(Microsoft Word p42-49 \223\271\223\277\213\263\210\347\202\314\217[\216\ doc)

Similar documents
考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

第4章 道徳

2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる

平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

ICTを軸にした小中連携

PowerPoint プレゼンテーション

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

<4D F736F F D20906C8CA08BB388E E646F63>

人間関係を深めるとともに, 児童が自己の生き方についての考えを深め, 家庭や地域社会との連携を図りながら, 集団宿泊活動やボランティア活動, 自然体験活動などの豊かな体験を通して児童の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない その際, 特に児童が基本的な生活習慣, 社会生活上の

<4D F736F F D B993BF8BB388E782C98AD682B782E98D5A93E08CA48F432E646F63>

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

愛媛県学力向上5か年計画

Microsoft PowerPoint - 中学校学習評価.pptx

(4) 特別の教科道徳 としての位置付け平成 26 年 10 月 21 日に中央教育審議会は 道徳に係る教育課程の改善等について を答申 道徳の時間を 特別の教科道徳 ( 仮称 ) として位置付け 検定教科書を導入することなどを提言 中央教育審議会答申の概要 ( 平成 26 年 10 月 ) 1 道


学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

<4D F736F F D B993BF8BB388E782CC8F5B8EC02E646F63>

教育調査 ( 教職員用 ) 1 教育計画の作成にあたって 教職員でよく話し合っていますか 度数 相対度数 (%) 累積度数累積相対度数 (%) はい どちらかといえばはい どちらかといえばいいえ いいえ 0

< 内容 > 1. 道徳 から 特別の教科道徳 へ 2. これまでの道徳 3. これまでの道徳とこれからの道徳 4. これからの道徳 主に道徳科に関すること 主に道徳教育に関すること 5. 道徳の授業を参観して感じること 6. 授業構想チェックシートの活用 7. まとめ

< F2D318BB388E789DB92F682CC8AC7979D F >

第 1 章総則第 1 教育課程編成の一般方針 1( 前略 ) 学校の教育活動を進めるに当たっては 各学校において 児童に生きる力をはぐくむことを目指し 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で 基礎的 基本的な知識及び技能を確実に習得させ これらを活用して課題を解決するために必要な思考力 判

教育と法Ⅰ(学習指導要領と教育課程の編成)

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

PowerPoint プレゼンテーション

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

2部.indd

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

農山漁村での宿泊体験活動の教育効果について

PowerPoint プレゼンテーション

工業教育資料347号

徳教育推進部(道徳部道徳の指導計画には, 道徳教育の全体計画 道徳の時間の年間指導計画 学級における指導計画 学習指導案 がある いずれも道徳教育を推進させる重要な指導計画であるが, ここでは前三者の作成ポイントを取り上げる ( 学習指導案 については, 別ファイル 道徳の指導案作成のポイント を参

Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

61.8%

解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

Taro-自立活動とは

Microsoft PowerPoint - H29小学校理科

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

No_05_A4.ai

必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

り込んで獲得するものではなく 探究の過程を通して 自分自身で取捨 選択し 整理し 既にもっている知識や体験と結び付けながら 構造化され 身に付けていくものである そして こうした過程を経て獲得された知識は 実社会 実生活における様々な課題の解決に活用可能な生きて働く知識 すなわち概念として形成されて

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

小中学校表紙(新)

エコポリスセンターとの打合せ内容 2007

各教科 道徳科 外国語活動 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする 各教科 道徳科 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする

新しい幼稚園教育要領について

総合的な学習の時間とカリキュラム・マネジメント

Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

123

訂されている 幼稚園 小 中学校学習指導要領改訂の基本的な考え方として 次の 3つがあげられる 1. 子供たちに求められる資質 能力を明確にし それらを社会と共有していくという社会に開かれた教育課程を実現していく 2. 現行学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で 知識の理解の質を高めていく 3

平成 30 年 4 月 1 日 平成 30 年度 第 70 回 日本連合教育会研究大会 桐生大会 大会主題 分科会研究協議題 等 Ⅰ 大会主題及び大会主題設定の趣旨 Ⅱ 分科会研究協議題 研究協議題設定の理由 研究協議の視点 (1) 第 1 分科会国語 (2) 第 2 分科会 社会 (3) 第 3

平成 年度言語活動の充実促進モデル校事業の研究より 豊かな表現力を培う 各教科等における言語活動の充実 伝え合う力 の育成

H30全国HP

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

Microsoft Word - aglo00003.学力の三要素

授業の構成要素 学び合う授業で育つ 3 つの力 資料 2 基礎 基本の力知識 理解 技能 問題解決力思考力 判断力 表現力 想像力 学ぼうとする力学習意欲 自己有用感 身に付けた知識 技能を活用したり その成果を踏まえた探究活動を行う中で学び合う授業を展開する 教師の役割 < 問題提示の工夫 > 多

道徳科の授業を構成する手立て 1 教育課程編成の一般方針道徳教育は, 学校や児童生徒の実態などを踏まえ設定した目標を達成するために, あらゆる教育活動を通じて, 適切に行われなくてはならない その中で, 道徳科は, 各活動における道徳教育の要として, それらを補ったり, 深めたり, 相互の関連を考え

