第 1.0 版 演習で学ぶ仮想化基礎 ( ホスト仮想化 ストレージ編 ) 九州ラーニングネット株式会社 特定非営利活動法人パソコン整備士協会
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目次 (1) 概要... 1 はじめに... 1 サーバ仮想化とは... 1 サーバ仮想化に必要なもの... 2 サーバ仮想化用 VMM( 仮想化ソフト ) の種類... 3 CITRIX XENSERVER... 3 CITRIX XENCENTER... 4 OPENFILER... 5 (2) 演習の概要... 6 演習の全体の流れ... 6 (3) 構成および演習用パソコンのスペック確認... 7 演習でのシステム構成... 7 ホスト名とアドレッシング... 9 その他の設定... 9 演習用パソコンのハードウェア要件... 9 (4) 演習で利用するファイルの確認... 10 ファイルのダウンロード... 10 (5) XENSERVER のインストール... 12 (6) XENCENTER のインストール... 19 XENSERVER との接続... 21 XENCENTER の画面説明... 23 XENSERVER の表示... 24 (7) 仮想マシンの作成 WINDOWS7 のインストール... 27 ISO ライブラリの設定... 27 仮想マシンの作成... 34 XENSERVER TOOLS のインストール... 40 (8) IP-SAN(ISCSI) の接続... 42 VIRTULABOX の設定... 42 OPENFILER のインストール... 47 ISCSI の設定... 49 WINDOWS7 の ISCSI イニシエータでの接続確認... 56 XENSERVER と ISCSI の接続... 61 仮想マシンを ISCSI ストレージに移動... 62 (9) ライブマイグレーション... 65 XENCENTER の統合... 65 リソースプール... 66 ライブマイグレーション用の共有ストレージの準備... 69 ライブマイグレーション... 70 (10) スナップショット... 72 Copyright 2012 Kyushu Learning Net Inc. & Japan Adjuster Personal Computer Association All Rights Reserved
(11) エクスポート インポート... 77 エクスポート... 77 インポート... 78 (12) 管理機能... 80 リモートからの XENSERVER のシャットダウン 再起動... 80 保守モードへの切り替え... 81 サーバの状態レポート... 83 サーバのバックアップ... 85 (13) 仮想マシンのリモート管理... 87 (14) XENSERVER のアクチベーション 参考... 91 XENCENTER 6.1 のインストール... 91 XENSERVER のアクチベーション... 92 Copyright 2012 Kyusyu Learning Net Inc. & Japan Adjuster Personal Computer Association All Rights Reserved.
(1) 概要 はじめに本テキストは サーバ仮想化とストレージを中心にした演習手順書です 演習テキスト Ⅰ を終了した方でさらに仮想化の理解を深めたい方がご利用いただけると良い内容となっています 本テキストは サーバ仮想化に欠かせないストレージの構成にも触れておりますので システム全体として理解を深めることができます サーバ仮想化で利用する VMM( 仮想化ソフト ) は Citrix 社の XenServer を用いています Citrix 社は 3 大サーバ仮想化ベンダーの一社であり実績も歴史もある会社です 今回利用する XenServer は Citrix 社が無償版としてリリースしているものです 無償版といってもその機能は豊富で 実際にこれを利用して実運用をしているシステムもあるほど洗練されています XenServer がサポートしている機能 管理方法は他のサーバ仮想化製品にも共通している内容であり この演習で学んだことは他の製品を利用する上で問題なく活用できるものと確信しています サーバ仮想化に関連してストレージの構成を演習しますが その演習で用いるストレージ製品はオープンソースの openfiler です opnefiler はブラウザを使って管理を行うことができ 操作も簡単ですので理解し易いソフトです 本演習テキストを用いて サーバ仮想化とストレージをセットで利用して 理解を深めていただければと思います サーバ仮想化とはサーバ仮想化とは 1 台の物理サーバに複数のサーバ機能を集約したものです 企業で利用するサーバは膨大な数になってきました 物理的にもコスト的にも企業の負担になってきており 現状のサーバを管理運営することは非常に大変になって来ました このような企業の悩みを解決する手段としてサーバ仮想化があります サーバ仮想化の利点を挙げると以下の内容となります 1 2 3 4 リソースの有効活用コスト削減調達時間の短縮ライフサイクルギャップを埋める 従来の物理サーバ 1 台で 1 サーバ機能を構成していたケースでは サーバの CPU メモリ ストレージといったリソースが 100% 活用されていませんでした サーバ構成時にどうしても多目のリソースを見積もり サーバを構成してしまうからです そのような無駄なリソースを サーバを集約することにより効率的に利用することができるようになりました 全体のサーバ台数が減りますので必然的に調達コストや電気代 冷却に用いる空調設備等のコストも減ることになります また ソフト的にサーバを構成することができますので 物理リソースに余裕があれば必要なときにサーバを立てることができ調達時間を短縮できます さらに必要なくなったサーバはファイルを削除することにより元に戻すことが可能です 利用しなくなった物理サーバをサーバルームで眠らせておくことも少なくなりました サーバ仮想化は ハードウェアとソフトウェア (OS) のライフサイクルの違いを埋めることも可能となります ライフサイクルとは ハードウェアまたはソフトウェアを購入してから廃棄するまでの期間です この期間はハードウェアとソフトウェアでは違いがあり その違いにより思わぬコストが発生してしまう場合があります このギャップを埋める役割にサーバ仮想化を利用することができます ( 詳細は 仮想化基礎 パソコン整備士協会著を参照ください ) 以上のメリットにより企業の情報システムではサーバ仮想化の導入が加速されています 1
