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Transcription:

EMC CLARiX 非対称アクティブ / アクティブ機能 (ALUA) 詳細レビュー US ホワイトペーパー翻訳版 要約 このホワイト ペーパーでは EMC CLARiX の非対称アクティブ / アクティブ機能について概説します EMC PowerPath の構成 ベスト プラクティス 実装の詳細 ホスト イニシエータを非対称アクティブ / アクティブ モードに構成した場合のネイティブのマルチパス ソフトウェアについて扱います 2008 年 3 月

Copyright 2007, 2008 EMC Corporation. 不許複製 EMC Corporation は この資料に記載される情報が 発効日時点で正確であるとみなします 情報は予告なく変更されることがあります この資料に記載されている情報は 現状有姿 の条件で提供されます EMC Corporation は この資料に記載される情報に関する どのような内容についても表明保証条項を設けず 特に 商品性や特定の目的に対する適応性に対する黙示の保証はいたしません この資料に記載される いかなる EMC ソフトウェアの使用 複製 頒布も 当該ソフトウェア ライセンスが必要です 最新の EMC 製品名については EMC.com で EMC Corporation の商標を参照してください 他のすべての名称ならびに製品についての商標は それぞれの所有者の商標または登録商標です パーツ番号 H2890.2-J 詳細レビュー 2

目次 エグゼクティブ サマリー...4 はじめに...4 対象読者... 4 用語... 4 非対称アクティブ / アクティブ機能の概要...5 構成... 5 実装...6 レイヤー構造のドライバの影響... 7 明示的トレスパスと暗黙的トレスパス... 7 ALUA の構成...7 ホストの構成... 8 PowerPath と ALUA の組み合わせ... 8 ネイティブ フェイルオーバーと ALUA の組み合わせ... 9 CLARiX の構成... 10 アクティブ / アクティブ構成用の CLI コマンド... 11 CLARiX のフェイルオーバー モード... 11 CLARiX からの AULA 状態の取得... 11 ストレージ システムのサポート... 13 パフォーマンスに関する考慮事項... 13 ベスト プラクティス... 14 非対称アクティブ / アクティブ機能の影響...14 CLARiX 非対称アクティブ / アクティブのメリット... 14 ユーザー操作の向上... 14 標準の SCSI マルチパス インターフェイスのサポート... 16 リダイレクタの影響... 16 バックエンド障害のマスキング... 16 フェイルオーバー方法の比較...17 明示的および暗黙的フェイルオーバー ソフトウェア... 18 PowerPath... 18 ネイティブのフェイルオーバー ソフトウェア (MPIO など )... 19 NDU( 無停止アップグレード )... 20 手動トレスパス... 20 パス HBA スイッチの障害... 21 SP 障害... 21 結論...21 関連資料...22 詳細レビュー 3

エグゼクティブ サマリー FLARE リリース 26 で EMC は CLARiX ストレージ システムに対する非対称アクティブ / アクティブ機能を導入しました 非対称アクティブ / アクティブにより CLARiX ストレージ システムからホストに LUN( 論理ストレージ ユニット ) を提示する新しい手段が提供され ホストは LUN オーナーシップ モデルを使用する必要性がなくなります これにより どちらか片方 または両方のストレージ プロセッサに I/O を流すことができるため ホストがアレイ上の LUN への複数の通信パスを管理する方法 ( 一般的にパス管理と呼ばれる ) が変わります このホワイト ペーパーでは この機能のメリットと実装について説明します はじめに このホワイトペーパーでは CLARiX の非対称アクティブ / アクティブ機能の技術的な概要を紹介し PowerPath およびネイティブ MPIO(Multi-Pathed Input/Output) ソフトウェアとこの機能との連携について説明します リリース 26 よりも前は すべての CLARiX ストレージ システムは 1 つの SP が LUN を所有し その LUN へのすべての I/O がその SP に送信されるという標準のアクティブ / パッシブ機能を使用していました ホストから SP へのすべてのパスに障害が発生すると ホスト ベースのパス管理ソフトウェアがトレスパス コマンドを発行することによって I/O パスを調整します これにより ストレージ システムが LUN のオーナー権をピア SP に変更し I/O はピア SP に送信されます CLARiX 非対称アクティブ / アクティブは 新しいイニシエータ Failover Mode(Failover Mode 4) を導入した機能です Failover Mode 4 として構成されたイニシエータは どの SP が LUN を所有しているかに関係なく I/O を LUN に送信できます この機能ではトレスパスに似たコマンドを使用できますが 明示的なトレスパス動作は要求されません このホワイト ペーパーは ホワイト ペーパー EMC CLARiX Asymmetric Active/Active Feature に代わるものです 対象読者 このホワイト ペーパーは CLARiX 非対称アクティブ / アクティブ機能の実装 メリット 構成について およびそれぞれのストレージ環境で考えられるインパクトについて理解を深めようとするお客様 パートナー EMC のフィールド担当者を対象にしています 用語 ALUA:Asymmetric Logic Unit Access CLARiX LUN:CLARiX ストレージ システム内にある RAID グループの論理再分割 これらのボリュームがホストに提示されます CMI(CLARiX Messaging Interface):2 つの SP 間で通信を行うための冗長 PCI Express 接続 フェイルオーバー モード : オーナーでない SP で LUN に向けられた I/O リクエストに対してアレイがどのように応答するかを決定します 非最適パス :I/O の準備ができているが 最高のパフォーマンスが得られない可能性のあるパス 最適パス :I/O の準備ができており 最高のパフォーマンスが得られる見込みのパス 詳細レビュー 4