求められる整理編

新学習指導要領の理念と カリキュラム マネジメント 2019( 平成 31) 年 1 月 16 日 文部科学省 3 階講堂 天笠茂 ( 千葉大学特任教授 )

今年度の校内研究について.HP

平成 30 年度なごや小学校努力点推進計画 1 研究主題なかまとともに感性輝くなごやっ子 (1 年次 ) 2 研究主題について本校では 昨年度までの努力点研究において 道徳や特別活動の時間を中心に 子ども一人一人の成長と互いの認め合いをめざすことで 子ども自らが なごや小でよかった と感じられるよう

幼児期の教育と小学校教育との円滑な接続の在り方について ( 報告 ) ( 概要 ) 子どもの発達や学びの連続性を踏まえた幼児期の教育 ( 幼稚園 保育所 認定こども園における教育 ) と児童期の教育 ( 小学校における教育 ) の円滑な接続の在り方について検討し 以下のとおり 報告をとりまとめた 1

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

教員の専門性向上第 3 章 教員の専門性向上 第1 研修の充実 2 人材の有効活用 3 採用前からの人材養成 3章43

(6) 調査結果の取扱いに関する配慮事項調査結果については 調査の目的を達成するため 自らの教育及び教育施策の改善 各児童生徒の全般的な学習状況の改善等につなげることが重要であることに留意し 適切に取り扱うものとする 調査結果の公表に関しては 教育委員会や学校が 保護者や地域住民に対して説明責任を果

し, 定期的に評価することで 自己の考え を自覚する場面を意図的に設定している 本教材の学習においては, 様々な情報の中から必要な情報を取り出し, 整理 分析し, それに基づいた自分の考えを表現する活動を通して, 自己の考えの深まりや広がり を実感させることによって, 課題改善につなげたいと考えてい

平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県海草地方 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

平成29年度 中学校英語科教育 理論研究

小学校道徳教育指導資料 総則編 1 学習指導要領改訂のポイント 1 2 道徳教育の目標のポイント 1 3 道徳教育の内容のポイント 2 4 道徳教育の指導体制と全体計画のポイント 3 5 指導内容の重点化のポイント 5 6 豊かな体験活動の充実といじめの防止について 5 7 家庭や地域社会との連携の

平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

第 1 章 第 1 道章道徳徳科科 指指導導とと評評価1 求められる道徳科の授業 価 理論編 (1) 改訂の趣旨をどのように捉えるか人格の完成及び国民の育成の基盤となるものが道徳性です その道徳性を育てることが 学校教育における道徳教育の使命です 道徳教育においては 人間尊重の精神と生命に対する畏敬

基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります 基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります (1) 基礎的 基本的な学力の定着児童 生徒一人ひとりが生きる力の基盤として 基礎的 基本的な知識や技能を習得できるよう それぞ

座標軸の入ったワークシートで整理して, 次の単元 もっとすばらしい自分へ~ 自分向上プロジェクト~ につなげていく 整理 分析 協同的な学習について児童がスクラップした新聞記事の人物や, 身近な地域の人を定期的に紹介し合う場を設けることで, 自分が知らなかった様々な かがやいている人 がいることを知

平成27年度公立小・中学校における教育課程の編成実施状況調査結果について

勝ちにこだわるあまり, 他人の気持ちを考えない言動をする生徒がいたため, 全体指導を行った経緯もある 以上の事から, 中学校生活で様々な活動に一生懸命に取り組む中で, 思うようにいかず, 悔しい思いをする経験をした生徒が多いことがわかる 本学級の生徒がこの経験を生かし, さらに成長するためには, 悔

Microsoft Word - 研究協議会資料(保健分野学習指導案)

北九州市学力向上ステップアップ事業第Ⅱ期推進指定校 実施計画

道徳の教科化 に至る道徳教育の動きと道徳科指導法改善の提言國學院大學人間開発学研究第 9 号 平成 30 年 2 月 ( 小笠原 ) 研究ノート 道徳の教科化 に至る道徳教育の動きと道徳科指導法改善の提言 新たな道徳科の指導法に向けて 小笠原優子 要旨 道徳の教科化 に伴い 道徳教育の新しい一歩が始

鎌倉市関谷小学校いじめ防止基本方針 平成 26 年 4 月 鎌倉市立関谷小学校

7 月の 人の心にふれて では, 人に素直に親切にできた経験をふり返る ぼく の気持ちを考えることを通して, だれに対しても相手の立場に立って温かな心で接していこうとする心情を育てることをねらいとして取り組んだ 授業後には, 親切にしたいと心では思っていても行動に移すのは難しい でも思っているだけで

Taro-14工業.jtd

4校目cs5たまじむ3号.indd

中学校第 3 学年社会科 ( 公民的分野 ) 単元名 よりよい社会をめざして 1 本単元で人権教育を進めるにあたって 本単元は 持続可能な社会を形成するという観点から 私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を設けて探究し 自分の考えをまとめさせ これらの課題を考え続けていく態度を育てる

