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Transcription:

tenkako.doc // B5 // H. Ueda // ver.2008/5/13 スペイン語ガイドブック 直説法点過去 1 点過去の意味は? 点過去は過去の事実を 一時点において終わったこと としてとらえます 日本語にすると した, だった と訳せることが多いです Cantaron canciones españolas. // 彼らはスペインの歌を歌いました Ayer comí paella con mi familia. // 昨日私は家族と一緒にパエーリャを食べました Yo viví en España durante cinco años. // 私は 5 年間スペインで暮らしました 1 2 点過去 規則変化は? 活用形は ar 動詞の変化と er 動詞 ir 動詞の変化があります er 動詞と ir 動詞は同じ変化をします ar 動詞では語根に é, aste, ó, amos, asteis, aron という点過去の活用語尾をつけます er 動詞と ir 動詞では語根に í, iste, ió, imos, isteis, ieron という活用語尾をつけます 強勢の位置は移動せず常に語尾にあります 1 このように長い期間であっても それが過去に終わってしまったこととして述べているので点過去を使います 1

ar 動詞 cantar cant-é cant-a-mos cant-a-ste cant-a-steis cant-ó cant-a-ron er 動詞 comer com-í com-i-mos com-i-ste com-i-steis com-ió com-ie-ron ir 動詞 vivir viv-í viv-i-mos viv-i-ste viv-i-steis viv-ió viv-ie-ron 3 点過去 不規則変化は? 点過去の不規則動詞には語根母音変化動詞, 強変化動詞, そして dar, ser, ir という特殊な変化をする動詞があります (1) 語根母音変化動詞 語根母音変化動詞の中で不定詞が ir で終わる動詞は三人称単数と三人称複数で閉母音化 (e>i, o>u) が起こります 2

sent-í sent-i-ste sint-ió sentir sent-i-mos sent-i-steis sint-ie-ron dorm-í dorm-iste durm-ió dormir dorm-imos dorm-isteis durm-ieron ped-í ped-iste pid-ió pedir ped-imos ped-isteis pid-ieron * 語根母音変化動詞であっても ar 動詞と er 動詞は規則的に変化します pens-é pens-a-ste pens-ó pensar pens-a-mos pens-a-steis pens-a-ron cont-é cont-a-ste cont-ó contar cont-a-mos cont-a-steis cont-a-ron 3

2 (2) 強変化動詞 このグループの動詞は特有な語根と語尾を持ちます 語尾は次のように変化します 語尾 -e -imos -iste -isteis -o -(i)eron これらは er, ir 動詞の点過去とよく似ています (í, iste, ió, imos, isteis, ieron) ただし一人称単数の語尾が e 三人称単数の語尾が o となるところが異なります 語根はそれぞれの動詞に固有の形があり たとえば saber 知る は sup という点過去特有の語根を持ちます これに先に示した語尾をつなげます saber 知る sup-e sup-imos sup-iste sup-isteis sup-o sup-ieron また traer 持ってくる などのように点過去の語根 (traj) が j で終わる場合は三人称複数の語尾は eron になるので注意しましょう (* 印をつけた動詞 ) 2 このタイプの動詞は点過去では一人称単数と三人称単数の活用形で例外的に語根に強勢があるので 強変化動詞 と呼ばれます 4

traer 持ってくる traj-e traj-imos traj-iste traj-isteis traj-o traj-eron 次の動詞が強変化動詞である andar anduve estar estuve haber hube poder pude poner puse tener tuve hacer hice querer quise venir vine *decir dije *conducir conduje *traer traje このように一人称単数形で特徴となる語根が現れ, その語根は 6 つの変化形で統一して用いられるので 一人称単数形だけを覚えておけばよいでしょう 強変化動詞であることが e で終わる一人称単数形でわかるので 強変化動詞に共通の語尾をつけます 4 dar と ser, ir の点過去の不規則変化 5

