐震診断 耐震改修に関する意識を調査し, 耐震化を促進する上で必要となる事項, 障害となる事項を抽出するために, アンケートによるサンプル調査を実施した ₂.₂ 調査対象 1 昭和 ₅₆ 年以前に建

石 橋 堀 口 丸 井 稲 田 を 明 らかにし 理 解 することが 必 要 である ₁₀,₁₁).リ スク 認 知 とは,リスクに 対 する 主 観 的 なイメージ であり, 認 知 心 理 学 より 発 達 し 研 究 されてきた. 一 般 の 人 々と 専 門 家 でリスク 認 知 が 違 う

2016/ 5 Contents Guarantee Information 平 成 27 年 度 事 業 実 績 お 知 らせ 融 資 保 証 制 度 一 覧 ( 保 証 月 報 4 月 号 )のお 詫 びと 訂 正 経 営 安 定 関 連 4 号 に 規 定 する 災 害 及 び 地 域 の 指

41-6_35回中部地方会Pr6N_HP掲載用.indd

標準範囲のBMI でHbA1c 高値の若年女性の生活習慣病リスクに関する検討

石巻地域 COPD ネットワーク (ICON) における教育効果と増悪の関係 表 1 ICON 基幹病院パス ( 初回治療導入 逆紹介 ) 1 呼吸器内科外来 2 看護外来 3 ICON 外来 (2 から ₁₄ 日後 ) 4 ICON 外来 (3 から ₁₄ 日後 ) 呼吸器内科外来受診 ( 通常の

す, 搗く, 焼く, 茹でるの ₄ 種類に分けられ, ソルギトックは蒸して作る餅の基本であり米粉に水, 砂糖, 蜂蜜などを加えふるいにかけ, 型に入れてから蒸した餅である ₁₀)₁₁). 本研究では本来うるち米粉を蒸して作るソルギトックにもち米粉を加え, もち米で作った粘りのある餅を食べてきた日本人

2016/ 9 Contents Guarantee Information お知らせ経営安定関連保証制度 1 号に規定する 事業者 の指定について 創業者向けリーフレットを作成しました 事業成長支援保証 ( まるサポ 2000) をご活用ください 協会職員紹介 ❺ 新居浜支所 管理課 Q&A よく


ウォーキングに 対 する 恩 恵 認 知 尺 度 の 開 発 身 体 活 動 運 動 と 関 連 性 のある 恩 恵 を 同 定 するこ とが 重 要 である. 日 常 活 動 に 多 く 含 まれるウォーキングは, 最 も 基 本 的 な 身 体 活 動 であり ₈,₉),₆₀ 歳 代 においても

02-06B_海外情勢報告_2015年_定例_スウェーデン.indd

★889133_相続税ハンドブック_本体.indb

刻な児童虐待であり, その防止が行政の最優先課題であることは異論がないであろう 児童虐待死亡ケースは, 家庭内で起きる 親による子殺し であるが, 日本における 殺人事件全体, 殺人事件の半数は家族親族の児童虐待, 100 間で起きる

ⅠⅠ 1 Ⅰ Ⅰ 2 Ⅰ 3 Ⅰ Ⅰ Ⅰ 4 Ⅰ 4 Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅲ 1 791

すとき, モサプリドのピーク面積の相対標準偏差は 2.0% 以下である. * 表示量 溶出規格 規定時間 溶出率 10mg/g 45 分 70% 以上 * モサプリドクエン酸塩無水物として モサプリドクエン酸塩標準品 C 21 H 25 ClFN 3 O 3 C 6 H 8 O 7 :

02-13B_海外情勢報告_2015年_定例_ミャンマー.indd

04研02_浦崎.indd

66_14.pdf

本品約2g を精密に量り、試験液に水900mLを用い、溶出試験法第2法により、毎分50回転で試験を行う

_心臓49-6_HS.indd

_心臓48-12_HO7_中田.indd

Fire Department - - 広 報 ざ. 広 報 ざ. 室 定 先 着 順 講 無 期 間 氺 署 講 事 項 乙 訓 組 署 救 係 乙 訓 組 救 救 昼 間 初 式 優 良 体 育 館 初 式 式 典 頃 火 災 献 身 的 努 貢 献 優 良 次 敬 称 略 京 都 府 協 会

原日本呼吸ケア リハビリテーション学会誌 2017 年第 26 巻第 3 号 慢性呼吸器疾患における Physical Activity Scale for the Elderly を用いた身体活動量評価の有用性に関する検証 甲南女子大学看護リハビリテーション学部 ₁), 国家公務員

放射線管理用品 ₂₄ ₁ 多機能除染用ワイパー別途見積 ₁₀ 日 アトックス ₂₄ ₁ RI 実験衣 ₀.₄₅ 万円 ( 税抜 ) ₁₀ 日 アトックス ₂₄ ₁ 放射線管理区域標識別途見積別途打合医建エンジニアリング ₂₄ ₁ LED 表示灯 ( 使用中表示灯 ) 別途見積別途打合医建エンジニアリ

