はじめに 放射線 放射能 放射性物質とは ランタン ( 光を出す能 を持つ ) カンデラ (cd) ( 光の強さの単位 ) 光 ルクス (lx) ( 明るさの単位 ) 放射性物質 = 放射線を出す能 ( 放射能 ) を持つ 放射線 ベクレル (Bq) 放射能の強さの単位 換算係数 シーベルト (Sv) 人が受ける放射線被ばく線量の単位 シーベルトは放射線影響に関係付けられる
はじめに 放射線と放射性物質の違い 放射線 この液体には放射能 ( 放射線を出す能力 ) がある 放射性物質はそこから放射線を 出します 放射性物質 放射線 放射性物質 放射性物質が体に入ると 体に残ったり 移動したりすることがあります 放射線は体に残りません移動しません
はじめに 放射線と放射能の単位 放射性物質 この岩には放射能 ( 放射線を出す能力 ) がある シーベルト (Sv) 人が受ける放射線被ばく線量の単位で 放射線影響に関係付けられる ベクレル (Bq) 放射能の強さの単位 :1 秒間に 1 個の割合で原子核が変化する ( 壊変する ) =1 ベクレル
はじめに 被ばくの種類 外部被ばく 本人のみが被ばく線源 ( 放射線を出すもの : 放射性物質など ) 局所被ばく 全身被ばく 体表面汚染 本人および周囲の人々が汚染 被ばくする可能性がある 内部被ばく 本人および周囲の人々が被ばくする可能性がある 放射性物質 吸入飲食 傷口
放射性物質 原子の構造と周期律 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 1 2 3 周期4 5 6 7 原子 原子核 電子 陽子 電荷 + 中性子 0 陽子の数 ( 原子番号 ) で化学的性質が決まる 元素の周期律表 族 1 H 2 He 1.008 典型非 属元素 4.003 原子番号元素記号 3 Li 4 Be 典型 属元素 5 B 6 C 7 N 8 O 9 F 10 Ne 6.941 9.012 原子量 遷移 属元素 10.81 12.01 14.01 16.00 19.00 20.18 11 Na 12 Mg 13 Al 14 Si 15 P 16 S 17 Cl 18 Ar 22.99 24.31 26.98 28.09 30.97 32.07 35.45 39.95 19 K 20 Ca 21 Sc 22 Ti 23 V 24 Cr 25 Mn 26 Fe 27 Co 28 Ni 29 Cu 30 Zn 31 Ga 32 Ge 33 As 34 Se 35 Br 36 Kr 39.1 40.08 44.96 47.88 50.94 52 54.94 55.85 58.93 58.69 63.55 65.39 69.72 72.61 74.92 78.95 79.9 83.8 37 Rb 38 Sr 39 Y 40 Zr 41 Nb 42 Mo 43 Tc 44 Ru 45 Rh 46 Pd 47 Ag 48 Cd 49 In 50 Sn 51 Sb 52 Te 53 I 54 Xe 85.47 87.62 88.91 91.22 92.91 95.94 (99) * 101.1 102.9 106.4 107.9 112.4 114.8 118.7 121.8 127.6 126.9 131.3 55 Cs 56 Ba 57-71 72 Hf 73 Ta 74 W 75 Re 76 Os 77 Ir 78 Pt 79 Au 80 Hg 81 Tl 82 Pb 83 Bi 84 Po 85 At 86 Rn 132.9 137.3 ランタノイト 178.5 180.9 183.8 186.2 190.2 192.2 195.1 197.0 200.6 204.4 207.2 209.0 (210) (210) (222) 87 Fr 88 Ra 89-103 104 Rf 105 Db 106 Sg 107 Bh 108 Hs 109 Mt 110 Ds 111 Rg 112 Cn 113 Uut (223) (226) アクチノイト (261)* (262)* (263)* (264)* (265)* (268)* (269)* (272)* (277)* (278)* - 57-71 57 La 58 Ce 59 Pr 60 Nd 61 Pm 62 Sm 63 Eu 64 Gd 65 Tb 66 Dy 67 Ho 68 Er 69 Tm 70 Yb 71 Lu ランタノイト 138.9 140.1 140.9 144.2 (145) 150.4 152.0 157.3 158.9 162.5 164.9 167.3 168.9 173.0 175.0 89-103 89 Ac 90 Th 91 Pa 92 U 93 Np 94 Pu 95 Am 96 Cm 97 Bk 98 Cf 99 Es 100 Fm 101 Md 102 No 103 Lr アクチノイト (227) 232.0 231.0 238.0 (237) * (239) * (243) * (247) * (247) * (252) * (252) * (257) * (256) * (259) * (260) * ( ) をつけた値は その元素の代表的な放射性同位体の質量数である (IUPAC) 部科学省 一家に一枚周期表第 6 版
放射性物質 原子核の安定 不安定 原子核陽子と中性子の数のバランスにより 不安定な原子核がある = 放射性の原子核 炭素 11 炭素 12 炭素 13 炭素 14 セシウム 133 セシウム 134 セシウム 137 原子核 陽子数 6 6 6 6 55 55 55 中性子数 5 6 7 8 78 79 82 性質放射性安定安定放射性安定放射性放射性 11 C 12 C 13 C 14 C 133 Cs 134 Cs 137 Cs 記載法 11 C 12 C 13 C 14 C 133 Cs 134 Cs 137 Cs 6 6 6 6 55 55 55 C-11 C-12 C-13 C-14 Cs-133 Cs-134 Cs-137
放射性物質 さまざまな原子核 陽子数 ( 原子番号 ) は同じで中性子数の異なる原子 元素記号陽子数安定放射性 水素 H 1 H-1, H-2 * H-3 * 炭素 C 6 C-12, C-13 C-11, C-14, カリウム K 19 K-39, K-41 K-40, K-42, ストロンチウム Sr 38 Sr-88 Sr-89, Sr-90, ヨウ素 I 53 I-127 I-125, I-131, セシウム Cs 55 Cs-133 Cs-134, Cs-137, ウラン U 92 なし U-235, U-238, プルトニウム Pu 94 なし Pu-238, Pu-239, *:H-2 は重水素 H-3 は三重水素または トリチウムと呼ばれます は その他にも放射性物質があることを意味する 字は自然に存在する放射性物質
放射性物質 自然由来 人工由来 放射性物質 放出される放射線 半減期 トリウム232 (Th-232) 系列 α, β, γ 141 億年 ウラン238 (U-238) 系列 α, β, γ 45 億年 カリウム40 (K-40) β, γ 13 億年 プルトニウム239 (Pu-239) α, γ 24,000 年 炭素 14 (C-14) β 5,730 年 セシウム137 (Cs-137) β, γ 30 年 ストロンチウム90 (Sr-90) β 29 年 セシウム134 (Cs-134) β, γ 2.1 年 ヨウ素 131 (I-131) β, γ 8 日 ラドン222 (Rn-222) α, γ 3.8 日 赤字は人工放射性物質
放射性物質 壊変と放射線 放射性物質は不安定 1 ベクレル 1 秒間 1 個壊変 1 秒間に 1 個物質が変化 ( 壊変 ) =1ベクレル (Bq) 10 ベクレル 1 秒間 10 個壊変 放射線としてエネルギーを放出 安定
放射性物質 半減期 放射線を出す能 ( 放射能 ) の減り 最初の状態 ( 不安定な原子核が並んでいる ) 半減期分の時間が経過 は 200 個は 100 個 ( 最初の半分 ) 半減期の 2 倍の時間が経過 半減期の 3 倍の時間が経過 は 50 個 ( 最初の 1/4) は 25 個 ( 最初の 1/8)