優先ビット : その SP が LUN のデフォルトのオーナーであることを示すビット SP( ストレージ プロセッサ ):CLARiX のコントローラ ターゲット ポート グループ : プライマリ SP ポートまたはセカンダリ SP ポート内のターゲット ポートのセット トレスパス :SP またはそのピアが LUN のオーナー権を取得できるようになるコマンド 非対称アクティブ / アクティブ機能の概要 CLARiX 非対称アクティブ / アクティブは ALUA(Asymmetric Logical Unit Access) 規格を基礎にしています ALUA では 標準 SCSI SPC-3 仕様の一部 (CLARiX 固有の実装ではなく ) である SCSI 3 の主要コマンドを使用して I/O パスを決定します CLARiX などのデュアル SP システムでは I/O はどちらの SP を通ることもできます たとえば ある LUN 向けの I/O が その LUN をオーナーでない SP に送信された場合 その SP は LUN のオーナー SP に その I/O をリダイレクトします このリダイレクトは ストレージ システム内の通信を使用して行われます これはホストからは透過的であり ホストには I/O が別の SP によって処理されたことが分かりません したがって 非オーナー ( または非最適 )SP に I/O が送信された場合もトレスパスは不要です 構成 ALUA をサポートするデュアル SP ストレージ システムでは 各 LUN に対してターゲット ポート グループのセットが定義されます 現在の LUN のオーナー SP に対して 1 つ オーナーでない SP に対してもう一方のターゲット ポート グループが定義されます ホスト フェイルオーバー ソフトウェアでは 標準の ALUA コマンドを使用することにより LUN のパスの状態を知ることができます REPORT TARGET PORT GROUP コマンドを実行すると 次の 3 つの属性がレポートされます Preferred( 優先 ): このポート グループがデフォルト ( 優先 ) のポート グループであるかどうかを示します Asymmetric access state( 非対称アクセス状態 ): ポート グループの状態を示します ポート グループの状態には Active/Optimal Active/Non-optimal Standby Unavailable があり これらについては後で説明します Attribute( 属性 ): 現在の非対称アクセス状態がコマンドによって明示的に設定されたものか ストレージ システムによって暗黙的に設定または変更されたものかを示します SET TARGET PORT GROUP を使用すると 各ポート グループのアクセス状態 (Active/Optimal Active/Non-optimal Standby Unavailable) を設定または変更できます アクセス状態の定義は 次のとおりです Active/Optimal: 最高のパフォーマンスが得られるパスであり I/O を完了するために上位レベルでのリダイレクトは不要 Active/Non-optimal:I/O を完了するために上位レベルでのリダイレクトが必要 Standby: サポートされていない状態 詳細レビュー 5

Unavailable: ダウンしている SP のポート グループについて返される状態 SET TARGET PORT GROUP によって設定することは不可 ターゲット ポート グループのコマンドは ストレージ システムの ALUA レイヤーに実装されます ただし これは実際には コマンドの実行とパスの管理を行うホスト ベースのパス管理ソフトウェアです これは 従来のパス管理機構と同様です ただし 今まではベンダー固有だった機構が ALUA では標準化されています 実装 FLARE 26 には CLARiX の可用性を向上させる新しいリダイレクタ ドライバが含まれています このドライバは 各 SP の上位および下位のリダイレクタから構成されています 上位リダイレクタは ホスト接続の近くに位置し 下位リダイレクタは CLARiX バックエンドの近くに位置しています NQM(Navisphere Quality of Service Manager) SnapView などのレイヤー構造のドライバは 図 1 に示すように 上位リダイレクタと下位リダイレクタの間に位置します Host Optimal Path Non - Optimal Path SP A SP B CMI Link Upper-redirector Upper-redirector Layer drivers Layer drivers Lower-redirector FLARE Lower-redirector FLARE LUN 図 1:CLARiX 非対称アクティブ / アクティブ機能 CLARiX の非対称アクティブ / アクティブ機能は 最適と非最適の 2 種類のターゲット ポート グループをサポートします 最適ターゲット ポート グループは LUN の現在のオーナーに属するポートを表します 非最適ポート グループは LUN の現在のオーナーでない SP が所有するポートを表します これは リダイレクタ ドライバで実装されます I/O は すべてのポートで受け入れられます フロントエンド パスに障害が発生すると LUN をオーナーでない SP によって I/O が受信される可能性があります LUN をオーナーでない SP の 詳細レビュー 6

