精米 HACCP 規格 ~ 精米工場向け HACCP 手法に基づく 精米の食品安全 品質管理 衛生管理 食品防御の取組み ~ 第 1 版 2016 年 3 月 16 日 第 1 目的一般社団法人日本精米工業会の精米 HACCP 規格は 精米工場で製造する精米が消費者及び実需者より信頼される製品精米と

Similar documents
食肉製品の高度化基準 一般社団法人日本食肉加工協会 平成 10 年 10 月 7 日作成 平成 26 年 6 月 19 日最終変更 1 製造過程の管理の高度化の目標事業者は 食肉製品の製造過程にコーデックスガイドラインに示された7 原則 12 手順に沿ったHACCPを適用して製造過程の管理の高度化を

卵及び卵製品の高度化基準

<4D F736F F D208DBB939C97DE8FEE95F18CB48D EA98EE58D7393AE8C7689E6816A2E646F63>

HACCP 自主点検リスト ( 一般食品 ) 別添 1-2 手順番号 1 HACCP チームの編成 項目 評価 ( ) HACCP チームは編成できましたか ( 従業員が少数の場合 チームは必ずしも複数名である必要はありません また 外部の人材を活用することもできます ) HACCP チームには製品

食品衛生の窓

総合衛生管理製造過程と PDCAサイクル

1.9.1 管理基準の遵守状況を連続的又は相当の頻度で確認をするためのモニタリングの方法を設定し その文書を作成すること 十分なモニタリング頻度を設定することまた 設定した理由を整理しておくこと モニタリングに関する全ての文書と記録は モニタリングを行う担当者及び責任者による

スライド 1

1 施設設備の衛生管理 1-1 食品取扱室の清掃及び保守点検 < 認証基準 > 床 内壁 天井 窓 照明器具 換気扇 手洗い設備及び排水溝の清掃手順 保守点検方法が定められていること 床及び排水溝の清掃は1 日に1 回以上 その他の清掃はそれぞれ清掃の頻度の記載があること 保守点検頻度の記載があるこ

<4D F736F F F696E74202D20358FCD B68AC7979D C B8CDD8AB B83685D>

PowerPoint プレゼンテーション

事業概要 事業概要 確認日 1. 事業概要の把握 従業員数 操業日数 操業時間 約 名 約 日 午前 時 ~ 午後 時 製造銘柄数 製造数量( 単位をそれぞれ選択 ) 約 銘柄 月産 kg 日産 約 トン 組織図 工場全体図 設備リスト 帳簿書類リスト 製品リスト 別添 1 組織 体制図のとおり別添

Microsoft Word - ( 通知決裁)HACCP票通知鑑

第 4 章 管理体制の整備 HACCP の 7 つの原則 1 危害分析 : 危害の原因の明確化 2 重要管理点の決定 : CCP の判定と決定 3 管理基準の設定 : CCP を管理するための管理基準の設定 4 モニタリング方法の設定 : 適切に管理されているかの確認方法 5 修正処置の設定 : 問

品質マニュアル(サンプル)|株式会社ハピネックス

目次 表紙... 1 目次... 2 改訂記録 目的 対象 製造部門 品質部門組織 PET 薬剤製造施設 ( 施設長 ) の責務 製造管理者の責務 各責任者の責務... 7 ( 別紙 1) (

Microsoft Word - 04_品質システム・品質保証モデル_TCVNISO doc

( 認定の審査 ) 第 8 条知事は 第 6 条又は第 11 条の規定による申請があった施設の実地調査等を行い 当該申請内容が第 3 条に定める認定基準に適合していると認めるときは 認定しなければならない ( 認定書の交付等 ) 第 9 条知事は 前条の規定により認定した場合には 当該申請者に対して

目次 4. 組織 4.1 組織及びその状況の理解 利害関係者のニーズ 適用範囲 環境活動の仕組み 3 5. リーダーシップ 5.1 経営者の責務 環境方針 役割 責任及び権限 5 6. 計画 6.1 リスクへの取り組み 環境目標

<4D F736F F D2088E396F BB91A28BC EF C8EA695DB8AC78BE695AA816A C826F8AEE8F808F918EE88F878F B2E646F63>

厚生労働省 食品衛生管理の国際標準化に関する検討会最終とりまとめ 平成28 年12 月 HACCPの導入により 食品の安全性の向上を図る必要があるとの観点から 平成28年3月から12月まで 厚生労働省においてHACCPの制度化について検討 10月14日に中間とりまとめが公表され 11月15日まで意見

