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医師主導治験取扱要覧

北里大学病院モニタリング 監査 調査の受け入れ標準業務手順 ( 製造販売後臨床試験 ) 第 1 条 ( 目的 ) 本手順書は 北里大学病院において製造販売後臨床試験 ( 以下 試験とする ) 依頼者 ( 試験依頼者が業務を委託した者を含む 以下同じ ) が実施する直接閲覧を伴うモニタリング ( 以下

12_モニタリングの実施に関する手順書 

3 治験実施計画書目的 当該治験について 治験実施計画書が手順書に従い適切に作成及び改訂されていることを確認する 次の事項を調べる (1) 治験実施計画書の記載項目 ( 再生医療等製品 GCP 省令第 7 条第 1 項に規定する項目 ) (2) 治験実施計画書の作成 改訂の手順と日付 (3) 治験計

山形県立中央病院治験審査委員会業務手順書

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治験審査委員会手順書 平成 27 年 10 月 1 日 医療法人新光会

第 4 章治験責任医師の業務 目次 1. 目的と適用範囲 1 2. 治験責任医師の要件 1 3. 治験実施計画書の遵守に関する合意 1 4. 同意説明文書の作成 1 5. 治験分担医師及び治験協力者のリストの作成 2 6. 治験の実施依頼 ( 新規 変更 継続 ) 3 7. 治験の実施等の了承 3

目次 第 1 章治験審査委員会... 3 ( 目的と適用範囲 )... 3 ( 治験審査委員会の責務 )... 3 ( 治験審査委員会の設置及び構成 )... 3 ( 治験審査委員会の業務 )... 4 ( 治験審査委員会の運営 )... 6 第 2 章治験審査委員会事務局... 8 ( 治験審査委

治験実施規程

する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

医療機関のの指示 決定に 医療機関のが 治験審査委員会の決定 関する文書 に基づく医療機関のの指示 決定を ( 治験に関する指 治験依頼者及びに通知す 示決定通知書 ) ( 治験審査委員会の通知文 る文書 書写しを含む ) 治験審査委員会の日付入り通知文書の 写し の業務内容に関 医療機関のがの業務

( 委員会の業務 ) 第 4 条委員会は その責務の遂行のために以下の最新資料を病院長から入手する なお あらかじめ 自ら治験を実施する者 委員会及び病院長の合意が得られている場合においては GCP 省令第 26 条の6 第 2 項に関する通知に限り 自ら治験を実施する者から入手することができる ま

宮城県立がんセンター受託研究業務手順書

治 験 実 施 標 準 業 務 手 順 書

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JCROA自主ガイドライン第4版案 GCP監査WG改訂案及び意見

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臨床試験(治験)の手続きについて

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日本医科大学付属第二病院治験標準業務手順書

料 情報の提供に関する記録 を作成する方法 ( 作成する時期 記録の媒体 作成する研究者等の氏名 別に作成する書類による代用の有無等 ) 及び保管する方法 ( 場所 第 12 の1⑴の解説 5に規定する提供元の機関における義務 8 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法等を含む ) 9

岩手医科大学医学部及び附属病院における人を対象とする医学系研究に係るモニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学医学部及び附属病院における 人を対象とする医学系研究に係る モニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学 第 1.0 版平成 29 年 10 月 1 日

神戸市立医療センター西市民病院治験審査委員会業務手順書 第 1 章治験審査委員会 ( 目的と適用範囲 ) 第 1 条本手順書は 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 ( 平成 9 年 3 月 27 日 厚生省令第 28 号 )( 以下 GCP 省令 という ) 医療機器の臨床試験の実施の基準に関

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手順書03

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( 様式第 6) 病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法に関する書類 病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法 計画 現状の別 1. 計画 2. 現状 閲 覧 責 任 者 氏 名 閲 覧 担 当 者 氏 名 閲覧の求めに応じる場所 閲覧の手続の概要 ( 注 ) 既に医療法施行規則第 9 条の

答申GCP(ポケット資料集製作委員会)

2) 治験薬概要書 (GCP 省令第 15 条の5 第 2 項の規定により改訂されたものを含む ) 3) 症例報告書の見本 ( 治験実施計画書において 症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は 当該治験実施計画書をもって症例報告書の見本に関する事項を含む ) 4) 説明文書 同意文書 (

医師主導治験取扱要覧


本手順書で使用する用語の定義 用語電子的記録書面電子的記録利用システム実務担当者原データ治験関連文書サイボウズサイボウズメッセージ 定義人の知覚では認識できない, 電子式等の方法で記録され, コンピュータで処理される記録紙媒体による資料治験依頼者, 実施医療機関の長, 治験責任医師並びに治験審査委員