上位リダイレクタは オーナー SP に 内部 CMI チャネルを通じて I/O をルーティングします I/O リクエストは LUN のオーナー SP によって処理されます SP によって受信された I/O は 受信時と同じパスを通じて その SP によって受領証明を返す必要があることに注意してください 1 つの SP 上のポート間におけるロード バランシングは PowerPath マルチパス ソフトウェアでのロード バランシングと同様に機能します 最適パスと非最適パスの間のロード バランシングは 推奨されません レイヤー構造のドライバの影響 レイヤー構造のドライバ (MetaLUN LUN Migration SnapView MirrorView SAN Copy ) の動作が非対称アクティブ / アクティブによって変更されることはありません たとえば LUN が LUN Migration でトレスパスされた場合 ターゲット LUN は今までと同様にトレスパスされ チェックポイントから同期が継続されます SnapView では ソースとレプリカ ( スナップまたは同期中のクローン ) は常に同じ SP によって所有されます したがって ソースまたは SnapView レプリカがトレスパスすると そのソースまたは SnapView レプリカは今までと同様 それぞれレプリカまたはソースに追従します ただし ホストに展開されているフェイルオーバー ソフトウェアによっては ALUA モードではソースまたは SnapView レプリカをトレスパスする可能性が低下します 詳細については SnapView およびクラスタの構成で発生する可能性がある LUN のオーナー権が衝突する状況を回避 セクションを参照してください MirrorView/S では プライマリ LUN がトレスパスされた場合 セカンダリ LUN は直ちにトレスパスします MirrorView/A では MirrorView のプライマリ LUN がトレスパスされた場合 セカンダリ MirrorView LUN は更新中または更新の開始時にトレスパスします ローカルおよびリモートの SAN Copy セッションでは SAN Copy イニシエータが ALUA モードを使用しないため ソースまたはターゲット LUN がトレスパスした場合 そのセッションはピア SP 上で再開する必要があります そのため MirrorView と SAN Copy は以前と同様に動作します 明示的トレスパスと暗黙的トレスパス 明示的トレスパスは ユーザーまたはフェイルオーバー ソフトウェアからの外部コマンドの結果として発生します SP がこのコマンドを ( フェイルオーバー ソフトウェアから または Navisphere で LUN トレスパスコマンドを発行したユーザーから ) 受信すると LUN のオーナー権がその SP に転送されます これらのトレスパスは PowerPath パス管理ソフトウェアによって (CLARiX 独自のコマンドを使用して ) または他の ALUA 互換パス管理ソフトウェアによって (SET TARGET PORT GROUP コマンドを使用して ) 発行することができます 暗黙的トレスパスは ストレージ システム内のソフトウェア制御の結果として発生します たとえば 非最適パスを経由して転送される I/O の量が最適パスの I/O を一定の量 ( しきい値 ) 上回ったときに 暗黙的トレスパスが発生します ソフトウェアはカウンタを使用して 最適パスの I/O と非最適パスの I/O を追跡しています 非最適パスを通る I/O が最適パスを通る I/O を 128,000 件多くなった時点で ソフトウェアはトレスパスを開始します ALUA の構成 ホスト用のフェイルオーバー ソフトウェアには 2 つの選択肢があります PowerPath と ALUA 互換である OS のネイティブ フェイルオーバー ソフトウェア (MPIO など ) です この後のセクションでは この 2 つの選択肢の両方について説明します 詳細レビュー 7

アプリケーション データの高可用性を実現するには ホスト バス アダプタ (HBA) ファイバ ケーブル フェイルオーバー ソフトウェアなどの単一点障害に耐えられるようにホストを構成する必要があります CLARiX がサポートしているアタッチ方式の概要は Powerlink にある EMC CLARiX Open Systems Configuration Guide で説明されています ホストの構成 多くのホスト ( 表 1 を参照 ) が ネイティブのフェイルオーバー ソフトウェアを使用することにより CLARiX で ALUA モードの利点を活かすことができます 2008 年に出荷される FLARE のリリースでは 記されているとおり 追加の構成がサポートされる予定です 最適な高可用性 ( データ可用性とサーバ稼働時間の最大化も含む ) のためには 構成のすべてのポイントに対する冗長性が不可欠です つまり 各サーバは少なくとも 2 つの HBA(iSCSI 環境では NIC) を持ち 両方の SP に接続されている必要があります 2 つのスイッチにより サーバからストレージへの独立した別個のパスが確保されます 3 つ以上のスイッチを使用する場合は ファブリック フェイルオーバーを行うために スイッチ間リンクを経由して冗長のスイッチを接続する必要があります 各 HBA は 1 つの SP ポートを見るように ( 直接接続の場合 ) 構成することも 両方の SP ポートを見るように構成することもできます これにより HBA ケーブル スイッチ または SP が失われた際に構成を保護することができ パス管理ソフトウェアのフェイルオーバー機能およびロード バランシング機能を活用することができます サーバから LUN に対して複数のパスをアクティブにすることで パス管理ソフトウェアのロード バランシング アルゴリズムを使用してパスの縛り ( または単一のポートに限定されること ) を避けることができます PowerPath と ALUA の組み合わせ PowerPath バージョン 5.1 は AULA に準拠した最初のリリースです バージョンが 5.1 以降であることを確認し Powerlink の E-Lab Navigator を使用して各ホストでの考慮事項について調べてください PowerPath は 最適パス上でロード バランシングを行います すべての最適パスに障害が発生していることを PowerPath が検知すると PowerPath は LUN のオーナー権を変更するトレスパスを開始します 表 1:PowerPath とネイティブ MPIO ソフトウェアの組み合わせ 詳細レビュー 8

