国内再生可能エネルギーからの水素製造の展望と課題 第 2 回 CO2フリー水素ワーキンググループ水素 燃料電池戦略協議会 216 年 6 月 22 日 日本エネルギー経済研究所 柴田善朗 Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 1
電解水素製造の経済性 再エネからの水素製造 - 余剰電力の特定 - 再エネの水素製造への利用方法 エネルギー貯蔵としての再エネ水素 まとめ Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 2
電解水素製造の経済性 Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 3
電解水素製造コスト 現在 1Nm 3 の水素製造に最低でも 5kWh の電力投入が必要であることから 電力代だけで 1 円 /Nm 3 を超える可能性も 投入電力単価の低減 電解水素製造原単位の低減 電解設備費の削減の全てが必要 また 電解装置の設備利用率向上も課題 円 /Nm 3 2 16 12 8 4 171 電解設備利用率の感度 電力代 固定費 12 電力単価 :13.6 円 /kwh 89 83 8 円 /Nm 3 2 16 12 8 4 電力単価の感度 参考値 電灯 :28 円 /kwh(214 年度 ) 1 電力 :16~2 円 /kwh (214 年度 ) 1 PV( メガ ) :21. 11. 円 /kwh(214 23) 2 PV( 住宅 ):27.3 12.3 円 /kwh( 214 23 ) 2 風力 :15.6 9.8 円 /kwh( 214 23 ) 2 出所 1: エネルギー 経済統計要覧 2: 発電コスト検証 WG 資料 電力単価 :2 円 /kwh 15 円 /kwh 1 円 /kwh 5 円 /kwh 円 /kwh 1% 3% 5% 7% 9% % 2% 4% 6% 8% 1% 電解装置の設備利用率電解装置の設備利用率 Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 4
[FCV の車体価格 : 万円 ] 求められる水素の価格水準 求められる水素の価格は 用途や競合技術によって大きく異なる ライフサイクルコストにおける FCV の対ガソリン車ブレークイーブン条件 水素発電 ( 専焼 ) コスト 円 /kwh 35 3 35 3 石油火力の水準 25 2 15 25 2 15 水素発電コスト ( 発電効率 :5%) 水発電コスト ( 発電効率 :6%) 1 5 FCV 燃費 2km/Nm 3 (=61km/L-gaso) 15km/Nm 3 (=46km/L-gaso) 1km/Nm 3 (=3km/L-gaso) 1 5 LNG 火力, 石炭火力の水準 5 1 15 [ 水素価格 : 円 /Nm 3 ] 2 4 6 [ 水素価格 : 円 /Nm 3 ] 注 : 被代替車はガソリン車で価格 2 万円, 燃費 15km/L, ガソリン価格 15 円 /L 年間走行距離 1,km 13 年間利用を想定 注 : 発電設備は設備利用率 =5% 水素発電の建設コストは LNG 火力と同例ベルを想定 Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 5
電解水素製造コスト目標別の達成条件 1 円 /Nm 3 が目標の場合は 投入電力単価が 15 円 /kwh 程度であれば 現状の技術水準でも可能 ただし 5% 近くの設備利用率が要求される 出力変動型再エネ利用の場合は設備利用率が低くなるため 設備費と製造原単位の大幅な低減が必要 3 円 /Nm 3 が目標の場合は 更に 投入電力単価は 5 円 /kwh 以下が求められる 水素製造コスト目標 =1 円 /Nm 3 ( FCV への販売価格 ) 電解設備費 : 万円 /(Nm3/h) 45 4 35 3 25 2 15 1 5 設備利用率 :5% 設備利用率 :1% 5 円 /kwh( 電力単価 ) 1 円 /kwh 15 円 /kwh 2 円 /kwh 25 円 /kwh 現状 水素製造コスト目標 =7 円 /Nm 3 電解設備費 : 万円 /(Nm3/h) 3 25 2 15 1 5 設備利用率 :5% 設備利用率 :1% 5 円 /kwh 1 円 /kwh 15 円 /kwh 現状 水素製造コスト目標 =3 円 /Nm 3 ( 輸入水素 CIF 価格 ) 電解設備費 : 万円 /(Nm3/h) 14 12 1 8 6 4 2 設備利用率 :1% 設備利用率 :5% 設備利用率 :1% 5 円 /kwh( 電力単価 ) 現状 技術開発の方向性 2. 3. 4. 5. 6. 電解水素製造原単位 (kwh/nm3) 2 円 /kwh 2. 3. 4. 5. 6. 電解水素製造原単位 (kwh/nm3) 2. 3. 4. 5. 6. 電解水素製造原単位 (kwh/nm3) Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 6
