接続方式の違いによる制御配線の工数測定検証 ( 検証実験の概要と結果 ) 1 2 3 4 5 制御配線の工数測定検証の位置付けと目的 検証実験の概要 検証実験結果 ネジレス端子台 + 素線接続 の課題 まとめ JSIA ( 社 ) 日本配電制御システム工業会 制御 情報システム委員会
1. 制御配線の工数測定検証の位置付けと目的 制御盤製作におけるハード面での省コスト化の研究ならびに合理化の研究 配線接続の合理化 対象の盤用機器検討中の合理化内容 1 配線接続点数が少ない 一般機器 ネジ端子 接続工数比較効果実証 課題の抽出と解決提案 接続工数少 接続スキル不問 ネジレス ( スプリング ) 端子 振動緩み無し 増締メンテ不要 2 配線接続点数の中位の機器 機器交換に制御回路の誤配線が起こり易い機器 MCCB 補助接点, 警報接点回路など電磁開閉器 接触器コイル補助接点などソケット接続機器 ( 制御リレー, タイマカウンタなど ) INV ON/OFF, AL, 周波数指示, 動作モード指示回路など PBS, SL, COS ランプ接点回路など 機器搭載型の各種コネクタを盤メーカ及び機器メーカそれぞれの立場で評価し 統一仕様を提案 3 PLC の I/O ユニットなど 多点回路 コネクタ仕様を統一 提案 1
(1)-1 検証実験で用いたネジレス端子台の特徴 2. 検証実験の概要 ( フェニックス コンタクト ( 株 ) カタログより ) 1 スプリングの力で電線を電流板に押付ける構造により ネジ端子がない 2 電線 とスプリングを開ける ドライバー はともに端子台の上方向から挿入 3 端子台の上方向から配線するので 配線用ダクトと端子台を接近して配置でき 省スペース化に有効 4 単線やより線の電線について 棒端子 付き 無し を問わずに接続が可能 フェニックス コンタクト ( 株 ) 製品カタログより ワゴジャパン ( 株 ) 製品カタログより 2
2. 検証実験の概要 (1)-2 検証で用いたネジレス端子台の配線作業手順 1 ドライバーを四角穴に挿入しスプリングをあける 2 端末処理した電線を丸穴に挿入する 3 ドライバーを引き抜く およそ 3 つの動作で接続完了 ドライバー挿入口 ( 穴 ) 電線挿入口 ( 穴 ) ワゴジャパン ( 株 ) 製品カタログより 3
2. 検証実験の概要 (1)-3 フェルール端子の概要 フェルール端子用圧着工具 円筒型棒端子 とも呼ばれ 規定長さに被覆ストリップした電線の芯線を端子の 筒 に挿入後 専用の圧着工具でかしめ処理を行う 使用目的は主に芯線のバラけ防止 フェルール端子 ( フェニックス コンタクト ( 株 ) カタログより ) (1)-4 フラットチューブの概要 本検証では線番号チューブの脱落やズレ防止目的でチューブ断面が楕円形のフラットチューブを使用したフェルール端子や素線の場合に チューブ断面が円形のものを用いると 従来の圧着端子のような引っかかり部分がないのでチューブ自体の脱落やズレが起きる可能性がある フラットチューブは電線に取り付けた後 それ自体が元の楕円に戻ろうとする 復元力 により ズレにくくなる 一般的なものチューブ断面が円形 チューブ断面図フェニックスコンタクト製 TMC-3 今回の検証実験チューブ断面が楕円形 4
2. 検証実験の概要 (2) 検証仮説 ネジレス ( スプリング ) 端子を使用した電線接続方式は 従来のネジ式端子台と比べて配線作業の省工数化に効果的である? 電線接続の対象 電線端末形状 1 電線カット 2 電線端末被覆剥き 3 圧着工具を使用して電線端に端子取付 4 端子台へ接続 ネジ式端子台 Y 形端子 圧着端子取付 ネジ部に接続 + ネジ締め ネジレス端子台 フェルール端子 圧着端子取付 素線 ( 被覆ストリッフ のみ ) 圧着端子取付作業省略 充電部に挿入 充電部に挿入 ネジ締め作業省略 作業開始 時間 5