内容 1. セミ分取 HPLC システム 応用例 留意点 2. 超臨界流体クロマトグラフィー (SFC) を使用した分取の紹介

化 学 1 7 [ 解答にあたって, 必要があれば次の値を用いること ] 原子量 :H 1. 0, C 12, O 16 Ⅰ プロペンと等しい物質量の臭化水素を瓶の中に封じ込めたところ, 反応が開始した この反応に ついて, 問 ₁ ~ ₆ に答えよ 問 ₁ この反応では,₂ 種類の可能な構造異性体

2 長田尚子 板橋衛 活用しつつ自給率の低い転作作物等の需要に応じた生産拡大が図られた.2010 年に戸別所得補償モデル対策が開始され, 米の 生産数量目標 に即した生産を行った販売農家 ( 集落営農を含む ) に対して所得補償を行い, 今後の戸別所得補償制度で米以外の多くの品目を広く組み込む方向を

広島工業大学紀要教育編第 ₁₅ 巻 (₂₀₁₆)1 10 論文 同期型 CSCL を使った国際協調的外国語学習の実践 ツールの違いにおける社会的存在感と満足度との関係性 安部由美子 * 益子行弘 ** ( 平成 ₂₇ 年 ₁₀ 月 ₂₇ 日受付 ) International Collaborati

_心臓49-2_討論会1-4.indd

Vol. No. 校教育修了後の日常生活における, 手芸 裁縫活動の嗜好意識や実践度, 技能の習得状況等の調査を行い, 手芸 裁縫活動に対する意識と実態を明らかにすることを目的とした. それによって, 日常生活における ものづくり の意義や今日の手芸 裁縫活動及びそれらの技能の習得の意義について再考

広島工業大学紀要教育編第 ₁₂ 巻 (₂₀₁₃)21 27 論文 CIEDE2000 色差式を用いたディジタルシネマ画像の所要ビット長の評価 古川功 * 鈴木純司 ** Evaluation of Required Bit Depth for Digital Cinema using CIEDE20

入 門 都 市 計 画 サンプルページ この 本 の 定 価 判 型 などは, 以 下 の URL からご 覧 いただけます. このサンプルページの 内 容 は, 初 版 1 刷 発 行 時 のものです.

目 次 ページ 1. 事業報告書 1 2. 収支計算書 6 3. 事業別収支計算書 8 4. 貸借対照表 財産目録 正味財産増減計算書 正味財産減少理由書 監査報告書 14

本日の内容 HbA1c 測定方法別原理と特徴 HPLC 法 免疫法 酵素法 原理差による測定値の乖離要因

必要ならば, 次の原子量および定数を用いなさい H = ₁.₀ He = ₄ C = ₁₂ N = ₁₄ O = ₁₆ S = ₃₂ 気体定数 :R = ₈.₃₁ # ₁₀[Pa ₃ L/(K mol)] Ⅰ. ~ に答えなさい ₃₅ ₁₇Cl の塩素原子の中性子の数はいくつか 1~5のうちから一つ

世界のナマズ食文化とその歴史

佐見 植田 結びつくと考えられている ₅). 畑は, その疾病をいかに深刻なものととらえていたとしても, 罹患の可能性がないと考えている場合には, その疾病への恐れは存在しないことになり, 結果としていかなる予防行動も起こりえないとしている. また, この 重大性 の自覚と 罹患性 の自覚の ₂ つ

32, 15, 3 EUS TIC 1 db,eus EG SR EUS 60, 27, 24 EUS EG SR 0. 11, , EUS EUS EG ₂₆ ₆ 1, 2, 1, 1, 3, 2, 4, 1 1, 2, 3, 4 FibroScan,

医療用医薬品最新品質情報集 ( ブルーブック ) 初版有効成分ベンフォチアミン B6 B12 配合剤 品目名 ( 製造販売業者 ) 後発医薬品 品目名 ( 製造販売業者 ) 先発医薬品 効能 効果用法 用量添加物 1) 解離定数 1) 溶解度 1 ダイメジンスリービー配合カプセル

観 測 点 名 称 住 所 表 ₁ 防 災 科 学 研 究 所 強 震 ネットの 実 地 震 記 録 波 から 求 めた 計 測 震 度 計 測 震 度 震 度 階 ₃ 合 成 最 大 加 速 度 継 続 時 間 地 動 最 大 加 速 度 地 動 最 大 速 度 地 動 最 大 変 位 gal s

美作大学 美作大学短期大学部紀要 2011, Vol ~ 14 論 文 GABA(γ- アミノ酪酸 ) の味覚への関与について ~ 酸味と塩味への関与 ~ Involvement of GABA in taste sensation : interaction with acid ta

5989_5672.qxd

JAJP

研究報告58巻通し.indd

指定演題 1 D 2 経頭蓋直流電気刺激による歩行 認知課題の機能向上効果 篠田亮平 1) 松浦晃宏 1) 石川衛 1) 苅田哲也 1) 森大志 2) key word: 二重課題 経頭蓋直流電気刺激 歩行 1) 大山リハビリテーション病院 2) 県立広島大学 目的 歩きながら話をするなど 動作の遂