Native with Active/Passive Native with ALUA PowerPath with Active/Passive PowerPath with ALUA Longhorn No See Note 1 See Note 1 See Note 1 W2K3 No No Yes Yes Win2K No No Yes Yes HP-UX 11i v1 & v2 Yes No Yes Yes HP-UX 11i v3 No Yes (11.31.0709) Yes Yes Solaris 9/10 Yes Yes 1 Yes Yes 1 Linux (RH & SuSE) Yes Yes (SLES 10.1 SLES 9 SP4 RH 5.1, 4.6) Yes Yes AIX No No Yes No VMWare Yes No No No 1 - ALUA モードは SunCluster では今回サポートされません 注 1:2008 年半ばに FLARE リリース 24 および 26 へのアップグレードとして利用可能になります 列の定義 Native with Active/Passive: その OS( オペレーティング システム ) だけを使用した場合に 標準のアクティブ / パッシブ フェイルオーバー (ALUA でない ) が提供されるかどうか この場合は 代替パスを有効化するためのトレスパス コマンドを OS が発行します Native with ALUA: その OS だけを使用した場合に (PowerPath を使用しなくても )ALUA 機能が提供されるかどうか PowerPath with Active/Passive: その OS で PowerPath によって標準のアクティブ / パッシブ フェイルオーバー (ALUA でない ) が提供されるかどうか この場合は 代替パスを有効化するためのトレスパス コマンドを PowerPath が発行します PowerPath with ALUA:ALUA の機能が 指定された PowerPath のリリースとその OS を組み合わせて使用することによって提供されるかどうか ネイティブ フェイルオーバーと ALUA の組み合わせ MPIO および他のネイティブなホスト ベースのフェイルオーバー アプリケーションは ALUA に準拠していれば ALUA と組み合わせて使用できます 次の点に注意してください HPUX 11i v3.1 では ALUA と組み合わせてネイティブ フェイルオーバーをサポートするにはパッチ 11.31.0709 が必要 Solaris 9 では MPIO には StorEdge SAN Foundation Software 4.4.12 が必要 Solaris 10 では AULA と組み合わせてフェイルオーバーをサポートするには update 3 が必要 ホストに関する最新の考慮事項について Powerlink の E-Lab Navigator を必ず参照してください 表 1 に 各種のオペレーティング システムにおけるネイティブのフェイルオーバー ソフトウェアのサポートについて一覧を示します ネイティブのフェイルオーバー ソフトウェアは 自動リストア ロード バランシング SAN 起動などの機能をサポートしていないことがありま 詳細レビュー 9

す これらの機能をサポートしているソフトウェアについては EMC Support Matrix を参照してください CLARiX の構成 非対称アクティブ / アクティブを構成するには ホスト イニシエータを Failover Mode 4 に構成する必要があります Failover Mode を 4 に設定するには Navisphere Manager または CLI を使用します (Failover Mode の詳細については CLARiX のフェイルオーバー モード セクションを参照 ) 図 2 に示したように [Failover Mode] プルダウン メニュー ([Group Edit Initiators] ダイアログ ボックス内 ) にはオプションとして [4] があります Failover モードは initiator のオプションなので (storage group のオプションではなく ) ALUA ホストと非 ALUA ホスト (Failover Mode 4 で構成されていないホスト ) の両方を同じ LUN にアタッチできます 図 2: 非対称アクティブ / アクティブ用の新しい Failover Mode が表示された Navisphere の [Group Edit Initiators] ダイアログ ボックス 詳細レビュー 10

アクティブ / アクティブ構成用の CLI コマンド ホストでフェイルオーバー モードを 4( 非対称アクティブ / アクティブ ) に設定するコマンド naviseccli h <SP_IP_Address> user a password a scope 0 storagegroup sethost ip < IP Address> failovermode 4 HBAUID に対してフェイルオーバー モードを 4( アクティブ / アクティブ ) に設定するコマンド naviseccli h <SP_IP_Address> user a password a scope 0 storagegroup setpath hbauid xxxxx sp a spport xxxxx failovermode 4 デフォルトのフェイルオーバー モードの値を表示するコマンド naviseccli h <SP IP Address> user a password a scope 0 port list failovermode 注意 : デバイスを ALUA 用 (Failover Mode 4) に構成した後 ホストの再起動が必要です CLARiX のフェイルオーバー モード CLARiX LUN のトレスパスは ストレージ システムによって またはサーバ上のパス管理ソフトウェアによって開始されます イニシエータの Failover Mode により CLARiX がトレスパス条件に対してどのように反応するかが決まります CLARiX は アタッチされるオペレーティング システムに応じて 5 種類の Failover Mode をサポートしています Failover Mode=0 自動トレスパス モード オーナーでない SP に対するすべてのメディアのアクセスを拒否 Failover Mode=1 Passive Not Ready オーナーでない SP に I/O が送信されるとコマンドが失敗 Failover Mode=2 (DMP モード ) オーナーでない SP への I/O に対して Quiet Trespass を実行 Failover Mode=3 Passive Always Ready 一部のコマンド(Test Unit Ready) は Passive Always Ready を返す Failover Mode=4 非対称アクティブ/ アクティブ CLARiX からの AULA 状態の取得 Navisphere CLI の getlun コマンドを使用すると 非対称アクティブ / アクティブ ホストに接続されている LUN に関する追加情報が表示されます 次に このコマンドの実行結果の一部を示します # naviseccli h [SPipaddress] getlun 0 Read Requests SPA: 236 Read Requests SPB: 1480 Write Requests SPA: 426 Write Requests SPB: 627 LUN Busy Ticks SPA: 273 LUN Busy Ticks SPB: 297 LUN Idle Ticks SPA: 0 詳細レビュー 11

LUN Idle Ticks SPB: 0 Number of arrivals with non-zero queue SPA: 398 Number of arrivals with non-zero queue SPB: 398 Sum queue lengths by arrivals SPA: 398 Sum queue lengths by arrivals SPB: 398 Explicit Trespasses: 5800 Explicit Trespasses SPA: 2346 Explicit Trespasses SPB: 3454 Implicit Trespasses: 320 Implicit Trespasses SPA: 214 Implicit Trespasses SPB: 106 このコマンドの出力の意味は Failover Mode 4 でも変わりませんが LUN から SPA と SPB の両方に関する統計がレポートされます また 明示的トレスパスと暗黙的トレスパスが表示されます [LUN Properties] ダイアログ ボックス ( 図 3) は Failover Mode 4 でイニシエータに接続されている LUN に関する統計を表示できるように拡張されています これらの統計は ストレージ システムで [Statistics Logging] が有効になっている場合に利用可能です この統計には 最適パスおよび非最適パスを経由してルーティングされた読み取りおよび書き込みの数が含まれます Redirector Reassignment 値は [Statistics Logging] が有効にされてからの非対称アクティブ / アクティブによる暗黙的トレスパスの数を記録します 詳細レビュー 12

