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ログラムの審査に産業界からも参画を得ることで 大学がエンジニア予備軍である学部学生に対し社会のニーズに即した教育を実践できるよう 促進する役割を果たしている かかる状況の下 エンジニアの量的拡大が質を伴う形で実現されるよう インドネシア政府は我が国に対し LAM-PS としての インドネシアエンジニ

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護ディプロマ課程を 3 年制看護ディプロマ課程に変更したのに加え ディプロマ課程看護師の現任研修により学士が取得できる 2 年制ポスト ベーシック課程とは別に大学教育として看護学士課程制度 (4 年制 ) を導入することを定めた 学術的に高度な 4 年制看護学士課程の卒業生は輩出されたばかりであるが

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は Blue Print for Air Transportation にて民間航空長期計画を作成 アクションプラン DGCA 5-Year Strategic Plan を作成した上 航空安全に係る総合的な対策の強化を図っており 本事業はこれに寄与するもので

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(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 SATREPS) 国際協力機構農村開発部農業 農村開発第一グループ第二チーム 1. 案件名国名 : インドネシア共和国案件名 : 和名 ( 科学技術 ) 食料安全保障を目指した気候変動対応策としての農業保険における損害評価手法の構築と社会実装英名

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欠であり 運輸交通分野を中心に膨大なインフラ投資が必要になると見込まれる これらのインフラ整備にあたっては 案件ごとにマスタープランから工事まで段階を踏んで検討 建設が進められるが 対象地の地形などを確認 把握するため 検討段階に応じた精度の地図が必要となる 現在 同国では基本的な測地基準点網が整備

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2008年6月XX日

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JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

事業事前評価表 国際協力機構産業開発 公共政策部資源 エネルギーグループ第二チーム 1. 案件名国名 : ザンビア共和国案件名 : 和名ザンビアにおける鉛汚染のメカニズムの解明と健康 経済リスク評価手法および予防 修復技術の開発英名 The Project for Visualization of

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前提 新任務付与に関する基本的な考え方 平成 28 年 11 月 15 日 内 閣 官 房 内 閣 府 外 務 省 防 衛 省 1 南スーダンにおける治安の維持については 原則として南スー ダン警察と南スーダン政府軍が責任を有しており これを UNMISS( 国連南スーダン共和国ミッション ) の部

援 GHGインベントリ策定にかかる技術移転等 気候変動対策を推し進めるための包括的な支援を実施した 同プロジェクトの成果として 国家気候変動緩和行動計画 (RAN-GRK) に基づき州気候変動緩和行動計画 (RAD-GRK) の策定が進められるとともに 国家気候変動適応行動計画 (RAN-API)

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(2) 当該国における地震防災分野の開発政策と本事業の位置づけネパール政府は 2009 年に災害リスク国家管理戦略を制定し 対象災害の一つとして地震を上げている 地震防災分野は 2009 年に設置された National Platform for Disaster Risk Reduction にお

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研究は重要項目とされている 本事業は CERMEL と長崎大学の共同研究を通じて 1 対象地域におけるウイルス感染症の流行状況の解明 2 新規に同定されたウイルスの性状解析 3 公衆衛生対策上優先度の高いウイルスに対する診断法の開発を行い ガボン側研究機関のウイルス感染症研究開発の能力向上に貢献する

事業事前評価表 1. 案件名 ( 国名 ) 国際協力機構南アジア部南アジア第四課 国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 貧困削減戦略支援無償 ( 教育 ) (Poverty reduction efforts) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における初等教育セクターの現状と課題バン

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おける成果としては まず組織運営 ( 交番活動 ) 面としてシフト制による 24 時間勤務 受け持ち区域 体制がつくられ 住民の要望を聞くとともに防犯上のアドバイスなどをする 巡回連絡 が行われるようになり そうした現場レベルでの市民警察活動の拠点として BKPM( 警察 市民パートナーシップ セン

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令 (2006 年 5 号 ) では 2025 年までの国家エネルギー政策の数値目標を設定し エネルギー供給量に対する新 再生可能エネルギーの目標値を 17%( うち地熱エネルギーは 5 %) に定めた また 2010 年の Vision 25/25 において 新 再生可能エネルギーの目標値を 25

内部統制ガイドラインについて 資料

本部主管案件 技術協力プロジェクト 本部 / 国内機関 : 人間開発部 2018 年 08 月 22 日現在 案件概要表 案件名 ( 和 ) 学校運営委員会支援プロジェクト フェーズ 2 ( 英 )Project for Supporting to School Management Committ

