InVesalius に DICOM 通信機能を付加する InVesalius には DICOM 通信機能がない そのため DICOM データを一元管理する画像データベース (DICOM サーバ ) に対して患者名や患者 ID などで検索 ( クエリ ) し 検索結果の DICOM データをダウンロード ( リトリーブ ) して InVesalius で画像解析するような使い方ができない そこで 無料の DICOM 通信ソフトウェアを導入して InVesalius と DICOM 通信機能を連携させる手順を説明する 目次 1 本ドキュメントが想定するネットワーク環境... 2 2 DICOM 通信ソフトウェアのダウンロード... 2 3 Storage SCP Emulator の設定... 4 4 DICOM サーバ側の設定... 6 5 DICOM サーバで患者を検索して DICOM データ送信する... 8 6 受信した DICOM データを InVesalius で閲覧する... 10 7 応用的な使い方... 12 7-1 同時起動のバッチファイル... 12 7-2 DICOM サーバの遠隔操作... 12 8 参考資料とドキュメント作成者... 13 参考資料... 13 ドキュメント作成者... 13 1
1 本ドキュメントが想定するネットワーク環境 本ドキュメントが想定するネットワーク環境を図に示す 各種モダリティで撮像した DICOM データは DICOM サーバに送信され データベースに登録される クライアントパソコンには InVesalius がインストールされている これらの機器はすべてネットワークで接続されている 2 DICOM 通信ソフトウェアのダウンロード 利用する DICOM 通信ソフトウェアは DVTk が公開する Storage SCP Emulator だ DVTk は医療環境での通信プロトコルと通信シナリオをテスト 検証 診断するオープンソースプロジェクトである DVTk の Web サイト (http://www.dvtk.org/) にアクセス トップページ下方の [DOWNLOADS] を選択する 2
ログイン画面が表示される ソフトウェアをダウンロードするには会員登録が必要なの で [REGISTER] をクリック 表示される画面で必要事項を記入して登録を行う 会員登 録が完了すると DVTk からメールが届く [SIGN IN] をクリックしてログインする 各種ソフトウェアのダウンロード画面が表示 されるので ページ下方にある Storage SCP Emulator の [Download latest version] 3
をクリックして ファイルをダウンロードする ダウンロードされた Storage-SCP-Emulator-3.4.0.0.msi をダブルクリックしてインストールする 3 Storage SCP Emulator の設定 インストールされた Storage SCP Emulator を起動して次の設定を行う 初めて起動すると [Stored Files Options] ダイアログボックスが表示されるが とりあえず [Cancel] ボタンをクリックしてダイアログボックスを閉じてよい [Storage SCP Emulator] ウィンドウの [Storage Config] タブで次の項目を設定する AE Title:Storage SCP Emulator の AE タイトル 初期設定の DVTK_STR_SCP のままでよい 4
Listen Port: 通信に使用するポート番号を設定する 初期設定の 104 のままで よい [Stored Files] メニューの [Options] を実行する 表示される [Stored Files Options] ダイアログボックスの [Received DICOM Messages] タブの [Directory] で DICOM サーバから送信されてくる DICOM データを保存するフォルダを設定する ここには InVesalius で [Import DICOM(DICOM 読み込み )] を実行して開くフォルダを指定しておく (InVesalius には読み込む DICOM フォルダを固定して設定できず 前回開いたフォルダを開く仕様なので 運用上 DICOM データを保存するフォルダを決めておいたほうがよい ) このタブでは DICOM サーバからダウンロードした DICOM データをクライアントパソコンに保存しておく期間やファイルサイズなども設定できる 設定を終えたら [OK] ボタンをクリックしてダイアログボックスを閉じる ウィンドウ左上にある緑色三角の [Run Emulator] アイコンをクリックする 5
Storage SCP Emulator が動作開始する 4 DICOM サーバ側の設定 DICOM サーバ側で DICOM データを送信するクライアントを登録する ここでは Java で開発された DICOM サーバ dcm4chee で設定を行っている [ アプリケーションエンティティ ] タブの [ 新しい AET] ボタンをクリック 通信するクライアントの設定を行う [ 新しい AET] ダイアログボックスが開くので 次の項目を設定する 6