図 3:[LUN Properties] ダイアログ ボックスの統計 ストレージ システムのサポート FLARE リリース 26 が実行されている CX3 および CX(700/500/300) ストレージ システムは ALUA 準拠です ALUA の機能は ファイバ チャネルと iscsi のどちらでアタッチされているホストであっても Failover Mode 4 で接続され ファイバ チャネルと iscsi の少なくともどちらかをサポートする ALUA 対応のフェイルオーバー ソフトウェアがインストールされていれば使用できます AX システムは ALUA をサポートしていません パフォーマンスに関する考慮事項 オーナーでない SP に I/O が ( 非最適パスを経由して ) ルーティングされると パフォーマンスにある程度の影響があります 非最適パスの方が低速であるため これはストレージへの通常のアクセス方法としては望ましくありません アレイに関する新しい統計が使用可能になり I/O が最適パスと非最適パスのどちらを通っているかの判断に役立てることができます 非最適パスを I/O が通る場合のパフォーマンスへの影響について詳細は ホワイト ペーパー EMC CLARiX Best Practices for Fibre Channel Storage を参照してください 詳細レビュー 13

ベスト プラクティス 2 つの SP の間で LUN のオーナー権のバランスを取る I/O が LUN のオーナーでない SP にルーティングされる際のパフォーマンスへの影響を避けるために 目的の LUN へのアクティブな最適パスのみを使用してロード バランシングを行うようにフェイルオーバー ソフトウェアを構成することを推奨 PowerPath は デフォルトでこれを実行 SAN の変更 ( コンポーネントの障害 交換 ) 後 その変更が I/O パスの変更につながる可能性のある場合は ホストが引き続き LUN への最適パスを使用しているかどうかを確認する NDU 操作の後は すべての LUN がデフォルトのオーナーに戻っていることを確認する PowerPath は 自動的にこれを実行 障害またはパフォーマンスの問題が発生したときに I/O が最適パスを通るようにルーティングされることを確認する 非対称アクティブ / アクティブ機能の影響 非対称アクティブ / アクティブは ストレージ システムの LUN のオーナー権 (LUN を所有するのは 1 つのコントローラのみ ) を与える リクエスト転送の実装です ただし これによって I/O はどちらのコントローラを通るルーティングも可能になります LUN の現在のオーナーでないコントローラは ストレージ システム内の内部通信パスを使用して LUN を所有しているコントローラに I/O をリダイレクトします SP に障害が発生した場合は オーナーでない SP に I/O をリダイレクトするリダイレクタ ドライバがアクセス不可能になるため ALUA によるメリットはありません したがって SP に障害が発生すると ALUA は PNR(Failover Mode 2) モードで動作します CLARiX 非対称アクティブ / アクティブのメリット ユーザー操作の向上 CLARiX Asymmetric Active/Active は 次の機能を持っています パスに障害が発生した際に SAN から起動できなくなることを回避 BIOS が非最適パスからの起動を試みたときに フェイルオーバー ソフトウェアが使用できない ( システムが起動中であるため ) 問題が ALUA によって回避されます 今までは 起動サーバが SP に到達できない場合 ( オペレーティング システムが起動する前に その SP へのすべてのパスに障害が発生したなど ) サーバを正常に起動するには ユーザーが手動で LUN をもう一方の SP にトレスパスする必要がありました リクエスト転送方式では ユーザーは明示的に LUN をもう一方の SP にトレスパスする必要がありません HBA 起動 BIOS が障害を逃れた SP に I/O を発行できるように構成されている場合 I/O は上位リダイレクタを経由してオーナーである SP にルーティングされ オペレーティング システムは正常に起動します 詳細については HBA 起動 BIOS の構成方法を説明している E-Lab Navigator のホスト接続ガイドを Powerlink で参照してください 詳細レビュー 14

ホストの構成ミスによってデータが使用できない状況を減らすアプリケーションが I/O を非最適パスに (LUN をオーナーでない SP に ) 送信するように 誤ってホストを構成してしまうことがあります その場合 ホストにインストールされているフェイルオーバー ソフトウェアによっては CLARiX ストレージ システムは I/O エラー コンディションを返しません 代わりに リクエスト転送機能により LUN のオーナー SP に I/O がルーティングされます さらに CLARiX はストレージのアクセスに変更があったことを検知すると 自動的に LUN への最適パス設定を調整します ( この 暗黙的トレスパス は 明示的トレスパスと暗黙的トレスパス セクションで説明されています ) この自動調整は 構成ミスの可能性が高くなる大規模な環境や LUN のアクセスが時間の経過とともに変化する可能性がある環境で 極めて大きなメリットがあります SnapView およびクラスタの構成で発生する可能性がある LUN のオーナー権の移行が頻発する状況を回避アクティブ / アクティブ クラスタ構成では LUN が複数のホストによって共有されて書き込まれる場合 1SP に 1 パスのホスト構成における 2 つの SP 間での LUN のトレスパスが ALUA によって回避されます SnapView では クローンまたはスナップショットのオーナー SP は ソース LUN のオーナー SP と同じでなければならないため 本番サーバがソース LUN に書き込み スナップショット / クローンがバックアップ サーバによってマウントされて書き込まれる場合 本番ホストとバックアップ ホストの両方が 1SP に 1 パスの構成にすると ( 各サーバが互いに別の SP へのパスを 1 本持つが そのピアには持たない ) 非 ALUA モードのサーバではパスの切り替えが頻発する可能性があります クラスタと SnapView の両方の構成で ALUA 規格を導入することで LUN は 2 つの SP の間でトレスパスを繰り返すことがなくなり ALUA モードのホストによってその LUN への最大の I/O リクエストを受信した SP によって所有されます 詳細レビュー 15