0528事業事前評価表(円借款+附帯技プロ)final.doc

ジャカルタ大都市圏空港整備計画調査の必要性については JICA が 2008 年 1 月に実施した 次世代航空保安システム整備に係るフィージビリティー調査 でも提言がなされており 既存空港の拡張及び効率的運用を含めたジャカルタ首都圏周辺の適切な空港整備に係る長期的な計画を策定する必要性は高い インド

の理解と参加を促進し, 開発協力を支える社会的基盤をより一層広げ, 強化するために, NGO/ 市民社会 (CSO) との連携が推進されるべきことが謳われたところである 以上の経緯と背景の下に NGO と ODA の連携に関する中期計画 ~ 協働のための 5 年間の方向性 ~ が策定されることとなっ

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評価調査結果要約表 1. 案件概要 国名 : メキシコ合衆国案件名 : メキシコ国電子分野における研究 教育手法の開発分野 : 中小企業振興援助形態 : 技術プロジェクト所轄部署 : 中南米部中米 カリブチーム協力金額 ( 評価時点 ):20,375 千円協力期間 (R/D):2003 年 11 月

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム (SATREPS) JST 中間評価 1 の実施要領 平成 29 年 6 月改定 JST 国際部 SATREPS グループ 1. 地球規模課題国際科学技術協力 (SATREPS) プロジェクトの中間評価について SATREPS は JST による研究支援お

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区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみであり 十分な公共交通手段が確保されていないため 同エリアと周辺に住む住民はバスや自動車等により通勤しているが 道路の混雑により 通勤に大きな支障が出ている 加えて 南北鉄道事業南線 ( 通勤線 ) ( 以下 本事業 という ) の対象区間には

Rodrigo Domingues UNDP Borja Santos Porras/UNDP Ecuador UNDP Kazakhstan 2

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社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

20 21 The Hachijuni Bank, LTD.

エチオピア 2017 年 2 月 エチオピアは FATF 及び ESAAMLG( 東南部アフリカ FATF 型地域体 ) と協働し 有効性強化及び技術的な欠陥に対処するため ハイレベルの政治的コミットメントを示し 同国は 国家的なアクションプランや FATF のアクションプラン履行を目的とした委員会

架鉄道三路線 ( うち 二路線は軽量 ) の総延長は 50km にとどまっている 首都圏南方については マニラ市ツツバンからカブヤオ市ママティッドまでの区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみである 首都圏北方は 居住エリアが拡大しているものの 十分な公共交通手段が確保されていないた

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[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

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各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

西アフリカ 3億人ビジネス市場マップ ―2035年5億人市場に向けて―

無償資金協力 案件概要書 2017 年 8 月 29 日 1. 基本情報 (1) 国名 : カンボジア王国 (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 : シハヌークビル特別市 プノンペン (3) 案件名 : 港湾近代化のための電子情報処理システム整備計画 (The Project for Port

るための HIV 予防という マダガスカルの開発ニーズに合致していた 事前評価時における日本の援助方針との整合性 2006 年の日本とマダガスカルの経済協力政策対話に基づく 健康状態の改善を含む 農業 漁業 農村開発に向けたインフラの維持と人材開発を重点とする 日本の援助方針に合致していた 評価判断

第 3 章事業事前評価表 ( 技術協力プロジェクト ) 1. 案件名ブルキナファソ国学校運営委員会支援プロジェクト 2. 協力概要 (1) プロジェクト目標とアウトプットを中心とした概要の記述本プロジェクトは ブルキナファソ国内 2 州 ( 中央プラトー州 東部中央州 ) において 州 県 CEB

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

おらず 園芸作物の生産量の増加につれ 収穫期の値崩れや農産物の廃棄 低い保存 加工技術 資金へのアクセス等の課題に直面しており 収入が期待通りに伸びていない また 農家への技術支援を担う中央や地方の行政機関の職員および普及員数は少なく 十分に機能していない状況にあり 小規模農家の根本的な課題解決には

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4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

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事業事前評価表

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支援 及び 不均衡の是正と安全な社会造りへの支援 の中で重点分野として掲げており また JICA も国別分析ペーパーの協力プログラムにおいて 首都圏の都市基盤整備プログラム や 地方開発 拠点都市圏整備プログラム の中で開発課題として位置づけている 上水道セクターにおいては 日本は下記 3.(9)

5 この施策に係る事務事業 ( 重要度 貢献度順 ) 番号 事務事業名 魅力個店づくり整備促進事業 歳出決算額 ( 千円 ) 施策への関連性 目的に対する指標 年度目標値 年度実績値 推移 区内の既存個店や出店希望 22 者が行う 魅力的な店舗づ 809 くりを支援することで 魅 力個店の集積を図る