(Microsoft Word - \230a\226\363\224[\225iJ2-1.doc)

FSMS ISO FSMS FSMS 18

<90528DB88EBF96E2955B2E786C73>

Microsoft Word - №5 ISO22000.doc

Ver.05 評価チェック表 (Ⅰ 製造環境の管理 ) 点 点 0 点 評価点数 A 施設設備機械器具の衛生管理 作業場内は 必要に応じて空調設備により温度管理を行っていますか温度管理している一部で温度管理されていない 温度管理していない ノロウイルス等の感染の原因とならないように トイレについて適

バリデーション基準 1. 医薬品 医薬部外品 GMP 省令に規定するバリデーションについては 品質リスクを考慮し 以下の バリデーション基準 に基づいて実施すること 2. バリデーション基準 (1) バリデーションの目的バリデーションは 製造所の構造設備並びに手順 工程その他の製造管理及び品質管理の

生活衛生営業 HACCP ガイダンス ( 旅館業用 ) 導入手引書 旅館業用衛生管理点検表 1 個人衛生管理点検記録個人衛生管理は 従事者の感染症対策を中心に基準条例 8 の従事者に係る衛生管理の項目を始業時点検として次の項目を確認する (1) 従事者は 下痢 嘔吐等の体調不良がないことを確認し 症

生活衛生営業 HACCP ガイダンス ( 食肉販売業用 ) 導入手引書 本ガイダンスでは まず メニュー調査表 と 調理工程表 によりそれぞれの施設の 危害要因分析 を行い 次にこの手引書の 衛生管理点検表 を HACCP の考え方を取り入れた 衛生管理計画 とし それを用いて モニタリング 記録の

一太郎 12/11/10/9/8 文書

5、ロット付番

前文 この文書の最初の項では コーデックス規格委員会により採択された危害分析 重要管理点 (HACCP) システムの原則について説明している 第 2 項では適用の詳細は食品の取扱い状況によって異なる可能性があることを認識して このシステムの適用のための一般的なガイドラインを示している 1) HACC

品質向上セミナー

文書管理番号

Microsoft Word - 作成手引き(回収、報告)

<4F F824F B4B8A B818E968D802E786C73>

特定個人情報の取扱いの対応について

018QMR 品質計画書作成規程161101

JFS- A/B/C 規格 < 製造 > 規格の解説書 JFS-A 規格 Ver. 1.1 JFS-B 規格 Ver. 1.1 JFS-C 規格 Ver. 2.2 一般財団法人食品安全マネジメント協会 2017 年 9 月 15 日

< 目次 > 全体解説 3 I 食品安全マネジメントシステム (FSM) FSM1 食品安全マネジメントシステム一般要求事項 C 4 FSM2 食品安全の方針 A/B/C 5 FSM3 食品安全マニュアル C 6 FSM4 経営者の責任 A/B / トップマネジメントの責任 C 6 FSM5 経営者

記 1. 適用対象本通知は 製造販売業者等が GPSP 省令第 2 条第 3 項に規定する DB 事業者が提供する同条第 2 項に規定する医療情報データベースを用いて同条第 1 項第 2 号に規定する製造販売後データベース調査を実施し 医薬品の再審査等の申請資料を作成する場合に適用する GPSP 省

別記第 2 号様式 ( 第 3 関係 ) その 2 HACCP に基づく衛生管理導入の 評価調書 ( バックヤード編 ) ( 評価事業用 ) 評価施設名 評価の対象となった部門 実施年月日 平成年月日 評価実施者 申請にあたっては 評価の対象となった部門のチェックシートと HACCP 自主点検票を提

内部統制ガイドラインについて 資料

第 1 はじめに 1 ガイドライン策定の目的安全で安心なまちづくりを進める上で 近年 防犯カメラの設置は広く有用であると認められており 市内においても防犯カメラの設置が進んでいます しかし その一方で 知らないうちに自分の姿が撮影され 目的外に利用されること等に不安を感じる市民の方もいます そこで

15 変更管理

特定個人情報の取扱いの対応について

図 12 HACCP の導入状況 ( 販売金額規模別 ) < 食品販売金額規模別 > 5,000 万円未満 ,000 万円 ~1 億円未満 億円 ~3 億円未満

商品特性と取引条件 商品名 (1) 展示会 商談会シート 記入日 : 最もおいしい時期 (2) 賞味期限 消費期限 (3) 主原料産地 ( 漁獲場所等 )(4) JAN コード (5) 内容量 (6) 希望小売価格 ( 税込 )(7) 1ケースあたり入数 (8) 保存温度帯 (9) 発注リードタイム