Optimal Path Host SP A Host Non - Optimal Path SP B CMI Link Upper-redirector Upper-redirector Layer drivers Layer drivers Lower-redirector Lower-redirector FLARE FLARE LUN 図 4:SnapView を使用した ALUA とクラスタ構成の影響 標準の SCSI マルチパス インターフェイスのサポート ALUA では OS ベンダーのネイティブなマルチパスなどのフェイルオーバー ソフトウェアの実装が標準化されます CLARiX は SCSI 標準の ALUA を実装しているため ホストのフェイルオーバー ソフトウェアは CLARiX 固有のトレスパス コマンドと競合することがありません リダイレクタの影響 フロントエンドのパスに対する利点に加えて 新しい FLARE リリース 26 リダイレクタでは フロントだけでなく バックエンド にもリダイレクト サービスを提供することにより すべてのアタッチ ( 従来の PNR および ALUA ベース ) のタイプに関してメリットがあります バックエンド障害のマスキング LUN の現在のオーナーである SP にバックエンド障害 (LCC 障害など ) が発生した場合 ALUA のリクエスト転送機能を使用することにより I/O は下位リダイレクタを経由して 安定したバックエンドを持つピア SP にルーティングされます 図 5 に示すように I/O の確認は下位リダイレクタを使用することにより LUN のオーナー SP を通じて送信されます ホストでフェイルオーバー ソフトウェアの介入は不要なので 特定の CLARiX バックエンド障害は隠れます 次の例では LUN は FLARE により バックエンドで LUN にアクセス可能な SP にトレスパスされます ホストは引き続き ピア SP を通じてその LUN に I/O を送信します バックエンド エ 詳細レビュー 16

ラーが修正されると LUN は以前の SP に戻るようにトレスパスされ その LUN への I/O がピア SP にリダイレクトされることはなくなります その結果 トレスパス動作が行われてもホスト上で I/O の遅れはほとんど発生しません これは SnapView MirrorView SAN Copy などの CLARiX レイヤード アプリケーションがリダイレクトが行われているかどうかを知る必要がないというメリットがあります バックエンド障害のマスキング機能は すべての Failover Mode タイプで提供されます Optimal Path Host SP A SP B Upper-redirector Upper-redirector Layer drivers Layer drivers CMI Link Lower-redirector Lower-redirector FLARE FLARE LUN Non Optimal Path 図 5: フェイルオーバー ソフトウェアを使用しないバックエンド障害マスキング フェイルオーバー方法の比較 パス管理ソフトウェアは ストレージ システムとのやり取りによってデータ デバイスとの複数のパスを自動化および管理する 通常はサーバ ベースのアプリケーションです パス管理ソフトウェアのいくつかのオプションは CLARiX ストレージ システムによってサポートされています CLARiX のフェイルオーバー モード セクションで説明しているように CLARiX は各種のパス管理ソフトウェアと組み合わせて 数種類の Failover Mode で実行するように構成できます EMC PowerPath は パス管理を行うホスト ベースのソフトウェアです PowerPath は いくつかのオペレーティング システム上で いくつかのストレージ システムに対して ファイバ 詳細レビュー 17

チャネルおよび iscsi データ チャネルの両方で動作します PowerPath の実装の詳細および各種の機能と それぞれのネイティブ フェイルオーバー ソフトウェア (MPIO) について この次に説明します 明示的および暗黙的フェイルオーバー ソフトウェア 明示的および暗黙的フェイルオーバー ソフトウェアは すでに説明した明示的および暗黙的フェイルオーバー トレスパス コマンドと区別する必要があります 明示的な ALUA コマンドをサポートするフェイルオーバー ソフトウェアは 最適パスと非最適パスを REPORT TARGET PORT GROUPS コマンドを使用して監視し SET TARGET PORT GROUPS コマンドを使用してその間の調整を行います SET TARGET PORT GROUPS コマンドがコントローラから発行されると 他のコントローラに LUN がトレスパスされます PowerPath は 実質的に明示的なトレスパスと同じ効果を持っていますが 従来の CLARiX 固有のコマンドを使用してトレスパスを開始します Longhorn(Windows Server 2008) の MPIO では 明示的な ALUA コマンドがサポートされます ホストのマルチパス ソフトウェアは 暗黙的な ALUA 機能をサポートすることができます ホストは ストレージ システムからは分からない何らかの理由で トラフィックを非最適パスにトレスパスすることがあります その場合 ストレージ システムは 非最適パス上に一定の I/O を検出した時点で暗黙的にトレスパスする必要があります 最適パスの情報を取得するために フェイルオーバー ソフトウェアは REPORT TARGET PORT GROUP コマンドを使用します フェイルオーバー ソフトウェアには 自動リストア機能はありません 自動リストア機能がないと NDU の後ですべての LUN が同じ SP に所属する可能性があります 初期にサポートされていた HPUX 11iv3 はこの方式で動作していました 現在ではパッチによってこの動作は起きなくなっており 現場でこの状況が発生することは考えられません クラスタ ソフトウェアも この機能を使う可能性があります PowerPath PowerPath をストレージ システムとともに使用することで I/O パスを機能的に管理できます 通常の状態では PowerPath は最適パス ( オーナーであるサポートへのパス ) 上の LUN に対してのみ I/O を発行します 最適パスに障害が発生すると PowerPath はトレスパス コマンドを発行して LUN のオーナー権をもう一方の SP に変更し 非最適パスを最適パスに定義し直します PowerPath のユニークな機能として ベンダー固有のクエリーをピア SP に対して使用して パスの障害が SP の障害によるものかどうかを判断することができます その場合 PowerPath はパスごとのチェックを行わず 直ちにトレスパスを発行します これは MPIO よりも PowerPath が優れている重要な点です PowerPath は 最適パス内でのみロード バランシングを行うため 明示的なフェイルオーバー ソフトウェアです すべての最適パスに障害が発生すると PowerPath はトレスパスを発行して非最適パスを最適にし それらの中でロード バランシングを行います また PowerPath は ALUA をサポートしているネイティブのフェイルオーバー ソフトウェアがないオペレーティング システムに対して 非対称アクティブ / アクティブ機能をサポートしています たとえば Windows 2003 のホストは ALUA をサポートしている PowerPath バージョン 5.1 で ALUA モードに構成できます PowerPath は 次の機能をサポートします 詳細レビュー 18

