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目次 はじめに... 3 追加 / 強化機能... 4 所蔵情報と利用可否情報をまとめて表示... 4 メール送信できる書誌データの拡大... 5 出版年 ファセットの更新... 6 他の版 フォーマット のパフォーマンス改善... 7 不具合の修正... 8 検索結果一覧と書誌詳細における著者名の

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Transcription:

次世代学術コンテンツ基盤の構築に向けて : 国立情報学研究所の新たなコンテンツサービス 国立情報学研究所開発 事業部尾城孝一 はじめに国立情報学研究所 (NII) は, 前身の学術情報センター ( NACSIS) の時代から約 20 年にわたり, NACSIS-Webcat( 総合目録データベース検索サービス ), NACSIS-IR ( 情報検索サービス ), NACSIS-ELS( 電子図書館サービス ) といったさまざまな学術情報提供サービスを提供してきた こうした資産を継承し, さらに発展させるために, NII は, 学術コミュニティにとって不可欠なコンテンツを, 大学等の研究機関との密接な連携により形成, 確保し, 付加価値を付けて広く世界に発信するための次世代学術コンテンツ基盤整備事業に着手した 本稿では, 学術コンテンツポータル, 電子ジャーナルアーカイブの導入, および機関リポジトリの構築 連携支援の 3 つの取り組みに焦点を合わせ,NII の新たな学術コンテンツ サービスについて紹介したい 1. 学術コンテンツポータルの開設 2005 年 4 月,NII はこれまでに形成, 提供してきた学術コンテンツを統合し, ひとつの窓口から多種多様な情報にアクセスできる環境を整備し, これを GeNii( NII 学術コンテンツ ポータル ) と名づけ, 正式サービスを開始した 個々の学術コンテンツ (One) を全ての利用者 (All) に提供し, 同時に, 全ての学術コンテンツ (All) をその情報を必要とする利用者 (One) に確実に届けること, すなわち, One for All, All for One が GeNii の中核的なコンセプトである

現在,GeNii は以下の 4 種類のサービス コンポーネントから構成されている (1)CiNii( NII 論文情報ナビゲータ ) CiNii は, 国内の学術論文を中心とした論文情報を提供するサービスであり, 現在合わせて約 1,000 万件の論文情報が収録されている CiNii の特徴としては, 次の 3 点を挙げることができる 1 引用 被引用リンク :CiNii には, ある論文が引用した論文, あるいは逆にある論文に引用された論文の情報が含まれている 利用者はこの引用 被引用のリンクをたどって関連する論文情報を効率的に収集することが可能となる 2 論文本体の提供 :CiNii には論文の書誌情報 ( メタデータ ) だけでなく, 論文本体 (PDF ファイル ) の情報も収録されている 本体が利用できる論文数は,270 万件に達している 3 網羅的な論文コレクション :NII が作成している NII-ELS( 電子図書館サービス ), 引用文献索引データベース, 研究紀要データの他に, 国立国会図書館が提供する雑誌記事索引の論文情報を統合し, 国内の網羅的な論文コレクションを形成している (2)Webcat Plus( 図書情報ナビゲータ ) Webcat Plus に収録されているデータの基礎を形成しているのは, 全国の大学図書館等が NACSIS-CAT を使って共同構築している総合目録データベースである 現在, 図書の書誌レコードが 780 万件, 所蔵レコードが 8,400 万件収録されている さらに, 雑誌の書誌レコードが 30 万件, 所蔵レコードは 420 万件に達しており, 世界でも有数の目録データベースとなっている このデータベースを一般公開するサービスとして, Webcat が既に存在していたが, その内容及び機能をさらに拡張し, 日本の本探しのポータルサイトとして一層発展させたサービスが Webcat Plus である Webcat Plus には, 通常のキーワード検