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

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プロジェクト ( 年 ) 独 (KfW): 西ナイル地区に特化した配電網の拡充 小水力の開発 ( 年 ) 3. 事業概要 (1) 事業の目的ウガンダにおける産業活性化が期待できる地方において 長距離配電線 (33kV 配電線 ) の資機材の調達 据付を行うことによ

平成18年度標準調査票

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と衝突して沈没し 147 人が死亡 2014 年 8 月にはパドマ川で約 250 人を乗せたフェリーが荒天のため転覆し 110 人が死亡等の大事故が発生している また 同国は 雨季には大型サイクロンが度々ベンガル湾から来襲し 沿岸部で遭難事故が多発するなど 地理的に自然災害の影響を受けやすい地域であ

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事業事前評価表_新様式

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

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女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

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Transcription:

技プロ 附帯プロ用 事業事前評価表 国際協力機構コンゴ民主共和国事務所 1. 案件名国名 : コンゴ民主共和国案件名 : 和名市民と平和のための警察研修実施能力強化プロジェクト英名 Project for the Professionalisation of the Police for the Population and Peace 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における治安セクターの現状と課題コンゴ民主共和国 ( 以下 コンゴ民 ) は現在でも紛争地域を抱え 全土に国の統治が及ばず 長引く紛争の影響により限られた財政基盤 非効率な行政機構 過去 20 年間教育機会を喪失した人材 膨大な貧困人口を擁する紛争影響国である 同国における治安セクターは コンゴ民の国家開発戦略である 成長 貧困削減戦略 (DSCRPII) の戦略的な柱 1ガバナンス強化および平和の定着 において 国家開発に向けた取組及び他分野の成果達成の条件 と位置付けられ コンゴ民政府は 軍 警察 司法 の 3 セクターから成る治安セクター改革を 国の最優先課題として国連コンゴ民安定化ミッション ( 以下 MONUSCO ) を含む国際社会の支援を得つつ進めている 警察セクター改革については 政府 ドナー間のプラットフォームとして 2007 年に設立された 警察改革フォローアップ委員会 ( 以下 CSRP ) を中心に コンゴ民国家警察 (Police Nationale Congolaise, 以下 PNC ) のマンデートや法制度整備 組織改革 指揮 規律の向上などが議論され 国際ドナーの協力を得ながら 法律の制定や各種組織改革が実施されている JICA は 2004 年より国連コンゴ民安定化ミッション (MONUSCO 当時の MONUC) と連携し 他ドナーと協調のもと 同国の安定化 人道危機への対処の観点から 短期 緊急的性格の支援として短期専門研修 長期基礎研修を含む各種警察研修実施を支援してきた 一方 PNC 側の人材データの未整備 ( 警察官の総数の未把握 1 ) 人材戦略 研修計画の不在 研修実施にかかる人材局や予算局等関連部局との調整の不全 警察教官の育成が不十分 研修センターが未整備等の組織的 人員的理由により 十分な研修を受けない あるいは職務上のニーズに合った研修を受けないままに警察官として勤務している者がなお大部分を占める プロの警察官 としての任務を遂行するのに必要な法的知識 人権遵守の概念 犯罪捜査の技術や経験が欠けた者が依然として多数を占め 市民への犯罪行為や犯罪者の非処罰が発生しており PNC は 市民の安全と財産を守る という使 1 警察官の総数は全国で 11-12 万人と言われているが 現在 EU の支援を得て PNC が調査中 1