パフォーマンスの低下につながる可能性がある 最適パスと非最適パスを使用した I/O のロード バランシングは行わず 最適パスだけを使用してすべての I/O のロード バランシングを行う ロード バランシングのさまざまなポリシーをサポート NDU ケーブル またはスイッチの障害の後で SP が正常な状態に戻ったときに LUN をデフォルトの SP にリストアする自動リストア機能 これによって SP 間でのバランスが平準化し パフォーマンスが安定 デバイスの優先順位付けおよびプロアクティブなパス テストをサポート バージョン 5.1 以降では 複数のアレイにアタッチされた同じホストで ALUA と非 ALUA の両方のモードの LUN をサポート ALUA 固有の I/O リトライ最適化により SP 障害発生時および NDU( 無停止アップグレード ) 時のフェイルオーバー時間を短縮 各 LUN ごとに モード (ALUA または非 ALUA) を CLARiX 適合名とともに PowerPath ディスプレイに表示 SAN からの起動をサポート PowerPath のライセンス ( 全機能 ) は AX シリーズ向けの PowerPath パッケージに組み込まれています CX300 および CX3-10 モデルでは PowerPath のライセンス ( 全機能 ) はストレージ システムにバンドルされています PowerPath SE は CLARiX の CX3-20 以上のモデルに無料でバンドルされています PowerPath SE は 単一の HBA サポート および限定的なロード バランシング オプションを備えています CX3-20 以上のモデルで PowerPath の全機能を使用するためには 完全版の PowerPath ソフトウェアを購入することができます PowerPath の完全版には 柔軟性の高いアタッチ オプション ( 複数の HBA) およびロード バランシング ポリシーや すでに説明したユニークな機能が含まれます ネイティブのフェイルオーバー ソフトウェア (MPIO など ) 多くの人にとって ネイティブのフェイルオーバー ソフトウェアは MPIO を意味します MPIO は マルチパス LUN を扱うホスト側インターフェイスの名称として一般的に使用されています しかし 違うベンダーのオペレーティング システムにおける MPIO の実装は API が同一ではありません 一部のオペレーティング システムでは ストレージのベンダーが MPIO フレームワークを実装する際 ライブラリを提供する必要があります 一方 Solaris MPIO など一部のオペレーティング システムにはライブラリが含まれています MPIO フレームワークは 複数モードにすることができます 一部のベンダーは アクティブ / アクティブ アクティブ / パッシブ ALUA をサポートしています HP-UX 11iv3 および MS Windows Server 2008(Longhorn) では ALUA またはアクティブ / アクティブのサポートは制限されます CLARiX は 表 1 に示すように 各種のネイティブ MPIO ソフトウェアをサポートしています ネイティブのフェイルオーバー ソフトウェア (ALUA その他の非 ALUA) は PowerPath が提供する機能の一部を提供していないことがあります ネイティブのフェイルオーバー ソフトウェアを本格的に使用する前に これらの点に注意する必要があります フェイルオーバー システムで提供されていない機能には 次のようなものがあります Windows MPIO(iSCSI) には自動リストアがない HP-UX PVLinks クラシック (11iv2 よりも前 ) にはロード バランシングがない HP-UX 11iv3.1 MPIO にはロード バランシングがあるが自動リストアはない LINUX MPIO クラシック RH4 および SUSE 9 は SAN からの起動をサポートしていない 詳細レビュー 19