dar 与える と ser, そして ir 行く は非常に特殊な活用をするの で, このまま覚えましょう ser と ir は点過去に限りまったく同じ形に なります どちらの動詞なのかは文脈や状況で判断されます di diste dio dar 与える dimos disteis dieron ser である / ir 行く fui fuimos fuiste fuisteis fue fueron Me dieron un catálogo. // 彼らは私にカタログを渡した El año pasado fuimos a una playa de Andalucía. // 去年私たちはアンダルシアの海岸に行きました 5 線過去と点過去が一緒に使われると? 主節と従属節に線過去と点過去が用いられるときは点過去が出来事を示し, 線過去がその背景を示していることが多いです Cuando llegamos a la ciudad, todos los habitantes de Sevilla usaban los trajes típicos. // 私たちがセビリアの町に着いたとき ( 出来事 ), 町の人たちは皆地方独特の服を着ていた ( 背景 ) Mientras corría, perdí el equilibrio y terminé en el suelo // 僕は走っていたとき ( 背景 ), バランスを失って地面に倒れてしまった ( 出来事 ) 6

背景と出来事の関係を図で示すと 次のようになります perdí el equilibrio. バランスを失った Mientras corría... 走っているときに 過去 現在 スペイン語の質問 *ar 動詞は 1 人称複数が現在と点過去で一緒ですが ちゃんと判断がつくものなのでしょうか? 多くの場合 状況 文脈 常識で判断がつきます それでも誤解が生じる場合もあります ir 動詞も 1 人称複数が現在と点過去で一緒です * 線過去と点過去が区別される境界線がわかりません 点過去は 過去に終結してしまったこと を表します それが長い期間でもその全体が終わってしまっていることと考えるならば 点過去で表します 一方 線過去は終結したということを意識しないで 過去にそういうことがあった 行われていた ということを示します 7

線過去は していた と訳されることが多いので過去進行形のよう に見えますが 進行そのものは意識していません * 現在形で規則変化する動詞は 点過去形でも規則変化ですか また 不規則変化でも同じですか? 規則変化と不規則変化は時制ごとに変わります たとえば現在形で不規則の動詞でも線過去で規則変化になることもあるし 現在形で規則変化でも点過去で不規則になることもあります 時制ごとにチェックしましょう ただし 後で習うように未来と過去未来 点過去と接続法過去などは連動します *ser と ir の点過去が同じで困ることはないのですか 実際には前後の文脈ではっきりと区別されます ser 動詞ならば 主語 +fue+ 補語 ( 彼は だった : 主語 = 補語の関係が成り立つ ) となりますし ir 動詞ならばたとえば 主語 +fue+a+ 場所 ( 彼は へ行った ) というように 前置詞や動詞の後の要素の意味でわかります 次の例を比べてみてください Él fue mi profesor. 彼は私の先生だった (ser) /Él fue a mi casa. 彼は私の家に行った(ir) *fui のように閉母音が続くときはどちらが強勢があるのですか? fui の場合は "i" に強勢アクセントがあります 一般に ui や iu のように閉母音が連続するときは後の母音が強くなります しかし muy のように語末が y になっている場合は u にアクセントがあります そのために fui は fuy と書かれないのでしょう fui は他の動詞のアクセントパターン comí や viví に従います ただし 単音節なのでアクセント記号はつけません * 語根母音変化動詞の sentir 型と perdir 型ではどこが違うのですか? 8

どうして別の型として区分されるのですか? 確かに sentí と perdí だけを見ていると区別できませんが 不定詞で わかります sentir 型は ir 動詞ですが perder は er 動詞で pensar 型です sentir 現在 :siento, sientes, siente, sentimos, senti/s, sienten 点過去 :sentí, sentiste, s<i>ntió, sentimos, sentisteis, s<i>ntieron perder 現在 :pierdo, pierdes, pierde, perdemos, perde/is, pierden 点過去 :perdí, perdiste, perdió, perdimos, perdisteis, perdieron とくに点過去 3 人称の違いに注意してください * 点過去の不規則の説明で アクセントの位置のことがよくわかりません 点過去ではアクセントは基本的に語尾にありますが 強変化では例外的に 1 人称単数と 3 人称単数で語根にアクセントがあります * 強変化動詞は変化したのが本文に出てきても気づかないことが多く 新しい単語だと思いがちです 辞書によっては 変化形も見出し語として立ててあります いずれにしても頻度が高いので やがて慣れると思います スペイン語の理由 *ver の点過去 vi と vio にはアクセント記号はつけないのはなぜです 9