実施医療機関治験審査委員会標準的業務手順書

長崎大学病院治験審査委員会内規 平成 21 年 4 月 1 日 病院内規第 3 号 ( 趣旨 ) 第 1 条この内規は, 長崎大学病院における医薬品の臨床試験の実施に関する内規 ( 以下 治験内規 という ) 第 4 条第 2 項, 長崎大学病院における医療機器の臨床試験の実施に関する内規 ( 以下

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治験は、医薬品として未だ認められていない物質を人(被験者)に投与して、有効性、安全性等を検討する臨床試験のことであり、新薬の承認申請資料の作成を目的としています

第 1 章目的と適用範囲 ( 目的と適用範囲 ) 第 1 条本手順書は 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 ; 平成 9 年厚生省令第 28 号 ( 以下 医薬品 GCP という ) 医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令 ; 平成 17 年厚生労働省令第 36 号 ( 以下 医療機器 G

川崎市水道局規程第 号

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9 中止基準 ( 研究対象者の中止 研究全体の中止について ) 10 研究対象者への研究実施後の医療提供に関する対応 通常の診療を超える医療行為 を伴う研究を実施した場合 研究実施後において 研究対象者が研究の結果より得られた利用可能な最善の予防 診断及び治療が受けられるように努めること 11 研究

第1章 総則

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習


じ ) その他の処方せん医薬品又は高度管理医療機器の製造販売に係る業務の責任者との密接な連携を図らせること ( 安全確保業務に係る組織及び職員 ) 第四条第一種製造販売業者は 次に掲げる要件を満たす安全確保業務の統括に係る部門 ( 以下この章において 安全管理統括部門 という ) を置かなければなら

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国立仙台病院受託研究取扱規程

大学病院治験受託手順書

実施医療機関における治験に係る標準的業務手順書

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本手順書の構成 第 1 章総則... 1 ( 治験の原則 )... 1 ( 目的と適用範囲 )... 2 第 2 章病院長の業務... 2 ( 組織の設置及び運営 )... 2 ( 治験依頼の申請等 )... 2 ( 治験実施の了承等 )... 4 ( 治験実施の契約等 )... 5 ( 契約内容の

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治験の原則

参考1

特定個人情報の取扱いに関する管理規程 ( 趣旨 ) 第 1 条この規程は 特定個人情報の漏えい 滅失及び毀損の防止その他の適切な管理のための措置を講ずるに当たり遵守すべき行為及び判断等の基準その他必要な事項を定めるものとする ( 定義 ) 第 2 条 この規定における用語の意義は 江戸川区個人情報保

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医療機関における治験業務

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スライド 1

監査に関する品質管理基準の設定に係る意見書

必須文書一覧

規程書

本日の内容 1. 医薬品の再審査に係る関連法規 2. 医薬品の再審査申請資料の適合性調査 2.1. GPSP 実地調査における調査の視点 2.2. 適合性書面調査における調査の視点 2.3. ( 参考 ) 医薬品再審査適合性調査相談の現況 3. 適合性調査の効率化に向けて 3.1. 安全性情報管理シ

市立札幌病院治験に係わる業務手順書 治験の原則 治験は 次に掲げる原則に則って実施されなければならない 1. 治験は ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則及びGCPを遵守して行われなければならない (GCP: 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 ( 以下薬機法とする ) 平成


本手順書の構成 第 1 章目的と適用範囲 第 1 条目的と適用範囲 第 2 章医療機関の長の業務第 2 条治験依頼の申請等第 3 条治験実施の了承等第 4 条治験の継続第 5 条治験の中止 中断及び終了第 6 条直接閲覧 第 3 章治験審査委員会第 7 条治験審査委員会及び治験審査委員会事務局の設置

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社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

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前項に規定する事項のうち当該被験薬の治験薬概要書から予測できないもの に改め 同項を同条第三項とし 同条第一項の次に次の一項を加える 2治験依頼者は 被験薬について法第八十条の二第六項に規定する事項を知ったときは その発現症例一覧等を当該被験薬ごとに 当該被験薬について初めて治験の計画を届け出た日等

研究課題名 臨床研究実施計画書 研究責任者 : 独立行政法人地域医療推進機構群馬中央病院 群馬県前橋市紅雲町 1 丁目 7 番 13 号 Tel: ( 内線 )Fax: 臨床研究期間 : 年月 ~ 年月 作成日 : 年月日 ( 第 版

薬事法における病院及び医師に対する主な規制について 特定生物由来製品に係る説明 ( 法第 68 条の 7 平成 14 年改正 ) 特定生物由来製品の特性を踏まえ 製剤のリスクとベネフィットについて患者に説明を行い 理解を得るように努めることを これを取り扱う医師等の医療関係者に義務づけたもの ( 特

GCP朝試験(1)

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医薬品の基礎研究から承認審査 市販後までの主なプロセス 基礎研究 非臨床試験 動物試験等 品質の評価安全性の評価有効性の評価 候補物質の合成方法等を確立 最適な剤型の設計 一定の品質を確保するための規格及び試験方法などの確立 有効期間等の設定 ( 長期安定性試験など ) 医薬品候補物質のスクリーニン

