Campus Planning and Management Office Nagoya University 理系施設の省エネ診断結果からみた利用の詳細と省エネ手法 エネルギーマネジメント研究 検討会成果報告会 214.3.13 Kazuhisa Tsunekawa 名古屋大学恒川和久
調査対象建物の位置付け 一次エネルギー消費量原単位量 (M J/ m2 年 ) 9, 8, 7, 特殊実験型 農学部西研究棟 東研究棟 6, 5, 理系非実験 厚生型 4, 中規模 理系実験 1 型 大規模 理系実験 2 型 3, 病院 ホテル等 2, オフィスビル等 1, 文系 事務型 1, 2, 3, 4, 5, 6, 文系 事務型理系 厚生型理系実験 1 型理系実験 2 型 年間一次エネルギー消費量 (GJ/ 年 ) 特殊実験型
調査研究概要 1. 全研究室 教員室のウォークスルー調査特殊機器設置台数 使用状況調査各室の使用時間 在室人数等の実態調査 2. 特殊機器の実測調査 24 時間使用の特殊機器の消費電力量実測 3. 図面調査空調設備仕様 照明設備仕様の調査 4. エネルギー消費量分析建物全体の電力 ガスの時刻別使用量データの分析上記の調査結果を 計算条件として設定 5. シミュレーションによるエネルギー消費構造分析年間計算による消費先別のエネルギー消費量推定 6. 省エネ提案と省エネ効果推定省エネ対策の提案の効果をシミュレーションで推定
1. 全研究室 教員室のウォークスルー調査 1.1. 調査概要 農学部 ( 東棟 西棟 管理棟 ) 全室の現地ウォークスルー調査を実施 ( 調査期間 213 年 1 月 15 日 ~17 日 ) 全室 ( 室使用時間 在室人数などをヒアリング ) ( 照明器具の台数を確認 ) ( 照度 温湿度を測定 ) 特殊機器のある実験室 ( 特殊機器の消費電力 設置年などを確認 ) 特殊機器のない研究室 (PC の台数などを確認 )
1. 全研究室 教員室のウォークスルー調査 1.4. 特殊機器 ( 実験装置 ) 調査結果 フリーザー (339 台 ) インキュベーター 恒温槽 (65 台 ) ドラフトチャンバ (71 台 ) の設置台数が多く 使用時間も長い 植物育成装置 ( グロースチャンバ ) は 使用時間が長く 消費電力も大きい 純粋製造装置 蒸留水製造装置 製氷機は使用時間が長い 省エネ対策のターゲット : 電算機 : グロースチャンバー : ドラフトチャンバー : その他 24h : フリーザー : その他 建物名称 農学系建物 ( 東棟 ) 農学系建物 ( 西棟 ) 機器種別 台数合計 平均使用時間 平均消費電力 [ 台 ] [ 時間 / 日 ] [kw/ 台 ] 電算機 ( サーバー ) 7 24.5 ドラフトチャンバー 4 13 1.3 フリーザー ( 冷凍冷蔵庫 ) 181 24.4 インキュベーター ( 保温器 ) 47 23.9 恒温槽 11 22 1. 植物育成装置 9 24 1.6 製氷機 3 24.6 電気炉 1 8 1.9 遠心機 25 4 1.4 純水製造装置 6 21 1.3 蒸留水製造装置 2 24 1.7 冷却水循環装置 6 1 1. 乾燥機 45 14 1.2 真空乾燥器 3 8 1. オートクレーブ 15 3 1.7 クリーンベンチ 15 1.4 ドラフトチャンバー 31 1 1.3 フリーザー ( 冷凍冷蔵庫 ) 158 23.4 インキュベーター ( 保温器 ) 58 22.9 恒温槽 7 16 1. 植物育成装置 3 24 1.6 電気炉 2 13 1.9 遠心機 18 1 1.4 純水製造装置 5 24 1.3 蒸留水製造装置 4 15 1.7 クロマトグラフィー 6 2 1.2 乾燥機 22 13 1.2 遠心分離機 2 8.8 オートクレーブ 24 7 1.7 クリーンベンチ 25 14.4
1. 全研究室 教員室のウォークスルー調査 1.4. 特殊機器 ( 実験装置 ) 調査結果 定格電力で稼働した場合の特殊機器の 1 日当たり電力消費量 日平均定格電力消費量 kwh/ 日 6, 5, 4, 2h 以上 3, 2, 24h 1, 農学系建物 ( 東研究棟 ) オートクレーブ 遠心機 真空乾燥器 電気炉 冷却水循環装置 クリーンベンチ ドラフトチャンバー 乾燥機 純水製造装置 恒温槽 インキュベーター ( 保温器 ) フリーザー ( 冷凍冷蔵庫 ) 蒸留水製造装置 植物育成装置 製氷機 電算機 ( サーバー ) 日平均定格電力消費量 kwh/ 日 6, 5, 4, 3, 2, 1, 2h 以上 24h 農学系建物 ( 西研究棟 ) クロマトグラフィー オートクレーブ 遠心分離機 遠心機 ドラフトチャンバー 乾燥機 電気炉 クリーンベンチ 蒸留水製造装置 恒温槽 インキュベーター ( 保温器 ) フリーザー ( 冷凍冷蔵庫 ) 純水製造装置 植物育成装置 農学系建物 ( 東研究棟 ) 農学系建物 ( 西研究棟 ) 2 時間以上稼動の特殊機器が半数以上を占めるため 省エネによるインパクトが大きいと考えられる 実運用時の消費電力の実測調査を実施
