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防衛施設における機械設備工事の変遷について 主任研究員 舟山治 1. はじめに筆者と防衛施設における機械設備工事との関わりは 昭和 48 年 4 月 当時の沖縄防衛施設局建設部設備課機械係に配属され 平成 27 年 3 月に退職するまでの40 数年にわたる 設備工事とは 一般に給排水衛生設備 空気調和設備 電気設備 通信設備等生活する上で必要な設備工事全般を言う 現在 防衛省の各地方防衛局調達部設備課には 電気係 機械係 通信係 ( 北関東防衛局は通信課 ) の3 職種がある どの設備においても 筆者が設備工事に携わってきたこの40 数年間に 技術革新 環境問題 省エネ 法令等の改正等により新たな設備機器 材料 工法等が 開発され進化発展してきた 防衛施設においても 隊員の処遇改善事業では職住分離 2 段ベッドの解消 隊員居室の少人数化 平成 3 年に隊舎の冷暖房化がなされ 後方支援事業においては 各種車両の整備工場等の整備 新装備のための施設建設等 その時代の流れの中で設備工事の内容も様々に変化しながら今日に至っている また それぞれの設備に対するニーズ 隊員の生活環境の向上等により 施設建設に係る設備工事費が占める割合も年々増加してきた 筆者は機械設備工事が専門であることから この40 年数年にわたり携わってきた 防衛施設における機械設備工事の変遷の一端を述べることとする 2. 防衛施設における機械設備工事防衛施設における機械設備工事は 各種施設内の給水設備 排水設備 給湯設備 衛生器具設備 消火設備 ガス ( 都市ガス プロパンガス ) 設備 空気調和設備 換気設備 ボイラー設備 自動制御設備 昇降 ( エレベーター エスカレーター ) 設備 搬送 ( エアシューター等 ) 設備 医療ガス設備 屋外にあっては 燃料施設 屋外給汽設備等 多種にわたっている また 変わったところでは ガソリンスタンドや 各駐屯地等の正門に設置して 杭状のパイプが上下し 暴走車両の進入を防止する装置や 航空機のエンジンをテストするための消音装置も機械設備工事である 3. 機械設備工事の変遷上述のように多種ある機械設備工事の中から 主要な設備である給水設備 排水設備 給湯設備 衛生器具設備 空気調和設備 換気設備 ボイラー設備 昇降 ( エレベーター ) 設備について述べることとする (1) 給水設備工事多くの駐屯地等は 市水道等から引き込み管を経て駐屯地等内の受水槽を経由し ポンプで高架水槽に揚水し 高架水槽からの水圧により 各施設に配水されていた ( 建物直近まで 1

は土木工事 ) 昭和 40 年代までは 自衛隊施設は低層の施設が多く 従来の給水システムでの配水が可能であった その後の自衛隊施設の高層化 多様化にともない この配水システムに機械設備 ( 給水量や水圧等 ) が関わってくる 施設の末端の給水器具や装置等は 有効 効率よく使用するため必要給水量 必要最低水圧等が定まっている したがって施設全体の給水量の算出 また建物の高さや配管経路から 必要水圧を算出し建物直近での配管サイズや必要水圧を決定するが 既存の給水システムでは 必要給水量や必要水圧の確保が困難となる場合も多くなり 施設毎に 高置水槽方式 ポンプ直圧方式等 その施設の用途に合った方式を採用するようになる この場合の受水槽や高置水槽 ポンプ等の設置は設備工事である また 給水設備は日常生活に欠かせないものであり 衛生的な環境を保つ上でも重要な設備と言える 衛生的環境では 昭和 50 年に水槽の 6 面点検 ( 上面 側面 下面を躯体と兼用せず点検スペースを確保 ) が義務化され 材質も鋼板製の内部に亜鉛を溶射したものやエポキシ樹脂コーテイングしたものから 現在はFRP 製 ( 繊維強化プラスチック Fiber-Reinforced-Plastics) ステンレス製を採用している また 給水配管材料も昭和 30 年から40 年代の水道用亜鉛メッキ鋼管が主流であった時代では 腐食による赤水や 錆こぶによる閉塞及び漏水と言った事例が発生したことから 昭和 40 年代から耐食性に優れた配管材料の開発が進められ 硬質塩化ビニルライニング管 ポリエチレン粉体ライニング鋼と言った材料が使用されている また 継手は ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手から 継手内面にコーテイングしたものが開発されたが ねじ部からの腐食が解決されずにいたため 昭和 50 年代には 管端コアによる腐食防止 昭和 60 年代に管端防食継手が開発され ねじ部の腐食も解決された 出典 : ビル管理士総合情報.com の画像より http://takeharu.lolipop.jp/biru5_1.html 2