記 1. 適用対象本通知は 製造販売業者等が GPSP 省令第 2 条第 3 項に規定する DB 事業者が提供する同条第 2 項に規定する医療情報データベースを用いて同条第 1 項第 2 号に規定する製造販売後データベース調査を実施し 医薬品の再審査等の申請資料を作成する場合に適用する GPSP 省

文書管理番号

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

る として 平成 20 年 12 月に公表された 規制改革推進のための第 3 次答申 において 医療機器開発の円滑化の観点から 薬事法の適用範囲の明確化を図るためのガイドラインを作成すべきであると提言したところである 今般 薬事法の適用に関する判断の透明性 予見可能性の向上を図るため 臨床研究におい

平成 26 年 3 月 6 日千葉医療センター 地域医療連携ネットワーク運用管理規定 (Ver.8) 千葉医療センター地域医療連携ネットワーク運用管理規定 第 1 章総則 ( 目的 ) 第 1 条この運用管理規定は 千葉医療センター地域医療連携ネットワーク ( 以下 千葉医療ネットワーク ) に参加

15 変更管理

301226更新 (薬局)平成29 年度に実施した個別指導指摘事項(溶け込み)

目次 表紙... 1 目次... 2 改訂記録 目的 対象 製造部門 品質部門組織 PET 薬剤製造施設 ( 施設長 ) の責務 製造管理者の責務 各責任者の責務... 7 ( 別紙 1) (

Transcription:

治験を実施する医療機関における留意点 1

本日の内容 1. 企業主導治験での事例と留意事項治験実施体制に関する事例と留意事項個別症例に関する事例と留意事項 2. 医師主導治験での事例と留意事項 2

本日の内容 1. 企業主導治験での事例と留意事項治験実施体制に関する事例と留意事項個別症例に関する事例と留意事項 3

GCP 実地調査では 治験に関する記録から 治験が 被験者の人権 安全 福祉の向上を図り 治験実施計画書を遵守して実施され 科学的な質と成績の信頼性が確保されているかを検証します 形式的な照合や間違い探しではありません 主な視点 被験者の人権等への配慮がされていたか 有効性や安全性の評価に影響を及ぼす事例の有無 ( 例 ) 治験の実施に十分な設備 人員を有しているか 緊急時に被験者に必要な措置を講ずることができるか 治験審査委員会の運営状況 同意の取得方法は適切か 原資料等の記録の保存体制 治験実施計画書に従い実施されているか 治験実施計画書からの逸脱を認識し 再発防止がされているか 原資料に記載された有害事象等が症例報告書に記載されているか 4

実施医療機関に対する GCP 実地調査件数の推移 ( 新医薬品に係る国内調査 新 GCP 適用治験のみ ) 医療機関数 % 250 225 200 180 188 180 189 150 調査実施医療機関数 100 50 92 76 65 52 84 うち 改善すべき事項を通知した医療機関数 0 * 各年度に結果通知を発出した実施医療機関数 ( 延べ数 ) 5

実施医療機関に対する GCP 実地調査件数の推移 ( 新医薬品に係る海外調査 ) 医療機関数 % 25 20 15 10 5 12 9 14 11 13 9 6 6 7 4 調査実施医療機関数 うち 改善すべき事項を通知した医療機関数 0 * 各年度に結果通知を発出した実施医療機関数 ( 延べ数 ) 6

実施医療機関に対する GCP 実地調査件数の推移 ( 医療用後発医薬品に係る国内調査 新 GCP 適用治験のみ ) 医療機関数 % 25 20 15 調査実施医療機関数 10 9 10 10 10 9 うち 改善すべき事項を通知した医療機関数 5 0 0 1 0 1 1 * 各年度に結果通知を発出した実施医療機関数 ( 延べ数 ) 7

医療機関種別調査対象数の推移 1) ( 新医薬品に係る国内調査 ) 医療機関種別 H21 年度 H22 年度 H23 年度 H24 年度 H25 年度 国立病院機構 2) 21 17 14 12 17 国立大学病院 9 6 9 10 18 公立大学病院 3 5 2 2 5 私立大学病院 13 17 11 14 18 公立病院 28 24 19 30 42 私立病院 44 37 35 39 51 診療所 62 82 90 82 74 合計 180 188 180 189 225 1) 各年度に結果通知を発出した品目を対象 2) 国立高度専門医療研究センター 労災病院 (H25 年度以降 ) 等を含む 8

実施医療機関における改善すべき事項の項目別推移 1 事例件数 ( 新医薬品に係る国内調査 新 GCP 適用治験のみ ) 200 150 100 50 0 166 134 133 72 109 54 75 79 27 54 13 11 9 38 22 29 19 8 5 3 2 4 6 4 27 36 7 27 37 24 平成 21 年度平成 22 年度平成 23 年度平成 24 年度平成 25 年度 治験実施計画書からの逸脱 ( 被験者の選定を含む ) 治験審査委員会 記録保存 症例報告書 その他 * 各年度に結果通知を発出した 実施医療機関に対する改善すべき事項の件数 9

