013年1月の動き2 2013 年 1 月の動きロシアビジネスロシアNIS 貿易会の活動富士通ゼネラル モスクワ駐在員事務所を開設ロシア極東における港湾調査三菱自動車がロシア販売会社に資本参画キルギス繊維産業企業連盟幹部を受入トヨタ車ウラジオストク工場で試験生産開始ロシアのイノベーション政策を調査三河港 ウラジオストク港コンテナ定期便就航業界その他の動き JBICがガスプロムバンク向け輸出融資枠日ロの査証手続き簡素化へゲームのサイバーステップ ロシアに子会社今月のピックアップモスクワに讃岐うどん1 号店沿海地方 水産会社との協力の可能性 JALがシベリア航空と共同運航 NISビジネスミニストップがカザフで1 号店を出店 JBIC 北カスピ海油田開発事業向け融資富士通ゼネラル モスクワ駐在員事務所を開設株式会社富士通ゼネラルの欧州地域販売子会社 FUJITSU GENERAL (EURO) GmbHのモスクワ駐在員事務所が1 月 1 日より活動を開始した ロシアでは夏季に30 度を超える日々が続き 空調設備の需要は増加傾向にある 2011 年における伸長率は253% で 欧州最大の市場となった 1993 年より現地代理店を通じてロシア地域での空調機器の販売を行ってきたFUJITSU GENERAL (EURO) は 今後 モスクワ駐在員事務所の現地に根ざした情報収集や市場調査を通じて ロシア CIS 諸国における販売拡大を図る モスクワ駐在員事務所の概要は以下の通り 社名 :FUJITSU GENERAL (EURO) GmbH, MOSCOW REPRESENTATIVE OFFICE 所在地 : モスクワ市 所長 : 清水健司 (FUJITSU GENERAL (EURO) GmbH 副社長 ) 設立 :2012 年 10 月 21 日 業務内容 : マーケティング戦略の策定 新商品情報の提供 技術研修 商品供給支援他 三菱自動車がロシア販売会社に資本参画三菱商事株式会社および三菱自動車工業株式会社は1 月 16 日 ロシアRolfグループとの間で ロシアの三菱自動車総販売代理店であるRolf Import(RI) 社への三菱自動車の参画を通じ 資本再編することに合意したと発表した 新生 RI 社のロシアNIS 調査月報 2013 年 3 月号 117
業界トピックス118 株主構成は 三菱商事と三菱自動車がRolfグループの所有するRI 社株式を9% ずつ譲り受けることにより 三菱商事 49% Rolfグループ42% 三菱自動車 9% となる Rolfグループは1992 年よりロシアにおける三菱ブランド車の販売事業を行っており 2004 年には三菱ブランド車の輸入卸売事業に特化したRI 社を設立 2009 年には三菱商事が同社に出資参画し Rolfグループとともに経営 販売 物流機能の強化に取り組んできた トヨタ車ウラジオストク工場で試験生産開始ロシアの自動車会社ソラーズと三井物産の合弁会社 ソラーズ ブッサンがウラジオストクに建てたトヨタ車の組み立て工場において1 月 25 日 試験生産開始式が行われ シュヴァロフ第 1 副首相が出席した 同工場ではスポーツ用多目的車 ランドクルーザー プラド を1,000 台 / 月を生産する計画である 三河港 ウラジオストク港コンテナ定期便就航愛知県の三河港とウラジオストク港を結ぶコンテナ定期航路が新設され 第 1 船 ( 韓国の船会社 長錦商船の カリス ビーナス号 ) が1 月 25 日 豊橋市の豊橋コンテナターミナルに接岸し 就航記念式典が行われた 同航路はソラーズ ブッサンが運営 トヨタ自動車田原工場で製造した ランドクルーザー プラド の部品をウラジオストクにあるソラーズ ブッサンの組み立て工場に運ぶ JBICがガスプロムバンク向け輸出融資枠株式会社国際協力銀行 (JBIC) は1 月 21 日 ロシア大手商業銀行ガスプロムバンクとの間で 融資金額 3 億ドル相当 (JBIC 分 ) を限度とする輸出クレジットライン設定のための一般協定書を締結した 同クレジットラインは民間金融機関との協調融資によるもので 協調融資総額は5 億ドル相当 ロシアおよび周辺国の地場企業が日本の輸出者から機械設備等を購入するための資金に係る融資枠 ( クレジットライン ) をガスプロムバンクに設定し 同行を通じて円建て またはドル建ての中長期資金を融資する ゲームのサイバーステップ ロシアに子会社オンラインゲームの開発 サービスおよびライセンスを行っているサイバーステップ株式会社は1 月 10 日 サンクトペテルブルグ市に100% 出資の現地会社 CyberStep Russia LLC を設立した 同社グループで開発されたオンラインゲームの完了からサービス開始までの期間を短くし ユーザーの声をゲームタイトルの改善へすばやく反映させるため 自社運営サービスの提供を進めていく ロシア NIS 調査月報 2013 年 3 月号