再エネからの水素製造 - 余剰電力の特定 - Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 7
我が国の余剰電力規模 系統対策の動向によって余剰電力量は大きく異なる 我が国において太陽光 6,4 万 kw+ 風力 1, 万 kw ( ) 導入の場合で 余剰電力は 4 ( 5%)~22 ( 25%) 8~44 億 Nm 3 の水素 ただし 余剰電力の負荷率は 最も大きい地域でも 3%~1% 長期エネルギー需給見通し ( 骨子 ) 案 の電源構成に基づく なお 216 年 1 月末時点の累積導入量は PV 約 3, 万 kw 風力約 3 万 kw 再生可能エネルギーからの余剰電力量 6 5 4 3 2 1 PV( 万 kw) 1, 7, 5, 注 : 地域間連系線 揚水発電を最大限活用できる場合 5-6 5-6 4-5 4-5 3-4 3-4 2-3 1-2 -1 3, 風力 ( 万 kw) 3 25 2 15 1 5 余剰電力の負荷率 系統対策別の余剰電力規模 全国導入規模 =PV6,4 万 kw+ 風力 1, 万 kw 対策無し 25% 揚水発電の最大限活用 14% 揚水発電 + 地域間連系線の最大限活用 注 : 連系線も揚水も設備増強無し 運用面での最大限活用を想定 ただし 設備増強は無し ~1% ~6% ~3% 5% Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 余剰割合 出所 : 柴田, 再生可能エネルギーからの水素製造の経済性に関する分析, エネルギー経済 (215) 及び 柴田, 我が国における Power to Gas の可能性, エネルギー経済 (216) をベースに推計 3% 25% 2% 15% 1% 5% % 8
我が国の余剰電力規模 ( 地域別 ) 12 1 8 6 4 12 1 余剰割合 PV47 万 kw+ 風力 11 万 kw 6% 5% [ 中国 ] 8 4% 6 3% 4 2% 2 1% 3% % % % 負荷率 1% % % 余剰割合 PV16 万 kw+ 風力 13 万 kw 57% [ 九州 ] 6% 5% 4% 35% 3% 16% 2% 12 1 余剰割合 PV9 万 kw+ 風力 5 万 kw 12 6% 1 [ 北陸 ] 5% 8 4% 6 3% 4 2% 9% 2 7% 7% 1% PV5 万 kw+ 風力 5 万 kw 余剰割合 % 6% 負荷率 2% 2% 2% 5% [ 関西 ] 8 4% 6 3% 19% 4 2% 2 1% % % % 負荷率 3% % % 12 12 1 12 1 余剰割合 PV27 万 kw+ 風力 12 万 kw 6% 5% 8 37% 4% 6 3% 4 19% 2% 8% 2 1% % 負荷率 1% 5% 2% 余剰割合 PV95 万 kw+ 風力 31 万 kw 6% 5% [ 東北 ] [ 北海道 ] 8 4% 6 32% 3% 25% 4 2% 2 % 1% % 負荷率 7% 6% % 余剰割合 PV145 万 kw+ 風力 5 万 kw 6% 2 負荷率 1% 6% 3% 1% % 1 8 6 [ 東京 ] 5% 4% 3% 12 1 余剰割合 PV23 万 kw+ 風力 5 万 kw 6% 5% [ 四国 ] 8 4% 6 28% 3% 4 15% 2% 2 6% 1% % 負荷率 6% 3% 1% 12 1 余剰割合 PV78 万 kw+ 風力 12 万 kw 6% 5% [ 中部 ] 8 4% 6 3% 4 2% 2 1% 1% % % % 負荷率 % % % 4 2 6% % % 負荷率 1% % % 凡例 対策無し揚水発電の最大限活用揚水発電 + 地域間連系線の最大限活用 注 連系線も揚水も設備増強無し 運用面での最大限活用を想定 長期エネルギー需給見通し ( 骨子 ) 案 の電源構成に基づく 再エネの地域配分は足元の比率に順ずる 2% 1% % Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 9
再エネの水素製造への利用方法 Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 1
余剰電力だけが選択肢ではない 余剰電力ではなく 安定部分の電力 ( 再エネの ) を利用 安定部分電力利用の概念 自然変動型再生可能エネルギー kw 系統へ吸収 余剰電力 風力 + 系統電力の利用の例 風力 + 系統電力とのやり取り で水素製造 ただし CO 2 フリーではない kw 余剰電力型 余剰電力 ( 全量または一部 ) を利用して水素製造 kw 時間 安定部分電力型 安定部分電力を利用して水素製造 黄色面積 = 濃緑色面積 出所 : US Geographic Analysis of the Cost of Hydrogen from Electrolysis, NREL, 211 時間 出所 : 柴田, 再生可能エネルギーからの水素製造の経済性に関する分析, エネルギー経済 (215) 時間 Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 11