(2) 排水設備工事排水設備は すでにそのシステムが確立されていたことから 大きな変化がなく現在にいたっている 汚水配管材料については 耐食性に優れたメカニカル排水鋳鉄管と器具の接続には鉛管が主流であった時代から 現在は建物の高層化 熟練工 ( 鉛管の曲げ作業等 ) の不足などから 軽量性及び簡易な施工性が求められるようになり 自衛隊施設においても汚水配管材料は 排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管 排水用ノンタールエポキシ塗装鋼管などが採用されている また 排水配管の施工は トイレ 洗面所等では 器具及び配管の接続等で継ぎ手が多く使用されるが 従来のねじ接合から 施工性が良く可とう性を持った MD 継ぎ手 ( フランジ接合 ) が採用されている (3) 給湯設備工事各駐屯地等の多くは 駐屯地全体を賄っている中央ボイラからの蒸気を熱源とした間接加熱方式の貯湯槽を施設毎に設置し 浴場 洗面所 シャワー等に使用していた 現在は 庁舎 隊舎等も給湯設備の需要が増え 中央ボイラの容量不足 蒸気の送気時間のばらつき等により 個別に給湯ボイラの設置や 環境問題 省エネの観点から 太陽光給湯や空気中の熱を利用するヒートポンプ式給湯器を採用し設置する施設も増えている 配管材料では これまで長く使用されていた銅管が 水道水中の塩素イオン濃度による腐食が問題となり 塩素イオン濃度によってはステンレス管が採用されている ここで 浴場設備の移り変わりを述べる 昭和 50 年前半頃までと思うが 浴槽にサイレンサーと言う器具を使い 蒸気を直接浴槽内に入れてお湯を沸かしていた また 当時の洗い場は 水用の水栓とお湯用の水栓が別々にあり 桶でお湯の温度を調節しなければならず 隊員は面倒なのか 浴槽のお湯を直接くみ上げて使用するため すぐ浴槽のお湯がなくなり困っていると 当時の営繕班の担当者から聞いたことを思い出す また 残り湯はその都度 排水していたため不経済であった その後は 浴槽内のお湯の衛生面および 水の無駄遣いをなくす観点から 加熱器式循環濾過装置を設置し 浴槽内のお湯を循環させ 常に適温状態で自動的に浴槽の水面高も一定に保ち 衛生的で 水の無駄もなくした設備へと変化していった さらに 洗い場はシャワー付きの混合水栓となり 現在は快適な入浴タイムになっている ヒートポンプ式給湯器のしくみ ( 出典 : 松下電工ホームページより ) 3

(4) 衛生器具設備工事衛生器具は 衛生的で使い勝手の良い環境の要求から 機能及びデザインが様々に変化してきた 筆者が入庁したてのころの設計では 自衛隊の隊舎 庁舎のトイレは ほとんどが和風大便器で そのうち 1 組だけ 洋風大便器だったことに疑問を持った それは 足のけがなどで腰をおろすことのできない人のためと聞いて納得したことをおぼえている 現在の自衛隊施設は ほとんどが洋風便器となり 洗浄便座も設置しているところもある また 昭和 48 年頃の水不足により節水の意識が盛んになり その後はより少ない水量で効果が発揮できる サイホン式 サイホンゼット式 洗い落とし式等節水型の大便器が開発され 従来型に比べ 2~3 リットルの節水が可能となった 小便器もその形状が年々変化し 洗浄方式もハイタンク方式から 押しボタン式のフラッシュバルブ方式 そして現在は 節水や衛生面から 自動洗浄水栓が主流となっている また洗面所はカウンター方式になり洗面器の水栓も自動水栓となっていて利便性が増している 最近の 自衛隊の女性用トイレには 無駄な洗浄水をなくすための擬音装置の設置も行っていると聞く (5) 空気調和設備工事一般に空調方式は 中央空調方式と個別空調方式があるが簡単に言うと 中央空調式は当該施設内の機械室内に冷風 温風又は冷水 温水を作る空調機器 ( 熱源 ) を設置し送風機やポンプによって施設全体に送り出し空調する方式で 個別空調方式はその名のごとく空調機器 ( 熱源 ) を部屋毎又は エリア毎等に個別に設置する方式である この空調機器 ( 熱源 ) は中央 個別空調方式とも 様々な機器や方式があり今回はその説明は省略するが 空調機器 ( 熱源 ) は省エネ 温室効果ガス ( 空調機の冷媒に使用されているフロンガス ) の抑制等により 様々に開発されてきた 著者が入庁当時は 自衛隊施設の冷房設備と言えば 沖縄を除き 通信機器室 コンピュター室 電気室等の機器の発熱を抑えるための冷房設備や精密機器の為の恒温恒湿を保つための設備であり 言わば機器のための設備であったが 平成 3 年には隊舎の冷房が基準化され 現在は当たり前のごとく各種施設の事務室等には冷暖房設備は存在している また 平成 10 年代には電気エネルギー設備効率向上の観点から 電力負荷の平準化の要求が求められ 防衛施設においても安い夜間電力を利用して氷を作り 昼間に冷房に利用する氷蓄熱空調システムも採用している (6) 換気設備工事換気方式には 第一種 第二種 第三種換気方式がある 第一種換気は給気と排気ともファンを使用する方式 第二種換気は給汽側はファンを使用し排気側には自然換気とする方式 第三種は給汽側が自然換気 排気側がファンを使用する方式である それぞれの換気目的により方式を決定するが 一例をあげると第二種換気は 室内の気圧が室 4