放射性物質 半減期と放射能の減衰 射能の強時間放1 1/2 1/4 さ放射性物質の量が半分になる時間 =( 物理学的 ) 半減期
放射性物質 い半減期の原子核 例 宇宙の誕生と共に放射性物質が存在し, 地球が生まれた時に取り込まれた放射性物質 地球誕生から 46 億年 系列 非系列 ( 別の放射性物質に次々に変化 ) ウラン 238 トリウム 232 ウラン 235 カリウム 40 ルビジウム 87 等 半減期 :45 億年 半減期 :13 億年
放射線 放射線はどこで生まれる? 物質原子原子核 陽子 中性子 電子 原子核 原子核 原子核 ( 高エネルギー状態 ) 原子核 原子核 中性子線 アルファ線 ベータ線 ( 電子 ) ガンマ線 電子 X 線
放射線 放射線の種類 電離放射線 電磁波 X 線 ( 原子核の外で発生 ) γ 線 ( 原子核から出る ) 放射線には電離放射線と非電離放射線があるが 通常 放射線といった場合は 電離放射線を指すことが多い 粒子線 荷電粒子線 ( 直接電離放射線 ) β 線 ( 原子核から飛び出る電子 ) α 線 ( 原子核から飛び出るヘリウムの原子核 ) 陽子線, 重陽子線, 三重陽子線, 重イオン線 荷電中間子線 核分裂 など 非荷電粒子線 ( 間接電離放射線 ) 非荷電中間子線 中性微子 ( ニュートリノ ) 中性子線など ( 原子炉, 加速器, アイソトープなどから作られる ) 非電離放射線 電波, マイクロ波, 赤外線, 可視光線, 紫外線など
放射線 放射性物質から放出される放射線 放射線 粒子線 陽子 中性子 電子 電磁波 電子 (β 線 ) 放射性物質から放出される粒子線あるいは電磁波 α 線 ( 原子核から飛び出るヘリウムの原子核 ) β 線 ( 原子核から飛び出る電子 ) 中性子線 ( 原子炉, 加速器などから作られる Cf-252) 陽子線 ( 加速器などから作られる ) X 線 ( 原子核の外で発生 ) ( 電子の軌道間移動からも生成 ) γ 線 ( 原子核から出る )
放射線 電磁波の仲間 可視光線 10 10 10 8 10 6 10 4 10 2 1 10-2 10-4 10-6 10-8 10-10 10-12 (ev) X 線 γ 線外電波 ( 一般にγ 線は原子核内から X 線は原子核外から ) 赤外線マイクロ波超短中 短波波波波 10-16 10-14 10-12 10-10 10-8 10-6 10-4 10-2 1 10 2 10 4 10 6 (m) 1pm 1nm 1µm 1mm 1m 1km 線 光は波としての性質の他に粒子としての性質を持つ電界の 向 電磁波を粒子ととらえたときに 光子 と呼ぶ上の数字は光子のエネルギー (ev) 下の数字は波動としての波 (m) を示す電磁波が磁界の進む 向紫 向
放射線 放射線の電離作用 電離作用 放射線 電子 プラスのイオンとマイナスの電子に分離 α 線 γ 線 電離化された原子はじかれた電子
放射線 エネルギーの強さ α 線 陽子 2 個 + 中性子 2 個 ヘリウム (He) の原子核 荷電粒子 (2+) β 線 電子 ( あるいは陽電子 ) 荷電粒子 (- あるいは +) γ 線 X 線 電磁波 ( 光子 ) 中性子線 中性子 非荷電粒子 + - + +
放射線 放射線の透過 放射線は いろいろな物質でさえぎることができる α 線を止める β 線を止める γ 線 X 線を弱める 中性子線を弱める α 線 β 線 γ 線 X 線中性子線 紙 アルミニウムなどの薄い 属板 鉛や鉄の厚い板 水素を含む物質例えば水やコンクリート
放射線 放射線の体内での透過 空気中で飛ぶ距離 身体に当たると 1 10cm α 線粒子 ( 原子核 ) (1 兆分の 1cm) 数 数 µm + 数 m ( エネルギーによる ) β 線粒子 ( 電子 ) 数 mm 数 10m ( エネルギーによる ) X 線 γ 線 数 cm ( エネルギーによる )