14個人情報の取扱いに関する規程

目 次 第 1 はじめに 2 1 ガイドライン策定の目的 2 2 ガイドラインの対象となる防犯カメラ 2 3 防犯カメラで撮影された個人の画像の性格 2 第 2 防犯カメラの設置及び運用に当たって配慮すべき事項 3 1 設置目的の設定と目的外利用の禁止 3 2 設置場所 撮影範囲 照明設備 3 3

(2) 情報資産の重要度に応じた適正な保護と有効活用を行うこと (3) 顧客情報資産に関して 当法人の情報資産と同等の適正な管理を行うこと (4) 個人情報保護に関する関係法令 各省庁のガイドライン及び当法人の関連規程を遵守すると共に これらに違反した場合には厳正に対処すること ( 個人情報保護 )

<4D F736F F D2095B68F E838A F939D8D8794C55F>

マイナンバー制度 実務対応 チェックリスト

Microsoft Word - es10HP.doc

4-3-1節類製造作業_実施計画モデル例_

Microsoft PowerPoint - ISO9001規格要求事項の理解

はじめてのマイナンバーガイドライン(事業者編)

食品安全の最新情報

目次 序文 3 I 食品安全マネジメントシステム (FSM) 6 FSM1 食品安全マネジメントシステム一般要求事項 6 FSM2 食品安全の方針 7 FSM3 食品安全マニュアル 7 FSM4 トップマネジメントの責任 8 FSM5 トップマネジメントの積極的関与 9 FSM6 マネジメントレビュ

FSSC の特徴 2014 年 7 月 4 日 Copyright 2014 Japan Management Association Quality Assurance 1

8. 内部監査部門を設置し 当社グループのコンプライアンスの状況 業務の適正性に関する内部監査を実施する 内部監査部門はその結果を 適宜 監査等委員会及び代表取締役社長に報告するものとする 9. 当社グループの財務報告の適正性の確保に向けた内部統制体制を整備 構築する 10. 取締役及び執行役員は

ください 5 画像の保存 取扱い防犯カメラの画像が外部に漏れることのないよう 一定のルールに基づき慎重な管理を行ってください (1) 取扱担当者の指定防犯カメラの設置者は 必要と認める場合は 防犯カメラ モニター 録画装置等の操作を行う取扱担当者を指定してください この場合 管理責任者及び取扱担当者

Microsoft Word - 4-2”©„Èfi_„�Ł\.doc

帳簿一覧 フローチャート 品質の確保に関するフローチャート 苦情処理フローチャート 不具合及び回収に関するフローチャート 設置管理医療機器の取扱に関するフローチャート 記録書式 管理者の継続的研修受講状況記録票 品質等点検表 苦情処理記録票 不具合等に関する報告書 回収処理記録票 教育訓練実施記録票

<4D F736F F F696E74202D208DEC90AC C8E817A836F838A B AEE8F802E B8CDD8AB B83685D>

<945F96F B3816A2E786264>

事業者名称 ( 事業者番号 ): 地域密着型特別養護老人ホームきいと ( ) 提供サービス名 : 地域密着型介護老人福祉施設 TEL 評価年月日 :H30 年 3 月 7 日 評価結果整理表 共通項目 Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織 1 理念 基本方針

実地審査チェックリスト (改 0) QA-057_____

マイナンバー対策セミナー(実践編) 「マイナンバー対策マニュアル」を利用した具体的な対策方法について

管理区分 非管理版 文書番号 PMS-007 制定年月日 改訂年月日 改訂番号 1 購入希望の場合は P マークの取得及び更新に必須となる文書のサンプルです ページ最後の購入方法をご確認ください 修正可能なワードファイルで提供して

12_モニタリングの実施に関する手順書 

目 次 1. タムラグループの環境活動 1 2. グリーン調達基準 1 第 1 章総則 1 第 2 章取引先様への要求事項 3 第 3 章材料 部品等の選定基準 3 第 4 章取引先様への調査内容 4 附則 5