2. 特殊機器の実測調査 2.1. 実測概要 24 時間使用の特殊機器の実運用時の消費電力量を測定 213 年 5 月 6 日 ~6 月 3 日 (28 日間 ) 対象機器 : フリーザー グロースチャンバ 薬用冷蔵ショーケース ドラフトチャンバー 機器型番メーカー 定格消費電力 [W] 備考 納入時期 フリーザー MDF-U536 サンヨー 298 設定温度 -3 H12.5 フリーザー MDF-U538 サンヨー 37 設定温度 -3 H2.6 薬用保冷庫 MPR-214FS サンヨー 285 設定温度上 4, 下 -2 H22.8 冷蔵ショーケース MPR-312D サンヨー 3 設定温度 4 H2.6 グロースチャンバー MLR-35 サンヨー 2, H14.7 ドラフトチャンバー DF-11AK ダルトン 4 排風機
2. 特殊機器の実測調査 2.3. 実測結果 定格電力の 4~6% 程度の電力で稼働している 消費電力 [W] 消費電力 [W] 25 2 15 1 5 213/5/13 :( 月 ) 4 35 3 25 2 15 1 5 213/5/13 :( 月 ) 213/5/14 :( 火 ) 213/5/14 :( 火 ) グロースチャンバー (DF-11AK) 消費電力 213/5/15 :( 水 ) 213/5/15 :( 水 ) 213/5/16 :( 木 ) 213/5/16 :( 木 ) 稼働率 4% 213/5/17 :( 金 ) 薬用保冷庫 (MPR-214FS) 消費電力 213/5/17 :( 金 ) 薬用保冷庫 213/5/18 :( 土 ) グロースチャンバー 稼働率 37% 213/5/18 :( 土 ) 定格電力 2[W] 消費量の平均値 797[W] 213/5/19 :( 日 ) 定格電力 3[W] 消費量の平均値 111[W] 213/5/19 :( 日 ) 213/5/2 :( 月 ) 213/5/2 :( 月 ) 消費電力 [W] 消費電力 [W] 45 4 35 3 25 2 15 1 5 213/5/13 :( 月 ) 4 35 3 25 2 15 1 5 213/5/13 :( 月 ) 213/5/14 :( 火 ) ドラフトチャンバー (DF-11AK) 消費電力 213/5/14 :( 火 ) 213/5/15 :( 水 ) フリーザー (MDF-U536) 消費電力 213/5/15 :( 水 ) 213/5/16 :( 木 ) 稼働率 61% 213/5/16 :( 木 ) 213/5/17 :( 金 ) 稼働率 5% 213/5/17 :( 金 ) フリーザー 213/5/18 :( 土 ) ドラフトチャンバー 213/5/18 :( 土 ) 定格電力 4[W] 消費量の平均値 243[W] 213/5/19 :( 日 ) 定格電力 298[W] 消費量の平均値 148[W] 213/5/19 :( 日 ) 213/5/2 :( 月 ) 213/5/2 :( 月 )
3. 建物全体のエネルギー消費量の分析 3.2 単位面積当たりの電力消費量の分析 35 月積算電力量原単位 6 平均時刻別変動原単位 4 月 電力量原単位 [kwh/ m2 月 ] 3 25 2 15 1 5 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 1 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 電力量原単位 [Wh/ m2 ] 5 4 3 2 1 2 4 6 8 1 12 14 16 18 2 22 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 1 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 夜間も電力消費が大きい 24 時間稼働の特殊機器が大きい 特殊機器のために空調を 24 時間稼働などが想定される 7 月がピーク昼間 54Wh/ m2 夜間でも 33Wh/ m2 消費先別 ( 空調 照明 コンセント 特殊機器など ) の電力消費の把握が必要
3. 建物全体のエネルギー消費量の分析 3.3 曜日別電力消費量時刻変動の分析 曜日に関わらず夜間の消費が大きい平日は 7 月 土日祝日は 8 月がピーク 8 月は夏期休暇で在室人数が少ないと思われる 24 時間稼働の特殊機器が大特殊機器のために空調を 24 時間稼働平日は研究室の空調の影響が大 電力量 [kwh/h] 8 7 6 5 4 3 2 1 時 1 時 2 時 平均時刻別変動 ( 平日 ) 3 時 4 時 5 時 6 時 7 時 8 時 9 時 1 時 11 時 12 時 13 時 14 時 15 時 16 時 17 時 18 時 19 時 2 時 21 時 22 時 23 時 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 1 月 11 月 12 月 電力量 [kwh/h] 8 7 6 5 4 3 2 1 時 1 時 平均時刻別変動 ( 土曜日 ) 平均時刻別変動 ( 日 祝日 ) 2 時 3 時 4 時 5 時 6 時 7 時 8 時 9 時 1 時 11 時 12 時 13 時 14 時 15 時 16 時 17 時 18 時 19 時 2 時 21 時 22 時 23 時 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 1 月 11 月 12 月 電力量 [kwh/h] 8 7 6 5 4 3 2 1 時 1 時 2 時 3 時 4 時 5 時 6 時 7 時 8 時 9 時 1 時 11 時 12 時 13 時 14 時 15 時 16 時 17 時 18 時 19 時 2 時 21 時 22 時 23 時 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 1 月 11 月 12 月