サーバ仮想化のイメージ Web サーバ Mail サーバ File サーバ メモリ CPU HDD は複数 サーバで共有される サーバ仮想化に必要なものサーバ仮想化を行うためには仮想化ソフト (VMM:Virtual Machine Monitor / 仮想マシンモニタ ) が必要になります VMM には大きく分類して 2 つの方式があります ホスト OS 型とハイパーバイザ型です サーバ仮想化に用いられる VMM はハイパーバイザ型の VMM です ハイパーバイザ型は 下図に示すように物理サーバに直接インストールして利用します 仮想マシン 仮想化ソフト VMM Windows7 VMM ハイパーバイザ型 ゲスト OS Windows7 サーバ ハードウェア ハイパーバイザ型はハードウェアに直接インストールするので ハイパーバイザ型がサポートしていないハードウェアにはインストールすることができないという欠点があります サポートするとは デバイスドライバを VMM が持っているという意味です その欠点を補うために マイクロカーネル型のハイパーバイザ型 VMM があります マイクロカーネル型は 汎用 OS を管理 OS としてハイパーバイザ型 VMM 上で仮想マシンとして動作させ その管理 OS 経由でハードウェアにアクセスさせます 汎用 OS が一般的なハードウェアデバイスドライバを持っているので 利用できるハードウェアが多くなるメリットがあります 2
サーバ仮想化用 VMM( 仮想化ソフト ) の種類 VMM はいくつかのベンダーから出ています ここでは主なものを紹介します 製品名 ベンダー ハイパーバイザ型の種類 備考 VMware vsphere VMware モノリシリックカーネル型 Citrix XenServer Citrix マイクロカーネル型 Windows Server 2008 R2 Hyper-V Microsoft マイクロカーネル型 ハイパーバイザ型の種類でモノリシリックカーネル型の VMM は 仮想マシンに管理 OS を持たないものです VMM の内部にデバイスドライバを持っています Citrix XenServer Citrix 社の XenServer は 本テキストで用いるマイクロカーネル型のハイパーバイザ型 VMM です XenServer には Advanced Enterprise Platinum および無償版の 4 種類のエディションがあります それぞれのエディションで利用できる機能一覧を以下に示します XenServer の機能無償版 Advanced Enterprise Platinum Xen ハイパーバイザ (OSS Xen 4.1) マルチサーバー管理及びライブマイグレーション P2V V2V 変換及び OVF のサポート Active Directory との統合 VM ディスクスナップショットおよびリバート ( ディスクのみ ) System Center Virtual Machine Manager 2012 による管理 仮想マシンの自動スナップショットとバックアップ パフォーマンスの監視および履歴報告 動的メモリ管理 ( メモリーバルーニング ) 高可用性 (XenServer HA) 異なる CPU モデルを持つサーバの共存 分散仮想スイッチ (OpenFlow 対応 ) GPU Path-Through (XenDesktop 向けグラフィック高速化処理 ) IntelliCache (XenDesktop 向けストレージ最適化機能 ) ウェブベースの管理コンソール ライブメモリスナップショット 動的ワークロードバランシングと電源管理 Provisioning Services 仮想サーバ ストレージ API の外部呼出し ユーザーのロールベースの管理と操作履歴管理 System Center Operations Manager 2012 による管理 ディザスタリカバリーサイトの構築 Provisioning Services 物理サーバ 出典 :Citrix 社 Web サイト 無償版は機能が少ないですが サーバ仮想化を運用するには最低限必要な機能はあるので 演習で学習するには十分です 3
XenServer はオープンソース Xen がベースとなっています Xen とはハイパーバイザ型の仮想化ソフトで 現在 Linux の一部に取り入れられています 前述しましたが XenServer はマイクロカーネル型なので デバイスドライバをカーネル内にはもっていません Domain0 と呼ばれる管理用の OS(CentOS) がデバイスドライバを持ち ハードウェアはこの Domain 0 を経由してアクセスされます Domain 0 に対して 他の仮想マシンを Domain U と呼びます CentOS Domain0 DomainU Windows や Linux など の仮想マシン ハードウェアアクセス時は Domain0 のデバイスドライ バを利用する テ ハ イスト ライハ Xen ハイパーバイザ ハードウェア Citrix XenCenter XenServer を管理するために 管理ツール XenCenter が提供されています XenCenter は Windows パソコンにインストールして GUI で操作できるため非常に管理しやすくなっています また コマンドベースの管理も行うことができます 管理ツール XenCenter XenServer リモートから管理する Windows パソコン 4
openfiler openfiler はオープンソースソフトウェアで Linux をベースとし ストレージ機能を提供するソフトウェアです SAN や NAS として構成することができ 管理を Web ベースで行えるため簡単に構築 運用が行えます openfiler のボリューム管理は Linux では一般的になっている LVM(Logical Volume Manager) を用います Linux 関連コマンドは特に使うことはありませんが トラブルシューティング時に Linux のコマンドが使えれば便利です 演習では openfiler で iscsi を構成し IP-SAN の概念を理解します 次に iscsi を XenServer の共有ディスクとして構成し ライブマイグレーション機能に利用します この演習で 仮想化とストレージは密接に関連していることを理解します ブラウザでアクセス リモートから管理する openfiler 5
(2) 演習の概要 演習に入る前に 本テキストで実施する演習の概要を説明しておきます 演習の全体の流れ演習の全体の流れを以下に示します 構成および演習用パソコンのスペック確認 演習で利用するファイルの確認 XenServer のインストール XenCenter のインストール XenCenter の説明 仮想マシンの作成 Windows7 のインストール openfiler のインストール iscsi の設定 Windows7 イニシエータでの接続確認 XenServer から iscsi への接続 仮想マシンファイルの移動 ライブマイグレーション スナップショットの作成 / 復元 エクスポート / インポート 管理機能 仮想マシンのリモート管理 参考 XenServer のアクチベーション 6