ポイント 1: 幼児教育と小学校教育の特徴や違いを理解する 保幼小の円滑な接続に向けて まずは 幼児教育と小学校教育の特徴や違いを理解することが重要です 幼児教育 幼児期の教育では 幼児の自発的な活動としての 遊び を通して 様々な体験や学びの芽生えを積み重ねることができるよう 保育者が環境を構成し

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幼児期の教育と小学校教育との円滑な接続の在り方について ( 報告 ) ( 概要 ) 子どもの発達や学びの連続性を踏まえた幼児期の教育 ( 幼稚園 保育所 認定こども園における教育 ) と児童期の教育 ( 小学校における教育 ) の円滑な接続の在り方について検討し 以下のとおり 報告をとりまとめた 1

1 幼児期の教育 保育と小学校教育の違い 幼児期の教育 保育と小学校の教育では 発達の段階の違いだけでなく 教育課程等の違いもあります まずは相互を理解することが必要です 幼児期の教育 保育と小学校教育との間には このように教育課程や指導方法の相違点がある一方で 5 歳児から小学校低学年までの発達の

ICTを軸にした小中連携

幼児の実態を捉えると共に 幼児が自分たちで生活をつくり出す保育の在り方を探り 主体的 に生活する子どもを育むための教育課程及び指導計画を作成する 3 研究の計画 <1 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉える 教育課程 指導計画を見直す <2 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉え その要因につ

ハンドブックp10-14:東京都教育委員会

3 平成 29 年 3 月に幼稚園教育要領 保育所保育指針 幼保連携型認定こども園教育 保育要領が改訂され 来年度から全面実施されます 新幼稚園教育要領等では 改訂の基本的な方針として 1) 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 の明確化 健康な心と体 自立心 協同性 道徳性 規範意識の芽生え 社会生

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平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

基本方針 これまでも幼稚園は幼稚園教育要領に 保育園は保育所保育指針に基づいた幼児教育 保育を展開してきた また 平成 20 年 3 月の大幅な改定により 3 歳児から5 歳児の教育に関する内容では整合性が図られている しかし 統一されたカリキュラムがないことで 幼稚園と保育園の内容に違いがあるかの

エコポリスセンターとの打合せ内容 2007

3. ➀ 1 1 ➁ 2 ➀ ➁ /

1 小学校入学前の子どもの学びとは 幼児期の生活のほとんどは 遊びによって占められています 子どもは遊びを中心として 頭も心も体も動かして様々な対象と直接関わりながら 総合的に学んでいます (1) 幼児教育と子どもの学び 幼稚園の遊びの一場面子どもたちがものを転がす遊びに集中しています 子どもたちは

平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

乳児期からの幼児教育について 大阪総合保育大学 大方美香

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

Taro-H29 教育課程編成届3

1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

解答類型

3 第 3 学年及び第 4 学年の評価規準 集団活動や生活への関心 意欲態度 集団の一員としての思考 判断 実践 学級の生活上の問題に関心 楽しい学級をつくるために を持ち 他の児童と協力して意 話し合い 自己の役割や集団と 欲的に集団活動に取り組もう してよりよい方法について考 としている え 判

Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

幼保連携型認定こども園教育・保育要領 中央説明会

平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

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第4章 道徳

学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

1 国の動向 平成 17 年 1 月に中央教育審議会答申 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について が出されました この答申では 幼稚園 保育所 ( 園 ) の別なく 子どもの健やかな成長のための今後の幼児教育の在り方についての考え方がまとめられています この答申を踏まえ

Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

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平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

高松っ子いきいきプラン策定の趣旨 本プランは, 就学前の子どもが幼稚園 保育所 幼保一体化施設など, どこに在籍していても, 等しく質の高い教育 保育を受けられるよう, 各施設が積み上げてきたものを生かしつつ, 今後, 重点的に取り組むための方針や具体的な取り組みを示しています さらに小学校との連携