実施医療機関における改善すべき事項の項目別推移 2 事例件数 200 166 ( 新医薬品に係る国内調査 新 GCP 適用治験のみ ) 150 134 133 100 121 107 109 71 75 114 個別症例 治験実施体制 50 61 0 45 38 27 14 19 平成 21 年度平成 22 年度平成 23 年度平成 24 年度平成 25 年度 * 各年度に結果通知を発出した 実施医療機関に対する改善すべき事項の件数 10

実施医療機関への改善すべき事項の内訳 ( 治験実施体制 ) ( 平成 25 年度新医薬品に係る国内調査 新 GCP 適用治験のみ ) 治験分担医師等 1 件 記録の保存 3 件 治験薬の管理 3 件 業務の委託等 4 件 治験審査委員会 8 件 治験審査委員会 ( 第 27 条 ~ 第 34 条 ) 業務の委託等 ( 第 39 条の2) 治験薬の管理 ( 第 39 条 ) 記録の保存 ( 第 41 条 ) 治験分担医師等 ( 第 43 条 ) ( 全 19 件 ) * H25 年 4 月 ~H26 年 3 月に結果通知を発出した 107 品目を対象 11

H25 年度の調査で認められた事例 標準業務手順書において審議が必要とされる治験実施計画書 治験薬概要書 説明文書の改訂について 迅速審査により審査していた その他 過去事例等 治験審査委員会 (IRB) に関する事例 治験を行うことの適否についてあらかじめ治験審査委員会の意見を聴く際 被験者の募集の手順に関する資料を IRB に提出していなかった 治験期間が 1 年を超える場合の治験継続の適否の審査 ( 年 1 回以上 ) について IRB は審査していなかった あるいは迅速審査により審査していた 治験協力者が IRB 委員として審議 採決に参加しており 当該委員を除くと出席員数が IRB の成立要件を満たしていなかった IRB の会議の記録が審議結果のみの記載であり 議事要旨が記載されていなかった 治験の継続について審査していたが 当該医療機関の長に対し 当該審査に係る意見を文書により述べていなかった 12

治験審査委員会 (IRB)(GCP 第 27~34 条 ) に関する留意事項 1 IRB の成立要件 過半数 少なくとも 5 名以上の委員 非専門委員 外部委員 ( 実施医療機関と利害関係を有しない ) (IRB 設置者と利害関係を有しない ) 医学的 薬学的観点から審議 評価できること IRB の会議 治験依頼者の関係者 実施医療機関の長 治験責任医師等 治験協力者は 審議 採決に参加できない 会議の記録 審議の結論 ( 承認 不承認等 ) だけでなく 審議及び採決に参加した委員名簿及び議事要旨が記載されていること 13

治験審査委員会 (IRB)(GCP 第 27~34 条 ) に関する留意事項 2 継続審査について 治験の期間が 1 年を超える場合 安全性情報について治験依頼者から通知を受けた場合 重篤な有害事象について治験責任医師から通知を受けた場合 被験者の同意の意思に影響を与える情報により 説明文書を改訂した場合等 治験の継続について審議しなければならない 実施医療機関の長は 定期報告で報告すべき副作用等症例がない旨を IRB に諮問しない場合であっても IRB へ情報提供することが望ましい 迅速審査について 軽微な変更に関して 迅速審査で審査を行う場合の条件を手順書に明確に規定しておくこと 原則 迅速審査では行えない事例 治験を行うことの適否 説明文書の改訂 安全性情報報告 ( 治験依頼者からの報告 自施設で発現した重篤な有 害事象 ) による治験継続の適否 14

業務の委託に関する事例 H25 年度の調査で認められた事例 治験の実施に係る業務の一部 ( 検査 ) を他の医療機関に委託していたが 適切な業務委受託契約が結ばれていなかった その他 過去事例等 治験施設支援機関 (SMO) との業務委受託契約書に GCP 第 39 条の 2 第 2 号から第 6 号に係る事項の記載がなかった 15

業務の委託 (GCP 第 39 条の 2) に関する留意事項 実施医療機関は 治験の実施に係る業務の一部を委託する場合には 次に掲げる事項を記載した文書により契約を締結しなければならない 1) 当該委託に係る業務の範囲 2) 当該委託に係る業務の手順に関する事項 3) 前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを実施医療機関が確認することができる旨 4) 当該受託者に対する指示に関する事項 5) 前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを実施医療機関が確認することができる旨 6) 当該受託者が実施医療機関に対して行う報告に関する事項 7) その他当該委託に係る業務について必要な事項 16