放射線 透過 と人体での影響範囲 体外 体内 体内 体外 影響を及ぼすところ α 線 β 線 臓器など α 線 β 線 γ 線 γ 線 放射性物質のある組織 周辺組織
被ばくの経路 外部被ばくと内部被ばく 宇宙や太陽からの放射線 外部被ばく 内部被ばく 呼吸による吸入 建物から 飲食物からの摂取 医療から 傷からの吸収 地面から 放射線源が体外にある 放射線源が体内にある
被ばくの経路 体外から 体内から 外部被ばく 0 放射性物質 浮遊物 表面汚染 内部被ばく呼吸食事傷 肺 地表 放射線は体外で発生 放射線が体内で発生 身体が放射線を受けるという点は同じ
被ばくの経路 さまざまな被ばく形態 外部被ばく 全身被ばく 局所被ばく ( 例 : レントゲン写真や部分的な体表汚染による被ばく ) 放射性物質 内部被ばく 全身被ばく 局所被ばく ( 例 : 放射性ヨウ素を取り込んだ甲状腺の被ばく )
高い部分基底細胞層被ばくの経路 外部被ばくと皮膚 皮膚の構造 放射線感受性の γ 線 β 線 α 線 γ 線 β 線 α 線 体外 体内 毛 表皮 影響を及ぼすところ 約0.2 mm 真皮 皮下組織
被ばくの経路 内部被ばく 1 経口摂取口から入り ( 飲み込み ) 消化管で吸収 2 吸入摂取呼吸気道から侵入肺 気道表面から吸収 3 経皮侵入傷口より侵入 吸入 経口鼻口経皮 肺 体内の放射性物質は体内で放射線を発します特定の臓器に蓄積することがあります 放射性物質 便 尿などとともに徐々に排出されます
被ばくの経路 内部被ばくと放射性物質 内部被ばくで特に問題となる放射性物質 1 取り込まれやすく 排泄されにくい 100 % 2 特定の組織に蓄積しやすい 3α 線を出す物質 >β 線や γ 線を出す物質 放射性物質
常事象刻軽微な放射性物質の放出異度 原子 災害の影響 国際原子 事象評価 事故の深深刻な事故チェルノブイリ原発事故 (1986) (Major Accident) (520 京ベクレル ) 広範囲におよぶ健康と環境への影響を伴った 7 放射性物質の深刻な放出 ( 計画的, 広域封鎖が必要 ) 福島第 1 原発事故 (2011) (77 京ベクレル ) *1 重 な事故 6 (Serious Acceident) キチュテム惨事 (1957) 計画的な封鎖が必要となる相当量の放射性物質の放出広範囲への影響を伴う事故事5 (Accident with wider consequences) 故 計画的封鎖が必要な限られた量の放射性物質の放出局地的な影響を伴う事故 4 (Accident with local consequences ) SL-1 核反応炉事故 (1961) 地域の食品制限以外には計画的封鎖などを必要としない 3 重 な異常事象 (Serious incident) 異 従事者が年間許容量の10 倍を被ばく / 放射線からの非致死の確定的影響常2 異常事象事(Incident) 象 10 msvを超える公衆の被ばく / 放射線作業従事者の年間許容量超過 1 0 逸脱 (Anormaly) 年間許容量の超過に伴う被ばく 尺度以下 (Deviation) 安全上の問題がない チョークリバー原子炉事故 (1952) ウィンスケール火災 (1957) スリーマイル島原発事故 (1979) など 東海村 JCO 臨界事故 (1999) セラフィールド事故 (1979) など *1 : 原子 安全に関する IAEA 閣僚会議に対する日本国政府の報告書 (2011 年 6 月 ) 京ベクレル = 10 16 Bq
原子 災害の影響 放射能汚染の拡散 131 I, 133 I, 134 Cs, 137 Cs, 90 Sr, 132 Te, 放射性雲 吸入 内部被ばく 飲食 ( 注 ) 一般的に原子 発電所事故が起きた際に想定される影響をあらわしたものであり 今般の東京電 福島第一原子 発電所の事故の影響を表したものではない 131 I, 137 Cs, 134 Cs 133 Xe, 85 Kr 食物 外部被ばく フォールアウト 131 I, 137 Cs, 134 Cs 植物河川土壌汚染 穀物 魚 牛 牛乳 飲料水 ( 浄水場 )
