KRD Corporation IC TAG Technology -IC タグの知識その 1-2011 年 8 月 18 日 KRD コーポレーション株式会社 2009 KRD Corporation
Contents 1. RFIDの定義 2. RFIDの歴史 ( バーコードからRFIDへ ) 3. RFID 技術開発の歴史 4. RFIDの基本テクノロジ 5. HF 帯タグの通信方式 (13.56MHz) 6. UHF 帯タグの通信方式 7. RFIDの動作原理 (UHF 帯のタグ動作 ) 8. RFIDの標準化と周波数割当て 9. UHFの使用する周波数 10. RFIDの特徴 11. バイナリーサーチ ( アンチコリジョン ) 12. RFIDが持つ課題 13. 皆さんに考えてもらいたい問題 2 IC TAG Technology KRD Corporation 2009
1.RFID の定義 パッシブタグは, 電池を内蔵せず, リーダライタからの電磁気や電波のエネルギーを使って, 通信を行う. それに対して, アクティブタグは電池を内蔵するため, 通信距離が長く, また処理能力が高い. RFID(Radio Frequency IDentification 電波による個体識別 の略 ) は ID 情報を埋め込んだタグから 電磁界や電波などを用いた近距離 ( 周波数帯によって数 cm~ 数 m) の無線通信によって情報をやりとりするもの および技術全般を指す PHS などの通信機器を用いた技術もあるが 一般的には IC タグや その中でも特にパッシブタイプの IC タグのみを指して用いられることが多い これに用いるタグを RF タグと呼び 無線通信によって外部からその情報を読み書きする 従来は 複数の電子素子が乗った回路基板で構成されていたが 近年 小さなワンチップの IC ( 集積回路 ) で実現できるようになってきた この場合は IC タグと呼ばれ そのサイズからゴマ粒チップと呼ばれることもある 非接触 IC カードも RFID と同様の技術を用いており 広義の RFID の一種に含まれる 非接触 IC カードは乗車カード (Suica ICOCA PASMO PiTaPa など ) や電子マネー (Edy id など ) 社員証やセキュリティロックなどの認証用など色々な用途がある 日本のこの分野では FeliCa が支配的である 一般的には, 人に関する情報やお金に関する情報を扱う物を非接触 IC カードと呼ぶ.( 例は,Suica, 非接触の銀行カード等 ) それに対して, 物に関する情報を扱うものを RFID タグ, あるいは IC タグと呼ぶ. RFID タグはセキュリティの要求が低いので, 安価. 日本では RFID タグを IC タグと呼ぶことが多い. 3 IC TAG Technology KRD Corporation 2009
2.RFID の歴史 ( バーコードから RFID へ ) バーコード容量 13 桁 (JAN) 世の中の多くの物品にバーコードが付けられている. 5 桁を使った商品管理一番成功した自動認識技術 1970 年代 データ容量を増やしたい 2 次元バーコード容量 4,296 バイト (QR コード ) 1980 年代半ば 産業分野では, 広く使われている データ書き換え複製防止 (UID) 離れた場所や隠れた場所のタグが読み取り可能汚れに強い複数タグの同時読込み QR コード バーコードリーダー / 2 次元コードリーダー RFID 容量 0~2000 バイト (64K バイト : 富士通 FRAM) 1990 年代 64Bit の UID を持つため, 個体管理が可能. では,RFID は普及しているか? Suica/Pasmo は身近な存在ではあるが 13.56MHz RFID タグ RFID アンテナ 4 IC TAG Technology KRD Corporation 2009
3.RFID 技術開発の歴史 出典 :Fujitsu.56,4(07/2005)RFID システムにおける高速処理技術 自動車のイモビライザ等 EPC Global Class1 Gen2 が承認 電波法の再改正 250mW 以下の中出力を追加 7/2012 人体や水分を持った物体により電波が吸収 電波法の改正 7/2012 より, 米国と同じ帯域に変更予定 (915MHz~928MHz) 5 IC TAG Technology KRD Corporation 2009