日本機械学会 生産システム部門研究発表講演会 2015 資料

程の見直しを行わなければならない 1 委託先の選定基準 2 委託契約に盛り込むべき安全管理に関する内容 (2) 個人データの安全管理措置に係る実施体制の整備 1) 実施体制の整備に関する組織的安全管理措置 金融分野における個人情報取扱事業者は ガイドライン第 10 条第 6 項に基づき 個人データの

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

2010年2月3日

イ -3 ( 法令等へ抵触するおそれが高い分野の法令遵守 ) サービスの態様に応じて 抵触のおそれが高い法令 ( 業法 税法 著作権法等 ) を特に明示して遵守させること イ -4 ( 公序良俗違反行為の禁止 ) 公序良俗に反する行為を禁止すること イ利用規約等 利用規約 / 契約書 イ -5 (

<4D F736F F F696E74202D A838C F838A B C982C282A282C42E B8CDD8AB B83685D>

監査に関する品質管理基準の設定に係る意見書

個人情報保護規定

<4D F736F F D A835E838A F8B7982D18AC48DB85F20534F A68CEB8E9A E9A8F4390B38DCF2

( 様式第 6) 病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法に関する書類 病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法 計画 現状の別 1. 計画 2. 現状 閲 覧 責 任 者 氏 名 閲 覧 担 当 者 氏 名 閲覧の求めに応じる場所 閲覧の手続の概要 ( 注 ) 既に医療法施行規則第 9 条の

食協発第 5 2 号 平成 26 年 5 月 12 日 関係各位 公益社団法人日本食品衛生協会理事長鵜飼良平 ( 公印省略 ) 平成 26 年度 HACCP 実務管理者養成講習会の開催について 当協会の事業運営に関しましては 平素より格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます 現在 食品の製造工程におけ

つがる市小形風力発電 (20kW 未満 ) 設備建設に関するガイドライン 平成 29 年 11 月 15 日公表 1 目的本ガイドラインは つがる市 ( 以下 市 という ) において小形風力発電 (20kW 未満 ) 設備及び設備建設に伴う送電線等の付帯設備 ( 以下 小形風力発電設備等 という

ISO19011の概要について

ISO 9001:2015 から ISO 9001:2008 の相関表 JIS Q 9001:2015 JIS Q 9001: 適用範囲 1 適用範囲 1.1 一般 4 組織の状況 4 品質マネジメントシステム 4.1 組織及びその状況の理解 4 品質マネジメントシステム 5.6 マネジ

防犯カメラの設置及び運用に関するガイドライン

岩手医科大学医学部及び附属病院における人を対象とする医学系研究に係るモニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学医学部及び附属病院における 人を対象とする医学系研究に係る モニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学 第 1.0 版平成 29 年 10 月 1 日

目次 序文 3 I 食品安全マネジメントシステム (FSM) 6 FSM2 食品安全の方針 6 FSM4 経営者の責任 6 FSM5 経営者の積極的関与 7 FSM7 資源の管理 7 FSM8 文書 記録の管理 7 FSM10 手順 9 FSM12 不適合への対応 9 FSM13 是正処置 10 F

食品衛生法施行条例等の一部を改正する条例

指導事項 < 品質保証責任者の業務 > 省 81 省 82 省 83 省 84 施第 2-6(3) 品質管理業務を統括すること 品質管理業務が適正かつ円滑に行われていることを確認すること 必要な場合 総括に文書により報告すること 品質管理業務の実施に当たり 必要に応じ ( 回収 製造販売の停止等 )

目次 序文 3 I 食品安全マネジメントシステム (FSM) 6 FSM2 食品安全の方針 6 FSM4 経営者の責任 6 FSM5 経営者の積極的な関与 7 FSM7 資源の管理 7 FSM8 文書 記録の管理 7 FSM10 手順 9 FSM12 不適合への対応 9 FSM13 是正処置 10

p

youkou

い 9以上に達した事業者は 確認申請書 ( 様式第 3 号 ) を保健所長に提出することができる 2 保健所長は 前項の申請に基づき 自己採点の妥当性を確認するものとする 3 保健所長は 前項の結果 自己採点が妥当であると認めた施設に対して 衛生管理向上プログラム終了証 ( 様式第 4 号 ) を交