H25 年度の調査で認められた事例 他の試験の治験薬を投与していた 割り付けられた投与群と異なる投与群の治験薬を投与していた 温度規定を逸脱して管理された治験薬を治験依頼者への確認等を行わず投与していた 使用期限切れの治験薬を投与していた その他 過去事例等 治験薬の管理に関する事例 盲検期に非盲検期の薬剤を投与 指示された薬剤番号と異なる番号の治験薬を投与 治験薬は医療機関に交付されていたにもかかわらず 同一成分の市販薬を投与 回収した使用済みの治験薬 ( バイアル ) を再度投与 割り付けられた割付番号の治験薬が被験者に投与されたことを示す記録を作成していなかった 17

治験薬の管理 (GCP 第 39 条 ) に関する留意事項 治験薬の管理責任は 実施医療機関の長が負うこととされている 実施医療機関の長は 実施医療機関で全ての治験薬を適正に管理させるため 原則として 当該実施医療機関の薬剤師を治験薬管理者として選任すること 治験薬管理者の業務 治験薬管理者は 治験依頼者が作成した手順書に従って 治験薬の受領 返却 被験者毎の使用状況等の記録を作成すること 治験実施計画書に規定された量の治験薬が被験者に投与されたことを示す記録を作成すること 治験実施計画書により求められる記録は異なります ( 例 ) 薬剤の割り付けが行われる場合 体重によって異なる用量の治験薬を用いる場合 時期によって異なる治験薬を用いる場合 ( 非盲検期 第 1 期 ) 18

記録の保存に関する事例 ( 治験実施体制 ) H25 年度の調査で認められた事例 治験審査委員会の通知文書 が保存されていなかった 実施医療機関の長の指示 決定に関する文書 が保存されていなかった 治験薬の保管 管理記録の一部 が保存されていなかった 治験責任医師が治験実施計画書に合意したことを証する文書 が保存されていなかった その他 過去事例等 分担する業務の一覧表 が保存されていなかった 治験薬の管理に関する手順書 が保存されていなかった 19

記録の保存 (GCP 第 41 条 ) に関する留意事項 実施医療機関の記録保存責任者は 治験に関する記録 ( 文書を含む ) を被験薬に係る医薬品の製造販売の承認を受ける日又は治験の中止若しくは終了の後 3 年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間保存しなければならない 原資料 契約書又は承認書 同意文書及び説明文書その他省令の規定により実施医療機関に従事する者が作成した文書又はその写し 治験実施計画書 治験審査委員会等から入手した文書その他省令の規定により入手した文書 治験薬の管理その他の治験に係る業務の記録 なお 保存の対象となる記録には 治験の実施に関する重要な事項について行われた治験依頼者との書簡 会合 電話連絡等に関するものを含む 20

治験分担医師等に関する事例 H25 年度の調査で認められた事例 治験責任医師が作成した 分担する業務の一覧表 に記載されていない医師が 治験関連の重要な業務の一部を行っていた 治験責任医師が変更されていたにもかかわらず 変更後の治験責任医師は分担する業務の一覧表を作成していなかった その他 過去事例等 治験責任医師が作成した 分担する業務の一覧表 に記載されていない者が 治験協力者として症例報告書の作成補助を行っていた 21

治験分担医師等 (GCP 第 43 条 ) に関する留意事項 治験責任医師は 治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には 分担させる業務と分担させる者のリストを作成し 予め実施医療機関の長に提出し その了承を受けること なお 実施医療機関の了承を受けた時点から業務を分担して差し支えないが 治験分担医師については IRB による審査が必要となること 治験責任医師は 治験分担医師 治験協力者等に治験実施計画書 治験薬及び各人の業務について十分な情報を与え 指導及び監督すること 22

実施医療機関への改善すべき事項の内訳 ( 個別症例 ) ( 平成 25 年度新医薬品に係る国内調査 新 GCP 適用治験のみ ) 記録の保存 5 件 症例報告書 4 件 その他 2 件 治験実施計画書からの逸脱 ( 第 46 条第 1 項 ) 被験者の選定 16 件 被験者の同意 24 件 治験実施計画書からの逸脱 63 件 被験者の同意 ( 第 50 条 ~55 条 ) 被験者の選定 ( 第 44 条 ) 記録の保存 ( 第 41 条第 2 項 ) 症例報告書 ( 第 47 条第 1 項 ) その他 ( 全 114 件 ) * H25 年 4 月 ~H26 年 3 月に結果通知を発出した 107 品目を対象 23

治験実施計画書からの逸脱に関する事例 1 H25 年度の調査で認められた事例 ( 割り付け関連 ) 割付因子が誤って登録されていた ( 治験薬関連 ) 治験中止となった被験者に対し 中止後も治験薬が投与されていた 治験薬の投与方法 投与速度 投与間隔 投与量に係る規定が遵守されていなかった 割付時に指示された投与量と異なる量の治験薬が投与されていた 割付けられた投与群と異なる投与群の治験薬が投与されていた ( 併用禁止薬 併用禁止療法関連 ) 治験実施計画書で定められた併用禁止薬又は併用禁止療法が投与又は実施されていた 併用制限薬の投与に係る規定が遵守されていなかった 24