原子 災害の影響 原子炉事故による影響 放射性物質 ( 放射性ヨウ素 放射性セシウムなど ) ( 注 ) 一般的に原子 発電所事故が起きた際に想定される影響をあらわしたものであり 今般の東京電 福島第一原子 発電所の事故の影響を表したものではない 空気 内部被ばく 外部被ばく
原子 災害の影響 原子炉内の生成物 軽 炉の核分裂とプルトニウムの生成 減速された中性子 ウラン 235 核分裂 減速された中性子 ヨウ素 131 セシウム 137 ストロンチウム 90 ウラン 235 熱エネルギー 中性子 熱エネルギー 中性子 ウラン 238 プルトニウム 239 高速増殖炉の核分裂とプルトニウムの生成 ( 増殖 ) 高速中性子 熱エネルギー 中性子 プルトニウム 239 プルトニウム 239 ヨウ素 131 セシウム 137 ストロンチウム 90 中性子 ウラン 238 プルトニウム 239 熱エネルギー 中性子
原子 災害の影響 原発事故由来の放射性物質 I-131 ヨウ素 Cs-134 セシウム Cs-137 セシウム Sr-90 ストロンチウム Pu-239 プルトニウム 出す放射線の種類 物理学的半減期 β, γ β, γ β, γ β α, γ 8 日 2.1 年 30 年 29 年 24,000 年 実効半減期 8 日 64 日 70 日 15 年 197 年 蓄積する器官 組織 甲状腺全身全身骨骨 肝 実効半減期 : 体内に取り込まれた放射性物質の量が 物学的排泄作 ( 物学的半減期 ) および放射性物質の物理的壊変 ( 物理学的半減期 ) の両者によって減少し半分になるまでの時間 緊急被ばく医療テキスト ( 医療科学社 ) の値を引 した
放射線の単位 ベクレルとシーベルト ベクレル (Bq) 放射能の量を表す単位 1 秒間に1 個原子核が壊れる = 1ベクレル (Bq) シーベルト (Sv) 人が受ける被ばく線量の単位 放射線影響に関係付けられる 放射性物質 体外から 1 ミリシーベルト 体内から 1 ミリシーベルト 人体影響の きさは同じ程度
放射線の単位 2 つの線量概念 : 防護量と実用量 単位意味 放射能 ベクレル Bq 1 秒間に壊変する原子核の数 吸収線量 グレイ Gy 物質 1kg 当り 1 ジュール (J) のエネルギ - 吸収があった時の線量 (J/kg) 防護量 等価線量実効線量 シーベルト Sv 吸収線量 各放射線加重係数 ( 各組織の等価線量 各組織加重係数 ) の合計 実用量 1cm 線量当量 ( 周辺線量当量 ) 等 線量測定のために定義された量
放射線の単位 実効線量と空間線量率 実効線量 は 放射線被ばくによる全身影響を表わすもの 人体の各組織 ( 臓器 ) の等価線量に加重係数を乗じたものを合計して算出するが 直接測定することはできない 被ばく管理のためには 実際に測定できる量 ( 実用量 ) として 空間における放射線量を人体に対する影響を考慮して定めている 周辺線量当量 ( 空間線量 ) が いられる 個人線量計や放射線管理 のサーベイメータ等はこの量を表示するように調整されており 部科学省が公表している線量マップは この 周辺線量当量 ( 空間線量 ) を いている 周辺線量当量 ( 空間線量 ) は 具体的には 人体の代わりとなる直径 30cm の球の表面から 1cm 深さ位置における線量 (1cm 線量当量 ) で表される 臓器の多くは人体表面から 1cm より深く位置していることから 周辺線量当量 ( 空間線量 ) は ガンマ線の場合には常に 実効線量 より少し高い値となり 安全側に被ばく管理ができるようになっている その 率は 核種の違い ( 放出されるガンマ線エネルギーの違い ) や照射条件 ( 一 向か全 位か等 ) により異なるが 成人の場合概ね 0.55~0.85 程度 また 体格の違い等により 0 歳児では成人の 1.3 倍程度になる