(3) 本題材の系統と他教科等との関連は 次のとおりである 学級活動 5 月シンボルマークを決めよう 6 月みんなで雨の日を楽しく過ごそう 6 月本題材 9 月 2 学期がんばろう会をしよう 他教科等との関連 道徳 わけっこしよう ( 友情 ) 道徳 どうしたらいいのかな ( 親切 ) (4) 指導

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

学習指導要領改訂の方向性

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

の間で動いています 今年度は特に中学校の数学 A 区分 ( 知識 に関する問題 ) の平均正答率が全 国の平均正答率より 2.4 ポイント上回り 高い正答率となっています <H9 年度からの平均正答率の経年変化を表すグラフ > * 平成 22 年度は抽出調査のためデータがありません 平

小学校国語について

2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

教育調査 ( 教職員用 ) 1 教育計画の作成にあたって 教職員でよく話し合っていますか 度数 相対度数 (%) 累積度数累積相対度数 (%) はい どちらかといえばはい どちらかといえばいいえ いいえ 0

領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

幼稚園と小学校の連携の在り方について 学びの連続性 の視点に立って考察する 3 研究内容と考察 (1) 学びの連続性 に立った幼稚園と小学校の連携とは何か中教審の答申 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について は 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえ 今後の幼児教育の方向性と

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

国語 A では, 領域別, 観点別, 問題形式別に見て, どの区分においても全国平均を上回り, 高い正答率でした しかし, 設問別でみると全国および新潟県平均正答率を下回った設問が, 15 問中 1 問, 新潟県の平均正答率を下回った設問は,15 問中 1 問ありました 設問の概要関屋小新潟県全国

人間関係を深めるとともに, 児童が自己の生き方についての考えを深め, 家庭や地域社会との連携を図りながら, 集団宿泊活動やボランティア活動, 自然体験活動などの豊かな体験を通して児童の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない その際, 特に児童が基本的な生活習慣, 社会生活上の

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彦根市立城陽幼稚園 幼稚園の特色 本園は 荒神山を間近に仰ぎ 琵琶湖岸まで広がる田畑や犬上川 宇曽川の両河川に囲まれた 自然に恵まれたところに位置し 旧市街地と新興住宅地が点在する地域にあります 平成 3 年 ( 旧 ) 平田幼稚園の一室を借りて開園し 翌年 3 月 日夏町の現在地に移りました 今年

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

愛媛県学力向上5か年計画

文 研究ノー続期に育てるものは保育室 教室環境, 生活時程論Shiraume Gakuen University カリキュラムが, その点についてどのように試みられているかを整理する これらの自治体では, 幼保小の交流や接続を見通した取り組みが, 全ての園 学校を対象として接続期の教育課程を作成し,

(4) ものごとを最後までやり遂げて, うれしかったことがありますか (5) 難しいことでも, 失敗を恐れないで挑戦していますか

2 単元の目標 廿日市市 についての魅力を目的意識や相手意識を明確にして地域内外に発信することができる 自分たちの住む 廿日市市 に愛着をもつことができる 3 単元の評価規準 学習方法 自分自身 他者や社会 課題発見力 思考力 判断力 表現力 主体性 自らへの自信 対象と積極的にかかわる中で, 課題

地域の幼児教育の拠点となる幼児教育センターの設置及び「幼児教育アドバイザー」の育成・配置に関する調査研究 実施報告書(2年次)(4)

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

Taro-自立活動とは

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難聴児童の伝える力を 高めるための指導の工夫 -iPadを活用した取り組みを通して-

なぜ, スタートカリキュラム? 子供のこんな思いに応えることができます! 小学校ってどんなところかな? 友達できるかな? 楽しいといいな! 園ではいろいろなことをしてきたよ 学校ではどんなことをするのかな? 早く知りたい, やってみたい! お兄さん, お姉さんはすごいな あんなふうになりたいな! 私