<4D F736F F D20939D8D87837D836A B B816996E BB8DEC8F8A816A F90BB8DEC E646F63>

< F2D8EE888F882AB C8CC2906C>

文書管理規程 1.0 版 1

Microsoft Word - 【施行②】第50条解釈適用指針Rev4.doc

5) 輸送の安全に関する教育及び研修に関する具体的な計画を策定し これを適確に実施する こと ( 輸送の安全に関する目標 ) 第 5 条前条に掲げる方針に基づき 目標を策定する ( 輸送の安全に関する計画 ) 第 6 条前条に掲げる目標を達成し 輸送の安全に関する重点施策に応じて 輸送の安全を確 保

Transcription:

一般社団法人日本精米工業会 精米 HACCP 規格 ( 第 1 版 ) ~ 精米工場向け HACCP 手法に基づく 精米の食品安全 品質管理 衛生管理 食品防御の取組み ~ Japan Rice Millers Association

精米 HACCP 規格 ~ 精米工場向け HACCP 手法に基づく 精米の食品安全 品質管理 衛生管理 食品防御の取組み ~ 第 1 版 2016 年 3 月 16 日 第 1 目的一般社団法人日本精米工業会の精米 HACCP 規格は 精米工場で製造する精米が消費者及び実需者より信頼される製品精米となることを目的とする この規格は コーデックスガイドラインに示された7 原則 12 手順に沿ったHAC CP 手法に基づいた食品安全 品質管理 衛生管理 食品防御等に関する取組みについて 精米工場向けに規定したものである 第 2 精米 HACCP 規格精米 HACCP 規格は次に示す項目とする 精米 HACCP 規格を導入する精米工場は 各項目の実施体制を整備し その内容を文書化 ( 規程 基準 手順書等 ) し 維持し 継続的に改善改良する仕組みを構築すること 1. 組織の運営 ( 実施体制 ) (1) 経営者の役割経営者は 消費者及び実需者より信頼される製品精米を提供するため 次の項目を含めた精米 HACCPの実施体制を構築し 推進すること 1 食品安全 品質管理 衛生管理 食品防御等に関する方針と目標 a) 食品安全 品質管理 衛生管理 食品防御等に関する方針と目標を明確にすること b) 策定した方針と目標を全ての従業員に周知徹底すること 2 HACCPチームリーダー a) 精米 HACCP 推進の中心的な役割を務めるHACCPチームリーダーを選定し 任命すること b)haccpチームリーダーの責任と役割を明確にすること c)haccpチームリーダーの活動を支援し 意見や提案等を尊重し協力すること - 1 -

3 HACCPチーム a) 精米 HACCP 推進のため 精米についての知識及び専門的な技術に基づいたメンバーを選定し HACCPチームを編成すること b)haccpチームの責任と役割を明確にすること c)haccpチームの活動を支援し 意見や提案等を尊重し協力すること 4 実施体制精米 HACCP 推進のための組織 ( 実施体制 ) を明確にすること 5 マネジメントレビュー ( 実施体制の見直し ) 精米 HACCPに関する活動が適切で確実に運用されていることを検証するため 定期的に計画を立てマネジメントレビューを実施し 現在の活動が有効で効果的に運用されているかを判断し 必要に応じて改善改良を実施すること (2) コンプライアンス ( 法令遵守 社会倫理に適合した行動 ) 消費者及び実需者の信頼を得るには HACCPシステム等の管理手法の導入と共にコンプライアンスの徹底が重要であるため 次の項目を明確にしてコンプライアンスを推進すること 1 コンプライアンスの体制整備 2 遵守すべき法令や条例 ガイドライン等のリスト化 ( 例えば 食品表示法 食品衛生法 米トレーサビリティ法等 ) (3) 教育訓練精米 HACCPに関する活動を高いレベルで維持するため 次の項目を明確にして全ての従業員に対する教育訓練を実施すること 1 教育訓練の体制整備 2 教育訓練の内容 ( 例えば 食品安全に関する事項 品質検査に関する事項 加工技術に関する事項等 ) (4) 緊急時の対応自然災害や事故等の人為的災害等 重大な被害や影響を及ぼす可能性がある緊急事態の発生に備えるため 次の項目を明確にして緊急時の対応に備えること 1 緊急時対応の体制整備 2 緊急事態のリスト化 ( 例えば 自然災害 人災等 ) - 2 -