平成 25 年度学力定着状況確認問題の結果について 概要版 山口県教育庁義務教育課 平成 2 6 年 1 月 1 実施概要 (1) 目 的 児童生徒の客観的な学力状況の経年的な把握と分析を通して 課題解決に向けた 指導の工夫改善等の取組の充実を図る全県的な検証改善サイクルを確立し 県内す べての児童

41 仲間との学び合い を通した クラス全員が学習に参加できる 授業づくり自分の考えを伝え 友達の考えを聞くことができる子どもの育成 42 ~ペア グループ学習を通して~ 体育における 主体的 対話的で深い学び を実現する授業づくり 43 ~ 子どもたちが意欲をもって取り組める場の設定の工夫 ~ 4

<4D F736F F D D AD8DF48D8096DA C82A982C89053>

札幌市教育研究推進事業のあらまし Ⅰ. 札教研事業とは 1. 経緯 札幌市教育研究推進事業( 札教研事業 ) は 札幌市教育研究協議会 ( 昭和 25 年 5 月創設 ) いわゆる 札教研 の研究 研修活動部分を引き継ぐ形で 平成 19 年度より新たに教育委員会の事業として推進されて今日に至る 2.

Taro-10c04h.pdf.jtd

幼児の実態を捉えると共に 幼児が自分たちで生活をつくり出す保育の在り方を探り 主体的 に生活する子どもを育むための教育課程及び指導計画を作成する 3 研究の計画 <1 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉える 教育課程 指導計画を見直す <2 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉え その要因につ

国語 B では 話すこと 聞くこと 領域において 全国及び県平均を上回っているが 他の三つの領域においては 全国及び県平均を下回っている 活用する力を育成する取組のさらなる充実が必要である 設問 1 の目的に応じて 話し合いの観点を整理する力は身についてきている 設問 3 の二つの詩を比べて読み 自

副教材「私たちが拓く日本の未来」活用のための指導資料(P6~P15)

学習指導要領の趣旨を実現する授業づくりのポイント

Taro-小⑩道徳部会紀要

Q1: 社会に開かれた教育課程 の実現とは, どのようなことですか? A: 教育課程を編成する際には, よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念とともに, 子どもたちにどのような資質 能力を育むのかについて学校と社会が共有することが求められています さらに, 社会と連携 協働することでそ

基礎を育てることを主なねらいとしている 現在 地方自治体を取り巻く状況は 少子高齢化 情報化 グローバル化 経済の変動などによ り急速に変化している また 地方分権を推進する法律がつくられ 各地方自治体は 財政の健全 化や組織の改編 市町村合併等の新しい枠組みづくりに取り組んでいる さらに 子育て支

身近な自然に親しみ, 動植物に優しい心で接すること 第 3 学年及び第 4 学年 自然のすばらしさや不思議さを感じ取り, 自然や動植物を大切にすること 第 5 学年及び第 6 学年 自然の偉大さを知り, 自然環境を大切にすること [ 感動, 畏敬の念 ] 第 1 学年及び第 2 学年 美しいものに触

Transcription:

第 1 章 知 徳 体 のバランスのとれた基礎 基本の徹底 小学校, 中学校, 高等学校及び特別支援学校及び特別支援学校における教育の充実 ( 豊かな心 の育成 ) 道徳教育の充実 平成 27 年 7 月に文部科学省から 小学校及び中学校学習指導要領解説特別の教科道徳編 が公表され, 冒頭で 人格の完成及び国民の育成の基盤となるものが道徳性であり, その道徳性を育てることが学校教育における道徳教育の使命である と述べられており, 改めて道徳教育の果たす役割の重要性が示された また, 答えが一つではない道徳的な課題を児童生徒一人一人が自分自身の問題と捉え, 向き合う 考える道徳, 議論する道徳 への転換の必要性が明確になった これは, 広島版 学びの変革 アクション プラン で推進している, 学んだ知識を活用し, 協働して新たな価値を生み出すことのできる力を身に付ける 主体的な学び と軌を一にするものであり, 道徳教育の一層の改善 充実を図ることが重要である 1 小 中学校学習指導要領の一部改正の概要 平成 27 年 3 月に学習指導要領の一部改正が行われ, 現行の 道徳の時間 を教育課程 上 特別の教科道徳 ( 以下道徳科とする ) として, 新たに位置付けることとなり, 小学校は, 平成 30 年度から中学校は平成 31 年度から実施することとなった 今回の改正は, 検定教科書と評価の導入により, 年間 35 時間が確実に確保されると いう量的確保と, より質の高い指導方法により, 子供たちが道徳的価値を理解し, これ まで以上に深く考えて, その自覚を深めるという質的転換が求められている 本県においては, 是正指導以降, 量的課題については改善しており, 広島版 学びの 変革 アクション プラン で推進している 主体的な学び となるよう, 道徳授業の 改善 充実を図っていく必要がある < 改正の概要 > 道徳の時間を 特別の教科道徳 として位置付ける 道徳教育と道徳科の目標を明確で理解しやすいものに改善する 道徳教育の内容を児童生徒の発達の段階を踏まえた体系的なものに改善する 道徳科における指導を, 問題解決的な学習などの多様な指導方法へと改善する 道徳科に検定教科書を導入する 一人一人のよさを伸ばし, 成長を促すための道徳科の評価を充実する 2 道徳教育の推進 (1) 道徳教育の目標 今回の改正では, 道徳教育の目標は, 簡潔な表現に改められたが, 道徳性 を養う ことは, 従前どおりである 道徳性とは, 人間としてよりよい生き方を目指して行われ る道徳的行為を可能にする人格特性であり, 生命尊重 思いやり などの道徳的価値 が一人一人の内面において統合された内面的資質である 道徳性は, 生活の中の様々な 体験等を通して形成されるものであり, 教育の果たす役割は大きい 各学校は, この道 徳教育の目標を踏まえ, 道徳教育の全体計画を作成し, 校長の方針の下に, 道徳教育推 進教師を中心に, 全教員が協力して道徳教育を展開しなければならない < 道徳教育の目標 > 道徳教育は, 教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき, 自己の生き方を ( 1) 考え, 主体的な判断の下に行動し, 自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とする 1 中学校 人間としての生き方