タイトル : クライアントの AE タイトルを入力する ここでは Storage SCP Emulator の初期設定名 DVTK_STR_SCP を入力する ホストネーム : クライアントパソコンの IP アドレスを入力する ポート : ここでは Storage SCP Emulator の初期設定のポート番号 104 としておく以上を入力したら [ エコー ] ボタンをクリックして 通信が正常に行われるかテストする [DICOM エコー ] ダイアログボックスが表示されるので 再度 [ エコー ] ボタンをクリックする 図のように表示されれば通信に成功している 7
[DICOM エコー ] ダイアログボックスを閉じ [ 新しい AET] ダイアログボックスの [ 保存 ] ボタンをクリックしてダイアログボックスを閉じる [ アプリケーションエンティティ ] タブに Storage SCP Emulator がタイトル名 DVTK_STR_SCP として保存された 5 DICOM サーバで患者を検索して DICOM データ送信する 閲覧したい患者を dcm4chee で検索し 検索結果の DICOM データをクライアントパソコンに送信する [ フォルダ ] タブの患者氏名などのテキストボックスに検索したい患者の情報を入力 [ 検索 ] ボタンをクリックする 画面では患者氏名に OSIRIX と入力している 4 シリーズ 877 枚の DICOM データが検索された ここでは全データをクライアントパソコンに送信する 患者氏名リストのチェックボックスをオンにして [ エクスポート ] ボタンをクリックする [DICOM Export] ダイアログボックスが開くので [ 送信先 AET] プルダウンメニューで先ほど設定した DVTK_STR_SCP を選択 [ 送信 ] ボタンをクリックする 8
送信状況が Storage SCP Emulator の [Logging] タブに表示される ファイル送信完了時の dcm4chee の [DICOM Export] ダイアログボックスの [ 送信結 果 ] 欄の状態 9
6 受信した DICOM データを InVesalius で閲覧する InVesalius を起動して [File( ファイル )] メニューの [Import DICOM(DICOM 読み込み )] を選択 [Choose a DICOM folder(dicom フォルダを選択 )] ダイアログボックスで Storage SCP Emulator で設定した DICOM データを保存するフォルダを指定する ファイル読み込みウィンドウに DICOM サーバから受信した患者のデータが読み込まれ る 図の例では患者名 OSIRIX 4 シリーズ 877 枚の DICOM データが確認できる 10
MPR 3D モデルとも正常に再構成できた 11
7 応用的な使い方 7-1 同時起動のバッチファイル DICOM 通信機能は Storage SCP Emulator DICOM データの閲覧は InVesalius と 2 つのソフトウェアはセットで利用することが多いので Storage SCP Emulator と InVesalius を同時に起動する次のような内容のバッチファイルを作成しておくとよい ( ただし Storage SCP Emulator 起動後 [Run Emulator] アイコンをクリックする必要はある ) start "" "C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\InVe salius 3.0\InVesalius 3.0.lnk" start "" "C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\DVTk \Storage SCP Emulator\Storage SCP Emulator.lnk" 7-2 DICOM サーバの遠隔操作 本ドキュメントで扱った DICOM サーバの dcm4chee は Web ブラウザで操作できるため DICOM サーバとクライアントパソコンが異なる場所にあっても 遠隔操作は行える しかし DICOM サーバとクライアントを 1 台のパソコンで兼ねる場合を除き DICOM サーバとクライアントパソコンを分けて運用している状態では DICOM サーバを遠隔操作する方法が必要だ 解決の一案として リモートデスクトップツールを利用する方法がある このツールを介して クライアントパソコンから DICOM サーバを操作して 目的の DICOM データを検索 検索結果の DICOM データをクライアントパソコンに送信すればよい 設定が比較的簡単で使いやすさに定評があるリモートデスクトップツールとしては AnyDesk:https://anydesk.com/remote-desktop TeamViewer:https://www.teamviewer.com/ja/ Chrome リモートデスクトップなどがある 図は AnyDesk を使い 遠隔地の DICOM サーバ Conquest をクライアントパソコンから操作 検索した DICOM データをクライアントパソコンに送信しようとしているところだ 12
8 参考資料とドキュメント作成者参考資料 本ドキュメントを作成するに当たり 株式会社リジット (http://www.lisit.jp/) の次の記事を参考にしました 感謝申し上げます RadiAnt DICOM Viewer に DICOM 通信機能を連携させる (http://www.lisit.jp/125021252512464/radiant-dicom-viewerdicom) ドキュメント作成者 Yoshihiro Sato(yoshihiro_sato@zaccoz.net) 13