H26研究レポート一覧(6年研)変更2017.3.22

に 子どもの意欲を尊重する という態度を保護者が取ることで の 学びに向かう力 を育て さらにそれが基本になって 文字 数 思考 を育てるという結果がみられた 4 に保護者が子どもの 思考を促す 態度を取ることが 子どもの 学びに向かう力 や 文字 数 思考 の育ちにおいて大事な役割を果たしているこ

Microsoft Word - aglo00003.学力の三要素

【参考資料1】審議のまとめ反映版

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

新学習指導要領の理念と カリキュラム マネジメント 2019( 平成 31) 年 1 月 16 日 文部科学省 3 階講堂 天笠茂 ( 千葉大学特任教授 )

教育 学びのイノベーション事業 ( 平成 23~25 年度 ) 総務省と連携し 一人一台の情報端末や電子黒板 無線 LAN 等が整備された環境の下で 教科指導や特別支援教育において ICT を効果的に活用して 子供たちが主体的に学習する 新たな学び を創造する実証研究を実施 小学校 (10 校 )

2年生学級活動(性に関する指導)指導案

2、協同的探究学習について

平成 30 年 6 月 8 日 ( 金 ) 第 5 校時 尾道市立日比崎小学校第 4 学年 2 組外国語活動 指導者 HRT 東森 千晶 JTE 片山 奈弥津 単元名 好きな曜日は何かな? ~I like Mondays.~ 本単元で育成する資質 能力 コミュニケーション能力 主体性 本時のポイント

平成 21 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 21 年 10 月 2 日 ( 金 ) 教務部 平成 21 年 4 月 21 日 ( 火 )AM8:50~11:50 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (95 名 ) 教科に関す

資料6 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の再整理イメージ(たたき台)

[2007版] 平成23年度 全国学力・学習状況調査の結果概要(01 小・・

41 仲間との学び合い を通した クラス全員が学習に参加できる 授業づくり自分の考えを伝え 友達の考えを聞くことができる子どもの育成 42 ~ペア グループ学習を通して~ 体育における 主体的 対話的で深い学び を実現する授業づくり 43 ~ 子どもたちが意欲をもって取り組める場の設定の工夫 ~ 4

総合的な学習の時間とカリキュラム・マネジメント

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とで児童に活動の見通しを持たせ, 自分で課題を立て情報を集め整理し, 発表する等に取り組めるようにしていきたい 調査計画の場面では, 目的に照らしてどのような調査をしていくことがよいのか児童にしっかりと考えさせたい 例えば, データはどう集めたらよいのか, アンケートを実施する場合には, 誰にアンケ

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

2 具体的な指導内容について 各教科等を合わせた指導 としては これまで 特別支援学校 ( 知的障害 ) において 日 常生活の指導 生活単元学習 遊びの指導 作業学習 等が実践されています 1 日常生活の指導 日常生活の指導は 児童生徒が毎日の生活で繰り返す様々な活動を 日常の生活の流れにそって働

学校評価保護者アンケート集計結果 2 学校は 防災や防犯についての体制作りや情報収集を適切に行っている 十分 おおむね十分 やや十分 不十分 分からない 不明

平成 30 年度なごや小学校努力点推進計画 1 研究主題なかまとともに感性輝くなごやっ子 (1 年次 ) 2 研究主題について本校では 昨年度までの努力点研究において 道徳や特別活動の時間を中心に 子ども一人一人の成長と互いの認め合いをめざすことで 子ども自らが なごや小でよかった と感じられるよう

環境 体制整備 4 チェック項目意見 事業所評価 生活空間は 清潔で 心地よく過ごせる環境になっているか また 子ども達の活動に合わせた空間となっているか クーラーの設定温度がもう少し下がればなおよいと思いました 蒸し暑く感じました お迎え時に見学させて頂きますが とても清潔だと思

いろいろな衣装を知ろう

Microsoft Word - 全国調査分析(H30算数)