か? 単音節語 (1 音節だけの語 ) は原則としてアクセント記号はつけません アクセント記号をつけるときは 別に同じ綴りの語があって それと区別するためです 3 * 線過去と点過去というふうに なぜ2つの意味的に違う過去時制が分かれて作られていったのですか? 動詞の体系全体を見渡してみると 点過去が他の時制とずいぶん違うように見えます 点過去は形だけでなく 使われ方もすでに 過去に終結してしまったこと として別扱いするために用いられます このように点過去は他の時制からは独立して意味的にも 切れた 関係になっています この時制はラテン語にもありました ラテン語にあった時制の中にはスペイン語の時代になると整理されて消えてしまったものもあります しかし点過去は このように明確に線過去と区別する必要があったためにスペイン語でも保持されました * 線過去の不規則は 3 つだけなのに点過去はたくさんある アンバランスなのはなぜですか? 確かにアンバランスです スペイン語の活用形は一般にとても規則的ですが 点過去は他とかなり違います これは点過去が他の動詞体系とは別に位置する特別な時制だからです * なぜ点過去は線過去や現在形に比べて複雑な活用の仕方をするのですか? 英語では go, have などよく使う動詞が不規則な活用をしたりしますが 3 たとえば sé(saber の現在 1 人称単数 ) と se( 代名詞 ), tú( 主語人称代名詞 ) と tu( 所有形容詞 ) など 10

確かに 英語に比べてスペイン語は活用形が多いようですが それでもとても整理された規則的な変化をします 不規則変化の中にも 一定の規則がありますから そこを見失わないようにしましょう 点過去はとくに不規則ですが これは時制体系の中で点過去だけが他の時制から独立した位置にあるためです 過去に済んでしまったこと を特別にとらえているのです * 点過去不規則形はなぜ起こったのでしょうか? 強変化はラテン語の時代からすでに不規則でした 母音変化動詞はラテン語からスペイン語に変わるときに音韻変化があったために 不規則になりました * 点過去の強変化形 の理由 強変化形についての質問が多いので ここで整理して説明します そもそも 強変化 と呼ばれるのは動詞の語根に強勢があるためです たとえば supe, supiste, supo,... の中で supe と supo は su に強勢があるので強変化形と呼ばれます 一方 supiste, supimos, supisteis, supieron は su に強勢がなく 変化語尾に強勢があるので 弱変化形 と呼びます 点過去の規則動詞と語根母音変化はすべて 弱変化形 です この強変化形の特徴は不定詞の語根とかなり違っていることです さて この強変化形はどのようにして生まれたのでしょうか この強変化はラテン語ですでに存在していたので ラテン語歴史文法の研究成果を参照しなければなりません それによるとラテン語 (L) での過去形には次の4 種類の形成法がありました (1) 子音の重複 (2) 語根の母音の変化 (3) S の付加 (4) W の付加 11

(1) と (2) は一部の動詞に限られますが (3) は語幹が子音で終わる動詞に共通し (4) は語幹が母音で終わる動詞に共通します (1)~(4) に従ってスペイン語 (Sp) の強変化動詞を分類すると次のようになります 分類 L. 不定詞 L. 過去 Sp. 不定詞 Sp. 点過去 (1) stare steti estar estuve dare dedi dar di (2) facere feci hacer hice venire veni venir vine (3) dicere dixi decir dije trahere traxi traer traje ducere duxi conducir conduje quaerere quasi querer quise (4) habere habui haber hube posse potui poder pude sapere sapui saber supe tenere tenui tener tuve ponere posui poner puse その他 esse fui ser fui ire ii ir fui (1) 子音の重複と (2) 母音の変化はインドヨーロッパ語に共通して古くからあった変化形です (1) 子音の重複によって L.stare (>Sp. estar) と L.dare (>Sp. dar) の過去形として steti, dedi という形が生まれました steti は現代スペイン語 (Sp) では haber hube に形を合わせて estuve となりました 同じことが andar anduve でも起こりました dar も同じように子音が重複して L. dedi という形が生まれましたが 母音の間の d が失われて Sp. では di となりました これが estar, andar, dar が ar 動詞なのに ( 後に述べるますが 12