放射線の単位 単位間の関係 ベクレル (Bq) 放射能の強さ 放射線を受けた単位質量のグレイ (Gy) 物質が吸収するエネルギー量 放射性物質 ( あるいは放射線発生装置 ) 吸収線量 (Gy) = 吸収されたエネルギー (J) 物質 / 体の部分の質量 (kg) 換算 放射線の種類 臓器の感受性 シーベルト (Sv) 放射線の量を人体影響の大きさで表す単位
放射線の単位 かける 放射線加重係数 かける 組織加重係数 足し合わせる グレイからシーベルトへの換算実各臓器が受ける量 全身が受ける量 ( 等価線量 ) α 線 20 倍 β 線 1 倍 収線量影響の違い吸グレイ (Gy) 中性子 γ 線 2.5 21 倍 1 倍放射線の種類による 臓器による感受性の違い 効線量シーベルト (Sv)
放射線の単位 さまざまな係数 等価線量 (Sv)= w R 吸収線量 (Gy) 放射線の種類 放射線加重係数 w R γ 線 X 線 β 線 1 陽子線 2 α 線 重イオン 20 中性子線 2.5 21 実効線量 (Sv)=Σ(w T 等価線量 ) 組織 組織加重係数 w T 骨髄 ( 赤色 ) 結腸 肺 胃 乳房 0.12 殖腺 0.08 膀胱 食道 肝臓 甲状腺 0.04 骨表面 脳 唾液腺 皮膚 0.01 残りの組織の合計 0.12 Sv: シーベルト Gy: グレイ 国際放射線防護委員会 2007 年勧告
放射線の単位 等価線量と実効線量 実効線量 ( シーベルト )= Σ( 組織加重係数 等価線量 ) 全身に均等に γ 線が 1 ミリシーベルト当たった場合 実効線量 = 0.12 X 1 ( ミリシーベルト ) 骨髄 + 0.12 X 1 ( ミリシーベルト ) 結腸 + 0.12 X 1 ( ミリシーベルト ) 肺 + 0.12 X 1 ( ミリシーベルト ) 胃 : + 0.01 X 1 ( ミリシーベルト ) 皮膚 = 1.00 X 1 ( ミリシーベルト ) = 1 ミリシーベルト 頭部だけに均等に γ 線が 1 ミリシーベルト当たった場合 実効線量 = 0.04 X 1 ( ミリシーベルト ) 甲状腺 + 0.01 X 1 ( ミリシーベルト ) 脳 + 0.01 X 1 ( ミリシーベルト ) 唾液腺 + 0.12 X 0.1 ( ミリシーベルト ) 骨髄 (10%) + 0.01 X 0.15 ( ミリシーベルト ) 皮膚 (15%) : = 0.07 ミリシーベルト
放射線の単位 預託実効線量 放射性物質を一回だけ摂取した場合に それ以後の 涯にどれだけの放射線を被ばくすることになるかを推定した被ばく線量 実効線量 内部被ばくの計算 将来にわたる線量を積算 公衆 : 摂取後 50 年間 子供 : 摂取後 70 歳まで 実効線量 その年に受けたとみなす 預託実効線量 ( シーベルト ) 時間 50 年 時間
放射線の単位 シーベルト を単位とする線量 放射性物質 ( 放射性ヨウ素 放射性セシウムなど ) 4 サーベイメータの読み取り値 1 全身被ばく実効線量 3 局所被ばく等価線量 放射性物質 2 内部被ばく預託実効線量
放射線の単位 シーベルトの由来 シーベルトは Sv の記号で表す 1 msv( ミリシーベルト ) = 1/1000 Sv 1 µsv( マイクロシーベルト ) = 1/1000 msv ロルフ シーベルトスウェーデン国 放射線防護研究所創設者国際放射線防護委員会創設者
線量測定と計算 さまざまな計測機器 ゲルマニウム半導体検出器 NaI シンチレーションサーベイメータ GM 型サーベイメータ さまざまな個人線量計 OSL 線量計 ガラス線量計 ポケット線量計
線量測定と計算 外部被ばく測定用の機器 型目的 GM 型サーベイメータ ( ガイガーカウンター ) 電離箱型サーベイメータ シンチレーション式サーベイメータ 個人線量計 汚染の検出線量率 ( 参考程度 ) ガンマ線空間線量率 ガンマ線空間線量率 個人線量積算線量 β 線を効率よく検出し 汚染の検出に適している 最も正確であるが シンチレーション式ほど低い線量率は計れない 正確で感度もよい ( 測定器によっては α 線も測定する ) 期間の積算線量の測定 であるため 線量率は計れない いろいろなタイプがある