命をいまだ全うできていない 上述の人材育成に係る問題 また 2013 年末に PNC 内に研修を一元的に管理する学校 研修総局 (Direction Général de la formation et l école de la PNC 以下 DGEF ) が設置されたことを踏まえ 今後は警察官研修の実施そのものを活動目的とするのではなく PNC 自らが自立発展性をもって継続的に人材育成を行えるよう DGEF および人材局 予算局 警察改革推進室 (Cellule Réforme de la Police 以下 CRP ) 等との連携をはかりつつ PNC の組織的な研修実施体制を確立し 研修の計画 実施 管理能力の強化を進めることが求められている (2) 当該国における警察セクター政策と本事業への位置づけ警察改革については CSRP により 警察改革推進に向け必要な具体的活動が明記された 警察改革 5 か年計画 (Plan d Action Quinquennal: PAQ) (2012-2016) が策定されている 本事業は PAQ の 5 本柱の一つに位置付けられる 人材育成 に係る活動を支援するものであり 警察改革に向けたコンゴ民政府及び PNC の取り組みを支援するものである (3) 治安セクターに対する我が国及び JICA の援助方針および支援の実績我が国の対コンゴ国別援助方針では 平和の定着 が重点分野として特定されており 治安セクターは 同分野内の開発課題 治安セクター改革 ガバナンス改善 のうち 警察 司法改革プログラム に位置づけられている 2013 年 6 月の TICADV においても 平和と安定 は重点支援策の1つに挙げられ 特にアフリカ地域でのガバナンス分野行政官の育成が重点項目の一つとして掲げられている (4) 他の援助機関の対応 EU: 警察本部の能力強化 ( 人材データベース構築 人材育成 管理 研修マスタープラン策定支援 財務管理など ) 警察大学校( 幹部育成校 ) 建設支援 UNPOL: 教官派遣 人材戦略 研修プラン等に係るアドバイザー派遣 DFID( 英 ) および UNDP: コミュニティ警察支援 ( 市民との協働による治安維持体制構築 緊急通報システムの設置等 ) その他独 仏 米等が各種専門研修を実施 ( 性暴力対策 鉱山 国境 機動隊等の専門研修 ) 3. 事業概要 (1) 事業目的 ( 協力プログラムにおける位置づけを含む ) 本事業は コンゴ民において PNC の研修実施能力を強化 改善することにより PNC がプロの警察官として適切な知見と能力を持つ人材を育成するメカニズムを構築し もって PNC が規定する適正人材の増加に資することを目的とする (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 2

PNC 本部 ( キンシャサ ) パイロット校( プロジェクト開始後に決定予定 ) (3) 本事業の受益者 ( ターゲットグループ ) 直接受益者 : PNC 学校 研修総局 (DGEF) 職員 間接受益者 :CRP その他 PNC 職員 ( 警察官総数約 12 万人 ) 最終受益者 : コンゴ民国民 (4) 事業スケジュール ( 協力期間 ) 2015 年 2 月 ~2018 年 5 月を予定 ( 計 40 ヶ月 ) (5) 総事業費 ( 日本側 ) : 約 4.9 億円 (6) 相手国側実施機関 : PNC/DGEF (7) 投入 ( インプット ) 日本側 1 専門家 ( 合計 72M/M)( 括弧内は目安の M/M 案 ) 長官アドバイザー 総括 (36M/M) 研修コーディネータ(36M/M) 2 本邦研修 / 第三国研修 ( 専門科目 ) 3 施設改修 ( 研修センター改修 機材供与 ) 4 その他 警察研修実施に不可欠な経費 コンゴ民側 1 カウンターパートの配置プロジェクトダイレクター :PNC 長官 (CRP が事務面を補佐 ) プロジェクトマネージャー :DGEF 総局次長 ( 研修担当 ) プロジェクト実施ユニットの設置 2 施設 機材プロジェクト実施に必要な執務室および施設 設備の提供 (PNC 本部内執務室 ) 3 プロジェクトにかかわる現地経費カウンターパート人員給与 ( 基礎給 職能給 超過勤務手当 その他各種手当等 ) (8) 環境社会配慮 貧困削減 社会開発 1) 環境に対する影響 / 用地取得 住民移転 1カテゴリ分類 : C 2カテゴリ分類の根拠 : 本事業は 国際協力機構環境社会配慮ガイドライン (2010 年 4 月公布 ) 上 環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため 2) ジェンダー 平等推進 平和構築 貧困削減本事業では コンゴ民における女性への性暴力被害の甚大さや 女性警察官が警察官全体の約 7-8% と少ないことに鑑み ジェンダー平等推進を目指し 3