2018,30,41-51 資料 におけるダイエット とメディアの を とした より 1 めぐみ 2 3 Dieting behaviors and the media influence in females: A cross-sectional study with female student

細辛 (Asari Radix Et Rhizoma) 中の アサリニンの測定 Agilent InfinityLab Poroshell 120 EC-C µm カラム アプリケーションノート 製薬 著者 Rongjie Fu Agilent Technologies Shanghai


高糖生地に適した酵母の発酵特性

mizuho-REMR cs4.indd

Microsoft PowerPoint - 薬学会2009新技術2シラノール基.ppt

IC-PC法による大気粉じん中の六価クロム化合物の測定

放射線 ( 能 ) 測定システム ₁₁ ₁ 簡易型ホールボディカウンタ AT₁₃₁₆ 別途見積別途問合 ₁₁ ₁* ベッド式ホールボディカウンタ ACCUSCAN 別途見積別途問合 アドフューテックベラルーシ ATOMTEX 社 アドフューテックキャンベラジャパン 米国キャンベラ社 ₁₁ ₁* 立式

PowerPoint プレゼンテーション

mizuho-REMR CC.indd

はじめに 液体クロマトグラフィーには 表面多孔質粒子の LC カラムが広く使用されています これらのカラムは全多孔質粒子カラムの同等製品と比べて 低圧で高効率です これは主に 物質移動距離がより短く カラムに充填されている粒子のサイズ分布がきわめて狭いためです カラムの効率が高いほど 分析を高速化で

下里侑子, 他 写真 ₁ 胸痛自覚時の胸部 X 線右胸水を認めた. 写真 ₂ a を開始された. 移植 ₉ 年後より拘束性換気障害 (%VC ₄₁% FEV₁.₀ % ₁₁₆%) を認めたが, 慢性咳嗽の増悪はなく,SpO ₂は大気下で₉₈% と保たれ Activity of daily life

HPLCによるUSP関連物質分析条件のUPLC分析への移管と開発

日本家政学会誌 Vol. ₆₆ No. ₅ 197~212(₂₀₁₅) 報文 近現代における 着物 の表記法とその意味の変遷 1874 年 ~1980 年の新聞記事を中心に 森理恵 ₁* Changes in the Term Kimono in 1870 s 1970 s Japan Rie MO

高流量鼻カニュラ酸素療法 ( ネーザルハイフロー ) 図 1 HFNC による換気パターンの変化 2) 健常人,COPD 患者,IPF 患者それぞれ ₁₂ 人の HFNC 前後の変化 量の増大が見られたが, 健常者では減少した. 全ての群で呼吸数と分時換気量は減少し,COPD と IPF 患者では毛

はじめに慶應義塾では, 海外で教育を受けた受験生の学歴背景を尊重し, 能力 適性等を多面的に評価することで, 広く多様性のある優秀な入学者受入れをすべく,₁₉₇₉ 年 ₄ 月より帰国生入試を実施しています この 募集要項 には, 入学試験の概要と, 出願準備から入学手続までのすべての事項を時間の流れ

原日本呼吸ケア リハビリテーション学会誌 2016 年第 26 巻第 1 号 気管支喘息患者に対する看護師による吸入指導の効果 医療法人康曜会プラーナクリニック看護科 ₁), 医療法人康曜会プラーナクリニック呼吸器内科 ₂), 群馬大学医 ₃) 学部附属病院呼吸器 アレルギー内科 中

高齢者福祉施設入所者の食事摂取状況と排便習慣に対する乳酸菌含有飲料の影響

はじめに慶應義塾では, 海外で教育を受けた受験生の学歴背景を尊重し, 能力 適性等を多面的に評価することで, 広く多様性のある優秀な入学者の受入れを目指しています このため,₁₉₆₅ 年 ₄ 月より外国人留学生対象入学試験を実施しています この 募集要項 には, 入学試験の概要と, 出願準備から入学

田中武 栗栖慎也 甲斐健 山崎勇 織田浩二 﨑将智 植月唯夫 に対する評価基準が異なっても良いと考えられる ₂ ) 体育館のスポーツ照明として,LED 光源を用い, ₁ ) 照明用光源の LED 素子単体が見えない状態にする ₂ ) 実際の直下照度を低下させない ことで, 体育館内の照度分布の達成,

風間慶祐, 他 ながら,LACの安全性や忍容性の検討は, これまで主に ₇₅ 歳以下もしくは₈₀ 歳以下を対象に検討が行われてきた. 一方で, 加齢により ADLの低下が見られ有訴率は上昇し ₅), 全身臓器機能低下が予想され, 一般に術後合併症のリスクは増加すると言われている ₆). このため ₈

66_81.pdf

ニュージーランドにおける多国籍銀行の展開 現地通貨建て現地債権 の分析から 川本明人 ( 受付 ₂₀₁₄ 年 ₁₀ 月 ₃₁ 日 ) 目 次 はじめに Ⅰ ニュージーランドの銀行制度と特徴 Ⅱ ニュージーランドにおける銀行活動の歴史と現状 Ⅲ 多国籍銀行の理論とニュージーランド銀行 Ⅳ ニュージーラ