線量測定と計算 外部被ばくの特徴 1) 距離 : 線量率は距離の 2 乗に反 例 I : 放射線の強さ ( 線量率 ) r: 距離 k: 定数 2) 時間 : 線量率が同じなら 浴びた時間に 例 ( 総 ) 線量 ( マイクロシーベルト )= 線量率 ( マイクロシーベルト / 時 ) 時間
線量測定と計算 外部被ばく ( 測定 ) 個人積算線量計で計る 遠くでは低い 放射性物質の近くでは線量率は高い ベクレル (Bq) サーベイメータの計測値 : 空間放射線量率 ( マイクロシーヘ ルト / 時 ) に滞在時間をかける
線量測定と計算 環境放射能の計測 空間放射線量率は空間のガンマ線を測定 1 時間当たりのマイクロシーベルト (µsv/ 時 ) で表示 降下量は 一定期間の間に単位面積あたりに沈着した ( あるいは降下した ) 放射性物質の量 例えばベクレル / 平 メートル (Bq/m 2 ) 空気 空間放射線量率 :µsv/ 時 降下量 : Bq/m 2 放射性物質 測定器 雨 塵 埃 大地 1m 2
線量測定と計算 遮へいと低減係数 0.1 マイクロシーベルト / 時 放射性物質 屋内は 建材による遮へい 床下に汚染がない 線量率が低くなる 0.04 マイクロシーベルト / 時 場所 低減係数 木造家屋 (1 2 階建て ) 0.4 ブロックあるいはレンガ家屋 (1 2 階建て ) 0.2 各階 450 900m 2 の建物 (3 4 階建て ) の1 2 階 0.05 各階 900m 2 以上の建物 ( 多層 ) の上層 0.01 原子 安全委員会 原子 施設等の防災対策について
線量測定と計算 事故後の追加被ばく線量 ( 計算例 ) 平常時の値を差し引く事が重要 線量率 ( 事故による上昇分 ) 0.24 0.04( 仮 )= 0.2 低減係数 0.4 放射性物質 滞在時間屋外 8 時間屋内 16 時間 実測値 ( 例 ) 平常時 ( 仮 ) 0.2 8 時間 ( 屋外の分 ) + 0.2 0.4 16 時間 ( 屋内の分 ) 365 日 = 1050 マイクロシーベルト = 1.05 ミリシーベルト バックグランドの設定で変わる半減期を考慮していない
線量測定と計算 内部被ばく線量の算出 摂取量ベクレル (Bq) 体内での動態半減期 放射性物質 各臓器が受ける量 ( 等価線量 ) α 線 20 倍 γ 線 1 倍 かける 線量係数 β 線 1 倍 中性子 2.5 21 倍 放射線の種類による影響の違い 預託実効線量係数の算出にあたっては年齢による差も考慮されている 全身が受ける量 臓器による感受性の違い 預託実効線量預託実効 シーベルト (Sv) 数理モデル計算により放射性物質ごとの係数が決定
線量測定と計算 実効線量への換算係数 預託実効線量係数 (µsv/bq) ( 経口摂取の場合 ) ヨウ素 131 セシウム 134 セシウム 137 ストロンチウム 90 プルトニウム 239 3 ヶ月児 0.18 0.026 0.021 0.23 4.2 1 歳児 0.18 0.016 0.012 0.073 0.42 5 歳児 0.1 0.013 0.0096 0.047 0.33 10 歳児 0.052 0.014 0.01 0.06 0.27 15 歳児 0.034 0.019 0.013 0.08 0.24 成人 0.022 0.019 0.013 0.028 0.25 μsv/bq: マイクロシーベルト / ベクレル ICRP Database of Dose Coefficients CD-ROM, 1998
線量測定と計算 食品からの被ばく線量 ( 計算例 ) ( 例 ) 成人がセシウム 137 を 100 Bq/kg 含む食品を 0.5 kg 摂取 100 Bq/kg 0.5 kg 0.013 = 0.65 µsv = 0.00065 msv 実効線量係数 (µsv/bq) ヨウ素 131 セシウム 137 3 ヶ月児 0.18 0.021 1 歳児 0.18 0.012 5 歳児 0.10 0.0096 成人 0.022 0.013 Bq: ベクレル ICRP Database of Dose Coefficients CD-ROM, 1998 µsv: マイクロシーベルト msv: ミリシーベルト