013年1月の動きモスクワに讃岐うどん1 号店 2 月 1 日 外食チェーンの株式会社トリドール ( 本社 : 神戸市 ) の現地法人 Toridoll LLCが運営するセルフサービス式うどん店 丸亀製麺 ( マルカメ ) モ スクワ1 号店がオープンした マルカメでは日本の店舗と同様のオープンキッチ ン方式を採用し 出来立てのうどんを提供するほか ロシアオリジナルメニュー の丼ものやサイドディッシュも揃えている 所在地は マルカメ (МАРУКАМЭ) ノヴォクズネツカヤ店 : モスクワ市ピャトニツカヤ通り29(Пятницкая ул. 29) 電話番号 :8(495)660-55-89 営業時間:11 時 ~23 時 ( 年中無休 ) JALがシベリア航空と共同運航 日本航空株式会社は1 月 30 日より ロシアのシベリア航空 (S7 航空 ) が運航す る成田 ウラジオストク線 成田 ハバロフスク線においてコードシェアを開始 した 新規コードシェア便概要は以下の通り 便名 区間 出発時刻 到着時刻 運航曜日 JL7097/S7 568 成田 -ハバロフスク 14:25 19:00 月 JL7096/S7 567 ハバロフスク- 成田 12:45 13:25 月 JL7099/S7 566 成田 -ウラジオストク 14:25 18:55 水 土 JL7098/S7 565 ウラジオストク- 成田 13:00 13:25 水 土 ミニストップがカザフで1 号店を出店 ミニストップ株式会社およびセンコー株式会社は1 月 18 日 カザフスタンの RTS 有限責任事業会社との間で設立した合弁事業会社 RTS-MINISTOP による コンビニエンスストア第 1 号店がアルマティ市内でオープンしたことを発表し た 中央アジアに日本のコンビニが出店するのは初めて RTS-MINISTOPは2012 年 5 月に設立 ( 資本金は5 億テンゲ 出資比率はRTS:51% ミニストップ:39% センコー :10%) センコーはミニストップの物流業務受託にあたり アルマテ ィ市内にJapan Select 物流センター ( センコー 100% 出資の現地法人 ) を開設 冷 蔵と冷凍の保管スペースを備えるほか 常温を含めた3 温度帯の商品の店舗供給 を行う JBIC 北カスピ海油田開発事業向け融資 株式会社国際協力銀行 (JBIC) は1 月 21 日 国際石油開発帝石 (INPEX) 等が
業界トピックス120 出資するインペックス北カスピ海石油株式会社 ( 北カスピ社 ) との間で 融資金額 2 億 3,100 万ドル限度 (JBIC 分 ) の貸付契約に調印した みずほコーポレート銀行 三菱東京 UFJ 銀行 三井住友銀行との協調融資によるもの JBICの 円高対応緊急ファシリティ の下での資源 エネルギーの確保 開発の促進に係る案件であり 国際コンソーシアム ( 北カスピ社 ENI ExxonMobil KazMunaiGaz Royal Dutch Shell Total ConocoPhillipsにより構成 ) が実施するカザフスタン領北カスピ海沖合に位置するカシャガン油田の開発に必要な資金を融資する ロシア極東における港湾調査 平成 24 年度国庫補助事業 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業の一環として 当会ロシアNIS 経済研究所の芳地隆之次長 同齋藤大輔研究主任 業務部の橋之爪理佳職員が1 月 19~26 日にかけてロシア極東の港湾施設を訪問 かつて日本企業が輸出した港湾設備 機械の更新あるいは新規需要の拡大を踏まえ 港湾整備分野での日本企業の参入の可能性等の調査を行った キルギス繊維産業企業連盟幹部を受入国庫補助事業中央アジア等産業育成ビジネスマッチング事業の第 2 回受入型ビジネスマッチングとして 1 月 20~26 日の日程でキルギスの繊維産業企業連盟所属の4 社 (Lila style E-Line Moda Prima Vera Rusol) 幹部を日本へ招聘 日本の企業および団体との面談および都内縫製工場訪問 長浜バイオインキュベーションセンター JFWインターナショナル ファッション フェア展視察等を行った また 1 月 23 日には都内にてビジネスプレゼンテーションを開催した JUKI 中村和之代表取締役会長他との面談 ロシア NIS 調査月報 2013 年 3 月号
