: NetApp SnapMirror のレプリケーションを高速化 NetApp SnapMirror は 災害復旧 (DR) やビジネスインテリジェンスマインイングを実現するために 複数のデータセンター間でファイルシステムのレプリケーションを行う場合に使用されます この文書では が SnapMirror によるレプリケーションにもたらすメリットを紹介します これには データの圧縮 遅延やパケットロスが存在する場合の WAN 利用率の大幅な改善などが含まれます これらのメリットを適用することで フルボリュームのレプリケーションやインクリメンタルなレプリケーションが可能となります www.citrix.co.jp
フルボリュームのレプリケーションは 通常 営業時間外か週末に実施されます 一方 インクリメンタルなレプリケーションは 一日を通じて実施され 開始点としてフルボリュームのレプリケートを必要とします 主な機能 TCP 最適化標準的な TCP ウィンドウサイズと輻輳動作を変更することでスループットを改善 データ圧縮データブロックの圧縮と重複除外を行うことで 転送量を削減 プロトコル高速化プロトコルのデフォルト動作を変更することで WAN の遅延に対処 QoS SLA を満たすために トラフィックに関するアプリケーションレベルの分類や優先度付け メリット データレプリケーションを高速化し 遅延やパケットロスの影響を軽減することにより RPO を改善 RPO を満たすために 必要となる分だけ WAN 帯域幅を削減 災害復旧 (DR) を実装する場合 通常 次のようなレプリケーション関連の数値指標を設定する必要があります RPO(Recovery point objective 復旧ポイント目標 ): ファイラーが復旧可能な時点を表すものであり レプリケーションの頻度を決定する指標となります RTO(Recovery time objective 復旧時間目標 ): 障害発生後 最後に取得されたスナップショットをファイラーが起動し元の状態に戻すまでにかかる時間を表します RPO を満たすためには レプリケーションを必要な頻度で実行し 割り当てられた時間内に完了する必要があります このようなレプリケーションフローは大規模であり プライマリデータセンターとセカンダリデータセンター間の帯域幅および WAN リンク条件に応じて 拡張された期間で実行される場合があります RPO および RTO を設定しない場合 次の事態が引き起こされる可能性があります 大規模なデータ損失が発生する 規制コンプライアンス違反となりペナルティを受ける 重大な障害により復旧に悪影響が出る シトリックスの内部テストによれば CloudBridge アプライアンスと組み合わせた場合 SnapMirror の性能が改善され レプリケーション時間は 10 分の 1 になります また 最適な設定を行うことにより SnapMirror 経由の WAN 帯域幅量を大幅に削減できます 以下では このテスト結果について詳細に説明します レプリケーションの性能 レプリケーションソリューションは 信頼できるデータ転送に依存するため トランスポート用のプロトコルとして TCP を使用します 効果的な TCP データ転送レートは 受信バッファサイズ ネットワークラウンドトリップ時間 (RTT) パケットロスなど 様々な要因に依存します 受信バッファサイズ : 受信デバイスが送信デバイスとの応答確認なしに受け入れ可能なデータ量です 送信側が応答確認を受け取らない場合 送信側は停止して待機しますが 最終的に再送信を行う場合もあります RTT:TCP の送信側は 受診バッファサイズを最大とする量のデータを送信した後 応答確認を受け取るまで待機してから 次回送信を行います RTT が長い場合 利用可能なリンクの帯域幅にかかわらず 送信側が効果的に利用できる帯域幅量が減少します パケットロス : ネットワーク上でのパケットロスは 効率的な帯域幅利用率に影響を与えます これは パケットロスが起こると 送信側は処理を進める前に パケットを再送して応答確認を受け取る必要があるためです また TCP 輻輳管理では いったん送信速度を変更すると なかなか元の送信速度には戻らないような仕組みを採用しています このような動作の累積効果により 帯域幅の利用量が大幅に低下します www.citrix.co.jp 2
