TDK SPICE Netlist Library を OrCAD Capture,PSpice で使用する方法 TDK 株式会社アプリケーションセンター江畑克史 Oct. 01, 2008 AN-NL08B002_ja はじめに TDK では, 各種受動電子部品の SPICE モデル集 TDK SPICE Netlist Library を公開しております. TDK SPICE Netlist Library に含まれるモデルは標準的な SPICE ネットリスト形式で記述されていますので, 多くの回路シミュレータでご使用いただくことができます. 本アプリケーションノートでは, TDK SPICE Netlist Library を Cadence Design Systems 社の OrCAD Capture, PSpice で使用する方法についてご説明いたします. 操作手順 に絵文字で記されています. ACH3218-220 は 3 つの端子を有し, 端子 1 と端子 2 は信号入出力端子, 端子 3 はグランド端子であることが記されています. また, サブサーキット名は,".SUBCK T" の後に続く文字列であり, この例では "ACH3218_220" です. なお, アレイ品の場合など, ネットリストファイル中に複数のサブサーキットが存在する場合がありますが, その場合は一番最初に記述されているサブサーキットがその部品全体を表します. step 2: ライブラリファイルの作成 step 2 では, ライブラリファイルの作成とパーツの登録を行いま 本アプリケーションノートでは, 操作手順を 4 つの step に分けて, 順を追ってご説明いたします. 例として 3 端子フィルタ (ACH3218-220) のモデルを用います.TDK 技術支援ツールの web サイト (http://www.tdk.co.jp/tvcl) より, ネットリストファイル ("ACH3218-220.mod") をあらかじめダウンロードしておきます. 図 1-1 ネットリストファイルの保存 なお, 本アプリケーションノートにて示されている方法は, OrCAD R15.7( 評価版 ) を使用した場合の方法です. その他のバージョンには適用できない場合があります. また, お客様の環境によりご使用できない場合があります. 予めご了承ください. step 1: ネットリストファイルの準備 step 1 では, ダウンロードしたネットリストファイルを所定のディレクトリに保存します. また, その内容を確認します. 1-1 ネットリストファイルを所定のディレクトリに保存します. どのディレクトリでも良いのですが, ここでは Capture のインストールディレクトリに保存することにします."C:\OrCAD\OrCAD_15.7_Dem o\tools\capture\library\pspice" フォルダを開き,"TDK" というディレクトリを作成し, そこにネットリストファイルを保存します.( 図 1-1 参照.) 1-2 ネットリストファイルをテキストエディタで開き, その内容を確認します. 図 1-2 に ACH3218-220 のネットリストファイルを示します. 確認項目は, 外部ノードの割当てとサブサーキット名の 2 点です. 外部ノードの割当ては, External Node Assignments の欄 * SPICE Netlist Generated by TDK Corporation * TDK P/N: ACH3218-220 (3-Terminal Filter) * Property: 25dB Att. Freq. Range = 600 to 700 [MHz] * Model Generated on Dec. 22, 2006 * External Node Assignments: * * 1 ---@@@-+-@@@--- 2 * * === * * 3 * [GND] *.SUBCKT ACH3218_220 1 2 3 C11 11 12 190f C12 12 13 190f C21 3 15 22p L11 11 12 150n L12 12 13 150n L21 12 14 1.4n R11 11 12 50 R12 12 13 50 R21 14 15 600m R31 1 11 25m R32 2 13 25m R41 3 15 10G.ENDS ACH3218_220 サブサーキット名 外部ノードの割当て 図 1-2 ACH3218-220 のネットリストファイル 1
す. 2-1 Capture を起動し, メニューバーより File>New>Library を選択するとプロジェクトツリー中に新しいライブラリが作成されます. これを右クリックして Save As... を選択し,"TDK.olb" という名前で, ネットリストファイルと同じディレクトリ ("C:\OrCAD\OrCAD_15.7_D emo\tools\capture\library\pspice\tdk") に保存します. その後, メニューバーより,Tools>Generate Part... を選択し,Generate Part ウィンドウを開きます.( 図 2-1 参照.) 2-2 Generate Part ウィンドウの Netlist/source file の Browse... ボタンをクリックし,step 1 で準備したネットリストファイルを選択します.TDK のネットリストファイルの拡張子は,"mod" です.Netlist /source file type は,PSpice Model Library を選択します.Destina tion part library では, 2-1 で保存したライブラリファイルを指定します.( この例では,"C:\OrCAD\OrCAD_15.7_Demo\tools\captu re\library\pspice\tdk\tdk.olb".)implementation name では,st ep 1 で確認したサブサーキット名を選択します.OK ボタンを押すと, パーツ ( この場合は,"ACH3218_220") がシンボルファイルに登録されます.( 図 2-2 参照.) なお,olb ファイルの作成時には, ログファイル ( 拡張子 :".err") が生成されます. うまくいかない場合には, ログファイルを開いてエラー内容を確認します. step 3: シンボルファイルの編集 step 2 にてパーツを登録する際に, シンボルが自動的に作成されますが, 実際の部品のイメージとはかけ離れています.step 3 1) File>New>Library を選択 3) Tools>Generate Part... を選択 では, これを分かりやすく編集します. 