013年1月の動きロシアのイノベーション政策を調査 平成 24 年度国庫補助事業 ロシアのイノベーション促進政策とビジネスチャン ス の一環として ロシアNIS 経済研究所の服部倫卓次長は 1 月 23~31 日にロ シアのモスクワ市 ヴォルゴグラード州 ロストフ州に出張し 現地調査を実施 した 現地ではイノベーション政策およびプロジェクトにかかわる企業 機関な どを訪問し聞き取りを行ったほか 見本市視察 資料収集などを行った 日ロの査証手続き簡素化へ プーチン大統領は12 月 31 日 日本との査証発給手続きを簡素化する協定の批准 法に署名した 日本側の批准手続きは完了しており 両国の批准書を交換して近 く発効する 協定は 商業や学術 文化 報道など各分野で人の往来を活発にす るのが目的である 沿海地方 水産会社との協力の可能性 ロシア極東 沿海地方の主要輸出商品は水産物 ( 魚 甲殻類 軟体動物 ) であ り 2011 年のシェアは39% を占めた ( それに鉱物性生産品 22% 木材 同製品 20% と続く ロシア極東税関の通関統計より ) かつては同地方に日ロ合弁の水産会 社が設立されたが 水産分野における日ロ間のビジネスは限られたものとなって いる とはいえロシア極東に関心を向ける日本の水産会社は少なくない 日本政 府は2012 年 9 月にウラジオストクで開催されたAPECにおいて ロシア政府との 間で密漁密輸防止協定を締結 両国間の水産物貿易の正常化を目指しており ロ シア側の日本企業に対する 水産会社の冷蔵庫や加工工場などインフラ整備向け 投資への期待も高い そこで今号では 先般 訪問した沿海地方の水産会社 ザ ルビノ水産会社 (Zarubinskaya Baza Flota) のウラジーミル V スミルノフ社 長に伺った内容を紹介する 同地水産業界の現状の一端をお伝えすることになれ ば幸いである * * * * * 会社の概要同社は沿海地方ハサン地区のザルビノ港からほど近いところに 位置している ロシア極東の大手水産会社 ダリモレプロダクト ( 旧ソ連極東 漁業生産公団 ) の傘下にあり 社員は約 200 人 漁獲 冷凍 加工の3 部門から
業界トピックス122 なる 小型漁船を5 隻所有しているが 砕氷船ではないため 操業は4~11 月に限られている 沿海漁業が中心で エリアはナホトカ湾沖まで 年間の漁獲量は 2,000t うちスケトウダラが1,200t タラ ホッケ ハゼ カジカ エイなどが800tである また ホタテ ナマコ イガイを養殖しており 2013 年から出荷を開始するため 現在 加工施設を整備中である 網やかごなどの漁具は中国から購入している 冷凍倉庫の容量は2,000~2,500t 魚種別に冷凍し 冷凍された魚はそのまま出荷するか 自社の加工品で製造する 加工工場では缶詰も生産していたが 売れ行きが思わしくなかったため 現在は燻製やオイル漬けをつくっている 主な仕向地主な海外への輸出先は中国である ( 韓国向けはわずかとのこと ) 冷蔵した状態のものをトラックで運んでいる ( 国内向けは冷凍した状態で出荷 ) なお ザルビノ港からは対中国境の町クラスキノを経由し 延辺朝鮮族自治州の琿春市まで数十キロの陸路で結ばれている 日本との協力の可能性同社には日本から鮮魚を買いたいという引き合いがあった 日本側は 鮮度を保つため空輸を求めているが スミルノフ社長によれば たとえばスケトウダラの漁期は4~6 月の3カ月で 鮮魚での輸出は認められていないという また 夏の観光シーズンに地元で販売しているので 日本向け輸出のインセンティブは低い ホッケ ハゼ カジカの漁期は7~10 月の4カ月だが 安定した漁獲を約束できないため 鮮魚ではなく 冷凍魚で出荷したいという意向であった 日本向け輸出のハードルは高いが たとえば ハゼ カジカなど人気のない雑魚 ( すり身用など ) を日本が買い取ってくれるのであれば 漁師に指示をして一定量 (500~600t) を確保するのは可能であるという 日本の需要が高いウニについては 漁獲割り当て ( 年間 6.5t) を有しているものの 潜水夫を雇用する必要があり 当面 獲る予定はないそうだ なお 設備面でいえば 冷蔵 冷凍施設は旧ソ連製が多く 老朽化が進んでおり 更新の必要性に迫られている 一昨年は工場で働く北朝鮮の女性従業員 ( 現在 20 人が勤韓国製の設備を一部購入した務 今後 さらに 20 人を採用予定だという ) とのことであった ( 芳地隆之 ) ロシア NIS 調査月報 2013 年 3 月号