(5) 食品防御 ( フードディフェンス ) 対策食品への意図的な汚染を可能な限り防ぐため 次の項目を明確にして食品防御対策を実施すること 1 食品防御対策の体制整備 2 食品防御対策の内容 ( 例えば 入退室の管理 不要物の持込みの管理 薬剤類の使用管理等 ) (6) 検証及び改善活動精米 HACCPに関する活動が適切で妥当で有効であることを検証し 必要に応じて改善改良するため 次の項目を明確にして検証及び改善活動を実施すること 1 検証及び改善活動の体制整備 2 検証及び改善活動の内容 ( 例えば HACCPシステムの検証結果の活用 検証及び改善の実施方法等 ) 2. 衛生管理の取組み (1) 施設設備の衛生管理施設設備を清潔な状態に保つため 次の箇所の管理方法や記録等を明確にして施設設備の衛生管理を実施すること なお 不備や異常等が発見された場合は 必要に応じて交換及び補修等を行い 清潔な状態の維持を徹底すること 1 施設の周囲 2 附帯施設 ( 周辺建物 ) 3 作業エリア 4 照明設備 ( 定期的な照度確認含む ) 5 その他の設備 ( 換気及び空調設備 トイレ 手洗い設備等 ) (2) 従業員の衛生教育従業員の衛生意識の向上のため 次の項目を明確にして全ての従業員に対する衛生教育を実施すること 1 従業員の衛生教育の体制整備 2 従業員の衛生教育の内容 ( 例えば 製品の衛生的な取扱い方法 施設設備の保守点検方法 工場入場方法等 ) - 3 -

(3) 施設設備及び機械器具の保守点検施設設備及び機械器具を正常な状態に保つため 次の項目の管理方法や記録等を明確にして施設設備及び機械器具の保守点検を実施すること なお 不備や異常等が発見された場合は 必要に応じて交換及び補修等を行い 正常な状態の維持を徹底すること 1 製造設備毎の保守点検の箇所と期間 2 可動部品 摩耗等による破損等で異物混入となる可能性のある部品の管理 3 温度計 はかり ( 計量器 ) 等の計測器具類の管理 4 清掃用具類の管理 5 その他 工具類や潤滑油類等の管理 (4) そ族昆虫等の防除そ族昆虫等を適切に防除するため 次の項目を明確にしてそ族昆虫等の防除を実施すること また そ族昆虫等の防除にあたり やむを得ず何らかの薬剤を使用する場合は 化学的安全性データ (MSDS) を保管し 使用した日時 薬剤 使用量 使用方法等を記録し 適正かつ安全に使用すること 1 そ族昆虫等の防除の体制整備 2 そ族昆虫等の防除の内容 ( 例えば 生育状況の点検方法 外部専門業者による防除方法等 ) (5) 使用水の衛生管理使用水を清潔な状態に保つため 次の項目を明確にして使用水の衛生管理を実施すること なお 不備や異常等が発見された場合は 適切な処置を実施すること 1 使用水の衛生管理の体制整備 2 使用水の衛生管理の内容 ( 例えば 使用水の種類 貯水槽の使用の有無 水道水以外を使用している場合の年 1 回以上の水質検査等 ) (6) 排水及び廃棄物の衛生管理排水及び廃棄物を清潔な状態に保つため 次の項目を明確にして排水及び廃棄物の衛生管理を実施すること なお 不備や異常等が発見された場合は 適切な処置を実施すること - 4 -

1 排水及び廃棄物の衛生管理の体制整備 2 排水及び廃棄物の衛生管理の内容 ( 例えば 廃棄物容器の区別 廃棄物の保管方法 産業廃棄物業者の免許確認等 ) (7) 従事者の衛生管理 1 従事者の衛生管理従事者の衛生管理に留意するため 次の項目を明確にして従事者の衛生管理を実施すること なお 不備や異常等が発見された場合は 適切な措置 指導を実施すること a) 従事者の衛生管理の体制整備 b) 従事者の衛生管理の内容 ( 例えば 工場内の服装に関する事項 工場内の入場方法 従事者以外の工場内の入場方法等 ) c) 活動の記録 2 従事者の健康状態従事者の健康状態に留意するため 次の項目を明確にして従事者の健康状態の把握を実施すること なお 不備や異常等が発見された場合は 適切な措置 指導を実施すること a) 従事者の健康状態の把握の体制整備 b) 従事者の健康状態の把握の内容 ( 例えば 従事者 ( 臨時職員含む ) の年 1 回以上の健康診断 毎日の体調チェックの方法等 ) c) 活動の記録 (8) 製品や資材等の衛生的な取扱い製品や資材等の取扱いを衛生的で清潔な状態に保つため 次の項目の実施方法や記録等を明確にして製品や資材等の衛生的な取扱いを実施すること なお 必要に応じて検品 評価等を行い 清潔な状態の維持を徹底すること 1 原料玄米の取扱い 保管に関する管理 2 製品の取扱い 保管に関する管理 3 包装資材等の取扱い 保管に関する管理 (9) 製品の回収方法製造した製品に食品衛生上の問題が発生した場合の健康被害を未然に防止するため 次の項目を明確にして製品の回収を実施すること 1 製品の回収方法の体制整備 - 5 -