(2) 道徳教育の全体計画 全体計画を作成するに当たっては, 校長の明確な方針の下に, 児童生徒や学校及び 地域の実態を分析し, 保護者や地域の願いを重ねながら, 道徳教育の重点目標を設定 する必要がある 全教員による一貫性のある道徳教育を組織的に展開するためには, 道徳教育推進教師が中心となって, 全教員が深く議論することで, 重点目標を焦点化 するとともに, 発達段階を踏まえた全体計画を作成することが大切である また今回の改正において, 学習指導要領に 各教科, 外国語活動 ( 小学校のみ ), 総 合的な学習の時間及び特別活動における指導の内容及び時期並びに家庭や地域社会と の連携の方法を示すこと と示されたことで, 各教科等における道徳教育の内容を明 確にして, 横断的に児童生徒の道徳性を育むための, カリキュラム マネジメントが 一層重要になる 各学校においては, 例えば, 各教科等で育成する道徳的価値が整理 された別葉等を作成する必要があるが, 平成 28 年度道徳教育パワーアップフォーラム 参加者アンケート結果によると 全体計画に別葉を作成している と回答した割合は, 約 73% であり, 作成していない学校は対応する必要がある (3) 道徳教育の内容 道徳教育で指導すべき内容項目は, 四つの視点によって構成するという考え方は, 従前どおりであるが, 四つの視点の順序が児童生徒の対象の広がりに即して改善され た また, それぞれの内容項目に手掛かりとなる 友情, 信頼 生命の尊さ などの 言葉がキーワードとして付記された 各学年段階においては, 四つの視点に含まれる 全ての内容項目について適切に指導しなければならない 特に, 各学年段階で重点化 されている内容項目については, 複数回指導したり, 他の内容項目と関連付けて指導 したりするなどの工夫が必要である < 四つの視点 > A 主として自分自身に関すること B 主として人との関わりに関すること C 主として集団や社会との関わりに関すること D 主として生命や自然, 崇高なものとの関わりに関すること (4) 道徳教育の基盤づくり 参考 HP: ホットライン教育ひろしま 道徳教育改善 充実のための道徳教育研修ハンドブック < 重点目標の改善例 > 改善前 : 人間尊重の精神を生かし, 道徳的心情と道徳的判断力を高め, 道徳性を養う 改善後 : 人間尊重の精神を生かし, 思いやりの心をもって, 規則を尊重しようとする児童を育成する 重点内容項目 : 親切 思いやり と 規則の尊重 の 2 項目に焦点化 < 全体計画作成上の創意工夫と留意点 > 校長の明確な方針の下に道徳教育推進教師を中心として全教員の協力 指導体制を整える 道徳教育や道徳科の特質を理解し, 教員の意識の高揚を図る 各学校の特色を生かして重点的な道徳教育が展開できるようにする 学校の教育活動全体を通じた道徳教育の相互の関連性を明確にする 家庭や地域社会, 学校間交流, 関係諸機関等との連携に努める 計画の実施及び評価 改善のための体制を確立する < 内容項目数 > 小学校 1 2 年 19 項目小学校 3 4 年 20 項目小学校 5 6 年 22 項目中学校 22 項目 道徳教育を推進するためには, 道徳科の充実はもとより, よりよい人間関係の醸成, 環境の整備, 道徳性の育成に資する豊かな体験の積み重ねなどを通して, 学校の集団 生活の場としての機能を生かし, 道徳教育の基盤をつくることが必要である