ar 動詞と ir 動詞は弱変化 つまり規則変化になるのが普通です ) 強変化である理由です つまり子音の重複によるためです (2) ラテン語で過去形を作るのに語根の母音を変化させるタイプがありました この母音の変化が hacer hice, venir vine という強変化を生みました venire veni の語根の母音はどちらも同じように見えますが 実は venire では e が短く veni ではそれが長かったので 2 つは区別されていました (3) 語根に S をつけて過去を作る方法はギリシャ語などインドヨーロッパ語族の一部に限られるので 比較的新しい方法ではないかと想定されます 前に h や k があるときは発音は [ks] クス となり 文字は x で書かれます これがスペイン語の時代になると音変化をして [x] フ となりました querer の場合は s がそのまま残っています (4) 最後の W は他のインドヨーロッパ語族の言語になく ラテン語に限られるため最新の方法だと思われます habui, potui, sapui,... などの -u-がその印です この u は前にある語根の母音を閉じさせる力があったので 点過去の語根はどれも hube, pude, supe... のように u という母音が現れています なお ponere - posui は S が付加されたように見えますが L.ponere は pos(i)nere に由来するので むしろ語尾の ui に注目すべきでしょう ところで ser は L. esse に由来します その過去形は L.fui であって不定詞とまったく形が異なっていました これがスペイン語にも継承されていますが 一方 ir もその形を拝借することになりました ドイツのスペイン語学者 Hanssen は 古いスペイン語で ser が 存在 の意味で使われていたので 場所 (ser) と 方向 (ir) の概念が混同された と説明していますが 私はそれだけでなく ir 動詞の形が不完全であったことが大きな原因に挙げられると思います ir 動詞には語根の部分がありません そのため形の補充が必要になり 現在形でも voy, vas, va... のように まったく違う形が使われています これは L.vadere 川を渡る という動詞から拝借したものです さて最後の W の付加による過去形の作り方は 実は canté, cantaste, cantó,... という規則変化 ( 弱変化 ) と共通なのです たとえば amare 13

(>Sp.amar) は次のように変化しました amavi, amavisti, amavit, amavimus, amavistis, amaverunt. このような L. are 動詞の語末の a は長かったので 強勢が常に活用語尾にありました ここでとくに注意したいのは-v-という子音です これが先に挙げた (4) の W と同じなのです habui = habwi, amavi =amawi と読み替えればよくわかります 違いは habui の場合は子音 (b) に直接 W がついていて amavi には母音 a を介して W が付いていることです 後者はそのために強勢が活用語尾になり スペイン語では amé, amaste, amó, amamos, amasteis, amaron となりました vivir の場合も同様です 次に活用語尾について見ましょう たとえば L. facere (>Sp. hacer) の活用は feci, fecisti, fecit, fecimus, fecistis, fecerunt でした このように YO と ÉL はとても似ていて ÉL の語尾の t がなくなると区別がつかなくなります そこで amó のような規則変化の語尾 o を代用して区別することになりました その結果 hice, hiciste, hizo, hicimos, hicisteis, hicieron となりました このようにスペイン語の点過去の強変化形は少し複雑な事情がありますが 結果だけを見るととても整然としていることがわかります 語根の母音が u と i に統一されていることも単なる偶然ではなく 点過去の印としての統一性が意識されたのだと思われます ラテン語からスペイン語に継承されていく過程で 古くは vivir, creer, reír, escribir, responder なども強変化をしていましたが 次第に整理されて現在残っている強変化はわずかに上にあげた動詞とその派生形だけです これらは使用頻度が高かったので古い強変化の形式がしっかりと継承されてきたのだと思います スペイン語の学習のときも すべて丸暗記せずに 形式の規則性を見つめ よく理解してから使うことをお勧めします 14