治験実施計画書からの逸脱に関する事例 2 ( 検査関連 ) 治験実施計画書で規定された検査が実施されていなかった 治験実施計画書で規定された検査機器 検査方法を用いた検査が実施されていなかった 盲検性を確保するために禁止された検査が実施されていた 不要な遺伝子解析用採血 薬物濃度用採血が実施されていた 検査に係る規定 ( 実施時期 条件等 ) が遵守されていなかった 使用期限切れの検査キットを使用していた 検体の処理手順に係る規定が遵守されていなかった ( 有害事象 中止基準関連 ) 中止基準に係る規定が遵守されていなかった 治験薬投与の中断に係る規定が遵守されていなかった 重篤な有害事象の報告に係る規定が遵守されていなかった 25

治験実施計画書からの逸脱 (GCP 第 46 条 ) に関する留意事項 治験依頼者との事前の文書による合意及びIRBの事前の承認を得ることなく 治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない 緊急の危険回避による逸脱の場合 内容及び理由を記載した文書を作成し 直ちに治験依頼者及び実施医療機関の長に提出しなければならない 治験実施計画書からの逸脱について 理由のいかんによらず全て記録しなければならない 生物学的同等性試験等では 一時に複数の被験者に対し試験が実施されるため 採血 採尿等に係る実施計画書からの逸脱は 多くの被験者 ( 試験全体 ) に影響を与える可能性がある点に十分留意すること 逸脱が発生した時の対応 被験者の安全性を確保すること ( 治験の中止 追跡調査等 必要な措置を確認する ) 他の症例において 同様の逸脱はないかを確認する 逸脱の原因を確認し 当該治験及び今後の治験実施における再発防止に取り組む 26

被験者の同意に関する事例 1 H25 年度の調査で認められた事例 ( 第 50 条関連 ) 治験実施計画書に規定された投与前検査を同意取得に先立って実施した 探索的な遺伝子解析など別途文書による同意を必要とする検査に関し 同意を得ていない被験者から採血を行っていた ( 第 51 条関連 ) 第 51 条第 1 項に規定する項目が記載されていない説明文書を用い同意取得していた ( 第 52 条関連 ) 治験協力者が補足的な説明を行っていたにもかかわらず 同意文書に署名していなかった IRB で承認された同意文書に日付欄が設定されておらず 治験責任医師等は同意文書に日付を記載していなかった 27

被験者の同意に関する事例 2 ( 第 54 条関連 ) 説明文書に記載のない再検査を行うことに関し 被験者へ情報提供し 同意を得た旨を文書に記録していなかった 治験実施期間中に治験責任医師が変更されたが 当該変更に係る説明文書の改訂が行われず 被験者から文書による再同意を得ていなかった 説明文書を改訂したが 治験参加中の被験者に対して 文書による再同意を得ていなかった 28

被験者の同意 (GCP 第 50~55 条 ) に関する留意事項 適切な同意説明文書を作成すること 被験者となるべき者が治験に参加する前に 説明文書を用いて十分に説明し 自由意志による同意を文書により得ること 生物学的同等性試験等では 複数の候補者に対し同意説明を一斉に行うことが多いため 不適切な同意取得があった場合 多くの被験者 ( 試験全体 ) に影響を与える可能性がある点に十分留意すること 代諾者の同意を得た場合には 代諾者の同意に関する記録及び代諾者と被験者との関係についての記録が必要 治験への継続参加に影響を与える情報を入手した場合には 直ちに当該情報を被験者に提供し これを文書により記録する ( 説明文書の改訂の必要性とは 必ずしも一致しない ) 29

被験者の選定に関する事例 H25 年度の調査で認められた事例 以下の被験者が治験に組み入れられていた スクリーニング検査の結果が選択基準を満たしていなかった 臨床検査値が除外基準に抵触していた 除外基準に規定された併用禁止薬の投与及び Wash-out 期間が遵守されていなかった 既往歴 合併症が除外基準に抵触していた 妊娠可能な被験者に対し 選択基準に規定された妊娠検査を実施していなかった 通常診療ではあまり実施しない検査項目や 既往歴 前治療等に関する規定を見落としてしまうケースが多い 担当医師が 選択 除外基準を独自に解釈してしまうケース 通常の診療の経験から問題ないと判断し 組み入れてしまうケースも見られる 30