ア人間関係や環境の整備 児童生徒の道徳性の育成において, 環境の与える影響は極めて大きく, 日々生 活する学校や学級内の人間関係や環境は, 道徳性の発達に直接, 間接に影響する ものである そのことを踏まえ, それらを整えるとともに, 学校における道徳教 育の指導内容が児童生徒の日常生活に生かされ, 人間としての生き方についての 自覚を深めることができるよう配慮することが大切である < 道徳教育の基盤づくりのポイント例 > 信頼関係を深める - 子供の話に耳を傾けるなど - 人間関係を広げ, 深める - 同学年 異学年交流など - 学校や学級の環境を豊かな感性を培うよう整備する - 日常生活の雰囲気をつくる言語環境への配慮など - 日常的に道徳的実践ができる機会と場を設ける など 道徳掲示板 ( 廿日市市立津田小学校 ) イ豊かな体験の充実 参考 : 本誌第 1 章 体験活動 P38 39 児童生徒の内面に根ざした道徳性を育成するためには, 学校の教育活動全体に おいて学校の実情や児童生徒の実態を考慮し, 豊かな体験 ( 集団宿泊活動や職場 体験活動, ボランティア活動, 自然体験活動, 地域の行事への参加など ) を積み 重ねることが必要である その際, 学校の目標や他教科等とのつながりを踏まえ, 道徳科における指導と 豊かな体験を通した道徳的実践の指導との有機的な関連を図り, 児童生徒一人一 人の道徳性を高めていくことが求められる 道徳科では, 児童生徒が日常の体験 やそのときの考え方や感じ方を生かして道徳的価値の理解を深めたり, 自己を見 つめたりする指導の工夫をすることが大切である < 体験を道徳科に生かすポイント例 > 体験したときの気持ちなどを効果的に引き出す発問を工夫する 体験したときの気持ちなどを重ねやすい教材を授業で活用する 体験したときの気持ちを引き出す表現活動などを充実する 実感を高める体験的活動を授業の流れの一部に取り込む (5) 家庭や地域社会との連携による道徳教育 道徳教育は, 一貫した方針を保ちながら, 学校 家庭 地域社会の三者がそれぞれ の役割を果たすことによって, 一層充実を図ることができる 本県においては, 以下に示すアンケート結果から分かるように, 道徳の時間 を 保護者や地域の人々に積極的に公開はしているが, 懇談会の実施, 保護者や地域 の人々の参加 協力を求めた道徳の授業の実施, 地域の人々の協力を得ての魅力的 な教材開発 については, 連携が不十分である 自校の 家庭 地域との連携 の状況について はい いいえ 道徳の時間 を保護者に公開している 95.4% 4.6% 道徳の時間 を地域の人々に公開している 79.8% 20.2% 道徳教育について保護者 ( または地域の人々 ) と懇談会をもっている 57.8% 42.2% 道徳教育の取組を学校 学年 学級通信やホームページ等で紹介している 78.0% 22.0% 保護者や地域の人々の参加 協力を求めた道徳の授業を行っている 55.6% 44.4% 地域の人々の協力を得て, 魅力的な教材を開発している 36.0% 64.0% 道徳性を養う体験活動等を保護者や地域の人々の参加を求めて行っている 64.9% 35.1% 平成 28 年度道徳教育パワーアップフォーラムアンケート結果

そこで, 各学校において, 家庭や地域社会が道徳教育において果たす役割を十分に 認識するとともに, 家庭や地域社会との交流を密にし, 協力体制を整え, 具体的な連 携の在り方について多様な方法を工夫していくことが必要である < 家庭や地域社会との連携のポイント例 > 家庭や地域社会との共通理解を深める 道徳科の授業を公開し, 授業参観後に懇談会を実施する 道徳科への積極的な参加や協力を得る 授業の実施への保護者, 地域の人々や諸団体等の協力を得る 地域教材の開発やそれを活用した授業への協力を得る 地域全体で道徳教育を推進する - 地域の教育 文化づくり - 多様な人々との交流を深める 地域行事の企画 運営に参加したり諸団体と連携をしたりする 家庭や地域社会と一体となって道徳性を高める実践活動を推進する 地域の人々の協力を得た道徳授業 ( 世羅町立甲山小学校 ) (6) いじめ防止に向けた道徳教育 参考 : 本誌第 1 章 生徒指導の充実 P61~63 今回の改正では, いじめの問題への対応の充実や発達の段階をより一層踏まえた体 系的なものとする観点からの内容の改善, 問題解決的な学習を取り入れるなどの指導 方法の工夫を図ることが示された 児童生徒を, いじめの加害者にも, 被害者にも, 傍観者にもしないために, いじめは許されない ことを道徳教育の中でしっかりと学 べるようにする必要がある そのためには, 道徳科を要とし, なぜ, いじめはいけな いのか, なぜ, いけないと分かっていても止められないのか など, いじめに関す る問題を, 自分自身のこととして, 多面的 多角的に考え, 議論することができる授 業を, 学校や児童生徒の実態を踏まえつつ, 積極的に展開していく必要がある < 追加された内容 > 小学校低学年 個性の伸長 小学校低 中学年 公平, 公正, 社会正義 〇小学校中学年 相互理解 寛容 〇小学校高学年 よりよく生きる喜び < いじめについて考え, 議論する授業例 > 役割演技を通して, 仲間はずれにする側の気持ち, される側の気持ちを考える授業教材 : わたしたちの道徳 ( 小学校 1 2 年 ) およげないりすさん 教室の風景を描いた絵を見て, どこに問題があるのか考えさせる授業教材 : わたしたちの道徳 ( 小学校 3 4 年 ) 増補版 見すごしていませんか, こんな場面 傍観者, いじめる側, いじめられる側のそれぞれの視点に立って考える授業教材 : 私たちの道徳 ( 小学校 5 6 年 ) そうじの時間 道徳の授業で出たいじめに関する意見を学級通信で紹介し, 考えを広げ深める授業 3 特別の教科道徳 の推進 (1) 道徳科の目標 今回の改正では, 道徳教育と道徳科の目標を よりよく生きるための道徳性を養う ものであると統一された その上で, 道徳科の目標は, 従前の 道徳的価値の自覚及 び自己の生き方についての考えを深め ることを, 道徳的諸価値についての理解を基 に, 自己を見つめ, 物事を ( 広い視野から ) 多面的 多角的に考え, 自己の ( 人間と しての ) 生き方についての考えを深める学習 と改め, 道徳性を養うための学習活動 がより具体化して示された 参考 HP: 文部科学省 道徳教育