外より高くなるため 塵やほこりが入りにくくなることから 塵やほこりを嫌う室に採用される 第三種換気は 室内の気圧が室外より低くなるため 臭気等が室外に拡散しないよう トイレ 洗面所等に採用される 筆者が入庁当時の自衛隊施設の換気設備と言えば主にトイレ 洗面所 工場 浴場 厨房等の臭気や粉塵 熱等の排出等のための設備が主であったが その後 車両整備工場等の塗装室の換気 ( 防爆型 ) や車両エンジンの排気を直接排出するための局所ファンの設置等隊員の業務環境の向上に向けた設備が多くなったこと また平成 15 年建築基準法の改正に基づきシックハウス対策として換気設備が義務付けられたことにより 自衛隊の宿舎については全ての居室に換気設備が必要となった また 各駐屯地等の自衛隊施設でも 居室を有する建物は政令で定める技術的基準に適合する換気設備を設置しなければならないとされたことにより 換気設備の重要度が大きく変化した 第 1 種換気第 2 種換気第 3 種換気 室内室内室内排気 排気 排気 給気 給気 ( 正圧 ) 給気 ( 負圧 ) 給気 -ファン 給気 -ファン 給気 - 排気口 排気 -ファン 排気 - 排気口 排気 -ファン (7) ボイラ設備工事著者が北海道勤務時代に 既存の石炭炊きボイラを燃料の液燃化と称して 重油炊ボイラへと更新工事がなされていた 北海道では昭和 50 年前半まで全ての駐屯地等のボイラが重油炊きへ更新された 著者もこの燃料の液燃化に携わり 当時のレンガ積みの本体 石炭を運ぶベルトコンベア等の巨大な姿や 多くのボイラーマンが名残惜しみ 解体されたボイラープレートをその後建設された新しいボイラ室にしばらくかざっていた様子も思い出される また 駐屯地等の多くは 駐屯地全体を賄う容量のボイラを設置するいわゆる中央ボイラ方式で各建物には 架空配管や埋設配管で蒸気を送っている 中央ボイラ方式の場合は ボイラ容量も大きくなることから 水管式ボイラや炉筒煙管式ボイラの設置が主流であったが 平成 20 年頃からは 中央ボイラ方式から 分散個別に小型貫流式ボイラを設置する駐屯地等が増えてきた 理由としては 分散個別化にすることにより 運転管理等の資格が不要なボイラの設置が可能になることや 中央ボイラから各建物へ蒸気を送る配管が不要となり メンテナンスに係る経費も削減できるからである 5

(8) 昇降 ( エレベーター ) 設備工事エレベーターを大別すると ロープ式と油圧式に分かれる 防衛施設の乗用エレベーターの大半はロープ式である また 油圧式は 大きな力が出せ短い距離の移動に適していることから2~3 階建ての工場等の貨物用として採用されている 防衛施設のエレベーターの設置は高層化や低層建物でも庁舎など一般の人のための利便性を考慮し設置することが多くなってきている また 従来のロープ式の場合 巻き上げ装置をエレベーターの真上 すなわち屋上または最上階に設置することなり機械室が必ず必要になる ところが平成 10 年代 巻き上げ装置をエレベーターの昇降路内に設置することにより 機械室が必要のない いわゆる機械室レスのエレベーターが開発された この 機械室レスのエレベーターは 防衛施設にも取り入れ 高さ制限のある建物や 管制塔 気象レーダー施設のような屋上又は最上階に機械室の設置が困難で エレベーターの設置ができなかった施設にもエレベーターの設置が可能になり 勤務する隊員の負担軽減に大いに寄与する事となった 4. おわりにこれまで述べてきたように機械設備は 日常業務や生活に密接に関係 ( 電気設備 通信設備も同様 ) し 施設を有効 効率的に使用し 利便性が良く快適なものにするために重要なものとして存在しているが 以前から建物の面積や階高といった制約のなか 設備機器 配管等は機械室 床下 天井内 パイシャフト内と言った限られた空間に施工されるため 必ずしも施工スペースが十分に確保されず施工場所によっては点検 保守管理が容易に行われないと言った問題もあった 今後は 平成 25 年にインフラの長寿命化計画が発表されたこと等からも 今まで以上に点検 保守管理のための配慮 ( メンテスペースの確保等 ) が重要になり 建築面積 階高等に影響が出てくるであろう また 社会経済情勢の変化に伴い建設物におけるエネルギーの消費量が著しく増加していることに鑑み 建築物のエネルギー消費性能の向上を図ることとして平成 27 年に建築物省エネ法が制定され 平成 29 年 4 月 1 日から床面積 2000 m2以上の非住宅建物については 建築物エネルギー消費性能適合判定 いわゆる 省エネ適判 が義務化され エネルギー消費量に関する指標をクリアしなければならないことから 更なる省エネを考慮した高効率設備の開発がなされるものと思われる しかしながら どんなに優れた機器や 技術が開発されても設備工事に携わる者は 適切な設計 施工は勿論のことその設備を使用する者 保守管理する関係者のことを常に念頭においた 設計 施工を行う事が重要である 6