がドロドロしている,3 黄身が盛りあっている,4 白身と黄身の ph の上昇などがあげられる. いずれも消費者の目安になる情報である. 鶏卵は保存すると, 卵黄膜が浸透膜となって, 卵白と卵黄の成分が移動する. このために, 保存期間が長くなると, 卵黄膜は脆弱化し, 壊れやすくなる. 割卵時に卵黄

Microsoft PowerPoint - LCテクノ ポスター 塚本

0083_06_2DAY3_M.indd

注意事項 法令等略記凡例

北の国際協力拠点 ってなんだろう? 区に 国際協力の拠点があることをご存じですか今月は 開発途上国の課題解決や地域の活性化をお手伝いするJICA 北海道の活動をお知らせします JICAに関するお問い合わせ先 JICA 北海道 ( 札幌 )b₈₆₆ ₈333 c₈₆₆ ₈3₈₂ ホームページ www.

中面 2 Hot News Vol 可能性 拡がる Nexera コアシェル リンク 3.6μmのコアシェルを用いれば アセトニトリル 水系で背圧10MPa 程度でご使用頂けます 1.7μm 2.6μm 3.6μm UFLC Prominence メソッド移管性


Microsoft Word - basic_21.doc

02-18B_海外情勢報告_2015年_定例_インド.indd

情報 BOX 申込み方法 募集 講演 電話以外で申込む場合は次の応募事項を書いてください 名など ( コースも ) 氏名 ( ふりがな ) 電話番号 郵便番号 住所 年齢 小中学生は学校名 学年 福岡市政だより 2016( 平成 28) 年 7 月 1 日 14 講座 などで 特に記載がないものは

よくある指摘事項(2)

Transcription:

安田女子大学紀要 42,337 345 2014. アルドースリダクターゼ (AR) 阻害薬 :(-)- ラニレスタットの光学活性中間体の新規 光学選択的合成プロセス及びその HPLC 光学純度評価法の開発 西博行 生中雅也 西村良夫 Development of the ovel Stereoselective Synthetic Process for an ptically Active Intermediate of ( )-Ranirestat: Aldose Reductase Inhibitor and its ptical Purity Testing Method by HPLC Hiroyuki ISHI, Masaya IKUAKA and Yoshio ISHIMURA 1. はじめに医薬品開発の初期段階 ( 探索 非臨床試験など ) では, 必要とされる原薬量は比較的少量でよく, 様々な合成法や原料 試薬 触媒等を駆使して製造され, 薬理 毒性試験等に原薬が供される しかし, 開発ステージが進展した臨床試験後半 (Phase ₂b および Phase ₃) では, コマーシャルベースでの製造を見据え, スケールアップ製造法を開発する必要が生じる これを担当するのが, 医薬品メーカーでは CMC(chemistry, manufacturing and control) と呼ばれる研究ユニットの, プロセス化学部門である ₁,₂ ) ここでは, 探索や合成研究部門で開発 実施された初期の製造法の見直しが行われ, より安全で効率かつ品質よく製造ができるような合成法の開発, いわゆるプロセス化学研究が行われる また, 場合によっては他社の特許回避のための合成ルートの検討も要求される 一方,CMC 研究ユニットの品質評価部門では, 合成法が確立されるのにあわせ, 分析法バリデーション ₃,₄ )を取得し, これら医薬品候補の 規格および試験方法 が設定される 製剤研究部門では, 体内動態研究から, 最適な服用方法と剤形の決定が行われ, あわせて商業生産の検討が進められる 最終製剤の選定に合わせ品質評価部門では, 原薬と同様に, 製剤の 規格および試験方法 が設定される 医薬品, 特に低分子の合成医薬品では, 構造中に不斉炭素を有し, 光学異性体が存在する場合が多い このような場合, 薬効 毒性面から医薬品は光学活性体で開発されることがほとんどである ₅ ) 初期の必要原薬が少量でよいときは, カラムクロマトグラフィーによる光学分割での供給が行われることもある しかし, 分離を用いる本法はコストもかかりスケールアップには不向きであり, 一般的にはより効率のよい BIAP に代表される不斉触媒等を利用する光学選択的な合成ルートが検討される ₆ ₉ ) 生体では酵素がその役割を担うことが多いが, 有機合成反応においても不斉触媒として酵素の応用が検討されている ₁₀ ₁₃ ) 安田女子大学薬学部薬学科創薬学講座合成化学分野では, アルドースリダクターゼ (AR) 阻害薬であるラニレスタット ( 図 1 ) の光学活性中間体の合成プロセスにつき, リパーゼ触媒を用いる非対称化反応の検討が行われている 一方, 分析化学分野では, 合成化学分野と共同してそ