さらに, それらの学習活動を通して, よりよく生きていくための資質 能力を培う という趣旨を明確にするため, 従前の 道徳的実践力を育てる ことを, 具体的に, 道徳的な判断力, 心情, 実践意欲と態度を育てる と改められた < 道徳科の目標 > 学校の全教育活動を通じて行う道徳教育の目標に基づき, よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため, 道徳的諸価値についての理解を基に, 自己を見つめ, 物事を ( 広い視野から ) 多面的 多角的に考え, 自己の ( 人間としての ) 生き方についての考えを深める学習を通して, 道徳的な判断力, 心情, 実践意欲と態度を育てることである ( ) は中学校 (2) 道徳性を養うために行う道徳科における学習 道徳科の目標に示されたそれぞれの学習は, 相互に関わり合い, 深め合うことによ って, 道徳性を養うことにつながる そのため, それぞれの学習について, 次のこと を踏まえ, 授業を具体的に構想する必要がある ア道徳的諸価値について理解する 道徳的価値とは, よりよく生きるために必要とされるものであり, 人間としての 在り方や生き方の礎となるものである 道徳的価値が人間らしさを表すものである ことに気付き, 価値理解と同時に人間理解や他者理解を深めていくようにする 価値理解 内容項目を, 人間としてよりよく生きる上で大切なことであると理解すること 人間理解 道徳的価値は大切であってもなかなか実現することができない人間の弱さなども理解すること 他者理解 道徳的価値を実現したり, 実現できなかったりする場合の感じ方, 考え方は一つではない, 多様であるということを前提として理解すること イ自己を見つめる 様々な道徳的価値について, 自分との関わり, つまりこれまでの自分の経験やそ のときの考え方, 感じ方と照らし合わせながら, 更に考えを深めていくようにする ウ物事を ( 広い視野から ) 多面的 多角的に考える 児童生徒が多様な考え方や感じ方に接することが大切であり, 多様な価値観の存 在を前提にして, 他者と対話したり協働したりしながら, 物事を多面的 多角的に 考えられるようにする エ自己 ( 人間として ) の生き方について考えを深める 児童生徒は, 道徳的価値の理解を基に自己を見つめるなどの道徳的価値の自覚を 深める過程で, 同時に自己の生き方についての考えを深めているが, 特にそのこと を強く意識させることが重要である (3) 道徳科の年間指導計画 年間指導計画は, 各学校において, 道徳教育の全体計画に基づき, 道徳科の授業を 計画的, 発展的に行うための指針となるものであるため, 各学校が創意工夫をして作 成しなければならない 特に次の内容を明記しておくことが必要である なお, 道徳科の指導の時期, 主題名, ねらい及び教材を一覧にした配列表だけでは 年間指導計画としては機能しにくい そのため, 学習指導過程等を含むものなど, 各 時間の指導の概要が分かるようなものを加えることが求められる 参考 HP: ホットライン教育ひろしま 道徳教育改善 充実のための道徳教育研修ハンドブック < 年間指導計画の内容 > 各学年の基本方針 各学年の年間にわたる指導の概要 指導の時期 主題名 ねらい 教材 主題構成の理由 学習指導過程と指導の方法 他の教育活動等における道徳教育との関連など