3-1 プロジェクトツリーにて,step 2で登録したパーツ ("ACH3218_ 220") のアイコンをダブルクリックし, シンボル編集ウィンドウを開きます.( 図 3-1 参照.) 3-2 step 2にて自動生成されたシンボルが現れますが, 実際の 2) 右クリックし, TDK.olb として保存 図 2-1 ライブラリの作成 1) ネットリストファイルを読み込む ダブルクリックしてシンボル編集 図 3-1 シンボル編集ウィンドウを開く 2) PSpice Model Library を選択 3) 2-1 で保存したファイルを選択 黒字は Pin Numer. ここでは不要. 青字は Pin Name. これと外部ノード割当てを対応させる. 4) 1-2 で確認したサブサーキット名を選択 図 2-2 Generate Part ウィンドウの操作 図 3-2 自動生成されたシンボル 2
部品のイメージとはかけ離れているので, これを編集します. シンボル中には, 青字と黒字の2 種類の数字が示されています. 違いがわかりにくいですが, 青字は Pin Name, 黒字は Pin Number を表しています. 重要なのは青字で示されている Pin Name であり, これとネットリストの外部ノードの割当てとが対応しています.( 図 3-2 参照.) 3-3 シンボル中の pin の位置や向きを, ネットリストファイル中の外部ノード割当てと同じ端子配置になるように変更します. また, パーツ名の位置も変更します.( 図 3-3 参照.) 3-4 Place メニューの中の Line や Arc を使うとシンボル中に直線や円弧を挿入できるので, これらを用いてフィルタのシンボルを作成します.Options>Part Properties を選択するとプロパティー編集ウィンドウが開き,Pin Name や Pin Number を非表示にすること ができます. 最終的に, わかりやすい形のシンボルを作成します. ( 図 3-4 参照.) step 4: パーツを Capture,PSpice で使用する step 3 までの作業で,Capture,PSpice 用のライブラリが作成されました. 作成したライブラリを Capture,PSpice に登録してパーツを使用できるようにします. 4-1 デザインウィンドウにて, メニューバーから Place>Part... を選択して,Place Part ウィンドウを開きます.( 図 4-1 参照.) 4-2 Place Part ウィンドウの Libraries の欄には, 登録済みのライブラリが記されています.Add Library... ボタンを押し, 作成したライブラリファイル ( TDK.OLB ) を選択します, TDK ライブラリが Libraries の欄に登録され,Caputure で使用できるようになります. Part List 中のパーツ名をクリックして OK をクリックすると部品が 選択状態になり, デザインウィンドウに貼り付けることができます. ( 図 4-2 参照.) 4-3 デザイン上に貼り付けたシンボルは, フィルタのイメージを表しており, とても見易くなっています.( 図 4-3 参照.) 4-4 ネットリストファイルを PSpice に読み込ませる設定をします. Pin Name の位置と向きを変更する 1 ---@@@-+-@@@--- 2 === 3 [GND] Place>Part より,Place Part ウィンドウを開く 図 4-1 Place Part ウィンドウを開く 図 3-3 Pin の位置や向きを変更する 1)Place メニューの中の Line や Arc を使い, フィルタのシンボルを作成する. 2) Options>Part Prop erties よりプロパティー編集ウィンドウを開き,Pin Name や Pi n Number を非表示にする. 2)Part 名をクリックすると, デザイン上に貼り付けできる 1)Add Library より, TDK.OLB を登録する 図 3-4 フィルタのシンボルを作成する 図 4-2 OLB ファイルの登録 3
1)Configuration Files にて, Library を選択する 2)Browse より, ネットリストファイル ( ACH3218-220. mod ) を開く. 3)Add to Design( または,A dd to Global) より, ネットリストファイルを登録. 図 4-3 デザインに貼り付けたシンボル 図 4-4 ネットリストファイルの登録 Simulation Settings ウィンドウにて,Configuration Files タブを開きます.Category の欄は Library を選択します.Browse... をクリックし, ネットリストファイルを指定し,Add to Design( または,Add to Global) をクリックしてネットリストファイルを登録します. ネットリストを PSpice に読み込ませるための設定はこれだけです. その他のシミュレーション条件を設定して解析を行います.( 図 4-4 参照.) 最後に TDK SPICE Netlist Library を OrCAD Capture,PSpice で使用する方法についてご説明いたしました. この方法を応用すれば複数の部品を登録したライブラリも作成することができ, より便利に使うことができます.OrCAD Capture,PSpice の使用方法については, 販売元へ直接お問合せください. なお, 本資料の記載内容についてのお問合せは受付けておりません. 4
ご注意! 本アプリケーションノートに記載されているデータ, および TDK SPICE Netlist Library に収録されているデータは, 製品の特性を保証するものではありません.! 本アプリケーションノートに記載されている内容や TDK SPICE Netlist Library を使用することにより生じる損害につきまして,TDK は一切の責任を負いません.! 本アプリケーションノートに記載の内容は,2008 年 9 月現在のものです.! 本アプリケーションノートおよび TDK SPICE Netlist Library に記載の内容は, 今後改良等のために予告なく変更することがあります.! OrCAD,PSpice は,Cadence Design Systems, Inc. の登録商標です. 5