2. 検証実験の概要 (3) 検証実験内容その 1 電線サイズ (2 種類 ) と接続方式 (3 種類 ) の組み合わせ ( 計 6 パターン ) について 予め決められた作業手順で端子台 1 箇所につき電線 1 本を接続する作業を計 20 本分行う 作業開始から完了までの作業時間を記録する 電線サイズ 接続方法 KIV0.5[mm 2 ] KIV1.25[mm 2 ] ネジ式端子台 1 への接続 ( 電線端 :Y 形端子 ) ネジレス端子台への接続 ( 電線端 : フェルール端子 ) 20 本 20 本 左記の各組み合わせについて 3 回ずつ計測 6 パターン x3 回計 18 回実施 ネジレス端子台への接続 ( 電線端 : 素線 ) 20 本 1: 上記で用いたネジ式端子台はネジアップ式を使用している 緩めた端子ネジが予め持ち上がったまま保持されている端子台 これにより電線接続する際にネジを 緩める 作業が省略できる 6
2. 検証実験の概要 (3) 検証実験内容その 2 セルフアップネジ式端子台 1 への接続作業時間を測定 記録 測定目的 : 本検証のネジ式端子台は ネジ端子部へ直ぐ電線端を挿入できるネジアップ式を使用した 他方 セルフアップネジ式端子台も数多く存在する このため ネジアップ式とセルフアップ式の作業時間を比較できるように測定を行う 接続方式 2 種類で 予め決められた手順で端子台 1 箇所につき電線 1 本を接続する作業を計 20 本分行う 作業開始から接続確認完了までの時間を記録する 電線サイズ 接続方法 セルフアップネジ式端子台 1 への接続 ( 電線端 :Y 形端子 ) 20 本 左記の各組み合わせ毎に 1 回ずつ計測 KIV1.25[mm 2 ] セルフアップネジ式端子台 1 への接続 ( 電線端 : 丸形端子 ) 20 本 計 2 回実施 1: 上記のセルフアップネジ式端子台とは ネジを緩めるとネジが端子台から完全に外れる端子台 製品購入時はネジが締まっている状態なので 電線接続する際は一旦ネジを 緩める 作業が必要 7
(4) 検証実験実施日時 場所 2. 検証実験の概要 検証実施日時 場所 実施日 : 2011 年 7 月 12 日 ( 火 )10:00~17:00 実施場所 : 広沢電機工業株式会社 検証実験参加者 ( 合計 18 名 ) JSIA メンバー計 10 名 端子台メーカー 3 社計 6 名 実証実験工場より検証実験の作業者 2 名 8
2. 検証実験の概要 (5) 検証実験の進め方 検証作業者 2 名 ( 熟練者と非熟練者 ) は 予め指定された作業手順と配線作業内容を JSIA 委員の号令で同時に作業スタートする 作業終了した時点で作業者は JSIA 委員に告げる JSIA 委員は作業時間の計測 & 記録を行う 作業者 A ( 熟練者 : 実務経験 6 年 ) 作業者 B ( 非熟練者 : 実務経験 2 年 ) JSIA 委員 A JSIA 委員 B 作業者 A 時間計測 & 記録担当 作業者 B 時間計測 & 記録担当 9
(6) 検証実験で使用した主な資材 2. 検証実験の概要 品名 型式 メーカー 備考 1 備考 2 ネジアップネジ式端子台 BNH15MWT IDEC( 株 ) 適合電線 2mm 2 メーカー標準価格 66 円 /1P セルフアップネジ式端子台 BN15MWT IDEC( 株 ) 適合電線 2mm 2 メーカー標準価格 54.6 円 /1P ネジレス端子台 ( 本検証にて使用 ) 2002-1201 ワゴジャパン ( 株 ) 適合電線 0.25-4mm 2 ( 単線及び可とうより線 ) ネジレス端子台 ST シリーズ ST2.5 フェニックス コンタクト ( 株 ) 適合電線単線 0.25-4mm 2 より線 0.25-2.5mm 2 電線 KIV0.5, 1.25 [mm 2 ] - KIV= 電気機器用ビニル絶縁電線 (JIS C 3316) Y 形圧着端子 F1.25-V3.5 大同端子製造製 ( 株 ) 丸形圧着端子 1.25-M3.5 大同端子製造製 ( 株 ) フェルール端子 ( 円筒型棒端子 ) ネジレス端子台向けドライバ [216-241] [216-244] ワゴジャパン ( 株 ) 210-720 ワゴジャパン ( 株 ) 刃先 (3.5x0.5)mm メーカー標準価格 103 円 /1P メーカー標準価格 180 円 /1P 0.5[mm 2 ] 素線数 20 素線 0.18 1.25[mm 2 ] 素線数 50 素線径 0.18 フラットマークチューブ TMC-3 白フェニックス コンタクト ( 株 ) 内径 φ3.9 適合電線 0.4~2mm 2 標準価格 6200 円 /200m ワイヤーストリッパー stripax ワイドミュラー ( 株 ) ストリッピング レンジ :0.08...10mm² フェルール端子用圧着工具バリオクランプ 4 ワゴジャパン ( 株 ) 適用電線 : 0.25~4.0mm² Y 型端子用圧着工具ミニ 12 ( 株 ) 泉精器製作所適用電線 : 1.25~2mm² 10
(7)Y 形端子処理した電線をネジ式端子台 ( ネジアップ ) への接続する作業手順 マークチューブ取付 + 被覆剥き Y 形圧着端子を圧着電線をネジ式端子台に挿入電動ドライバーでネジ締め 11
(8) フェルール端子処理した電線をネジレス端子台へ接続する作業手順 マークチューブ取付 + 被覆剥きフェルール端子を圧着ドライバーと電線を端子台穴に挿入ドライバーを引き抜く 12
(9) 素線処理した電線をネジレス端子台へ接続する作業手順 マークチューブ取付 + 被覆剥き 圧着端子処理作業なし ドライバーと電線を端子台穴に挿入 ドライバーを引き抜く 13
(10) 丸形 ory 形圧着端子処理した電線をネジ式端子台 ( セルフアップ ) へ接続する作業手順 マークチューブ取付 + 被覆剥き圧着端子を圧着電動ドライバーでネジを緩める電線をネジ端子台に挿入 電動ドライバーでネジ締め 電線端が丸形圧着端子の場合 電線端が Y 形圧着端子の場合 丸形圧着端子を接続する場合 ネジ端子のネジを完全に外してから接続する必要があるため Y 形のものと場合と比べて作業時間が増える 14
3. 検証実験結果 -1 作業員のレベル 熟練者 ( 実務経験 6 年 ) 非熟練者 ( 実務経験 2 年 ) KIV 0.5m m2 接続方式 ネジ式端子台 ( ネジアップ )+Y 形端子 ネジレス端子台 + フェルール端子 ネジレス端子台 + 素線 KIV 1.25m m2 38% 42% 14% 21% 15
3. 検証実験結果 -2 +22% KIV 1.25m m2 +15% +1.3% 21% 1 1 +4.6% 2 3 4 42% 1 2 3 4 5 ネジ式端子台 ( セルフアッフ )+ 丸形端子ネジ式端子台 ( セルフアッフ )+Y 形端子ネジ式端子台 ( ネシ アッフ )+Y 形端子ネジレス端子台 +フェルール端子ネジレス端子台 + 素線 2 3 4 5 5 1 を 3 と比較すると熟練者では対 3 比で +15% 非熟練者では対 3 比で +22% 工数が増える ( 秒 ) 22% 45% 31% 52% 熟練者 ( 実務経験 6 年 ) 非熟練者 ( 実務経験 2 年 ) 1 から 5 へ転換すると 31~52% の工数低減が期待できる 同じ Y 端子の 2 と 3 で比較すると 熟練者では対 3 比で +1.3% 非熟練者では対 3 比で +4.6% 工数が増える 2 から 5 へ転換すると 22~45% の工数低減が期待できる 3 から 5 へ転換すると 21~42% の工数低減が期待できる 16
4. ネジレス端子台 + 素線接続 の課題 検証実験終了後 作業者へインタビュー ネジレス端子台に素線を接続する場合 途中で素線がバラけてしまうことがあり配線に手間取った 原因 原因 (1) 被覆剥離した電線端をダクトのスリットへ通す時 芯線がダクト壁や廻りの電線にぶつかる 原因 (2) 電線端を端子台電線挿入口へ接続する時 その方向へ電線を曲げる動作 (1)(2) 配線ダクトのスリット形状がからへ仕様を変更する 原因 (3) フラットチューブが幅広だったため 近くの接続済み電線に接触する (3) マークチューブは今後の課題 17