幼稚園 保育所ができること 一緒にやりましょう! 幼稚園 保育所は 子ども同士がふれあう以外に 保護者同士が交流できる場でもあります ここでは 各幼稚園 保育所が保護者と連携するとともに 保護者同士のふれあい つながりづくりに向けた取組みを記載しています 1 ( 幼稚園 保育所 ) 幼稚園 保育所と

Taro-スタートカリキュラムの意義

幼児教育とは: 幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改訂を受けて

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目 次 1 実施方針策定の趣旨 P. 1 2 振興計画に基づく取組みと求められる対応 P. 1 (1)Ⅰ 期期間中の取組み (2) 新制度のもと求められる対応 3 当面の実施方針 P. 2 (1) 基本となる考え方 (2) 当面の実施方針 4 新制度のもとでの市立幼稚園 P. 3 (1) 市立幼稚園

2 各教科の領域別結果および状況 小学校 国語 A 書くこと 伝統的言語文化と国語の特質に関する事項 の2 領域は おおむね満足できると考えられる 話すこと 聞くこと 読むこと の2 領域は 一部課題がある 国語 B 書くこと 読むこと の領域は 一定身についているがさらに伸ばしたい 短答式はおおむ

1

学習指導要領の趣旨を実現する授業づくりのポイント

国語の授業で目的に応じて資料を読み, 自分の考えを 話したり, 書いたりしている

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる

目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

Transcription:

2 円滑な接続を行うために (1) 円滑な接続のために取り組むこと 幼児教育と小学校教育の円滑な接続のためには 以下の 4 つのポイントを押さ えながら取り組むことが重要です ポイント 1: 幼児教育と小学校教育の特徴や違いを理解する ポイント 2: 接続期に育みたい子どもの姿 を設定 共有する ポイント 3: 円滑な接続を意識してカリキュラムを作成する ポイント 4: カリキュラムをもとに保育 教育活動 幼児児童の交流を進めるとともに カリキュラムの見直し 引き継ぎを行う 以下ポイントごとに具体的にどのようなことに取り組むことが重要か示します 3

ポイント 1: 幼児教育と小学校教育の特徴や違いを理解する 保幼小の円滑な接続に向けて まずは 幼児教育と小学校教育の特徴や違いを理解することが重要です 幼児教育 幼児期の教育では 幼児の自発的な活動としての 遊び を通して 様々な体験や学びの芽生えを積み重ねることができるよう 保育者が環境を構成し 一人ひとりに応じた総合的な教育活動を行っています 特徴 基本的な生活の単位が 1 日 興味 関心に応じた時間の配分により生活する 遊びを通して総合的に学ぶ ( 体験 経験による学び ) 保育 教育活動の ねらい は 方向性 を意味する 保育者が環境を構成しながら 幼児の環境へのかかわり方を支援する 一人ひとりの興味 関心に基づき活動が展開されるため 個やグループでの遊びや学びが多い 小学校教育 小学校では 各教科等の目標の到達を目指して 適切な教育課程を編成し 決められた時間割に基づき 教科書等の教材を用いて各教科等の内容を計画的に学習していきます 特徴 45 分を1 単位とする 時間割に基づいて生活や学習をする 教科を中心に系統的に学ぶ ( 体験を論理的思考につなげる学び ) 授業の ねらい は 到達度 を意味する 教科書等の教材を用いて教師の指導助言により学習を進める 教師が全員に共通の教材や場を設定し 学級集団で学ぶことが多い 4