4.RFID の基本テクノロジ RFID タグを構成する 3 つの要素 ( 一般的なインレット ) チップ (1mm 角ほどの IC Chip) アンテナ ( 金属の印刷やエッチング ) パッケージング ( フィルムや紙で保護 ) RFID タグには電源供給の観点から次の 3 種類がある パッシブ タグ ( 電源なし ) セミ パッシブ タグ ( 電池内臓 ) アクティブ タグ ( 電池内臓 送信 ) RFIDのシステムには次の3つのコンポーネントが必要 RFIDタグ リーダー ホスト ( サーバー ), アプリケーション ソフト 13.56MHz RFID インレット 6 IC TAG Technology KRD Corporation 2009
5.HF 帯タグの通信方式 (13.56MHz)-1 電磁誘導トランスの原理と同じ 7 IC TAG Technology KRD Corporation 2009
HF 帯タグの通信方式 (13.56MHz)-2 磁界の強弱で 1/0 の情報を送る 振幅変調 (ASK) 他に波の位相を変えて情報を送る方式もある 位相変調 (PSK) 8 IC TAG Technology KRD Corporation 2009
6.UHF 帯タグの通信方式 -1 バックスキャッタ 9 IC TAG Technology KRD Corporation 2009
UHF 帯タグの通信原理 -2 レーダー波の反射で航空機を発見する技術がルーツ反射の強弱をコントロールすることで 1/0 の情報を伝達 出典 :The RF in RFID 10 IC TAG Technology KRD Corporation 2009
7.RFID の動作原理 (UHF 帯のタグ動作 ) 出典 :The RF in RFID パッシブ型の RFID は, 下図に示すようにリーダライタからの電波または磁界エネルギーにより,RFID タグのアンテナに電力が発生する. 発生した電力により, 制御回路, メモリを動作させ,IC タグ内のデータを, 電波または磁界に乗せて RF タグのアンテナから返信するという仕組みである.EPC Global の最新規格である Class1 Gen2 シーケンスの一例を示す. 11 IC TAG Technology KRD Corporation 2009
8.RFID の標準化と周波数割当て SC17 は通信距離毎に, SC31 は使用周波数帯毎に標準化している SC17 カード型 ( 人が携帯する ) IC Card SC31 タグ型 ( 物に添付する ) 形状は不特定 Automatic Data Capture ISO/IEC 規格 周波数 (MHz) 認可されている地域 12 IC TAG Technology KRD Corporation 2009 特徴 14443 ( 近接型 ) 13.56 日米欧 10cm 以下 各種カード(ICカード,Felica) に採用 セキュリティ機能が非常に高い 偽造, 変造, 改竄に強い 15693 ( 近傍型 ) 13.56 日米欧 70cm 以下 通信距離がとれる 14443 に比べて低価格 容量も拡大の方向 18000-2 0.135 日米欧コスト高い物に添付する RFID として物流 ~ 個品管理まで各種 18000-3 13.56 日米欧 18000-4 2,450 (2.45GHz) 18000-6 860~930 860~960 (UHF 帯 ) 18000-6 Type-C:EPC global Class1 Gen2 がこれからの主流. メモリーサイズも EPC96bit+2kbit~64Kbyte の物が実用化. 人と金の管理 物の管理 日米欧 欧 868MHz 米 915MHz 日 950MHz 1m 以下 水分に弱い 5m 以下 ( 電磁誘導型は近接 ) 水分に弱い 18000-7 433 米欧アクティブ タグ 出典 : 電子タグの高度な利用に向けた取り組み最終報告書 ( 平成 16 年 3 月 ) アプリケーションに対応可 電磁誘導型のものから電波型のものまで メモリ容量も数バイトから数十 K バイトまで様々 複数同時読み取り機能 セキュリティ機能を有する物あり UHF 帯は注目度大中身を理解して, 利用方法を工夫すれば適用範囲は広い