2 製品の回収方法の内容 ( 例えば 回収の判断基準 具体的な回収方法 回収 した製品の保管方法等 ) (10) 製品等の試験検査に用いる機械器具の保守点検製品等の試験検査に用いる機械器具を正常な精度に保つため 次の項目を明確にして製品等の試験検査に用いる機械器具の保守点検を実施すること なお 不備や異常等が発見された場合は 必要に応じて交換及び補修等を行い 正常な精度の維持を徹底すること 1 製品等の試験検査に用いる機械器具の保守点検の体制整備 2 製品等の試験検査に用いる機械器具の保守点検の内容 ( 例えば 機械器具毎の保守点検方法 メーカーによる校正の頻度等 ) 3. 品質管理 ( 製造管理 ) の取組み (1) 品質基準 1 原料玄米の品質基準搬入する原料玄米を原材料として受け入れて良いかを決める品質基準の項目と判定基準を設定すること 2 製品の品質基準製造した製品を工場から出荷して良いかを決める品質基準の項目と判定基準を設定すること (2) 製造工程の管理 1 製造工程の区分担当する部門毎に製造工程を区分し 区分した工程毎の工程名称と範囲 担当部門を明確にすること 2 作業標準の設定工程毎の作業を適切で確実に実施するため 次の項目を含めた作業標準を設定すること なお HACCPシステムによる重要管理点 (CCP) が含まれる工程は その内容についても記載すること a) 作業内容の概要と着眼点 作業における禁止事項 b) 工程中での品質確認項目 c) 活動の記録 - 6 -

(3) 品質検査 1 原料玄米の品質検査原料玄米の品質検査を適切で確実に実施するため 原料玄米の品質基準で定めた各項目について 次の内容を含めた品質検査を実施すること a) 各項目の検査手順 使用する検査機器 b) 活動の記録 c) 基準を満たしていない場合の対応方法 2 製品の品質検査製品の品質検査を適切で確実に実施するため 製品の品質基準で定めた各項目について 次の内容を含めた品質検査を実施すること a) 各項目の検査手順 使用する検査機器 b) 活動の記録 c) 基準を満たしていない場合の対応方法 3 食味の確認食味の確認を適切で確実に実施するため 次の内容を含めた食味の確認を実施すること a) 食味の確認手順 使用する機器 b) 活動の記録 4.HACCPシステム 7 原則 12 手順 (1)HACCPチームの編成精米についての知識及び専門的な技術に基づいて HACCPシステムの導入 その運用を行うチーム (HACCPチーム) を編成し 次の事項を実施すること 1 HACCPプランの作成と導入 2 従業員の教育訓練 3 HACCPプランの見直しと修正 4 検証の実施と評価 ( 技術の効果の検証 システムとしての稼働状況の検証 ) (2) 製品についての記述精米についての安全性に関する事項を含む製品情報が作成されていること (3) 意図する用途の特定 精米について意図する用途が明確にされていること (4) 製造工程一覧図 ( フローダイヤグラム ) の作成 原材料の受入から最終製品の出荷までに至る精米の一連の製造工程の流れを記載 - 7 -

した製造工程一覧図が作成されていること また 次に掲げる施設の図面が作成されていること 1 製造工程における製品等の移動の経路を示す図面及び工場内の施設の配置を示す図面 2 従業員の動線を示す図面 3 清浄度の区分を示す図面 (5) 製造工程一覧図の現場での確認 製造工程一覧図の内容が実際の状態と相違しないか確認し 相違点があれば修正 すること (6) ハザード ( 危害要因 ) の分析 原則 1 製造工程一覧図に従って 製造工程毎に予測できるハザードがリスト化され 安全な精米を製造するために管理が必要なハザードを特定し その管理手段が定められていること 具体的には 次の項目を記載したリストが作成されていること 1 ハザードの潜在する可能性のある原材料又は工程 2 各原材料又は工程におけるハザード 3 各原材料又は工程におけるハザードの重要性 4 ハザードの発生を制御するための管理手段 (7) 重要管理点 (CCP) の決定 原則 2 ハザードの発生を防止するため 特に重点的に管理すべき工程が重要管理点として定められていること 異物除去をするための精選機 ( 色彩選別機を含む ) を含めること 金属検出工程を含めること (8) 管理基準の設定 原則 3 全ての重要管理点に対し 管理基準が設定されていること 管理基準は ハザードが許容範囲にまで低減されていることを確認するためのものであり 科学的根拠で立証された数値でかつ可能な限りリアルタイムで判断できる指標が用いられていること (9) モニタリング方法の設定 原則 4 全ての重要管理点に対し 連続的又は相当な頻度でモニタリングする方法が設定 - 8 -