さらに, 年間指導計画を活用しやすいものにし, 指導の効果を高めるために, 特に 創意工夫し留意すべきこととして次のことが挙げられる < 年間指導計画作成上の創意工夫と留意点 > 主題の設定と配列を工夫する 計画的, 発展的な指導ができるように工夫する 重点的指導ができるように工夫する 各教科等, 体験活動等との関連的指導を工夫する 複数時間の関連を図った指導を取り入れる 年間指導計画の評価と改善を計画的に行うようにする 特に必要な場合には他学年段階の内容を加える ( 小学校のみ ) 計画の弾力的な取扱いについて配慮する (4) 道徳科における 主体的な学び 本県においては, これまでの取組の結果, 以下に示すアンケート結果から分かるよ うに, 道徳の時間 の内容の充実は図られている 今後はさらに, 道徳科の趣旨を踏 まえた多様な指導方法の工夫を取り入れ, その学びを自分の生活に生かしていくこと ができるようにするとともに, より一層本県が目指している 主体的な学び になる ようにすることが必要である 道徳の時間 の指導について はい いいえ 内容は充実していると思いますか 93% 7% 特別の教科道徳 の趣旨を踏まえた多様な指導方法を取り入れていますか 73% 27% 児童生徒が自分のことを振り返りながら考えるような指導の工夫をしていますか 98% 2% 児童生徒が友達と話し合うなどして, 自分の考えを深めたり, 広げたりするような工夫をしていますか 96% 4% 児童生徒は, 道徳の時間 で勉強したことを自分の生活に生かしていると思いますか 85% 15% 平成 28 年度市町道徳教育推進協議会アンケート結果 ( 広島市を除く 22 市町 ) 道徳科における 主体的な学び とは, 教材に込められた道徳的価値を観念的 一 面的に理解させるのではなく, 児童生徒がねらいとする道徳的価値について課題意識 をもち, 自分の生活を見つめながら他者と議論することで, 道徳的価値の理解を深め, 自己の生き方について考えを深める学習である さらに, 理解した道徳的価値から自 分の生活を振り返り自らの成長を実感したり, これからの課題や目標を見付け, その 結果を日常生活の行動や習慣に結びつけたりしていくことである そのためには, ねらい 内容 方法 の一体化が重要である まず, ねらいとする 道徳的価値についての児童生徒のこれまでの学習状況や実態をしっかりと把握する それを基に, 学習指導要領を踏まえ, この時間にどういった学習活動を通して, 何を ねらうのかを明確化 具体化する 次に, 教材に対する児童生徒の感じ方や考え方を 分析し, 児童生徒がどのような問題意識をもって学習に臨み, ねらいとする道徳的価 値を理解し, 自己を見つめ, 多様な感じ方や考え方によって学び合うことができるの かを具体的に予想しながら, それらが効果的になされるための発問や授業全体の展開 など, 学習指導過程を考える 学習指導過程には, 特に決められた形式はなく, 次ペ ージの例のように, 導入, 展開, 終末の各段階を設定することが広く行われているが, 主体的な学び になるよう各段階の工夫が求められる またその際には, 児童生徒が道徳的な問題を自分事として捉え, 議論し, 探究する 過程を重視し, 道徳的価値に関わる自分の考え方, 感じ方をより深めるようにするた めに, 児童生徒の実態やねらいに応じた適切な指導方法も工夫する必要がある 文部 科学省の専門家会議では, 道徳科における多様な指導方法として, 次ページに示した 三つの指導方法を例示として挙げているが, 本県においては, 登場人物への自我関与

や体験的な学習を取り入れる指導方法については, 研究を重ねてきおり, 今後は, 道徳的な問題を議論し, 探究する中で, 新たな価値や考えを発見 創造するプロセスを重視した問題解決的な学習についても実践を積み重ねる必要がある なお, これらは独立した指導の 型 を示しているわけではなく, それぞれに様々な展開が考えられ, 教材に応じて効果的な学習を設定するとともに, 学校の実態や児童生徒の実態を踏まえて, 授業の主題やねらいに応じた適切な工夫改良を加えながら適切な指導方法を選択することが重要である < 主体的な学び を目指した学習指導過程例 > 導入 主題に対する児童生徒の興味や関心を高め, ねらいの根底にある道徳的価値の理解を基に自己を見つめる動機付けを図る段階 導入の工夫〇見通しを持って主体的に考え, 学ぶことができるようにする 主題に対する児童生徒の興味や関心を高め, 問題意識を持たせるように工夫する 展開 ねらいを達成するための中心となる段階であり, 中心的な教材によって, 児童生徒一人一人がねらいの根底にある道徳的価値の理解を基に自己を見つめる段階 展開の工夫 〇他者の考えと比べ自分の考えを深める展開となるようにする 〇教材や生活体験などを生かしながら, 一定の道徳的価値に関わる物事を多面的 多角的に捉えることができるようにする 発問を工夫する ( 例 : 児童生徒の考えの根拠を問う発問や問題場面を自分に当てはめて考えてみることを促す発問など ) 一人一人が意欲的で主体的に取り組むことができる表現活動や話合い活動を仕組む 終末 ねらいの根底にある道徳的価値に対する思いや考えをまとめたり, 道徳的価値を実現することのよさや難しさなどを確認したりして, 今後の発展につなぐ段階 終末の工夫〇主題を自分との関わりで捉え自己を見つめ直し, 発展させていくことへの希望がもてるようにする 学んだ道徳的価値に照らして, 自らの生活や考えを見つめるための具体的な振り返り活動を工夫する 必要に応じて, 授業開始時と終了時における考えがどのように変容したのかが分かるような活動を工夫する < 主体的な学び につながる指導方法例 > < 読み物教材の登場人物への自我関与が中心の学習において > 教材の登場人物の判断と心情を自分との関わりにおいて多面的 多角的に考えることを通し, 道徳的諸価値の理解を深めること 登場人物に自分を投影して, その判断や心情を考えることにより, 道徳的価値の理解を深めることができる < 問題解決的な学習において > 児童生徒の考えの根拠を問う発問や, 問題場面を自分に当てはめて考えてみることを促す発問などを通じて, 問題場面における道徳的価値の意味を考えさせること 道徳的価値を実現するための資質 能力を養うことができる < 道徳的行為に関する体験的な学習において > 擬似体験的な活動 ( 役割演技など ) を通して, 実際の問題場面を実感を伴って理解することで, 様々な問題や課題を主体的に解決するために必要な資質 能力を養うこと 問題場面を実際に体験してみること, また, それに対して自分ならどういう行動をとるかという問題解決のための役割演技を通して, 道徳的価値を実現するための資質 能力を養うことができる 道徳的な問題とは 1 道徳的諸価値が実現されていないことに起因する問題 2 道徳的諸価値についての理解が不十分または誤解していることから生じる問題 3 道徳的諸価値のことは理解しているが, それを実現しようとする自分とそうできない自分との葛藤から生じる問題 4 複数の道徳的価値の間の対立から生じる問題などがあり, これらの問題構造を踏まえ場面設定や学習活動の工夫を行うことも大切である