4. エネルギー消費構造の推定 4.2 消費先別のエネルギー消費量算出のフロー 計算条件 室面積 室用途 室使用状況 内部機器使用状況 在室人数 空調機器等 入力 エネルギー消費量算出プログラム FACES23 出力 消費先別 ( 空調 照明 コンセント等 ) の年間時刻別エネルギー消費量 エネルギーシミュレーションツール FACES23
4. エネルギー消費構造の推定 4.4 消費先別エネルギー消費量の推定結果 1 月別 年積算電力消費量 電力量 MWh/month 45 4 35 3 25 2 15 1 電算機 ( サーバー ) フリーザー ( 冷凍冷蔵庫 ) グロースチャンバ その他 24h ドラフトチャンバー その他 コンセント 照明 空調電力 実績値 ヒアリング結果と異なった 運用をしている可能性がある 電力量 MWh/year 4,5 4, 3,5 3, 2,5 2, 1,5 1, 15% 程度の差異 5 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 1 月 11 月 12 月 電力消費量の推定値と実績値 5 シミュレーション 実績値 年積算電力消費量 農学系建物では電力消費量で 15% 程度シミュレーションが少なく見積もられている
4. エネルギー消費構造の推定 4.4 消費先別エネルギー消費量の推定結果 2 月別 年積算ガス消費量 ガス消費量千 m3/month 5 45 4 35 3 25 2 15 計算 実績値 ヒアリング結果と異なった運用をしている可能性がある ガス消費量千 m3/year 3 25 2 15 1 24% 程度の差異 1 5 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 1 月 11 月 12 月 ガス消費量の推定値と実績値 5 シミュレーション 実績 年積算ガス消費量 農学系建物ではガス消費量で 24% 程度シミュレーションが少なく見積もられている
4. エネルギー消費構造の推定 4.4 消費先別エネルギー消費量の推定結果 4 一次エネルギー消費量 6, 16% 程度の差異 3,5 6, 3,79 一次エネルギー消費量 MJ/year 5, 4, 3, 2, 1, 2,573 6,976 35,221 シミュレーション 9,144 41,344 実績値 3, 2,5 2, 1,5 1, エネルギー種別一次エネルギー消費量 5 延べ床面積当たり年間一次エネルギー消費量 MJ/year/m2 ガス GJ/year 電力 GJ/year 延べ床面積当たり一次エネルギー消費量 MJ/year/m2 一次エネルギー消費量 GJ/ 年 5, 4, 3, 2, 1, 空調 ( ガス ) 空調 ( 電力 ) 照明 ドラフトチャンバー 24h 機器フリーザー シミュレーション実績値 ガス空調電力照明コンセントその他ドラフトチャンバーその他 24h グロースチャンバフリーザー ( 冷凍冷蔵庫 ) 電算機 ( サーバー ) 電力 ( 実績値 ) 消費先別一次エネルギー消費量 エネルギー消費量が大きいものは フリーザー等の特殊機器と照明電力
5.GHP 空調ガスエネルギー消費の詳細 5.1 日別空調ガス消費量 休日でも平日の 8 割以上の空調エネルギーを使用
5.GHP 空調ガスエネルギー消費の詳細 5.2 時刻別空調ガス消費量 夏期は 冬期の 2 倍程度 最小月の 4 倍程度の消費
5.GHP 空調ガスエネルギー消費の詳細 5.3 室用途別空調ガス消費量 研究実験室実験室教員研究室学生研究室 ( 面積比約 5 割の ) 実験室で全体の 7 割以上を消費消費量が多い 12 室で全 12 室の約 5% を消費
6. まとめ 実建物の使用実態等をヒアリングや実測により把握し 消費先別エネルギー消費量を推定した 農学部において エネルギー消費量が大きいものは フリーザー等の特殊機器と照明電力であった 休日 深夜も運転を続ける特定の実験室の空調エネルギー消費量が全体の使用量に大きな影響をもつ 運用による省エネ手法の提案 1 ドラフトチャンバーの運用変更 : 未使用時の運転停止 2 フリーザーの統合管理 3 照明の小まめな消灯 天井照明の間引き : 運転台数削減と集約 改修 運用改善による省エネ手法の提案と省エネ効果 1 照明改修 + 運用改善 : 省 CO2 効果 16.8% 2 ドラフトチャンバー改修 + 運用改善 : 省 CO2 効果 8.9%