安定部分電力利用による水素製造コスト削減 安定部分の電力を用いることで 水素製造コストの大幅な削減が可能 安定部分を利用する場合でも ある程度余剰電力は削減できるが 当然 別途系統対策が必要になる 円 /Nm3 2 電力代固定費 15 1 5-5 -1 北海道 33 2-31 円 /Nm 3 安定部分電力型による水素製造コストの削減効果 設備利用率 =5% 1% 2% 5% 1% 電力代 1 164-153 円 /Nm 3 2 4 6 8 1 12 設備費 ( 万円 /(Nm3/h)) 想定 全国で PV6,4 万 kw+ 風力 1, 万 kw 導入 北海道 :4 の余剰電力のうち 3 を電解に投入と想定 九州 :33 の余剰電力のうち 2 を電解に投入と想定 注 : 設備利用率による固定費の変化を見るために電力代は表記していない 電力代は余剰電力型と安定部分電力型で共通である 出所 : 柴田, 再生可能エネルギーからの水素製造の経済性に関する分析, エネルギー経済 (215) をベースに推計 電力代固定費 円 /Nm3 2 15 1 5-5 -1 2 設備利用率 =5% 26-24 円 /Nm 3 九州 1% 2% 余剰電力型 131 安定部分電力型 5% 1% 13-118 円 /Nm 3 2 4 6 8 1 12 設備費 ( 万円 /(Nm3/h)) Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 12
再エネと電解の設備容量と設備利用率の関係 太陽光 1,kW 風力 1,kW の各々に電解装置を併設するケースを想定 ( 系統を介さず発電電力の安定部分を直接電解装置に投入 ) 太陽光利用の場合は電解設備約 2kW 級 (4Nm 3 /h) で設備利用率 3% 強 (12 万 Nm 3 製造 ) 風力利用の場合は電解設備約 4,kW 級 (8Nm 3 /h) で設備利用率約 4%(3 万 Nm 3 製造 ) [ 北海道 ] [ 東北 ] [ 九州 ] 電解設備利用率 8% 札幌 水素製造量電解設備利用率 (1Nm3) 25 8% 仙台 水素製造量電解設備利用率 (1Nm3) 25 8% 宮崎 水素製造量 (1Nm3) 25 6% 2 6% 2 6% 2 太陽光 4% 15 1 4% 15 1 4% 15 1 2% 5 2% 5 2% 5 % % 2 4 6 8 1, 電解投入最大電力 (kw) 電解設備利用率 8% 稚内 水素製造量電解設備利用率 (1Nm3) 5, 8% % 2 4 6 8 1, 電解投入最大電力 (kw) 蟹田 水素製造量電解設備利用率 (1Nm3) 5, 8% 2 4 6 8 1, 電解投入最大電力 (kw) 平戸 水素製造量 (1Nm3) 5, 6% 4, 6% 4, 6% 4, 風力 4% 3, 4% 2, 3, 4% 2, 3, 2, 2% 2% 1, 2% 1, 1, % 2, 4, 6, 8, 1, 電解投入最大電力 (kw) % 2, 4, 6, 8, 1, 電解投入最大電力 (kw) % 2, 4, 6, 8, 1, 電解投入最大電力 (kw) Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 13
余剰電力型と安定部分電力型の比較 余剰電力型 安定部分電力型 調達電力価格 安価な可能性も 再エネの発電コストと同等 の調達価格になる 調達可能電力量 他の系統対策に影響 再エネ導入量から見通し が可能 電解設備利用率かなり低い高い 系統対策 注 : メリット デメリット 余剰電力の大半を利用することで 系統への影響を大きく回避できる 電力需要の創出につながることから ある程度の余剰電力の削減効果はあるが 別途系統対策が必要 Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 14
エネルギー貯蔵技術としての再エネ水素 Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 15
エネルギー貯蔵技術の競合 棲み分け 蓄電池は短周期に適している PtG は長期間貯蔵が可能 ただし 充放電効率が低い 総合効率と貯蔵期間 蓄エネルギー技術の棲み分け 出所 : ETOGAS smart energy conversion, ETOGAS GmbH, 213 出所 : 柴田, 我が国における Power to Gas の可能性, エネルギー経済 (216) Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 16
まとめ 課題 余剰電力量の不確実性 : 系統対策のあり方に影響 余剰電力の価格設定 ( 水素製造用に買取る場合 ) の不確実性 安定部分電力を利用することで 電解の設備利用率は大幅に向上し 水素製造コストが大幅に削減可能 エネルギー貯蔵技術としては 蓄電池と競合か棲み分けかの判断が必要 Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 17
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