SnapMirror では ネットワーク遅延を埋め合わせるために TCP 受信バッファのサイズを調節できます また SnapMirror では 送信が必要なデータ量を削減するために次の機能を提供しています ネットワーク圧縮 :SnapMirror では転送データを圧縮できます 重複除外 :SnapMirror では 最適化を使用して発信元にある重複データを除外することにより 送信が必要なデータ量を最小化します CloudBridge による最適化 CloudBridge は SnapMirror を補完し レプリケーションをさらに高速化するための追加的な機能を提供します 例えば 先進的な QoS の強制により リンク上のクリティカルなトラフィックに適切なプライオリティを適用できます CloudBridge は WAN リンクの両端でそれぞれ 1 台のアプライアンスを必要とする対称的なソリューションです CloudBridge が提供する主な機能の概要とそのメリットを以下に示します TCP 最適化 :CloudBridge は データ転送を高速化するために TCP プロキシとして動作することでネットワークレイヤのトラフィックを管理します CloudBridge は TCP ウィンドウサイズと輻輳応答動作を動的に調節することで 特定の WAN 条件 ( 遅延やパケットロスなど ) の下で利用可能なスループットを最大化します 標準的な TCP 動作と CloudBridge で最適化された TCP 動作での WAN ネットワークにおけるパケットロスの割合を比較したグラフを図 1 に示します 標準的な TCP CloudBridge により最適化された TCP スループット リンク速度 平均使用量 スループット 平均使用量 ロス動作 時間 時間 図 1: 標準的な TCP 動作と CloudBridge により最適化された TCP 動作との比較 データ圧縮 :CloudBridge では 高性能な圧縮エンジンを実装することにより 有線経由でのデータ転送量を削減しています プロトコル高速化 :SnapMirror は WAN 経由でのデータ転送向けに設計されており 非常に効率的ですが 特に 同じリンク上での他のプロトコル (CIFS や MAPI など ) を使用する場合 プロトコル最適化による大きなメリットが得られます CloudBridge はローカルプロキシとして動作することで 情報交換を高速化するほか 追加的な帯域幅を解放することにより それらを他のクリティカルなデータで利用できるようにします QoS:CloudBridge では リンクトラフィックに関するディープなアプリケーションレベルの分類と優先順位付けを実行することで アプリケーションレベルの SLA を満たすことができるようにします これにより SnapMirror のレプリケーションを ビジネスクリティカルなアプリケーションに影響せずに バックグラウンドで実行することが可能となります CloudBridge を使用することでアプリケーション認識型となった汎用的なネットワークリンクの状態を図 2 に示します www.citrix.co.jp 3
標準的なネットワークリンク CloudBridge QoS を使用した場合 図 2: 標準的なネットワークリンクと CloudBridge QoS を使用した場合との比較 テスト環境の設定と結果 図 3 に示すテスト環境では 2 ヶ所のデータセンター内で NetApp FAS3270 を ONTAP 7 モードで稼働させており CloudBridge 5000 アプライアンスを使用してレプリケーションを最適化しています テストは WAN シミュレータを使用して ラウンドトリップ遅延が 50ms である OC3 をモデル化した状態で実施されました ( これは 米国の東海岸と西海岸間における典型的なトラフィック遅延に相当します ) サンプルとして ネットワーク上でパケットロスが 0 パーセントである場合と 0.01 パーセントである場合に 2GB の SnapMirror ボリュームの転送をテストしました 図 3: テスト環境の設定 基準となる転送性能は パケットロスが 0 パーセントで SnapMirror の推奨ウィンドウサイズを使用し ネットワーク圧縮をオフにした状態で計測しました その後 同じ条件下で CloudBridge を導入し転送を最適化した状態でテストを繰り返したところ CloudBridge のネットワーク圧縮をオンにすることで レプリケーション時間を 2 分の 1 に短縮できました 次に パケットロスが 0.01 パーセントである状態でテストを繰り返したところ CloudBridge でアグレッシブな TCP 再送動作を採用することにより 転送時間を 10 分の 1 へと大幅に短縮できました www.citrix.co.jp 4