338 西博行 生中雅也 西村良夫 H Br F 図 ₁ ラニレスタットの構造式 のエナンチオマー評価法の開発研究を行っている 本論文では, ラニレスタットの光学活性中間体につき, キラル HPLC を用いた評価法の検討を行った結果について報告する なお, ラニレスタットは, 糖尿病合併症薬として臨床開発中で, 日本では大日本住友製薬 ( 株 ) が開発を進めており,₂₀₁₃ 年 ₉ 月現在, 糖尿病合併症を適応症として Phase ₃ 段階に入っている ₁₄ ) また, 本薬物の光学選択的な合成法に関する報告も多い ₁₃,₁₅ ₁₈ ) 2. ラニレスタット光学活性中間体の合成プロセスラニレスタットの合成プロセスのうち, リパーゼ触媒を用いた非対称化反応の合成ルートを図 2 に示す 本プロセスは, 出発原料から ₄ ステップ目にあたる モノアセチル体とジアセチル体が生成するが, 前者が主生成物である H HP Lipase Ac * HP H C H C 01 02 図 ₂ リパーゼ触媒による光学選択的アセチル化反応 (P: 保護基 ) 3. 実験 3.1 装置 試薬 HPLC 装置には, ポンプとして 島津製作所製 LC-₂₀AD, 検出器として,UV VIS 検出器 SPD-₂₀A を用い, 室温 (₂₅ C) で分析を行った 検出波長は ₂₆₅ nm とし, 試料注入は, レオダイン社製 ₇₇₂₅i インジェクター (₂₀ µl の試料ループ付 ) を用いて, ハミルトン製マイクロシリンジにより,₁₀ µl の一定量の試料を注入した 溶媒としては, 和光純薬 製の HPLC 用 n- ヘキサン, イソプロパノール, 特級のエタノール (₉₉.₅%) を用いた 流量は ₁.₀ ml/min, 分析時間は₃₀ 分とし, インテグレータ島津 C-R₈A により, データ取得を行った HPLC によるエナンチオマー分離法には多くの手法があるが, キラルカラムを用いる方法が最も汎用されている ₁₉,₂₀ ) 特にキラル部位として多糖類誘導体を用いたものは, 多様なものが開発されており, 多くの種類のキラルカラムが利用できる ₂₁ ) 今回は, カラムとしてダイセル化学工業 ( 株 ) 製の, 順相系多糖類型キラルカラム CHIRALCEL シリーズ ₃ 種類 (AD-H,AS-H, AY-H) と CHIRALPAK シリーズ ₆ 種類 (D-H,J-H,Z-H,IA,IB,IC), いずれも ₄.₆ mm

アルドースリダクターゼ (AR) 阻害薬 :(-)- ラニレスタットの光学活性中間体の新規 光学選択的合成プロセス及びその HPLC 光学純度評価法の開発 339 内径で, カラム長さは ₁₅ cm あるいは ₂₅ cm のものを用いた 3.2 試料生成物 ( 図 ₂ の化合物 ₀₂) については, その光学選択性を評価する必要がある まず, リパーゼを用いずに反応を行い, ターゲット生成物のラセミ体を合成して,HPLC 分析の標品とした しかし, 化合物 ₀₂には特異的な UV 吸収部位がないため,HPLC 分析での UV 検出器によるピーク検出が困難であった そこで, この化合物の水酸基に対し,t-Butyl diphenylchlorosilane (TBDPSCl) を用いてシリル化を行い,HPLC 分析に供した 反応式を図 3 に示す 本反応の収率は₈₇~₉₈% で, ほぼ定量的に進行した ₂₂ ) Ac HBoc TBDPSCl (1.5 equiv) Ac HBoc H 10 C imidazole (3.0 equiv) DMAP (0.1 equiv) DMF, rt, 24 h TBDPS 11 C 図 ₃ TBDPSCl によるシリル化反応 上記の化合物 ₁₀では, アミノ基の保護基 P として, 化合物の安定性の面から t-butoxycarbonyl (Boc) 基を用いたが,Benzyloxycarbonyl(Z) 基を用いた化合物の TBDPS 化したもの ( 化合物 ₁₄) のラセミ体も合成し,HPLC 分析に供した さらに化合物 ₁₁のニトリル基を加水分解したアミド体 ( 化合物 ₁₅) も合成し,HPLC 分析に供した なお, 試料は ₁ mg/ml になるように移動相 ( ヘキサン / エタノール (₉₅: ₅ )) で溶解したものを用いた Ac HZ Ac HZ TBDPS C TBDPS CH 2 14 15 図 ₄ HPLC 分析に供したラセミ化合物 3.3 光学活性中間体の評価法試料数 mg を精密にはかり, 移動相に溶かし, 約 ₁ mg/ml 溶液として, 試料溶液とする 試料溶液 ₁₀ µl につき, 以下の条件で液体クロマトグラフィー <2.10> に従って, 試験を行い, 面積百分率法により, 光学純度を測定する 操作条件検出器 : 紫外可視吸光光度計 ( 測定波長 :₂₆₅ nm) カラム : ダイセル CHIRALPAK IC( 内径 ₄.₆ mm, 長さ ₂₅ cm) カラム温度 : 室温 ( 約 ₂₅ C) 移動相 : ヘキサン エタノール混液 (₁₉: ₁ ) 流量 :₁.₀ ml/min カラムの選定 : 上記の化合物 ₁₁のラセミ体の試料 ( 約 ₁ mg/ml 移動相 ) 溶液 ₁₀ µl につき, 上記条件で分析するとき, エナンチオマーが完全分離するカラムを用いる