ポイント 2: 接続期に育みたい子どもの姿 を設定 共有する 幼児教育と小学校教育の特徴や違いを理解した上で 幼稚園等と小学校の教職員が 接続期にどのような子どもを育みたいかを設定 共有することが重要です このように 両者が同じ子どもの姿を共有しながら 保育 教育活動を行うことで一貫性 系統性のある活動につながります 1 接続期の考え方 時期本手引きは 幼稚園等と小学校の 学びや生活の環境に大きな開きがあり 保育 教育活動 指導の一貫性 系統性を特に意識する必要があると考えられる 5 歳児の10 月から小学校 1 年生の 7 月までを 接続期 としています 幼児教育と小学校教育をつなぐ接続期は 単なる小学校教育への準備期間や馴れるための期間として捉えるものではなく 幼稚園等の経験や活動が小学校の生活や学びに適切につながっていくよう 幼児期と児童期の接続をお互いに意識する期間です 特に 幼児教育においては 小学校教育の先取りをするのではなく 幼児期にふさわしい生活が行われ 発達に必要な豊かな経験が得られるよう 見通しをもって 保育 教育を行う必要があります 0 歳 1 歳 2 歳 3 歳 4 歳 5 歳 1 年生 2 年生 3 年生 4 年生 5 年生 6 年生 保育所 認定こども園 小学校 3 幼稚園 市町によっては 幼稚園等の年齢が異なる場合があります 2 接続期に育みたい子どもの姿 について本手引きでは 接続期に育みたい子どもの姿 として 幼稚園等や小学校の違いから 小学校入学時 子どもたちの生活 学びに問題が生じやすく 円滑な接続を意識した保育 教育活動 指導を行う必要がある事柄 小学校以降の生活 学びを円滑に行っていくために 小学校 1 年生 7 月頃までに身に付けておきたい事柄について どの時期にどのような姿を育みたいかを整理しました 次頁に一覧表を載せています 5

接続期に育みたい子どもの姿 5 歳児 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 1 年生 4 月 5 月 6 月 7 月 健康で安全な生活を 手洗い うがいなどの生活習慣が身に付くようになる 必要なときに自分の意思で手洗い うがいなどができる 送る 決まった時間にトイレに行く 休み時間にトイレに行き 排せつをすませる 食べ物に関心をもち 好き嫌いなく食べようとする 食べ物や栄養に関心をもち 何でも食べようとする 自分の身を自分で守ろうとする 危険がわかり 危険から身を守ろうとする いろいろな遊びのなかで十分に体を動かし 様々な活動に楽しんで取り組む 体を動かす楽しさや喜びを味わい いろいろな動きを楽しむ 自立の芽生え 自分のことは自分で 一日の生活の流れの見通しをもつようにする 時間割やチャイムに合わせて行動する する 進んで衣服の着脱などの身支度をしようとする 自分で身支度をする 自分の持ち物を整理整頓する 学習用具の準備や持ち物の管理が自分でできるようにする まなぶ力 人とかかわる 自分からあいさつをする 周りの人にすすんであいさつをする 話している人をみて話を聞いたり 自分の思いを話したりする 場に応じた聞き方や話し方がわかり 人の話を最後まで聞いたり 自分の考えを相手にわかるように話したりする 好奇心や探究心をも 手で触ったり 繰り返してやってみたり 繰り返して比べたりし 学校生活や授業で幼児期に育んだ体験を生かす ってものとかかわる ながら これまでの体験と関連づけて考える いろいろなものに関心をもち 考えたり 工夫したりして遊ぶ 学習や学校生活での課題の解決に自ら取り組もうとする 文字や数字に興味 ひらがなや漢字などを学び 本を読んだり 文章を書い 関心をもつ 遊びのなかで 文字や数にふれ興味や関心をもつ たり 計算したりする 感じたことや考えたことを表現する自己肯定感ややり抜く力を高める友だちと協同して取り組む 思ったことや感じたこと イメージしたことなどを 言葉や身体で表現する友だちや先生の励ましや助けをかりて自分でやり遂げた満足感を味わい自己肯定感を高める進んで友だちとかかわり 互いのよさを認め合おうとする 言葉や絵 動き 文章など様々な方法で 自分の表したいことを表現するめあてをもって最後まで挑戦し 達成感をもつ友だちと一緒に活動する中で お互いを理解し 仲良く助け合おうとする 豊かな心 命を大切にする 親しみやすい動植物に触れる機会をもち いたわったり大切にしたりする気持ちをもつ 動植物の世話などを通して 命の大切さに気づき大切に世話をしようとする 善悪を判断し 約束 してよいことと悪いことがわかる してはいけないことを自分で判断する を守る きまりの必要性がわかり きまりを守りながら生活する 学校のきまりがわかり してよいことと悪いことを判断しながら行動する 6