パケットロス 0% パケットロス 0.01% 基準 最適化済み 図 4:CloudBridge を使用した場合と使用しない場合のレプリケーション時間の比較 SnapMirror に組み込みの重複除外機能の効果を判定するために 4GB のボリュームを使用してテストを繰り返しました なお データ冗長性をシミュレートするために 4 回テストを繰り返しました このテスト環境では WAN のパケットロスを 0.01 パーセントに設定しました 重複除外をオンにすると SnapMirror は転送データを 1254MB に圧縮し レプリケーション時間を 3 分の 1 に短縮しました その後 CloudBridge をこのテスト環境に導入してデータ圧縮機能を有効にすることで パケットロスが同じく 0.01 パーセントの状態で WAN 使用量を改善できました さらに SnapMirror の重複除外機能を CloudBridge の圧縮および輻輳管理機能と組み合わせて使用することで レプリケーション時間を 30 分の 1 以上に短縮できました レプリケーション時間 ( 秒 ) レプリケーション時間 ( 秒 ) 重複除外なし 重複除外あり 基準 最適化済み 図 5: 重複除外を使用しない場合と CloudBridge および NetApp SnapMirror の重複除外を組み合わせて使用した場合の比較 www.citrix.co.jp 5
まとめ SnapMirror は WAN 遅延の影響を軽減するために データの重複除外機能と TCP ウィンドウサイズを調節するツールを提供します CloudBridge は 次の機能を提供することで これらのテクノロジーを補完し データのレプリケーションをさらに高速化します データ転送量の削減 パケットロスがあり遅延が大きい不完全な WAN リンク上でスループットを最大化 また ディープなアプリケーションレベルの分類 優先順位付け トラフィックシェーピングを利用することで CloudBridge は WAN リンクを QoS 対応にできるほか SnapMirror のレプリケーション機能を拡張することで継続的な可用性を実現できます これらの高速化機能や QoS 機能を提供する CloudBridge を災害復旧 (DR) ソリューションに追加すると 次のことが可能となります データレプリケーションを高速化し 遅延やパケットロスの影響を軽減することにより RPO を改善 RPO を満たすために 必要となる分だけ WAN 帯域幅を削減 利用可能な帯域幅を保証し レプリケーショントラフィックを優先順位付けすることで 継続的なレプリケーションを実現 CloudBridge アプライアンスを使うと NetApp SnapMirror のレプリケーション時間を 10 分の 1 に短縮できるほか 最適な設定において SnapMirror 経由の WAN 帯域幅を削減できます これらのメリットは NetApp の内部的な最適化設定による改善を行った上でもたらされます www.citrix.co.jp 6
Citrix について Citrix Systems, Inc.(NASDAQ:CTXS) は 新しい快適なワークスタイルを実現する仮想化 ネットワーキング クラウドインフラストラクチャのリーディングカンパニーです 多くの企業および組織の IT 部門やサービスプロバイダーが 仮想化 モバイル化されたワークスペースの構築 管理 セキュリティ確保のために シトリックスのソリューションを利用しています 仮想化 モバイル化されたワークスペースでは デバイス ユーザー 利用するネットワークやクラウドを問わず アプリケーション デスクトップ データ サービスをシームレスに利用することができます シトリックスは今年 創設 25 周年を迎えますが 今後も革新に取り組み モバイルワークスタイルにより IT をさらにシンプルにするとともに生産性の向上に貢献していきます シトリックスの 2013 年度の年間売上高は 29 億ドルで その製品は世界中の 33 万以上の企業や組織において 1 億人以上の人々に利用されています シトリックスの詳細については www.citrix.co.jp をご覧ください NetApp について NetApp は 優れたコスト効率を実現しビジネスブレイクスルーを促進する革新的なストレージおよびデータ管理ソリューションを提供しています 当社のコアバリューを生かすこと および優良な職場であると世界中で認められることへの献身的な姿勢が 当社の長期的な成長と成功の基盤であると同時に パートナーや顧客の成功の基盤にもなっています 世界中の企業を支援することに関する当社の情熱については www.netapp.com をご覧ください 2014 Citrix Systems, Inc. All rights reserved. Citrix および CloudBridge は Citrix Systems, Inc. またはその子会社の登録商標であり 米国の特許商標局およびその他の国に登録されています その他の商標や登録商標はそれぞれの各社が所有権を有するものです E0614/PDF J0914/PDF www.citrix.co.jp 7