5. まとめ 接続方式の違いによる制御配線の工数測定検証の成果 1 ネジレス端子台の配線合理化効果は 素線を差し込む方式でないと生まれない 2 伝統的な従来一般方式のネジ式端子台 ( セルフアップ ) が ネジレス端子台の素線接続方式へ移行 できれば 丸形圧着端子の接続方式に対して 31~52% Y 形圧着端子の接続方式に対して 22~ 45% の工数低減が期待できる 3 更に 現在オーソドックスだと思われるネジ式端子台 ( ネジアップ ) に Y 形端子の電線を接続する方式 に対しても ネジレス端子台の素線接続方式へ移行できれば 非熟練者で 42% 熟練者でも 21% の工数低減が期待できる 4 ネジレス端子台接続のメリットは 上記の作業工数低減ともに 作業者のスキルに依存しないという 利点や ネジ締めのトルク管理不要 盤設置後の増し締め作業が不要になるなどエンドユーザのメ ンテナンスコストの低減効果も大きい 18
5. まとめ ネジレス ( スプリング ) 端子台接続方式の課題 (1/2) 1 現時点での端子台 1 極当たりの製品単価は 従来のネジ式端子台と比べて割高であること 2 接続電線の素線バラけ対策として フェルール端子を使用すると省工数効果が薄れてしまう 3 ネジレス端子台の電線端末に円形状のマークチューブを使用すると 脱落やズレ落ちることがあ る 4 端子台 1 つの穴に対して原則電線 1 本なので渡り配線回路に工夫が必要なこと 5 ネジレス ( スプリング ) 端子を含む接続端子に関する最新の規格 (JISやIEC) 情報が国内ユーザーに十分に周知されていない 最新のJISの端子台規格は2010 年に正式発行された JIS C 8201-7-1 IEC60947-7-1のMOD( 修正 ) 規格として, 国際整合化の必要性からJIS 化し,JISC8201シリーズの1 規格として制定された これによって, 国際規格との整合性が担保された 19
5. まとめ ネジレス ( スプリング ) 端子台接続方式の課題 (2/2) 6 工作機械や包装機械など機械分野や鉄道交通分野では ネジレス ( スプリング ) 端子が使われているが 国内の建物向け電気設備には殆ど普及していないこと 制御盤に関する規格整備が課題 : 制御機器の進歩に対し制御盤に関する規格整備が追いつかず 実態と制御盤仕様標準 ( 購入仕様 ) のミスマッチが生じている 7 制御盤に関する規格化を進めても 外線ケーブル工事を行う電気工事業界への浸透策が要る 盤内外分界点における適用規格 基準の明確な分離が課題 : 盤外の電気工事 工事規格 ( 規定 ) に準拠 盤内 盤新規格に準拠その為には 盤外工事用ネジ端子と盤内配線用ネジレス ( スプリング ) 端子を持つ異種混成の端子台が要る 20
盤ハードウェア合理化に関する研究 1st step 2nd step 2010.6 2012.X 機器 部品 部材メーカの情報収集 国内及び海外の動向把握まとめ ( 製品 技術 規格など ) 1 社 1H 程度発表いただき意見交換 情報整理 検証 障害要因とその解決策探し 盤ハードの合理化に関して一次報告書纏め ユーザヒヤリング JSIA のユーザ ( 機械メーカ エンジニアリング会社 工事会社 大手エンドユーザ ) への説明 意見交換を通してのニーズ把握 方向性の検証 最終報告書の作成 盤メーカの情報収集 盤メーカとしての課題障害要因の明確化 不合理な規格 指定仕様 慣習 製品仕様など 優先合理化課題 2010.6 部会まず 制御配線作業合理化から取り組む 配線作業機器の取付け 動向 課題 打ち手 今後取り組み方 ネジレス ( スプリング ) 接続方式 端子台メーカから最新情報を収集 コネクタ接続方式 コネクタメーカから最新情報を収集 最終報告書 次を含む 機器 部品 部材メーカへの要請 ユーザへの要請 規格の制定 改定提案 要請 (JSIA 内 関係対外団体 官庁 ) 21
以上 ご清聴ありがとうございました 22