9.UHF の使用する周波数 UHF 帯のタグの使用する周波数は 860~960MHz ですが, 国によって使える周波数が違うため, リーダライタの発射する電波の周波数は異なる. ( 日本で使っているリーダライタを, アメリカやヨーロッパに持って行っても使えない ) アメリカ 日本 ヨーロッパ 902~928MHz 952~956MHz 865~868MHz UHF 帯は多くの利用分野がひしめく超過密なバンド 日本では携帯電話が使わなくなった帯域を,2005 年に RFID に割り当て ( 総務省が管轄 ) また, リーダライタは無線機器のため, 各国毎に機器認定を受ける必要がある. また, 発射出来る電波の出力の最大値も, 各国の電波法の制限により異なる 7/2012 から, 現行の 952~956MHz から, 米国の同じ帯域の 915~928MHz に変更予定 バンド幅も 13MHz に拡大 この変更により, 国内の UHF 帯 RFID の利用に拍車がかかると期待されている 13 IC TAG Technology KRD Corporation 2009
10.RFID の特徴 supermarket-j.mpg バーコードや 2 次元コードにないメリット RFID の特徴 ( パッシブタイプ ) 非接触でIDを読み取る電磁誘導, 電波により非接触で電力を供給受けた電波を変調することで, 情報を送り返す ( 応答する ) 物体の陰でも電波が届けば通信可能 アンチコリジョンに対応 ( コリジョン :2つ以上のタグが応答すると読み取り不能) 多数のタグを一括読込を行う技術 ( 輻輳制御 ) ただし, タグが1 枚の時に比べて, 読み取りに時間がかかる バイナリーツリー方式, アロハ方式 (Ethernetで採用されている方式) データの書込みが可能 書き換え可能回数はEEPROMで10 万回内部メモリ (EEPROMまたはFRAM) にデータを書き込むことが可能ただし, 読み取り時に対して距離は1/3 程度になる 唯一無二の書き換え出来ないUIDを持つ (13.56MHz) UHFではEPC codeや独自 dataを書き込む 14 IC TAG Technology KRD Corporation 2009
11. バイナリーサーチ ( アンチコリジョン ) 13.56MHz の RFID では 64bit の UID で探索を行う 下の図は 4bit で説明 特定のビット位置の値が 0 または 1 であるタグのみが応答するよう, タグに要求する また, リーダーは UID のどのビット位置で衝突があったかを検知する機能を有する 出典 :The RF in RFID 15 IC TAG Technology KRD Corporation 2009
12.RFID が持つ課題 プライバシー問題 RFID タグが付いた商品を所持する人間の動向が分かってしまう 医療機器に対する影響電磁波や電波が医療機器に対して悪影響を与える恐れがある特にUHF 帯の出力が大きい据え置き型アンテナで問題 読み取り率 UHF 帯のRFIDタグの読み取りが, 周囲環境により100% にならない場合がある. コスト物流分野でバーコードの代わりに使うにはコストが高い 記憶容量もっと多くの情報を記憶したい 16 IC TAG Technology KRD Corporation 2009
13. 皆さんに考えてもらいたい問題 RFID タグのプライバシー問題現在の技術を考えると過剰反応な面もあるが, 予想も付かない技術の発展により, 将来, 大きな問題になる可能性がある. 私たちの身の回りに多くの RFID タグが設置されているというユビキタスの環境で, どのように RFID タグを有効に活用するか? 道路基準点, 国土三角点, マンホール蓋等に多くのタグが設置された環境をどのように活かすか? Virtual な世界と Real な世界を RFID を使って Seamless に繋げると, どのようなメリットがあるか? Second Life などの Virtual World との融合や Robot の sensing の延長としての働き. 17 IC TAG Technology KRD Corporation 2009