340 西博行 生中雅也 西村良夫 4. 結果および考察 4.1 キラル HPLC によるエナンチオマー分離化合物 ₁₁のラセミ体につき, 移動相としてヘキサンをベースに極性溶媒としてエタノールあるいはイソプロパノールを添加した混液を用いて, エナンチオマーの識別について基礎検討を行った その結果, 用いたキラルカラムの中で AD-H,D-H,Z-H および IB,IC で, 比較的良好に光学認識されることがわかった 後者の IB および IC カラムは, 前 ₃ 種類のカラムの耐溶剤タイプとして開発されたカラムで,D-H と IB とは, 同じキラル部位を持つ 固定相のキラル部位を図 5 に示す 固定相に使用されている多糖類誘導体についてみると, 母骨格の多糖類は AD-H がアミロース, D-H,Z-H,IB,IC がセルロースであり ₂₁ ), 上記の結果より, 光学認識に対してこの違いの寄与は小さいものと推定された 一方, 多糖類のグルコースユニットの ₂, ₃ および ₆ に導入された置換部位をみると Z-H を除き, いずれも₃,₅- ジメチルフェニルカルバメート (AD-H, D-H,IB), あるいは₃,₅- ジクロロフェニルカルバメート (IC) であった これらはいずれもフェニル基の₃,₅ 位にかさ高い置換基があり, この構造が識別に有効に働いたものと考えられた R R R n cellulose derivative IC R: C H Cl Cl R R R R: C H Cl CH 3 cellulose derivative n Z-H R R R n amylose derivative AD-H R: C H IA CH 3 CH 3 R CH 3 C R R R: H n CH 3 cellulose derivative D-H IB 図 ₅ 光学認識能を示した固定相のキラル部位

アルドースリダクターゼ (AR) 阻害薬 :(-)- ラニレスタットの光学活性中間体の新規 光学選択的合成プロセス及びその HPLC 光学純度評価法の開発 341 そこで,AD-H,D-H および IC カラム ( いずれも, 内径 ₄.₆ mm, 長さ ₂₅ cm) につき, 化合物 ₁₁に加え, 化合物 ₁₄および化合物 ₁₅のエナンチオマー識別についても検討を行った まず, AD-H カラムを用い, 移動相にヘキサン / エタノール (₉₀:₁₀) を用いて, 流量 ₁.₀ ml/min で分析を行った その結果, 化合物 ₁₁は,₄.₁₁ 分,₄.₅₉ 分に (α=₁.₃₂), 化合物 ₁₄は₈.₈₉ 分,₂₀.₈ 分に (α=₂.₈₉) 溶出し, ベースライン分離された ( アミド体は溶出が遅く, データ未取得 ) 本カラムでの識別能 (α) は大きいものであったが, ピークの理論段数 が低く (₂₀₀₀~₃₀₀₀ 段 ), そのため ₂ 番目に溶出するエナンチオマーピークは極めてブロードであった 以上より,AD-H カラム ( アミロース,₃,₅- ジメチルフェニルカルバメート ) は, 識別には優れていたもの, 迅速分析, あるいは品質試験には不向きと判断された 次に同じ組成の溶媒, ヘキサン / エタノール (₉₀:₁₀) を用いて,D-H カラム ( セルロース, ₃,₅- ジメチルフェニルカルバメート ) で分析を行った 化合物 ₁₁は,₃.₈₀ 分,₃.₉₂ 分に (α=₁.₁₀), 化合物 ₁₄は₅.₈₈ 分,₆.₁₇ 分に (α=₁.₀₉) 溶出し, また, アミド体は₅.₁₇ 分と₅.₃₄ 分と両者の間に溶出した ピーク形状は AD-H と比較して良好 (,₄₂₀₀ 段 ) であったが, いずれも分離は不十分であった そこで, 極性溶媒の比率を低くした, ヘキサン / エタノール (₉₅: ₅ ) を用いて化合物 ₁₁を分析したところ,₇.₁₆ 分と₇.₉₄ 分 (α=₁.₁₆) で, ベースライン分離 ( 分離度 Rs=₁.₈) した 図 ₆(₁) に分離例を示す 化合物 ₁₄は, ₁ 番目のエナンチオマーピークのみが ₃₀ 分以内 ( 約 ₂₅ 分 ) に溶出した 最後に IC カラム ( セルロース,₃,₅- ジクロロフェニルカルバメート ) を用い, 移動相ヘキサ 保持時間 ( 分 ) 保持時間 ( 分 ) カラム :(₁) D-H カラム,(₂) IC カラム ( その他の条件は₃.₃ 参照 ) 図 ₆ 化合物 ₁₁のエナンチオマー分離