なるべく多くの女性警察官の参加を推奨することとする また 本計画を通じ公共治安の安定に貢献することを目的としているため 平和構築支援の一環と位置付けることができる (9) 関連する援助活動 1) 我が国の援助活動 2004 年度から 2008 年度までキンシャサ特別州 バ コンゴ州にて現職警察官の再訓練を実施 2009 年度以降 東部地域 ( オリエンタル州 北キブ州 カタンガ州 ) も対象に加え長期 (6 か月 ) 基礎研修を実施 2013 年度末までに合計約 20,000 名の警察官に対して研修機会を提供 国連開発計画経由で 東部地域 ( 南北キブ州 ) における紛争被害コミュニティの早期回復プロジェクト (90 万ドル ) 国連 PKO 事務局地雷対策サービス局 (UNMAS) 経由で 人道的地雷対策活動による平和構築と安定化支援 (100 万ドル ) 等を実施中 地域別研修 仏語圏アフリカ刑事司法研修 (2013-2017) を実施中 2) 他ドナー等の援助活動本事業では警察教官を擁する MONUSCO/UNPOL と連携し 特に教官研修 パイロット研修の実施にあたり協力を行う また EU が実施する警察本部能力強化支援プロジェクト (Projet d Appui à la Réforme de la Police Nationale Congolaise, PARP) は 人材戦略 研修マスタープラン等の PNC 政策レベルでの能力強化を中心に支援しているが JICA は同人材戦略との整合性を重視し 現場レベルでの施行を通じた研修実施体制構築 実施能力強化を目標としており 両者の連携を通じた相乗強化が期待されている 4. 協力の枠組み (1) 協力概要 1) 上位目標 : 国家警察が研修を受けプロ意識が高く人権を尊重する警察官を輩出する 指標 1: 研修受講生の配属先で 住民が警察の行動に満足している割合が XX%( 注 1) 増加する指標 2: 研修を受講した警察官の数が XX% 増加する指標 3: 規定された基準を満たした形で採用 選定された警察官の数が XX% 増加する指標 4:PNC が規定した基準にそって配置された警察官の数 2) プロジェクト目標 : 国家警察にプロ意識が高い警察官を育成する持続的なメカニズムが確立される 指標 1: 案件内で策定された行動計画の実施割合 (%) 指標 2:PNC が自ら実施した研修の数と質 ( 外部評価者による評価 ) 4

指標 3: 計画に則って実施された採用の数指標 4: 計画に則って実施された配属の数 3) 成果成果 1: 警察本部内の研修実施に係る部署間連携能力が向上する 成果 2:DGEF( 学校 研修総局 ) の組織能力が パイロット研修実施を通じ向 上する 成果 3: パイロット校の研修実施環境が整備され 学校として機能する 成果 4: 警察研修を行うために十分な能力を持つ教官が育成される ( 注 1) 指標数値は 案件開始後のベースライン調査に基づき設定する 5. 前提条件 外部条件 ( リスク コントロール ) (1) 前提条件研修マスタープラン 研修総合計画 学校内規が存在する (2) 外部条件 1プロジェクト目標達成のための外部条件警察改革実施のための政府予算が確保される 2 上位目標達成のための外部条件政治 社会情勢が安定している 政府の政策方針が変更されない 政府の強い関与が維持される 6. 評価結果 本事業は コンゴ民主共和国の開発政策 開発ニーズ 日本の援助政策と十分に合 致しており また計画の適切性が認められることから 実施の意義は高い 7. 過去の類似案件の教訓と本事業への活用 (1) 類似案件の評価結果現地国内研修 国家警察民主化研修 (2011-2013 年度実施 ) におけるモニタリング調査にて 教訓として以下が指摘されている 上記案件では 長期基礎研修 実施への支援を主な活動として行ったが 同研修の受講は PNC の人材育成計画 制度等に明記されておらず DGEF も 2013 年 12 月に設立されたばかりであり 同研修が PNC の人材育成制度 5

の中に定着するに至っていない したがって 今後は研修の実施にとどまらず 制度構築及び研修実施能力強化に貢献し 過去の成果を定着させる活動を展開すべきである 上記案件では 地域住民と警察の関係構築に資する活動 ( 研修センターの診療所一般開放など ) が行われ PNC 側のイニシアティブにより活動が展開されたことにより 成果の発現が確認されたため 今後の協力においても継承すべきである 研修後の警察官の意識 態度変化については 警察官本人へのインタビューを実施したが 最終受益者である市民の意見を調査するには至っていない そのため 今後は 警察官本人のみならず配属先や市民へのインタビューを行うことが必要である (2) 本事業への教訓上記教訓を踏まえ 以下の内容を計画に反映する 本事業では PNC の研修実施体制構築に資する活動を実施する 具体的には 研修計画策定 実施 評価の一連の流れを PNC 自身にて運営するための能力強化支援を実施する 地域住民と警察の関係構築に資すると考えられる活動は PNC のイニシアティブを尊重しつつ 積極的に検討する 研修実施の効果検証に際しては 地域住民及び地方行政機関も含めた枠組みを構築する またベースライン エンドラインの確認を行い プロジェクト実施の効果を検証する 8. 今後の評価計画 (1) 今後の評価に用いる主な指標 4.(1) のとおり (2) 今後の評価計画事業開始 6 ヶ月以内ベースライン調査 事業終了 3 年後 事後評価 以上 6