LINUX の ALUA ベースの MPIO は 自動リストアがなく ハングした SP を検出できない Linux にはタイマーがない PowerPath は時間を計測し ピア SP をチェックするので ハングした SP を検出可能 AIX MPIO および Solaris MPxIO は 自動リストアをサポートしていない EMC PowerPath は自動リストア機能を提供 これによって SP 間でのバランスが平準化し パフォーマンスが安定 NDU( 無停止アップグレード ) NDU では 各 SP を順番に再起動する必要があります ALUA でも NDU におけるストレージ システムの動作はほとんど変わりません アクティブ / パッシブ モード (Failover Mode 1) の PowerPath を使用すると オーナーである SP の再起動中 LUN はもう一方の SP にトレスパスされます NDU 操作が完了すると PowerPath は LUN をデフォルトのオーナーである SP に自動リストアします 非対称アクティブ / アクティブ モードでは SP の再起動中にフェイルオーバー ソフトウェアがパスの障害を検知すると 動作している SP に I/O をリダイレクトします NDU が終了すると CLARiX はフェイルオーバー ソフトウェアを使用して REPORT PORT GROUPS コマンドによって返された優先ビットを調べることにより LUN をデフォルトのオーナーに移動して下のパス構造を回復するかどうかを決定します NDU 操作の間 PowerPath は LUN をピア SP にトレスパスします NDU が完了すると PowerPath は LUN をデフォルトのオーナーに自動リストアします これは イニシエータが Failover Mode 1( アクティブ / パッシブ ) と 4(ALUA) のどちらに構成されている場合でも適用されます PowerPath は自動リストアの実行には優先ビットを使用せず CLARiX 独自のコマンドを使用してトレスパスを発行することに注意してください 手動トレスパス アクティブ / パッシブ モード (Failover Mode 1) では 手動トレスパスが発行されると (Navisphere Manager または CLI を使用して ) 手動トレスパスが発行された SP を通ってその LUN に向けられたその後の I/O は拒否されます これにより ホストの Unit Attention 条件が発生し フェイルオーバー ソフトウェアはこのエラーを検知して LUN のオーナー SP に I/O をリルートします 自動であるか手動であるかに関係なく すべてのトレスパス操作によって LUN のオーナー権は変更され 接続されているホストに Unit Attention が送信されます ALUA に対応したそれらのホストは Unit Attention を解釈し 適切な Target Port Group コマンドを使用して現在のステータスを照会します PowerPath および ALUA に対応しているネイティブ MPIO は直ちに Unit Attention に反応して I/O が非最適パスを通過しないように すべての I/O を最適パスにルーティングします したがって 手動で LUN をトレスパスすると PowerPath と MPIO ソフトウェアのどちらも継続的に最適パスを使用することになります CLARiX ALUA の暗黙的トレスパス機構により I/O バランスの変化が LUN の暗黙的なトレスパスを引き起こすことがあります ( 明示的トレスパスと暗黙的トレスパス セクションで説明 ) 詳細レビュー 20

パス HBA スイッチの障害 ホストが Failover Mode 1 に構成されており LUN のオーナー SP へのすべてのパスに障害が発生すると LUN はホストのフェイルオーバー ソフトウェアによってもう一方の SP にトレスパスされます Failover Mode 4 では パス HBA またはスイッチに障害が発生した場合 オーナーでない SP に I/O がルーティングされると LUN は直ちにトレスパスされない可能性があります ( ホストのフェイルオーバー ソフトウェアに依存 ) LUN がトレスパスされない場合は その LUN への I/O リクエストを多く受け取る方の SP に 暗黙的トレスパス機構に基づいて FLARE が LUN をトレスパスします SP 障害 Failover Mode 1 に構成されたホストの下で SP に障害が発生した場合 フェイルオーバー ソフトウェアは障害を逃れた SP に LUN をトレスパスします Failover Mode 4 では LUN のオーナーでない ( 非最適 )SP の ALUA イニシエータから I/O が受信された場合 フェイルオーバー ソフトウェアまたは FLARE が内部トレスパス操作を開始します この操作により 障害を逃れた SP にターゲット LUN のオーナー権が変更されます ( ピア SP が機能しないので ) したがって ホスト ( フェイルオーバー ソフトウェア ) は そのような場合に I/O を発行できるように セカンダリ SP へのアクセス権を持っている必要があります 結論 FLARE リリース 26 の非対称アクティブ / アクティブ機能は 構成の柔軟性を高め 変化を続ける環境に対する投資保護を促進し システムの可用性を高めます 非対称アクティブ / アクティブは SCSI の新しい標準です この仕様に準拠するホスト フェイルオーバーの方法をサポートします ホストは LUN のオーナー SP に I/O をリダイレクトできるため 特定の状況における意図しないトレスパスを避けることができます バックエンド障害のマスキング機能は すべての Failover Mode タイプに提供されます LUN の現在のオーナーである SP にバックエンド障害が発生した場合 I/O は下位リダイレクタを経由して 安定したバックエンドを持つピア SP にルーティングされます これにより レプリケーション動作を妨げることがあるトレスパスを避けることができます すべてのポートを 同じ LU へのアクセスに同時に使用できます 非対称アクティブ / アクティブのマルチパス機能は 現在のベース ソフトウェア パッケージに対するソフトウェア拡張で 既存の Failover Mode に対する上位互換性を持つ予定です これは 非対称アクティブ / アクティブ モデルに基づいており REPORT TARGET PORT GROUP によってレポートされた最適パスおよび非最適パス上のすべてのポートを使用して ホスト I/O を LUN に送信できます 非対称アクティブ / アクティブは SPC-3 SCSI 標準の一部であり Failover Mode の現在のモードである 0( 自動トレスパス ) 1(Passive Not Ready) 2(DMP) 3(Passive Always Ready) と完全に同じように選択できます 非対称アクティブ / アクティブモデルは アレイに対するどんな接続にも適用できますが システムのデフォルトの動作ではありません PNR イニシエータおよび非対称アクティブ / アクティブ イニシエータは 同じ物理 SP ポートを通じて接続でき 詳細レビュー 21

PNR はレガシー システムと同じように動作して それぞれが異なるフェイルオーバー動作をします 関連資料 EMC CLARiX High Availability (HA) Best Practice Planning 詳細レビュー 22