索の他に, 連想検索というユニークな検索の仕組みを取り入れられている 連想検索を使用することによって, 利用者は曖昧な検索語しか思いつかなくとも, 自分が探している情報を効率的に見つけ出すことができる (3)KAKEN( 科学研究費成果公開サービス ) 文部科学省と日本学術振興会が交付している科学研究費補助金によって行われた研究に関する情報を集約したサービスが KAKEN である NII では, これまでも NACSIS-IR を通じて, 各年度に科研費の交付が決定された研究課題のデータベースと, 交付を受けて行われた研究の実績や成果の概要を収録するデータベースを提供してきた しかしながら, 交付決定情報と交付後の成果情報が別々のデータベースになっており, 使い勝手の点で問題があった それを整理, 統合し, 採択課題毎に, 実績報告, 成果概要を一覧することができるように機能を向上した また, 複数年度にまたがって研究が行われている場合は, 年を追って実績報告や成果概要を閲覧することができる (4)NII-DBR( 学術研究データベース リポジトリ ) NII-DBR には, 国内の学会, 研究者, あるいは図書館が作成した専門的なデータベースが収録されている こうしたデータベースは, それぞれの研究分野に特化しており, 専門性の高い貴重な学術コンテンツのひとつである しかしながら, こうしたデータベースを維持管理していくには, 相当のコストを必要とする また, 年を経るにつれて, メンテナンスの担当者が不在となるケースも起こりうる NII では, こうした貴重なデータベースを積極的に受け入れて, 公開していきたいと考えている 現在,27 のデータベースを受け入れており, 合わせて 150 万件のレコードが検索できる これら 4 つのサービスを横断的に検索するため

の 総合検索 を加えたサービスが GeNii の全体像ということになる 4 つのサービスの中で, CiNii だけは一部有料のサービスを含んでいるが, 他のサービスは誰もが無料で利用できる 今後は, 各種外部情報サービスとの連携, 及び研究所の研究成果の活用を積極的に推進し, GeNii をより魅力ある学術コンテンツポータルへと成長させていきたいと考えている 2. 電子ジャーナルアーカイブの導入 1990 年代後半に始まるインターネットの世界的な普及と電子出版技術の進歩を背景として, 学術雑誌の電子化が急速に進展した その結果, 主要な学術雑誌のほとんどが電子ジャーナルの形態で流通するようになった このような変化に対応すべく, 大学図書館は, 図書館コンソーシアム ( 図書館共同体 ) を形成し, 購買力と出版者との交渉力を向上させ,value for money( 支出に対するアクセス可能情報量 ) を高める努力を行ってきた こうしたコンソーシアム活動の成果として, 大学における電子ジャーナルの導入数はこの数年間で大幅に増加し, 電子ジャーナルは, 今日では, 研究活動に不可欠の情報資源とみなされている しかしながら, 紙の資料と異なり, 電子ジャーナルの本体は出版者のサーバ上にのみ存在する 図書館はそれへのリンク情報を提供するのみである 電子ジャーナルという形をとって流通する電子論文情報をいかにして恒久的に保存し, それに対するアクセスを保証する体制を作るかが喫緊の課題となっている こうした背景の下,NII は,2003 年に NII-REO ( 電子ジャーナルリポジトリ ) の構築に取りかかった これは, 主として海外で出版された電子ジャーナルの過去分の本文情報を, 国内の大学図書館コンソーシアムと連携し, 長期的に保存し, ア