被験者となるべき者の選定 (GCP 第 44 条 ) に関する留意事項 倫理的観点 科学的観点 人権保護の観点から 治験に参加を求めることの適否について慎重に検討すること 健康状態 症状 年齢 性別 同意能力 治験責任医師等との依存関係 他の治験への参加の有無 社会的に弱い立場にある者 選択 除外基準は 被験者保護の観点及び有効性等の情報を適切に収集すること等を目的として 治験依頼者により根拠をもって設定されている 治験責任医師等は独自の解釈をせずに 治験依頼者に治験依頼者としての見解を確認すること モニターから回答を得た場合 モニター個人の解釈ではなく 治験依頼者として検討された見解であることを確認すること 上記の内容については 各自記録として残すことがリスク管理の観点からも重要 31

記録の保存に関する事例 ( 個別症例 ) H25 年度の調査で認められた事例 臨床検査結果報告書 が保存されていなかった MRI 画像 が保存されていなかった その他 過去事例等 診療録 同意文書 が保存されていなかった 患者日誌 が保存されておらず 有効性評価 安全性評価項目の根拠が確認できなかった 治験薬の投与時刻 採血時刻 及び検体処理が治験実施計画書に従って実施されたことを示す記録が確認できず 得られた動態解析結果の信頼性が担保できなかった 治験終了後 ( 特に直接閲覧終了後 ) にあまり注意が払われず 紛失してしまうケースが見られる ( 画像フィルム 検査結果など ) 医師法等では 診療録は 5 年間 その他の記録は 3 年間の保存義務が規定されているが 最終来院から 5 年間受診がなかった被験者の治験に係る記録が含まれている診療録等を廃棄しているケースが見られる 32

記録の保存 (GCP 第 41 条 ) に関する留意事項 1 実施医療機関の記録保存責任者は 治験に関する記録 ( 文書を含む ) を被験薬に係る医薬品の製造販売の承認を受ける日又は治験の中止若しくは終了の後 3 年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間保存しなければならない 原資料 契約書又は承認書 同意文書及び説明文書その他省令の規定により実施医療機関に従事する者が作成した文書又はその写し 治験実施計画書 治験審査委員会等から入手した文書その他省令の規定により入手した文書 治験薬の管理その他の治験に係る業務の記録 なお 保存の対象となる記録には 治験の実施に関する重要な事項について行われた治験依頼者との書簡 会合 電話連絡等に関するものを含む 33

記録の保存 (GCP 第 41 条 ) に関する留意事項 2 原資料 とは? 被験者に係る診療録 検査ノート 治験薬等の投与記録等の治験の事実経過の再現と評価に必要な記録 例 : 病院記録 診療録 検査ノート メモ 被験者の日記又は評価用チェックリスト 投与記録 自動計器の記録データ 正確な複写であることが検証によって保証された複写物又は転写物 マイクロフィッシュ 写真のネガ マイクロフィルム又は磁気媒体 エックス線写真 被験者フィルム及び治験に関与する薬剤部門 検査室 医療技術部門に保存されている記録等 記録が保存されていない場合は 得られた試験成績の信頼性が担保されず 被験者のデータが承認申請資料から削除される可能性があります 34

症例報告書に関する事例 H25 年度の調査で認められた事例 有害事象として記載すべき内容が症例報告書に記載されていなかった 原資料に記載された複数の薬物濃度測定用の採血時刻のうち 採用すべき時刻が症例報告書に記載されていなかった その他 過去事例等 症例報告書に記載された検査値が 原資料 ( 検査報告書 ) と異なっていた 有害事象 が発現し が投与されていたが 症例報告書に有害事象及び併用薬として記載されていなかった 有害事象治療のための予定外来院による診察を受けていたが 症例報告書に当該有害事象が記載されていなかった 治験薬の投与状況について 原資料と症例報告書の不整合が認められた 35

症例報告書 (GCP 第 47 条 ) に関する留意事項 治験実施計画書に従って正確に症例報告書を作成しなければならない 症例報告書中のデータのうち原資料に基づくものは 原資料と矛盾しないものであること 原資料と矛盾がある場合は その理由を説明する記録を作成すること 変更又は修正は当初の記載内容を不明瞭にするものであってはならない 症例報告書のいかなる変更又は修正にも日付の記入及び押印又は署名 重大な変更又は修正については説明を記すこと 治験責任医師は 治験分担医師が作成した症例報告書を点検しなければならない 中間報告書を作成する際にも 治験責任医師は症例報告書を点検し 内容を確認した上で 症例報告書に署名等してください 36

本日の内容 2. 医師主導治験での事例と留意事項 37

自ら治験を実施する者とは その所属する実施医療機関において自ら治験を実施するために治験の計画を厚生労働大臣に届け出た治験責任医師をいう 一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を行う場合にあっては 代表して同項の規定に基づき治験の計画を届け出た治験調整医師を含む (GCP 第 2 条第 23 項 ) 自ら治験を実施する者 には 治験責任医師としての責務に加え 企業主導治験における治験依頼者としての責務も課せられる 38