(5) 道徳科の評価 道徳科における評価の基本的な考え方は, 児童生徒の側から見れば, 自らの成長を 実感し, 意欲の向上につなげていくものであり, 教員の側から見れば, 教員が目標や 計画, 指導方法の改善 充実に取り組むための資料である < 基本的な方向性 > 数値による評価ではなく, 記述式とすること 個々の内容項目ごとではなく, 大くくりなまとまりを踏まえた評価とすること 他の児童生徒との比較による評価ではなく, 児童生徒がいかに成長したかを積極的に受け止めて認め, 励ます個人内評価として行うこと 学習活動において児童生徒がより多面的 多角的な見方へと発展しているか, 道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているかといった点を重視すること 発達障害等のある児童生徒が抱える学習上の困難さの状況等を踏まえた指導及び評価上の配慮を行うこと 調査書に記載せず, 入学者選抜の合否判定に活用することのないようにすること 4 高等学校における道徳教育 高等学校における道徳教育は, 人間としての在り方生き方に関する教育であり, 公民 科やホームルーム活動を中心に各教科 科目等の特質に応じ学校の教育活動全体を通じ て, 生徒が人間としての在り方生き方を主体的に探求し豊かな自己形成ができるよう, 適切な指導を行わなければならない 各学校においては, 高等学校における道徳教育推 進のポイント を踏まえ, 学校の実態や生徒の発達の段階などにふさわしい教育活動を 行えるよう, 校内研修の充実が求められる 特に全教員による一貫性のある道徳教育を推進するために, 生徒の実態等を踏まえた 育てたい生徒像 から, 道徳教育の重点目標や各学年の指導目標を明確にし, 各学校の特色が生かされるよう全体計画の具体化や評価 改善を図る必要がある < 高等学校における道徳教育推進のポイント例 > 教員間での道徳教育に係る共通理解を図る 計画的 継続的な指導を行うための組織づくりを行う 推進上, 基軸となる機会と場を設定する 固有の指導内容 指導方法, 教材を開発する 小 中学校の道徳教育を基礎として 自己の生き方を社会との関わりで探求させる 各学校の特色を生かして重点的な道徳教育を展開する 学校の特色を生かした道徳教育の推進 ( 例 ) 千代田高等学校の取組 千代田高等学校では, 地域実態 ( 過疎に悩む中山間地域 ) や生徒実態を踏まえ, 学校の特色 ( 近隣の小中学校との校種間連携教育による ふるさと学習 や, 生徒会を中心とした地域貢献型ボランティア活動の実施等 ) を生かし, 本校に引き継がれてきた歴史と伝統を継承し, 夢を育み, 志を実現することで, 地域から信頼される学校 を目指し, 教員が一体となった道徳教育を展開している 地域理解を深め郷土愛を育成する道徳教育の推進 主な取組内容 1 共通理解を図るための校内研修の実施 3 自主教材を用いた研究授業の実施 プランター苗の植付 配付 郷土愛感謝役割と責任思いやり 伝統芸能継承 花田植をモチーフにした集団演技 < 本校の道徳教育で大切にしていること > 参考 HP: 文部科学省 特別の教科道徳 の指導方法 評価等について ( 報告 ) 2 育成する道徳性を明確にした活動の実施 4 取組を振り返るホームルーム活動の位置付け 郷土愛愛校心役割と責任 千代田ブロック一斉清掃ボランティア 郷土愛愛校心信頼 友情 1 計画段階において, その活動で育成できる 道徳性 を明確にし, 教員はねらいを持って指導する 2 活動時には, 生徒にもねらいを周知し, 主体的に考え, 行動させる 3 活動後, 生徒には必ず個人やグループで振り返りをさせ, 教員もねらいの達成についての評価を行う