クセス環境を維持するためのサーバである これまで, 海外の代表的な学術出版者が刊行する雑誌に発表された約 60 万件の論文情報を NII-REO に蓄積し, 契約機関に提供してきた さらに 2005 年度には,NII, 大学図書館コンソーシアム ( 国立大学図書館協会及び公私立大学図書館コンソーシアム ), 出版者の 3 者の協議の結果,Springer 社と Oxford University Press 社が遡及的に電子化した大規模なアーカイブを NII-REO に蓄積し, 利用提供するための契約が成立し, データ格納作業を経て,2006 年 6 月に正式に公開された それぞれのアーカイブの概要は次のとおりである Springer Online Journal Archive - 収録タイトル数 : 約 800 誌 - 出版年の範囲 :1847 年 ~1996 年 - 収録論文数 : 約 200 万件 Oxford Full Online Collection - 収録タイトル数 :137 誌 - 出版年の範囲 :1849 年 ~1995 年 - 収録論文数 : 約 80 万件これら 2 社の大規模アーカイブの導入により, 現在 REO に蓄積されている電子論文データは合計約 340 万件に達している 論文本体については, 契約機関のみにアクセスが制限されるが, 検索および書誌情報 ( 抄録を含む ) の表示までは, 誰もが無料で利用できる 3. 機関リポジトリの構築 連携支援機関リポジトリとは, 大学等の学術機関において生み出されたさまざまな教育 研究成果を収集, 保存, 発信するための電子書庫である 商業出版社の寡占により機能不全に陥った学術コミュニケーション システムの改善, 及び大学等からの情報発信機能強化への要請などを背景として,2002 年頃から急速に普及してきた 現在では, 世界中で 700 を超えるリポジトリが運用されていると言

われている NII も, 国内における機関リポジトリの普及を支援するための活動を展開している まず,2004 年には, 学術機関リポジトリ構築ソフトウェア実装実験プロジェクトという支援プロジェクトを実施した これは,6 つの国立大学図書館との共同プロジェクトであり,DSpace と EPrints という機関リポジトリ構築のための代表的なオープンソースの試行運用を通じて, 各大学での機関リポジトリの構築やさらには運用に関するさまざまな技術情報を蓄積して, それを共有していこうというプロジェクトであった それに続いて,2005 年には, 全国の 19 大学を対象とした委託事業を開始した こうした支援活動の成果として, 現在, 国内では約 20 のリポジトリが立ち上がった さらに,2006 年には, 委託事業の対象を 57 大学に拡大し, 全国に機関リポジトリを広める活動を行っている また,2006 年の委託事業には, 機関リポジトリに関わる先端的な研究開発プロジェクトの支援も含まれている この委託事業において,NII は各大学が構築した機関リポジトリを横断するポータルサイトとして機能を果たしたいと考えている 現在, 各リポジトリから自動収集したメタデータを集約し, それを元にした横断検索のシステムを開発中である また, 技術面での助言, 機関リポジトリで使用される標準の整備, さらには研修や講演会等を通じた啓発活動なども NII の役割である こうした支援活動を通じ, 国内の機関リポジトリ共同体 ( コミュニティ ) を形成し, そこでさまざまな知見や経験などを各図書館が共有し, コンテンツの効果的な収集方策やシステム面での課題等をコミュニティ全体で解決していく環境作りに尽力していきたいと考えている おわりに

NII では, 現在, 超高速ネットワーク 研究リソース 研究成果としてのソフトウェア / 学術コンテンツの共有 人材等を有機的に結合する最先端学術情報基盤 ( Cyber Science Infrastructure: CSI) の構築を最優先の課題として事業展開を進めている 次世代学術コンテンツ基盤整備事業も CSI 整備の一環である NII は, この事業を通じて, 学術コミュニティや社会一般が必要とする多様なコンテンツを大学等の学術機関と共同で確保し, それを広く社会に発信するための枠組みを形成していきたいと考えている 今後とも関係各位のご理解とご支援を賜りたい [ 参考 URL] GeNii. http://ge.nii.ac.jp/ CiNii. http://ci.nii.ac.jp/ Webcat Plus. http://webcatplus.nii.ac.jp/ KAKEN. http://seika.nii.ac.jp/ NII-DBR. http://dbr.nii.ac.jp/ NII-REO. http://reo.nii.ac.jp/ 次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業. http://www.nii.ac.jp/irp/ ( 本文中のデータ件数は, 全て 2006 年 6 月時点 の数字である )