医師主導治験特有の 改善すべき事項 の通知事例 自ら治験を実施しようとする者は あらかじめ 監査計画書を実施医療機関の長に提出し 治験の実施の承認を得なければならないが 提出していなかった (GCP 第 15 条の 7) 治験審査委員会は 監査計画書が提出されていないまま 治験の実施について審査し 問題ない旨の意見を述べていた (GCP 第 32 条第 1 項 ) 実施医療機関の長は モニタリング報告書又は監査報告書を受け取っていたが 治験が適切に行われているかどうか又は適切に行われていたかどうかについて 治験審査委員会の意見を聴いていなかった (GCP 第 31 条第 4 項 ) 39

医師主導治験におけるモニタリング及び監査 1 モニタリングの実施 (GCP 第 26 条の 7) 第 1 項自ら治験を実施する者は モニタリングに関する手順書を作成し 治験審査委員会の意見を踏まえて 当該手順書に従って モニタリングを実施させなければならない 第 2 項モニターは 当該モニタリングの対象となる実施医療機関において当該治験に従事してはならない 監査の実施 (GCP 第 26 条の 9) 第 1 項自ら治験を実施する者は 監査に関する計画書及び業務に関する手順書を作成し 治験審査委員会の意見を踏まえて 当該計画書及び手順書に従って監査を実施させなければならない 第 2 項監査担当者は 当該監査に係る治験を実施する医療機関において当該治験の実施 ( その準備及び管理を含む ) 及びモニタリングに従事してはならない 40

医師主導治験における実施医療機関の長への事前提出資料 自ら治験を実施しようとする者は あらかじめ 次に掲げる文書を実施医療機関の長に提出し 治験の実施の承認を得なければならない (GCP 第 15 条の 7) 企業主導治験で求められる文書に加えて 以下の文書が必要 モニタリングに関する手順書 監査に関する計画書及び業務に関する手順書 治験薬の管理に関する事項を記載した文書 この省令の規定により自ら治験を実施する者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項を記載した文書 実施医療機関が自ら治験を実施する者の求めに応じて第 41 条第 2 項各号に掲げる記録を閲覧に供する旨を記載した文書 実施医療機関がこの省令又は治験実施計画書に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合には 自ら治験を実施する者は治験を中止することができる旨を記載した文書 その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項を記載した文書 実施医療機関の長の承認を得る過程で IRB での治験実施に関する審議を実施する 41

医師主導治験におけるモニタリング及び監査 2 モニターの責務 (GCP 第 26 条の 8) モニターは モニタリングを実地に実施したときは モニタリング報告書を自ら治験を実施する者及び当該モニタリングに係る実施医療機関の長に提出しなければならない 監査担当者の責務 (GCP 第 26 条の 9) 監査担当者は 監査を実施した場合には 監査で確認した事項を記録した監査報告書及び監査が実施されたことを証明する監査証明書を作成し これを自ら治験を実施する者及び実施医療機関の長に提出しなければならない 継続審査 IRB の責務 (GCP 第 31 条 第 32 条 ) 医師主導治験では 実施医療機関の長はモニタリング報告書及び監 査報告書を入手した場合 IRBの意見を聴くことが求められる モニタリング及び監査が適切に実施されたことを確認するための規定であり 治験が適切に行われたことについて モニタリング 監査及びIRB が相互に点検する趣旨のもの 42

医師主導治験に関する品質保証及び品質管理 自ら治験を実施する者は 治験の実施並びにデータの作成 記録及び報告が本基準及び治験実施計画書を遵守して行われることを保証するために 手順書に基づく品質保証及び品質管理システムを履行し 保持する責任を有する 品質保証 (Quality Assurance QA) ( 監査は QA の一環 ) 治験の実施 データ作成 文書化 ( 記録化 ) 及び報告が 治験実施計画書及び本基準を遵守していることを保証するために設定された計画的かつ体系的な全活動をいう 品質管理 (Quality Control QC)( モニタリングは QC の一環 ) 治験関連の活動の質に求められる事項を充足しているか否かを検証するために治験の品質保証システムの一環として行われる実務的な手法及び活動をいう 治験の質を担保するために 治験の実施だけでなく 品質保証と品質管理の観点にも留意してください 43

その他 医師主導治験に関する留意事項 被験者に対する補償措置 (GCP 第 15 条の9) 被験者に生じた健康被害の補償のために 保険その他の必要な措置を講じておかなければならない 措置 : 保険への加入 副作用等の治療に関する医療体制の提供他 補償に係る手順書を定めておくこと 治験薬の管理 品質の確保 (GCP 第 26 条の2 第 5 項 第 26 条の3) 自ら治験を実施する者は 治験薬の製造に関する記録 治験薬の品質に関する試験の記録を作成 又は入手しなければならない 自ら治験薬を製造しない場合は 治験薬提供者から記録を入手する 治験薬の品質確保に関して 治験薬提供者との間で文書等により 明確な取り決め等を行うこと 44