342 西博行 生中雅也 西村良夫 ン / エタノール (₉₅: ₅ ) を用いて化合物 ₁₁および化合物 ₁₄を分析した 化合物 ₁₁のクロマトグラムを図 ₆(₂) に示す D-H カラムと比較し, 保持時間が早いにもかかわらず十分分離 (α=₁.₄₂, Rs=₅.₇) しており, かつ理論段数も高く (₁₀₀₀₀ 段 ), もっとも本化合物の光学純度評価に適していると考えられた なお, 化合物 ₁₄は, 同条件で約 ₁₁.₉ 分と₁₃.₈ 分に溶出した そこで, 移動相条件の溶出力を高めたヘキサン / エタノール (₈₀:₂₀) を用いて, アミド体を含めた ₃ 種類のラセミ体の分離を行った 結果を図 ₇ に示す 本条件では, 化合物 ₁₁が₄.₁₀ 分, ₄.₃₉ 分に, 化合物 ₁₄は₅.₀₂ 分,₅.₃₃ 分に, アミド体は₇.₉₁ 分と₈.₉₁ 分に溶出し, ₃ 種類の一斉エナンチオマー分離が可能であった なお, 図 ₆ のクロマトグラムでは, 溶液状態で保管していた ₃ 種類のラセミ体の分解物と推定される幾つかのピークが認められた 保持時間 ( 分 ) カラム :IC, 移動相 : ヘキサン / エタノール (₈₀:₂₀) 他は図 ₅ と同じ図 ₇ IC カラムによる ₃ 種類のラセミ体の一斉エナンチオマー分離 以上より, 保持時間をある程度とってこれらと分離させる, すなわち, 図 ₆(₂) の条件が適していると判断され, 不斉反応の評価 ( 光学純度測定 ) にこの条件を用いることとした なお,IC カラムとその他の AD-H および D-H カラムを用いて分離の検討を行っている過程において, 後者のカラムで同じ移動相を用いても再現性が悪く, 保持時間が短くなる傾向が認められた これは固定相の履歴によるもの, すなわち, 本カラムの製造 ( コーティング ) によるものと推定された この結果より, 耐溶媒カラムとして開発されている, キラル部位が固定相に化学結合されている IC カラムが優れていることが確認された 4.2 キラル HPLC による光学選択的反応の評価 ₂₂ 上記図 ₂ の反応における生成物の評価を₃.₃ 記載の方法に従って行った 結果の一部)を表 1 に示す 反応条件を様々に変えて検討したところ, 生成物はいずれも光学選択的に誘導され, そ

アルドースリダクターゼ (AR) 阻害薬 :(-)- ラニレスタットの光学活性中間体の新規 光学選択的合成プロセス及びその HPLC 光学純度評価法の開発 343 の ee はほぼ₉₀% であった また, 図 ₈ にその時の試料溶液から得られたクロマトグラムの例を示す 図では主生成物は, 前に溶出するエナンチオマーであることが分かった 詳細な分析法バリデーションは取得していないが, 本手法により₀.₁% のマイナーエナンチオマーの評価が可能であり, プロセス化学研究の評価に有用であることが示された ₂₂ )表 ₁ リパーゼ触媒を用いる非対象化反応の結果 反応 反応溶媒 反応時間 (h) 化合物 ₁₀ 収率 (%) 化合物 ₁₁ ee(%) ₁ ジイソプロピルエーテル ₃ ₄₈ ₉₄ ₂ テトラヒドロフラン ₁₄₄ ₇₅ ₈₉ ₃ シクロペンチルメチルエーテル ₂₄ ₆₈ ₈₈ ₄ 酢酸エチル ₂₄ ₈₃ ₈₉ ₅ 酢酸イソプロピル ₂₄ ₈₃ ₉₁ 保持時間 ( 分 ) 図 ₈ IC カラムを用いた合成中間体の光学選択性評価のクロマトグラム例 5. おわりに IC カラムを用いるキラル HPLC 法により, ラニレスタット合成プロセスのうち, リパーゼ触媒を用いた非対称化反応の, 光学選択性評価が可能となった 目的とする (-) ラニレスタットの全合成までには, 今回評価した中間体からさらに多くの合成ステップを経る これら中間体, また, 最終のラニレスタットについても光学純度の評価が要求されるが, 今後, キラル HPLC 法により検討を進める予定である