3 接続期に育みたい子どもの姿 に係る 3 つの柱について 接続期に育みたい子どもの姿 について その内容等を踏まえ 以下の通り 3 つの柱に整理分類しました 1) 自立の芽生え 小学校に入学すると 自ら 身の回りを清潔にしたり 危険なことがわかって回避して行動したりする 自ら 整理整頓したり 規則正しい生活を送ったりする 時間割に沿って行動したり 授業中集中して先生の話を聞いたりするなど 健康で安全な生活を送ったり 学びを円滑に進めたりするために 身の回りのある程度のことを自らの意思で支援者の援助なく行うことが求められます このため このような事柄を 自立の芽生え として整理しました 2) まなぶ力 小学校に入学すると 国語や算数等の教科学習が始まります 民間の調査研究によれば 年長児期の 言葉 の力 ( 自分のことばで順序をたてて 相手にわかるように話せる など ) が小学校 1 年生での 学びに向かう力 ( 協調性 がんばる力など ) 文字 数 思考 につながっているという研究結果もあります 幼稚園等での経験や学びが小学校での学びに円滑につながるよう お互いの学びを意識した保育 教育活動 指導を行っていく必要があります このため 小学校以降の確かな学力につながる事柄を まなぶ力 と整理しました 3) 豊かな心 小学校では 学級単位の活動や グループ学習 係活動など 集団での活動が増えます このため 共通の目的をもって友だち同士で協力して物事に取り組むことがこれまで以上に求められます また 命を大切にする心や道徳性 規範意識を涵養することをはじめ 最後まであきらめずやり遂げようとする力を育んだり やり遂げたことなどに伴って自己肯定感を高めたりすることも 子どもたちが生涯にわたって幸福な人生を自ら作り出していく上で重要です このような 子どもたちの心の健全な発達に関わる事柄を 豊かな心 と整理しました 自立の芽生え 健康で安全な生活を送る 自分のことは自分でする 人とかかわる まなぶ力 好奇心や探究心をもってものとかかわる 文字や数字に興味 関心をもつ 感じたことや考えたことを表現する 豊かな心 自己肯定感ややり抜く力を高める 友だちと協同して取り組む 命を大切にする 善悪を判断し 約束を守る 7

4 接続期に育みたい子どもの姿 の設定 共有について幼稚園等と小学校の教職員間で 本冊子における 接続期に育みたい子どもの姿 (6 頁 ) を参考にしながら 子どもたちの実態を踏まえ 接続期に育みたい子どもの姿 について話し合います 1) 保幼小の教職員間の話し合いの場接続期に育みたい子どもの姿を設定 共有するための保幼小の教職員間の話し合いの場としては 幼稚園等の保育参観や小学校の授業参観 行事への参加の機会をはじめ 小学校区等での引き継ぎの機会などが考えられます 特別な場を設定することもあるかもしれませんが 既存の場がある場合は 活用するよう工夫してください 2) 子どもたちの実態の把握育みたい子どもの姿を設定してカリキュラムを作成したり 具体の保育 教育活動 指導を行ったりするに当たっては 子どもたちの実態を踏まえることが重要です 実際の子どもたちの活動の様子や 教職員等が子どもたちにどのように関わっているかを直接見ることで どのようなところで困っていてどのように声かけなどを行っているのか 子どもたちがどのように成長しているのか などを具体的に知ることができ 今後の保育 教育活動 指導に生かすことができます 幼稚園等の保育参観や小学校の授業参観等の機会を通じて 子どもたちの実態把握に努めてください 8