されていること (10) 改善措置の設定 原則 5 モニタリングの結果 管理基準からの逸脱が判明した場合に 管理状況を正常に戻すための改善措置の方法及び逸脱により影響を受けた製品の適切な処分の方法が定められていること (11) 検証方法の設定 原則 6 HACCP システムが正しく機能しているか否かについての検証方法が定められ ていること (12) 文書化及び記録の保持 原則 7 ハザードの分析 重要管理点の決定 管理基準の設定等についての手順が文書化され また 重要管理点のモニタリング結果 改善措置 実施された検証手順及びその結果等についての記録をし 保存するための体制が定められていること 5. 信頼確保の取組み (1) 製品の情報管理消費者及び実需者に対して 製品に関する正確で適格な情報を提供するため 次の項目を明確にして製品の情報管理を実施すること 1 製品の情報管理の体制整備 2 製品の情報管理の内容 ( 例えば 関係部署との情報の共有方法 情報の更新方法等 ) (2) トレーサビリティ関連法令に基づく 正確で確実なトレーサビリティを実施するため 次の項目を明確にして実施すること 1 トレーサビリティの体制整備 2 トレーサビリティの内容 ( 例えば 記録の繋がりの作成 関係書類の保管方法等 ) (3) コミュニケーション 社内及び社外との信頼向上のため 次の項目を明確にしてコミュニケーションを - 9 -

実施すること 1 コミュニケーションの体制整備 2 コミュニケーションの内容 ( 例えば 行政からの情報 お問い合わせ対応方法 関係部署との連携方法等 ) (4) 省エネルギーの取組み社会的責任及び地球温暖化防止対策のため 次の項目を明確にして省エネルギーに取組むこと 1 省エネルギーの取組みの体制整備 2 省エネルギーの取組みの内容 ( 例えば 使用するエネルギー量の把握 低炭素社会実行計画への参加 省エネルギー対策の公表等 ) - 10 -

精米 HACCP 規格 項目 1. 組織の運営 ( 実施体制 ) 3. 品質管理 ( 製造管理 ) の取組み (1) 経営者の役割 (1) 品質基準 (2) コンプライアンス ( 法令遵守 社会倫理 (2) 製造工程の管理 に適合した行動 ) (3) 品質検査 (3) 教育訓練 (4) 緊急時の対応 4.HACCPシステム 7 原則 12 手順 (5) 食品防御 ( フードディフェンス ) 対策 (1) HACCPチームの編成 (6) 検証及び改善活動 (2) 製品についての記述 (3) 意図する用途の特定 2. 衛生管理の取組み (4) 製造工程一覧図 ( フローダイヤグラム ) (1) 施設設備の衛生管理 の作成 (2) 従業員の衛生教育 (5) 製造工程一覧図の現場での確認 (3) 施設設備及び機械器具の保守点検 (6) ハザード ( 危害要因 ) の分析 原則 1 (4) そ族昆虫等の防除 (7) 重要管理点 (CCP) の決定 原則 2 (5) 使用水の衛生管理 (8) 管理基準の設定 原則 3 (6) 排水及び廃棄物の衛生管理 (9) モニタリング方法の設定 原則 4 (7) 従事者の衛生管理 (10) 改善措置の設定 原則 5 (8) 製品や資材等の衛生的な取扱い (11) 検証方法の設定 原則 6 (9) 製品の回収方法 (12) 文書化及び記録の保持 原則 7 (10) 製品等の試験検査に用いる機械器具の保 守点検 5. 信頼確保の取組み (1) 製品の情報管理 (2) トレーサビリティ (3) コミュニケーション (4) 省エネルギーの取組み - 11 -