344 西博行 生中雅也 西村良夫 参照文献 ₁) 西博行, CMC 研究とクロマトグラフィー,LCtalk,vol. ₆₆(₁₀),₂(₂₀₀₇). ₂) 鴻池敏郎, CMC 研究における化学の役割, 化学と工業,₆₀(₆),₅₉₉ ₆₀₀(₂₀₀₇). ₃) ICH guidelines Q₂A and Q₂B, http://www.pmda.go.jp/ich/quality.htm ₄) 日本薬局方第十六回改正 参考情報 G₁(₂₀₁₁),http://jpdb.nihs.go.jp/jp₁₆/ ₅) 村上尚道, 光学活性医薬品開発とキラルプロセス化学技術第 ₁ 部第 ₂ 章光学活性医薬品の開発動向, サイエンス & テクノロジー,₂₃ ₃₅,(₂₀₁₁). ₆) R. oyori, Adv. Synth. Catal., ₃₄₅, ₁₅ ₃₂ (₂₀₀₃). ₇) S. Akutagawa, Topics in Catal. ₄(₃,₄), ₂₇₁ ₂₇₄ (₁₉₉₈). ₈) R. oyori, T. Ikeda, T. hkuma, M. Widalm, M. Kitamura, H. Takaya, S. Akutagawa,. Sayo, T. Saito, T. Takemoto, H. Kumobayashi, J. Am. Chem. Soc., ₁₁₁, ₉₁₃₄ (₁₉₈₉). ₉) W. Kuriyama, Y. Ino,. gata,. Sayo, T. Saito, Adv. Synth. Catal., ₃₅₂, ₉₂ (₂₀₁₀). ₁₀) H. Matsumae, M. Furui, T. Shibatani, T. Tosa, J. Fermen. Bioeng., ₇₈(₁), ₅₉ ₆₃ (₁₉₉₄). ₁₁) H. Matsumae, M. Furui, T. Shibatani, J. Fermen. Bioeng., ₇₅(₂), ₉₃ ₉₈ (₁₉₉₃). ₁₂) 松前裕明, 化学工業,₅₄(₂),₁₂₈ ₁₃₆(₂₀₀₃). ₁₃) T. Sugai, T. Kurihara, T. Takeda, Jpn. Kokai Tokkyo Koho, JP₂₀₁₃₁₁₀₉₈₀ A₂₀₁₃₀₆₁₀ (₂₀₁₃). ₁₄) 大日本住友製薬 ( 株 ) ホームページ http://www.ds-pharma.co.jp/index.html ₁₅) T. Mashiko, K. Hara, D. Tanaka, Y. Fujiwara,. Kumagai, M. Shibasaki, J. Am. Chem. Soc., ₁₂₉(₃₇), ₁₁₃₄₂ ₁₁₃₄₃ (₂₀₀₇). ₁₆) T. Mashiko,. Kumagai, M. Shibasaki, rg. Lett., ₁₀(₁₃), ₂₇₂₅ ₂₇₂₈ (₂₀₀₈). ₁₇) R. He, K. Maruoka, Synthesis, ₁₃, ₂₂₈₉ ₂₂₉₂ (₂₀₀₉). ₁₈) B. M. Trost, M. sipov, G. Dong, rg. Lett., ₁₂(₆), ₁₂₇₆ ₁₂₇₉ (₂₀₁₀). ₁₉) S. Ahuja Ed., C. W. Amoss,. M. Maier, chapter₃ in "Chiral separation methods for pharmaceutical and biotechnological products", WILEY (₂₀₁₁). ₂₀) 西博行, 光学活性医薬品開発とキラルプロセス化学技術第 ₃ 部第 ₃ 章光学異性体の分析と不純物の工程管理, サイエンス & テクノロジー,₂₃₅ ₂₄₇,(₂₀₁₁). ₂₁) DAICEL CHIRAL CLUMS キラルカラム総合カタログ vol. ₅, ダイセル化学工業 ( 株 ) ₂₂) 西村良夫, 生中雅也,(-)- ラニレスタットの光学活性中間体の新規 選択的光学活性合成プロセス, 未発表データ Summary Recently most of pharmaceuticals having asymmetric center, have been developed as a single enantiomer, because of its activity and toxicological aspect. In the laboratory of synthetic and biological chemistry, faculty of pharmacy, in Yasuda Women s University, lipase is investigated as a catalysis for the synthesis of the optically active intermediates of ( )-Ranirestat, which is one of aldose reductase inhibitors under the clinical inventigation (Phase 3, in 2013). Therefore for the evaluation of its enantioselectivity, optical purity testing method of the intermediates is required. In the laboratory of analytical chemistry, in cooperation with the laboratory of synthetic and biological chemistry, development of the chiral HPLC method is investigated. Among 9 commercially available chiral columns, which have polyssacharide derivative as a chiral moiety, CHIRAL- PAC IC column shows the best enantioselectivity for the target intermediate. Enantiomers were separated within 10 min with theoretical plate number ca. 10000, employing a mixture of n-hexane and ethanol (19:1) as a mobile phase. In this case, major enantiomer eluted before the minor enantiomer and it was found ca. 0.1 % minor enantiomer can be detectable in the method. Minor

アルドースリダクターゼ (AR) 阻害薬 :(-)- ラニレスタットの光学活性中間体の新規 光学選択的合成プロセス及びその HPLC 光学純度評価法の開発 345 enantiomer in some trial synthesis of the intermediate detected by the chiral HPLC method was 3 6 %, indicating the synthetic process employing lipase gave ca. 90% ee. 2013. ₉.26 受理