ポイント 3: 円滑な接続を意識してカリキュラムを作成する 接続期に育みたい子どもの姿 の実現を目指し 教職員は 具体の保育 教育活動を進めていく必要があります 保育 教育活動を進めていくに当たっては 各幼稚園等 小学校で作成するカリキュラムに円滑な接続に資する内容を盛り込んでいくことで 計画的に取組を進めていくことができます 1カリキュラムの作成について幼稚園等と小学校の教職員間で共有した 接続期に育みたい子どもの姿 を意識しながらカリキュラム等を作成します 子どもの実態を踏まえて 保育 教育活動や指導の工夫を取り入れたカリキュラムを作成してください 12 頁から円滑な接続のための保育 教育活動 指導の工夫例を示していますので参考にしてください その際 成長の姿を週や月の単位ではっきりさせる 成長の姿に合った保育内容や単元 ( 合科 関連など ) を配列する 保育内容や単元計画に基づいた学習活動を週の計画として時間配分することを意識して作成してください < 参考 : スタートカリキュラムスタートブック > 平成 26 年度に国立教育政策研究所が スタートカリキュラムスタートブック を作成しています ス タートカリキュラムは 小学校へ入学した子どもが 幼稚園 保育所 認定こども園などの遊びや生活 を通した学びと育ちを基礎として 主体的に自己を発揮し 新しい学校生活を創り出していくためのカリ キュラム であり このスタートブックは スタートカリキュラムの編成の仕方 進め方をまとめたもの です 特に生活科を中心とした スタートカリキュラムの中で 合科的 関連的な指導も含め 子どもの生活 の流れの中で 幼児期の終わりまでに育った姿が発揮できるような工夫を行いながら 総合的に育まれた 資質 能力等を徐々に各教科等の特質に応じた学びにつなげていくことが必要です スタートカリキュラムの参考として スタートカリキュラムスタートブックを活用して ください また 国立教育政策研究所幼児教育センターにおいては スタートカリキュラムスター トブックの他 幼児教育に関する情報等が掲載されています 参考にしてください 国立教育政策研究所幼児教育センター http://www.nier.go.jp/youji_kyouiku_kenkyuu_center/information.html ポイント 4: カリキュラムをもとに保育 教育活動 幼児児童の交流を進めるとともに 見直し 引き継ぎを行う 9

ポイント 4: カリキュラムをもとに保育 教育活動 幼児児童の交流を進めるとともに カリキュラムの見直し 引き継ぎを行う 円滑な接続を意識してカリキュラムを作成したら カリキュラムをもとに実際の 保育 教育活動 指導を行います 1 幼児児童の交流ポイント2で述べたように 保幼小の教職員間で交流を行うことも重要ですが 教職員だけでなく 幼児児童が交流を行っていくことも保幼小の円滑な接続を図る上で重要です 子どもたちが 入学前から小学校を訪問するなどの交流の機会を設けることは 子どもたちの入学への不安を解消し 小学校生活への意欲につなげることができます また 小学校の子どもたちにとっては 幼稚園等の幼児に関わることで 小さい子どもへの関わり方等を学んだり 自分たちの成長を感じたりすることにつながります 接続期に育みたい子どもの姿や子どもたちの実態を踏まえながら 効果的な交流となるよう心掛けて取り組んでください 2カリキュラムの見直し 引き継ぎカリキュラムは作成されて終わりではなく 次年度以降に向けて見直しや引き継ぎが適切に行われることが重要です カリキュラムに基づく保育 教育活動 指導を行って成果や課題があれば把握しておき 改善すべき点は 小学校であれば 長期休業後の学校生活への適応に向けて, 実際の指導に生かしましょう また カリキュラムはデータ等で共有できるようにしておき 次年度のカリキュラム作成時の参考にしましょう 10