線量測定と計算 摂取量の推定のための放射能測定法 体外測定法 バイオアッセイ 甲状腺モニタ 放射性物質 ホールボディカウンタ (WBC) 体内の放射性物質からの放射線を計測する 排泄物 各排泄物に含まれる放射性物質を計測する
線量測定と計算 内部被ばく測定用の機器 全身 位型ホールボディカウンタ 全身臥位型ホールボディカウンタ 検出器 全身いす型ホールボディカウンタ 甲状腺モニタ
頻度線量測定と計算 内部被ばく量の体外計測のデータ バックグラウンド被験者 セシウム 137 のピークの位置 カリウム 40 のピーク 0 500 1000 1500 2000 エネルギー (kev) 体内から出てくる放射線を測定 体内の放射能を物質別に求める 体内にあるカリウムの量は体重 1kg あたり 2g 程度 そのうち約 0.01% が放射性のカリウム 40
線量測定と計算 体内放射能の評価法の比較 体外計測法人体を直接測定被検者を拘束する主にγ 線を放出する物質が対象装置内での計測時間は短い精度が い バイオアッセイ間接測定試料 ( 尿 便など ) を提供全部の放射性物質が測定可化学分析に時間がかかる誤差が大きい 遮蔽 放射線検出器 尿
全身放射能( ベクレルクレル)線量測定と計算 体内放射能と線量評価 10,000 Bq を取りこんだ場合 )毎日 1 Bq を取りこんだ場合 1-5 歳 5-10 歳 10-15 歳成人 放射性セシウムの 物学的半減期成人 : 約 70 100 日 10 才前後 : 約 40 日 60 日乳幼児 : 約 10 25 日 若年のほうが代謝がはやい 初期被ばく量推定は 大人でも 1 年程度が限界 子どもは半年程度まで 身放射能( ベ成人 :143Bq 思春期 :117Bq 小児 :53Bq 乳児 :30Bq 若年のほうが滞留量が少ない 経口追加被ばくの推定は 子どもでは有限値が出にくい 微量な摂取を検出するためには成人の検査を う が合理的全宮崎 日本放射線安全管理学会シンポジウム ( 平成 24 年 6 月 29 日 ) 発表資料より改変
身の回りの放射線 自然 人工放射線からの被ばく線量 自然放射線 宇宙から 0.38 msv 人工放射線 食物から 0.24 msv 空気中のラドンから 1.3 msv 大地から 0.46 msv 胸部 CT スキャン 1 回あたり 6.9 msv (6900 µsv) 世界平均 1 人あたりの 1 年間放射線量 2.4 msv (2400 µsv) 東京 ニューヨーク往復飛 機の旅 msv: ミリシーベルト 0.19 msv ( 190 µsv) µsv: マイクロシーベルト 胸部単純エックス線 1 回あたり 0.06 msv (60 µsv) 放射線医学総合研究所ホームページ ( 出典 : 資源エネルギー庁 2000 年 ) より作成
身の回りの放射線 時間当たりの被ばく線量の比較 マイクロシーベルト / 時 空間放射線量率の比較 ( 平常時 ) 100 10 67 宇宙ステーション船外活動 24 宇宙ステーション内 7 航空機 ( 東京 サンフランシスコ ) 1 0.02-1.3 スウェーデン 0.1 0.01 0.15 富士山頂 0.15 三朝温泉 0.06-0.11 岐阜県 0.03-0.08 東京都
身の回りの放射線 年間当たりの被ばく線量の比較 日常生活における被ばく ( 年間 ) 世界平均 ラドン トロン 1.26 食品宇宙 0.290.39 自然放射線 2.4 大地 0.48 診断被ばく 0.6 ラドン トロン食品宇宙大地診断被ばく 日本平均 ラドントロン 0.48 食品 0.99 宇宙大地 0.3 0.33 診断被ばく 3.87 自然放射線 2.1 0 2 4 6 線量 ( ミリシーベルト ) 2008 年国連科学委員会報告 原子 安全研究協会 活環境放射線 (2011 年 ) より作成 60